JP4074673B2 - 下糸巻回装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下糸巻回装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上糸と下糸とを使用して縫製を行うミシン、特に高速の縫製作業を行う工業用のミシン等にあっては、下糸を巻回したボビンを頻繁に交換する必要がある。一般には、下糸が消費された時または残り少なくなった時にミシンの運転を一旦停止し、ボビンケースを釜から抜き取った後に、ボビン残糸を除去してボビンに下糸を巻回し、この下糸が新たに巻回されたボビンを再びボビンケースに収容し、巻回された下糸をボビンケースに糸掛けしてこのボビンケースから導出する下糸を所定長残して切断し、このボビンケースを釜内に装着するという一連の操作を手作業で行っている。
【0003】
しかしながら、このような人手による残糸除去作業、ボビンへの下糸巻回作業、糸掛け作業、糸切り作業及びボビンケースの交換作業は極めて非能率的であり、生産性の低下の原因となっている。そこで、本出願人は、先に出願した特開平7−68071号公報等において、上記残糸除去作業、下糸巻回作業、糸掛け作業、糸切り作業及びボビンケース交換作業を自動的に行うことを可能とし下糸自動供給装置を提案している。
【0004】
この下糸自動供給装置は、ボビンを収容したボビンケースを把持して所定の経路を移動するボビン交換装置を備えていると共に、ボビンケース内に収容されたボビンの残糸を除去する残糸除去装置、下糸供給源からの下糸をボビンケース開口部から挿入しボビンを回転駆動させることによって上記ボビンケース内のボビンに下糸を巻回する下糸巻回装置、ボビンに巻回されボビンケース開口部から導出する下糸を捕らえて該ボビンケースの周囲を回動することによってボビンに巻回された下糸がボビンケースの所定位置から導出するように糸掛けする糸掛け装置及び該ボビンケースの所定位置から導出する下糸を所定長残して切断する糸切り装置を有している。
【0005】
そして、上記下糸自動供給装置にあっては、先ず下糸が消費された釜内のボビンケースが、上記ボビン交換装置により釜内から抜き取られて残糸除去位置に搬送され、そこで残糸除去装置によりボビンの残糸が除去された後、下糸巻回位置に搬送され、そこで下糸巻回装置によりボビンに新たな下糸が巻き付けられ、その新たに下糸が巻回されボビンケースから導出する下糸が糸掛け装置によりボビンケースに糸掛けされ、その糸掛けがなされボビンケースから導出する下糸が糸切り装置により切断され、このような処理がなされたビンケースがボビン交換装置により釜側に搬送されて釜内に装着されるようになっている。すなわち、上記一連の動作が自動的に実行されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記下糸巻回装置にあっては、糸巻きからの下糸端をクランプ機構によりクランプして該下糸をボビンケース内に導き、ボビンを回転させることにより下糸をボビン軸に絡み付けて巻回するよう構成しているので、クランプ機構により挟持した糸端が巻回終了後にボビンケース外に残ってしまい、このような状態で本縫いを行うと、ボビンケース外に残った糸端が絡まったり、ボビンケースの隙間に挟まったり等して、良好な縫い目が形成できず、場合によっては上糸切れが発生するといった問題がある。
【0007】
また、上述のように、糸巻きからの下糸端をクランプ機構によりクランプする構成となっているが、当該クランプされている糸端がクランプ機構から外れる畏れがあり、その場合には手動による復帰が必要となるので、装置の信頼性が低下するといった問題がある。
【0008】
また、これら装置にあっては、下糸を確実にボビンケース内に導けない場合がり、このような場合には、下糸がボビン軸以外の例えば下糸巻回装置の巻取軸やボビンケース軸に巻回されてしまい、手動による復帰が必要となるので、装置の信頼性が低下するといった問題がある。
【0009】
そこで、本出願人は先に出願した例えば特願平7−65140号明細書等において上記問題点の解決を図っている。すなわち、この特願平7−65140号明細書に記載の下糸巻回装置にあっては、下糸供給源からの下糸端部を、糸挿入手段(糸案内手段)によって案内経路に従ってボビンケース開口部に案内すると共に、ボビン軸に絡み付くのに必要な長さその先端(導出部)から導出してこの導出された下糸端部をエアーによりボビンケース開口部からボビンケース内に案内・挿入するようにし、この糸挿入手段によりボビンケース内に案内・挿入された下糸端部を、ボビンケース内に吹き込まれる上記糸挿入手段のエアーとボビン駆動手段によるボビン回転との共働によってボビン軸に確実に絡み付かせ、ボビン駆動手段により下糸端部が絡み付いたボビン軸をさらに回転することによってボビンケース内に収納されたボビンに下糸を巻回し得るように構成されており、従ってボビンケース外に下糸が出ることがなく、良好な縫い目が形成できると共に上糸切れの発生の畏れがなくなり、しかも糸端外れやボビン軸以外のものへの巻回がなくなって手動復帰の畏れがなくなるようになっている。
【0010】
そして、このように下糸が巻回されたボビンを収容するボビンケースに対して、上述した糸掛け装置によるボビンケースへの糸掛け、上述した糸切り装置による糸切りがなされて、当該ボビンは該下糸巻回位置(上記明細書にあっては糸切り位置及び糸掛け位置も同一位置)からボビン交換装置によって待機位置(釜に対向する位置の直下の位置;特願平7−65140号明細書に記載の装置にあっては釜直下のダミー軸に対向する位置)に搬送されて、ボビン交換要求があるまで待機状態にされる。
【0011】
しかしながら、上記特願平7−65140号明細書に記載の下糸巻回装置にあっても以下の問題点があった。すなわち、上記下糸巻回装置にあっては、糸挿入手段の先端から導出する下糸供給源からの下糸が、ボビンに対する下糸巻回、糸掛け後に、糸切り装置によってボビンケースと糸挿入手段との間で糸切りされるわけであるが、このように糸切りがなされた下糸端部は、1本の独立した状態とならずに蜘蛛の巣状に絡まって捩れてしまうことがあり、このような状態となると、当該糸切りがなされた下糸端部が次のボビンに良好に絡み付かなかったり、また当該ボビンが上述のようにボビンケース内に収容されている場合にあっては、次のボビンケース内への挿入時に、当該下糸端部がボビンケース開口部からボビンケース内に挿入できず、もって次ボビンに対して下糸巻回ができないといった問題がある。このような問題は、特に糸のよりが大きい場合に顕著に発生する。
【0012】
また、上述のように、糸挿入手段によりボビンケース内に案内・挿入された下糸端部を、ボビンケース内に吹き込まれる糸挿入手段のエアーとボビン駆動手段によるボビン回転との共働によってボビン軸に絡み付かせるわけであるが、ボビンケース内に挿入された下糸が、例えばボビン軸を1周してボビンケース開口部から出てしまったり、ボビンケースの糸掛け案内溝(スリット)やボビンに対する係止爪の隙間等から飛び出してしまう等して、該ボビン軸に良好に絡み付かないことがあり、下糸巻回ができないといった問題もある。
【0013】
さらにまた、糸挿入手段によって下糸供給源からの下糸をボビンケース内に案内・挿入する際に、当該下糸が周囲の他の回転機構(例えばボビン駆動機構の駆動源と例えば残糸除去装置の駆動源とを兼用にしている場合には残糸除去装置の回転機構)に絡み付いてしまう畏れがあり、このように他の回転機構に下糸供給源からの下糸が絡み付いて巻回されても、その異常を検出できず、この下糸巻回不良に起因して不具合が発生するといった問題もあった。
【0014】
そこで本発明は、糸切り処理後且つ次のボビンへの下糸案内処理の前に、糸切りがなされた下糸供給源からの下糸端部にエアーを吹き付けることにより、当該糸端の切断による捩れがとられ、当該下糸端部が次のボビンに良好に絡み付けられて下糸巻回がなされ、またボビンがボビンケース内に収容されている場合には当該下糸端部がボビンケース開口部からボビンケース内に良好に挿入されボビンに良好に絡み付けられて下糸巻回がなされ、信頼性が向上される下糸巻回装置を提供することを第1の目的とする。
【0015】
また、本発明は、ボビンに案内された下糸をボビンに対して移動することにより、当該下糸が確実にボビン軸に絡み付き、下糸巻回が良好になされて信頼性が向上される下糸巻回装置を提供することを第2の目的とする。
【0016】
また、本発明は、下糸供給源からの下糸がボビンに巻回されずに他の回転機構に絡まって当該回転機構に巻回されるという下糸巻回不良が検出され、この下糸巻回不良に起因する不具合の発生が防止されて、装置の信頼性が向上される下糸巻回装置を提供することを第3の目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記第2の目的を達成するために、請求項1の下糸巻回装置は、下糸供給源からの下糸を導出する導出部を有し、ボビン軸に前記下糸の端部を絡み付かせるボビン近傍の作業位置で、その導出部から導出する当該下糸の端部をボビンに案内する糸案内手段と、この糸案内手段から導出される下糸の端部を、前記ボビン軸に絡み付けて巻き付けるように該ボビンを回転させるボビン駆動手段と、前記ボビン軸への下糸絡み付け時に下糸の巻回の良否を判定し、不良なときに前記糸案内手段から導出された下糸の端部を相対的に移動させ、前記ボビン駆動手段により回転されるボビン軸との共働により該下糸の端部を前記ボビン軸に絡み付ける下糸移動手段と、を具備した。
【0022】
このような請求項1の下糸巻回装置によれば、下糸供給源からの下糸は、糸案内手段によってその導出部から導出されて端部からボビンに案内される。このボビンに案内された下糸をボビン駆動手段によるボビン回転との共働によってボビン軸に絡み付けるにあたっては、該ボビンに案内された下糸は、下糸移動手段によってボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように相対的に移動されて、例えば所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようにされて確実にボビン軸に絡み付けられるようになり、当該ボビンに巻回されるようになる。
【0023】
上記第2の目的を達成するために、請求項2下糸巻回装置は、請求項1に加えて、下糸移動手段は、糸案内手段の導出部を、作業位置と該作業位置からボビンに対して離間する退避位置との間内で繰り返し所定回数進退させる糸案内移動手段であることを特徴としている。
【0024】
このような請求項2の下糸巻回装置によれば、糸案内手段の導出部は、下糸移動手段としての糸案内移動手段によって、ボビン近傍の作業位置とこの作業位置から離間する退避位置との間内で繰り返し所定回数進退される。従って、ボビンに案内された下糸は、ボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように移動されて例えば所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようにされて、確実にボビン軸に絡み付けられるようになり、当該ボビンに巻回されるようになる。
【0025】
上記第2の目的を達成するために、請求項3の下糸巻回装置は、請求項1に加えて、下糸移動手段は、下糸供給源からの下糸に間欠に張力を与える張力間欠付与手段であることを特徴としている。
【0026】
このような請求項3の下糸巻回装置によれば、下糸供給源からの下糸に対して、下糸移動手段としての張力間欠付与手段によって張力が間欠に付与されて、ボビンに案内された下糸は、ボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように移動されて例えば所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようにされて、確実にボビン軸に絡み付けられるようになり、当該ボビンに巻回されるようになる。
【0027】
上記第2の目的を達成するために、請求項4の下糸巻回装置は、請求項1に加えて、下糸移動手段は、ボビンを軸線方向に所定回数前進・後退させるボビン移動手段であることを特徴としている。
【0028】
このような請求項4の下糸巻回装置によれば、ボビンに案内された下糸に対して、下糸移動手段としてのボビン移動手段によってボビンは軸線方向に所定回数前進・後退され、ボビンに案内された下糸に対してボビン軸が下糸の接する方向を特定するように移動されて例えば所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようにされて、確実にボビン軸に絡み付けられるようになり、当該ボビンに巻回されるようになる。
【0029】
上記第3の目的を達成するために、請求項5の下糸巻回装置は、請求項1にかかる下糸移動手段が、前記ボビン駆動手段と前記ボビンとの間を連結・遮断可能なクラッチ手段と、前記下糸の変位の有無を検出する変位検出手段と、前記ボビンに対する下糸巻回の途中に、前記クラッチ手段により前記ボビン駆動手段とボビンとの連結を一時遮断し、この遮断時に前記変位検出手段からの変位の有無に基づいて、途中まで行った下糸巻回の良否を判定する判定手段と、を具備した。
【0030】
このような請求項5の下糸巻回装置によれば、ボビン駆動手段とボビンとの間はクラッチ手段により連結され、該ボビン駆動手段が駆動されてボビンが回転されることによって、下糸供給源からの下糸はボビンに巻き付けられるが、この下糸巻回の途中で、該ボビン駆動手段とボビンとの連結が該クラッチ手段によって一時遮断され、この遮断時に、変位検出手段によって検出される下糸の変位の有無に基づいて、判定手段によって下糸巻回の良否が判定される。ここで、変位検出手段によって例えば下糸の変位が検出された場合には、判定手段によって下糸供給源からの下糸がボビンに巻回されずに例えば他の回転機構に絡まって当該回転機構に巻回されるという下糸巻回不良と判定される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態の下糸自動供給装置は、図1に示されているように、下糸巻回装置162と、残糸除去装置161と、ボビン交換装置(ボビン移動手段;下糸移動手段))160と、から概略構成されており、上記ボビン交換装置160は、下糸巻回装置162の下糸巻回位置C、残糸除去装置161の残糸除去位置B、釜位置(ボビンケース着脱位置)A、ダミー軸(ボビンケース保持手段)6のボビンケース着脱位置Dにボビンケース2を移動させるように構成されている。
【0032】
上記下糸巻回位置C、残糸除去位置Bは、図1に示されるように、搬送軸4の下方の範囲V且つ同軸線に沿った直立平面よりミシンベッド101を起こす際の回動支点103側の範囲Wであって、ボビンケース把持手段の回転軌跡の対向位置に配置されている。
【0033】
また、残糸除去位置Bは下糸巻回位置Cより下方に配置されている。また、残糸除去位置Bの搬送軸線方向(図1における紙面に垂直な方向)の位置はボビンケース把持手段の退避位置から若干前進させた位置(図1における紙面に向かって進めた位置)にあり、下糸巻回位置Cの搬送軸線方向の位置はボビンケース把持手段を退避位置から多少前進させた位置(図1における紙面に向かって進めた位置)にある。
【0034】
因に、図1中における符号102はミシンテーブルを、106はオイルパンを、104,105は下軸を、Xはミシン頭部を引き起こす際の外周側の回動軌跡を、それぞれ示している。
【0035】
上記下糸自動供給装置はミシンベッド101の下部に設けられている。先ず、図2乃至図6を参照しながら、ボビン交換装置160について以下説明する。
【0036】
図2乃至図6において、符号1はボビンケース2が装着される釜を、符号1aは釜軸を、符号3はミシン本体に取り付けられたメインベースに立設されて釜1の直下に配設された支持体としてのベース板をそれぞれ示しており、該ベース板3には、釜軸1aに平行な軸心を有する搬送軸4の基端4aが固定され、該搬送軸4はベース板3に片持ち支持された状態となっている。
【0037】
この搬送軸4の先端4b側(反ベース板側)には、搬送ブロック12が、当該搬送軸4に対して回転可能且つ摺動可能に支持されている。この搬送ブロック12は、特に図2に示されているように、円筒の外周面を軸線方向に沿って2箇所切断し該切断面同士が対向するよう形成された形状を有しており、その搬送ブロック12の各切断面には、L字状に折曲された搬送板10,10のL字を構成する一方の板状部分がそれぞれ固定されている。また、L字を構成する他方の板状部分は、軸線を挟んで互いに対向した状態となっている。
【0038】
上記各搬送板10,10には、軸線方向に沿って釜側に延出するように折曲された保持部11,11の一方の端部がそれぞれ固定されており、これら保持部11,11の他方の端部(釜側を向く端部)には、ボビンケースを把持または開放するボビンケース把持手段(不図示)がそれぞれ固定されている。
【0039】
このボビンケース把持手段としては、例えば特開平5−192476号公報の下糸自動供給装置や本出願人が先に出願した特願平5−121960号明細書のミシンの下糸自動供給装置に記載されている一対の電磁石吸着ヘッドを始めとして、例えば本出願人が先に出願した特願平5−116363号明細書のミシンの下糸自動供給装置に記載されているレバー爪によるもの等、適宜のものを採用することができ、要は、ボビンケース2を必要に応じて対向部材(例えば、釜1)に対して着脱できるものであれば良い。
【0040】
再び図1乃至図6に戻って、上記搬送ブロック12の外周には回動歯車13が固定されており、該回動歯車13には、図3に示されるように、釜軸1a方向に沿って長尺なる形状の駆動歯車19が噛合している。
【0041】
この駆動歯車19は、その一端が、ベース板3に取り付けられたモータ固定板21の搬送軸他端側に突出した部分に回転可能に支持されており、他端は、モータ固定板21に固定された回動モータ20の出力軸に直結された状態となっている。
【0042】
従って、回動モータ20が回転すると、駆動歯車19、回動歯車13を介して、搬送ブロック12及び搬送板10,10並びに保持部11,11から構成される回転手段としての回動アーム70が回転するようになっている。なお、この回動アーム70の回転動作は、本実施形態にあっては、該回動アーム70が退避位置にある時(図3乃至図5参照)に行われるようになっている。また、搬送軸4は片持ち支持であるが、上記駆動歯車19によりガイドされていることから、その支持強度は充分となっている。
【0043】
上記搬送ブロック12の外周における上記回動歯車13より搬送軸4の固定端側には、図示されない例えばストップリングが固定されており、該搬送ブロック12の外周における回動歯車13とストップリングとの間には、直動カラー14が回転可能に支持されている。
【0044】
この直動カラー14には、図2乃至図4に示されるように、釜軸1aに平行に移動可能に支持されたラック16の一端が固定されており、このラック16の他端にはピニオン17が噛合している。このピニオン17は、ベース板3に取り付けられた移動モータ18の出力軸に固定されている。
【0045】
従って、上記移動モータ18が駆動すると、ピニオン17を介してラック16と共に、直動カラー14、回動アーム70が搬送軸4の軸線方向に沿って移動するようになっている。すなわち回動アーム70は、搬送軸4に対して回転できると共に、搬送軸4に沿って摺動できるようになっている。
【0046】
上記搬送軸4の開放端側には、センサ固定板33が取付けられており、このセンサ固定板33上には、発光素子31aと受光素子31bとからなる回動センサ31が取り付けられている。また、上記回動アーム70には、図2及び図3に示されるように、センサ板32が固定されており、該回動アーム70の回転時に、センサ板32が発光素子31aと受光素子31bとの間を通過し得るように、回動センサ31及びセンサ固定板33並びにセンサ板32の位置調整がなされている。
【0047】
ベース板3には、図2及び図4に示されるように、上記回動センサ31と同構造の直動センサ41が取り付けられている。また、上記ラック16には、センサ板15が固定されており、該回動アーム70の直動時に、センサ板15が直動センサ41の発光素子41aと受光素子41bとの間を通過し得るように、直動センサ41及びセンサ板15の位置調整がなされている。
【0048】
すなわち、ボビンケース把持手段が退避位置に移動すると、上記センサ板15が上記直動センサ41の発光素子41aと受光素子41bとの間を遮蔽することになり、これによってボビンケース把持手段の退避位置への移動が検出される。そして、今度は当該退避位置で原点位置が検索される。すなわち、ボビンケース把持手段を退避位置で回動させ、センサ板32が発光素子31aと受光素子31bとの間を遮蔽した位置を例えば原点位置としておけば、この位置にボビンケース把持手段を回動すると原点位置に復帰することになる。また、上記回動モータ20として例えばパルスモータを用いた場合には、このパルスモータのパルス数をカウントすることによって、該ボビンケース把持手段を、上記釜位置A、下糸巻回位置C、残糸除去位置B、ダミー位置Dに回動制御することができる。
【0049】
ここで、本実施形態においては、回動アーム70が退避位置にあって上記ボビンケース把持手段に把持されたボビンケース2が釜1に対向する位置を回動アーム70(ボビンケース把持手段)の原点位置としている。
【0050】
また、ベース板3における上記ボビンケース把持手段の回転軌跡の対向位置であって、図1に示されるように、釜1直下の位置Dには、ボビンケース保持手段としてのダミー軸6が固定されている。このダミー軸6は、特に図6に示されているように、中釜軸5と同構造となっており、ボビンが収容されたボビンケース2を押し込めば、該ボビンケース2を保持できるようになっている。そして、押し込められたボビンケース2の既設のボビン係止爪2dが、図1に示されるように、ダミー軸6の近傍に突設された回り止め部材5aaの係止溝に係合するよう構成されている。すなわち、ボビンケース2は所定の位置に位置決めされて保持されるようになっている。
【0051】
残糸除去位置Bには残糸除去装置161が配設されている。この残糸除去装置161としては、例えばボビンに巻かれた糸の先端を挟持または開放可能とした挟持部材を有し、一軸線を中心に例えばモータの駆動等によって回転することにより挟持部材により挟持したボビン糸を自動的に巻取可能としたものが用いられているが、要はボビンケース2をボビンケース把持手段によって把持した状態若しくはボビンケースを保持できる手段に該ボビンケース2が受け渡されて当該ボビンケース2を保持した状態で、ボビンに巻かれボビンケースから導出する(垂れる)糸を引き出す引き出し手段の糸引き出し動作によって、ボビンが回転されて、ボビンに巻回された糸が引き出されるようなものであればどのようなものであっても良く、例えば本出願人が先に出願した特願平5−203610号明細書や特願平6−40351号明細書のボビンの残糸除去装置を始めとして、適宜のものを採用することができる。
【0052】
上記下糸巻回位置Cには下糸巻回装置162が配設されている。この下糸巻回装置162としては、例えばモータの駆動等によってボビンを回転させることにより自動的にボビンに下糸が巻回可能なものが採用されている。この下糸巻回装置162は、図1に簡略化して示されるように、ボビン駆動機構E及びエアー案内機構(糸案内手段;エアー手段)G並びに糸供給検出機構(変位検出手段)Fからなる。先ず、ボビン駆動機構Eについて以下説明する。
【0053】
図7、図8、図13において、符号50は巻取り軸を示しており、この巻取り軸50は上記ベース板3に回転自在に支承されている。巻取り軸50の一端にはボビン7に形成された複数の孔7b(図17参照)にクラッチ可能なクラッチ機構50aが、他端にはプーリ50bがそれぞれ固定されている。上記ベース板3にはボビン駆動手段としてのボビン駆動モータM2も固定されている。このボビン駆動モータM2の出力軸にはプーリ52が固定されており、このプーリ52とプーリ50bとの間には、ベルト51が掛け渡されている。
【0054】
すなわち、回動アーム70の回転により下糸巻回位置Cに至ったボビンケース2が該回動アーム70の前進動作により多少前進すると共にボビン駆動モータM2が駆動すると、巻取り軸50が回転すると共に該クラッチ機構50aとボビン7とが連結されるようになっている。なお、クラッチ機構は、上述のような孔に係合する構成のものに限定されるものではなく、他の構成のものであっても構わない。
【0055】
また、下糸巻回装置162は、下糸のボビン軸への絡み付き並びにボビンに巻回される下糸量を検出する糸供給検出機構Fを備える。この糸供給検出機構Fについて以下説明する。図9及び図10において、符号53はコの字状のベースを示しており、このベース53の両側板53a,53b間にはローラ軸55が回転可能に掛け渡されている。このローラ軸55の側板53b側の端部は側板53bより外方に突出しており、当該端部には下糸供給源としての糸巻き200からの下糸150が巻回された(1巻きされた)ローラ54が固定されている。
【0056】
ローラ軸55の両側板53a,53b間における部分にはセンサスリット58が固定されている。このセンサスリット58は円盤状をなし、外周の一部に溝が設けられている。このセンサスリット58の対向位置には、フォトセンサ60が配設されており、センサスリット58の溝を検出可能となっている。すなわち、フォトセンサ60によりローラ54の回転を検出できるようになっている。
【0057】
そして、フォトセンサ60には、下糸150のボビン軸への絡み付きを検知すると共にボビン軸に巻回される有効下糸巻回量を検出する有効下糸巻回量検出手段61が接続されている。また、この有効下糸巻回量検出手段61には、判定手段61Bが接続されている。この判定手段61Bは、外部に接続された下糸巻回量を入力設定できる手段61Aからの設定下糸巻回量と有効下糸巻回量検出手段61からの実際にボビンに巻回されている下糸量とを比較し、両下糸量が一致したらボビン駆動モータM2のドライバ310aに駆動停止信号を送出するよう機能する。このような有効下糸巻回量検出手段61、判定手段61Bは、後述の下糸巻回装置制御手段401(図19参照)に組み込まれている。
【0058】
上記フォトセンサ60にはまた、図10に示されるように、下糸巻回良否判定手段78が接続されている。この下糸巻回良否判定手段78は、後述の下糸巻回時にあって、回動アーム70を後退することによってクラッチ機構50aとボビンケース把持手段に把持されているボビンケース内のボビン7との連結を一時遮断した時に、上記フォトセンサ60からの出力に基づいて、途中まで行った下糸巻回(またはボビン軸7aに対する下糸絡み付け)の良否を判定するものであり、この良否判定信号を後述の通電タイミング制御手段315に送出するようになっている。このような下糸巻回良否判定手段78は、後述の下糸自動供給装置制御手段400(図19参照)に組み込まれている。
【0059】
また、糸供給検出機構Fの下流には、糸巻き200(図11参照)からの下糸150をボビンケース2の開口部2Aを介してボビンケース2内に案内する糸案内手段としてのエアー案内機構Gを備えている。このエアー案内機構Gについて以下説明する。図7、図8、図12において、符号65は略中空円筒状の案内経路を構成する糸吸引器を示しており、この糸吸引器65には、図12に示されるように、直線状経路としての貫通孔65bが形成されていると共に、この貫通孔65bの途中に斜めに連設されて外部に開放される吸引孔65aが形成されている。貫通孔65bの上流側の開放口には、図7、図8に示されるように、エアーチューブ66の一端が接続されており、このエアーチューブ66の他端には電磁弁68が接続されていて、この電磁弁68には図示されないエアー源が接続されている。また、糸吸引器65における貫通孔65bの下流側の開放口には、案内経路を構成するエアーチューブ67の一端が接続されており、このエアーチューブ67の他端側はヘの字状に折曲されて、その先端には糸案内手段の導出部としてのエアーノズル67aが設けられている。
【0060】
上記糸吸引器65は、図7及び図8に示されるように、ノズル軸34に固定されており、このノズル軸34は上記ベース板3に回転自在に支持されている。該ノズル軸34における糸吸引器65、ベース板3の間にはノズルギヤ35が固定されており、このノズルギヤ35にはノズルモータギヤ36が噛合している。そして、このノズルモータギヤ36は、上記ベース板3に固定されたエアーノズル退避モータとしてのステッピングモータ37(糸案内移動手段;下糸移動手段)の出力軸に固定されている。
【0061】
従って、ステッピングモータ37を駆動すると、糸吸引器65、エアーチューブ67、エアーノズル67aがノズル軸34を回動支点として回動するようになっている。また、この時のエアーノズル67aの回動位置は、ノズルギヤ35に固定されたセンサ板38及びベース板3に固定され該センサ板38の位置を検出するノズルセンサ39によって検出されるようになっており、この検出結果に従ってステッピングモータ37の制御がなされるようになっている。
【0062】
すなわち、ステッピングモータ37の駆動によって、エアーノズル67aは、図8に実線で示されるボビンケース2の開口部2Aに対向する位置(作業位置)N1とこの作業位置N1から離間する図8に一点鎖線で示される退避位置N2との間を移動できるようになっている。
【0063】
なお、図8における符号22はボビン駆動機構E及びエアー案内機構Gを覆うカバーを、図7及び図8における符号23は糸供給検出機構Fから糸吸引器65の吸引孔65aへ下糸を案内するための案内棒を、それぞれ示している。
【0064】
ところで、ボビン軸7aに対して下糸を絡み付けるにあたっては、上記作業位置に位置するエアーノズル67a先端から所定長の下糸が導出されている(詳しくは後述)。このエアーノズル67aから導出される下糸長さ(LL)は、この導出された下糸端部をボビン軸に絡み付かせるのに必要な長さとする。そして、この必要長さは、▲1▼{(作業位置にあるエアーノズルからボビン軸外周に到達するまでの長さ)+〔ボビン軸一周長さ×(1.1〜2.0)〕}の範囲にあると好ましく、▲2▼{(作業位置にあるエアーノズルからボビン軸外周に到達するまでの長さ)+〔ボビン軸一周長さ×(1.25〜1.8)〕}の範囲にあるとより好ましい。
【0065】
上記▲1▼の範囲より長いと、導出する下糸端部がボビンケース2の開口部2Aから入り難くなったり、入ったとしてもボビン軸7aを1周以上周回して自ら結び目を形成してボビン軸7aを縛ってしまう畏れがあり、また▲1▼または▲2▼の範囲より短いと、下糸端部がボビン軸7aに絡み付かない畏れがある。
【0066】
本実施形態にあっては、必要長さを55mmに設定した。すなわち、エアーノズル67a先端とボビンケース2の開口部2Aとの間隔Hを7mmとし、ボビンケース開口部2Aからボビン軸外周に接する長さ7mmと、(ボビン軸周25mm×1.64)=31mmから求めた。
【0067】
また、上記作業位置に位置しているエアーノズル67a先端の下糸案内方向(エアー吹き付け方向)は、ボビン軸下糸巻き付け側にある。ここで言うボビン軸下糸巻き付け側とは、図14及び図15に示されるように、ボビン軸7a中心とエアーノズル67a先端とを結ぶ線分YYにより2分割されるボビン軸7a外周の一方向、すなわち下糸150をボビン軸7aに絡み付かせる側(図15中の符号XX方向)である。また、エアーノズル67a先端の下糸案内方向は、好ましくはボビン軸下糸巻き付け側XXのボビン軸7a外周に交差する方向で、特に好ましくはボビン軸7a外周に接する方向である。
【0068】
そして、ボビンケース開口部2Aの対向位置に停止している(作業位置にある)エアーノズル67a先端とボビンケース2の開口部2Aとの間隔H(図14参照)は、好ましくは10mm以下で、特に好ましくは3〜7mmである。この範囲により、下糸150の吹き出しエアーによるばたつきが抑えられると共に、ボビンケース2内で下糸150がボビン軸7aに絡み付くのに必要な渦流を形成することができる。
【0069】
ところで、下糸巻回装置162には、糸掛け装置が付設されている。この糸掛け装置は、図16に示されるように、下糸巻回位置Cにセットされたボビンケース2のその周囲に回動可能に配置された動メス糸捌き116を有し、この動メス糸捌き116をボビンケース2の周囲に回動させることによって、ボビンに巻回されボビンケース開口部2Aより導出する糸巻き200からの下糸150を、ボビンケース2の開放端縁とボビン7外周との隙間を介して糸掛け位置2Bに誘導してスリット溝2Cに導き、下糸張力ばね2D下の下糸導出孔2Hを経て下糸張力ばね用孔2E近傍から導出できる構成となっている(図17参照)。なお、糸掛け装置としては上記構成のものに限定されるものではなく、要はボビンに巻回されボビンケース開口部2Aより導出する糸巻き200からの下糸150を、ボビンケース2に糸掛けできるものであればどのようなものであっても良く、例えば特開平7−68071号公報記載の糸掛け装置や本出願人が先に出願した特願平7−65140号明細書記載の糸掛け装置を始めとして、適宜のものを採用することができる。
【0070】
下糸巻回装置162にはさらに、糸切り装置が付設されている。この糸切り装置は、上記下糸張力ばね用孔2E近傍より導出する糸巻き200からの下糸150を、上記動メス糸捌き116の回動動作により捌き、固定メス91との間で所定長残すようにして切断できる構成となっている(図16参照)。ここで、ボビンケース2の下糸張力ばね用孔2E近傍より導出する下糸の該下糸張力ばね用孔2Eから下糸切断点S(詳しくは動メス糸捌き動メス116と固定メス91との擦り合う点;図16参照)までの下糸長さが、上糸との絡み合いによる縫目形成に必要な長さ、すなわち40mm程度となるように、ボビンケース2、固定メス91、下糸切断点S等の各配置が決定されている。
【0071】
また、エアーノズル67aが糸切り位置N5(図8参照)に位置した時に、上記切断時の下糸切断点Sとエアーノズル67a先端との間の距離が、図16に示されるように、上述したボビン軸7aに下糸を絡ませるのに必要な長さLL(本実施形態にあっては55mm程度)に略一致するように、ボビンケース2、下糸切断点S、エアーノズル67aの糸切り位置N5等の各配置が決定されている。
【0072】
なお、糸切り装置としては上記構成のものに限定されるものではなく、要はボビンに巻回されボビンケース2の下糸張力ばね2D下の下糸導出孔2Hを経て下糸張力ばね用孔2E近傍から導出する糸巻き200からの下糸150を、上記所定長残して切断できるものであればどのようなものであっても良く、例えば特開平7−68071号公報記載の糸切り装置や本出願人が先に出願した特願平7−65140号明細書記載の糸切り装置を始めとして、適宜のものを採用することができる。
【0073】
また、上記糸供給検出機構Fと糸巻き200との間には、図11に示されるように、下糸150の張力を可変とする糸張力可変手段204が設けられている。この糸張力可変手段204は、通過する下糸150を押圧する張力ばね205と、この張力ばね205の押圧力をマニュアル操作により調整する螺子206と、ミシンベッド101内に配され上記張力ばね205の押圧力に抗するソレノイド推力を生ぜしめるソレノイドSOLと、から構成されている。
【0074】
この糸張力可変手段204を駆動する電気回路は、ソレノイドSOLに電源を直列に接続し、その間にスイッチを介した構成となっている。
【0075】
従って、スイッチをオフした場合には、上記ソレノイド推力が発生せず、下糸150には張力ばね205の押圧力が最大限にかかり、下糸張力は最大となる。また、スイッチをオンした場合には、上記ソレノイド推力が最大限に発生し、下糸150には張力ばね205の押圧力からソレノイド推力を減じたものがかかり、下糸張力は最小となる。
【0076】
なお、上記残糸除去装置161、下糸巻回装置162が、図1に示したベース板3に接触する場合には、該ベース板3は適宜切欠かれる。また、図1にあっては、残糸除去位置Bと下糸巻回位置Cとダミー軸6に対するボビン着脱位置Dが近接しており、保持部11が誇張されて記載されている。このため、保持部11が残糸除去装置161や下糸巻回装置162に接触することも心配されるが、実際には、このような接触が生じないように充分なスペースが確保されている。
【0077】
また、上記下糸自動供給装置には操作パネル(不図示)が付設されており、この操作パネルには、図18及び図19に示されるように、下糸自動供給装置に接続された電源スイッチ302、操作スイッチ、下糸巻回量設定手段としての設定スイッチ61A(図10参照)及び表示手段としてのエラー表示窓316等が付設されている。次に、該下糸自動供給装置の動作を制御する下糸自動供給制御装置について説明する。
【0078】
先ず、図18に示されているように、所定の縫い動作を実行するミシン本体300にはメイン電源をオン・オフする電源スイッチ(ミシン側の電源スイッチ)302が設けられていると共に、この電源スイッチ302のオン・オフを判別するミシン電源監視手段(ミシン電源監視回路)301が付設されている。このミシン電源監視手段301は、後述する電源通電制御装置450(図19参照)の一部を構成するものであって、具体的にはミシン制御回路内における例えば+5Vの電源をモニタしておき上記電源スイッチ302のオフ検知信号を、電源通電制御装置450の通電タイミング制御手段315(後述)に出力する機能を有している。
【0079】
一方、メイン電源は、後述する電源通電制御装置450の制御スイッチ手段を構成するリレースイッチ303を介して直流電源回路304にも接続されている。この電源通電制御装置450の直流電源回路304は、上述した下糸自動供給装置の下糸巻回装置162(正確には糸掛け、糸切り装置も含む)、残糸除去装置161及びボビン交換装置160にそれぞれ駆動電流を供給するように接続されており、上記リレースイッチ303から発せられるオン・オフ信号に基づいて各装置160,161,162への通電制御を行うように構成されている。
【0080】
また、上記下糸巻回装置162には、図18に示されるように、ボビン駆動モータM2用ドライバ310a、エアーノズル退避モータ37用ドライバ310b、動メス付き糸捌き116のモータ用ドライバ310c、糸張力可変手段のソレノイドSOL用ドライバ310d、電磁弁68用ドライバ310eがそれぞれ接続されており、ボビン交換装置160には、移動モータ18用ドライバ311a、回動モータ20用ドライバ311bがそれぞれ接続されており、また残糸除去装置161には、残糸巻取モータ用ドライバ312aがそれぞれ接続されている。また、リレースイッチ303にはドライバー313が接続されている。そして、これらドライバ310a〜310e,311a,311b,312a,313には、i/oポート305を介して、CPU(中央演算装置)306及びこのCPU306に付設されたROM307及びRAM308からの各信号が入力されるように接続されている。そして、上記各装置162,161,160が、図19に示されているように、下糸自動供給装置制御手段400により制御されつつ上述した所定の動作を実行すると共に、この実行を可能とするように上記下糸自動供給装置制御手段400への通電状態が電源通電制御装置450により制御されるように構成されている。
【0081】
すなわち、図19に示されているように上記下糸自動供給装置制御手段400は、下糸巻回装置制御手段401、ボビン交換装置制御手段(ボビン搬送・着脱装置制御手段)402及び残糸除去装置制御手段403から構成されており、これらの各制御手段401,402,403には、前記電源通電制御装置450の直流電源回路304から所定の駆動電流が供給されていると共に、同様に電源通電制御装置450の通電タイミング制御手段315からの動作指令信号が印加されている。この通電タイミング制御手段315は、前記下糸巻回装置162、残糸除去装置161及びボビン交換装置160の各動作を常時監視する機能を有している。
【0082】
また、上記通電タイミング制御手段315には、前述したミシン電源監視手段301からの検出信号、すなわちミシン電源スイッチ302のオン・オフを検出した信号が印加されている。そして、この通電タイミング制御手段315は、ミシン電源スイッチ302のオフ検出信号を受けた時に、その電源遮断時点において動作途中にある装置の処理動作を完了させ、その後この処理動作に続いて行われる予定のボビン交換前に必要な処理動作がある場合にはその処理動作を順次完了させてボビン交換待機状態とする、すなわちボビン交換に必要な処理(残糸除去処理、下糸巻回処理、糸掛け処理、糸切り処理)を全て完了させた後に当該ボビンケースを釜に対向させた退避位置(原点位置)に移動する動作指令信号を、上述した各制御手段401,402,403にそれぞれ発する機能を有している。
【0083】
また、上記通電タイミング制御手段315は、上記各装置の処理が順次完了してボビン交換待機状態になった時に、上記ボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースを原点位置から釜1に対向接近する位置まで前進させる動作指令信号を、上述したボビン交換装置制御手段402に発する機能を有している。
【0084】
また、上記通電タイミング制御手段315は、ボビン交換装置160によりボビンケースを原点位置から釜1に対向接近する位置まで前進させた時に、前記制御スイッチ手段303に対して処理完了信号を発する機能を有している。一方、制御スイッチ手段303は、パワーリレースイッチ、ソリッドステートリレー等から構成されており、前記ミシン電源スイッチ302とは無関係に常時交流駆動電流が供給されている。そして、この制御スイッチ手段303は、前述した通電タイミング制御手段315からの処理完了信号を受けて、直流電源回路304にオフ指令信号を出力するように構成されている。このオフ指令信号を受けた直流電源回路304は、上記各制御手段401,402,403及び各装置160,161,162に対する駆動電流の供給を停止することとなる。
【0085】
このように、上記ボビン交換に必要な処理がなされたボビンケースが釜1に対向接近した位置にあることから、無理して回動アーム70を後退させない限り、釜1内のボビン及びボビンケース、釜1に対向接近しているボビン及びボビンケースに対して人手を介入することは難しくなっている。すなわち、必要がない限り上記ボビン及びボビンケースに妄りに触らせないようになっている。
【0086】
さらに、上記通電タイミング制御手段315から発せられる処理完了信号は、遮断情報記憶手段としての前記RAM(不揮発性メモリー)308にも印加されている。このRAM308は、バッテリバックアップRAMあるいはEEPROM等から構成されており、当該RAM308内に電源遮断の正常または異常(例えば停電時)情報が格納・記憶されるようになっている。一方、上記RAM308に格納された電源遮断の正常または異常情報は、上記通電タイミング制御手段315側に常時参照されており、RAM308に格納されている電源遮断の正常または異常情報が通電タイミング制御手段315で確認されている。そして、この確認された電源遮断の正常または異常情報に基づいて、上記各制御手段401,402,403に対する初期化信号が通電タイミング制御手段315から発せられるように構成されている。
【0087】
また、上記通電タイミング制御手段315には、所定の表示手段316が接続されており、上記RAM308に格納された電源遮断の正常または異常情報、後述の電源遮断時の人手介入情報、後述の下糸巻回不良等が表示される構成になされている。
【0088】
さらに、上記通電タイミング制御手段315は、ミシン電源スイッチ302の再オン検出信号を受けた時に、ボビンケースを釜1に対向接近する位置から原点検出させるように、上述したボビン交換装置制御手段402に動作指令信号を発する機能を有している。
【0089】
また、前記電源通電制御装置450には、前述したミシン電源監視手段301からの検出信号を受けると共にボビン交換装置160の動作を監視し、ミシン電源スイッチ302の再オン検出信号を受け、ボビンケースを釜1に対向接近する位置から原点検出を行わせた時に、原点検出を行った時のステップ数が上記ボビンケースを釜1に対向接近する位置に前進させた時のステップ数と同じか否かを判別し、同じステップ数でない時にはミシン電源スイッチ302の再投入前に人手が釜1内のボビン及びボビンケース、釜1に対向接近していたボビン及びボビンケースに介入した(不具合が発生した訳ではないのに取り出して何らかの処置を施した)と判定する人手介入判定手段317が備えられている。
【0090】
この人手介入判定手段317は、ミシン電源スイッチ302の再投入前に人手が上記ボビン及びボビンケースに介入したと判定した場合には、人手が介入したという警告を上述した表示手段316に表示する構成になされている。すなわち、オペレーターによるチェックを促すようになっている。
【0091】
また、人手介入判定手段317が、ミシン電源スイッチ302の再投入前に人手が上記ボビン及びボビンケースに介入しなかったと判定した場合には、上述した通電タイミング制御手段315が、所定の継続処理を行わせる動作指令信号を、上述した各制御手段401,402,403にそれぞれ発する機能を有している。
【0092】
また、特に本実施形態における通電タイミング制御手段315は、エアーノズル67aを、ボビン軸7aへの下糸絡み付け時に、先ず作業位置N1に位置させ、この時上記有効下糸巻回量検出手段から下糸が絡み付いていないという出力がなされると、作業位置N1、退避位置N2の中間の位置N4と該作業位置N1とに所定回数繰り返し移動させ、下糸巻回時及び糸掛け時並びに待機時に、退避位置N2に位置させ、糸切り時に上記中間位置N4と退避位置N2との間の糸切り位置N5に位置させるように下糸巻回装置制御手段401に動作指令信号を発する機能を有している(第1の機能)。
【0093】
また、通電タイミング制御手段315は、糸切り装置による糸切り処理後且つエアーノズル67aが次ボビンに対してエアーによる下糸案内処理を行う前に、電磁弁68を駆動してエアーノズル67aからエアーを吹き出させるように下糸巻回装置制御手段401に動作指令信号を発する機能を有している。
【0094】
さらにまた、通電タイミング制御手段315は、下糸巻回中、すなわち上記有効下糸巻回量検出手段から下糸が絡み付いたという出力がなされてから所定時間後に、回動アーム70を後退させてクラッチ機構50aとボビンケース把持手段に把持されているボビンケース内のボビン7との連結を一時遮断させ、この遮断時に上記下糸巻回良否判定手段78から下糸巻回成功信号を受けると該回動アーム70を前進させてクラッチ機構50aと当該ボビンとの再連結を行って下糸巻回処理を続行させ、一方上記下糸巻回良否判定手段78から下糸巻回不良信号を受けるとボビン駆動モータM2を停止させるように下糸巻回装置制御手段401、ボビン交換装置制御手段402に動作指令信号を発する機能を有している。また、該下糸巻回不良信号を受けると、途中まで行った下糸巻回が不良だという警告を上述した表示手段316に表示させる構成になされている。
【0095】
次に、このような制御装置を用いた下糸自動供給装置の制御動作を図20乃至図22に示したフローチャートにより説明する。説明理解の容易性を考慮し、縫製動作の開始時点から説明していく。すなわち、先ず、図20におけるステップ5において、RAM(不揮発性メモリー)308がクリアーされると、下糸自動供給装置は運転開始待機状態にされる。そして、ステップ6において、ボビン交換要求があるか否かが判定される。このボビン交換要求は、例えば釜内のボビン残糸が少なくなった場合に下糸自動供給装置により自動的に発生するか、またはオペレーターが交換要求スイッチをオンした場合に発生する。
【0096】
そして、これら何れかによるボビン交換要求があると、ステップ7に進み、ステップ7において、ミシン300との干渉を避けるためにミシン動作を禁止してステップ8に進み、ステップ8において、ボビン交換を行う。この時点で、ボビンケース把持手段に把持されている一方のボビンケース2Yは、後述するステップ4またはステップ13の動作により原点位置、すなわち釜1に対向する退避位置にある(図6参照)。なお、説明の都合上、このボビンケースを2Yとし、釜内のボビンケースを2Xとする。
【0097】
そして、回動アーム70を180°回転してボビンケースを把持していないボビンケース把持手段を釜1に対向させた後に前進させ、ボビンケース把持手段により釜内の残糸のあるボビン内蔵のボビンケース2Xをボビンケース把持手段に保持し、その後回動アーム70を後退させる。次いで、回動アーム70を180°回転してボビンケース2Yを釜1に対向させ、その後前進させて釜内にボビンケース2Yを装着し、その後回動アーム70を後退させる。
【0098】
次いで、ステップ9に進み、ステップ9において、ミシン300の動作を許可してステップ10に進み、ステップ10において、残糸除去処理を行う。すなわち、回動アーム70を回転して釜内から取り出したボビンケース2Xを残糸除去位置Bへ進ませて、上記残糸除去装置161によってボビンケース2X内のボビン残糸を除去し、その後回動アーム70を後退させる。
【0099】
次いで、ステップ11に進み、ステップ11において、下糸巻回(糸巻き)処理を行う。この下糸巻回処理について、図21示した下糸巻回処理ルーチンに従って説明する。この下糸巻回処理ルーチンにあっては、それ以前に以下の動作を行う。先ず、ローラ54に、糸巻き200、糸張力可変手段204からの下糸150を1巻きしておく。この時点で、糸張力可変手段204のスイッチをオンにし、上記ソレノイド推力を最大限に発生させて下糸張力を最小とする。
【0100】
次いで、この下糸150の糸端を糸吸引器65の吸引孔65aに挿入し、少々押し込む。次いで、電磁弁68を一時オンにしてエアーチューブ66,67にエアー源からのエアーを流し、吸引孔65aに挿入し押し込まれていた下糸150を、エアーの流れによってエアーノズル67aに導いてその糸端を該エアーノズル67aより露出して導出させる。この導出長LLは、上述のように、下糸端部をボビン軸に絡み付かせるのに必要な長さであって、本実施形態にあっては、55mm程度である。この吸引孔65aに挿入し押し込まれていた下糸150をエアーにより糸吸引器65から搬送してエアーノズル67aから露出して導出させるにあたっては、作業者が手作業で糸巻き200から下糸を凡そ必要な分量予め引っ張って弛ましておいたり、手作業により送り出していくと、より良好に下糸の搬送がなされる。
【0101】
そうしたら、ステップ1において、回動アーム70を回転してボビンケース2Xを下糸巻回位置Cに対向させる。次いで、ステップ2に進み、ステップ2において、回動アーム70を前進させてボビンケース2Xを下糸巻回位置Cに位置させると共にボビン駆動モータM2を一時駆動して、クラッチ機構50aとボビン7とを連結する。
【0102】
次いで、ステップ3に進み、ステップ3において、図23(b)に示されるように、ボビン駆動モータM2を駆動してボビン7を回転させる。次いで、ステップ4に進み、ステップ4において、図23(c)に示されるように、エアーノズル退避モータ37を駆動して、退避位置N2に位置しているエアーノズル67aを作業位置N1に移動する。
【0103】
次いで、ステップ5に進み、ステップ5において、図23(a)に示されるように、エアーノズル67aから糸案内エアーの吹き付けを開始してステップ6に進み、ステップ6において、一定時間待つ。
【0104】
すると、図14に示されるように、エアーノズル67aから導出する下糸端部は、ばたつき等が抑えられた状態でボビンケース2の開口部2Aから良好にボビンケース2内に挿入(案内)されると共にボビン軸下糸巻き付け側XXに案内され、ボビン軸7aの回転とエアーにより形成される渦流との共働によってボビン軸7aに絡み付く。
【0105】
そして、このようにして、糸巻き200からの下糸150がボビン軸7aに絡み付くとローラ54が回転を始め、フォトセンサ60からは、図23(d)に示されるように、パルス波が出力され始める。
【0106】
そうしたらステップ7において、有効下糸巻回量検出手段61で該パルス波を上記一定時間の間に所定の数カウントしたか否かを判定する。ここで、本実施形態においては、パルス波が3個検出された時に下糸150がボビン軸7aに絡み付いたと判定するようになっている。この3個というパルス波の数は安全率を見込んだ値であり、この個数に限定されるものではない。
【0107】
ここで、ステップ7において、パルス波を一定時間の間に所定の数カウントしていない場合には、ボビンケース内に挿入された下糸が例えばボビン軸7aを1周してボビンケース開口部2Aから出てしまったり、ボビンケース2Xの糸掛け案内溝(スリット)2Cやボビンに対する係止爪の隙間等から飛び出してしまう等して所定方向外に行ってしまって該ボビン軸7aに良好に絡み付かず、下糸のボビン軸7aへの絡み付けが失敗したとしてステップ8に進み、ステップ8において、ステッピングモータ37を駆動して、作業位置N1に位置しているエアーノズル67aを作業位置N1と退避位置N2との中間の位置N4に移動する。
【0108】
次いで、ステップ9に進み、ステップ9において、中間の位置N4に位置しているエアーノズル67aを、今度は作業位置N1に移動する。このようにステップ8及びステップ9の動作を行うと、ボビン7に案内された下糸150は、ボビン軸7aに対して下糸の接する方向を特定するように移動され所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようになって良好にボビン軸7aに絡み付く。
【0109】
そうしたら、ステップ10に進み、ステップ10において、上記ステップ7で行ったと同様な判定、すなわちパルス波を一定時間の間に所定の数カウントしたか否かを判定し、パルス波を一定時間の間に所定の数カウントしていない場合には、今度も下糸150がボビン軸7aに良好に絡み付かなかったとしてステップ11に進み、ステップ11において、上記ステップ8及びステップ9で行った動作、すなわち、作業位置N1にあるエアーノズル67aを中間位置N4に移動し、さらにこの中間位置N4に移動したエアーノズル67aを作業位置N1に移動するという動作を3回行ったか否かを判定し、3回行っていない場合にはステップ8にリターンして同様な動作を繰り返し、一方3回行った場合にはこれ以上ステップ8及びステップ9の動作を行っても無駄であるとしてステップ12に進み、ステップ12において、エアーノズル67aからのエアーを停止してステップ13に進み、ステップ13において、エアーノズル退避モータ37を駆動して、作業位置N1にあるエアーノズル67aを退避位置N2に移動する。そして、ステップ4にリターンしてリトライを行わせる。
【0110】
一方、上記ステップ7またはステップ10において、パルス波を一定時間の間に所定の数カウントした場合には、下糸のボビン軸7aへの絡み付けが成功したとして、有効下糸巻回量検出手段61では、これ以降のパルス波を有効下糸巻回量としてカウントしていき、図22に示されるステップ14に進み、ステップ14において、図23(a)に示されるように、エアーノズル67aからの糸案内エアーを停止してステップ15に進み、ステップ15において、エアーノズル退避モータ37を、図23(c)に示されるように駆動して、作業位置N1にあるエアーノズル67aを退避位置N2に移動する。
【0111】
そうしたら、ステップ16に進み、ステップ16において、ボビン駆動モータM2を一時停止してステップ17に進み、ステップ17において、回動アーム70を退避位置に後退してボビン7に対するクラッチ機構50aの連結を一時解除してステップ18に進み、ステップ18において、ボビン駆動モータM2を再駆動し一定時間待ってからステップ19に進み、ステップ19において、ローラ54が回転しているか否か、すなわちボビン7が回転してフォトセンサ60からパルス波が出力されているか否かを判定する。
【0112】
ここで、ローラ54が回転している場合、すなわちフォトセンサ60からパルス波が出力されている場合には、ボビン駆動モータM2に対する連結を遮断しているのにも拘らずボビン7が回転し実際には糸巻き200からの下糸150がボビン軸7aに絡み付いたのではなく、他の回転機構に絡み付いた不具合だと判定するようになっている。このような不具合は、例えばボビンを回転させるボビン駆動モータM2と上記残糸除去装置161の残糸巻取モータとを共通とした場合に起こりやすい。すなわち、下糸巻回時にあって、ボビン駆動モータM2を駆動すると残糸除去装置161の巻取手段も回転することになり、もってこの巻取手段に絡み付く畏れがあるからである。
【0113】
このようにステップ19で下糸巻回不良(正確には下糸絡み付け不良;但しある程度ボビンをボビン駆動モータM2により回転させてボビン軸7aに下糸150をある程度巻回した後に上記判定を行うようにしても良い)と判定した場合にはステップ26に進み、ステップ26において、ボビン駆動モータM2の駆動を停止してステップ27に進み、ステップ27において、エラーフラグをセットして図20に示したフローにリターンする。
【0114】
一方、ステップ19でローラ54が回転していない場合、すなわちフォトセンサ60からパルス波が出力されずに下糸150が他の回転機構に絡み付く不具合が生じていない場合にはステップ20に進み、ステップ20において、ボビン駆動モータM2を再度停止してステップ21に進み、ステップ21において、回動アーム70を退避位置から前進してボビンケース2Xを下糸巻回位置Cに位置させると共にボビン駆動モータM2を一時駆動して、該ボビンケース2X内のボビン7とクラッチ機構50aとを再連結する。
【0115】
次いで、ステップ22に進み、ステップ22において、ボビン駆動モータM2を再度駆動してボビン軸7aに糸巻き200からの下糸150を巻回していく。この時、エアーノズル67a先端とボビン軸7aとの間の距離は長くなっており(ステップ15の動作でエアーノズル67aは退避位置N2にある)、このようにして下糸を巻回していくと、下糸150はボビン軸7a全域に渡って略均一に巻回されることになる。
【0116】
次いで、ステップ23に進み、ステップ23において、判定手段61Bにより、有効下糸巻回量検出手段61で検出されている実際の下糸巻回量と下糸巻回量設定手段61Aから入力された設定下糸巻回量とを比較し、両下糸量が一致したか否かを判定する。ここで、一致しない、すなわち未だ設定下糸巻回量まで下糸を巻回していない場合には一致するまで同様な判定を繰り返し、一方一致する、すなわち設定下糸巻回量まで下糸を巻回した場合にはステップ24に進み、ステップ24において、ボビン駆動モータM2が停止される。すなわち、下糸巻回量設定手段61Aから入力された設定下糸巻回量がボビン軸7aに巻回されることになる。
【0117】
このようにボビン7への下糸150の巻回動作が自動的になされたら、ステップ25に進み、ステップ25において、糸張力可変手段204のスイッチをオフにし、上記ソレノイド推力をなくして下糸張力を最大にした状態で糸掛けを行う。すなわち、ボビン7に巻回されボビンケース開口部2Aより導出する糸巻き200からの下糸150を、ボビンケース2の開放端縁とボビン7外周との隙間を介して糸掛け位置2Bに誘導してスリット溝2Cに導き、下糸張力ばね2D下の下糸導出孔2Hを経て下糸張力ばね用孔2E近傍から導出させる。
【0118】
そうしたら、エアーノズル67aを退避位置N2から糸切り位置N5に移動すると共に、糸張力可変手段204のスイッチをオンし、上記ソレノイド推力を最大限に発生させて下糸張力を最小とした状態で糸切りを行う。この糸切りの結果、ボビンケース2側の下糸は、上述のように、上糸との絡み合いによる縫目形成に必要な長さ、すなわち40mm程度が下糸張力ばね2D下の下糸導出孔2Hを経て下糸張力ばね用孔2E近傍から導出した状態となり、一方糸巻き200側の下糸は、上述のように、ボビン軸7aに下糸を絡ませるのに必要な長さLL、すなわち55mm程度がエアーノズル67a先端から導出した状態となる。
【0119】
このように、エアーノズル67aからはボビン軸7aに下糸を絡ませるのに必要な長さLLの下糸が導出していることから、次回(次次回以降も同様)のボビンに対しても、上記と同様な動作を行えば、同様にして下糸を巻回できる。そうしたら、エアーノズル67aを糸切り位置N5から退避位置N2に移動する。
【0120】
そして、このようにして下糸切断動作が自動的になされたら、図20に示したフローにリターンして図20におけるステップ12に進み、ステップ12において、エラーフラグがセットしてあるか否かを判定し、エラーフラグがセットしてある場合にはステップ23に進み、ステップ23において、エラーフラグをクリアしてステップ24に進み、ステップ24において、エラー表示窓、警告ブザー等の表示手段316によってエラー表示が行われ、オペレーターの介入が促されてステップ25に進み、ステップ25において、ミシン電源スイッチ302がオフか否かを判定し、オンの場合にはオフになるまで同様な判定を繰り返し、オフの場合すなわちオペレーターによりミシン電源スイッチ302がオフされた場合にはステップ22に進み、ステップ22において、リレースイッチ303をオフし下糸自動供給装置自らの電源を遮断する。
【0121】
一方、ステップ12において、エラーフラグがセットされていない場合にはステップ13に進み、ステップ13において、回動アーム70を退避位置に後退させ、その後回動してボビンケース2Xを釜1に対向させて待機状態とする。
【0122】
次いで、ステップ14に進み、ステップ14において、退避位置N2にあるエアーノズル67aを一時的に中間位置N4に移動してステップ15に進み、ステップ15において、電磁弁68を駆動してエアーノズル67aからエアーを吹き出させてステップ16に進み、ステップ16において、一定時間待ってステップ17に進み、ステップ17において、電磁弁68の駆動を停止してエアーノズル67aからのエアー吹き出しを停止する。
【0123】
このようにエアーノズル67aからエアーを吹き出すと、当該エアーが、上記図22のフローのステップ25で糸切りがなされた糸巻き200からの糸端に吹き付けられることになり、このエアーによって該糸端の切断による捩れがとられるようになる。このようにして糸端の切断による捩りをとると、当該下糸端部が次の下糸巻回時にボビン軸に良好に絡み付くことになる。また。該下糸端部が次ボビンケース開口部2Aからボビンケース内に良好に挿入されるようになる。
【0124】
そうしたら、ステップ18に進み、ステップ18において、中間位置N4にあるエアーノズル67aを退避位置N2に戻してステップ19に進み、ステップ19において、ミシン電源スイッチ302がオフか否かが判断される。従って、上記ステップ8〜18における各装置の処理動作中にミシン電源スイッチ302がオフになっても、ステップ8〜18における一連の処理動作を全て行ってボビン交換待機状態とするようになっている。
【0125】
そして、上記ステップ6において、ボビン交換要求がない場合もステップ19に進み、ステップ19において、ミシン電源スイッチ302がオンと判定された場合にはステップ6にリターンする。すなわち、ミシン電源スイッチ302がオンの場合には、ボビンケース把持手段に把持されているボビンケース2Xを原点位置に位置した状態でボビン交換要求を待つ。オフと判定された場合、すなわちオペレーターによりミシン電源スイッチ302がオフされた場合にはステップ20に進む。
【0126】
次いで、ステップ20において、回動アーム70を所定ステップ前進させて、図24に示されるように、ボビンケース2Xを釜1に対向接近する位置まで移動する。この結果、強引に回動アーム70を人手で回転または後退させない限り、ボビンケース2X及び釜内のボビンケース2Yは取り出せなくなる。因に、本実施形態にあっては、この位置でのボビンケース把持手段の周囲には障害物があることから、回動アーム70の回転が規制されており回転不可能な状態にある。
【0127】
次いで、ステップ21に進み、ステップ21において、現在の状態がRAM(不揮発性メモリー)308に記憶されると共に、正常な電源遮断処理が行われたことが上記RAM308に記憶される。そして、ステップ22に進み、ステップ22おいて、リレースイッチ303をオフし下糸自動供給装置自らの電源を遮断する。
【0128】
その後にミシン電源スイッチ302が再び投入されると、図20に示したステップ1に戻って、まず前回における電源遮断時の状態及び正常な電源遮断処理を踏んでいたかどうかの情報がRAM308から読み出される。
【0129】
次いで、ステップ2に進み、ステップ2において、初期化動作が最も効率的な方法で実行される。そして、この初期化動作が終了したら、ステップ3に進み、ステップ3において、前回正常な電源遮断処理を踏んでいたかどうかが判断され、正常な電源遮断処理であった場合、すなわちオペレーターによりミシン電源スイッチ302がオフされた場合にはステップ4に進み、そうでなかった場合、例えば不意の停電等により正常な電源遮断処理を踏んでいない場合には、エラー表示窓、警告ブザー等の表示手段316によってエラー表示が行われ、オペレーターの介入が促されてステップ26に進む。
【0130】
ステップ4では、上記回動アーム70を所定ステップ数で後退させて原点検出を行い、上記と同じ(ステップ20)ステップ数で原点検出したか否かが判定される。ここで、ミシン電源スイッチ302のオフ中に、オペレーターがボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出していると、回動アーム70の位置が上記の釜1に対向接近する位置から移動していることから、上記と同じステップ数では原点検出しない。一方、オペレーターがボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出していないと、回動アーム70の位置が上記の釜1に対向接近する位置にあることから、回動アーム70は上記と同じステップ数で原点位置に復帰する。そして、同じステップ数で原点検出しなかった場合、すなわちボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出した場合には、エラー表示窓、警告ブザー等の表示手段316によってエラー表示が行われ、オペレーターの介入が促されてステップ26に進む。
【0131】
なお、回動アーム70を上記と同じ(ステップ20)ステップ数で後退させた時に、ボビンケース2Xが原点位置にあるか否を判別し、これによりオペレーターがボビンケース2X、釜内のボビンケース2Yを取り出しているか否かを判断するようにしても良い。
【0132】
ステップ26では、オペレーターの介入を待ち、オペレータによるボビンチェック及び残糸除去処理並びに再セットが行われてステップ27に進み、ステップ27において、上記ステップ11で説明したのと同様な下糸巻回処理を行ってステップ28に進み、ステップ28において、エラーフラグがセットされているか否かを判定し、セットされている場合には上述したステップ23に進み、セットされていない場合にはステップ29に進み、ステップ29において、ステップ27で各処理を行ったボビンを収容したボビンケースを釜1に装着して上述したステップ11に進み、ステップ11において、他方のボビンケースに対する下糸巻回処理を行う。そして、以降の動作を同様にして行う。
【0133】
なお、最初にボビンケース把持手段にボビンを収容したボビンケースを把持させる場合には、回動アーム側から手を差し込んで、当該ボビンケースを中釜軸5に装着するのと同様に手の平を返すことなくダミー軸6に押し込んで、該ボビンケースをダミー軸6に装着し、ボビンケース把持手段をダミー軸6に対向させた後に前進させて、該ダミー軸6に保持されているボビンケースをボビンケース把持手段に把持させれば良い。
【0134】
また、使用しているボビン、ボビンケースを交換する場合には、当該ボビンケースを把持したボビンケース把持手段をダミー軸6に対向させた後に前進させれば、該ボビンケース把持手段に把持されているボビンケース2をダミー軸6に受け渡すことができる。そして、ダミー軸6に保持されたボビンケース2を取り出す場合には、中釜軸5からボビンケース2を取り出すのと同様に、回動アーム側から手を差し込めば、手の平を返すことなくダミー軸6に保持されているボビンケースを取り出すことができる。
【0135】
このように、第1実施形態においては、糸切り装置91,116による糸切り処理後且つエアーノズル67aが次ボビンに対してエアーによる下糸案内処理を行う前に、電磁弁68を駆動してエアーノズル67aからエアーを吹き出させて糸切りがなされた糸巻き200からの糸端にエアーを吹き付け、このエアーによって当該糸端の切断による捩れをとり、次の下糸巻回時に、当該下糸端部を次のボビン軸7aに良好に絡み付けて下糸巻回を行い得るようにすると共に、該下糸端部をボビンケース開口部2Aからボビンケース2内に良好に挿入して下糸巻回を行い得るように構成しているので、信頼性を向上することが可能となっている。
【0136】
また、第1実施形態においては、上記エアーを下糸案内を行うエアーノズル67aからのエアーとし、別のエアーノズルを設けてこの別のエアーノズルから糸切りがなされた糸端にエアーを吹き付けるようにしていないので、上述した効果を低コストにて得ることができるようになっている。
【0137】
また、第1実施形態においては、エアーノズル67aの位置を、作業位置N1と中間位置N4とに繰り返し所定回数移動して、ボビン軸7aに案内された下糸150をボビン軸7aに対して下糸の接する方向を特定するするように移動し、所定方向外に向かう下糸を所定方向に向かうようにして確実にボビン軸に絡み付け可能とし、当該ボビンに巻回し得るように構成しているので、信頼性を向上することが可能となっている。
【0138】
また、第1実施形態においては、下糸巻回の途中で、ボビン駆動手段M2とボビン7との連結をクラッチ機構50aによって一時遮断し、この遮断時に、糸供給検出機構Fによって検出される下糸150の変位の有無に基づいて、下糸巻回良否判定手段78によって下糸巻回の良否を判定し、糸供給検出機構Fによって下糸150の変位が検出された場合には、下糸巻回良否判定手段78によって糸巻き200からの下糸150がボビン軸7aに巻回されずに例えば他の回転機構に絡まって当該回転機構に巻回された下糸巻回不良と判定するように構成しているので、下糸巻回不良に起因する不具合の発生を防止できるようになっており、信頼性を向上することが可能となっている。
【0139】
図25は本発明の第2実施形態における下糸巻回装置の制御動作手順の要部の流れを表したフロー図、図26はこの第2実施形態における下糸移動手段を下糸吸引器と共に表した図である。
【0140】
この第2実施形態にあっては、図26に示されるように、糸供給検出機構Fと糸吸引器65との間における糸巻き200からの下糸150を押圧可能なエアーシリンダ77が備えられている。すなわち、このエアーシリンダ77は、そのシリンダヘッド77aを突出することで、図26(b)に示されるように、上記下糸150に張力を付与し、そのシリンダヘッド77aを引っ込めることで、図26(a)に示されるように、上記下糸150に付与した張力を解除し、第1実施形態と同様に、ボビンケース2内のボビン軸7aに対して下糸150を移動し得るようになっている。
【0141】
また、第2実施形態にあっては、第1実施形態で説明した通電タイミング制御手段315の第1の機能を、エアーノズル67aを、ボビン軸7aへの下糸絡み付け時に作業位置N1に位置させ、下糸巻回時及び糸掛け時並びに待機時に、退避位置N2に位置させ、糸切り時に糸切り位置N5に位置させるように下糸巻回装置制御手段401に動作指令信号を発する機能に代えていると共に、上記ボビン軸7aへの下糸絡み付け時に、有効下糸巻回量検出手段から下糸が絡み付いていないという出力がなされると、上記エアーシリンダ77のシリンダヘッド77aの突出、引き込み動作を所定回数繰り返して行わせる、すなわち下糸150に対して張力を間欠に付与させる構成になされている。
【0142】
次に、このような制御装置を用いた第2実施形態における下糸巻回装置の制御動作について図25に示したフローチャートにより説明する。なお、下糸巻回装置以外の下糸自動供給装置全体の制御動作は図20に示した第1実施形態のフローと同じである。
【0143】
先ず、図25におけるステップ1〜7までの制御動作は、図21に示した第1実施形態のフローのステップ1〜7までの制御動作と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0144】
そして、ステップ7において、有効下糸巻回量検出手段61でパルス波を一定時間の間に所定の数カウントしていない場合には、ボビンケース内に挿入された下糸が例えばボビン軸7aを1周してボビンケース開口部2Aから出てしまったり、ボビンケース2Xの糸掛け案内溝(スリット)2Cやボビンに対する係止爪の隙間等から飛び出してしまう等して所定方向外に行ってしまって該ボビン軸7aに良好に絡み付かず、下糸のボビン軸7aへの絡み付けが失敗したとしてステップ8に進み、ステップ8において、上記エアーシリンダ77のシリンダヘッド77aの突出動作を行わせてステップ9に進み、ステップ9において、該シリンダヘッド77aの引き込み動作を行わせる。このようにステップ8及びステップ9の動作を行うと、ボビン7に案内された下糸150は、第1実施形態と同様にボビン軸7aに対して下糸の接する方向を特定するように移動され、所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようになって、良好にボビン軸7aに絡み付く。
【0145】
そうしたら、ステップ10に進み、ステップ10において、上記ステップ7で行ったと同様な判定、すなわちパルス波を一定時間の間に所定の数カウントしたか否かを判定し、パルス波を一定時間の間に所定の数カウントしていない場合には、今度も下糸150がボビン軸7aに良好に絡み付かなかったとしてステップ11に進み、ステップ11において、上記ステップ8及びステップ9で行った動作、すなわち、シリンダヘッド77aの突出、引き込み動作を3回行ったか否かを判定し、3回行っていない場合にはステップ8にリターンして同様な動作を繰り返し、一方3回行った場合にはこれ以上ステップ8及びステップ9の動作を行っても無駄であるとしてステップ12に進み、以降は図21及び図22に示した第1実施形態のフローと同じとなる。
【0146】
このように構成しても、第1実施形態と同様な効果を得ることができるというのはいうまでもない。
【0147】
図27は本発明の第3実施形態における下糸巻回装置の制御動作手順の要部の流れを表したフロー図である。
【0148】
この第3実施形態にあっては、第1実施形態で説明した通電タイミング制御手段315の第1の機能を、エアーノズル67aを、ボビン軸7aへの下糸絡み付け時に作業位置N1に位置させ、下糸巻回時及び糸掛け時並びに待機時に、退避位置N2に位置させ、糸切り時に糸切り位置N5に位置させるように下糸巻回装置制御手段401に動作指令信号を発する機能に代えていると共に、上記ボビン軸7aへの下糸絡み付け時に、有効下糸巻回量検出手段から下糸が絡み付いていないという出力がなされると、ボビンケース把持手段に把持されているボビンケース2を(ボビン軸線方向に)所定回数前進・後退させるようにボビン交換装置制御手段402に動作指令信号を発する機能を加えている。
【0149】
次に、このような制御装置を用いた第3実施形態における下糸巻回装置の制御動作について図27に示したフローチャートにより説明する。なお、下糸巻回装置以外の下糸自動供給装置全体の制御動作は図20に示した第1実施形態のフローと同じである。
【0150】
先ず、図27におけるステップ1〜7までの制御動作は、図21に示した第1実施形態のフローのステップ1〜7までの制御動作と同じであるので、ここでの説明は省略する。
【0151】
そして、ステップ7において、有効下糸巻回量検出手段61でパルス波を一定時間の間に所定の数カウントしていない場合には、ステップ8に進み、ステップ8において、ボビンケース把持手段に把持されているボビンケース2Xの前進動作(ベース板3に向かう動作)を行わせてステップ9に進み、ステップ9において、ボビンケース2Xの後退動作(ベース板3から離間する動作)を行わせる。このようにステップ8及びステップ9の動作を行うと、ボビン7に案内された下糸150に対してボビン軸7aが下糸の接する方向を特定するように移動して、第1実施形態と同様に所定方向外に向かう下糸は所定方向に向かうようになって良好にボビン軸7aに絡み付く。
【0152】
そうしたら、ステップ10に進み、ステップ10において、上記ステップ7で行ったと同様な判定、すなわちパルス波を一定時間の間に所定の数カウントしたか否かを判定し、パルス波を一定時間の間に所定の数カウントしていない場合には、今度も下糸150がボビン軸7aに良好に絡み付かなかったとしてステップ11に進み、ステップ11において、上記ステップ8及びステップ9で行った動作、すなわち、ボビン7の前進・後退動作を3回行ったか否かを判定し、3回行っていない場合にはステップ8にリターンして同様な動作を繰り返し、一方3回行った場合にはこれ以上ステップ8及びステップ9の動作を行っても無駄であるとしてステップ12に進み、以降は図21に示した第1実施形態のフローと同じとなる。
【0153】
このように、ボビン軸7aに案内された下糸150に対してボビン軸7aを移動するように構成しても、先の実施形態と同様な効果を得ることができるというのはいうまでもない。
【0154】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であるというのはいうまでもなく、例えば、上記実施形態の下糸巻回装置162を、本出願人が先に出願した特願平6−285932号明細書に記載のように、糸巻き200からの下糸150をエアーノズル67aの先端から導出しこの下糸を強制的に繰り出し手段により繰り出しながらエアーによりボビンケース開口部2Aを介してボビンケース2内に案内する下糸巻回装置に代えても良い。
【0155】
また、上記実施形態においては、糸巻き200からの下糸150をボビンケース開口部2Aから挿入してボビン7に巻回するようにした下糸巻回装置に対する適用形態が述べられているが、ボビンケース2から分離されたボビン7に下糸150を巻回するようにした下糸巻回装置に対しても適用可能である。
【0156】
また、上記実施形態においては、エアーノズル67aからエアーを吹き出すことによりこのエアーを糸切りがなされた糸巻き200からの糸端に吹き付けて、該糸端の捩れをとるようにしているが、別のエアーノズルを設けこの別のエアーノズルから糸切りがなされた糸端にエアーを吹き付けるようにして、該糸端の捩れをとるようにしても良い。
【0157】
また、上記実施形態においては、下糸絡み付け時に、エアーノズル67aを作業位置N1と中間位置N4とに所定回数繰り返し移動するようにしているが、作業位置N1と退避位置N2との間内で繰り返し所定回数進退するように構成しても良い。
【0158】
さらにまた、下糸移動手段は上記実施形態のものに限定されるものではなく、要はボビン7に案内された下糸150を、ボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように相対的に移動して、所定方向外に向かう下糸を所定方向に向かうようにして確実にボビン軸7aに絡み付け可能なものであればどのようなものであっても構わない。
【0161】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1の下糸巻回装置によれば、下糸供給源からの下糸を、糸案内手段によってその導出部から導出してボビンに案内し、このボビンに案内された下糸をボビン駆動手段によるボビン回転との共働によってボビン軸に絡み付けるにあたって、該ボビンに案内された下糸を、下糸移動手段によってボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように相対的に移動して、例えば所定方向外に向かう下糸を所定方向に向かうようにして、確実にボビン軸に絡み付け可能とし、当該ボビンに巻回し得るように構成したものであるから、信頼性を向上することが可能となる。
【0162】
また、請求項2の下糸巻回装置によれば、請求項1に加えて、糸案内手段の導出部を、下糸移動手段としての糸案内移動手段によって、ボビン近傍の作業位置とこの作業位置から離間する退避位置との間内で繰り返し所定回数進退して、ボビンに案内された下糸を、ボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように移動して、例えば所定方向外に向かう下糸を所定方向に向かうようにし得るように構成したものであるから、請求項3と同様な効果を得ることが可能となる。
【0163】
また、請求項3の下糸巻回装置によれば、請求項1に加えて、下糸供給源からの下糸に対して、下糸移動手段としての張力間欠付与手段によって張力を間欠に付与し、ボビンに案内された下糸を、ボビン軸に対して下糸の接する方向を特定するように移動して、例えば所定方向外に向かう下糸を所定方向に向かうようにし得るように構成したものであるから、請求項3と同様な効果を得ることが可能となる。
【0164】
また、請求項4の下糸巻回装置によれば、請求項1に加えて、ボビンに案内された下糸に対して、下糸移動手段としてのボビン移動手段によってボビンを軸線方向に所定回数前進・後退し、ボビンに案内された下糸に対してボビン軸を下糸の接する方向を特定するように移動して例えば所定方向外に向かう下糸を所定方向に向かうようにし得るように構成したものであるから、請求項3と同様な効果を得ることが可能となる。
【0165】
また、請求項5の下糸巻回装置によれば、ボビン駆動手段とボビンとの間をクラッチ手段により連結し、該ボビン駆動手段を駆動しボビンを回転することによって、下糸供給源からの下糸をボビンに巻き付け可能とし、この下糸巻回の途中で、該ボビン駆動手段とボビンとの連結を該クラッチ手段によって一時遮断し、この遮断時に、変位検出手段によって検出される下糸の変位の有無に基づいて、判定手段によって下糸巻回の良否を判定し、変位検出手段によって例えば下糸の変位が検出された場合には、判定手段によって下糸供給源からの下糸がボビンに巻回されずに例えば他の回転機構に絡まって当該回転機構に巻回されるという下糸巻回不良と判定するように構成したものであるから、下糸巻回不良に起因する不具合の発生を防止でき、信頼性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における下糸自動供給装置を表した概略正面図である。
【図2】同上下糸自動供給装置に採用されたボビン交換装置の正面図である。
【図3】同上ボビン交換装置の平面図である。
【図4】同上ボビン交換装置における直動機構部分を表した右側面図である。
【図5】同上ボビン交換装置における回動機構部分を表した右側面図である。
【図6】同上ボビン交換装置のダミーポジション及びダミー軸を説明するための概略右側面図である。
【図7】同上下糸自動供給装置に採用された下糸巻回装置のボビン駆動機構及びエアー案内機構を表した上面図である。
【図8】同上ボビン駆動機構及びエアー案内機構の正面図である。
【図9】同上下糸巻回装置の糸供給検出機構を表した正面図である。
【図10】同上糸供給検出機構の右側面図である。
【図11】同上下糸巻回装置の糸張力可変手段を表した正面図である。
【図12】同上エアー案内機構の下糸吸引器を表した横断面図である。
【図13】同上ボビン駆動機構の斜視図である。
【図14】下糸挿入を行うエアーノズルの下糸絡み付け時におけるボビンケース及びボビン軸に対する位置関係を表した説明図である。
【図15】ボビン軸の下糸巻き付け側を説明するための図である。
【図16】糸切り時におけるエアー案内機構のエアーノズルと糸切り装置とボビンケースの位置関係を表した説明図である。
【図17】同上実施形態に採用されたボビンケースの斜視図である。
【図18】同上実施形態における装置全体の構成を表したブロック図である。
【図19】同上実施形態における制御系を表したブロック図である。
【図20】同上下糸自動供給装置の制御動作手順の流れを表したフロー図である。
【図21】同上下糸巻回装置の制御動作手順の流れを表したフロー図である。
【図22】図21に続くフロー図である。
【図23】同上下糸巻回装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図24】各装置への通電遮断時における同上ボビン交換装置の要部のみを表した右側面図である。
【図25】本発明の第2実施形態における下糸巻回位置の制御動作手順の要部の流れを表したフロー図である。
【図26】同上第2実施形態における下糸移動手段を下糸吸引器と共に表した図である。
【図27】本発明の第3実施形態における下糸巻回装置の制御動作手順の要部の流れを表したフロー図である。
【符号の説明】
2,2X,2Y ボビンケース
7 ボビン
7a ボビン軸
37 糸案内移動手段(下糸移動手段)
50a クラッチ手段
67a 導出部
77 張力間欠付与手段(下糸移動手段)
78 下糸巻回良否判定手段
91,116 糸切り装置
150 下糸
160 ボビン移動手段(下糸移動手段;ボビン交換装置)
162 下糸巻回装置
200 下糸供給源
315 通電タイミング制御手段
400 下糸自動供給装置制御手段
401 下糸巻回装置制御手段
402 ボビン交換装置制御手段
C 下糸巻回位置
E,M2 ボビン駆動手段
F 変位検出手段(糸供給検出機構)
G 糸案内手段(エアー手段)
N1 作業位置
N2 退避位置
N4 作業位置と退避位置との間の位置
N5 糸切り位置
Claims (5)
- 下糸供給源からの下糸を導出する導出部を有し、ボビン軸に前記下糸の端部を絡み付かせるボビン近傍の作業位置で、その導出部から導出する当該下糸の端部をボビンに案内する糸案内手段と、
この糸案内手段から導出される下糸の端部を、前記ボビン軸に絡み付けて巻き付けるように該ボビンを回転させるボビン駆動手段と、
前記ボビン軸への下糸絡み付け時に下糸の巻回の良否を判定し、不良なときに前記糸案内手段から導出された下糸の端部を相対的に移動させ、前記ボビン駆動手段により回転されるボビン軸との共働により該下糸の端部を前記ボビン軸に絡み付ける下糸移動手段と、を具備したことを特徴とする下糸巻回装置。 - 請求項1記載の下糸巻回装置において、
前記下糸移動手段は、糸案内手段の導出部を、前記作業位置と該作業位置からボビンに対して離間する退避位置との間内で繰り返し所定回数進退させる糸案内移動手段であることを特徴とする下糸巻回装置。 - 請求項1記載の下糸巻回装置において、
下糸移動手段は、下糸供給源からの下糸に間欠に張力を与える張力間欠付与手段であることを特徴とする下糸巻回装置。 - 請求項1記載の下糸巻回装置において、
下糸移動手段は、ボビンを軸線方向に所定回数前進・後退させるボビン移動手段であることを特徴とする下糸巻回装置。 - 前記下糸移動手段は、
前記ボビン駆動手段と前記ボビンとの間を連結・遮断可能なクラッチ手段と、
前記下糸の変位の有無を検出する変位検出手段と、
前記ボビンに対する下糸巻回の途中に、前記クラッチ手段により前記ボビン駆動手段とボビンとの連結を一時遮断し、この遮断時に前記変位検出手段からの変位の有無に基づいて、途中まで行った下糸巻回の良否を判定する判定手段と、
を具備したことを特徴とする請求項1記載の下糸巻回装置。
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