JP3637668B2 - 熱転写供与材料および熱転写材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写供与材料と受像材料からなる熱転写材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファクシミリ、複写機あるいはプリンターなどに用いられる記録方式として、電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写方式などによるカラー記録技術が検討されている。感熱転写記録方式では、装置の保守や、操作が容易で、装置や消耗品が安価であるため、他の方式に比べ有利な点が多い。
感熱転写方式には、ベースフィルム上に熱溶融性インキ層を形成させた転写シートを、熱ヘッドにより加熱して、該インキを溶融し、受像層上に転写記録する溶融転写方式と、ベースフィルム上に熱移行性色素を含有する色材層を形成させた熱転写色素供与材料を熱ヘッドにより加熱して色素を熱転写受像材料上に転写させる熱移行転写方式とがあるが、熱移行転写方式は熱ヘッドに与えるエネルギーを変えることにより色素の移行量を制御することができるので、階調記録が容易になり、高精細、かつ高画質のフルカラー記録には特に容易である。
【0003】
熱移行転写方式で使用する色素は、加える熱エネルギーを小さくするため、また転写記録速度を上げるため、できるだけ熱移行しやすい色素が望ましいが、熱移行しやすい色素は熱転写後、受像層中で移動して、画像の先鋭度が低下したり、接触物に移行して汚染を生ずることから、熱転写後の記録安定性に問題があること、また熱転写色素供与材料の保存中、色素が結晶化して、それを使用して熱移行転写すると画像がムラになり、高画質の画像が得られない、あるいは、熱移行転写後、受像層中で色素が結晶化して画像にムラが生じる等の問題があり、これらを満足する方法が望まれていた。
これらの問題を解決するため種々の方法が検討されている。例えば、特開平5−112080号公報および特開平5−201148号公報が提案されているように、色材層中あるいは、熱移行転写後の受像紙中での色素の保存安定性、転写濃度等において更に改善が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を克服した熱転写供与材料、およびこの熱転写供与材料を活性水素化合物を含む受像層を有する受像材料とを組合わせた熱転写材料を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、支持体上に色素層を有する熱転写供与材料であって、該色素層が下記一般式(I)
【0006】
【化2】
【0007】
(式中、Dは色素母体残基を表し、Aは単結合または2価の連結基を表し、Xは塩素原子または、フッ素原子を表し、Rは、−O(Cm H2mO)n −R1 、−SR1 または、−N(R1 )2 (mは、2または3の整数を示し、nは0または1を示し、R1 は、炭素数2〜8のアルキル基を表す。)で示される色素を含有するとする熱転写供与材料、およびこれと受像材料とを組合わせた熱転写材料に存する。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される色素母体残基Dは、特に制限はなく、例えば、アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾメチン系、メチン系、ナフトキノン系化合物等が挙げられる。
Dで示されるアゾ系化合物としては、例えば、下記一般式(IIA)で示される化合物が挙げられる。
【0009】
【化3】
【0010】
環Aは、ベンゼン環、チアゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、ピラゾール環、ピリドン環を示し、置換基を有していても良い。環Bはベンゼン環またはナフタレン環を示し、置換基を有していても良い。環Aまたは環Bのいずれかが、前記一般式(I)における置換基
【0011】
【化4】
【0012】
を含有する置換基で置換されている。
環Aの置換基としては、アミノ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、夫々炭素数1〜8程度の置換基を有していても良いアルキル基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基等が挙げられ、環Bの置換基としては、アミノ基、夫々置換基を有していても良いアシルアミノ基、炭素数1〜8程度のアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシ基、あるいはアルキル基等が挙げられる。
【0013】
更に、好ましくは、環Aが置換基を有していても良いベンゼン環、チアゾール環、イミダゾール環、あるいはチアジアゾール環で環Bが置換基を有していても良いジアルキルアミノ基で置換されたベンゼン環の組合わせの化合物、環Aが置換基を有していても良いピラゾール環またはピリドン環で、環Bがジアルキルアミノ基で置換されていないベンゼン環の組合わせの化合物が挙げられる。
Dで示されるアントラキノン系色素としては、例えば下記の一般式(IIB1 )あるいは(IIB2 )で示される化合物が挙げられる。
【0014】
【化5】
【0015】
環CおよびDは、アミノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、フェノキシ基、炭素数1〜8程度のアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、アリールチオ基、アリールアミノ基、アリール基等で置換されていても良く、これらの置換基は置換基を有していても良く、環Cまたは環Dのいずれか、または置換基R2 が、前記一般式(I)における置換基
【0016】
【化6】
【0017】
を含有する置換基で置換されている。
Dで示されるキノフタロン系色素としては、例えば下記の一般式(IIC)で示される化合物が挙げられる。
【0018】
【化7】
【0019】
環E、環Fまたは環Gは、アミノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、夫々炭素数1〜8程度のアルキル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基等で置換されていても良く、更に、これらの置換基は置換基を有していても良く、環E、環Fまたは環Gのいずれかが、前記一般式(I)における置換基
【0020】
【化8】
【0021】
を含有する置換基で置換されている。
Dで示されるアゾメチン系色素としては、例えば下記の一般式(IID)で示される化合物が挙げられる。
【0022】
【化9】
【0023】
環Hは、置換基を有していてもよい窒素原子を1〜3個有するヘテロ環と縮合していても良い窒素原子を1〜3個有する5〜6員のヘテロ環、イオウ原子を1個有する5〜6員のヘテロ環、置換基を有していても良いインダン環、置換基を有していても良いベンゾキノン環または、ナフトキノン環を示し、環Iは置換基を有していても良いベンゼン環を示し、環Hまたは環Iのいずれかが、前記一般式(I)における置換基
【0024】
【化10】
【0025】
を含有する置換基で置換されている。
更に、具体的には、環Hの置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有していても良い炭素数1〜8程度のアルキル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アリールアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基が好ましく、環Iの置換基としては、ヒドロキシ基、炭素数1〜8程度のヒドロキシ基のテトラアルキルアンモニウム塩、置換基を有していてもよい炭素数1〜8程度のジアルキルアミノ基が好ましい。環Hと環Iの組合わせとしては、環Hが置換基を有していても良いアシルアミノ基またはアルコキシカルボニルアミノ基を有するベンゾキノン環、または、置換基を有していても良いアルキルアミノカルボニル基またはジアルキルアミノカルボニル基で置換されたナフトキノン環で環Iがヒドロキシ基、ヒドロキシ基のテトラアルキルアンモニウム塩、置換基を有していてもよいジアルキルアミノ基を有するベンゼン環の組合わせが好ましい。
Dで示されるメチン系色素としては、例えば下記の一般式(IIE1 )〜(IIE3 )で示される化合物が挙げられる。
【0026】
【化11】
【0027】
環Jは、アミノ基、ヒドロキシ基、夫々炭素数1〜8程度のジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アシルアミノ基等で置換されていても良く、更に、これらの置換基は置換基を有していても良く、Xは、=O、=C(CN)2 、−S−または、−SO2 −を示し、環Nは、前記一般式(I)における置換基
【0028】
【化12】
【0029】
を含有する置換基で置換されている。
Dで示されるナフトキノン系色素としては、例えば下記の一般式(IIF)で示される化合物が挙げられる。
【0030】
【化13】
【0031】
環Kおよび環Lは、アミノ基、炭素数1〜8程度のアルキルアミノ基またはアリールアミノ基で置換されていても良く、これらの置換基は、置換基を有していても良く、環Gまたは環Hのいずれかが、前記一般式(I)における置換基
【0032】
【化14】
【0033】
を含有する置換基で置換されている。
一般式(I)における連結基Aは単結合または2価の連結基を表すが、2価の連結基の具体例としては、−NH−、−O−、−S−、−NR3 C2 H4 O−、−NR3 C2 H4 NH−、−NR3 C3 H6 O−、−NR3 C3 H6 NH−、NR3 COCH2 NH−、−NR3 COCH2 O−、−NHC6 H4 NH−、−OC6 H4 O−、−SC6 H4 O−、−SC6 H4 NH−、−OC6 H4 S−、−NHC6 H4 S−、−NHC6 H4 O−、−OC6 H4 NH−、−C6 H4 NH−、−C6 H4 O−、−CONHC6 H4 O−、−CONHC6 H4 NH−、−COOC6 H4 O−、−COOC6 H4 NH−、−CONHC2 H4 O−、−CONHC2 H4 NH−、−COOC2 H4 O−、−COOC2 H4 NH−、−NHCOC6 H4 O−、−NHCOC6 H4 NH−、−C2 H4 O−、−C3 H6 O−、−C2 H4 NH−、−C3 H6 NH−、−SO2 NHC2 H4 O−、−SO2 NHC2 H4 NH−、−OCO2 C2 H4 NH−、−OCO2 C2 H4 O−、−NHCO2 C2 H4 O−、−NHCO2 C2 H4 NH−、−OCONHC2 H4 NH−、−OCONHC2 H4 O−、−NHCONHC2 H4 O−、−NHCONHC2 H4 NH−、−NHCONH−(R3 は、水素原子または、炭素数1〜8のアルキル基を示す。)等を挙げることが出来る。
【0034】
本発明で使用される色素としては、例えば、特開昭53−139884号、特開昭54−61230号、特開昭54−68835号、特開昭54−73988号、特開昭57−190052号、特開昭60−112861号、特開昭60−173061号公報等に記載の色素を用いることが出来、具体例としては、以下に例示の色素を挙げることが出来るが、これらにより、本発明が特に限定されるものではない。
【0035】
【化15】
【0036】
【化16】
【0037】
【化17】
【0038】
【化18】
【0039】
【化19】
【0040】
【化20】
【0041】
【化21】
【0042】
【化22】
【0043】
【化23】
【0044】
【化24】
【0045】
本発明の熱移行性色素は、通常、該色素をバインダー樹脂と共に、媒体中に溶解あるいは微粒子状に分散させることによりインキを調製し、該インキを支持体上に塗布、乾燥することにより、支持体上に色素供与層が形成された熱転写供与材料を得、熱転写方式の画像形成に使用する。
本発明の熱転写方式による画像形成方法でフルカラーの画像を形成するには、イエロー、マゼンタ、シアンの3色の色素を使用する。各々の色素は同一の2種以上の本発明色素または、本発明の色素と公知の色素を混合して使用しても良い。3種の色素はシート状または、ロール状の支持体上に各々独立な領域を形成する様に配置される。例えば、イエロー領域、マゼンタ領域、シアン領域を面順次で配置する。
【0046】
支持体としては、コンデンサー紙、グラシン紙のごとき薄葉紙、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアラミドのような耐熱性の良好なプラスチックフィルムが適している。それらの厚さとしては3〜50μmの範囲を挙げることが出来る。
上記のベースフィルムのうち、ポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐溶剤性、経済性などを考慮すると有利である。また場合によっては、ポリエチレンテレフタレートフィルムの耐熱性、サーマルヘッドの走行性等を改良するために色素供与層の反対面に、界面活性剤、滑性の高い耐熱性粒子などを設けてもよい。
【0047】
上記のインキ調製の為のバインダー樹脂としては、熱転写記録時に受像層との熱融着を防ぐ為、耐熱性の良好なものを用いるが、特に軟化点または熱変形温度が10℃以上のものが好ましい。具体的には、セルロース系、アクリル酸系、デンプン系等の水溶性樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、AS樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、エチルセルロース、アセチルセルロース、ポリアミド、尿素樹脂等の有機溶剤あるいは水に可溶の樹脂等が挙げることが出来る。これらの樹脂は色素100重量部に対して、20〜500部の割合で使用するのが好ましい。
【0048】
インキ調製の為の溶媒としては、水、メチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のセルソルブ類、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロルエチレン等の塩素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等の有機溶剤を挙げることが出来る。これらは、単独または混合して使用する。
【0049】
インキをベースフィルム上に塗布する方法としては、リバースロールコーター、グラビアコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等を使用することが出来、インキを塗布乾燥して形成される色素供与層の厚さは、0.1〜5μmの範囲が好ましい。
上記のインキ中には、上記の成分の他に、熱転写供与材料と受像材料との離型性を向上させる為に離型剤を含有させることが出来る。また、色素層上に離型層を塗布するなどして形成させることもできるが、色移り特性等本発明の効果をより有効に達成するためにはインキ中に含有させることがより好ましい。離型剤としては、ポリエチレンワックス、フッ素系化合物、シリコーン系化合物等いずれの離型剤でも使用出来るが、このうちシリコーン系化合物が好ましい。シリコーン化合物としては、カルボキシ変性、アミノ変性または、エポキシ変性シリコーンオイルまたは樹脂を挙げることが出来る。例えば、信越化学工業(株)製のX−22−3710、KF−393、KF−105等が有効である。
また、フェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、チアゾリドン系等の紫外線吸収剤を添加して使用しても良い。また、塗布性改良、剥離性改良、帯電防止改良の目的で公知の界面活性剤、特に好ましくは、フッ素系界面活性剤を添加して使用出来る。
【0050】
本発明の熱転写供与材料と組合わせて使用する受像材料は、支持体上に受像層を有する。該受容層はバインダー樹脂、該樹脂に色素を受容しうる化合物を添加したものである。
受容層に使用するバインダー樹脂としては、前記のインキ調製に使用するバインダー樹脂が挙げられ、該樹脂に添加する色素を受容しうる物質としては、特開昭62−174754号公報等に記載されている高沸点有機溶剤を挙げることが出来る。受容層の厚さは0.2〜40μmが好ましく、特に、1〜15μmが好ましい。
【0051】
支持体としては、合成紙(ポリオレフィン、ポリスチレン系など)、上質紙、アート紙、コート紙や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミド製のフィルム等や、これらの積層体を使用できる。
また、受像層中に、水、あるいは、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、アミノ基、アミド基、ヒドラジノ基、ヒドラジド基等の官能基を有する活性水素化合物を添加することにより、接触物への色移り性、画像の先鋭度等のより良好な熱転写画像が得られる。
【0052】
即ち、受像層中に例えば水分があり、≡C−X結合が加水分解されると、極性基≡C−OHが生成して、色素が受像層中で動き難くなるか、その他の切断を容易にさせる物質の場合、例えば、ヒドロキシル基R−OH(Rは例えば、アルキル基、アリール基または複素環基を示す。)がC≡C−X結合と反応して、≡C−OR結合を生成し、受像層中に固定化されるものと推定される。
【0053】
受像層中に含有される前記の官能基を有する活性水素化合物としては、以下の様な公知の低分子または、高分子の化合物が挙げられるがこれらの塗布量は0.01〜30g/m2 が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5g/m2 である。
4−ヒドロキシアセトアニリド、4′−ヒドロキシアセトフェノン、4−ヒドロキシベンズアミド、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−オクチルオキシフェノール、2−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−2−フェニルベンゾフェノン、4′−ヒドロキシプロピオフェノン、2′,4′−ジヒドロキシアセトフェノン、2′,4′−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシ安息香酸エチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロベンゾフェノン、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシスクシニミド、3−ヒドロキシピリジン等一個あるいは複数個ヒドロキシ基を有する化合物、テトラヒドロキシ化合物、4−アミノ−1−ベンジルピペリジン、アミノカプロラクタム、1−アミノドデカン、4′,4′−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、ピペラジン、ステアリルアミン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、1,3−ジ−(4−ピペリジル)−プロパン、ジエチレントリアミン、1,10−ジアミノデカン、3,3′−ジアミノジプロピルアミン、2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリアミノトリアジン等の一個あるいは、複数のアミノ基を有する化合物、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾキサゾール、2−メルカプトピリジン、2−メルカプトチアゾリン等のメルカプト基を有する化合物、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸等のスルフォン酸基を有する化合物またはそのナトリウム、カリウム等の金属塩、ベンゼンスルフィン酸、トルエンスルフィン酸等のスルフィン酸基を有する化合物またはそのナトリウム、カリウム等の金属塩、n−カプロナミド、n−デカナミド、ステアラミド、p−トルエンスルフォナミド、シス−1,3−ドコセナミド、ベンズアミド等のアミド基を有する化合物、2,4,6−トリクロロフェニルヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジノ基を有する化合物、ステアリックヒドラジド、p−トルエンスルフォニルヒドラジド、ベンゾイックヒドラジド等のヒドラジド基を有する化合物等、塩酢ビ樹脂あるいはエチレン−酢ビ樹脂のエステル基を少なくとも一部加水分解して得られる重合体、活性水素基を有するポリ(p−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−アミノスチレン)、ポリエチレンイミン等の高分子化合物が挙げられ、商品としては、日本触媒化学工業(株)製のエポミン、三共(株)製のAEA等が挙げられる。
【0054】
受像材料は、支持体と受像層の間にクッション層、接着層、色素の拡散防止層の機能を有する中間層を形成しても良い。中間層は、ゼラチン等の水溶性バインダーまたは、有機可溶性バインダが使用され、シリカ、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等の微粒子を含有しても良い。
また、受像層には、白色度を向上する機能等を付与する為に、蛍光増白剤を添加しても良い。蛍光増白剤としては、スチルベン系、クマリン系、ベンゾオキサゾリル系等を挙げることが出来る。
【0055】
また、熱転写供与材料と受像材料との離型性を向上させる為に、受容層の表面または、層中に離型剤を含有させることが好ましい。
また、イソシアネート系、アルデヒド系、エポキシ系、ビニルスルフォン系、N−メチロール系等の硬膜剤、上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤を添加して使用出来る。この場合、剥離性、滑り性、剥離性等の改良、帯電防止の目的には、フッ素系界面活性剤を添加して使用するのが好ましい。
【0056】
本発明においては、熱転写供与材料を受像材料と重ね合わせ、好ましくは熱転写供与材料の裏面から、加熱手段により、画像材料に応じた熱エネルギーを与えることにより、色素層中の色素を受像材料の受像層に転写することにより、画像安定性、鮮明性、解像性の優れた画像を得ることが出来る。加熱手段は、サーマルヘッドのみならず、レーザー光、赤外線、熱ペン等の公知のものを使用出来る。
【0057】
【実施例】
以下、実施例により本願発明を更に具体的に説明するが、本願発明は以下の実施例により何等限定されるものではない。
実施例1
(1)熱転写供与材料の作成
a)インキの調製
ナフトキノン系色素(前記 No.8の色素:特開昭60−112861号公報に記載の方法で合成した。)5g、フェノキシ樹脂(製品名:PKHJ、UCC製)10g、トルエン−メチルエチルケトン(トルエン:メチルエチルケトン=1:1)100gをペイントコンディショナーで10分間処理し、インキの調製を行った。
【0058】
b)熱転写供与材料の調製
上記のインキをワイヤーバーを用いて背面が耐熱滑性処理された6μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後の膜厚が1.0μmになるように塗布し、乾燥して熱転写供与材料を得た。なお、耐熱滑性処理はポリエチレンテレフタレートフィルムにポリカーボネート樹脂8重量部、リン酸エステル系界面活性剤1重量部(商品名:プライサーフA−208B:第一工業製薬株式会社製)、トルエン91重量部からなる液を乾燥後の膜厚が0.5μmになる様に塗布し、乾燥することにより行った。
【0059】
(2)受像材料の作成
塩酢ビ樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体の部分加水分解物であって、ビニルアルコールの含有量が5重量%の樹脂、10部、シリコーン樹脂(製品名:L−7002、日本ユニカー(株)製)0.6g、トルエン40ml、メチルエチルケトン40mlからなる液を合成紙(製品名:コポFPG150、王子油化(株)製)にワイヤーバーで、乾燥後の膜厚が5μmになるように塗布、オーブンで100℃で30分間加熱処理して乾燥して受像材料を作成した。
【0060】
(3)熱転写
上記のようにして調製した熱転写供与材料と受像材料とを、色素層と受像層が接する様に重ね合わせ、熱転写供与材料の支持体側からサーマルヘッドでサーマルヘッドの出力0.25W/ドットの記録電力、8ドット/mmのドット密度、10msecのヘッド加熱のパルス巾の条件で熱印加を行い、受像層に色素を熱転写した。得られた画像を受像材料の受像層のない支持体面に密着させ、40℃、湿度80%の恒温、恒湿槽中に5日間保存した後、色素の受像材料の支持体面への色移りを判定した。熱転写後の受像槽上での記録濃度が米国マクベス社製、デンシトメーターTR−927で測定して、1.00付近の濃度の画像を使用して前記の色移り試験を実施し、試験後の受像材料の支持体面の色移りの程度を前記と同様に測定し、その比を使用して色移りの程度を判定した。その結果、本実施例の色移り後の濃度(OD2 )/色移り前の画像濃度(OD1 )は、0.0であり、ほとんど色移りがなく良好であった。結果を表−1に示す。
【0061】
実施例2〜6
実施例1のNO.1の色素の代わりに、それぞれ前述の色素NO.16、NO.24、NO.25、NO.29、NO.40の色素を使用し、同様にして処理して、色移り試験を実施したところ、実施例1と同様に、ほとんど色移りがなく良好であった。結果を表−1に示す。
【0062】
比較例1〜3
実施例1のNO.1の色素の代わりに、それぞれ以下の構造式で示されるNO.49、NO.50、NO.51、NO.52、NO.53、NO.54の色素を使用し、同様にして処理して、色移り試験を実施したところ、OD2 /OD1 は、大きく、色移りあり不良であった。結果を表−1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
【化25】
【0065】
【発明の効果】
本発明の熱転写材料を使用した場合、接触物への色移りがなく、画像の先鋭度が良好である等の保存性の良好な熱転写画像を得ることが出来る。
Claims (7)
- 色素がアゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾメチン系、メチン系およびナフトキノン系からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写供与材料。
- 一般式(I)においてAが酸素原子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写供与材料。
- 一般式(I)においてRが−N(R 1 ) 2 であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱転写供与材料。
- 支持体上に活性水素化合物を含む受像層を設けた受像材料と組合せて用いるためのものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の熱転写供与材料。
- 色素が、アゾ系、アントラキノン系、キノフタロン系、アゾメチン系、メチン系、およびナフトキノン系からなる群から選ばれる化合物であることを特徴とする請求項6に記載の熱転写記録用色素。
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