JP3634999B2 - 金属製品の成形方法及びそれに用いられる成形金型 - Google Patents

金属製品の成形方法及びそれに用いられる成形金型 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、金属製品の成形方法及びそれに用いられる成形金型に係り、特に、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなる金属製品を、有利に成形する方法と、かかる成形方法において好適に使用される成形金型に関するものである。
【0002】
【背景技術】
一般に、自動車の部品等には、各種、各様の形状を呈する金属製品が使用されており、その中の一種として、所定の筒部を有し、この筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなる金属製品がある。
【0003】
そして、このような金属製品の成形方法としては、以下の如き方法が知られている。即ち、先ず、平板状の金属素材を用い、この金属素材に対して絞り加工を行って、該金属素材を有底の筒形状に成形し、次いで、この有底の筒形状とされた金属素材の底部に対して逆再絞り加工を行うことにより、該金属素材を、外側と内側に形成された二つの筒壁部が底部にて与えられる板状の連結部にて連結されてなる形状に成形して、その外筒壁部にて前記筒部を形成する一方、その内筒壁部にて前記筒状の立上り部を形成し、更に、板状の連結部にて前記内フランジを形成して、目的とする金属製品を得るのである。
【0004】
ところで、かかる金属製品が、例えば、オートマチックトランスミッションの構成部品等として用いられる場合には、内フランジにおける立上り部の突出方向とは反対側の面、つまり、内フランジの外面が、その限られた幅の中で、可及的に大きな平坦面を有していることが要求される。しかしながら、先の絞り加工に組合せによる成形手法では、絞り加工故の角部の湾曲化が避けられず、そのような要求に充分に応えることが出来なかった。
【0005】
そこで、従来では、そのような金属製品を得る際には、例えば、上述の如くして成形された金属製品の内フランジの外面側を、所定の厚さだけ切削加工することにより、該内フランジの両端の湾曲形状とされた外面側角部(内フランジの外面と筒状の立上り部の内周面及び筒部の外周面との間で形成される角部)を含む部位を除去して、該内フランジの外面における平坦部の幅を大きくする方法が採用されている。しかしながら、このような方法では、内フランジに対する切削加工によって内フランジの肉厚が不可避的に薄くなってしまい、それによって、内フランジ、ひいては金属製品全体の強度が低下するといった大きな問題を内在するものであったのである。
【0006】
また、別の方法として、前記筒状の立上り部の内周面形状に対応した内側側面と、前記金属製品の筒部の外周面形状に対応した外側側面と、平坦な底面とを有する成形溝を備えた成形金型を用い、前述の如くして成形された金属製品を、立上り部の内周面と該金属製品の筒部の外周面と内フランジの外面とが前記成形溝の両側面と底面とにそれぞれ接触せしめられるようにして、該成形溝内に収容せしめた状態下で、該金属製品の筒部や立上り部を該筒部の開口部側から底部側に向かって押圧し、内フランジの両端の湾曲形状とされた外面側角部を成形溝の底面に押し付けて、該成形溝の底面とそれの両側面とにて形成される角張った内側角部に対応乃至は近似した形状に圧縮成形することにより、内フランジ両端の外面側角部の湾曲形状における曲率半径(所謂、R)を小さく為し、以て内フランジの外面における平坦部の幅を大きくする方法等も、採用されている。
【0007】
ところが、このような方法においては、金属製品を成形溝内に収容した状態下で、該金属製品の筒部や立上り部に対して押圧力が作用せしめられて、内フランジの外面側角部を前記成形溝の底面に押し付けた際に、先ず、それら筒部や立上り部の該成形溝の底面側への移動に伴って、内フランジが成形溝内で幅方向に圧縮せしめられることとなる。次いで、内フランジの外面側角部を、より大きな押圧力にて、成形溝の底面に押し付けることにより、内フランジが更に圧縮せしめられる一方で、内フランジの外面側角部の金属材料が外方に押し出されるように移動(流動)せしめられて、かかる外面側角部が成形溝の角張った内側角部に近似した形状に成形され、以て、該外面側角部の湾曲形状における曲率半径が小さくされることとなる。
【0008】
このため、かかる方法では、内フランジの外面側角部の湾曲形状における曲率半径をより小さく為し、或いは該外面側角部を角張った形状と為すために、該内フランジの外面側角部を、前記成形溝の底面に対して、より大きな押圧力で押し付けた際に、内フランジが過剰に圧縮せしめられて、内フランジの内面側角部(内フランジの内面と筒状の立上り部の外周面及び筒部の内周面との間で形成される角部)に皺状の重なり部分、所謂シームが発生する場合があった。
【0009】
従って、上述の如き成形溝を備えた成形金型を用いる方法を採用する場合にあっても、シームを生ぜしめることなく、内フランジの外面に、十分に大きな幅の平坦部位を形成することは、容易ではなかったのである。
【0010】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部には、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなり、且つ限られた幅の内フランジの外面において、十分に大きな幅の平坦部位を有する金属製品を、該内フランジの強度の低下やシームの発生等の問題を惹起せしめることなく、容易に成形することが出来る金属製品の成形方法と、そのような成形方法において有利に用いられ得る成形金型とを提供することにある。
【0011】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなる金属製品を成形する方法において、(a)有底の筒形状を呈し、その筒壁部の外周面に設けた段付き面によって、底部側部位が薄肉部とされる一方、開口部側部位が前記金属製品の筒部を与える厚肉部とされた予備成形体を準備する工程と、(b)前記金属製品の筒状の立上り部の内周面形状に対応した外周面を有する第一のパンチと、該第一のパンチと対をなす第一のダイとを用いて、前記準備された予備成形体の底部に対して絞り加工を行うことにより、前記筒状の立上り部を形成する工程と、(c)前記金属製品の内フランジの外面に対応した形状の底面を有する溝を備え、該溝の内側の側面が、前記立上り部の内周面形状に対応した形状とされる一方、その外側の側面が、前記金属製品の筒部の外周面形状に対応した形状とされた内フランジ成形部を有してなる成形金型を用い、前記予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧して、該筒壁部の前記段付き面が前記内フランジ成形部の底面に接触するまで、該筒壁部における該段付き面よりも前記底部側の薄肉部を該内フランジ成形部内に押し込むことによって、該筒壁部の前記開口部側の厚肉部にて前記金属製品の筒部を形成すると共に、該内フランジ成形部内で該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、前記内フランジを形成する工程とを含むことを特徴とする金属製品の成形方法を、その要旨とするものである。
【0012】
要するに、このような本発明に従う金属製品の成形方法にあっては、予備成形体に対して絞り加工や圧縮加工が行われるだけで、切削加工を採用するものではないところから、そのような切削加工による薄肉部位が、成形された金属製品において部分的に生ぜしめられることが有利に回避され得るのであり、しかも、該金属製品の内フランジが、予備成形体の筒壁部の段付き面よりも底部側の薄肉部にて形成されるものの、それが圧縮加工により増肉されることで、目的とする形状に成形されるようになっているため、内フランジの肉厚も薄肉となることがなく、それによって、内フランジや立上り部や筒部等の、金属製品の構成部位の強度、ひいては金属製品全体の強度が効果的に確保され得るのである。
【0013】
また、本発明手法においては、予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧しつつ、該筒壁部の段付き面が内フランジ成形部の底部に接触するまで内フランジ成形部内に押し込むことによって、かかる内フランジ成形部内で、筒壁部の段付き面よりも底部側の薄肉部を圧縮して増肉しつつ、目的とする金属製品の内フランジを形成するものであるところから、該薄肉部の増肉による内フランジの形成工程の完了と同時に、該内フランジに対して、該筒壁部の該段付き面よりも開口部側の厚肉部の外面と該段付き面とにて形成される角部により、角張った形状若しくは曲率半径の小さな湾曲形状を有する外面側角部が付与され得るのであり、それによって、内フランジの外面における平坦部位が、単に、平板状の金属素材に対して絞り加工と逆再絞り加工とを行う従来手法に従って得られる金属製品における、外面側角部が湾曲形状とされた内フランジの該平坦部位よりも、十分に大きく為され得ることとなるのである。
【0014】
それ故、かかる本発明手法によれば、目的とする金属製品が、内フランジの限られた幅の外面において、十分に大きな幅の平坦部位をもって成形され得るのであり、それによって、前述せる従来手法によって金属製品を成形する場合とは異なって、金属製品を成形した後、更に、この成形された金属製品に対して、内フランジの外面の平坦部位を増大せしめるための加工を行う必要が、効果的に皆無ならしめられ得るのである。
【0015】
しかも、かかる本発明手法では、上述せる如く、予備成形体の筒壁部を押圧して、該筒壁部の段付き面が内フランジ成形部の底面に接触するまで、該筒壁部の薄肉部を内フランジ成形部内に押し込むだけで、該薄肉部が適度に圧縮されて、内フランジが形成されると同時に、該内フランジに対して角張った形状若しくは曲率半径の小さな湾曲形状を有する外面側角部が付与され得るようになっているところから、前記せる従来手法によって成形された金属製品の筒部や立上り部に対して押圧力を作用せしめて、内フランジの湾曲形状とされた外面側角部を所定の成形溝の底面に押し付けることにより、該外面側角部を該成形溝の角張った内側角部に対応乃至は近似した形状に圧縮成形する場合とは異なって、内フランジの外面側角部を角張った形状若しくは曲率半径の小さな湾曲形状と為すために、予備成形体に対する押圧力を特に増大せしめる必要がないのであり、それ故に、そのような押圧力の増大に伴う内フランジの過剰な圧縮によって、内フランジの内面側角部にシームが発生せしめられるようなことが、極めて効果的に防止され得ることとなるのである。
【0016】
従って、本発明に従う金属製品の成形方法によれば、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなり、且つ限られた幅の内フランジの外面において、十分に大きな幅の平坦部位を有する金属製品を、該内フランジの強度の低下やシームの発生等を惹起せしめることなく、しかも従来手法を採用する場合よりも少ない工程数で、容易に成形することが出来るのである。
【0017】
なお、このような本発明に従う金属製品の成形方法の有利な態様の一つによれば、前記筒部の内周面形状に対応した外周面を有する第二のパンチと、該第二のパンチが挿入される穴を有する第二のダイとを含み、該第二のダイの穴の内周部における、該第二のパンチが挿入される開口側部位が、前記筒部の外周面形状に対応した内周面をもって構成される一方、かかる内周部における該開口側部位に連続する部位が、該穴の内周面に周設された段差面により、全周にわたって内方に向かって突出するように段付けされてなる段差部とされた絞り型を用い、前記金属製品を与える平板状の金属素材に対して、前記第二のパンチと前記第二のダイとにて絞り加工を行うことによって、筒壁部の底部側が薄肉化された段付きの有底筒形状を呈し、且つ前記段付き面が該第二のダイの前記穴内の段差面にて形成され、更に、該筒壁部における開口部側の厚肉部が前記金属製品の筒部を与える部位とされた前記予備成形体が成形せしめられて、準備されることとなる。
【0018】
かかる構成を有する本発明手法においては、目的とする金属製品を与える金属素材に対して、単に、一回の絞り加工を施すだけで、外周面に段付き面が形成されて、筒壁部の底部側が薄肉部とされた段付きの有底筒形状を呈する予備成形体が成形されるようになっているところから、例えば、金属素材を絞り加工により有底の筒形状に成形した後、かかる成形体の筒壁部の底部側に対して切削加工を行って、該筒壁部の底部側を薄肉とした予備成形体を成形する場合に比べて、切削加工を行わない分だけ、予備成形体を成形するための工程数が有利に少なくされ得、以て予備成形体を成形せしめて準備する際の作業の効率性、ひいては目的とする金属製品の成形時における作業の効率性が、効果的に高められ得るのである。また、そのように、予備成形体の成形に際して、切削加工が何等実施されないため、金属素材を与える材料が無駄に捨てられることがないといった利点も得られることとなる。
【0019】
また、本発明に従う金属製品の成形方法の好ましい態様の一つによれば、前記予備成形体の筒壁部における底部側の薄肉部を前記内フランジ成形部内に押し込んで、該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、前記内フランジを形成する際に、該内フランジ成形部内において、該筒壁部の薄肉部における該内フランジ成形部の前記底面側とは反対の面上に、該筒壁部の増肉部分が侵入可能な空間を形成せしめた状態で、該筒壁部の薄肉部を該フランジ成形部内に押し込むようにした手法が、有利に採用される。
【0020】
このような構成を採用する場合にあっては、予備成形体の筒壁部の薄肉部が内フランジ成形部内で増肉せしめられた際に、その増肉操作により生ずる余肉部分が、該薄肉部における内フランジ成形部の底面側とは反対の面側に付加されることとなり、それによって、該薄肉部の増肉により形成された内フランジにおける内フランジ成形部の底面側の面、つまり内フランジの外面に、前記余肉部分が付加されることが可及的に回避され得、以て、かかる内フランジの外面が、その全面にわたって、該底面に対して確実に対応した形状をもって形成され得るのである。そして、その結果、内フランジ部の外面に対して、十分に大きな幅の平坦部位が、より確実に付与され得ることとなるのである。
【0021】
さらに、本発明に従う金属製品の成形方法の更に別の望ましい態様の一つによれば、前記成形金型が、前記内フランジ成形部と共に、前記第一のパンチ及び前記第一のダイをも有するように構成されており、かかる成形金型を用いて、前記立上り部の形成工程と前記筒部及び前記内フランジの形成工程とが共に実施されることとなる。かかる構成を採用すれば、一つの成形金型で、目的とする金属製品が一挙に成形され得ることとなり、それによって、金属製品を成形するための作業が、より一層効率的に進められ得るのである。
【0022】
そして、本発明にあっては、また、上述の如き金属製品の成形方法において用いられる成形金型であって、相対的に接近/離隔可能に対向配置された第一の型と第二の型とを含み、該第一の型が、前記第一のパンチと前記内フランジ成形部を有する一方、該第二の型が、前記第一のダイと、該第一の型と該第二の型の接近に伴って、前記金属製品の筒部の開口部側から底部側に向かって、前記内フランジ成形部の底面に対して相対的に接近移動せしめられる移動部材とを有して構成され、該第一の型と該第二の型との間に前記予備成形体を位置せしめた状態で、それら第一の型と第二の型とを接近移動させることにより、該第一のパンチと該第一のダイとにて、該予備成形体の底部に対して絞り加工を行って、前記筒状の立上り部を形成する一方、該第一の型と該第二の型の接近移動に伴う前記移動部材と前記内フランジ成形部の底面との接近移動によって、それら移動部材と内フランジ成形部の底面との間で、前記予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧して、該筒壁部の前記段付き面が前記内フランジ成形部の底面に接触するまで、該筒壁部における該段付き面よりも前記底部側の薄肉部を該内フランジ成形部内に押し込むことによって、該筒壁部の前記開口部側の厚肉部にて前記金属製品の筒部を形成すると共に、該内フランジ成形部内で該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、前記内フランジを形成し得るように構成されていることを特徴とする金属製品の成形金型をも、その要旨とするものである。
【0023】
このような本発明に従う金属製品の成形金型にあっては、予備成形体に対して絞り加工と圧縮加工の二つの加工を行って、金属製品の立上り部と筒部及び内フランジを形成し、それによって、目的とする金属製品を、予備成形体から一挙に成形することが出来るのである。
【0024】
従って、かかる本発明に従う金属製品の成形金型を用いれば、目的とする金属製品の成形作業の効率化が、より効果的に図られ得ることとなるのである。
【0025】
なお、かくの如き本発明に従う金属製品の成形金型の有利な態様に一つによれば、前記内フランジ成形部内に押し込まれる前記予備成形体の筒壁部における底部側の薄肉部と前記第二の型との間に空間が形成され得るように構成される。
【0026】
かかる構成を有する金属製品の成形金型にあっては、第一の型と第二の型との接近移動に伴って、移動部材と内フランジ成形部の底面との間で、予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧し、該筒壁部における段付き面よりも底部側の薄肉部を内フランジ成形部内に押し込むことによって、内フランジ成形部内で該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、内フランジを形成せしめる際に、内フランジ成形部内に押し込まれた該薄肉部に対して、第二の型が接触して、直接に押圧力を及ぼすことがないように構成され得るのであり、それによって、第二の型が、内フランジ成形部を構成する第一の型に対して、該内フランジ成形部内に押し込まれた前記薄肉部を介して押圧力を作用せしめるようなことが有利に回避され得るのである。そして、その結果として、第一の型に対する第二の型の押圧によって、第二の型が破損乃至は損傷せしめられるようなことが効果的に防止され得ることとなるのである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る金属製品の成形方法及びそれに用いられる成形金型の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0028】
先ず、図1には、本発明に係る金属製品の成形方法に従って成形された金属製品の一実施形態として、自動車のオートマチックトランスミッションを構成する金属部品が、その縦断面形態において概略的に示されている。かかる図1からも明らかなように、この金属部品10は、全体として、高さの低い略円筒形状を呈しており、同一の中心軸線上において、鉛直方向に延びる円筒部12と円筒状の立上り部16のそれぞれの下端部が、水平方向に広がる円環板形状の内フランジ14にて一体的に連結されてなる構造をもって構成されている。
【0029】
すなわち、かかる金属部品10にあっては、内フランジ14が、円筒部12の下端部において、その内側に向かって水平方向に所定長さ延出し、且つ該円筒部12の周方向に連続して延びるようにして、一体的に形成されているのであり、また、立上り部16が、かかる内フランジ14の先端部に対して、鉛直上方に向かって円筒部12よりも低い高さで突出し、且つ該円筒部12の周方向に連続して延びるようにして、一体的に設けられているのである。
【0030】
そして、この金属部品10においては、特に、内フランジ14の下面の径方向両端に位置する角部、つまり内フランジ14の外面側の二つの角部18,20のうち、内フランジ14における前記円筒部12の形成側の外側角部18が角張った形状とされており、また、立上り部16の形成側の内側角部20が、曲率半径の小さな湾曲形状とされている。これによって、内フランジ14の下面にて与えられる外面22が、円筒部12の外周面24と、円筒状の立上り部16の内周面26との間の距離に近い、十分に大きな幅を有する平坦部位をもって、構成されているのである。
【0031】
ところで、このような金属部品10は、例えば、以下の如くして成形されることとなる。
【0032】
すなわち、先ず、図2に示される如き形状を呈する金属製の予備成形体28が準備される。より具体的には、この予備成形体28は、円板状の底部32の周縁部から、円筒状の筒壁部30が所定高さにおいて上方に向かって一体的に延び出して成っており、全体として、上方に向かって開口する、有底の円筒形状をもって、構成されている。また、かかる予備成形体28の筒壁部30の外周面の1/2高さ部位よりも低い、底部32寄り側の部分には、下方に向かうに従って次第に小径となるテーパ筒状の段付き面34が形成されている。これによって、予備成形体28の筒壁部30における段付き面34よりも下方の底部側が、該筒壁部30の段付き面34よりも上方の開口部側に比して所定の厚さだけ薄くされた薄肉部36とされており、また、その反対に、かかる筒壁部30の開口部側が厚肉部38とされているのである。そして、この予備成形体28においては、筒壁部30の開口部側の厚肉部38が、目的とする金属製品10の前記円筒部12と同一の形状と大きさとを有するように、構成されているのである。
【0033】
なお、ここでは、そのような予備成形体28が、円形の平板からなる金属素材を絞り加工することにより成形されて、準備されることとなる。そして、この予備成形体28の成形に際しては、図3に示される如き構造の絞り型40が好適に用いられるのである。この絞り型40は、位置固定のダイホルダ42と、このダイホルダ42の上方に所定距離を隔てて対向配置せしめられ、図示しない公知の油圧機構等によって上下動せしめられるパンチホルダ44とを有して、成っている。また、かかるパンチホルダ44の下面には、成形されるべき予備成形体28の筒壁部30の内周面形状に対応する外周面を備えた、円柱形状を呈する、第二のパンチとしての予備成形体成形用パンチ46が固設されて、パンチホルダ44と共に、上下方向に一体移動可能に配されていると共に、厚肉のリング形状を呈し、下面が平坦面とされた皺押さえパッド48が、予備成形体成形用パンチ46に外挿され、且つパンチホルダ44との間に配設された圧縮コイルばねにてパンチホルダ44に連結せしめられた状態で、予備成形体成形用パンチ46とは独立して上下動せしめられ得るように、配設されている。
【0034】
一方、ダイホルダ42の上面には、全体として厚肉円筒形状を呈し、該円筒形状の内孔にてダイ穴52が形成された、第二のダイとしての予備成形体成形用ダイ54が、前記予備成形体成形用パンチ46との同一軸線上において、位置固定に設けられている。また、この予備成形体成形用ダイ54にあっては、ダイ穴52の内周部の高さ方向中間部位に、前記予備成形体28の外周面に設けられた段付き面34に対応した、下方に向かうに従って徐々に大径となる逆テーパ筒状の段差面56が、周方向に連続して形成されており、それによって、ダイ穴52の内周部における該段差面56よりも下側の部位が、全周にわたって内方に向かって突出するように段付けされてなる段差部58とされている。そして、予備成形体成形用ダイ54においては、このダイ穴52における段差部58の内周面が、予備成形体28の前記薄肉部36の外周面形状に対応した形状とされており、また、ダイ穴52の内周部における段差面54よりも上側の開口側部位60が、予備成形体28の厚肉部38の外周面形状、換言すれば、目的とする金属部品10の前記円筒部12の外周面形状に対応した内周面をもって構成されているのである。なお、ここでは、ダイ穴52の内周部に設けられた段差面56の両端角部が、何方も角張った形状とされている。また、図3中、62は、前記金属素材を予備成形体成形用パンチ46との間で挟持するクッションパッドである。
【0035】
そして、かくの如き構造とされた絞り型40を用いて予備成形体28を成形するには、先ず、図3の左側半分に示されるように、目的とする金属部品10を与える円板状の金属素材64を、予備成形体成形用ダイ54と予備成形体成形用パンチ46との間に位置せしめて、絞り型40にセットする。つまり、金属素材64を、予備成形体成形用ダイ54上に、それと同心的に載置せしめた状態下で、該金属素材64の外周部を、予備成形体成形用ダイ54と皺押さえパッド48との間で挟持させると共に、その内周部を、予備成形体成形用パンチ46とクッションパッド62との間で挟持せしめるのである。
【0036】
次いで、図3の右半分に示される如く、予備成形体成形用パンチ46を、パンチホルダ44と共に下方へ移動せしめて、予備成形体成形用ダイ54のダイ穴52内に徐々に突入せしめることにより、金属素材64に対して、それら予備成形体成形用ダイ54と予備成形体成形用パンチ46とにて絞り加工を行う。それによって、金属素材64を、その内周部にて底部32が形成され、且つその外周部にて筒壁部30が形成された、上方に向かって開口する有底の円筒形状に成形して、予備成形体28を得るのである。
【0037】
なお、このような金属素材64に対する絞り加工では、金属素材64の外周部からなる筒壁部30の内周面が、予備成形体成形用パンチ46の外周面形状に対応した形状をもって形成される一方、該筒壁部30の外周面が、予備成形体成形用ダイ54におけるダイ穴52の内周面形状に対応した形状をもって形成されることとなる。そして、そのような筒壁部30の外周面に、前記段付き面34が、ダイ穴52の段差面56によって形成されて、かかる筒壁部30において、予備成形体成形用パンチ46と予備成形体成形用ダイ54におけるダイ穴52の前記開口側部位60との間に挟まれた部位が、前記厚肉部38とされる一方、予備成形体成形用パンチ46と該ダイ穴52の前記段差部58との間に挟まれた部位が、前記薄肉部36とされるのである。
【0038】
従って、ここでは、金属素材64に対する絞り加工の進行に伴って、筒壁部30を与える金属素材64の外周部が、予備成形体成形用パンチ46と予備成形体成形用ダイ54のダイ穴52の内周部との間に移動せしめられた際に、かかる金属素材64の外周部において、予備成形体成形用パンチ46と前記ダイ穴52の開口側部位60との間に挟まれた部分の高さ(長さ)が、目的とする金属部品10の円筒部12と同一の寸法とされた時点で、金属素材64に対する絞り加工が終了せしめられることとなるのである。
【0039】
そして、上述のようにして成形されて準備された予備成形体28を用いて、目的とする金属部品10を成形するのであるが、それには、図4に示される成形金型66が、有利に用いられる。この成形金型66は、上下方向において、相対的に接近/離隔可能な状態で対向配置された第一の型としての下型68と、第二の型としての上型70とを有して、構成されている。また、下型68は、位置固定の固定盤72と、該固定盤72上に固設された大径のガイドブッシュ74と、該ガイドブッシュ74の内孔内に挿入された状態で、上下動可能に配置されたクッションパッド76とを有して、成っている。そして、このクッションパッド76上には、第一のパンチとしての厚肉円筒状の立上り部成形用パンチ78が、ガイドブッシュ74の内周面に対して摺動可能に固設されていることによって、ガイドブッシュ74の内孔の内周面に案内されつつ、クッションパッド76と共に、上下方向に一体移動可能に位置せしめられている。また、そのような立上り部成形用パンチ78の内孔内には、円柱状の押さえパッド80が、挿入位置せしめられ、クッションパッド76との間に配設された圧縮コイルばねにて上方に付勢せしめられた状態で、立上り部成形用パンチ78とは独立して上下動可能に配置されている。なお、この押さえパッド80にあっては、その下端部に設けられた係合突起82が立上り部成形用パンチ78の内周部に設けられた係止部84に係止せしめられることにより、上方への移動が規制されるようになっている。
【0040】
また、このような構造とされた下型68にあっては、特に、立上り部成形用パンチ78の上面の中心部に、鉛直方向に延びる外周面をもって突出する突出部86が設けられており、この突出部86の外周面が、目的とする金属部品10の前記円筒状の立上り部16の内周面形状に対応した形状を有する立上り部成形面88とされている一方、かかる突出部86を取り囲む立上り部成形用パンチ78の上面の外周部が、金属部品10の前記円環板形状の内フランジ14の外面に対応した水平面からなる内フランジ成形面90とされている。更に、立上り部成形用パンチ78が摺動可能に内挿されるガイドブッシュ74の内周面が、金属製品10の前記円筒部12の外径に対応した内径をもって鉛直方向に延びる円筒面にて構成されており、それによって、該ガイドブッシュ74の上側開口部の内周面が、該円筒部12の外周面形状に対応した円筒部成形面92とされている。そして、ここでは、前述の如く、立上り部成形用パンチ78が、ガイドブッシュ74の内孔内において、その内周面に対して摺動可能に配置せしめられていることによって、ガイドブッシュ74の内孔内に、底面が内フランジ成形面90にて与えられると共に、内側側面と外側側面が立上り部成形面88と円筒部成形面92にてそれぞれ与えられてなる環状の溝形態を有する内フランジ成形部94が形成されているのである。
【0041】
一方、上型70は、前記下型68の固定盤72に対して、上方に所定距離を隔てて対向配置せしめられ、図示しない公知の油圧機構等により、上下方向において接近/離隔移動せしめられる可動盤96を有して、成っている。また、この可動盤96の下側には、厚肉の平板からなるダイホルダ98と、前記予備成形体28の筒壁部30における厚肉部38の内周面形状、換言すれば、目的とする金属部品10の円筒部12の内周面形状に対応する外周面を有する円柱状の、第一のダイとしての立上り部成形用ダイ100とが、配置されている。そして、この立上り部成形用ダイ100が、前記下型68の立上り部成形用パンチ78に対向し且つそれと同一軸線上に位置せしめられた状態で、可動盤96の下面に、ダイホルダ98を介して固設されている。これによって、立上り部成形用ダイ100が、可動盤96の移動に伴って、それと共に上下動せしめられるようになっているのである。
【0042】
さらに、可動盤96の下方には、厚肉のリング形状を呈し、下面が水平な平坦面とされた、移動部材としての押圧パッド102が、立上り部成形用ダイ100に外挿され、その外周面に対して摺動可能に配設されており、またそのような配置状態下で、ダイホルダ98に対して、それとの間に配設された圧縮コイルばねを介して連結されている。これによって、かかる押圧パッド102が、その下面の内周部において、下型68のガイドブッシュ74の内孔内に形成された前記内フランジ成形部94の内フランジ成形面90に対向位置せしめられており、また、可動盤96の下方への移動に伴って、該内フランジ成形部94の内フランジ成形面90に向かって接近移動せしめられる一方で、立上り部成形用ダイ100とは独立して上下動せしめられ得るようになっているのである。
【0043】
また、このような構造とされた上型70にあっては、立上り部成形用ダイ100の下面の外周部において、下型68のガイドブッシュ74の内孔内に形成される前記内フランジ成形部94の内フランジ成形面90と対向する部位に、二段に段付けされて、下方に突出する段付き突起104が、周方向に連続して延びるように形成されている。そして、かかる段付き突起104においては、その内周部からなる内側段部106aが、水平な平坦面からなる先端面を有し、且つ前記予備成形体28の底部32の肉厚寸法と略同じ高さ寸法をもって、立上り部成形用ダイ100の下面の内周部よりも一段高く段付けされて、形成されているのである。また、かかる段付き突起104の外周部からなる外側段部106bは、下方に凸となる湾曲面形状を呈する先端面を有し、且つ目的とする金属部品10の前記立上り部16における前記内フランジ14からの突出高さよりも十分に低い高さをもって、内側段部106aよりも更に一段高く段付けされて、形成されている。
【0044】
これによって、ここでは、後述する如く、下型68の立上り部成形用パンチ78上に前記予備成形体28を位置せしめた状態で、立上り部成形用ダイ100を下方に移動させて、それら立上り部成形用パンチ78と立上り部成形用ダイ100との間で予備成形体28を挟持した如き状態となったときに、立上り部成形用ダイ100の段付き突起104における内側段部106aの先端面が、前記内フランジ成形部94の内フランジ成形面90に対して、金属部品10の立上り部16の高さ寸法と同一の距離を隔てて対向位置せしめられるようになっており、また、外側段部106bが、かかる内フランジ成形部94内に突入せしめられるものの、内フランジ成形面90とは十分に距離をおいて位置せしめられるようになっているのである。
【0045】
さらに、かかる立上り部成形用ダイ100の下面の中央部において、下型68の押さえパッド80と対向する部位には、皺押さえ突起108が一体形成されていると共に、その中心部に、立上り部成形用ダイ100の中心軸にそって下方に延びるパイロットピン110が、その先端部を下方に所定長さ突出せしめた状態で固定されている。なお、このパイロットピン110の先端部は、立上り部成形用ダイ100が立上り部成形用パンチ78に向かって下方に移動せしめられた際に、押さえパッド80の中心部を貫通し、クッションパッド76の上部にまで延びるガイド孔112内に挿通せしめられて、立上り部成形用ダイ100の下方への移動を案内し得るようになっている。また、図4中、114,114は、成形金型66にて成形される、後述する中間成形体122を突き出して、該成形金型66から離脱させるためのエジェクタピンである。
【0046】
そして、かくの如き構造とされた成形金型66を用いて、目的とする金属部品10を成形するには、先ず、図4の左側半分に示される如く、前述せるようにして準備された予備成形体28を、下型68と上型70との間に配置して、成形金型66内にセットする。つまり、上型70を下型68から十分に離隔させた状態下において、予備成形体28を、筒壁部30が上型70に向かって開口する向きで、下型68の立上り部成形用パンチ78上に、それと同心的に載置した後、上型70の可動盤96を所定の距離だけ下方に移動させることにより、上型70全体を下型68に接近せしめて、予備成形体28の底部32の中心に設けた貫通孔116内に、上型70のパイロットピン110の先端部を挿通する一方、筒壁部30の上端面に対して、押圧パッド102の下面の内周部を当接せしめるのである。これにより、予備成形体28が、下型68と上型70との間に、水平方向及び鉛直方向(上下方向)において移動不能な状態で配置されて、成形金型66内にセットされることとなるのである。なお、このとき、予備成形体28の底部32の外面の中心部には、下型68の押さえパッド80が、その上面において接触せしめられ、また、該底部32の貫通孔116内に挿通せしめられたパイロットピン110の先端が、押さえパッド80の中心部を貫通して設けられたガイド孔112内に突入せしめられることとなる。
【0047】
次いで、上型70の立上り部成形用ダイ100を可動盤96と共に下方に移動させる。この立上り部成形用ダイ100の下方への移動下では、予備成形体28の筒壁部30の上端面に当接された押圧パッド102とその上方に位置するダイホルダ98との間に配設された圧縮コイルばねの圧縮により、それら押圧パッド102とダイホルダ98とが接触せしめられるまでは、立上り部成形用ダイ100が、押圧パッド102に対して相対移動させられて、予備成形体28の筒壁部30の内孔内に突入せしめられる。そして、押圧パッド102が、ダイホルダ98と接触せしめられた後には、該ダイホルダ98にて押圧されて、立上り部成形用ダイ100と共に下方に一体移動せしめられ、以て該押圧パッド102に当接する予備成形体28が下降せしめられて、その底部32側部分が、ガイドブッシュ74の内孔内に侵入させられる。これによって、図5に示されるように、予備成形体28の筒壁部30の厚肉部38が、目的とする金属部品10の円筒部12の内周面形状と外周面形状にそれぞれ対応した立上り部成形用ダイ100の外周面とガイドブッシュ74の内周面との間で挟持せしめられることとなる。
【0048】
なお、この押圧パッド102の下降に伴う予備成形体28のガイドブッシュ74の内孔内への侵入は、該予備成形体28が載置される立上り部成形用パンチ78と押さえパッド80の下方への移動によるものであるが、それらの移動は、クッションパッド76の固定盤72への当接によって規制される(図4参照)。そして、ここでは、立上り部成形用パンチ78と押さえパッド80の下方への移動端に位置せしめられた際に、ガイドブッシュ74の内孔内に形成される内フランジ成形部94の外側側面を与える円筒部成形面92の高さが、予備成形体28の厚肉部38の高さ、換言すれば、目的とする金属部品10の円筒部12と同一の高さとされるようになっているのである。
【0049】
そして、引き続き、立上り部成形用ダイ100を更に下方に移動せしめて、押圧パッド102の下面内周部を、前記内フランジ成形部94の底面を与える内フランジ成形面90に対して、より接近するように移動させて、かかる押圧パッド102にて、予備成形体28の筒壁部30を、その開口部側から底部32側に向かって押圧する。かくして、図6に示される如く、予備成形体28の筒壁部30における前記薄肉部36の全部を含む下端部と、該予備成形体28の底部32の外周部位を内フランジ成形部94内に押し込むことにより、該底部32の内周部を、立上り部成形用パンチ78の中心部に設けられた前記突出部86にて、該底部32の外周部に対して相対的に上方に移動させて、該底部32に対する絞り加工を行い、以て該底部32を下方に向かって開口する有底の円筒形状に徐々に成形するのである。なお、このような予備成形体28の底部32に対する絞り加工では、該底部32の中心部が、立上り部成形用ダイ100の皺押さえ突起108と下型68の押さえパッド80との間で挟持せしめられることとなる(図4参照)。
【0050】
その後、立上り部成形用ダイ100の更なる下降により、予備成形体28の筒壁部30を押圧パッド102にて押圧し、予備成形体28の筒壁部30の下端部を内フランジ成形部94内に更に押し込むことによって、図7に示されるように、該筒壁部30の薄肉部36を内フランジ成形部94の幅方向に圧縮して増肉すると共に、かかる増肉部位の下面を、内フランジ成形面90に対応した水平な平坦面となす。そして、それと同時に、予備成形体28の底部32に対する絞り加工を更に進行せしめる。
【0051】
なお、このとき、かかる絞り加工によって成形される有底円筒体の底部と筒壁部とをそれぞれ与える予備成形体28の底部32の内周部と外周部とが、立上り部成形用ダイ100の前記段付き突起104における内側段部106aの内側角部により、該立上り部成形用ダイ100の下降に伴って徐々に切り離されると共に、該予備成形体28の底部32の外周部が、かかる内側段部106aの先端面にて下方に押圧される。そして、それに伴って、該底部32の外周部と前記薄肉部36からなる増肉部位とにて形成される角部の湾曲形状における曲率半径が徐々に小さくされることとなる。また、ここでは、押圧パッド102にて押圧される予備成形体28の筒壁部30が、立上り部成形用ダイ100とガイドブッシュ74にて挟持されているため、該筒壁部30は、倒れたり、屈曲せしめられるようなことなく、開口部側から底部32側に向かって鉛直方向に真っ直ぐに押圧され得ることとなるのである。
【0052】
そして、図8に示されるように、予備成形体28の筒壁部30の段付き面34が、内フランジ成形部94の内フランジ成形面90に接触するまで、該筒壁部30の下端部を該内フランジ成形部94内に更に押し込む。これによって、予備成形体28の筒壁部30の厚肉部38及び薄肉部36と底部32の外周部のそれぞれの外面が、内フランジ成形部94の円筒部成形面92、内フランジ成形面90、立上り部成形面88に各々対応した形状とされる。また、該筒壁部30の厚肉部38は、円筒形状が維持されるものの、薄肉部36は、該厚肉部38と略同一の適度な厚みとされるまで増肉せしめられた状態で、該厚肉部38の下端部から内側に突出し、且つその周方向に連続して延びる円環板形状に成形され、更に、底部32の外周部が、該筒壁部30の薄肉部36の先端部から鉛直上方に向かって、前記厚肉部38よりも低い高さをもって突出し、且つその周方向に延びる、該厚肉部38よりも低い高さの円筒形状に成形されるのである。そして、特に、円環板形状に成形された薄肉部36の下面の径方向両端に位置する両側角部、つまり、円環板形状に成形された薄肉部36の二つの外面側角部のうち、厚肉部38側の外側角部は、前記筒壁部30の段付き面34の厚肉部38との角部に対応した角張った形状をもって形成される一方、底部32の円筒形状に成形された部位側の内側角部が、小さな曲率半径の湾曲形状をもって形成されることとなる。
【0053】
なお、ここでは、前述せる如く、予備成形体28の底部32が、立上り部成形用ダイ100と立上り部成形用パンチ78との間で挟持せしめられた際に、立上り部成形用ダイ100の段付き突起104における内側段部106aの先端面が、前記内フランジ成形部94の内フランジ成形面90に対して、金属部品10の立上り部16の高さ寸法と同一の距離を隔てて対向位置せしめられるようになっている一方、外側段部106bの先端面が、内フランジ成形面90とは十分に距離をおいて位置せしめられるようになっている。
【0054】
従って、予備成形体28の底部32において、円筒形状に成形された成形部位の高さが、目的とする金属部品10の立上り部16と同一高さとされるのである。また、円環板形状に成形された筒壁部30の薄肉部36の上面と該外側段部106bの先端面との間には、隙間118が形成され、それによって、該薄肉部36を円環板形状に成形する過程において、立上り部成形用ダイ100の外周縁部が、立上り部成形用パンチ78に対して、直接に、或いは予備成形体28を介して当接せしめられるようなことが回避され得るようになっており、また、内フランジ成形部94内で増肉される前記薄肉部36の余肉部分が前記隙間118内に侵入せしめられ得るようになっているのである。
【0055】
かくして、図4の右側に示されるように、予備成形体28の筒壁部30における厚肉部38からなる円筒部12と、該筒壁部30の薄肉部36が増肉せしめられて形成された内フランジ14と、予備成形体28の底部32の外周部からなる立上り部16と、該底部32の内周部からなる円板部120とを有する中間成形体122を成形するのである。
【0056】
そして、その後、この中間成形体122を成形金型66から離脱せしめた後、円板部120を公知の方法で切除し、以て図1に示される如き形状の目的とする金属部品10を得るのである。
【0057】
このように、本実施形態にあっては、先ず、円形の平板からなる金属素材に対して絞り加工を行って予備成形体28を成形し、その後、この予備成形体28に対して絞り加工や圧縮加工を施すことにより、目的とする金属部品10を成形するようにしたものであって、金属素材から目的とする金属部品10を得るまでの間に切削加工が何等行われるものでないところから、成形される金属部品10において、切削加工にて形成される薄肉部位が生ぜしめられることが有利に皆無ならしめられ得るのであり、それによって、かかる金属部品10の強度が、効果的に確保され得るのである。尤も、予備成形体28の筒壁部30の一部が薄肉部36とされるものの、この薄肉部36は、圧縮加工により増肉されて、内フランジとして形成されるものであるため、かかる薄肉部36によって、目的とする金属部品10の強度が部分的に低下するようなことも、全くないのである。
【0058】
また、本実施形態では、予備成形体28の筒壁部30の薄肉部36を含む下端部を、該筒壁部30に形成された段付き面34が内フランジ成形部94の内フランジ成形面90に当接するまで、該内フランジ成形部94内に押し込むことによって、該内フランジ成形部94内で、該薄肉部36が増肉せしめられて、内フランジ14が形成されると同時に、該内フランジ14の両端の外面側角部18,20のうち、円筒部12側の外側角部18が、予備成形体28の筒壁部30における段付き面34の角部にて角張った形状をもって形成される一方、立上り部16側の内側角部20が、小さな曲率半径を有する湾曲形状をもって形成されるようになっているところから、形成された内フランジ14に対して、その外面22の平坦部位を増大せしめるための後加工を何等施すことなく、該外面22に対して、十分に大きな平坦部位が、作業効率良く、極めて有利に付与され得ることとなるのである。
【0059】
しかも、本実施形態においては、上述の如く、内フランジ14の二つの外面側角部18,20のうちの一方の外側角部18が、予備成形体28の筒壁部30における段付き面34の角部にて形成されるようになっているところから、該筒壁部30を内フランジ成形部94内に十分に押し込んで、増肉させつつ、内フランジ14の外側角部18を与える部位を外方に押し出すことにより、湾曲形状を呈する外側角部18の曲率半径を小さくなすようにした従来手法を採用する場合と比べて、筒壁部30の内フランジ成形部94内への押込み量を有利に少なくすることが出来、それによって、そのような筒壁部30の内フランジ成形部94内への押込み量の増大に伴う内フランジ14の過剰な圧縮によって、内フランジ14の内面側角部にシームが発生せしめられるようなことが、極めて効果的に防止され得るのである。
【0060】
さらに、本実施形態にあっては、筒壁部30が厚肉部38と薄肉部36とからなり、部分的に厚さが異なるように構成された予備成形体28が、円形の平板からなる金属素材に対して、単に、一回の絞り加工を施すだけで成形されるようになっているところから、例えば、金属素材を絞り加工により有底筒形状に成形した後、かかる成形体の筒壁部の底部側に対して切削加工を行って、該筒壁部の底部側を薄肉となすことにより、予備成形体28を成形する場合に比べて、少ない工程数で、作業効率良く、しかも、材料を無駄に廃棄することもなく、予備成形体28、ひいては目的とする金属部品10が、極めて有利に成形され得るのである。
【0061】
また、本実施形態では、内フランジ成形部94内で、予備成形体28の筒壁部30における薄肉部36を増肉せしめて、内フランジ14を形成する際に、増肉せしめられる薄肉部36と、立上り部成形用ダイ100の外周縁部に形成された段付き突起104の外側段部106bとの間に隙間118が設けられて、該増肉せしめられる薄肉部36の余肉部分が該隙間118内に侵入せしめられるようになっているところから、該薄肉部36の増肉によって形成される内フランジ14の、内フランジ成形面90に対応する外面22に、余肉部分が付加されることが有利に回避され得、それによって、かかる内フランジ14の外面22の全面が、平坦面形状とされた内フランジ成形面90に、より確実に対応した形状をもって成形され得るのであり、以て該内フランジ14の外面22に対して、大きな幅の平坦部位が、より確実に付与され得ることとなるのである。
【0062】
また、そのように、かかる本実施形態では、内フランジ成形部94内に、増肉せしめられる薄肉部36と、立上り部成形用ダイ100において、立上り部成形用パンチ78に対して最も近接する先端に位置し、且つ先端面が極めて小さな面積とされた段付き突起104の外側段部106bとの間に隙間118が設けられていることによって、かかる立上り部成形用ダイ100の段付き突起104の外側段部106bが、立上り部成形用パンチ78に対して、直接に、或いは予備成形体28を介して当接せしめられるようなことが回避さ得るようになっているところから、内フランジ94を成形する際に、立上り部成形用ダイ100から予備成形体28に対して作用せしめられる押圧力により、立上り部成形用ダイ100が、前記段付き突起104の外側段部106b等において、部分的に破損乃至は損傷せしめられるようなことが、効果的に防止され得るのである。
【0063】
さらに、本実施形態にあっては、成形金型66が、目的とする金属部品10の立上り部16を形成するための立上り部成形用パンチ78及び立上り部成形用ダイ100と、該金属部品10の内フランジ14を形成するための内フランジ成形部94とを有し、かかる一個の成形金型66にて、それら立上り部16と内フランジ14とが一挙に形成され得るようになっているところから、目的とする金属部品が、優れた作業性と効率性とをもって、迅速に且つ容易に成形され得ることとなるのである。
【0064】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0065】
例えば、前記実施形態では、所定の絞り型40を用い、円板状の金属素材64に対して絞り加工を行うことによって成形された有底の筒状体が、目的とする金属部品10を与える予備成形体28として使用されていたが、かかる予備成形体28は、有底の筒形状を呈し、その筒壁部30の外周面に設けた段付き面34によって、底部側部位が薄肉部36とされる一方、開口部側部位が、目的とする金属部品10の円筒部12を与える厚肉部38とされたものであれば、既製ものや、上述の如き絞り加工以外の方法で成形されたものも、勿論、使用され得るのである。
【0066】
また、前記実施形態では、目的とする金属部品10の立上り部16を形成するための立上り部成形用パンチ78及び立上り部成形用ダイ100と、該金属部品10の内フランジ14を形成するための内フランジ成形部94の両方を有する成形金型66が用いられ、この1個の成形金型により、立上り部16と内フランジ14とが一挙に形成され得るようになっていたが、立上り部成形用パンチ78及び立上り部成形用ダイ100のみを有する、立上り部16を形成するための成形金型と、内フランジ成形部94のみを備えた、内フランジ14を形成するための成形金型とを用い、それら2種類の成形金型により、予備成形体28に対して立上り部16と内フランジ14とを別々に形成するようにしても、何等差し支えないのである。
【0067】
なお、立上り部成形用パンチ78及び立上り部成形用ダイ100と内フランジ成形部94とを有する成形金型66を用いる場合にあっても、例えば、立上り部成形用パンチ78と立上り部成形用ダイ100の配設構造や、配設位置、或いは内フランジ成形部94の形状や配設位置等の詳細な構造は、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではない。
【0068】
さらに、前記実施形態では、目的とする金属部品10が、鉛直方向に延びる円筒部12と円筒状の立上り部16のそれぞれの下端部が、水平方向に広がる円環板形状の内フランジ14にて一体的に連結されてなる構造をもって構成されていたが、かかる金属部品10は、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられた構造を有しておれば良い。従って、目的とする金属部品10が、筒部や立上り部が角筒形状を有してなる構造や、それら筒部や立上り部の両方若しくは一方が鉛直方向に対して傾斜して延び出してなる構造、或いは内フランジが水平方向に対して傾斜する方向に広がってなる構造や、該内フランジが筒部と立上り部のそれぞれの上端部に対して一体形成されてなる構造等を有していても、何等差し支えないのである。
【0069】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車のオートマチックトランスミッションを構成する金属部品の成形方法とそれに用いられる成形金型に対して適用したものの具体例を示したが、本発明が、その他、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなる、様々な用途に使用される金属製品を成形する方法と、それに用いられる成形金型に対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0070】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【0071】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う金属製品の成形方法によれば、筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなり、且つ限られた幅の内フランジの外面において、十分に大きな幅の平坦部位を有する金属製品を、該内フランジの強度の低下やシームの発生等を惹起せしめることなく、しかも比較的に少ない工程数で、容易に成形することが出来るのである。
【0072】
また、本発明に従う金属製品の成形金型を用いれば、目的とする金属製品の成形作業の効率化が、より効果的に図られ得ることとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明手法に従って成形された金属製品の一例を示す縦断面説明図である。
【図2】本発明手法に従って、図1に示される金属製品を成形する際に用いられる予備成形体の一例を示す縦断面説明図である。
【図3】図2に示された予備成形体を成形する工程の一例を示す説明図であって、左側半分は、予備成形体を与える金属素材を絞り型にセットした状態を示し、右側半分は、金属素材に対して絞り加工を施して、予備成形体を成形した状態を示している。
【図4】本発明手法に従って、図1に示される金属製品を成形する工程の一例を示す説明図であって、左側半分は、予備成形体を成形金型にセットした状態を示し、右側半分は、予備成形体に対して絞り加工と圧縮加工を施して、目的とする金属製品を与える中間成形体を成形した状態を示している。
【図5】本発明手法に従って、図1に示される金属製品を成形する工程の別の例を示す説明図であって、上型を下型に対して接近移動せしめて、上型の立上り部成形用ダイと下型のガイドブッシュとの間で、予備成形体の筒壁部を挟持せしめた状態を示している。
【図6】本発明手法に従って、図1に示される金属製品を成形する工程の更に別の例を示す説明図であって、上型を下型に対して更に接近移動せしめて、上型の押圧パッドにて予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧することにより、該筒壁部の薄肉部を下型の内フランジ成形部内に押し込んだ状態を示している。
【図7】本発明手法に従って、図1に示される金属製品を成形する工程の他の例を示す説明図であって、予備成形体の筒壁部の薄肉部を下型の内フランジ成形部内に更に押し込んで、内フランジ成形部内において、該薄肉部を圧縮変形せしめた状態を示している。
【図8】本発明手法に従って、図1に示される金属製品を成形する工程の更に他の例を示す説明図であって、予備成形体の筒壁部の段付け面が内フランジ成形部の内フランジ成形面に接触するまで、該筒壁部を内フランジ成形部内に押し込むことにより、目的とする金属製品の円筒部と内フランジと立上り部とを形成せしめた状態を示している。
【符号の説明】
10 金属部品 12 円筒部
14 内フランジ 16 立上り部
18 外側角部 20 内側角部
22 外面 28 予備成形体
30 筒壁部 32 底部
34 段付き面 36 薄肉部
38 厚肉部 40 絞り型
46 予備成形体成形用パンチ 54 予備成形体成形用ダイ
56 段差面 58 段差部
66 成形金型 78 立上り部成形用パンチ
88 立上り部成形面 90 内フランジ成形面
92 円筒部成形面 94 内フランジ成形部
100 立上り部成形用ダイ 102 押圧パッド
118 隙間

Claims (6)

  1. 筒部の一方の端部に、該筒部の内側に突出して延びる内フランジが一体的に形成されると共に、かかる内フランジの先端部に、該筒部の他方の端部側に向かって突出して延びる筒状の立上り部が一体的に設けられてなる金属製品を成形する方法にして、
    有底の筒形状を呈し、その筒壁部の外周面に設けた段付き面によって、底部側部位が薄肉部とされる一方、開口部側部位が前記金属製品の筒部を与える厚肉部とされた予備成形体を準備する工程と、
    前記金属製品の筒状の立上り部の内周面形状に対応した外周面を有する第一のパンチと、該第一のパンチと対をなす第一のダイとを用いて、前記準備された予備成形体の底部に対して絞り加工を行うことにより、前記筒状の立上り部を形成する工程と、
    前記金属製品の内フランジの外面に対応した形状の底面を有する溝を備え、該溝の内側の側面が、前記立上り部の内周面形状に対応した形状とされる一方、その外側の側面が、前記金属製品の筒部の外周面形状に対応した形状とされた内フランジ成形部を有してなる成形金型を用い、前記予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧して、該筒壁部の前記段付き面が前記内フランジ成形部の底面に接触するまで、該筒壁部における該段付き面よりも前記底部側の薄肉部を該内フランジ成形部内に押し込むことによって、該筒壁部の前記開口部側の厚肉部にて前記金属製品の筒部を形成すると共に、該内フランジ成形部内で該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、前記内フランジを形成する工程とを、
    含むことを特徴とする金属製品の成形方法。
  2. 前記筒部の内周面形状に対応した外周面を有する第二のパンチと、該第二のパンチが挿入される穴を有する第二のダイとを含み、該第二のダイの穴の内周部における、該第二のパンチが挿入される開口側部位が、前記筒部の外周面形状に対応した内周面をもって構成される一方、かかる内周部における該開口側部位に連続する部位が、該穴の内周面に周設された段差面により、全周にわたって内方に向かって突出するように段付けされてなる段差部とされた絞り型を用い、前記金属製品を与える平板状の金属素材に対して、前記第二のパンチと前記第二のダイとにて絞り加工を行うことによって、筒壁部の底部側が薄肉化された段付きの有底筒形状を呈し、且つ前記段付き面が該第二のダイの前記穴内の段差面にて形成され、更に、該筒壁部における開口部側の厚肉部が前記金属製品の筒部を与える部位とされた前記予備成形体を成形せしめて、準備するようにした請求項1に記載の金属製品の成形方法。
  3. 前記予備成形体の筒壁部における底部側の薄肉部を前記内フランジ成形部内に押し込んで、該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、前記内フランジを形成する際に、該内フランジ成形部内において、該筒壁部の薄肉部における該内フランジ成形部の前記底面側とは反対の面上に、該筒壁部の増肉部分が侵入可能な空間を形成せしめた状態で、該筒壁部の薄肉部を該フランジ成形部内に押し込むようにした請求項1又は請求項2記載の金属製品の成形方法。
  4. 前記成形金型が、前記内フランジ成形部と共に、前記第一のパンチ及び前記第一のダイをも有するように構成されており、かかる成形金型を用いて、前記立上り部の形成工程と前記筒部及び前記内フランジの形成工程とが共に実施されるようにした前記請求項1乃至請求項3の何れかに記載の金属製品の成形方法。
  5. 前記請求項4に記載の金属製品の成形方法において用いられる成形金型であって、
    相対的に接近/離隔可能に対向配置された第一の型と第二の型とを含み、該第一の型が、前記第一のパンチと前記内フランジ成形部を有する一方、該第二の型が、前記第一のダイと、該第一の型と該第二の型の接近に伴って、前記金属製品の筒部の開口部側から底部側に向かって、前記内フランジ成形部の底面に対して相対的に接近移動せしめられる移動部材とを有して構成され、該第一の型と該第二の型との間に前記予備成形体を位置せしめた状態で、それら第一の型と第二の型とを接近移動させることにより、該第一のパンチと該第一のダイとにて、該予備成形体の底部に対して絞り加工を行って、前記筒状の立上り部を形成する一方、該第一の型と該第二の型の接近移動に伴う前記移動部材と前記内フランジ成形部の底面との接近移動によって、それら移動部材と内フランジ成形部の底面との間で、前記予備成形体の筒壁部を、その開口部側から底部側に向かって押圧して、該筒壁部の前記段付き面が前記内フランジ成形部の底面に接触するまで、該筒壁部における該段付き面よりも前記底部側の薄肉部を該内フランジ成形部内に押し込むことによって、該筒壁部の前記開口部側の厚肉部にて前記金属製品の筒部を形成すると共に、該内フランジ成形部内で該薄肉部を圧縮して増肉しつつ、前記内フランジを形成し得るように構成されていることを特徴とする金属製品の成形金型。
  6. 前記内フランジ成形部内に押し込まれる前記予備成形体の筒壁部における底部側の薄肉部と前記第二の型との間に空間が形成され得るようになっている請求項5に記載の金属製品の成形金型。
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