JP3640969B2 - 溶剤中に硬質粒子の分散を生成する方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は、溶剤中に硬質で柔軟ではなく、実質的に変形しない微粒子の分散を生成するための方法及び装置に関する。特に、磁気顔料の分散液の生成に関する。
発明の背景
硬質で柔軟ではない微粒子の分散液は、研磨剤コーティング、インク、ペンキ、色校正の分野などを含む様々な技術に使用することができる。硬質で柔軟ではない粒子の分散液が使用される一つの分野は、オーディオテープ、ビデオテープ、データ記憶テープまたはコンピュータのディスケットなどの磁気記録媒体である。こうした磁気記録媒体を製造する際、一般に溶剤中に分散する磁気顔料粒子及び高分子結合剤が基板にコーティングされる。溶剤は乾燥して除去され、磁気記録材料の層が残る。
磁気顔料の分散を処理するための現在の配合技術は、ボールミル、サンドミルまたは磨砕機などの記憶媒体ミルを使用する。記憶媒体ミルは、混合物を高強度のミクロ剪断に暴露することにより許容可能な磁気顔料の分散を達成する。ミクロ剪断は、顔料粒子の凝集を分解するために不可欠である。しかし、これらの記憶媒体ミル処理システムには、分散液中の砂の粒子など、記憶媒体の摩耗による生成物の汚れを含むいくつかの短所がある。更に、記憶媒体ミルの処理量は限られている。記憶媒体ミル中の流量が増加した場合、研磨及び分散が一様ではなくなり、材料の多くは十分に処理されないままシステムを出て行く。ホモジナイザ及び乳化機などの高圧システムを使用して、記憶媒体ミルのこれらの短所を回避することが望ましい。
ホモジナイザ及び乳化機は一般に、固体と液体の予混合物をある表面に対して又はそれ自体に対して衝突させることにより機能する。残念ながら、硬質で柔軟ではない粒子の分散液を高圧乳化機内で処理することは、粒子の研磨性及び混合物が圧入される狭い隙間を塞ぐ可能性がある比較的大きい凝集構造物により難しかった。この閉塞を避けるために、米国特許第4,533,254号及び第4,908,154号は、高圧ホモジナイザ又は乳化機を使用する前に、顔料の大きさを縮小して顔料が良好な状態で分散するように濾過又は予備処理を必要としている。
更に、磁気顔料の研磨性は、衝突チャンバの急速な摩耗を生じる。先行技術のホモジナイザ又は乳化機の摩耗又は閉塞を監視することが難しく、摩耗した部品を安価かつ迅速に交換することができない点は、高圧装置を使用する上での主な障害だった。
最後に、先行技術のホモジナイザ又は乳化機は一般に1平方インチ当り30,000ポンド(205MPa)の動作圧力を超えないため、混合物に付与される処理エネルギーの量は限られている。しかし、重合体のコロイド縣濁液を達成する方法を示唆しているDainippon Ink & Chemicalの日本出願第05098192号及び第JP0509188号は、1400〜140,000psi(9.8〜980MPa)の範囲の噴射衝突圧力を選択している点に注意されたい。
先行技術は、磁気顔料の分散液を生成する際の記憶媒体の微粉砕の前に、予備調整過程を使用すると有利であることも示している。この予備調整過程は通常、磁気顔料、溶剤の少なくとも一部、並びに任意に高分子結合剤及びその他の添加物の一部又は全部を完全に充填する際に行われる。予備調整は、界面活性剤、重合体などによる顔料の最初の湿潤化を促進し、粒子表面からの空気を置換することにより、後続の取り扱い及び処理(微粉砕など)を改善する。高速ミキサ、ホモジナイザ、混練機及び遊星形ミキサは、この目的のために使用されてきた。
発明の要約
発明者は、硬質の柔軟ではない粒子の優れた分散液の生成を可能にする改良された噴射衝突システムを考案した。本発明は、硬質の柔軟ではない微粒子の分散液を生成するために使用できる高圧装置である。この装置は、高圧ポンプと、処理流が二つ以上の流れに分割される入力多岐管を具備する少なくとも2個の直列する衝突チャンバと、流れが互いに高速度で衝突するように構成された制限オリフィスを通った後に流れを再結合する出力多岐管とを具備する。後続の各衝突範囲のオリフィスは、前の衝突範囲のオリフィスと同じサイズであるか又はそれより小さく、最後の衝突範囲のオリフィスは最初の衝突範囲のオリフィスより小さくなければならない。発明者は、後続のオリフィスのサイズを小さくすると、良好な分散を得ることができ、閉塞問題を最小限にできることを発見した。発明者は更に、オリフィスの出口から衝突点(Di)までの距離を少なくとも1個の衝突チャンバのオリフィス直径(d0)の2倍を超えないように保つと、分散の質が高まることも発見した。
オリフィスアセンブリは、オリフィスアセンブリが自由に振動するように組み立てることが望ましい。こうした自由に支持されたオリフィスアセンブリは、振動できない固定されたオリフィスに比べてはるかに摩耗が少ない。特に、オリフィスアセンブリの入口端部を固定する際、オリフィスアセンブリの出口は自由に振動することが望ましい。
この装置は、圧力監視装置などを使って閉塞及び摩耗を監視することができる。更に、この装置は、比較的迅速かつ安価にオリフィスを交換することができる。このシステムは、硬質粒子、特に磁気顔料の分散液を生成する際に有用である。
本発明は更に、溶剤及び硬質で柔軟ではない粒子で構成される分散液を作る以下のステップから成る過程である:
a)半分散混合物を形成する分散成分を結合する;
b)混合物を加圧する;
c)少なくとも2個の直列する衝突チャンバアセンブリに加圧混合物を圧入する。各衝突チャンバでは、混合物は少なくとも二つの流れに分割され、各々の流れはオリフィスアセンブリに圧入され、オリフィスアセンブリの出口では、これらの流れは互いに衝突する。各オリフィスは直径が次第に小さくなっており、オリフィスの出口から衝突点(Di)までの距離はオリフィス直径(d0)の2倍以下である。
分散液は、60容量%の硬質で柔軟ではない粒子を含むことが望ましい。
別の実施例では、材料の流れを分割して再結合するのではなく、直径が次第に小さくなる直列するオリフィスに顔料の分散液を圧入する。直径が次第に小さくなる直列のオリフィスは、後続のオリフィスの直径が前のオリフィスの直径よりも大きくなく、最後のオリフィスは最初のオリフィスよりも小さいことを意味する。しかし、各々の直径のオリフィスは複数個あって良い。
【図面の簡単な説明】
図1は、高圧ポンプと直列の衝突範囲とを具備する本発明の装置全体の概略図である。
図2は、図1の装置に使用される個々の衝突チャンバアセンブリの概略図である。
図3から図5は、オリフィスアセンブリの変形の側断面図である。
図6は、別の入力多岐管の断面図である。
発明の詳細な説明
本発明は、記憶媒体ミル内における予備処理又は予備濾過を必要とせずに、硬質で柔軟ではない粒子の分散液を生成することを可能にする。硬質で柔軟ではない粒子とは、実質的に変形しない粒子を意味する。硬質で柔軟ではない粒子の例としては以下を含むがこれらだけに限らない:酸化鉄、バリウムフェライト、金属粒子及び二酸化クロムなどの磁気顔料;カーボンブラック;銅フタロシアニン、ニグロシン染料などのフタロシアニン、アニリンブルー、クロムイエロー、DuPontオイルレッド(DuPontが市販)、モノリンイエロー、サンファストブルー、サンイエロー、サンレッド及びSun Chemical Co.が市販しているその他の顔料、ハーモンクィンドレッド、リーガル300、フルオロルイエロー088、フルオロルグリーンゴールド084、ルモジェンイエローS 0790、ウルトラマリンブルー、ウルトラマリンヴァイオレット、フェロシアン化第二鉄及びBASFが市販しているその他の顔料、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル及びマラストラルレッドなど、多くの有色顔料;二酸化チタン;酸化アルミニウム、炭化珪素、アルミナ、酸化セリウム、ジルコニア、シリカ、炭化硼素及びガーネットなどの研磨剤。
図1を参照すると、この過程は、硬質で柔軟ではない粒子、できれば磁気顔料粒子、溶剤及び任意にその他の材料を容器20に追加し、高速の溶解機型ミキサなど、粗い混合要素21を使ってこれらを混合して半分散予混合物にするステップから成る。Shar,Inc.のD−5Cミキサ及びCowelsのミキサは、十分に役立つミキサの二つの例である。粒子の凝集による高圧噴射衝突システムの閉塞を防ぐために、これ以上の予備処理(記憶媒体の微粉砕又は濾過)は不要である。約60メッシュまでの凝集は、更に処理することができる。処理混合物は、約85重量%以下の固体、磁気顔料の場合はできれば20〜50重量%の固体を含むことが望ましい。容量では、固体の量は約60容量%以下で良い。磁気顔料分散液の場合、容量%は10〜20容量%であることが望ましい。この噴射衝突システムによって合理的に処理できる粒子の最大含有量は部分的に、処理される粒子の種類によって決まる。たとえば、球状のアルミナ粒子は、針状の磁気顔料よりも多量に、たとえば80重量%又は50容量%存在して良い。硬質で柔軟ではない粒子の他に高分子結合剤など、別の固体化合物を使用する場合、硬質で柔軟ではない粒子の最大量は減らすことができる。高分子結合剤を使って磁気顔料分散液を生成する際、固体の容量%は約5〜18%の範囲で良い。
噴射衝突の前に二重遊星形ミキサを使用する方法は、望ましい実施例である。二重遊星形ミキサを使用すると分散液が比較的安定し、後続の噴射衝突が容易になる。このステップを実施する場合、分散液は一般に最終的な分散液の成分すべてを含むわけではない。たとえば、このステップは、顔料及び溶剤単独の一部について実施しても良いし、その他の様々な分散成分の全部又はいくつかを含んでも良い。二重遊星形ミキサに使用する固体の量はかなり多量であり、噴射衝突の前に分散液を希釈する必要がある。たとえば、磁気顔料の場合、55〜85重量%又は12〜40容量%の固体を二重遊星形ミキサで処理する。異なる磁気顔料は、この範囲の異なる部分で処理することが望ましい。たとえば、金属顔料はこの範囲の低い端部で処理し、酸化鉄はこの範囲の中間で処理し、バリウムフェライトはこの範囲の高い端部で処理することが望ましい。二重遊星混合後の比較的多量の固体成分により、分散液は、更に処理を行う前に適切な容量%又は重量%まで希釈する必要があるかも知れない。
予混合物は次に、高圧ポンプ23に供給される。その際、約50〜150psi(300〜1000kPa)の液体上部圧力を生成可能な低圧ポンプ22を経由することが望ましい。処理流の圧力は、高圧ポンプ23によって30,000psi(205MPa)を超えるまで上昇させることが望ましい。増圧器ポンプは、十分役立つことが分かっている。このシステムが機能するためには、処理流の逆流を防ぐ耐摩耗性の逆止弁24を高圧ポンプの前後両方に配置する必要がある。増圧器ポンプの信頼性は、加わる圧力及び行程速度の範囲全体で機能する関連逆止弁の能力によって決まる。研磨材料を処理する場合、圧力及び流量の増加により生じる弁、オリフィスなどの壊食は、先行技術のシステムの動作圧力及び流量の機能を制限してきた。先行技術に取り付けられている市販の逆止弁の構造、製造規模、処理システムについて、発明者は、60,000psi以下の圧力及び1分当り0.25ガロンを超える流量の研磨剤の分散液に使用するのに適さないことを発見した。適切な逆止弁は、たとえば同時係属米国出願第08/339,027に開示されている。
加圧された処理流は次に、直列の衝突範囲1に入る。個々の噴射衝突チャンバアセンブリ1aなどの最小数は2個だが、4個を超える個々の噴射衝突チャンバアセンブリがあることが望ましく、6〜9個の個々の噴射衝突チャンバアセンブリがあれば最も望ましい。磁気顔料の分散液の場合、直列の各衝突チャンバ全体の圧力降下は少なくとも30,000psi(205MPa)であることが望ましく、35,000psi(240MPa)を超えることは更に望ましく、40,000psi(275MPa)を超えれば最も望ましい。望ましい実施例の一つによると、圧力降下は最後の衝突チャンバで最大になる。必要であるか又は望ましい場合、分散液又はその一部を再循環させて後に流路30に通しても良い。
図2を参照すると、個々の噴射衝突チャンバアセンブリは、処理流が二つ以上の個々の流れに分割される入力多岐管2と、個々の流れが再結合される衝突チャンバを具備する出力多岐管6と、個々の流れを衝突チャンバに供給する流路3とを具備する。図2は、処理流が二つの個々の流れに分割される噴射衝突チャンバの望ましい構成を示す。入力多岐管2及び出力多岐管6は、パッキン押えナツト4及び5により高圧細管3に連通する。出力多岐管6自体は、異なるパラメタが必要であるか又は部品が摩耗もしくは閉塞した場合に、オリフィス円錐部8及び延長管9を交換できるように分解できることが望ましい。高圧細管3は、システムの操作者が閉塞などの流れの異常を検出できる熱電対及び圧力探知装置を任意に装備される。処理流の衝突は、衝突チャンバ10内で起こる。
衝突チャンバ内では、流れは、各々の流れの方向を少なくとも他の一つの流れに向けることによって再結合される。つまり、二つの流れを使用する場合、出口は同一平面になければならないが、出口の角度は互いに異なって良い。たとえば、二つの流れは互いに60、90、120又は180度の角度にすることができ、どの角度を使用しても良い。四つの流れを使用する場合、二つの流れを衝突チャンバの上部で結合し、更に二つの流れを衝突管10の下の中間で結合するか、又は四つの流れ全部を衝突チャンバの上部で結合することができる。オリフィス円錐部と延長管は衝突管に対して直角であることが望ましいが、これは必要条件ではない。
図3から図5は、噴射衝突オリフィスアセンブリ7の各種の実施例を示す。図3から図5を参照すると、オリフィス円錐部8及び延長管9は個別の構成要素にすることができるが、一般に1個の構成要素に結合されている。オリフィス31は、オリフィス円錐部8内に固定されている。このオリフィスは、硬質で耐久性がある材料から構成すべきである。適切な材料としては、サファイア、炭化タングステン、ステンレス鋼、ダイヤモンド、セラミック材料、超硬合金、焼入金属組成物などがある。オリフィスは、楕円形、六辺形、正方形などで良い。しかし、おおよそ円形であるオリフィスは製造しやすく、摩耗が比較的一様である。前に述べたとおり、オリフィスアセンブリの出口は自由に振動することが望ましい。たとえば、ステンレス鋼スリーブ内の炭化タングステンのオリフィスの場合、オリフィスアセンブリの硬質支持具の点から分散液がオリフィスから出る点までの距離は、衝突点、Diまでの距離の少なくとも13倍であることが望ましい。
オリフィスの平均的な内径は部分的に、処理される個々の微粒子の大きさによって決まる。磁気顔料分散液を生成する場合、望ましいオリフィスの直径は0.005〜0.05インチ(0.1〜1mm)の範囲である。後続の各衝突チャンバの内径は、前の衝突チャンバのオリフィス内径と同じ大きさであるか又はこれより小さいことが望ましい。オリフィスの長さは、処理流を長時間にわたって比較的高速度に保つのに必要なら長くしても良い。オリフィスを通る際の流れの速度は一般に1000ft/sec(300m/s)を超える。
延長管9は、個々の流れが互いに衝突する点の直前まで、噴射の速度を維持する。延長管の内部は、オリフィスと同じ材料でも異なる材料でも良く、オリフィスと同じ直径か又はわずかに異なる直径で良い。延長管の長さ及び延長管の出口から衝突チャンバの中心までの距離は、得られる分散液の程度に影響を及ぼす。磁気顔料分散液の場合、延長管の出口から衝突範囲の中心までの距離は0.3インチ(7.6mm)以下であることが望ましく、0.1インチ(2.54mm)以下であれば更に望ましく、0.025インチ(0.6mm)以下であれば最も望ましい。
発明者は、必ずしも必要ではないが、最初の衝突チャンバアセンブリから上流にフィルタを装備すると有利であることを発見した。このフィルタの目的は主に、顔料粒子を除去することなく、100μmを超える比較的大きい異物を除去することである。発明者は、これに代わる方法として、フィルタを具備する図6に示す改良入力多岐管2'を開発した。この入力多岐管2'は、ハウジング28内に保持されているフィルタ要素29を取り外して交換することができる取り外し可能なカバー手段26を具備する。密封要素27は、処理材料が入力多岐管から漏れ出るのを防ぐ。
発明者は更に、この噴射衝突システムを使用すると、処理された分散液を超制限的フィルタに通すことができることを発見した。超制限的フィルタは、本発明の目的上、0.8μmの粒子を約99%の効率で除去できるフィルタである。この過程に使用するフィルタは、0.6μmの粒子を約99%除去することが望ましく、約0.5μmの粒子を約99%除去できれば更に望ましい。こうした超制限的フィルタを20〜50重量%の比較的高度の固体含有量の分散液に使用することは、速度の低下及びこの過程の噴射衝突部分で達成される粒子凝集物の分解により、フィルタを不当に頻繁に交換することなく実行可能である。
市販されている適切な超制限的フィルタの例としては、Nippon RokiのHT−04、HT−05、HT−06及びHT−08がある。これらのフィルタは直列に使用することが望ましく、制限性が次第に高まるように直列されたこうした4個のフィルタは非常に役立つことが分かっている。
本発明の方法及び装置は、液体中に殆どの固体の分散を生成するために使用することができる。しかし、本発明の方法及び装置は、硬質で柔軟ではない粒子の分散を生成するのに特に良く適している。オリフィス及び延長管のサイズは、粒子のサイズが異なる場合は調節する必要がある。一般に磁気顔料分散液は、磁気顔料粒子、溶剤、高分子結合剤及び潤滑剤などのその他の添加剤を含む。
本発明の別の実施例によると、直列の衝突範囲つまりチャンバ1は、直列のオリフィスアセンブリに置き換えられる。これらのオリフィスアセンブリは、図3から図5に示すものと同じであることが望ましい。直列のオリフィスアセンブリは、後続の各オリフィスの内径が前のオリフィスと同じ大きさであるか又はそれより小さく、最後のオリフィスの直径が最初のオリフィスの直径より小さいことに特徴がある。直径が次第に小さくなっている直径の各オリフィスは、分散液が小さいオリフィスに圧入される際に生じる高度の伸長力を使用することによって良好な分散を生成する。直列の連続する各オリフィスの直径を次第に小さくすることにより、過度な閉塞、圧力又は温度の上昇を伴わずにより良好な分散を達成することができる。
発明者は、この方法及び装置を磁気分散液を生成する方法として使用する他に、直列の高圧噴射衝突チャンバアセンブリを使用することにより、記憶媒体微粉砕又は追加の噴射衝突処理により従来の方法で磁気分散液を生成する前の優れた予備調整を行うことができることを発見した。

例1
47重量%のコバルト改質γ−Fe2O3、固体形式の1.5重量%の分散潤滑剤(Emcol及びPOCA)、2.5受領%のカーボンブラック及び49重量%のテトラヒドロフランから成るスラリをShar,Inc.のD−5C内で予混合した。この混合物は次に増厚器ポンプに供給し、25,000〜45,000psiまで加圧した。加圧された混合物は、直列の4個の噴射衝突アセンブリに圧入した。各噴射衝突アセンブリは、オリフィス内径が前の衝突噴射アセンブリよりも小さかった。オリフィス内径はそれぞれ、0.030インチ(0.76mm)、0.026インチ(0.66mm)、0.022インチ(0.56mm)及び0.018インチ(0.46mm)だった。流量は、1.268gal/min(4.8l/min)に一定に保った。5サイクル実施した。つまり、スラリをシステムで5回処理した。4回の運転では、延長管の出口から衝突チャンネルの中心線までの距離(以下、「自由距離)をそれぞれ変えた。最初の衝突チャンバアセンブリのすぐ上流で測定した45度グロス、入力圧力の測定値、及び最後の衝突範囲の直後に配置した高圧熱電対で測定したスラリの出力温度を各サイクルごとに取った。
これらの結果を表1〜表3に示す。45度グロスの測定値は、自由距離が減少するにつれて分散の質が向上することを示す。自由距離が0.025インチ(0.635mm)の場合の出力温度及び入力圧力は、これより大きい自由距離を使用した場合よりも多少高かった。0.1インチ(2.54mm)、0.3インチ(7.62mm)及び0.4インチ(10.2mm)の自由距離を使用した場合のスラリに著しい圧力の違いはなかった。
Figure 0003640969
Figure 0003640969
Figure 0003640969
例2
41.2重量%のコバルト添加γ−Fe2O3、固体形式の2.8%の分散潤滑剤、43.4重量%のメチルエチルケトン及び12.6%のシクロヘキサノンから成るスラリを直列する4個の噴射衝突アセンブリで処理した。各噴射衝突アセンブリは、オリフィスの内径が前の噴射衝突アセンブリよりも小さかった。オリフィスの内径はそれぞれ、0.030インチ(0.76mm)、0.026インチ(0.66mm)、0.022インチ(0.56mm)及び0.018インチ(0.46mm)だった。流量は、1.268gal/min(4.8l/min)に一定に保った。5サイクル実施した。つまり、スラリをシステムで5回処理した。最初の三つの衝突範囲のオリフィスアセンブリの構造は、図3に示すとおりである。最初の三つの衝突チャンバ内の延長管の内径は、0.025インチ(0.635mm)だった。最初の運転では、4番目の衝突アセンブリ内のオリフィスアセンブリの構造は図3に示すとおりで、オリフィスの長さは、0.030インチ(0.76mm)だった。2回目の運転では、オリフィスアセンブリの構造は図4に示すとおりで、オリフィスの長さは0.250インチ(6.3mm)に延長した。
これらの結果を表4〜表6に示す。最後の衝突アセンブリのオリフィスの長さが長いシステムに圧入された分散液はグロス反応が高く、良好な分散を示した。更に、比較的長い制限的オリフィスに圧入された分散液の場合、温度及び圧力反応も増加した。
Figure 0003640969
Figure 0003640969
Figure 0003640969
例3
29.9重量%のメチルエチルケトン、10.8%のトルエン、11.8%のシクロヘキサノン、固体形式の2.2%の分散助剤、コバルト添加γ−Fe2O3、9.4%のウレタン結合剤溶液(MEK中の30重量%の固体)、3.0%のビニル結合剤溶液(MEK中の32重量%の固体)及び金属顔料の重量に基づいて5%のヘッドクリーニング剤から成る強磁性顔料スラリを直列する4個の噴射衝突アセンブリで処理した。最初の2個の噴射衝突チャンバは図3に示すオリフィスアセンブリを具備し、オリフィス内径は0.030インチ及び0.022インチ(0.76及び0.56mm)であった。最後の2個の噴射衝突チャンバは、内径が0.018インチ(0.46mm)の長さを延長したサファイア管を有する図4に示すオリフィスアセンブリを具備していた。流量は、様々な目標圧力を維持するように調節した。4回の運転は、第一噴射衝突アセンブリ入口の圧力レベルを18,000;24,000;30,000及び36,000psi(123;164;205及び246MPa)に維持して行った。45度のグロス反応は、動作圧力が増加するにつれて増加し、分散の質が動作圧力の増加と共に向上することを示す。
例4
CrO2、ビニル結合剤、ウレタン結合剤及びMEK/トルエン/シクロヘキサノンの溶剤配合物の組み合せをShar,Inc.のD−5Cミキサ内で予混合した。次に、この予混合物を約15,000psi(103MPa)まで加圧した。この混合物を各種のオリフィスシステムに圧入した。システムAは、内径が0.010インチ(0.25mm)及び長さが0.030インチ(0.76mm)のオリフィスを4個具備していた。システムBは、長さ0.030インチ(0.76mm)、並びに直径が各々0.022インチ(0.56mm)、0.018インチ(0.46mm)、0.014インチ(0.36mm)及び0.010インチ(0.25mm)の直列する4個のオリフィスを具備していた。濾過性で示される分散液の質は、オリフィスの直径が次第に減少するシステムBで処理した分散液の方が、オリフィスの直径が全部同じであるシステムAに処理した分散液よりもはるかに優れていた。システムAで処理した分散液を濾過する際に測定した圧力は約20〜30psiだったが、システムBで処理した分散液を濾過するのに要した圧力は約7〜11psiに過ぎなかった。
例5
82.8重量部のメチルエチルケトン、29.6重量部のトルエン、32.2重量部のシクロヘキサノン、固体形式の6.0重量部の分散助剤及び100重量部のコバルト添加γ−Fe2O3から成る強磁性顔料スラリを次の方法の一つに従って予備調整した:
サンプルHS:80rpmに設定したアンカーブレード(6"(15.2cm)径のブレード)と、2500rpmに設定したディスク分散器と、2945rpmに設定したホモミキサとを具備するするRoss Versamixer内で5時間高速混合。
サンプルDP/HS:ブレード先端速度が115ft/min(35m/min)の二重遊星ミキサ内で71.0%の固体にて3時間混合し、次に溶剤で42.3%の固体に希釈して、80rpmに設定したアンカーブレード(6"径のブレード)と、2500rpmに設定したディスク分散器と、2945rpmに設定したホモミキサとを具備するRoss Versamixer内で2時間。
サンプルHS/JI:80rpmに設定したアンカーブレード(6"径のブレード)と、2500rpmに設定したディスク分散器と、2945rpmに設定したホモミキサとを具備するRoss Versamixer内で2時間、次に流量が約1.2ガロン/分(4.5l/min)及び圧力が約41,000psi(282MPa)の直列の噴射衝突器で3時間再循環させる。オリフィス内径が0.076cm、0.056cmの衝突範囲が6個、オリフィス内径が0.046cmの衝突範囲が4個あった。
これらの分散液は、10,000r/sのICI粘度計でセンチポアズ(cP)による高剪断粘度を試験した。また、分散液をPETフィルム上に手で塗布して乾燥させた。グロス、良好度数(GN、1/2のピーク高さにおける飽和保磁力で割った飽和保磁力により示される飽和保磁力の無次元値)、残磁性(Br、飽和残留磁束密度に対応する残留磁束密度の最大値)、直角度(Sq、米国特許第5,081,213号の11欄参照)及びハンドスプレッドのローデンストック(RS)を測定した。結果を以下に示す:
Figure 0003640969
噴射衝突により予備調整した分散液は、他のサンプルよりも粘度、良好度数、グロス、残磁性、直角度及びRSが優れていた。
例6
82.8重量部のメチルエチルケトン、29.6重量部のトルエン、32.2重量部のシクロヘキサノン、固体形式の6.0重量部の分散助剤及び100重量部のコバルト添加γFe2O3から成る強磁性顔料スラリを、Ross Versamixer内での高度剪断混合又は二重遊星ミキサ内での混合により予備調整した。ビニル結合剤(酸化物の重量に基づいて9.2重量%)及びポリウレタン結合剤(酸化物の重量に基づいて約12重量%)をその他の溶剤とともに、予備調整した混合物に追加した。最終的な容量%固体は、20%未満だった。
次に、完全な混合物をサンドミル又は高圧噴射衝突システムで処理した。サンプルは以下のとおり:
サンプル 予混合法 分散法
6A Versamixer サンドミル
6B Versamixer 噴射衝突
6C 二重遊星 サンドミル
6D 二重遊星 噴射衝突
各種分散液のハンドスプレッドを行い、飽和保磁力(Hc)、残磁性(Br)、良好度数(GN、1/2のピーク高さにおける飽和保磁力の幅で割った飽和保磁力により示される飽和保磁力の無次元の測定値)、直角度(Sq)、グロス及びローデンストック(RS)を試験した。分散液は、粘度も試験した。結果を以下に示す:
Figure 0003640969
粒子のサイズの分析
粒子のサイズに分析は、処理の際の凝集物の減少の指標である。分析される粒子のサイズの範囲に応じて、MicrotracTM及びPhoton Correlation Spectroscopy(PSC)の二つの方法が使用される。MicrotacTMは、範囲が0.2ミクロンから700ミクロンの場合に使用される。サンプルに使用されるのと類似の溶剤がMicrotracTM X100(フロリダ州、セントピーターズバーグのLeeds and Northrupが市販)を通過して再循環され、機械が粒子サイズの分析を行うのに十分な濃度(一般に約1容量%)になるまでサンプルが落下して追加される。レーザ光が希釈されたサンプルを通過し、前方散乱が測定されて、出力が数平均粒子サイズ(Mn)、容量平均粒子サイズ(Mv)、容量粒子サイズの分布として報告される。サンプルは、Malvern Photon Correlation Spectroscopy 4700(マサチューセッツ州、サウスボロのMalvern Instruments,Inc.が市販)に配置した際に1秒当り60,000〜120,000カウントを測定するのに十分な濃度(一般に約0.01容量%)まで類似の溶剤で希釈される。レーザ光は希釈されたサンプルを通過し、この光は、ブラウン運動に基づいて運動する拡散粒子による散乱光であり、その強度はMicrotracTMのMnに類似する平均粒子サイズつまりZaveとして報告される。
例7
先ず、BUTVARTMB−98(ミズーリ州、セントルイスのMonsanto Companyが市販の樹脂)を14.5、JONCRYLTM67(ウィスコンシン州、ラシーヌのS.C.が市販の樹脂)を14.5、DISPERBYKTM161(コネチカット州、ウォーリングフォードのBYK chemieが市販の分散剤で、n−ブチルアセテート中に30%)を7.3、FLUORADTMFC−430(ミネソタ州、セントポールの3M Companyが市販の塗料添加剤)を0.15の割合で2−ブタノン(オハイオ州、コロンバスのAshland Chemical Co.が市販の溶剤)252.0及びGLYCOL ETHER PMTM(Ashland Chemical Co.が市販の溶剤)168.0に加えて顔料スラリを生成し、樹脂が溶解するまで30分間エアミキサで撹拌した。次に、SUNFAST BLUETM248−0615(オハイオ州、シンシナティのSun Chemical Corp.が市販の顔料)43.6を加えて、スラリが均一になるまで撹拌した。このスラリを供給ホッパに入れ、空気圧ポンプを使って97〜110MPa(14,000〜16,000psi)まで加圧し、前の噴射衝突アセンブリよりオリフィス内径が小さくなっている直列する3個の噴射衝突アセンブリに圧入した。オリフィス内径は、0.46mm(0.018in.)、0.30mm(0.012in.)及び0.23mm(0.009in.)だった。流量は、400cc/minに一定に保って、42.9サイクルの間スラリを直列する衝突アセンブリに循環させて供給ホッパに戻した。その際、2.9サイクルから様々な間隔で2ccのサンプルを採取した。衝突アセンブリは、供給ホッパ内に配置した温度計で測定したスラリの温度が7サイクルにて36℃及び34サイクルにて40℃になるように氷及び水の混合物内に浸漬した。粒子サイズの測定は、各々のサンプルについてMicrotracTM及びPCSで行った。各サンプルは、供給ホッパから取り出してから4時間以内に14ミクロンの液状塗料厚さまでNumber 6 Meyer Rodを塗布し、空気循環炉内に配置して93℃にて2時間乾燥させて透明度を試験した。色校正の場合、個々の色の不透明度が別の色に対する寄与を左右してマスクで隠した状態にならないように、色の重ね合わせ順序は最低の透明度レベルを必要とする。練り顔料を51ミクロン(0.002in.)厚のポリエチレンテレフタレートフィルムシートに塗布してオーブンで乾燥させ、白い表面上に置く。適切に濾過されたモデルSPM100分光光度計/自記濃度記録計(スイス、レーゲンスドルフのGretag Ltd.が市販)を使って練り顔料の反射光学的密度を測定し、特定の練り顔料の色の目標反射光学的密度、つまりシアン色の場合は1.32を有するスポットをマークする。次に、目標反射光学的密度を有するスポットをブラックホール又は光トラップ上に置く。反射光学的密度の測定に使用したのと同じ装置を使って、練り顔料の透明度を測定する。透明度数が高ければ高い程、練り顔料の顔料の分散は優れている。
粒子のサイズ及び透明度の測定値を表8に示す。数平均粒子はサイズは3サイクル後に0.2ミクロンに減少し、凝集物が個々に分散する顔料粒子に大幅に縮小したことを示す。透明度の測定値は17サイクルにわたって向上し続け、残りの凝集物が著しく縮小したことを示す。
Figure 0003640969
例8
先ず米国特許第3,839,049号に記載の手順で生成したハロゲン化銀−ベヘン酸銀(9:91モル比)乾燥石鹸15.1及びBUTVARTM B−79(Monsanto Companyが市販)2.8を2−ブタノン65.7及びトルエン16.4に加え、この混合物を12時間浸漬し、SILVERSONTM Model L2AIR Heavy Duty Laboratory Mixer Emulsifier(Silverson Machines,Ltd.が市販)を使って、均一なスラリになるまで2時間撹拌してハロゲン化銀−ベヘン酸銀分散液を生成した。このスラリを供給ホッパに加えて、油圧ポンプで134MPa(19,500psi)まで加圧し、2番目の噴射衝突アセンブリのオリフィス内径が最初の噴射衝突アセンブリのオリフィス内径より小さくなっている直列する2個の噴射衝突アセンブリに圧入した。オリフィス内径は0.56mm(0.022in.)及び0.46mm(0.018in.)だった。流量は、3.8L/minに一定に保った。粒子サイズの測定は、最初のスラリ及び噴射衝突アセンブリを1回通過した後のスラリについてMicrotracTMで行った。
粒子サイズの測定値を表9に示す。容量平均粒子サイズは、1回通過した後に20.8ミクロンから1.2ミクロンに減少し、粒子サイズの分布は、凝集物が実質的に個々に分散する顔料粒子に縮小したことを示す。
Figure 0003640969
例9
処理条件を除いて実質的に例8と同様にハロゲン化銀−ベヘン酸銀分散液を生成し、衝突を行わない噴射アセンブリを使用した。このスラリを供給ホッパに加えて、空気圧ポンプを使って28MPa(4000psi)まで加圧し、2番目の噴射アセンブリのオリフィス内径が最初の噴射アセンブリのオリフィス内径よりも小さくなっている直列する2個の噴射アセンブリに圧入した。オリフィス内径は0.76mm(0.030in.)及び0.25mm(0.010in.)だった。流量は、400cc/minに一定に保った。粒子サイズの測定は、最初のスラリ及び噴射アセンブリを1回通過した後のスラリの両方についてMicrotracTMで行った。
粒子サイズの測定値を表10に示す。容量平均粒子サイズは1回通過した後に20.8ミクロンから5.6ミクロンに減少し、粒子サイズの分布は、凝集物が個々に分散する顔料粒子に大幅に縮小したことを示す。
Figure 0003640969
例10
様々な量のSumitomo AKP−50アルミナ(ニューヨーク州、ニューヨークのSumitomo Chemical Companyが市販)を1N塩化水素酸でpH3に予め調節した水に加えて3種類の研磨スラリを生成し、各々をGardner Dispermat F105(メリーランド州、シリヴァースプリングのBYK−Gardner,Inc.が市販)内で混合した。アルミナスラリAは63重量部(30容量部)のアルミナ及び37重量部(70容量部)のpH3水、アルミナスラリBは73重量部(40容量部)のアルミナ及び27重量部(60容量部)のpH3水、並びにアルミナスラリCは80重量部(50容量部)のアルミナ及び20重量部(50容量部)のpH3水から構成した。各スラリは同様の方法で処理した。約250ccのスラリを供給ホッパに入れ、空気圧ポンプを使ってスラリAを約170Mpa(25,000psi)、スラリBを約183Mpa(26,500psi)、スラリCを約186Mpa(27,000psi)まで加圧し、直列する3個の噴射衝突アセンブリに圧入した。各噴射衝突アセンブリは、前の噴射衝突アセンブリよりもオリフィス内径が小さかった。オリフィス内径は0.46mm(0.018in.)、0.30mm(0.012in.)及び0.23mm(0.009in.)だった。1.27mm(0.05in.)の固定自由距離を使用した。流量は、スラリAについては約150cc/min、スラリBについては約130cc/min、スラリCについては125cc/minにほぼ一定に保った。各スラリは、直列する衝突アセンブリで再循環させ、18サイクルで供給ホッパに戻し、2サイクルから様々な間隔で2ccのサンプルを採取した。衝突アセンブリは、供給ホッパ内に配置した温度計で測定した最後のスラリ温度が45℃〜55℃になるように氷及び水の混合物中に浸漬した。粒子サイズの測定は、各サンプルについてMicrotracTMで行った。
アルミナスラリA、B及びCの粒子サイズの測定値を各々表1、2及び3に示す。容量平均粒子サイズは一定して減少し、凝集物が個々に分散する顔料粒子に大幅に縮小したことを示す。
Figure 0003640969
Figure 0003640969
Figure 0003640969
インクジェットのインクの評価
着色インクは、優れた耐光堅牢度及び外部耐久性を有し、十分な性能を得るためには凝集物が比較的ない方が良い。更に、インクジェットの実施例に使用される着色インクは、インクジェットプリンタのインクジェットノズルの閉塞を防ぐために、長時間にわたって再凝集に抵抗しなければならない。インクジェットのインクの長期の印刷適性を次の二つの試験のどちらかで評価した:1)比較的厳格ではないカラーストライプ試験及び2)より厳格なフルカートリッジ寿命試験。どちらの場合も、約40mLの着色インクジェットインクをHP 5126Aカートリッジに入れて、そのカートリッジをNova Jet IIサーマルインクジェットプリンタ(カリフォルニア州、サンディエゴのEncadが市販)に配置した。カラーストライプ試験では、長さ1.9cm x幅86cmの濃淡のないブロック画像を0、0.5、1、2、4、6、10、12及び16週の時間間隔にて4回通過モードで印刷した。この試験は、印刷の質が悪化し始めて顕著な縞が観察されるまで行った。次に、十分な印刷の質が観察された最後の時間間隔を報告した。フルカートリッジ寿命試験では、長さ91cm x幅86cmの濃淡のないブロック画像をカートリッジ内の全部のインクがなくなるか又は印刷の質が悪化し始めるまで印刷した。通常、40mLのインクジェットインクは、カートリッジ内のインクがなくなるまでに、4回通過モードで濃淡のないブロックを180cm〜230cm印刷する。結果は、非常に良い(印刷ブロック全体が均一な色密度であり、縞が観察されなかった)、良い(インクは印刷可能だが、多少の縞が観察された)、悪い(インクは印刷可能だが、過度の縞が観察された)及び非常に悪い(インクは印刷不能)として報告した。
ビスアズラクトン(MW861)のブチルアミドの生成
946mL(32oz.)のガラス瓶の中に、Bayer Aspartic Ester XP 7059E(ペンシルバニア州、ピッツバーグのThe Bayer Co.が市販)および84gのビニルメチルアズラクトン(ニュージャージー州、プリンストンのSNPE Co.が市販)を入れた。この瓶は密封して、65℃の空気循環オーブンに3日間入れておいた。次に、瓶をオーブンから取り出し、冷却してから開けて、44gのn−ブチルアミンを30分間にわたって少しづつ加えた。瓶を密封し、65℃のオーブンに一晩入れた。瓶をオーブンから取り出し、冷却してから開けて、200mLのエタノール及び230mLの5N水酸化ナトリウムを加えた。瓶を蒸気浴上で加熱し、この反応混合物をざっと撹拌して反応混合物を溶解させた。次に、この反応混合物溶液を室温で一晩放置した。殆どのエタノールは減圧における蒸発により除去され、残りのエタノールは酢酸エチル250mLを3回加えて抽出した。この水性溶液を再び減圧状態にして、残りの有機溶剤を除去した。次に、十分な水を加えて、水中でビスアズラクトン(MW861)のブチルアミドの50%溶液を作った。
比較上の例1
水性濃縮マゼンタ顔料分散液(Sun Magenta QHD−6040、オハイオ州、シンシナティのSun Chemical Corp.が市販)、水性濃縮イエロー顔料分散液(Sun Yellow YGD−8851、36%固体)、水性濃縮シアン顔料分散液(Sun Cyan BCD−9941、45%固体)又は水性濃縮ブラック顔料分散液(Sun LHD−9303、49%固体)から4種類の水性着色インクジェットインクを生成した。各々の水性着色インクジェットインクは、NaOHでpH9に予め調節した最初の水及び0.1の割合のSURFYNOLTMDF−58(ペンシルバニア州、アレンタウンのAir Products and Chemicals,Inc.が市販する脱泡材)を使って表4に示す割合で顔料分散液を希釈して生成し、この分散液をSILVERSONTM(Machines,Ltd.)で2000rpmにて5分間混合した。次に、ジエチレングリコル(DEG)を徐々に追加し、この混合物を更に10分間混合した。DEGを追加する際、混合物のpHを監視し、1N水酸化ナトリウムで9に保った。
Figure 0003640969
次に、このインク混合物を5ミクロンのWhatman Polycap 36 HDフィルタに通して、Novajet IIサーマルインクジェットプリンタでストライプ印刷試験の質を評価した。印刷の結果を表15に示すが、これは、インクジェットインクが最初のストライプ印刷試験に合格するのに十分に分散していなかったことを示している。
Figure 0003640969
比較上の例2
比較上の例1と同じ方法で4種類の水性着色インクジェットインクを生成し、更に処理した。各々の顔料について、約400mLのインクを55MPa(8000psi)にてモデル15−15MR−STBAホモジナイザ(APV Gaulin Inc.が市販)に通して、インクが全体で平均して4サイクル通過するまで再循環させた。インクの最終的な温度は約85℃だった。次に、このインクを濾過してカートリッジに充填し、カラーストライプ時間を測定した。印刷の結果を表6に示すが、これは、インクジェットインクが最初のストライプ印刷試験に合格するのに十分に分散していなかったことを示している。
Figure 0003640969
例11
比較上の例1と同じ方法で4種類の水性着色インクジェットインクを生成し、更に処理した。各々の顔料について、約250mLのインクを供給ホッパに入れて、空気圧ポンプを使って69MPa〜103MPa(10,000psi〜15,000psi)まで加圧し、相互作用チャンバH230Z(スロットの高さが400ミクロンで、マサチューセッツ州、ニュートンのMicrofluidics Internatoinal Corp.が市販)及び相互作用チャンバH210Z(スロットの高さが200ミクロンで、Microfluidics International Corp.が市販)に順に圧入した。流量は400mL/minに一定に保ち、インクは2個の相互作用チャンバで合計10サイクル再循環させた。インクの温度は、冷水で55℃に保った。次に、このインクを濾過してカートリッジに充填し、カラーストライプ時間及びフルカートリッジ寿命の両方を測定した。印刷の結果を表17に示すが、これは、インクジェットインクが、開口部が次第に小さくなっている直列する相互作用チャンバを通過した際に多少分散したことを示している。
Figure 0003640969
例12
比較上の例1と同じ方法で4種類の水性着色インクジェットインクを生成し、更に処理した。各々の顔料について、約250mLのインクを供給ホッパに入れて、空気圧ポンプを使って159MPa〜172MPa(23,000psi〜25,000pis)まで加圧し、各々前の噴射衝突アセンブリよりもオリフィス内径が小さくなっている直列する3個の噴射衝突アセンブリに圧入した。オリフィス内径は、0.46mm(0.018in.)、0.30mm(0.012in.)及び0.23mm(0.009in.)だった。固定自由距離1.27mm(0.05in.)を使用した。流量は、400cc/minに一定に保ち、インク混合物を直列する衝突アセンブリで再循環させて、10サイクルで供給ホッパに戻した。衝突アセンブリは、供給ホッパ内に配置した温度計で測定した最終的なインク混合物温度が約45℃になるように、氷及び水の混合物内に浸漬した。次に、インクを濾過してカートリッジに充填し、カラーストライプ時間及びフルカートリッジ寿命の両方を測定した。印刷結果を表18に示すが、これは、オリフィス直径が次第に減少する直列する衝突アセンブリを使用した場合、インクジェットインクが良く分散していたことを示している。
Figure 0003640969
例13
比較上の例1と同じ方法で4種類の水性着色インクジェットインクを生成し、更に処理した。各々の顔料について、約250mLのインクを供給ホッパに入れて、空気圧ポンプを使って159MPa〜172MPa(23,000psi〜25,000psi)まで加圧し、各々前の噴射アセンブリよりもオリフィス内径が小さくなっている直列する3個の噴射アセンブリに圧入した。オリフィス内径は0.46mm(0.018in.)、0.30mm(0.012in.)及び0.23mm(0.009in.)だった。流量は400cc/minに一定に保ち、インク混合物を衝突アセンブリで再循環させて10サイクルで供給ホッパに戻した。アセンブリは、供給ホッパ内に配置した温度計で測定した最終的なインクスラリ温度が約45℃になるように氷及び水の混合物に浸漬した。次に、インクを濾過してカートリッジに充填し、フルカートリッジ寿命を測定した。印刷結果を表19に示すが、これは、オリフィス直径が次第に小さくなっている直径する衝突アセンブリを使用した場合、インクジェットインクが良く分散していたことを示す。
Figure 0003640969
例14
先ず、SUNFASTTM Blue 15:3(シアンプレスケーキ、水中に50%の顔料、Sun Chemical Co.が市販)を86.5、水溶液中の50%のブチルアミドビスアズラクトン樹脂(MW861)を25、CT−136(Air Products Co.が市販の界面活性剤)を15及び水を50の割合で容器内のジエチレングリコル(DEG)200に加え、顔料スラリ濃縮物を生成した。この顔料スラリをSILVERSONTM Model L2AIR Heavy Duty Laboratory Mixer Emulsifier内で、容器の底に沈澱物が観察されないように、500rpmにて5分間、次に2000rpmにて10分間混合した。この顔料スラリ濃縮物を更に30の割合の水で洗浄した。約250mL顔料スラリ濃縮物を供給ホッパに入れて、空気圧ポンプで83MPa〜90MPa(12,000psi〜13,000psi)に加圧し、相互作用チャンバH230Z(スロットの高さは400ミクロン)及び相互作用チャンバH210Z(スロット高さは200ミクロン)に順に圧入した。流量は400mL/minに一定に保ち、顔料スラリ濃縮物を2個の相互作用チャンバで合計24サイクル再循環させた。相互作用チャンバは、供給ホッパ内に配置された温度計で測定した最終的なインク混合物温度が約45℃になるように、氷及び水の混合物内に浸漬した。
pHを8に維持した以外は比較上の例1と同じ方法で、水及びDEGを顔料スラリ濃縮物に加えて約400mLのインクジェットインクを生成した。次に、インクジェットインクを濾過してカートリッジに充填し、フルカートリッジ寿命を測定した。フルカートリッジ寿命は良かった。
例15
例14と同じ方法でインクジェットインクを生成したが、顔料スラリ濃縮物は異なる条件で相互作用チャンバではなく噴射衝突アセンブリに供給した。約250mLの顔料スラリ濃縮物を供給ホッパに入れ、空気圧ポンプを使って138MPa〜172MPa(20,000psi〜25,000psi)まで加圧し、各々前の噴射衝突アセンブリよりもオリフィス内径が小さい直列する3個の噴射衝突アセンブリに圧入した。オリフィス内径は0.46mm(0.018in.)、0.30mm(0.012in.)及び0.23mm(0.009in.)だった。固定自由距離1.27mm(0.05in.)を使用した。流量は、400cc/minに一定に保ち、顔料スラリ濃縮物を直列する衝突アセンブリで再循環させて24サイクルで供給ホッパに戻した。衝突アセンブリは、供給ホッパ内に配置した温度計で測定した最終的なインク混合物の温度が約45℃になるように、氷及び水の混合物内に浸漬した。次に、顔料スラリ濃縮物からインクジェットインクを生成し、濾過してカートリッジに充填し、フルカートリッジ寿命を測定した。フルカートリッジ寿命は良かった。
例16
例14と同じ方法でインクジェットインクを生成したが、顔料スラリ濃縮物は異なる条件で噴射衝突アセンブリではなく噴射アセンブリに供給した。約250mLの顔料スラリ濃縮物を供給ホッパに入れ、空気圧ポンプを使って159MPa〜172MPa(23,000psi〜25,000psi)まで加圧し、各々前の噴射アセンブリよりもオリフィス内径が小さくなっている直列する3個の噴射アセンブリに圧入した。オリフィス内径は0.46mm(0.018in.)、0.30mm(0.012in.)及び0.23mm(0.009in.)だった。流量は、400cc/minに一定に保ち、インク混合物を直列する噴射アセンブリで再循環させて、24サイクルで供給ホッパに戻した。衝突アセンブリは、供給ホッパ内に配置した温度計で測定した最終的な顔料スラリ濃縮物の温度が約45℃になるように、氷及び水の混合物内に浸漬した。次に、顔料スラリ濃縮物からインクジェットインクを生成し、濾過してカートリッジに充填し、フルカートリッジ寿命を測定した。フルカートリッジ寿命は良かった。
例17
この実験は、出口において自由に振動するオリフィスアセンブリを具備する長所を示す。使用した分散液は、分散液の重量全体に基づいて12.4重量%のカーボンブラック及びTHF中の7重量%のニトロセルロースだった。噴射衝突システムは、直列する8個の衝突チャンバを具備していた。先ず、分散液をチャンバに流入させた。前記チャンバのうちの1個は、実質的に振動しないオリフィス出口を具備していた。特に、このオリフィスチャンバは、オリフィスアセンブリの支持点からオリフィスアセンブリの出口までの距離が0.0375in.(0.09525cm)だった。オリフィスアセンブリの出口から衝突点までの距離は、0.03in.(0.0762cm)だった。比率=12.5。次に、実質的に自由に振動するオリフィス出口を有する1個のチャンバを具備する第二噴射衝突システムに同じ分散液を通した。特に、このオリフィスチャンバは、オリフィスアセンブリの支持点からオリフィスアセンブリの出口までの距離が0.0375in.(0.09525cm)だった。オリフィスアセンブリの出口から衝突点までの距離は、0.0275in.(0.06985cm)だった。比率=13.6。分散液は、この二つのシステムを合計圧力降下30,000psiで通った。最後の衝突チャンバ上での圧力降下はこれとは異なり、17,500psiだった。固定ノズルは、30分間で実質的な壊食を示した。自由ノズルは、延長して稼働しても実質的な壊食を示さなかった。

Claims (6)

  1. 溶剤及び硬質で柔軟ではない粒子から成る分散液を生成する方法であって、
    a)分散液の成分を結合して半分散混合物を生成するステップと、
    b)混合物を加圧するステップと、
    c)加圧された混合物を直列する少なくとも2個の衝突チャンバアセンブリに圧入し、該混合物が少なくとも二つの流れに分割され、各々の流れが、内径を有する小さいオリフィスを具備するオリフィスアセンブリに圧入され、該流れがオリフィスアセンブリから出る際に互いに衝突するステップと、
    で構成され、
    最初の衝突チャンバアセンブリのオリフィスの内径が最後の衝突チャンバアセンブリのオリフィスの内径より大きい方法。
  2. オリフィスアセンブリの出口が自由に振動する請求項1記載の方法。
  3. 直列する衝突チャンバアセンブリ全体の圧力降下が少なくとも205MPaである請求項1記載の方法。
  4. 圧入ステップが混合物を二つの流れに分割して、該流れが180度の角度で互いに衝突する請求項1記載の方法。
  5. 高圧ポンプ及びその後に直列する少なくとも2個の衝突チャンバを具備し、各々の衝突チャンバが(i)加圧された流れが二つ以上の個々の流れに分割される入力多岐管と、(ii)個々の流れが、内径を有する小さいオリフィスを具備するオリフィスアセンブリを通った後に衝突チャンバ内で衝突して再結合される出力多岐管と、(iii)入力多岐管と出力多岐管との間の少なくとも2本の連通流路とを具備し、最初の衝突チャンバ内のオリフィスの内径が最後の衝突チャンバ内のオリフィスの内径より大きい装置。
  6. 該ポンプが少なくとも205MPaの圧力を付与できる請求項5記載の装置。
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