JP2004256798A - 水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法 - Google Patents

水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 色相変化が起きたり、粒子の分散安定性低下が起こり難く、かつ、光学濃度が高く彩度の高い着色画像が得られる水性顔料分散体の製造方法、及びこれで得られた水性顔料分散体から水性顔料記録液を製造する方法を提供する。
【解決手段】 顔料、高分子分散剤、有機溶剤及び水を必須成分として含む水性顔料分散体を冷却しながら、当該水性顔料分散体に超音波照射して水性顔料分散体を製造する。またここで得られた水性顔料分散体を、質量換算で顔料濃度1〜10%となる様に希釈して水性顔料記録液とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水性インク、水性塗料、水性ボールペンインク、水性印刷インキ等に有用な水性顔料分散体及び水性顔料記録液の製造方法に関し、さらに詳しくは顔料分散性、顔料分散安定性、色調などに優れた水性顔料分散体及び水性顔料記録液の製造方法に関する。
有機顔料粒子の小粒径化と、インク物性の保存安定性とを両立し、さらに彩度が高いインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を製造する方策として、超音波による分散法が試みられている。
超音波を利用したインクジェット記録用水性インクの製造方法としては、例えば有機顔料と高分子分散剤の有機溶剤溶液に超音波照射をしながら水と混合して、有機顔料が高分子分散剤で被覆された複合粒子を形成させると共に水に分散させた後、脱溶剤を行ってから水溶性溶剤等を含めるインクジェット記録用水性インクの製造方法、有機顔料、高分子分散剤、水溶性溶剤及び水を含む顔料分散物を250〜3000Wの出力及び20〜50kHzの周波数の条件下に超音波処理工程に付して該有機顔料を分散させることを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法が開示されている(特許文献1、2または3参照)。
しかしながら、これら特許文献1及び2の方法は、いずれも超音波照射を何ら温度制御することなく行っているため、超音波の照射と共に液媒体温度が急上昇する結果、得られる水性顔料分散体の顔料分散粒子径が変化したり、分散体の顔料分散安定性は劣ったものとなってしまうという欠点を有している。一方、特許文献3では、超音波ホモジナイザーで分散する際は加温等により脱泡、脱気を行ってから分散するのが好ましいとされている。
また、水不溶性ないし水難溶性着色剤、高分子分散剤、水溶性溶剤及び水を含む顔料分散物を超音波処理工程に付して該水不溶性ないし水難溶性着色剤を分散させることを特徴とするインクジェット記録用水性インクの製造方法が開示されている(特許文献4参照)。そして、この特許文献4には、超音波照射部には冷却装置を組み込むことが好ましいことが示唆されている。
しかしながら、特許文献4では水不溶性ないし水難溶性着色剤として顔料が使用出来ることを示唆しているものの、分散染料を用いた場合についての知見についての開示しかなく、しかも冷却有無における効果の差異に関する知見については、一切開示されていない。
要するに、水性顔料分散体に超音波照射を行った場合の冷却の効果の有無及び効果の大小は、未だ検討されていないのが実状であった。
特開平 9−151342号公報(第2頁請求項12、第7頁段落番号0057及び第12頁段落番号0116等) 特開平10− 60331号公報(第2頁請求項1、第3頁段落番号0012〜0013及び第8頁段落番号0058等) 特開平11−181340号公報(第2頁請求項12及び14、第9頁段落番号0055及び第10頁段落番号0064等) 特開平11−228892号公報(第2頁請求項1、第6頁段落番号0052〜0054及び第7頁段落番号0064等)
本発明は、色相変化が起きたり、粒子の分散安定性低下が起こり難く、かつ光学濃度が高く色彩の彩度が高い着色画像が得られる水性顔料分散体の製造方法、及びこれで得られた水性顔料分散体から水性顔料記録液を製造する方法を提供することを目的とする。
そこで本発明者らは、水性顔料分散体にそのまま超音波を照射するのではなく、それを冷却しながら超音波照射することで、冷却しない場合と冷却した場合で、着色画像品質において改良効果の程度に顕著な差異があること、その差異は分散染料の場合よりも顔料の場合の方が大きいことを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、顔料、高分子分散剤、有機溶剤及び水を必須成分として含む水性顔料分散体を冷却しながら、当該水性顔料分散体に超音波照射する水性顔料分散体の製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記製造方法で製造した水性顔料分散体を、質量換算で顔料濃度1〜10%となる様に希釈する水性顔料記録液の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法は、水性顔料分散体を冷却しながら超音波照射するので、冷却せず超音波照射して得られる水性顔料分散体及び水性顔料記録液の場合に頻発する、色相変化や、粒子の分散安定性低下が起こり難く、かつ光学濃度が高く色彩の彩度が高い着色画像が得られるという格別顕著な効果を奏する。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、顔料、高分子分散剤、有機溶剤及び水を必須成分として含ませた水性顔料分散体を予め準備し、これを冷却しながら、これに超音波照射を行う。超音波照射に供する水性顔料分散体は、前記原料から構成される。
この際の顔料としては、従来公知の有機顔料、無機顔料をいずれも用いることが出来る。これらを例示すると、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料、カーボンブラック、酸価チタン、べんがら等の無機顔料等が挙げられる。ここで調色などの目的のために顔料は2種類以上のものを併用することもできる。
有機顔料は、無機顔料やカーボンブラックに比べると、有機溶剤存在下の熱履歴に敏感であり、熱履歴により結晶成長や結晶型転移等の現象が起こりやすく、その結果、色相変化や分散安定性変化が大きく、超音波照射時の水性顔料分散体の温度変化、特に温度上昇の影響をより強く受けやすいことを、本発明者らは知見している。本発明において、超音波の照射対象の水性顔料分散体としては、有機顔料を含む水性顔料分散体が、本発明の効果をより顕著に発現する点で好ましい。
一方、高分子分散剤も公知のものをいずれも用いることが出来る。この様な高分子分散剤としては、例えば、ゼラチン、カゼイン等のタンパク質、アラビアゴム等の天然ゴム、サポニン等のグルコシド、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子化合物、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはその塩、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体またはその塩、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体またはその塩(以下、前三者を総称してスチレンアクリル樹脂と称する)、ビニルナフタレン−(メタ)アクリル酸共重合体またはその塩、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体またはその塩、ビニルナフタレン−(無水)マレイン酸共重合体またはその塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、カルボシキシル基、スルホン酸基またはその塩を官能基として含有するポリエステル(以下、ポリエステル樹脂と称する)、カルボキシル基またはその塩を官能基として含有するポリウレタン(以下、ポリウレタン樹脂と称する)、前記共重合体構造とウレタン構造を共有する複合高分子化合物(以下、アクリルウレタン樹脂と称する)等のアニオン性基含有有機高分子化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレングリコール等の非イオン性基含有有機高分子化合物等を用いることができる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
高分子分散剤としては、実質的に線状の有機高分子化合物であって、中和により水分散性となりうるものを用いることが、被記録媒体上への定着性と着色画像の耐水性の観点から好適である。水性顔料分散体がインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液の調製に用いられる場合には、必要に応じて、多官能の原料を定着性、吐出安定性、分散安定性等を損ねない範囲において併用して調製した、実質的に線状ではあるが一部分岐構造を有する有機高分子化合物を用いることも可能である。
好適な高分子分散剤は、前記した様なアニオン性基含有有機高分子化合物であり、具体的には、前記したスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂等を挙げることが出来る。しかしながら、加熱時に加水分解などの化学変化を起こさないこと、多様な機能を有するモノマーがあるため高機能化が容易であり、性質の微調整が容易なこと、製造が容易で、工業的規模で物性の安定した高分子分散剤が得られることから、スチレンアクリル樹脂またはアクリルウレタン樹脂が好ましく、スチレンアクリル樹脂であることが特に好ましい。
前記スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂は、公知慣用の原料や製造方法に従って製造することが出来る。アクリルウレタン樹脂は、例えば、次の操作を順次行うことで製造することが出来る。
(1)少なくとも1つのメルカプト基と、2つ以上の水酸基を有する連鎖移動剤(以下、単に連鎖移動剤と称する)の存在下、上述のスチレンアクリル樹脂部分を構成するモノマーを付加重合反応させる。これをプレポリマーAとする。
(2)2官能性以上のポリイソシアネート化合物を用いて、プレポリマーAとを重付加反応させる。この際、1分子中に合計2つ以上の水酸基やアミノ基などの活性水素原子を含有する官能基を有する化合物(これをプレポリマーBとする)を、必要に応じて共存させて共重合体とする。ポリイソシアネート化合物としては公知慣用のものがいずれも使用できる。
アニオン性基含有有機高分子化合物のカルボシル基やスルホン酸基を中和して水分散性とするための塩基性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。アニオン性基含有有機高分子化合物と塩基性化合物との併用による顔料の分散は、従来の、各種イオン性基を含まない有機高分子化合物と各種イオン性界面活性剤との組み合わせに比べ、水性顔料分散体の長期に亘る分散安定性や着色画像の耐水性に優れるという長所がある。
有機溶剤としても公知慣用のものがいずれも使用できる。
このような有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリム、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、プロピレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類またはグリコール類、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のモノアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチル燐酸トリアミド、ヘキサメチル亜燐酸トリアミド、ジメチルイミダゾリジノンなどの含窒素有機化合物や含硫黄有機化合物等を挙げることが出来る。
有機溶剤としては、水性顔料分散体の調製時や超音波照射時に、顔料粒子に前記した様な変化を与えないか、変化をより与えにくい有機溶剤を選択して用いることが好ましい。
また水としては、蒸留水、イオン交換水、純水などの精製水を使用することが望ましい。
超音波照射に供する水性顔料分散体は、前記原料を予備混合してから分散させることで調製することが出来る。予備混合とは、これらの混合物を力学的に破砕する前段階として、これらを予備的によく混合することである。
この予備混合物を調製するには、力学的な破砕が起こらない様な、弱い剪断力しか発生しない混合機がいずれも使用出来る。具体的には、ごく一般的な攪拌羽根による方法の他、ボールミル、ペイントコンディショナー、マグネティックスターラー、ディスパー等を使用して行うことが出来る。勿論、後記する、分散時に用いる強い剪断力を発生する分散機を弱い剪断力しか発生しない運転条件で使用することも出来る。
予備混合物の調製のための各原料の混合の順序は特に制限はないが、水性顔料分散体の調製に有用な予備混合物を得るためには、高分子分散剤、有機溶剤、水、及び高分子分散剤が中和により自己水分散性となるアニオン基含有有機高分子化合物である場合にはそれの中和に必要な塩基性化合物をあらかじめ混合しておき、これに顔料を加えることが望ましい。このような順序をとることで、顔料が塊状になったりして沈殿が発生することを防ぐことが出来、その結果、次工程への移行時に、沈殿発生による水性顔料分散体の組成の狂いをなくすことが出来るので好適である。
水性顔料分散体を、顔料と高分子分散剤と有機溶剤と水とから構成する場合、顔料の水性顔料分散体全量に対する比は、特に制限はないが、質量比で顔料:水性顔料分散体=20:100〜50:100が望ましく、さらに望ましくは顔料:水性顔料分散体=20:100〜40:100である。顔料の量を、質量換算で水性顔料分散体の全体量の20%〜50%にすることで、水性顔料分散体の分散安定性を確保でき、かつ工業的規模で製造した時に高い生産性が得られるため、顔料の量と水性顔料分散体全量との比はこのような値に設定することが望ましい。本発明において超音波照射のための水性顔料分散体を調製するに当たっては、この範囲となる様な量の顔料を用いることが好ましい。水性顔料分散体は、質量換算で顔料濃度を10%を越えて30%以下となるようにすることが好ましい。顔料濃度は、水性顔料分散体や後記する水性顔料記録液のテトラヒドロフラン(THF)によるソックスレー抽出の不溶分から求めることが可能である。
特に超音波照射において、顔料は、染料にはない水不溶性のため、その含有率が高い程、状態変化、例えば高温による凝集・沈降などを起こしやすく、水性顔料記録液のレベルの比較的低い顔料含有率での超音波照射よりも、温度制御が生産性に与える効果が顕著に発現しやすい。そのため、後記する冷却有無による分散安定性の効果差異も水性顔料分散体の方がそれを希釈して製造する水性顔料記録液に比較して顕著に発現しやすい。
また顔料と高分子分散剤の質量比は、特に制限されないが、顔料:高分子分散剤(不揮発分)の比で100:5〜100:150の間であることが望ましく、100:20〜100:70であることが特に望ましい。この範囲に高分子分散剤があると、顔料の分散粒子径や、分散安定性、インクジェット用水性インクの様な水性顔料記録液を調製しようとした時、色調・光沢・耐擦過性などに優れたインクを製造することが出来るため好ましい。本発明において超音波照射のための水性顔料分散体を調製するに当たっては、この範囲となる様な量の不揮発分の高分子分散剤を用いることが好ましい。
一方、水と有機溶剤との質量比は、特に制限されないが、水:有機溶剤=100:10〜100:150が望ましく、さらに望ましくは100:30〜100:80である。この範囲に有機溶剤があると、実生産に見合うまで製造の規模を大きくすることが比較的容易なこと、顔料が沈殿を発生しにくくなり安定な懸濁液が出来やすくなったりすること、有機溶剤を含まない水性顔料分散体とした時に、溶剤ショックで粒子径が大きくなったりしにくいこと、等の理由で好ましい。
前記の様にして調製された予備混合物は、その中の顔料粒子をさらに力学的に破砕し、粒子径をより小さくするために分散される。
この分散には、顔料粒子を力学的破砕をする場合に採用できる、ごく一般的な顔料分散に用いる分散機を使用して行うことが出来る。具体的には、例えばサンドミル、ビーズミル、ペブルミル、高速ディスクインペラー、コロイドミル、ボールミル、パールミル、バスケットミル、アトライター、ロールミル、ダイノーミル、ボアミル、ビスコミル、モーターミル、SCミル、ドライスミル、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー、アルティマイザー、メディアレス分散機、ペイントコンディショナー等を挙げることが出来る。
前記した様な力学的破砕が可能な分散機としては、強い剪断力を発生するものが好ましく、中でも特に、特開平11−166145号公報に開示された、前記予備混合物の供給口と吐出口を有する、セパレータを有する内壁が円筒状の外部固定容器(A)とその内部に所定間隔を介し設けられた、回転軸中心に回転可能な円筒状ロータ(B)とからなり、当該ロータ(B)が円筒内部に中空の液室を有し、液室に向かって予備混合物が供給できる、当該供給口に対向するスリットと、液室外部に通じる円筒側壁に複数の液吐出孔とを有するロータ(B)であり、外部固定容器(A)が当該ロータの円周外壁面と所定間隔を介して対向する、分散媒体よりも小径の複数の穴を有するセパレータが円筒状内壁に設けられた外部固定容器(A)であり、当該ロータとセパレータとの間隙に分散媒体が充填された分散装置内での滞在時間が30秒以下となるように予備混合物を供給してインクジェット記録用水性インク調製のための水性顔料分散体を得る方法を用いることによって、より短時間で、超音波照射しなくともある程度優れた分散安定性を有した、後記する超音波照射をするのに好適な水性顔料分散体を得ることが出来る。
本発明では、こうして得られた水性顔料分散体に超音波を照射する。超音波照射の条件は、特に制限されないが、15〜40kHzの周波数かつ250〜3000Wの出力で行うことが好ましく、中でも15〜25kHzの周波数かつ500〜2000Wの出力で行うことがより好ましい。
出力については、この範囲に設定すると、キャビテーションの効率が高くなる結果、顔料分散工程が効率化でき、特に粗大粒子が破砕でき残存しにくくなること、その結果、水性顔料分散体自身から得られる着色被膜の彩度(質感)の改良効果、水性顔料分散体から水性顔料記録液として後記するインクジェット記録用水性インクを調製した際にスムーズな吐出が得られる(良好な吐出安定性)こと、粒子の沈降等による製品の品質の低下がなくなること、発振棒のエロージョン(腐食)が著しく小さくなり機器メンテナンスコストが下がること等の理由により、大変好ましい。
一方、周波数をこの範囲に設定することで、キャビテーションをうまく起こさせることが出来、最も、超音波による顔料分散を効率的に行うことが出来るようになる。その結果、例えば水性顔料分散体の粘度もより適切な範囲とすることが容易であり、かつそれからインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を調製したときに、粒子径などの基本物性が優れたものを調製することが出来るようになる。
本発明の最大の特徴は、水性顔料分散体に超音波照射を行う際、その水性顔料分散体を冷却しながら、そこに超音波照射をすることにある。
水性顔料分散体の冷却の手段は、公知のものを、ごく一般的に使うことが出来るが、それを例示するならば、氷冷、風冷、水冷などである。この冷却としては、具体的には、水性顔料分散体を保持する容器の外套(ジャケット)中に冷媒を流す方法、水性顔料分散体の入っている容器を冷媒の中に浸漬する方法、気体の風を吹き付ける方法、水などの冷媒と風とを使って蒸発熱で冷却する方法などが挙げられる。
本発明者らの知見によると、その水性顔料分散体の凝固点〜30℃となる様に、超音波照射すべき水性顔料分散体を冷却しながら、超音波照射することが望ましいことがわかっている。
常温の水性顔料分散体に超音波照射を行うと、瞬く間にその水性顔料分散体の温度は50℃以上に達する。水性顔料分散体をその凝固点〜30℃となる様に制御しながらそこに超音波照射するためには、水性顔料分散体を冷却するに当たって、予め20℃以下に冷却した冷媒を用いることが好ましい。何故なら、通常の常温の冷媒を用いて、その水性顔料分散体の凝固点〜30℃となる様に、超音波照射すべき水性顔料分散体を冷却しながら、超音波照射するには、極めて膨大な量の冷媒を要する結果、非現実的だからである。
従来の技術では、どの様な温度範囲内に制御して超音波照射すればより効果的であるかについては知られていない。加温してから超音波照射する方が好ましい場合もあるし、冷却することが望ましい場合もあり、超音波照射時の被対象物の温度についての考え方は、千差万別であった。
冷却する場合だけをとってみても、蒸気圧上昇に伴う気泡発生やキャビテーションの核となるべき微細で多数の気泡発生の抑制の観点からは、前記した様な本発明における温度範囲となる様に水性顔料分散体を冷却しながら超音波照射する必然性はない。そして、どの様な温度の冷媒を用いれば好適であるか、そもそも水性顔料分散体をどの様な温度範囲内に制御して超音波照射すれば良いのかについての指針は、従来の技術からは何ら得られていなかった。
前記した各種冷却方法の中でも、冷媒として、予め0℃を越えて20℃以下、好ましくは0℃を越えて10℃以下に冷却された冷却水を使用する方法は、比較的に経済的であり、しかも冷却効率も優れているため望ましい方法の一つである。この際、冷却水を循環装置で循環すると同時に、冷却装置で冷却も行うことが出来る。この際、冷却水中に、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどの凍結温度を下げるものを加えたり、塩化ナトリウムなどを加えて凝固点降下を起こさせるのも大変望ましい。その結果、0℃を越える冷却水では十分な冷却効果が得られない時でも、それ以下の温度の冷却水とすることが出来、より水性顔料分散体を前記温度範囲内でもより低温となる様に保持して超音波照射することが可能になる。風冷する場合も、単に雰囲気温度の風を吹き付けるのではなく、予め冷やした冷風を用いることが好ましい。
超音波照射を行う時間は、実質的に顔料が分散できるのに必要にして十分な時間を取れば良いが、実質的に容器内で超音波が照射されている時間で、2〜60秒/gであることが好ましい。特に大粒子径の顔料粒または顔料の二次凝集体を粉砕する必要があるときは2〜7秒/gの比較的短い時間で実施することが好ましく、顔料の粒子径を全体に小さくしたいときには7秒/gを越え60秒/g以下の比較的長い時間で実施することが好ましい。
超音波処理は、これ以上、長時間の処理を行うことも、短時間で処理をとりやめることも出来るが、この範囲の時間を採ることで顔料粒子や複合粒子の粒子径・粘度・インキの画像彩度・画像の光沢性などのパフォーマンスを良くすることが出来るため好ましい。
水性顔料分散体を冷却しながらの超音波照射を終えた後に、必要であれば、超音波照射の前に行う分散を更に行うことも出来る。また分散と超音波照射を繰り返し行うことも出来る。
また前記顔料分散工程に使用する超音波照射に用いる装置は、複数の装置を、直列または並列に連結させて水性顔料分散体を通過させ超音波照射することで、好ましく、効率の向上を図ることが出来る。
なお、前記分散や超音波照射の終点は、粒ゲージや市販の粒子径測定装置で顔料の粒子径を測定して決める他、粘度、接触角、各種の方法で調製した塗膜の反射光度、色彩等の物性測定で決定しても良い。また顕微鏡などを使った直接観察を行って決定しても良い。
こうして調製された超音波照射された水性顔料分散体は、そのままで濃厚な塗料として使用することが出来る他、それと水と水溶性有機溶剤とを更に混合することにより、インクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液を調製することも出来る。水性顔料記録液を調製する場合は、質量換算で顔料濃度1〜10%となる様に、水性顔料分散体を希釈することが好ましい。インクジェット記録用水性インクを調製する場合には、前記水性顔料分散体に、質量換算で顔料濃度3〜10%となる様に、水及び/又は水溶性有機溶剤を混合し希釈することが好ましい。ここで顔料濃度とは、水性顔料分散体中の高分子分散体と一体化していない顔料単独粒子と、後記する顔料が高分子分散剤で被覆された複合粒子中の顔料との合計の濃度である。
この際の水溶性有機溶剤は、前記水性顔料分散体の調製に用いるものとして例示した中から選択して用いれば良い。水溶性有機溶剤を併存させることで特にインクジェット記録用水性インクの様な水性顔料記録液に必要な、インクの浸透性・粘弾性・表面張力・顔料分散安定性等が容易に制御可能になる。
ここで混合の順序は自由に選択することが出来るが、例えば水性顔料分散体に、水及び水溶性有機溶剤とを混合することが出来る。水溶性有機溶剤と水とはそれぞれ別個に水性顔料分散体に加えることが出来るが、予めこれらを混合した液媒体で希釈を行うことにより、溶剤ショックの問題を解消できることから、混合順序は、まず水溶性有機溶剤と水とを予め混合しておき、これを水性顔料分散体に加えて水性顔料記録液の組成にすることが望ましい。
水性顔料分散体の調製時や水性顔料記録液の調製時に、各種添加剤として、生産性を阻害しない範囲で、水溶性ポリエーテル、水溶性ポリエステル、水溶性ポリ(メタ)アクリレート類などの水溶性高分子化合物、染料、各種鉱物などのレオロジー調整剤、でんぷん、セルロースなどの糖類、殺菌剤などを必要に応じて加えることが出来る。水性顔料分散体の調製時において、これら添加剤を添加する場合には、水性顔料記録液の調製時において添加する場合よりも、添加量をより少量に止めることが好ましい。これら添加剤の添加量は水性顔料分散体に対する添加量で、質量比で10%以下にすることが望ましい。
また、水性顔料記録液の調製時において、紙への浸透性の制御、顔料分散性の維持、画像の高光沢化などを目的として、前記した様な添加剤をこれに加えることも出来る。これらは、水性顔料記録液の調製時の好適に添加されるのは、前記レオロジー調整剤、湿潤剤、防腐剤等である。
これらの添加剤として多用されるレオロジー調整剤としての水溶性高分子化合物の混合比は、水:水溶性高分子化合物の比(質量/質量)で100:20〜100:100が望ましく、更に望ましくは100:30〜100:70である。この様な範囲となる様に水溶性高分子化合物を用いることが好ましい。この化合物の量を更に多くすると、化合物によって状況は異なるが、粘度が高くなりすぎてしまう場合があること、インクの吐出に問題が生じる場合があること、顔料の分散安定性が低下すること等の問題点が生じる可能性があること、この化合物の量を少なくすると、添加した効果が小さくなってしまうことなどが問題点となって来る場合があるため特に、上述の範囲内で実施することが望ましい。
なお、前記した水性顔料分散体や水性顔料記録液の製造方法の工程に含まれない操作を、前記した各工程に加えて、本発明を実施することも可能である。例えばそのような操作として、酸析、遠心分離、濾過、攪拌操作、加熱処理、高圧ホモジナイザー処理などが挙げられる。これらの操作を行うことは、インクの精製、顔料分散の安定性などに貢献することもあり、必要に応じて行うことが出来る。
前記した酸析は、顔料と高分子分散剤との相互作用を高めて、顔料が高分子分散剤で被覆された複合粒子とし、この複合粒子を水性媒体中に分散させた水性顔料分散体とできる。従って、水性顔料分散体の分散粒子の分散安定性をより高めたり、顔料が有機顔料である場合には、被記録媒体上での顔料の結晶成長や結晶型転移等の現象抑制にも寄与し、着色画像の色相変化を防止し、光沢、耐擦過性、耐光性をより高めることも出来るので、この酸析を併せて実施するは好ましい。
この酸析は、高分子分散剤としてのアニオン性基含有有機高分子化合物、塩基性化合物、顔料及び水が共存している状態で、そこに酸性化合物を加えて、前記アニオン性基含有有機高分子化合物を顔料上に析出させる操作を言う。こうして前記複合粒子を形成させた後に、再び塩基性化合物を適当量加えることで、酸析を行わない場合よりも顔料と高分子分散剤との相互作用を高めた水性顔料分散体の調製が可能となる。
本発明の両製造方法は、例えば図1に記載したフローチャートに従い実施出来る。
工程1は、顔料、高分子分散剤、水及び有機溶剤を予備混合する工程である。予備混合の工程とは、これらの混合物を力学的に破砕する前段階として、これらを予備的によく混合する工程である。
工程2は、工程1で予備混合中の粒子をさらに破砕し、粒子径を小さくする工程である。本工程は、顔料を力学的に破砕して分散させる工程(2−1)と、超音波照射により顔料を分散させる工程(2−2)とから構成されている。分散への寄与は工程(2−1)の方が大きく、工程(2−2)は分散には補助的に寄与する場合が多い。所定の目的のために十分に顔料粒子が粉砕されていないと考えるときは、再び工程(2−2)の実施後に工程(2−1)に戻ることも、工程(2−1)と(2−2)とを、数回繰り返して分散していくことも可能である。
工程3は希釈工程である。このプロセスは工程2で得られた超音波照射で得られた水性顔料分散体に対して水溶性有機溶剤と水による希釈を行う工程(3−1)と、好適には実施した方が良い、種々の後処理を行う後処理工程(3−2)を含んでいる。
本発明の製造方法で調製された水性顔料記録液の一つであるインクジェット記録用水性インクは、ピエゾ方式、サーマル方式のいずれのプリンターにも使用できるし、例えば普通紙、光沢紙、写真用紙、合成樹脂フィルム、CD−Rの様な光学メディアのレーベル面等の各種被記録媒体上への印字や描画に用いることが出来る。
以下、合成例、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお特に断りがない限り「部」及び「%」は質量基準とする
[合成例1]
80℃に加熱したメチルエチルケトン100部中に、窒素気流下、スチレン77部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、和光純薬工業(株)社製重合開始剤「V−59」(α,α’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル))5部をよく混合して、攪拌しながら2時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で、これを窒素下で20時間攪拌し、その間、5時間毎に「V−59」を0.5部ずつ、4回添加して、スチレンアクリル樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液にさらにメチルエチルケトンを加えて、不揮発分の割合が全体の20%である溶液とした。出来た樹脂の重量平均分子量(Mw)は17000、酸価は149mgKOH/gであった。
合成例1で得た樹脂溶液150.0部(うち樹脂不揮発分は30.0部)、水酸化ナトリウムを3.19部、イオン交換水100.0部を混合し、均一になったところで、大日本インキ化学工業(株)製Fastgen(登録商標) Blue TGR(銅フタロシアニン顔料C.I.Pigment Blue15:3)100.0部を攪拌しながらゆっくり加え、更に30分間、ゆっくり攪拌して銅フタロシアニン顔料の懸濁液(予備混合物)を得た。
分散機としては図2に示す外部固定装置と内部撹拌装置(ロータ)を有する、ロータ回転軸が水平の三井鉱山(株)製分散媒攪拌型分散装置(SCミル SC200/70型、ベッセルの実容量3.81L、モーター容量15kw)を用いた。またビーズは(株)ニッカトー製0.3mmジルコニアビーズ(YTZビーズ)を使った。
前記銅フタロシアニン顔料の懸濁液(予備混合物)及び分散体を保持する共通の容器(保持容器)と循環ポンプ、前記分散装置の液供給口、液吐出口、前記保持容器をこの順序となるように連結し、循環させながら分散を6時間おこなった。なお、ローターの回転数は1120rpm、温度は36〜40℃であった。
次にこのようにして得られた分散体に水500部を添加後、よく混合した後、エバポレーターで処理し、メチルエチルケトンを減圧で留去した。これに、水を添加して、不揮発分が20%の分散体を得た。この50部に、水70.0部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル10.0部、グリセリン20.0部を添加して水性顔料分散体とした。
ついでこのようにして得た、容器に入れた水性顔料分散体150部に、タイゴンチューブの先を付け、チューブポンプを用いて分散体を超音波分散機のベッセル中を通過させた。超音波分散機としては、日本精機製作所(株)製US1200TCVPを使用した。また、ベッセルに付属している冷却器には、2℃の冷却水を流して内容物を冷却させた。液をそのまま30分間、ポンプで流して分散体を十分に冷却した後、送液スピードを100部/分にして、1200Wで、超音波照射操作を30分間、20kHzの振動数で行い、水性顔料分散体を得た。超音波照射の間、分散体温度は常に0〜30℃の範囲内にあった。
次にこのようにして得られた水性顔料分散体に、さらに水20.0部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル10部、グリセリン10.0部を添加して水性顔料記録液とした。これはインクジェット記録用水性インクとして好適なものであった。この水性顔料記録液の分散粒子の粒子径は105nm、粘度は4.5mPa・sであった。
ただし、分散粒子の粒子径は、リーズアンドノースラップ社製「マイクロトラックUPA150」を使って測定し、粘度測定は東機産業(株)製「R型粘度計」を使用し、20℃、30rpmの条件で測定した。
実施例1において、超音波分散機を日本精機製作所(株)製RUS1200に代えた以外は実施例1と全く同様にして、水性顔料分散体と水性顔料記録液を得た。この分散機の出力は1200W、周波数は15kHzであった。超音波照射を行った水性顔料分散体の温度は照射中は常に25℃であった。この水性顔料記録液はインクジェット記録用水性インクとして好適なものであった。この水性顔料記録液の分散粒子の粒子径は107nm、粘度は4.9mPa・sであった。
実施例1において、超音波分散機をテルソニック(株)製GRRに代え、冷却水を−5℃の食塩水にした以外は実施例1と全く同様にして、水性顔料分散体と水性顔料記録液を得た。この分散機の出力は2000W、周波数は20kHzであった。超音波照射を行った水性顔料分散体の温度は照射中は常に28℃であった。この水性顔料記録液はインクジェット記録用水性インクとして好適なものであった。この水性顔料記録液の分散粒子の粒子径は88nm、粘度は3.9mPa・sであった。
合成例1で得た樹脂溶液150.0部(うち樹脂不揮発分は30.0部)、水酸化ナトリウムを3.19部、イオン交換水100.0部を混合し、均一になったところで、Fastgen(登録商標) Blue TGRの100.0部を攪拌しながらゆっくり加え、更に30分間、ゆっくり攪拌して銅フタロシアニン顔料の懸濁液(予備混合物)を得た。
分散機としては前記SCミル SC200/70型を、またビーズとしては前記YTZビーズを使った。
前記銅フタロシアニン顔料の懸濁液(予備混合物)及び分散体を保持する共通の容器(保持容器)と循環ポンプ、前記分散装置の液供給口、液吐出口、前記保持容器をこの順序となるように連結し、循環させながら分散を6時間おこなった。なお、ローターの回転数は1120rpm、温度は36〜40℃であった。
次にこのようにして得られた分散体に水500部を添加後、よく混合した後、エバポレーターで処理し、メチルエチルケトンを減圧で留去した。これに1.0規定の塩酸400部を加えて、顔料と樹脂を沈殿させた。これをイオン交換水でよく洗浄した後に、水酸化ナトリウム3.19部、イオン交換水100部を添加して顔料と樹脂を再溶解させた。これに、水を添加して、不揮発分が20%の、顔料が樹脂で被覆された複合粒子を含む分散体を得た。この50部に、イオン交換水70.0部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル10.0部、グリセリン20.0部を添加して水性顔料分散体とした。
ついでこのようにして得た、容器に入れた分散体150部に、タイゴンチューブの先を付け、チューブポンプを用いて分散体を超音波分散機のベッセル中を通過させた。超音波分散機としては、日本精機製作所(株)製US1200TCVPを使用した。また、ベッセルに付属している冷却器には、2℃の冷却水を流して内容物を冷却させた。液をそのまま30分間、ポンプで流して分散体を十分に冷却した後、送液スピードを100部/分にして、1200Wで、超音波照射操作を30分間、20kHzの振動数で行い、水性顔料分散体を得た。超音波照射の間、分散体温度は常に0〜30℃の範囲内にあった。
次にこのようにして得られた水性顔料分散体に、さらに水20.0量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル10.0部、グリセリン10.0部を添加して水性顔料記録液とした。これはインクジェット記録用水性インクとして好適なものであった。この水性顔料記録液の分散粒子の粒子径は85nm、粘度は4.1mPa・sであった。
[比較例1]
実施例1において、冷却を全く行わなかった他は、全く同様に処理して水性顔料記録液を得た。超音波照射を行った水性顔料分散体の最高温度は70℃に達した。この水性顔料記録液の分散粒子の粒子径は210nm、粘度は17.5mPa・sであった。
これら実施例1〜3、比較例1で作成した水性顔料記録液を70℃のオーブン中で3週間保存し、その後の様子を観察した。結果を下記、表1に示す。
Figure 2004256798
ただし、評価は
×…沈殿が生成した。
○…沈殿が生成しなかった。
で表した。ここで○は合格、×は不合格とした。
またこれら実施例1〜3、比較例1で作成した水性顔料記録液をセイコーエプソン(株)製プリンターEM930を使ってインクジェット専用紙「PM/MC写真用紙〈半光沢〉」上に印刷して画像の光学濃度(ID値)をマクベス社製反射濃度計「RD−918」を使用して測定した。その結果を下記、表2に示す。
Figure 2004256798
ただし、評価は光学濃度の範囲で
1…1.0未満
2…1.0以上1.3未満
3…1.3以上1.6未満
4…1.6以上1.9未満
5…1.9以上
で示した。ここで、4、5を合格、1、2、3を不合格とした。
以上のように、本発明の要件を満たす条件で超音波照射された水性顔料分散体より製造した水性顔料記録液は、同記録液中で顔料が微細にかつ安定に分散されているために、加熱処理によって全く変化することはなかった。しかし、本発明の様な冷却をせずに超音波照射を行った水性顔料分散体から製造した水性顔料記録液は、分散粒子の粒子径が大きいため、加熱処理によって沈殿を生じてしまっていた。
また本発明の要件を満たす条件で超音波照射された水性顔料分散体より製造した水性顔料記録液は、本発明の様な冷却をせずに超音波照射を行った水性顔料分散体から製造した水性顔料記録液に比べて着色画像の光学濃度が高く、着色画像の色彩の彩度が高くなっている。
水性顔料分散体の状態においても、実施例の水性顔料分散体は比較例の水性顔料分散体に比べ、分散安定性に優れ、かつ着色画像の光学濃度が高く、着色画像の色彩の彩度が高かった。
本発明の水性顔料分散体の製造方法及び水性顔料記録液の製造方法の一例を示すフローチャート図。 本発明の実施例等の水性顔料分散体の製造方法で用いた分散機の断面図。
符号の説明
1 外部固定容器
2 円筒状ロータ
3 ロータの回転軸
4 供給口
5 スリット
6 液室
7 分散メディア
8 セパレータ
9 吐出口


Claims (4)

  1. 顔料、高分子分散剤、有機溶剤及び水を必須成分として含む水性顔料分散体を冷却しながら、当該水性顔料分散体に超音波照射する水性顔料分散体の製造方法。
  2. 水性顔料分散体の温度が、分散体の凝固点〜30℃となる様に冷却しながら超音波照射する請求項1記載の水性顔料分散体の製造方法。
  3. 顔料と高分子分散剤とが、顔料が高分子分散剤で被覆された複合粒子として含まれる請求項1記載の水性顔料分散体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項記載の方法で製造した水性顔料分散体を、質量換算で顔料濃度1〜10%となる様に希釈する水性顔料記録液の製造方法。
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