JP3642620B2 - 組合せ目地材および目地構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅やその他の建物において、外壁材間や内装板間等に形成される目地のシールに使用する組合せ目地材および目地構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図5に示すように、一対の外壁パネル51,51の外壁面材52,52間に形成される目地53は、バックアップ材54と湿式シーリング材55とによる湿式シーリング工法で水密処理している。56は面材下地桟である。
前記湿式シーリング工法は、図6に示す手順で施工される。先ず、目地53にバックアップ材54を圧入してから、目地53の開口縁に沿ってマスキングテープ57を貼る(図6(A))。ついで、目地53内にプライマーを塗布し(図6(B))、さらにシーリング材55を充填する(図6(C))。このように充填したシーリング材55の表面は、パレットナイフ58やヘラ59でヘラ押えおよびヘラ仕上げ処理し(図6(D))、最後にマスキングテープ57を除去する(図6(E))。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような湿式工法では、施工期間が天候に左右されて工期が長くなったり、専門の職人が必要で職人の腕に左右されて品質が安定しない等の問題点がある。特に、外壁パネル51が表面にタイルを貼り込んだものの場合には、タイルの厚み(10〜18mm)だけ目地53が深くなるので、上記したマスキングテープ57を貼る作業やヘラ押え・ヘラ仕上げの作業が非常に困難になる。また、タイル貼りのため、外壁塗装を行わないので、シーリング処理による表面汚れを修正できず、意匠上からも問題がある。
【0004】
この発明は、このような課題を解消し、意匠上優れた目地仕上げを乾式工法で簡単に施工でき、水密性にも優れた組合せ目地材および目地構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明の組合せ目地材は、目地内の奥側と手前側とに各々配置される受け材およびガスケットからなるものである。受け材は、ガスケット係合部と、このガスケット係合部の両側に延びるひれ部と、これらひれ部の目地奥側の面に設けられて目地内の両側の小口面に各々接着される接着剤層とを有する。ガスケットは、目地内に圧入される幅に形成されて断面の内端部に前記受け材の前記ガスケット係合部に係合する被係合部を有する。
この構成の組合せ目地材は、受け材のひれ部を目地内の両側の小口面に前記接着剤層で接着することにより、受け材を目地内の奥側に固定状態に配置する。この後、ガスケットを目地内に圧入してその被係合部を前記受け材のガスケット係合部に係合させる。これにより、ガスケットを目地内の手前側に抜け止め状態に配置でき、意匠上優れた目地仕上げを乾式工法で簡単に施工できる。
【0006】
前記ガスケット係合部はリップ溝形状の硬質樹脂材とし、前記ひれ部は前記ガスケット係合部と一体に成形された軟質樹脂材とし、かつ前記接着剤層が前記ひれ部に貼付けられた軟質樹脂製の粘着テープに設けられたものとしても良い。接着剤層は離型紙で覆っておく。軟質樹脂製の粘着テープとしては、ブチルテープ等が使用できる。また、前記ガスケットの前記被係合部は、ガスケット幅の略中央部から突出した幅狭部の先端両面に、前記リップ溝形状のガスケット係合部のリップ部に係合する逆止爪状断面の係止突部を有するものとしてよい。
この構成の場合、受け材の接着テープ部を目地内の両側の小口面に接面する作業を、離型紙を貼ったまま行い、その作業が終了した後で離型紙を剥がすことにより、接着作業を円滑に行うことができる。また、受け材側の硬質のリップ溝形状のガスケット係合部に対して、ガスケット側の逆止爪状断面の係止突部を係合させるので、受け材に対するガスケットの結合が強固になり、目地内でのガスケットの装着が確実となる。
【0007】
前記ガスケットには、前記幅狭部内に一部が位置する芯金を埋め込んでもよい。この構成の場合、受け材のガスケット係合部に係合する幅狭部の剛性が増すため、受け材へのガスケットの押し込み時にガスケットの幅狭部が撓まず、押し込みが確実に行える。又、ガスケットの収縮防止の効果がある。
前記組合せ目地材において、各ひれ部の離型紙に接着剤層よりも受け材の中央側へ広がる非覆い部を設け、この離型紙の非覆い部の幅寸法を、前記接着剤層の縁で折り返した状態でひれ部の先端よりも延びる幅寸法とする。詳しくは、前記受け台を目地内に押し込んだ状態で前記離型紙が前記ひれ部の先端よりも目地の開口側へ延びるものとする。この構成の場合、受け材をそのひれ部が目地内の両側の小口面に接するように押し込む作業を、離型紙を貼ったまま行い、その後に離型紙を剥がすとき、接着剤層の縁で折り返した離型紙の非覆い部を手前側に引っ張ることにより、離型紙の引き剥がし作業を容易に行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の基礎となる提案例を図1および図2と共に説明する。図1(A)はこの実施形態の組合せ目地材の分解状態を示す水平断面図である。この組合せ目地材1は、目地10内の奥側に配置される受け材2と、目地10内の手前側に配置されるガスケット3とからなる。受け材2は、ガスケット係合部2aと、このガスケット係合部2aの両側に斜め手前側へ延びて設けられたひれ部2b,2bと、これらひれ部2bの目地奥側面に貼付られて目地10内の両側の小口面10aに各々接着される接着テープ2cとを有する。前記ガスケット3は、目地10内に圧入される幅に形成される断面T字状の本体3aの脚片部の内端部に、前記受け材2の前記ガスケット係合部2aに係合する被係合部3bを一体に形成したものである。
【0011】
受け材2のガスケット係合部2aは硬質樹脂材からなり、リップ溝形状に形成されている。受け材2のひれ部2bは弾性を有する軟質樹脂材からなり、ガスケット係合部2aと2色成形等により一体に成形されている。接着テープ2cは、ブチルテープ等の厚肉の軟質樹脂材の粘着テープからなり、その粘着剤からなる接着剤層2b1 は離型紙4で覆われている。各接着テープ2cの離型紙4は、ひれ部2bの先端よりも広がる幅寸法とされ、非覆い部4aが生じている。
ガスケット3の被係合部3bは、ガスケット幅の略中央部から突出した脚片からなる幅狭部3b1 の先端両面に、受け材2のガスケット係合部2aのリップ部に係合する逆止爪状断面の係止突部3b2 を一体形成したものである。また、前記被係合部3b内には、その幅狭部3b1 内に一部が位置するように芯金5が埋め込まれ、これにより被係合部3bの剛性が高められている。又、ガスケットの収縮防止の効果がある。受け材2およびガスケット3の樹脂材料としては、ポリ塩化ビニル等が使用される。
【0012】
図1(B)は、住宅等の建物における外壁パネルの並設箇所に生じる目地の目地仕上げに、前記組合せ目地材1を使用した目地構造を示す水平断面図である。外壁パネル6は、軽量形鋼等からなるフレーム7に外壁面材となる面材12を張ったものであり、面材12は無機系の下地面材8とその表面に貼られたタイル材9とでなる。この目地構造は、外壁パネル6が隣合う箇所で、下地面材8の間に生じる目地10に、前記組合せ目地材1の離型紙4の剥がされた状態のものを配置し、その受け材2のひれ部2bを下地面材8の小口面10aに接着して構成される。組合せ目地材1の全体は、下地面材8の厚さ範囲内に略全体が収められる。
【0013】
上記目地構造の施工は図2に示す手順で行われる。先ず、隣接する外壁パネル6の両フレーム7,7間にバックアップ材11を圧入する。次いで、両下地面材8,8間の目地10の奥側に、離型紙4を貼り付けたままの前記受け材2を、その両側のひれ部2bが両下地面材8の対応する小口面10a,10aに各々接するように圧入する(図2(A))。このとき、両側の離型紙4の各非覆い部4aは、受け材2の手前側にはみ出すようにする。この圧入作業において、受け材2におけるひれ部2bの接着剤層2b1 の表面は、前記離型紙4で覆われているので、接着剤層2b1 が目的以外の箇所に付着することがなく、圧入作業を円滑に行うことができる。
次に、各離型紙4の非覆い部4aを持って目地2の手前側に引っ張ることにより、離型紙4を片側ずつ又は両側同時に前記ひれ部2bの接着剤層2b1 から剥ぎ取る(図2(B))。これにより、両側のひれ部2bを、下地面材8の対応する小口面10aに各々接着させる。このようにひれ部2bを接着することで、目地構造の2次防水が図られる。
【0014】
次に、図2(C)のように、目地10内にガスケット3を圧入し、被係合部3bの係止突部3b2 を受け材2のガスケット係合部2aに係合させる。これによりガスケット2が、目地10の手前側で、かつタイル材9よりも奥側の位置に配置され、目地構造の1次防水が図られる。したがって全体として二重の防水構造となる。このようにして、意匠上優れた目地仕上げを、乾式工法で簡単にかつシール性良く施工できる。また、受け材2は下地面材8の小口面10aに接着され、その受け材2に対してガスケット3が強固に結合されるので、組合せ目地材1の目地10内への装着が確実になる。また、組合せ目地材1がタイル材9の表面に露出しないので、意匠性が一層向上する。
【0015】
図3は、この発明の一実施形態を示す。
図3(A)に示す実施形態の組合せ目地材1Aは、受け材2の両側のひれ部2bの離型紙4を、接着剤層2b1 よりも受け材2の中央側へ広げたものである。離型紙4の接着剤層2b1 よりも広がった非覆い部4bは、接着剤層2b1 の内側縁で折り返した状態でひれ部2bの先端よりも延びる幅寸法としてある。その他の構成は図1(A)に示す実施形態と同じである。
この構成の場合、目地2内に受け材2を圧入した後、ひれ部2bの接着剤層2b1 から離型紙4を剥ぎ取るときに、図3(B)のように離型紙4は接着剤層2b1 の内側縁から外側縁に向けて剥ぎ取られる。このため剥取り作業を円滑に行うことができる。
【0016】
なお、前記各実施形態ではガスケット3の全体を同じ材質の樹脂材とし、芯金5を埋め込んだものとしたが、図4(A)に示すように、被係合部3bにおける幅狭部3b1 および係止突部3b2 を硬質樹脂材とし、ひれ状となった残り部分である本体3aを軟質樹脂材とし、全体を一体に成形しても良い。芯金5はその硬質樹脂材部分に埋め込んである。ガスケット3の硬質樹脂材からなる部分は、図4(B)に示すように断面T字状としてガスケット本体3aの中央の厚肉部分内で両側に広がるように形成しても良い。これにより被係合部3bの係合のための押し込みが一層行い易くなる。
【0023】
【発明の効果】
この発明の組合せ目地材は、目地内の奥側と手前側とに各々配置される受け材およびガスケットからなり、前記受け材は、ガスケット係合部と、このガスケット係合部の両側に延びるひれ部と、これらひれ部の目地奥側の面に設けられて目地内の両側の小口面に各々接着される接着剤層とを有し、前記ガスケットは、目地内に圧入される幅に形成されて断面の内端部に前記受け材の前記ガスケット係合部に係合する被係合部を有するものとしたため、意匠上優れた目地仕上げを乾式工法で簡単に施工できる。
前記ガスケット係合部リップ溝形状の硬質樹脂材からなり、前記ひれ部が前記ガスケット係合部と一体に成形された軟質樹脂材からなり、前記接着剤層が前記ひれ部に貼付けられた軟質樹脂製の粘着テープに設けられたものであって離型紙で覆ってあり、前記ガスケットの前記被係合部が、ガスケット幅の略中央部から突出した幅狭部の先端両面に、前記リップ溝形状のガスケット係合部のリップ部に係合する逆止爪状断面の係止突部を有するものであるため、接着剤層でひれ部を接着する作業を円滑に行うことができる。また、受け材に対するガスケットの結合が行い易く、目地内への目地材の装着が確実となる。
前記ガスケットに、前記幅狭部内に一部が位置する芯金を埋め込んだ場合は、受け材のガスケット係合部に係合する幅狭部の剛性が増し、受け材へのガスケットの装着が一層行い易くなる。又、ガスケットの収縮防止の効果がある。
前記組合せ目地材において、両側のひれ部の離型紙に、接着剤層よりも受け材の中央側へ広がる非覆い部を設け、この離型紙の非覆い部の幅寸法を、前記接着剤層の縁で折り返した状態で前記ひれ部の先端よりも延びる幅寸法としたため、、離型紙の引き剥がし作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)はこの発明の基礎となる提案例にかかる組合せ目地材の分解断面図、(B)は同組合せ目地材を使用した目地構造の水平断面図である。
【図2】 同目地構造の施工手順の説明図である。
【図3】 (A)はこの発明の実施形態にかかる組合せ目地材の分解断面図、(B)は同組合せ目地材の離型紙剥ぎ取り作業を示す説明図である。
【図4】 (A),(B)は各々前記実施形態に使用可能なガスケットの変形例を示す断面図である。
【図5】 従来の目地構造を示す水平断面図である。
【図6】 同目地構造の施工手順の説明図である。
【符号の説明】
1…組合せ目地材、2…受け材、2a…ガスケット係合部、2c…接着テープ部、2b1 …粘着剤層、3…ガスケット、3b…被係合部、3b1 …幅狭部、3b2 …係止突部、4…離型紙、4b…非覆部、5…芯金、7…フレーム、8…下地面材(面材)、9…タイル材、10…目地

Claims (2)

  1. 目地内の奥側と手前側とに各々配置される受け材およびガスケットからなり、前記受け材は、ガスケット係合部と、このガスケット係合部の両側に延びるひれ部と、これらひれ部の目地奥側の面に設けられて目地内の両側の小口面に各々接着される接着剤層とを有し、前記ガスケットは、目地内に圧入される幅に形成されて断面の内端部に前記受け材の前記ガスケット係合部に係合する被係合部を有し、前記ガスケット係合部がリップ溝形状の硬質樹脂材からなり、前記ひれ部が前記ガスケット係合部と一体に成形された軟質樹脂材からなり、前記接着剤層が前記ひれ部に貼付けられた軟質樹脂製の粘着テープに設けられたものであって離型紙で覆ってあり、前記ガスケットの前記被係合部が、ガスケット幅の略中央部から突出した幅狭部の先端両面に、前記リップ溝形状のガスケット係合部のリップ部に係合する逆止爪状断面の係止突部を有するものであり、両側のひれ部の離型紙に、接着剤層よりも受け材の中央側へ広がる非覆い部を設け、この離型紙の非覆い部の幅寸法を、前記接着剤層の縁で折り返した状態で前記ひれ部の先端よりも延びる幅寸法とし、前記受け台を目地内に押し込んだ状態で前記離型紙が前記ひれ部の先端よりも目地の開口側へ延びるものとした組合せ目地材。
  2. 前記ガスケットに、前記幅狭部内に一部が位置する芯金を埋め込んだ請求項1記載の組合せ目地材。
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