JP3811023B2 - フレキシブル管用継手の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブル管用継手の製造方法及びフレキシブル管に継手を固定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水道管やガス管等の用途に波形凹凸断面を有する蛇腹状のフレキシブル管が用いられており、その端部は円筒状とされている。このようなフレキシブル管に用いられる継手は、従来、所定の長さの極めて厚手の金属材の中を切削することにより通孔を開け、金属材の両端に径方向外側に突出する抜け止めとフランジを形成するように金属材を円筒状に外面を切削することにより製作されていた。
【0003】
また、フレキシブル管を設置する場合、フレキシブル管を保護するためにフレキシブル管にパイプ状の保護材としてのネット管を被せるのが通常であるが、従来はそのネット管を円筒状の継手本体部まで被せ、その後リング状の固定部材を通して、その固定部材を継手の本体部に配置し、その継手の本体部で固定部材、ネット管及び継手を溶接することにより固定していた。そして、フレキシブル管と継手とは、継手の内周面とフレキシブル管円筒部の外周面との接触部を溶接することにより固定していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の金属材を切削して継手を製作する方法では、切削する箇所及び量が多いために削りくずになる部分が極めて多く生じた。また、内部をくりぬいて筒状にし、外面を円筒状になるように均一に切削して、抜け止め等を削成しなければならず、極めて煩雑な作業と熟練した技術が要求されていた。そのため、この方法で継手を製作すると、生産性が低く、コスト高になるという問題点があった。
【0005】
また、この問題を解決するために、厚板鋼板をプレス成形やバーリング加工を用いて円筒状の成形品にし、その成形品の開口部をそのままプレスして径方向外側に突出させて抜け止めを形成する方法も考えられるが、この方法では、抜け止めを形成する際に、抜け止めを円周面に沿って均一に成形するのが困難であり、また、抜け止めをうまく成形することができてもその抜け止めの屈曲部が円弧状になってしまい、抜け止めとしての機能が弱化してしまう。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、プレス成形を使用することによって、作業工程を減らして生産性を高め、コスト削減を図ると同時に、成形精度が高く、確実な抜け止めの機能を発揮するフレキシブル管用継手の製造方法を提供することを課題としている。
【0007】
また、従来のフレキシブル管に継手を接続する方法では、フレキシブル管に被せた保護材が抜けやすく、フレキシブル管を確実に保護できないという問題点があった。また、従来の方法では溶接を使用していたため、この溶接をした部分が錆の原因となり、フレキシブル管内を通る水道水に錆が混入するという問題を生じていた。
【0008】
本発明の他の目的は、保護材が外れるのを強固に防止してフレキシブル管の損傷を防ぐとともに、錆の原因となる溶接を完全に排除することを主眼としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1フレキシブル管用継手の製造方法は、 厚板鋼板を、下方に開口した略半球形状の椀形にプレス成形し、当該成形品の略半球形状の頭部外面にリング状の溝を設け、そのリング状の溝の内側に抜け止めとなる部分を残して、リング状の溝と同心の円形の通孔を穿設し、その成形品を抜き絞ることにより筒状に成形した後、前記リング状の溝部分で当該成形品の側壁上端部を外側に折り曲げることで抜け止めを形成することを特徴とする。
請求項2のフレキシブル管用継手の製造方法は、請求項1に記載のフレキシブル管用継手の製造方法であって、波形凹凸断面のフレキシブル管の端部に形成された円筒状部に外嵌され、一端部にフランジが形成されると共に、他端部に径方向外側に突出した抜け止めが形成されてなるフレキシブル管用継手の製造方法である。
【0010】
また、請求項3の発明は、波形凹凸断面のフレキシブル管の端部に形成された円筒状部に外嵌され、一端部にフランジが形成されると共に、他端部に径方向外側に突出した抜け止めが形成されてなるフレキシブル管用継手の製造方法であって、厚板鋼板を下方に開口した略半球形状の椀形にプレス成形して第1成形品を形成し、第1成形品の略半球形状の頭部の外面にリング状の溝を設けて第2成形品を形成し、第2成形品の略半球状の頭部のリング状の溝の内側に、抜け止めとなる部分を残して、リング状の溝と同心の円形の通孔を穿設して第3成形品を形成し、第3成形品を、下方に向かって開口した円筒形状の第4ダイと、第4ダイと同軸上の下方に設置され、頭部が第3成形品の内周面の形状に適合する略半球形状に形成された円柱形状であって、その頭頂部の中央に、第3成形品の通孔の形状に適合した外径を有する円柱形の嵌挿部が設けられた第4パンチとの間に設置し、第4ダイの内周面下端を第3成形品の周側面と接触したまま第3成形品に対して下方へ圧力を加えることにより、第3成形品を円筒形状の円筒部に成形するとともに、第3成形品を抜き絞る際に下方に押し運ばれた第3成形品の余肉を下方に移動しプレスすることにより円筒部の下端から径方向外方に向かって延出する略円形状のつば部を形成して第4成形品を形成し、第4成形品に対し、前記リング状の溝より上部の抜け止めとなる部分を外側に折り曲げることで抜け止めを形成することを特徴とする
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の「フレキシブル管用継手の製造方法」及び「フレキシブル管に継手を固定する方法」について、さらに詳細に説明する。
【0012】
図1の(A)は、プレス加工により厚板鋼板を成形する工程を示した図であり、(B)は、その工程により成形された第1成形品W1をあらわした図である。
【0013】
図1の(A)においては、1aは加工板、1bは第1ダイ、1cは第1ダイ本体部、1dは凹部、1eは第1ダイ延出部、1fは第1パンチ、1gは外押え型、1hは内押え型、1iは内押え型の下方に設けられたバネ、1jはダイ本体部に備えられた切刃、1kは外押え型に備えられた切刃、1mは第1シャンク、1nは第1上型ホルダ、1pは第1ダイプレート、1rは押し出し部材、1sは押し出し部材の上方に設けられた圧縮バネ、1tは第1パンチプレート、1uは第1台座を示している。
【0014】
本実施例では、加工板1aは厚さ3mm程度の厚板鋼板からなる。この加工板1aの材質、厚さ等は、製造する継手の種類により適宜変更される。
【0015】
本工程では、第1ダイ1bが上方に、第1パンチ1fが下方にそれぞれ同軸上に設置される。第1ダイ1bは、略円柱形状の第1ダイ本体部1cとその上端から径方向外側に向かって延出する第1ダイ延出部1eを備える。第1ダイ本体部1cの下面には略半球形状の凹部1dが下方に開口して設けられており、また、第1ダイ本体部1cの外周面下端にはその外周に沿って切刃1jが備えられている。
【0016】
そして、第1ダイ1b内部に設けられた円柱形状の空間には、上方に圧縮バネ1sを備え上下可動に取り付けられた押し出し部材1rが設けられている。この押し出し部材1rはピン部を有している。この押し出し部材1rのピン部は第1ダイ本体部1cの凹部1dに設けられた穴から下方に突出しており、第1ダイ1bを最深までプレスすると完全に凹部の内周面より内側に埋まるように設定されている。この押し出し部材1rは、圧縮バネ1sにより下方に付勢されていることから、プレス後に第1ダイ1bの凹部1dから第1成形品W1を離脱させる役割を果たす。
【0017】
第1パンチ1fは円柱形であり、その頭部は略半球形状に形成されている。この第1パンチ1fの頭部の形状は第1ダイ本体部1cの凹部1dの形状と適合している。この第1パンチ1fの頭部の形状及びその形状と適合する第1ダイ本体部1cの凹部1dの形状・深さを調整することにより、第1成形品W1の形状・高さを調節することができ、必要な形状・寸法の継手を製造することが可能である。
【0018】
第1パンチ1fの周囲には、下方にバネ1iを備え、上下可動に取り付けられた中空円筒形状の内押え型1hが第1パンチ1fの周側面を包むように設けられている。この内押え型1hが上下可動に取り付けられていることにより、プレスの際に成形品にしわが発生するのを防止している。なお、バネ以外にもシリンダとピストンからなる圧力装置等の緩衝材を用いてもよい。
【0019】
そして、内押え型1hの周囲には、その周側面を包むように中空円筒形状の外押え型1gが固定された状態で設置される。この外押え型1gの高さは内押え型1hの高さと同じ高さであって、第1パンチ1fの先端の高さよりもやや高い位置に設定されている。この外押え型1gの内周面上端には、その内周に沿って切刃1kが設けられている。また、プレス加工をする際に外押え型1gの頂面がダイ延出部1eの下面と接触して必要以上のプレスをすることを防止することにより、常に一定形状の第1成形品W1を成形することができる。
【0020】
本工程では、まず、外押え型1g及び内押え型1hの上に外押え型1gの内周より径方向内側を完全に覆うような状態で加工板1aを置く。そして、第1ダイ1bでプレスする。そうすると、まず、第1ダイ本体部1cの外周面下端に設けられた切刃1jと外押え型1gの内周面上端に設けられた切刃1kとが協働して加工板1aの外縁部を切断し、加工板1aが外押え型1gの内周に適合した円形に切り取られる。その後、第1ダイ本体部1cの下面と内押え型1hの頂面とに挟まれた状態で円形に切り取られた加工板1aが下方にプレスされ、第1パンチ1fの頭部の形状に成形される。
【0021】
上記の本工程により、図1(B)に示すような椀形の第1成形品W1が成形される。
【0022】
図2の(A)はプレス加工により第1成形品W1の頭部にリング状の溝を形成する工程を示したものであり、(B)はそれにより成形された第2成形品W2をあらわした図である。
【0023】
図2の(A)において、2aは第2パンチ、2bは第2パンチ本体部、2cはリング状突起部、2dは凹部、2eは第2ダイプレート、2fは第2ダイ、2gは第2ダイのリング状の溝、2iは第2シャンク、2jは第2上型ホルダ、2kは第2パンチプレート、2mは第2台座を示している。
【0024】
本工程では、上方に第2パンチ2aが、その下方に第2ダイ2fがそれぞれ同軸上に設置される。第2パンチ2aは略円柱形状の第2パンチ本体部2bを有しており、その第2パンチ本体部2bの下面中央には略V字形状断面を有するリング状突起部2c、及び、そのリング状突起部2cの内側の凹部2dが設けられている。そして、リング状突起部2cの中心は、第2ダイ2fの中心と同軸上に設定されている。また、第2パンチ本体部2bの凹部2dは、プレスの際に第2ダイ2fの頭部に被せられる第1成形品W1と接触して第1成形品W1が変形することを防止するために設けられている。
【0025】
第2ダイ2fは、円柱形状であって頭部が略半球形状である。この第2ダイ2fの頭部には第2パンチ2aのリング状突起部2cと対応する位置に、適合する形状のリング状の溝2gが設けられている。
【0026】
本工程では、第1成形品W1を第2ダイ2fに被せ、第2パンチ2aでプレスする。すると、第2パンチ本体部2b下面のリング状突起部2cが第1成形品W1の頭部をプレスし、第1成形品W1の頭部にリング状溝2hが形成され、余肉が第2ダイ2fのリング状溝2gに押し出される。
【0027】
なお、本実施例では、第2成形品W2に形成されるリング状溝2hの深さは2ミリ程度に設定しているが、これより深い溝を設けることにより完成品である継手に形成される抜け止めにさらに角度をつけることが可能である。
【0028】
本工程により、図2(B)に示すように、第1成形品W1の頭部にリング状溝2hが設けられてなる第2成形品W2が成形される。
【0029】
図3の(A)は、パンチ加工により第2成形品W2に設けられたリング状溝2hの内側に通孔を開ける工程を示した図であり、(B)はそれにより成形された第3成形品W3をあらわした図である。
【0030】
図3の(A)では、3aは第3パンチ、3bはクッション材、3cは第3ダイプレート、3dは第3ダイ、3eは第3ダイの円柱形状の穴、3gは第3シャンク、3hは第3上型ホルダ、3i第3パンチプレート、3jは第3台座を示している。
【0031】
本工程では、第3パンチ3aが上方に、第3ダイ3dが下方にそれぞれ同軸上に設置される。第3パンチ3aは円柱形状であり、そしてその第3パンチ3aの周側面を包むように中空円筒形状で上下方向に伸縮性のあるクッション材3bが設けられている。このクッション材3bは、ウレタンやゴムなどの弾性体からなり、プレスの際に第3ダイ3dに被せられる第2成形品W2を第3ダイ3dに押さえつけて固定する役割を果たす。これにより正確な位置に通孔を開けることができる。
【0032】
第3ダイ3dの形状は、頭部が略半球形状をした円柱形状である。この第3ダイ3dの頭部の形状は、第2成形品W2の内周面の形状と適合している。また、第3ダイ3dの中央には円柱形状の穴3eが垂直に設けられている。この穴3eは、第3パンチ3aの形状と適合しており、プレスした際に第3パンチ3aが収まるように設けられている。
【0033】
本工程では、第3ダイ3dに第2成形品W2が設置され、第3パンチ3aにより第2成形品W2に円形の通孔3fが開けられる。この通孔3fは、第3ダイ3dの円柱形状の穴3eが第3ダイ3dと同心に設けられていることから、第2成形品W2のリング状溝2hと同心となる。
【0034】
本実施例では、第3成形品W3に設けられたリング状溝2hの直径は22mm程度、通孔3fの直径は14mm程度としている。そして、この通孔3fとリング状溝2hの間の部分が、最終的に完成品の継手Zにおいて抜け止め5kとなる。なお、第3成形品に形成されたリング状溝2hの径及び通孔の径3fを変えることにより、適宜完成品である継手Zの尺及び抜け止め5kの寸法を変更することが可能である。
【0035】
本工程により、図3(B)に示すような第2成形品W2の中央に通孔3fが開けてなる第3成形品W3が成形される。
【0036】
図4の(A)は、バーリング加工により第3成形品W3を内側から抜き絞り、円筒形状に成形する工程を示した図であり、(B)はこれにより成形された第4成形品W4をあらわした図である。
【0037】
図4の(A)では、4aは第4ダイ、4bは第4上型ホルダ、4cはノックアウトロッド、4dはナット、4eは第4ダイプレート、4fは第4パンチ、4gは第4ダイ頭頂部の嵌合部、4hは押え型、4mはクッションピン、4nは下型ホルダ、4pは支柱、4rはクッションパッド、4sはバネ又はエアクッション等の圧力装置、4tは第4台座を示している。
【0038】
本工程では上方に第4ダイ4aが、その下に第4パンチ4fがそれぞれ同軸上に設置される。第4ダイ4aの形状は下方に向かって開口した円筒形状であり、この第4ダイ4aの内周面下端がプレスの際に第3成形品W3の側面に接触するように設けられている。そして、第4ダイ4a内部の深さは、成形後の第4成形品W4の高さよりも深く設定されている。
【0039】
第4ダイ4aの内部には、ノックアウトロッド4cが、第4ダイ4aの内部から第4ダイプレート4e及び第4上型ホルダ4bに垂直に設けられた通孔に通されて取り付けられる。このノックアウトロッド4cは、端部にねじ山が刻まれたロッド部とその他端部にロッド部と垂直に形成された円形の板状部からなる。そして、第4上型ホルダ4bから突出したロッド部のねじ山部分にナット4dが締められ、ノックアウトロッド4cはその円形板状部が第4ダイ4a内に配置される状態で吊着される。このナット4dはノックアウトロッド4cが落下するのを防ぐために設けられるものであり、限界まで締められることはなく、ノックアウトロッド4cは第4上型ホルダ4bに対し上下可動な状態に保たれる。このノックアウトロッド4cは、プレスの後に本工程により成形された第4成形品W4を第4ダイ4aから離脱させる役割を果たす。
【0040】
第4パンチ4fの形状は、頭部が第3成形品W3の内周面の形状に適合する略半球形状に形成された円柱形状であって、その頭頂部の中央には、第3成形品W3の通孔3fの形状に適合した外径を有する円柱形の嵌挿部4gが設けられている。この嵌挿部4gにより、第4ダイ4aをプレスする際に第3成形品W3が第4パンチ4fに固定され、第3成形品W3を均一に抜き絞ることができる。
【0041】
第4パンチ4fの周側面外側には、中空の円筒形状の押え型4hが設けられている。この押え型4hの下面には、4本のクッションピン4mが垂直に取り付けられている。このクッションピン4mの他端は、それぞれ下型ホルダ4nに設けられた4つの通孔を貫通して下型ホルダ4nの下に設置されているクッションパッド4rの上面に垂直に取り付けられている。また、このクッションパッド4rの下面にはバネ又はエアクッション等の圧力装置4sが取り付けられており、上下可動な状態に保たれている。すなわち、クッションパッド4r、その上面に設けられたクッションピン4m、及びクッションピン4mの上端部に取り付けられている押え型4hが上下可動な状態に保たれている。
【0042】
本工程では、まず、第3成形品W3を第4パンチ4fに設置する。このとき、第3成形品W3は押え型4hの上にのせられて設置される。そして、第4ダイ4aをプレスすることにより、第4ダイ4aの内周面下端が第3成形品W3の周側面と接触し、そのまま第3成形品W3に対して下方へ圧力を加えることにより、第3成形品W3が抜き絞られ、円筒形状に成形される。また、第3成形品W3を抜き絞る際に下方へ押し運ばれた第3成形品W3の余肉は、押え型4hが下方に移動することにより第4ダイ4aの下面と押え型4hの上面との間に挟まれた状態のまま下方に移動し、押え型4hの下面が下型ホルダ4nの上面に接触したときにプレスされる。これにより、図4(B)に示す第4成形品W4の円筒部4jの下端から径方向外側に向かって延出する略円形状のつば部4iが形成される。
【0043】
本工程により、図4(B)に示すように、円筒形状の継手円筒部4jとその下端部に径方向外側に向かって延出する略円形状のつば部4iを有する第4成形品W4が成形される。なお、継手円筒部4jに設けられているリング状溝2hより上の部分は、次工程において折りしろ部4kとなる。
【0044】
図5の(A)は、プレス加工により第4成形品W4のリング状溝2hより上の折りしろ部4kをリング状溝2hで径方向外側に折り曲げる工程を示した図であり、(B)はこれにより完成した継手Zをあらわした図である。
【0045】
図5の(A)において、5aは第5パンチ、5bは第5ダイプレート、5cはバネ、5dは第5ダイ、5eは押え型、5fは押え型に備えられた切刃、5gは第5ダイ延出部、5hは第5ダイ延出部の上段延出部、5iは第5ダイ延出部の下段延出部、5jは上段延出部と下段延出部の境界面、5n第5シャンク、5pは第5上型ホルダ、5rは第5パンチプレート、5sは第5台座を示している。
【0046】
本工程では、第5パンチ5aが上方に、その下に第5ダイ5dがそれぞれ同軸上に設置される。第5パンチ5aは円柱形状であって、その下端部は下方へ行くに従い縮径する円錐台形状とされており、第5パンチ5aの上には緩衝材としてバネ5cが取り付けられている。この第5パンチ5a下面の円の径は、第4成形品W4の開口部の径より小さく設定されている。また、第5パンチ5aの周側面外側には中空の円筒形状の押え型5eが設けられており、その押え型5eの内周面下端には切刃5fが備えられている。
【0047】
第5ダイ5dは円柱形状であり、その下端部外周には、径方向外側に向かって円形状に延出する第5ダイ延出部5gが設けられている。この第5ダイ5dの径は第4成形品W4の内周の径と適合している。また、第5ダイ延出部5gは円形状の上段延出部5hと下段延出部5iの2段からなり、上段延出部5hと下段延出部5iの境界面5jは垂直に形成されている。そして、この上段延出部5hの外周の径は押え型5eの内周の径と適合しており、プレスの際に押え型5eの内周面と上段延出部5h及び下段延出部5iとの境界面5jが接触するように設定されている。
【0048】
本工程では、まず第4成形品W4が第5ダイ5dに設置される。このとき、第4成形品W4は第5ダイ延出部5gの上段延出部5hの上に置かれる。そして、第5パンチ5aでプレスすると、第5パンチ5aにより第4成形品W4のリング状溝2hより上部の折りしろ部4kが外側に折り曲げられた後、押え型5eの内周面下端の切刃5fにより第4成形品W4のつば部4iがきれいな円形に切りそろえられ、(図5)の(B)に示すフランジ5mとなる。これにより、仕上げにおける切削加工が省略でき、生産性を上げると同時に、コスト削減を図ることができる。なお、第5ダイ5dがプレス時に第4成形品W4を固定すると共に、完成品たる継手Zにおける抜け止め5kを形成した後に第5ダイ5dの頭頂部が第5パンチ5aの下面に接触するように設定しているため、過度のプレスを防止することができ、図5(B)に示した完成品である継手Zの抜け止め5kを適当な角度に調整することができる。
【0049】
本工程により、図5(B)に示すように、円筒部4jを有し、その両端に抜け止め5kとフランジ5mが設けられた本発明に係る継手Zが完成する。
【0050】
ちなみに、第4成形品W4にリング状溝2hが形成されていない状態の成形品を用いて本工程を行った場合は、折りしろとして折れ曲がる部分が一定せず、また、抜け止め側の開口部の形状が本発明に係る継手Zのようにきれいな円形とはならずに波形状になってしまう。一方、継手の抜け止め側の開口部をきれいな円形状にしようとすると極めて精緻にプレスの圧力を調整しなければならないため、非常に煩雑であり、また、きれいな円形状に成形できたとしても、今度は継手の抜け止めの角度を強くつけることができなくなる。
【0051】
これに対し、本発明は、第4成形品W4にリング状溝2hを設けることによって、高生産性を実現すると共に、継手の成形精度を高め、且つ、継手の抜け止め機能の強化を実現している。この点において、本発明の最大の効果があらわれる。
【0052】
図6の(A)は第4成形品W4の折りしろ部4kの断面図であり、(B)は継手Zのリング状溝2hで形成された抜け止め5kの断面図であり、(C)は図4(B)に示す第4成形品W4にリング状溝2hが形成されていない状態の成形品に図5(A)に示す工程を行って抜け止めを設けた場合の抜け止めの断面図である。
【0053】
(C)に示す抜け止めは、第4成形品W4にリング状溝を設けることなくそのまま図5の(A)における工程を行ったため、屈曲部6aが円弧状になり抜け止め機能が十分に機能しない。
【0054】
(B)に示す本発明に係る継手Zの抜け止め5kは、リング状溝2hを設けたことにより角度を強くつけているにもかかわらず、継手内側のフレキシブル管と接触する接触部6bはプレス成形により形成されているため滑らかな円弧状の形状となる。つまり、本発明に係る継手Zの抜け止め5kは、角度を強くつけることにより抜け止め機能を著しく強化させてはいるが、内側のフレキシブル管に当たる接触部6bは円弧状になるためフレキシブル管を破損させることはない。
【0055】
図7は、フレキシブル管円筒部7bに本発明に係る継手Zを装着し、フレキシブル管7aの上にネット管7cを被せ、ネット管7cの上からリング状の固定部材7dを通した状態をあらわした図である。
【0056】
本実施例では、フレキシブル管7aはステンレスからなる。そして、ネット管7cは主としてステンレスや鉄からなり、フレキシブル管7aを保護する役目を果たす。このネット管7cには伸縮性があり、伸ばした状態でフレキシブル管7aに通されるので、フレキシブル管7aに密着して取り付けられることになる。また、固定部材7dは、本実施例ではステンレスからなる。
【0057】
本実施例では、フレキシブル管円筒部7bに、継手Zの抜け止め5kがフレキシブル管蛇腹部7eの端部に接するように継手Zを取り付けた後、ネット管7cが被せられる。このネット管7cの端部は継手円筒部4jを完全に覆い、継手Zのフランジ5mに接触する状態で取り付けられる。その後、リング状の固定部材7dがネット管7cの上から通され、継手円筒部4jに設置される。
【0058】
図8の(A)はフレキシブル管7aへの本発明の継手Zの装着が完了した状態を示した図であり、(B)は、フレキシブル管7aに装着した継手Zの円筒部4jをX−X線で切断した断面をあらわした図である。
【0059】
本実施例では、フレキシブル管7aに継手Z、ネット管7c及び固定部材7dを図7の状態に設置した後、フレキシブル管7aの開口部7fからフレキシブル管円筒部7bの内周面に適合した形状の鉄製の心棒を挿入してから、リング状の固定部材7dを継手円筒部4jの周方向に等間隔に6箇所でかしめる。そうすると、固定部材7d、ネット管7c、継手円筒部4jは6箇所で継手Zの内周面側に凹むが、フレキシブル管7aの内部に心棒を挿入した状態でかしめているため、フレキシブル管円筒部7bの内周面は本来の円筒形状のままで変形することはない。また、この6つの凹み8c,8c,…の形状は、継手円筒部4jの長手方向の尺と適合した辺を有する略矩形状にしている。これにより、抜け止め5kが有効に働き、固定部材7d及びネット管7cが抜けることはない。つまり、固定部材7dを6箇所でかしめることにより、固定部材7d、ネット管7c及び継手円筒部4jは6箇所で継手Z内周面側に凹むことにより強固に固定され、また、継手Zはフレキシブル管7aにしっかりと締結される。
【0060】
したがって、本発明によると、従来のように固定部材7dとネット管7cを継手円筒部4jにおいて溶接し、その上、継手Zの内周面とフレキシブル管円筒部7b外周面とを溶接で接合する必要がなくなるため、錆の原因を完全に除去できる。
【0061】
その後、継手Zから突出したフレキシブル管円筒部7bは、油圧を用いて内側から外側に拡開して提灯形にされ、継手Zのフランジ5m先端部に向かって継手Zのフランジ5m先端面と同一平面になるようにたたきつぶされる。その後、円筒部7bの残余の部分は継手Zのフランジ5m先端部で切除される。これで、継手Zの固定作業が完了する。
【0062】
【発明の効果】
以上、詳述したように、請求項1及び請求項2に記載した発明によれば、フレキシブル管用継手の生産の高生産性、低コスト化を実現でき、かつ、成形精度の高い成形を行うことができる。
また、請求項3に記載した発明によれば、従来の錆の原因となった溶接を完全に排除することができ、水道水に錆が混じる原因をなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明に係るフレキシブル管用継手の製造方法の第1工程を示した図であり、(B)はそれにより成形された成形品を示した図である。
【図2】(A)は本発明に係るフレキシブル管用継手の製造方法の第2工程を示した図であり、(B)はそれにより成形された成形品を示した図である。
【図3】(A)は本発明に係るフレキシブル管用継手の製造方法の第3工程を示した図であり、(B)はそれにより成形された成形品を示した図である。
【図4】(A)は本発明に係るフレキシブル管用継手の製造方法の第4工程を示した図であり、(B)はそれにより成形された成形品を示した図である。
【図5】(A)は本発明に係るフレキシブル管用継手の製造方法の最終工程を示した図であり、(B)はそれにより製作された完成品たる継手を示した図である。
【図6】(A)は成形品の折りしろの断面図であり、(B)は完成品たる継手の抜け止めの断面図であり、(C)は、リング状溝が形成されていない成形品を図5(A)に示す工程を行って成形した場合の抜け止めの断面図である。
【図7】フレキシブル管に本発明に係る方法により製作した継手、ネット管及びリング状の固定部材を配置した状態を示した図である。
【図8】(A)は本発明に係る方法により製作した継手をフレキシブル管に固定した状態を示した図であり、(B)は継手の本体部におけるX−X線で切断した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
2h リング状溝
3f リング状溝の内側の通孔
7a フレキシブル管
7b フレキシブル管の円筒部
7e フレキシブル管の蛇腹部
Z 継手
4j 継手円筒部
5m フランジ
5k 抜け止め

Claims (3)

  1. フレキシブル管用継手を製造する方法において、
    厚板鋼板を、下方に開口した略半球形状の椀形にプレス成形し、
    当該成形品の略半球形状の頭部外面にリング状の溝を設け、
    そのリング状の溝の内側に抜け止めとなる部分を残して、リング状の溝と同心の円形の通孔を穿設し、
    その成形品を抜き絞ることにより筒状に成形した後、
    前記リング状の溝部分で当該成形品の側壁上端部を外側に折り曲げることで抜け止めを形成する
    ことを特徴とするフレキシブル管用継手の製造方法。
  2. 波形凹凸断面のフレキシブル管の端部に形成された円筒状部に外嵌され、一端部にフランジが形成されると共に、他端部に径方向外側に突出した抜け止めが形成されてなるフレキシブル管用継手の製造方法である
    ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル管用継手の製造方法。
  3. 波形凹凸断面のフレキシブル管の端部に形成された円筒状部に外嵌され、一端部にフランジが形成されると共に、他端部に径方向外側に突出した抜け止めが形成されてなるフレキシブル管用継手の製造方法であって、
    厚板鋼板を下方に開口した略半球形状の椀形にプレス成形して第1成形品を形成し、
    第1成形品の略半球形状の頭部の外面にリング状の溝を設けて第2成形品を形成し、
    第2成形品の略半球状の頭部のリング状の溝の内側に、抜け止めとなる部分を残して、リング状の溝と同心の円形の通孔を穿設して第3成形品を形成し、
    第3成形品を、
    下方に向かって開口した円筒形状の第4ダイと、
    第4ダイと同軸上の下方に設置され、頭部が第3成形品の内周面の形状に適合する略半球形状に形成された円柱形状であって、その頭頂部の中央に、第3成形品の通孔の形状に適合した外径を有する円柱形の嵌挿部が設けられた第4パンチとの間に設置し、
    第4ダイの内周面下端を第3成形品の周側面と接触したまま第3成形品に対して下方へ圧力を加えることにより、第3成形品を円筒形状の円筒部に成形するとともに、第3成形品を抜き絞る際に下方に押し運ばれた第3成形品の余肉を下方に移動しプレスすることにより円筒部の下端から径方向外方に向かって延出する略円形状のつば部を形成して第4成形品を形成し、
    第4成形品に対し、前記リング状の溝より上部の抜け止めとなる部分を外側に折り曲げることで抜け止めを形成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル管用継手の製造方法
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