JP3637112B2 - セグメントの継手構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数接合されて円筒状のトンネル壁体を構成するトンネル壁体用セグメント等のセグメントの継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
シールドマシンによって所定深度の地盤を掘削しながら、その後方で、多数のセグメントを順次接合して円筒状のトンネル壁体を組み立てていくいわゆるシールド工法は、トンネル工法の主流をなしてきている。セグメントは、鉄筋コンクリート製、スチール製等があり、その形状は、平らな版状のものを湾曲させた円弧版状のブロックが一般的であり、隣り合うものどうしを連結させる継手構造としては、接合端面に沿って埋設した継手プレートどうしをボルトで締結したり、セグメントに貫通させた長ボルトによりセグメントどうしを直接締結したりといったものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、セグメント同士は、通常ボルトで接合して組み立てるのが一般的であるが、ボルト継手の場合、ボルト・ナットの設置・締結作業のために、セグメント内面側に箱抜きいわゆるボルトボックスを形成する必要があるが、このボルトボックスを形成すると、セグメントの強度低下を招いてしまうという問題があった。
また、最近では、ロボット等による組み立ての自動化が進んでいるが、この自動化の際に、セグメントの位置決め及び締結作業が最も困難な作業となっている。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、セグメントの強度低下を招くことなく剛性の高いリングを組み上げることができ、かつ施工面では位置決め及び締結作業を簡素化することで施工精度の向上、安全性の確保、組み立て時間の短縮及び自動化の容易化を図ることが可能なセグメントの継手構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するためになされたもので、請求項1のセグメントの継手構造は、一方のセグメントの接合端面に設けた雄型継手を、他方のセグメントの接合端面に設けた雌型継手に差し込んで、セグメントどうしを接合させるセグメントの継手構造であって、前記雄型継手は、前記接合端面から突出させた継手ロッドの先端部に、軸方向に延びて先端に開口するピン挿入孔が形成されるとともに、該ピン挿入孔に対して径方向に出没可能に係合爪が収納されてなり、一方、前記雌型継手は、前記接合端面に、前記雄型継手の継手ロッドが挿入され得るように形成された継手凹所の底部に、雄型継手のピン挿入孔に挿入され、その挿入時に、前記係合爪を押圧して継手ロッドの径方向外方に進出させるピンと、進出した係合爪の後側に係合する係合部が設けられてなり、前記雄型継手の継手ロッドが前記雌型継手の継手凹所に挿入され、その状態で雄型継手のピン挿入孔に雌型継手のピンが挿入され、前記係合爪が前記係合部に係合されることを特徴としている。
また、本発明の請求項2記載のセグメントの継手構造は、請求項1記載のうちの前記前記雄型継手の継手ロッドが、前記接合端面に対してねじ結合手段等により着脱可能に設けられていることを特徴としている。
また、本発明の請求項3記載のセグメントの継手構造は、請求項1記載のうちの前記係合爪および前記ピンの互いの接触部分のうちの少なくとも一方側に、テーパ面が形成されていることを特徴としている。
これにより、接合する双方のセグメントの接合端面を近付けると同時に雄型継手の継手ロッドを雌型継手の継手凹所に挿入すると、雄型継手のピン挿入孔に雌型継手のピンが挿入されると同時に係合爪が継手ロッドから径方向外方に進出して雌型継手の係合部に係合し、これにより、雌型継手に雄型継手が抜け不能に係合し、セグメントどうしが接合される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1の符号1は、多数接合されて筒状のトンネル壁体となるセグメントである。セグメント1は鉄筋コンクリート製で円弧版状に成形されており、図1は、周方向に沿った接合端面1A、1Bどうしが接合された状態を示している。
【0007】
セグメント1の主体はコンクリート部2でできており、双方の接合端面1A、1Bには、第1、第2の継手板11、12が、それぞれ埋設されている。図2は第2の継手板12を示している。これら継手板11、12の背面には、アンカー板15を介してアンカー筋16が連結され、セグメント1のコンクリート部2との強固な結合が図られている。第1の継手板11の中央には雄型継手20が、第2の継手板10Bの中央には雌型継手30が、それぞれ設けられている。
【0008】
雄型継手20は、図3ないし図6に示すように、円柱棒状の継手ロッド21を主体として構成されている。継手ロッド21は、一端部外周にねじ22が設けられ、この一端部が、第1の継手板11の中央の透孔11aを通されて背面に溶接された袋ナット11bにねじ込まれ、これによって雄型継手20は接合端面1Aから直交して突出する状態に第1の継手板11に設けられている。継手ロッド21は袋ナット11bにねじ結合されているので、着脱可能である。継手ロッド21の先端部には、軸方向に延びて先端に開口するピン挿入孔22が、軸心と同軸的に形成されている。
【0009】
ピン挿入孔22を形成する周壁23には、継手ロッド21の径方向に延びる複数(この場合4つ)の収納孔24が、円周を等分する放射状に貫通形成されている。収納孔24は丸孔で、ピン挿入孔22に対し、その長さのおよそ中央部分に形成されている。収納孔24には、係合爪25が出没可能に収納されている。この係合爪25は、収納孔24に摺動的に挿入され、ある程度の力を与えない限り摩擦で動かないようになっている。係合爪25は、先端面が周壁23の外面に沿う状態がセット位置とされ、そのセット位置において、対向し合うものの末端の間が、適宜の間隔をおいて離れるように設定されている。また、その末端の周縁は、テーパ面26とされている。
【0010】
一方、雌型継手30は、図3ないし図5に示すように、雄型継手20の継手ロッド21が挿入され得る継手凹所30Aを主体として構成されている。この継手凹所30Aは、有底の第1の筒体31に、両端が開口する第2の筒体32が途中まで挿入されて固着されてなるスリーブ33により形成されている。第1の筒体31内における第2の筒体32の端面により、環状の段部(係合部)34が形成されている。スリーブ33は、第2の筒体32が、第2の継手板12の中央に形成された透孔12aに合わせてその第2の継手板12の背面に直交して溶接されている。
【0011】
第1の筒体31の中央には、先端が傘状のテーパ面36に形成されたピン35が、第1の筒体31の底部に固着された、ピン35と略同径のベース35aに、圧縮スプリング35bによって連結されている。
このピン35は、雄型継手20の継手ロッド21のピン挿入孔22に挿入されるものであり、その外径は、雄型継手20の対向し合う係合爪25の末端の間の間隔よりも十分に大きく設定され、かつ、先端の径は小さく設定されている。
【0012】
次いで、雄型継手20と雌型継手30によりセグメント1どうしを接合させる作用を説明する。
図3〜図4に示すように、各セグメント1の接合端面1A、1Bを近付け、係合爪25をセット位置としてある雄型継手20の継手ロッド21を、雌型継手30の継手凹所30Aに挿入していく。すると、雌型継手30のピン35が、係合爪25によって圧縮スプリング35bの付勢力に反して第1の筒体31の底部方向へ押し込まれる。さらに継手ロッド21が挿入され、係合爪25の位置が段部34よりも第1の筒体31の底部側へ移動されると、これら係合爪25の外周方向への移動の規制が解除されることにより、これら係合爪25が、ピン35のテーパ面36によって外周側へ押し出され、継手ロッド21の外周側へ突出する。図5に示すように、突出した係合爪25はスリーブ33の段部34の奥側に位置し、逆に言うと、突出した係合爪25の後側に段部34が存する。この状態で、雌型継手30に雄型継手20が差し込まれて抜け不能に係合し、これと同時に、第1、第2の継手板11、12どうしおよび接合端面1A、1Bどうしが密着する。
【0013】
上記接合構造によれば、ボルト締結手段を用いず、雌型継手30に雄型継手20を差し込むだけセグメント1どうしの接合がなされるので、その接合動作が単純なものながら確実にセグメントどうしの接合ができ、その結果、自動組立にきわめて好適である。雄型継手20の継手ロッド21が、セグメント1の第1の継手板11に対し着脱可能であるから、運搬時、ストック時等は継手ロッド21をまだ装着しないでおけば、突出する継手ロッド21が邪魔にならずに済み、そして、現場において継手ロッド21をねじ込んで装着するようにすれば継手ロッド21が傷ついたり、あるいは曲がったりするおそれがない。さらに、係合爪25およびこれを進出させるピン35が互いに接触する部分がテーパ面26、36となっているから、ピン35による係合爪25の進出動作がスムーズに行われる。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のセグメントの継手構造によれば、一方のセグメントの接合端面に設けた雄型継手を、他方のセグメントの接合端面に設けた雌型継手に差し込んでセグメントどうしを接合させるセグメントの継手構造であって、前記雄型継手は、前記接合端面から突出させた継手ロッドの先端部に、軸方向に延びて先端に開口するピン挿入孔が形成されるとともに、該ピン挿入孔に対して径方向に出没可能に係合爪が収納されてなり、一方、前記雌型継手は、前記接合端面に、前記雄型継手の継手ロッドが挿入され得るように形成された継手凹所の底部に、雄型継手のピン挿入孔に挿入され、その挿入時に、前記係合爪を押圧して継手ロッドの径方向外方に進出させるピンと、進出した係合爪の後側に係合する係合部が設けられてなり、前記雄型継手の継手ロッドが前記雌型継手の継手凹所に挿入され、その状態で雄型継手のピン挿入孔に雌型継手のピンが挿入され、前記係合爪が前記係合部に係合されることを特徴とするから、ボルト締結手段を用いず、雌型継手へ雄型継手を差し込むだけといった簡単な動作でセグメントどうしの接合が確実になされ、その結果、自動組立にきわめて好適であるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の継手構造を示す断面図である。
【図2】雌型継手が設けられた側の接合端面の斜視図である。
【図3】雄型継手と雌型継手の断面図である。
【図4】雌型継手に雄型継手を係合させる直前状態の断面図である。
【図5】雌型継手に雄型継手が係合した状態の断面図である。
【図6】図4のVIーVI線矢視図である。
【符号の説明】
1 セグメント
1A、1B 接合端面
2 コンクリート部
11 第1の継手板
12 第2の継手板
20 雄型継手
21 継手ロッド
22 ピン挿入孔
23 周壁
24 収納孔
25 係合爪
26、36 テーパ面
30 雌型継手
30A 継手凹所
33 スリーブ
34 段部(係合部)
35 ピン

Claims (3)

  1. 一方のセグメントの接合端面に設けた雄型継手を、他方のセグメントの接合端面に設けた雌型継手に差し込んで、セグメントどうしを接合させるセグメントの継手構造であって、
    前記雄型継手は、前記接合端面から突出させた継手ロッドの先端部に、軸方向に延びて先端に開口するピン挿入孔が形成されるとともに、該ピン挿入孔に対して径方向に出没可能に係合爪が収納されてなり、
    一方、前記雌型継手は、前記接合端面に、前記雄型継手の継手ロッドが挿入され得るように形成された継手凹所の底部に、雄型継手のピン挿入孔に挿入され、その挿入時に、前記係合爪を押圧して継手ロッドの径方向外方に進出させるピンと、進出した係合爪の後側に係合する係合部が設けられてなり、
    前記雄型継手の継手ロッドが前記雌型継手の継手凹所に挿入され、その状態で雄型継手のピン挿入孔に雌型継手のピンが挿入され、前記係合爪が前記係合部に係合されることを特徴とするセグメントの継手構造。
  2. 前記雄型継手の継手ロッドが、前記接合端面に対してねじ結合手段等により着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載のセグメントの継手構造。
  3. 前記係合爪および前記ピンの互いの接触部分のうちの少なくとも一方側に、テーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1記載のセグメントの継手構造。
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