JP3640705B2 - 下糸自動供給制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、下糸自動供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上糸と下糸とを使用して縫製を行うミシン、特に高速の縫製作業を行う工業用のミシン等にあっては、下糸を巻回したボビンを頻繁に交換する必要がある。一般には、下糸が消費された時または残り少なくなった時にミシンの運転を一旦停止し、ボビンケースを釜から抜き取った後に、ボビン残糸を除去してボビンに下糸を巻回し、この下糸が新たに巻回されたボビンを再びボビンケースに収容し、巻回された下糸をボビンケースに糸掛けしてこのボビンケースから導出する下糸を所定長残して切断し、このボビンケースを釜内に装着するという一連の操作を手作業で行っている。
【0003】
しかしながら、このような人手による残糸除去作業、ボビンへの下糸巻回作業、糸掛け作業、糸切り作業及びボビンケースの交換作業は極めて非能率的であり、生産性の低下の原因となっている。そこで、本出願人は、先に出願した特開平7−68071号公報等において、上記残糸除去作業、下糸巻回作業、糸掛け作業、糸切り作業及びボビンケース交換作業を自動的に行うことを可能とし下糸自動供給装置を提案している。
【0004】
この下糸自動供給装置は、ボビンを収容したボビンケースを把持して所定の経路を移動するボビン交換装置を備えていると共に、ボビンケース内に収容されたボビンの残糸を除去する残糸除去装置、下糸供給源からの下糸をボビンケース開口部から挿入しボビンを回転駆動させることによって上記ボビンケース内のボビンに下糸を巻回する下糸巻回装置、ボビンに巻回されボビンケース開口部から導出する下糸を捕らえて該ボビンケースの周囲を回動することによってボビンに巻回された下糸がボビンケースの所定位置から導出するように糸掛けする糸掛け装置及び該ボビンケースの所定位置から導出する下糸を所定長残して切断する糸切り装置を有している。
【0005】
そして、先ず下糸が消費された釜内のボビンケースが、上記ボビン交換装置により釜内から抜き取られて残糸除去位置に搬送され、そこで残糸除去装置によりボビンの残糸が除去された後、下糸巻回位置に搬送され、そこで下糸巻回装置によりボビンに新たな下糸が巻き付けられ、その新たに下糸が巻回されボビンケースから導出する下糸が糸掛け装置によりボビンケースに糸掛けされ、その糸掛けがなされボビンケースから導出する下糸が糸切り装置により切断され、このような処理がなされたビンケースがボビン交換装置により釜側に搬送されて釜内に装着されるようになっている。すなわち、上記一連の動作が自動的に実行されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような下糸自動供給装置では、各装置の動作中には常時通電されている必要があり、各装置の動作途中にそれを無視して電源遮断してしまうと、次の動作開始時等において糸絡み等を生じる畏れがある。下糸自動供給装置は、例えばミシンのベッド内部等に配置されることとなるため、各装置の動作状態はオペレーターからは見えない或いは見え難いものと考えられる。従って、各装置が動作中であるか否か、すなわち電源遮断を行い得る状態であるか否かは判断し辛く、またそれを判断できても各装置の一連の動作が完了して待機状態となるまで電源遮断を待たねばならない。
【0007】
また、このような電源遮断後に電源が再投入された場合には、下糸自動供給装置を一から若しくはある所定動作から立ち上げる必要があることから、ボビン交換に必要な上記処理を全部施すには時間がかかり、その間にボビン交換要求がなされた場合には、直ちにボビン交換を実行できずに待たなければならない(ロスタイムが生じる)といった問題がある。
【0008】
また、上記電源遮断中に、釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに対して人手が介入すると、これらボビン及びボビンケースの条件が変えられてしまう場合があり、このようにボビン及びボビンケースの状態が不定となってしまうと、電源再投入後において場合によっては以降の自動処理動作をそのまま継続できない畏れがある。
【0009】
また、上記人手の介入の有無を自動的に判断することができないことから、人手介入の有無に拘らず、例えば継続処理を続行すると、例えば人手介入があった場合には以降に大きな不具合が発生する畏れがあり、また例えば継続処理を続行せずに毎回オペレーターによるチェックを行うと、例えば人手介入がなかった場合には自動化率が低下するといった問題がある。
【0010】
そこで本発明は、下糸自動供給装置の各装置を電源遮断時において保護し、糸絡み等の支障を事前に回避することができ、しかも電源再投入時においてボビン交換を直ちに実行でき、下糸自動供給装置のロスタイムを低減できる下糸自動供給制御装置を提供することを第1の目的とする。
【0011】
また、上記第1の目的に加えて、電源遮断中において、釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに対して人手が介入し難く、電源再投入後における処理動作の継続の可能性を向上できる下糸自動供給制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0012】
また、上記第1及び第2のの目的に加えて、電源遮断中における釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに対する人手の介入の有無を判断でき、電源再投入後における不具合の発生の防止及び自動化率の向上を図ることができる下糸自動供給制御装置を提供することを第3の目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる下糸自動供給制御装置は、ボビンの残糸を除去する残糸除去装置と、下糸供給源からの下糸をボビンを回転させることによってボビンに巻回可能とした下糸巻回装置と、ボビンに巻回された下糸をボビンケースに糸掛け可能とした糸掛け装置と、糸掛けされボビンケースより導出する下糸を所定長残して切断可能とした糸切り装置と、ボビンを収容したボビンケースを把持または開放可能なボビンケース把持手段を備え該ボビンケース把持手段を釜位置と前記各装置の処理動作位置とに移動可能としたボビン交換装置と、を具備した下糸自動供給制御装置において、前記残糸除去装置、下糸巻回装置、糸掛け装置、糸切り装置、ボビン交換装置の動作を常時監視し、電源スイッチの遮断時において動作途中にある装置による残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸切り処理の処理動作を完了させ、その後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその残糸除去装置、下糸巻回装置、糸掛け装置、糸切り装置による残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸切り処理の処理動作を順次完了させて前記電源スイッチの再投入時にボビン交換を実行し得るボビン交換待機状態とし、その後前記各装置への通電を遮断する電源通電制御装置を有していることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2にかかる下糸自動供給制御装置は、上記請求項1に加えて、電源通電制御装置は、ボビン交換待機状態とした後に、ボビン交換装置に対して動作指令を与えボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを釜に対向接近する位置に移動させて、その後各装置への通電を遮断することを特徴としている。
【0015】
また、請求項3にかかる下糸自動供給制御装置は、上記請求項2に加えて、電源通電制御装置は、電源スイッチの再投入時に、ボビン交換装置に対して所定の移動動作指令を与え、この移動動作指令に従ったボビン交換装置の可動部の移動に基づいて電源スイッチの再投入前に人手が介入したか否かを判定する人手介入判定手段を具備していることを特徴としている。
【0016】
【作用】
このような請求項1の下糸自動供給制御装置によれば、残糸除去装置または下糸巻回装置または糸掛け装置または糸切り装置またはボビン交換装置の各装置の動作途中に不意の電源遮断が行われても、電源通電制御装置によって、動作中の各装置の処理動作が完了されその後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその処理動作が順次完了されてボビン交換待機状態とされその後各装置への通電が遮断されることから、糸絡み等の障害が防止されると共に、電源遮断を任意に行い得るようになっており、しかも電源再投入時においてボビン交換を直ちに実行し得るようになっている。
【0017】
さらに、請求項2の下糸自動供給制御装置によれば、上記請求項1の作用に加えて、ボビン交換待機状態とされた後に、ボビン交換装置に対して動作指令が与えられボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースが釜に対向接近する位置に移動されて、その後各装置への通電が遮断されることから、電源遮断中において、釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに対しては、無理にボビンケース把持手段を釜から遠ざけない限り、人手が介入し難くなる。
【0018】
さらに、請求項3の下糸自動供給制御装置によれば、上記請求項2の作用に加えて、電源スイッチの再投入時に、ボビン交換装置に対して所定の移動動作指令が与えられ、この移動動作指令に従ったボビン交換装置の可動部の移動に基づいて、人手介入判定手段によって、電源スイッチの再投入前に釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに人手が介入したか否かが判定され、人手が介入したと判定された場合には例えばオペレーターによるチェックが行われ、人手が介入しなかったと判定された場合には例えば継続処理が続行される。
【0019】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本実施例の下糸自動供給装置は、図1に示されているように、下糸巻回装置162と、残糸除去装置161と、ボビン交換装置160と、から概略構成されており、上記ボビン交換装置160は、下糸巻回装置162の下糸巻回位置C、残糸除去装置161の残糸除去位置B、釜位置(ボビンケース着脱位置)A、ダミー軸(ボビンケース保持手段)6のボビンケース着脱位置Dにボビンケース2を移動させるように構成されている。上記下糸自動供給装置162は、ミシンベッド101aの下部に設けられており、図2乃至図6を参照しながら、ボビン交換装置160について以下説明する。
【0020】
図2乃至図6において、符号1はボビンケース2が装着される釜を、符号1aは釜軸を、符号3はミシン本体に取り付けられたメインベースに立設されて釜1の直下に配設された支持体としてのベース板をそれぞれ示しており、該ベース板3には、釜軸1aに平行な軸心を有する搬送軸4の基端4aが固定され、該搬送軸4はベース板3に片持ち支持された状態となっている。
【0021】
この搬送軸4の先端4b側(反ベース板側)には、搬送ブロック12が、当該搬送軸4に対して回転可能且つ摺動可能に支持されている。この搬送ブロック12は、特に図2に示されているように、円筒の外周面を軸線方向に沿って2箇所切断し該切断面が同士が対向するよう形成された形状を有しており、その搬送ブロック12の各切断面には、L字状に折曲された搬送板10,10のL字を構成する一方の板状部分がそれぞれ固定されている。また、L字を構成する他方の板状部分は、軸線を挟んで互いに対向した状態となっている。
【0022】
上記各搬送板10,10には、軸線方向に沿って釜側に延出するように折曲された保持部11,11の一方の端部がそれぞれ固定されており、これら保持部11,11の他方の端部(釜側を向く端部)には、ボビンケースを把持または開放するボビンケース把持手段(不図示)がそれぞれ固定されている。このボビンケース把持手段としては、例えば特開平5−192476号公報の下糸自動供給装置や本出願人が先に出願した特願平5−121960号明細書のミシンの下糸自動供給装置に記載されている一対の電磁石吸着ヘッドを始めとして、例えば本出願人が先に出願した特願平5−116363号明細書のミシンの下糸自動供給装置に記載されているレバー爪によるもの等、適宜のものを採用することができ、要は、ボビンケース2を必要に応じて対向部材(例えば、釜1)に対して着脱できるものであれば良い。
【0023】
再び図1乃至図6に戻って、上記搬送ブロック12の外周には回動歯車13が固定されており、該回動歯車13には、図3に示されるように、釜軸1a方向に沿って長尺なる形状の駆動歯車19が噛合している。この駆動歯車19は、その一端が、ベース板3に取り付けられたモータ固定板21の搬送軸他端側に突出した部分に回転可能に支持されており、他端は、モータ固定板21に固定された回動モータ20の出力軸に直結された状態となっている。
【0024】
従って、回動モータ20が回転すると、駆動歯車19、回動歯車13を介して、搬送ブロック12及び搬送板10,10並びに保持部11,11から構成される回転手段としての回動アーム70が回転するようになっている。なお、この回動アーム70の回転動作は、本実施例にあっては、該回動アーム70が退避位置にある時(図3乃至図5参照)に行われるようになっている。また、搬送軸4は片持ち支持であるが、上記駆動歯車19によりガイドされていることから、その支持強度は充分となっている。
【0025】
上記搬送ブロック12の外周における上記回動歯車13より搬送軸4の固定端側には、図示されない例えばストップリングが固定されており、該搬送ブロック12の外周における回動歯車13とストップリングとの間には、直動カラー14が回転可能に支持されている。
【0026】
この直動カラー14には、図2乃至図4に示されるように、釜軸1aに平行に移動可能に支持されたラック16の一端が固定されており、このラック16の他端にはピニオン17が噛合している。このピニオン17は、ベース板3に取り付けられた移動モータ18の出力軸に固定されている。
【0027】
従って、上記移動モータ18が駆動すると、ピニオン17を介してラック16と共に、直動カラー14、回動アーム70が搬送軸4の軸線方向に沿って移動するようになっている。すなわち回動アーム70は、搬送軸4に対して回転できると共に、搬送軸4に沿って摺動できるようになっている。
【0028】
上記搬送軸4の開放端側には、センサ固定板33が取付けられており、このセンサ固定板33上には、発光素子31aと受光素子31bとからなる回動センサ31が取り付けられている。また、上記回動アーム70には、図2及び図3に示されるように、センサ板32が固定されており、該回動アーム70の回転時に、センサ板32が発光素子31aと受光素子31bとの間を通過し得るように、回動センサ31及びセンサ固定板33並びにセンサ板32の位置調整がなされている。
【0029】
ベース板3には、図2及び図4に示されるように、上記回動センサ31と同構造の直動センサ41が取り付けられている。また、上記ラック16には、センサ板15が固定されており、該回動アーム70の直動時に、センサ板15が直動センサ41の発光素子41aと受光素子41bとの間を通過し得るように、直動センサ41及びセンサ板15の位置調整がなされている。
【0030】
また、ベース板3における上記ボビンケース把持手段の回転軌跡の対向位置であって、図1に示されるように、釜1直下の位置Dには、ボビンケース保持手段としてのダミー軸6が固定されている。このダミー軸6は、特に図6に示されているように、中釜軸5と同構造となっており、ボビンが収容されたボビンケース2を押し込めば、該ボビンケース2を保持できるようになっている。そして、押し込められたボビンケース2の既設のボビン係止爪2dが、図1に示されるように、ダミー軸6の近傍に突設された回り止め部材5aaの係止溝に係合するよう構成されている。すなわち、ボビンケース2は所定の位置に位置決めされて保持されるようになっている。
【0031】
ところで、上記下糸巻回位置C、残糸除去位置Bは、図1に示されるように、搬送軸4の下方の範囲V且つ同軸線に沿った直立平面よりミシンベッド101aを起こす際の回動支点103a側の範囲Wであって、ボビンケース把持手段の回転軌跡の対向位置に配置されている。また、残糸除去位置Bは下糸巻回位置Cより下方に配置されている。また、残糸除去位置Bの搬送軸線方向(図1における紙面に垂直な方向)の位置はボビンケース把持手段の退避位置にあり、下糸巻回位置Cの搬送軸線方向の位置はボビンケース把持手段を退避位置から多少前進させた位置(図1における紙面に向かって進めた位置)にある。なお、図1中における符号102aはミシンテーブルを、106aはオイルパンを、104a,105aは下軸を、Xはミシン頭部を引き起こす際の外周側の回動軌跡を、それぞれ示している。
【0032】
残糸除去位置Bには残糸除去装置161が配設されている。この残糸除去装置161としては、例えばボビンに巻かれた糸の先端を挟持または開放可能とした挟持部材を有し、一軸線を中心に例えばモータの駆動等によって回転することにより挟持部材により挟持したボビン糸を自動的に巻取可能としたものが用いられているが、要はボビンケース2をボビンケース把持手段によって把持した状態若しくはボビンケースを保持できる手段に該ボビンケース2が受け渡されて当該ボビンケース2を保持した状態で、ボビンに巻かれボビンケースから導出する(垂れる)糸を引き出す引き出し手段の糸引き出し動作によって、ボビンが回転されて、ボビンに巻回された糸が引き出されるようなものであればどのようなものであっても良く、例えば本出願人が先に出願した特願平5−203610号明細書や特願平6−40351号明細書のボビンの残糸除去装置を始めとして、適宜のものを採用することができる。
【0033】
上記下糸巻回位置Cには下糸巻回装置162が配設されている。この下糸巻回装置162としては、例えばモータの駆動等によってボビンを回転させることにより自動的にボビンに下糸が巻回可能なものが採用されている。この下糸巻回装置162は、下糸巻回機構(ボビン駆動機構)E及び案内機構G並びに糸張力付与機構Fからなる。糸張力付与手段Fは、図示を省略した下糸供給源としての糸巻きからの下糸に張力(抵抗)を付与すると共に、該下糸を下流に繰り出すものであり、案内機構Gは、該糸張力付与手段Fからの下糸端部をボビンケース2の開口部内に案内するものであり、ボビン駆動機構Eは、ボビンケース2内のボビンを回転させるものであり、このようなボビン回転によって、ボビンケース2の開口部からボビンケース内に案内された糸巻きからの下糸がボビンに巻回されるようになっている。
【0034】
下糸巻回装置162には、図示されない糸掛け装置が付設されている。この糸掛け装置は、下糸巻回位置Cにセットされたボビンケース2のその周囲に回動可能に配置された動メス糸捌きを有し、この動メス糸捌きをボビンケース2の周囲に回動させることによって、ボビンに巻回されボビンケース開口部より導出する糸巻きからの下糸を、ボビンケース2の下糸張力ばね下の下糸導出孔に誘導し、この下糸導出孔より導出する糸巻きからの下糸を下糸張力ばね下の所定位置から導出できる構成となっている。
【0035】
下糸巻回装置162にはさらに、図示されない糸切り装置が付設されている。この糸切り装置は、上記下糸導出孔より導出し下糸張力ばね下の所定位置から導出する糸巻きからの下糸を、上記動メス糸捌きの回動動作により捌き、固定メスとの間で所定長残すようにして切断できる構成となっている。
【0036】
このような下糸巻回装置162及び糸掛け装置並びに糸切り装置としては、例えば本出願人が先に出願した特願平7−103086号明細書を始めとして、適宜のものを採用することができる。
【0037】
なお上記残糸除去装置161及び下糸巻回装置162がベース板3に接触する場合には、該ベース板3は適宜切欠かれる。また残糸除去位置Bと下糸巻回位置Cとダミー軸6に対するボビン着脱位置Dが近接しており、保持部11が誇張されて記載されている。このため保持部11が残糸除去装置161や下糸巻回装置162に接触することも心配されるが、実際には、このような接触が生じないように充分なスペースが確保されている。
【0038】
ところで、本実施例にあっては、ボビンケース把持手段は、移動モータ18により、ボビンケース着脱位置(釜位置;ダミー軸の位置)A,Dと反釜側に移動した退避位置とに移動可能である。すなわちボビンケース把持手段が退避位置に移動すると、上記センサ板15が上記直動センサ41の発光素子と受光素子との間を遮蔽することになり、これによってボビンケース把持手段の退避位置への移動が検出される。そして今度は当該退避位置で原点位置が検索される。すなわち、ボビンケース把持手段を退避位置で回動させ、センサ板32が発光素子31aと受光素子31bとの間を遮蔽した位置を例えば原点位置としておけば、この位置にボビンケース把持手段を回動すれば原点位置に復帰することになる。また上記回動モータ20として例えばパルスモータを用いた場合には、このパルスモータのパルス数をカウントすることによって、該ボビンケース把持手段を、上記釜位置A、下糸巻回位置C、残糸除去位置B、ダミー位置Dに回動制御することができる。
【0039】
ここで、本実施例においては、回動アーム20が退避位置にあって上記ボビンケース把持手段に把持されたボビンケース2が釜1に対向する位置を回動アーム70(ボビンケース把持手段)の原点位置としている。
【0040】
また、上記下糸自動供給装置には操作パネル(不図示)が付設されており、この操作パネルには、下糸自動供給制御装置に接続された電源スイッチ、操作スイッチ、下糸量設定手段としての設定スイッチ及びエラー表示窓が付設されている。下糸自動供給制御装置を次に説明する。
【0041】
先ず、図7に示されているように、所定の縫い動作を実行するミシン本体100にはメイン電源をオン・オフする電源スイッチ(ミシン側の電源スイッチ)101が設けられていると共に、この電源スイッチ101のオン・オフを判別するミシン電源監視手段(ミシン電源監視回路)301が付設されている。このミシン電源監視手段301は、後述する電源通電制御装置300(図8参照)の一部を構成するものであって、具体的にはミシン制御回路内における例えば+5Vの電源をモニタしておき上記電源スイッチ101のオフ検知信号を、電源通電制御装置300の通電タイミング制御手段302(後述)に出力する機能を有している。
【0042】
一方、メイン電源は、後述する電源通電制御装置300の制御スイッチ手段を構成するリレースイッチ303を介して直流電源回路304にも接続されている。この電源通電制御装置300の直流電源回路304は、上述した下糸自動供給装置の下糸巻回装置162(正確には糸掛け、糸切り装置も含む)、残糸除去装置161及びボビン交換装置160にそれぞれ駆動電流を供給するように接続されており、上記リレースイッチ303から発せられるオン・オフ信号に基づいて各装置160,161,162への通電制御を行うように構成されている。
【0043】
また、上記下糸巻回装置162、残糸除去装置161、ボビン交換装置160及びリレースイッチ303の各ドライバー104〜107には、i/oポート108を介して、CPU(中央演算装置)110及びこのCPU110に付設されたROM111及びRAM112からの各信号が入力されるように接続されている。そして、上記各装置162,161,160が、図8に示されているように、下糸自動供給装置制御手段200により制御されつつ上述した所定の動作を実行すると共に、この実行を可能とするように上記下糸自動供給装置制御手段200への通電状態が電源通電制御装置300により制御されるように構成されている。
【0044】
すなわち、図8に示されているように上記下糸自動供給装置制御手段200は、下糸巻回装置制御手段201、ボビン交換装置制御手段(ボビン搬送・着脱装置制御手段)202及び残糸除去装置制御手段203から構成されており、これらの各制御手段201,202,203には、前記電源通電制御装置300の直流電源回路304から所定の駆動電流が供給されていると共に、同様に電源通電制御装置300の通電タイミング制御手段302からの動作指令信号が印加されている。この通電タイミング制御手段302は、前記下糸巻回装置162、残糸除去装置161及びボビン交換装置160の各動作を常時監視する機能を有している。
【0045】
また、上記通電タイミング制御手段302には、前述したミシン電源監視手段301からの検出信号、すなわちミシン電源スイッチ101のオン・オフを検出した信号が印加されている。そして、この通電タイミング制御手段302は、ミシン電源スイッチ101のオフ検出信号を受けた時に、その電源遮断時点において動作途中にある装置の処理動作を完了させ、その後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその処理動作を順次完了させてボビン交換待機状態とする、すなわちボビン交換に必要な処理(残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸切り処理)を全て完了させた後に当該ボビンケースを釜に対向させた退避位置(原点位置)に移動する動作指令信号を、上述した各制御手段201,202,203にそれぞれ発する機能を有している。
【0046】
また、上記通電タイミング制御手段302は、上記各装置の処理が順次完了してボビン交換待機状態になった時に、上記ボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを原点位置から釜1に対向接近する位置まで前進させる動作指令信号を、上述したボビン交換装置制御手段202に発する機能を有している。
【0047】
また、上記通電タイミング制御手段302は、ボビン交換装置160によりボビンケースを原点位置から釜1に対向接近する位置まで前進させた時に、前記制御スイッチ手段303に対して処理完了信号を発する機能を有している。一方、制御スイッチ手段303は、パワーリレースイッチ、ソリッドステートリレー等から構成されており、前記ミシン電源スイッチ101とは無関係に常時交流駆動電流が供給されている。そして、この制御スイッチ手段303は、前述した通電タイミング制御手段302からの処理完了信号を受けて、直流電源回路304にオフ指令信号を出力するように構成されている。このオフ指令信号を受けた直流電源回路304は、上記各制御手段201,202,203及び各装置160,161,162に対する駆動電流の供給を停止することとなる。
【0048】
このように、上記ボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースが釜1に対向接近した位置にあることから、無理して回動アーム70を後退させない限り、釜1内のボビン及びボビンケース、釜1に対向接近しているボビン及びボビンケースに対して人手を介入することは難しくなっている。すなわち、必要がない限り上記ボビン及びボビンケースに妄りに触らせないようになっている。
【0049】
さらに、上記通電タイミング制御手段302から発せられる処理完了信号は、遮断情報記憶手段としての前記RAM(不揮発性メモリー)112にも印加されている。このRAM112は、バッテリバックアップRAMあるいはEEPROM等から構成されており、当該RAM112内に電源遮断の正常または異常(例えば停電時)情報が格納・記憶されるようになっている。一方、上記RAM112に格納された電源遮断の正常または異常情報は、上記通電タイミング制御手段302側に常時参照されており、RAM112に格納されている電源遮断の正常または異常情報が通電タイミング制御手段302で確認されている。そして、この確認された電源遮断の正常または異常情報に基づいて、上記各制御手段201,202,203に対する初期化信号が通電タイミング制御手段302から発せられるように構成されている。
【0050】
また、上記通電タイミング制御手段302には、所定の表示手段305が接続されており、上記RAM112に格納された電源遮断の正常または異常情報が、表示される構成になされている。
【0051】
さらに、上記通電タイミング制御手段302は、ミシン電源スイッチ101の再オン検出信号を受けた時に、ボビンケースを釜1に対向接近する位置から原点検出させるように、上述したボビン交換装置制御手段202に動作指令信号を発する機能を有している。
【0052】
また、前記電源通電制御装置300には、前述したミシン電源監視手段301からの検出信号を受けると共にボビン交換装置160の動作を監視し、ミシン電源スイッチ101の再オン検出信号を受け、ボビンケースを釜1に対向接近する位置から原点検出を行わせた時に、原点検出を行った時のステップ数が上記ボビンケースを釜1に対向接近する位置に前進させた時のステップ数と同じか否かを判別し、同じステップ数でない時にはミシン電源スイッチ101の再投入前に人手が釜1内のボビン及びボビンケース、釜1に対向接近していたボビン及びボビンケースに介入した(不具合が発生した訳ではないのに取り出して何らかの処置を施した)と判定する人手介入判定手段800が備えられている。
【0053】
この人手介入判定手段800は、ミシン電源スイッチ101の再投入前に人手が上記ボビン及びボビンケースに介入したと判定した場合には、人手が介入したという警告を上述した表示手段305に表示する構成になされている。すなわち、オペレーターによるチェックを促すようになっている。
【0054】
また、人手介入判定手段800が、ミシン電源スイッチ101の再投入前に人手が上記ボビン及びボビンケースに介入しなかったと判定した場合には、上述した通電タイミング制御手段302が、所定の継続処理を行わせる動作指令信号を、上述した各制御手段201,202,203にそれぞれ発する機能を有している。
【0055】
次に、このような制御装置を用いた制御動作を図9に示したフローチャートにより説明する。説明理解の容易性を考慮し、縫製動作の開始時点から説明していく。すなわち、先ず、ステップ5において、RAM(不揮発性メモリー)112がクリアーされると、下糸自動供給装置は運転開始待機状態にされる。そして、ステップ6において、ボビン交換要求があるか否かが判定される。このボビン交換要求は、例えば釜内のボビン残糸が少なくなった場合に下糸自動供給装置により自動的に発生するか、またはオペレーターが交換要求スイッチをオンした場合に発生する。
【0056】
そして、これら何れかによるボビン交換要求があると、ステップ7に進み、ステップ7において、先ずボビン交換を行う。この時点で、ボビンケース把持手段に把持されている一方のボビンケース2Yは、後述するステップ4の動作により原点位置、すなわち釜1に対向する退避位置にある(図6参照)。なお、説明の都合上、このボビンケースを2Yとし、釜内のボビンケースを2Xとする。
【0057】
そして、回動アーム70を180°回転してボビンケースを把持していないボビンケース把持手段を釜1に対向させ、その後前進させて釜内のボビンケース2Xを該ボビンケース把持手段により把持し、その後回動アーム70を後退させる。次いで、回動アーム70を180°回転してボビンケース2Yを釜1に対向させ、その後前進させて釜内にボビンケース2Yを装着し、その後回動アーム70を後退させる。
【0058】
次いで、回動アーム70を回転して釜内から取り出したボビンケース2Xを残糸除去位置Bへ進ませて、上記残糸除去装置161によってボビンケース2X内のボビン残糸を除去する。
【0059】
次いで、回動アーム70を回転して残糸が除去されたボビンを収容するボビンケース2Xを下糸巻回位置Cに対向させ、その後前進させて当該ボビンケース2Xを下糸巻回位置Cへ進ませて、上記下糸巻回装置162によってボビンケース2X内のボビンに下糸を巻回する。
【0060】
次いで、この下糸巻回位置Cに該ボビンケース2Xを位置したままで、上記糸掛け装置によってボビンに巻回された下糸をボビンケースに糸掛けして下糸張力ばね下の所定位置から導出し、その後糸切り装置によって当該導出糸を所定長残して切断する。この時点で、ボビン交換前に必要な処理が凡そ完了したことになる。そうしたら、回動アーム70を後退させた後に回転してボビンケース2Xを釜1に対向させ、ボビン交換待機状態としてステップ8に進む。
【0061】
そして、ステップ8において、ミシン電源スイッチ101がオフか否かが判断される。従って、上記ステップ7における各装置の処理動作中にミシン電源スイッチ101がオフになっても、ステップ7における一連の処理動作を全て行ってボビン交換待機状態とするようになっている。そして、ステップ8において、ミシン電源スイッチ101がオンと判定された場合にはステップ6にリターンし、オフと判定された場合、すなわちオペレーターによりミシン電源スイッチ101がオフされた場合にはステップ9に進む。
【0062】
一方、上記ステップ6において、ボビン交換要求がない場合にはステップ15に進み、ステップ15において、ミシン電源スイッチ101がオフか否かが判断され、オンと判定された場合にはステップ6にリターンする。すなわち、ミシン電源スイッチ101がオンの場合には、ボビンケース把持手段に把持されているボビンケースを原点位置に位置した状態、すなわちボビン交換待機状態としてボビン交換要求を待つ。そして、ステップ15において、ミシン電源スイッチ101がオフと判定された場合には、上記ステップ8の場合と同様にステップ9に進む。
【0063】
そして、ステップ9において、回動アーム70を所定ステップ前進させて、図10に示されるように、ボビンケース2Xを釜1に対向接近する位置まで移動する。この結果、強引に回動アーム70を人手で回転または後退させない限り、ボビンケース2X及び釜内のボビンケース2Yは取り出せなくなる。因に、本実施例にあっては、この位置でのボビンケース把持手段の周囲には障害物があることから、回動アーム70の回転が規制されており、回転不可能な状態にある。
【0064】
そして、ステップ10に進み、ステップ10において、現在の状態がRAM(不揮発性メモリー)112に記憶されると共に、正常な電源遮断処理が行われたことが上記RAM112に記憶される。そして、ステップ11に進み、ステップ11において、リレースイッチ303をオフし下糸自動供給装置自らの電源を遮断する。
【0065】
その後にミシン電源スイッチ101が再び投入されると、図9に表されたステップ1に戻って、まず前回における電源遮断時の状態及び正常な電源遮断処理を踏んでいたかどうかの情報がRAM112から読み出される。
【0066】
次いで、ステップ2に進み、ステップ2において、前回正常な電源遮断処理を踏んでいたかどうかが判断され、正常な電源遮断処理であった場合、すなわちオペレーターによりミシン電源スイッチ101がオフされた場合にはステップ3に進み、そうでなかった場合、例えば不意の停電等により正常な電源遮断処理を踏んでいない場合には、エラー表示窓、警告ブザー等の表示手段305によってエラー表示が行われ、オペレーターの介入が促されてステップ12に進む。
【0067】
ステップ3では、上記回動アーム70を所定ステップ数で後退させて原点検出する。ステップ4では、上記と同じ(ステップ9)ステップ数で原点検出したか否かが判定される。ここで、ミシン電源スイッチ101のオフ中に、オペレーターがボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出していると、回動アーム70の位置が上記の釜1に対向接近する位置から移動していることから、上記と同じステップ数では原点検出しない。一方、オペレーターがボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出していないと、回動アーム70の位置が上記の釜1に対向接近する位置にあることから、回動アーム70は上記と同じステップ数で原点位置に復帰する。そして、同じステップ数で原点検出しなかった場合、すなわちボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出した場合には、エラー表示窓、警告ブザー等の表示手段305によってエラー表示が行われ、オペレーターの介入が促されてステップ12に進む。
【0068】
なお、回動アーム70を上記と同じ(ステップ9)ステップ数で後退させた時に、ボビンケース2Xが原点位置にあるか否を判別し、これによりオペレーターがボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出しているか否かを判断するようにしても良い。
【0069】
ステップ12では、初期化動作が最も効率的な方法で実行される。そして、この初期化動作が終了したら、ステップ13に進み、ステップ13において、オペレーターの介入を待ち、オペレータによるボビンチェック及び再セットが行われてステップ14に進み、ステップ14において、上記ステップ7で説明したのと同様な残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸巻き処理を行ってステップ5に進む。また、ステップ4において、ボビンケース2Xが上記と同じ(ステップ9)ステップ数で原点復帰する、すなわちボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出さなかった場合もステップ5に進む。
【0070】
そして、前述したように、ステップ5において、RAM(不揮発性メモリー)112がクリアーされ、下糸自動供給装置が運転開始待機状態にされて縫製動作が実行される。以下同様な動作が繰り返される。
【0071】
このように本実施例においては、下糸自動供給装置を構成するボビン交換装置160、残糸除去装置161、下糸巻回装置162、糸掛け装置及び糸切り装置の各装置の動作中に不意の電源遮断(ミシン電源スイッチ101によるもの)が行われた場合であっても、電源通電制御装置300によってミシン電源スイッチ101の遮断時に動作中である装置の処理動作を完了させその後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその処理動作を順次完了させてボビン交換待機状態としその後各装置への通電を遮断し、糸絡み等の障害を防止すると共に電源遮断を任意に行うことができ、しかもミシン電源スイッチ101の再投入時においてボビン交換を直ちに実行し得るように構成しているので、下糸自動供給装置の各装置を電源遮断時において保護し、糸絡み等の支障を事前に回避することができるようになっており、下糸自動供給装置の信頼性を向上することが可能となっていると共に、下糸自動供給装置のロスタイムを低減することが可能となっている。
【0072】
また、電源通電制御装置300によって、ボビン交換待機状態とした後にボビン交換装置160に対して動作指令を与えボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを釜1に対向接近する位置に移動させてその後各装置への通電を遮断し、電源遮断中において、釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置160に把持された待機中のボビンケース及びボビンに対して人手の介入をし難くするように構成しているので、ミシン電源スイッチ101の再投入後における処理動作の継続の可能性を向上することが可能となっている。
【0073】
また、電源通電制御装置300によって、ミシン電源スイッチ101の再投入時にボビン交換装置160に対して所定の移動動作指令を与え、この移動動作指令に従ったボビン交換装置160の可動部(回動アーム70、ボビンケース把持手段等)の移動に基づいて、人手介入判定手段800によって、ミシン電源スイッチ101の再投入前に釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置160に把持された待機中のボビンケース及びボビンに人手が介入したか否かを判定し、人手が介入したと判定した場合にはオペレーターによるチェックを行わせ、人手が介入しなかったと判定した場合には継続処理を続行させるように構成しているので、ミシン電源スイッチ101の再投入後における不具合の発生の防止及び自動化率の向上を図ることが可能となっている。
【0074】
また、本実施例においては、以下の効果もある。すなわち、遮断情報記憶手段(RAM)112に格納されている電源遮断の正常・異常情報に基づいて、正常な電源遮断処理を踏んだか否かが判断され、異常な場合には表示手段305に表示されるため、エラーチェック作業及び復帰作業が極めて容易に行われるようになっている。
【0075】
以上本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもなく、例えば上記実施例においては、ボビン交換待機状態とした後に、ボビン交換装置160に対して動作指令を与えてボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを釜1に対向接近する位置に移動させ、その後各装置への通電を遮断するようにしているが、これに代えて、例えば残糸除去装置161、下糸巻回装置162、糸掛け装置、糸切り装置の何れか一つ以上の装置と、ボビン交換装置160と、を用い、ミシン電源遮断時に、動作途中にある装置の動作を即座に中止するか、または動作途中にある装置の動作のみを完了させその後ボビンケースを釜1に対向接近する位置に移動させて各装置への通電を遮断するようにし、電源再投入前の人手の介入をし難くすると共に、電源再投入時に電源通電制御装置300(人手介入判定手段800)により電源再投入前に人手が介入したか否かを判定し得るようにし、上述した電源再投入後における処理動作の継続の可能性及び不具合の発生の防止並びに自動化率の向上を図ることも可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1の下糸自動供給制御装置によれば、残糸除去装置、下糸巻回装置、糸掛け装置、糸切り装置、ボビン交換装置の各動作を常時監視しておき、電源スイッチの遮断時に動作中である装置の処理動作を完了させその後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその処理動作を順次完了させてボビン交換待機状態としその後各装置への通電を遮断する電源通電制御装置を設け、上記各装置の動作中に不意の電源遮断が行われても、上記電源通電制御装置により、一連の処理動作を完了させボビン交換待機状態とした後に各装置への通電を遮断し、糸絡み等の障害を防止すると共に電源遮断を任意に行うことができ、しかも電源再投入時においてボビン交換を直ちに実行し得るように構成したものであるから、下糸自動供給装置の各装置を電源遮断時において保護し、糸絡み等の支障を事前に回避することができ、下糸自動供給装置の信頼性を向上することが可能となると共に、下糸自動供給装置のロスタイムを低減することが可能となる。
【0077】
また、請求項2の下糸自動供給制御装置によれば、請求項1に加えて、電源通電制御装置によって、ボビン交換待機状態とした後にボビン交換装置に対して動作指令を与えボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを釜に対向接近する位置に移動させてその後各装置への通電を遮断し、電源遮断中において、釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに対して人手の介入をし難くするように構成したものであるから、電源再投入後における処理動作の継続の可能性を向上することが可能となる。
【0078】
また、請求項3の下糸自動供給制御装置によれば、請求項1に加えて、電源通電制御装置によって、電源スイッチの再投入時にボビン交換装置に対して所定の移動動作指令を与え、この移動動作指令に従ったボビン交換装置の可動部の移動に基づいて、人手介入判定手段によって、電源スイッチの再投入前に釜内のボビンケース及びボビン、ボビン交換に必要な処理がなされボビン交換装置に把持された待機中のボビンケース及びボビンに人手が介入したか否かを判定し、人手が介入したと判定した場合には例えばオペレーターによるチェックを行わせ、人手が介入しなかったと判定した場合には例えば継続処理を続行させるように構成したものであるから、電源再投入後における不具合の発生の防止及び自動化率の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における下糸自動供給装置を表した概略正面図である。
【図2】同上下糸自動供給装置に採用されたボビン交換装置の正面図である。
【図3】同上ボビン交換装置の平面図である。
【図4】同上ボビン交換装置における直動機構部分を表した右側面図である。
【図5】同上ボビン交換装置における回動機構部分を表した右側面図である。
【図6】同上ボビン交換装置のダミーポジション及びダミー軸を説明するための概略右側面図である。
【図7】本発明の一実施例における装置全体の構成を表したブロック図である。
【図8】本発明の一実施例における制御系を表したブロック図である。
【図9】同上下糸自動供給装置の制御動作手順の流れを表したフロー図である。
【図10】各装置への通電遮断時における同上ボビン交換装置の要部のみを表した右側面図である。
【符号の説明】
1 釜
2,2X,2Y ボビンケース
70 回動アーム
101 電源スイッチ
160 ボビン交換装置
161 残糸除去装置
162 下糸巻回装置
300 電源通電制御装置
800 人手介入判定手段
A 釜位置
B,C 各装置の処理動作位置
Claims (3)
- ボビンの残糸を除去する残糸除去装置と、下糸供給源からの下糸をボビンを回転させることによってボビンに巻回可能とした下糸巻回装置と、ボビンに巻回された下糸をボビンケースに糸掛け可能とした糸掛け装置と、糸掛けされボビンケースより導出する下糸を所定長残して切断可能とした糸切り装置と、ボビンを収容したボビンケースを把持または開放可能なボビンケース把持手段を備え該ボビンケース把持手段を釜位置と前記各装置の処理動作位置とに移動可能としたボビン交換装置と、を具備した下糸自動供給制御装置において、
前記残糸除去装置、下糸巻回装置、糸掛け装置、糸切り装置、ボビン交換装置の動作を常時監視し、電源スイッチの遮断時において動作途中にある装置による残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸切り処理の処理動作を完了させ、その後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその残糸除去装置、下糸巻回装置、糸掛け装置、糸切り装置による残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸切り処理の処理動作を順次完了させて前記電源スイッチの再投入時にボビン交換を実行し得るボビン交換待機状態とし、その後前記各装置への通電を遮断する電源通電制御装置を有していることを特徴とする下糸自動供給制御装置。 - 請求項1記載の下糸自動供給制御装置において、
電源通電制御装置は、ボビン交換待機状態とした後に、ボビン交換装置に対して動作指令を与えボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを釜に対向接近する位置に移動させて、その後各装置への通電を遮断することを特徴とする下糸自動供給制御装置。 - 請求項2記載の下糸自動供給制御装置において、
電源通電制御装置は、電源スイッチの再投入時に、ボビン交換装置に対して所定の移動動作指令を与え、この移動動作指令に従ったボビン交換装置の可動部の移動に基づいて電源スイッチの再投入前に人手が介入したか否かを判定する人手介入判定手段を具備していることを特徴とする下糸自動供給制御装置。
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