JPH06272494A - シールド工法におけるセグメント間連結構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 セグメントによる覆工組立工数を少なくし、
且つ組立後の覆工内面の穴埋め作業を極力少なくするこ
とのできるシールド工法におけるセグメント間連結構造
を提供する。 【構成】 互いに円周方向側に接合されるセグメントの
リング軸方向側接合面１０ａ，１０ｂの端部に、両セグ
メントにまたがらせて、互いに連続する継手溝１４ａ，
１４ｂを設け、両継手溝１４ａ，１４ｂに両セグメント
にまたがる継手金物１７を嵌め込むことにより円周方向
側セグメント間を連結するとともに、互いにリング軸方
向側に接合されるセグメント間を一方のセグメントの肉
厚内に貫通させた締結ボルト１８を他方のセグメントに
設けたアンカーナット１６に螺嵌させることにより締結
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、シールド工法において
セグメントを組み立てて覆工を形成する際のセグメント
間連結構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にシールド工法では、掘進機を一定
長さ掘進させる毎にその後部で図７に示すように弧状版
状をしたセグメント１，１をリング状に組み立てたセグ
メントリング２，２……を順次延長させて円筒形の覆工
３を形成するようにしており、近年、セグメント１とし
て図８に示すようにセグメント１の覆工軸心方向側の端
面、即ちリング間継手側の両端面の一方に断面が台形状
の凸ほぞ４を一体に設けるとともに、他方にこの凸ほぞ
４が嵌り合う形状の凹ほぞ５を設けたほぞ付コンクリー
トセグメントが開発されている。これは、覆工用のセグ
メントリング２，２間において、凹凸ほぞ４，５を互い
に嵌り合わせることにより、リング間のせん断応力を高
め、これによってセグメントによる覆工の内側の二次覆
工を不要にし、トンネル内面の覆工厚さを小さくし、掘
削容積を少なくすることを目的として開発されたもので
ある。

【０００３】この種の従来のセグメントは、図８，図９
に示すようにセグメントの周囲の接合端面に、ボルト挿
入穴６を開口させるとともに、ボルト螺嵌用のアンカー
ナット７を埋設しておき、セグメントリング２，２のセ
グメント間は図８に示すように、また円周方向側のセグ
メント間は図９に示すようにそれぞれ一方側に埋設した
ボルトボックス８内からボルト挿入穴６を通して他方側
のアンカーナット７に締結ボルト９を螺嵌させて互いに
隣り合うセグメント間を連結している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような従来のほぞ
付コンクリートセグメントは、セグメント覆工の内側の
二次覆工を不要にすることを目的したものであるため、
場所や用途（例えば下水道）によってはセグメント覆工
内面を平滑にすることが要求される場合が多い。しか
し、従来のセグメント連結構造では、内面にボルトボッ
クスがあるため、これをモルタル等にて穴埋めする必要
があり、その作業は手作業によらなければならないため
作業性が悪く、多くの労力を要する。また穴埋めしたモ
ルタルが振動で脱落する可能性もあり、未だ決定的な穴
埋め方法が確立されていないという問題があった。

【０００５】本発明はこのような従来の問題にかんが
み、セグメントによる覆工組立工数を少なくし、且つ組
立後の覆工内面の穴埋め作業を極力少なくすることを目
的してなされたものである。

【０００６】

【課題を達成するための手段】上述の如き従来の問題を
解決し、所期の目的を達成するための本発明の特徴は、
円筒形リングを複数の分割した形状の弧状版からなるコ
ンクリートセグメントを円周方向及びリング軸方向に互
いに接合させて締結し、円筒状の覆工を組み立て成形す
るシールド工法におけるセグメント間連結構造におい
て、互いに円周方向側に接合されるセグメントのリング
軸方向側接合面の端部に、両セグメントにまたがらせ
て、互いに連続する継手溝を設け、該継手溝に両前記セ
グメントにまたがる継手金物を嵌め込むことにより円周
方向側セグメント間を連結するとともに、互いにリング
軸方向側に接合されるセグメント間を一方のセグメント
の肉厚内に貫通させた締結ボルトを他方のセグメントに
設けたアンカーナットに螺嵌させることにより締結した
ことにある。

【０００７】

【作用】本発明のセグメント間連結構造は、シールド掘
進機が一定長さ掘進した後、その後部にて組み立てられ
るものであり、円周方向側のセグメント間は、その両端
部間にまたがらせて継手溝内に挿入した継手金物によっ
て連結され、またセグメントリング間は新たに連結する
セグメントを貫通させて既設のセグメントにねじ込まれ
る締結ボルトにより連結される。また円周方向に隣り合
うセグメント間のせん断抵抗は、継手金物のせん断抵抗
の外に、セグメントリング間において、一方のリングの
周方向に隣り合うセグメント間にまたがらせて他方のリ
ングのセグメントを配置することにより、締結ボルトを
介して互いに連結させるセグメント自体のせん断抵抗が
円周方向のセグメント間のせん断抵抗として作用する。
これは、ほぞ付セグメントにおいて特に顕著に現われ
る。

【０００８】

【実施例】次に本実施例の一例を図面について説明す
る。

【０００９】図中Ａは本発明に使用するコンクリートセ
グメントの一例を示しており、このセグメントＡは長方
形状の円弧版状をしたセグメント本体１０の円形軸方向
側の接合面、即ちセグメントリング間接合面１０ａ，１
０ｂの内の一方側に長手方向に連続して凹ほぞ１１が形
成され、他方側に凹ほぞ１１に嵌り合う形状の凸ほぞ１
２が形成されている。この各セグメントリング間接合面
１０ａ，１０ｂの凹凸ほぞ１１，１２よりリング外面側
の位置にパッキン嵌合溝１３が形成されている。

【００１０】両セグメントリング間接合面１０ａ，１０
ｂの両端部には一端側をセグメント本体１０の円周方向
側接合面１０ｃ，１０ｄの両端部に開放した継手溝１４
ａ，１４ｂがそれぞれ形成されている。この両継手溝１
４ａ，１４ｂは各接合面１０ａ，１０ｂの長さ方向の中
央側を円形に膨らませた形状に成形され、セグメントを
接合した際に円周方向に隣り合うセグメント間におい
て、両継手溝１４ａ，１４ｂが連続配置となる位置に成
形されている。

【００１１】また両リング間接合面１０ａ，１０ｂには
セグメント本体１０の肉厚内に貫通して開口させたボル
ト穴１５が連通開口され、それぞれの一方側端部（トン
ネル切羽側）には、ボルト頭部受け用の拡径部１５ａが
形成されている。更に組立時にトンネル切羽側になる接
合面１０ｂには、セグメントリング間締結ボルトが螺嵌
されるアンカーナット１６が開口部を露出させて埋設さ
れている。

【００１２】なお、このセグメント本体１０の円周方向
側の接合面１０ｃ，１０ｄにはパッキン嵌合溝１３がそ
れぞれ設けられている他は略平らに成形されている。

【００１３】このように構成されるセグメントＡの他に
覆工形成に際しては、図６に示すように円周方向側の両
接合面をテーパー状にした、即ち切羽側のセグメントリ
ング間接合面側を長くした台形のセグメントＫ及びこの
セグメントＫと前記セグメントＡとの間に介在されるセ
グメントＢ，Ｃとを使用してセグメントリング２０ａ，
２０ｂ……を組み立てて既設覆工に順次連続させるもの
であり、これらの各セグメントＫ，Ｂ，Ｃもセグメント
Ａと同様の接合面となっている。

【００１４】次に上述した各セグメントＡ，Ｂ，Ｃ及び
Ｋを用いた覆工の組立工程について説明する。

【００１５】図６はセグメントリングの展開した状態を
示しており、図６（イ）において、２０ａは先に組み立
てられているセグメントリングであり、同図中Ａ１〜Ａ
３は前述したセグメントＡと同じものを示している。こ
のセグメントリング２０ａは図４に示すように各セグメ
ント間の継手溝１４ａ，１４ｂにまたがらせて継手金物
１７を嵌め込むことにより各円周方向にセグメントを連
結している。継手金物１７は軸部１７ａの両端に円形の
膨出部１７ｂ，１７ｂを一体成形し、互いに突き合わせ
配置の継手溝１４ａ，１４ｂ内の形状に整合するように
している。このようにして組み立てられている既設のセ
グメントリング２０ａに対し、トンネル切羽側から図６
（イ）に示すように第一番目のセグメントＡ２を既設セ
グメントリングのセグメントＡ１，Ａ２にまたがらせた
位置に接合し、図５に示すように締結ボルト１８，１８
により固定する。このときセグメントＡ２の坑口側面の
継手溝１４ａ，１４ｂには継手金物１７，１７を予め嵌
め込んでおく。

【００１６】次いで図６（ロ）に示すように第一のセグ
メントＡ２の両側に第二，第三のセグメントＡ１，Ａ３
を接合し、継手金物１７，１７……により円周方向に隣
り合うセグメント間を連結し、既設セグメントリング２
０ａに対し、締結ボルト１８，１８……をもって固定す
る。同様にして図６（ハ）に示すようにセグメントＢ，
Ｃを連結固定し、最後に図６（ニ）に示すようにセグメ
ントＫを固定する。これによってセグメントリング２０
ｂの組立連結を完了する。

【００１７】この工程をシールド掘進機の１ストローク
分の掘進毎に行って順次覆工を延長する。

【００１８】

【発明の効果】上述したように本発明のシールド工法に
おけるセグメント間連結構造においては、セグメントの
円周方向側の連結を両接合部にまたがらせる配置に形成
した継手凹溝内に継手金物を嵌め込むことによって行
い、セグメントリング間の連結をセグメントの肉厚内を
貫通させた締結ボルトをもって行うようにしたことによ
り形成される覆工内面にはセグメント間連結のための凹
部がなくなり、平滑な覆工内面を後処理を要せずに得る
ことができることとなったものである。

【００１９】また従来のようにセグメント間締結のため
のボルトボックス等の埋込金物が不要になり、セグメン
トの製造コスト及び組立工数が減少し、経済性が高くな
ったものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に使用するコンクリートセグメントの一
例の平面図である。

【図２】同正面図である。

【図３】図１中のＡ−Ａ線断面図である。

【図４】セグメントの円周方向側接合状態の正面図であ
る。

【図５】セグメントリング間の締結状態の断面図であ
る。

【図６】（イ）〜（ニ）は本発明によるセグメント組立
工程の一例を示す展開図である。

【図７】従来のシールド工法におけるセグメント覆工の
斜視図である。

【図８】同上のセグメントリング間継手部の断面図であ
る。

【図９】同上のセグメントの円周方向側継手部の断面図
である。

【符号の説明】

１０ セグメント本体 １０ａ，１０ｂ セグメントリング間接合面 １０ｃ，１０ｄ 円周方向側接合面 １１ 凹ほぞ １２ 凸ほぞ １３ パッキン嵌合溝 １４ａ，１４ｂ 継手溝 １５ ボルト穴 １５ａ 拡径部 １６ アンカーナット １７ 継手金物 １７ａ 軸部 １７ｂ 膨出部 １８ 締結ボルト ２０，２０ａ セグメントリング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒形リングを複数の分割した形状の弧
   状版からなるコンクリートセグメントを円周方向及びリ
   ング軸方向に互いに接合させて締結し、円筒状の覆工を
   組み立て成形するシールド工法におけるセグメント間連
   結構造において、互いに円周方向側に接合されるセグメ
   ントのリング軸方向側接合面の端部に、両セグメントに
   またがらせて、互いに連続する継手溝を設け、該継手溝
   に両前記セグメントにまたがる継手金物を嵌め込むこと
   により円周方向側セグメント間を連結するとともに、互
   いにリング軸方向側に接合されるセグメント間を一方の
   セグメントの肉厚内に貫通させた締結ボルトを他方のセ
   グメントに設けたアンカーナットに螺嵌させることによ
   り締結したことを特徴としてなるシールド工法における
   セグメント間連結構造。