JP3633271B2 - フィルム密着装置およびフィルム製造方法 - Google Patents

フィルム密着装置およびフィルム製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶媒または溶液に溶解させた樹脂を口金のスリット間隙からの押し出すプラスチックフィルムの製造に使用される、フィルム密着装置及びプラスチックフィルム製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、溶媒または溶液に溶解させた樹脂(溶液膜)を口金のスリット間隙からの押し出し、キャスト面に密着させた後加熱・乾燥させるプラスチックフィルムの製造方法が知られている。この製造方法においてキャスト面への密着点が安定していれば破れることなく、乾燥斑および厚み斑の無いプラスチックフィルムが製造できる。
【0003】
しかし、この密着点が不安定になると、密着点が最も遅れた所から溶液膜とキャスト面との間にエアーの噛み込み、これにより乾燥斑を引き起こしたり、その後の加熱によりエアーが膨張、破裂しフィルム破れを引き起こしたり、また厚み斑を引き起こしたりするという問題があった。さらに製膜速度が高速になるとこの現象は顕著になるという問題があった。
【0004】
この問題を解決するため、溶融された熱可塑性樹脂を口金のスリット間隙からの押し出し、冷却キャスト面に密着させ固着させるプラスチックフィルムの製造方法で利用されている、静電気力やエアーナイフあるいは吸引ノズル等のフィルム密着装置の応用展開が考えられる。しかし、これらの密着装置は熱可塑性樹脂用のものであり応用展開は不可能であった。
【0005】
例えば、静電気力は、溶媒または溶液を使用するため火災または分解ガスの発生があるため使用できない。エアーナイフあるいは吸引ノズルは、エアーの動圧を使用するため密着点が安定しない、またノズルの位置・方向及び流量調整が微妙かつ複雑であり使用できない。
【0006】
そこで唯一応用展開が考えられるフィルム密着装置に、特公昭62−38133公報に記載されたものが知られている。このフィルム密着装置においては、図6、7に示すように、溶融膜106は、口金101を通って、矢印113の方向に回転するキャストドラム104に押し出される。口金101には、隔離壁109により分離された第一の負圧領域108と第二の負圧領域110を有する吸引ボックス107が固定されている。ただし第一の負圧領域108のエアーは隔離壁109の下を通って第二の負圧領域110に吸引される。吸引ボックス107はキャストドラム(ベルト)104との間で接触シールまたはラビリンスシールするシール面111を有する。第二の負圧領域110にのみ負圧源112が接続さている。
【0007】
また、実公平8−4275公報に記載されたものが知られている。このフィルム密着装置においては、図8、9に示すように、溶融膜203は、口金201を通ってキャストドラム202に押し出される。口金201には、吸引口204が固定されておりキャストドラム202と吸引口204との間にはキャストドラム202とに接触してフェルト205を設け、更に口金201と吸引口204との間はシリコーンゴム206を用いて隙間をふさぎ、外気の侵入を遮断している。
【0008】
吸引口204は、吸引ブロアーと複数の配管208で接続されている。配管208には、調整弁207が設けてある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図6、7に示したフィルム密着装置においては、第一の負圧領域108に負圧源112が接続されていないために必要な負圧を得ることができず、溶液膜の密着時に問題となる微少なエアーの噛み込みを防止することができないという問題があった。また、強引にエアーの噛み込みを防止したとしても密着点が安定せず厚み斑を引き起こすという問題があった。
【0010】
また、図8、9に示したフィルム密着装置においては、吸引ブロアーが一台であるため、ひとつの調整弁207を絞ると他の配管208の流量が増加するという現象が発生し、実質的に個別で調整できないという問題があった。
【0011】
また、溶融製膜で使用されるキャストドラム202との接触シールは、
接触→(伝熱)シール材冷却→シール剤収縮→接圧減少→(伝熱減少)膨張のサイクル繰り返すことで適正な接圧を維持し使用可能であるが、これを溶液膜に適用した場合、
接触→(伝熱)シール材加熱→シール材膨張→接圧過大
となり短時間で接圧過大となり、キャスト面を傷つけたり、キャスト面がベルトであった場合は、ベルトの撓みが発生するので根本的に使用できないという問題があった。
本発明は、溶液膜がキャスト面に密着する際に発生する不都合を防止することにより、製品の品質を向上し、かつ高速製膜が可能なフィルム密着装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが鋭意検討した結果、本発明の上記目的は下記の構成を有する本発明によって工業的に有利に達成された。
【0013】
[1]口金のスリット間隙から押し出された溶液膜を、移動するキャスト面に密着させるフィルム密着装置において、口金の、溶液膜がキャスト面に密着する地点よりキャスト面移動方向の上流側に、独立した吸引口を持ちそれぞれ独立した減圧手段を有する負圧領域を複数有し、少なくとも一つの負圧領域は溶液膜との接触部分を有し、少なくとも一つの負圧領域は溶液膜との接触部分を有していないことを特徴とするフイルムの密着装置。
【0014】
[2]第一の負圧領域は、溶液膜と溶液膜の全幅に渡って接触部分を有し、第二の負圧領域は、溶液膜との接触部分を有しておらず、第一の負圧領域を取り囲むように配設されたことを特徴とする上記[1]に記載のフイルムの密着装置。
【0015】
[3]第一の負圧領域には第一の減圧手段が接続され、第二の負圧領域には第二の減圧手段が接続されていることを特徴とする上記[2]に記載のフィルム密着装置。
【0016】
[4]第一の負圧領域は、溶液膜と溶液膜の全幅に渡って接触部分を有し、第二・第三・第四の負圧領域は、溶液膜との接触部分を有しておらず、第二の負圧領域は、第一の負圧領域と平行に配設され、第三・第四の負圧領域は、第一の負圧領域の両端部に配設されていることを特徴とする上記[1]に記載のフィルム密着装置。
【0017】
[5]第一の負圧領域には第一の減圧手段が接続され、第二の負圧領域には第二の減圧手段が接続され、第三・第四の負圧領域には第三の減圧手段が接続され第一の減圧手段と第二の減圧手段と第三の減圧手段のそれぞれに 、吸引バルブ・ブロワ・排気バルブが配設されていることを特徴とする上記[4]に記載のフィルム密着装置。
【0018】
[6]キャスト面はベルトであることを特徴とする上記[1]に記載のフィルム密着装置。
【0019】
[7]口金のスリット間隙から押し出された溶液膜を、移動するキャスト面に密着させるフィルム製造方法において、
口金の、溶液膜がキャスト面に密着する地点よりキャスト面移動方向の上流側に、独立した吸引口を持ち、それぞれ独立した減圧手段を有する、負圧領域を複数有し、溶液膜との接触部分を有する負圧領域と、溶液膜との接触部分を有していない負圧領域とにより、フィルムをキャスト面に密着させることを特徴とするフィルム製造方法。
【0020】
[8]溶液膜と、溶液膜の全幅に渡って接触部分を有する、第一の負圧領域と、溶液膜との接触部分を有せず、第一の負圧領域を取り囲むように配設された第二の負圧領域とにより、フイルムをキャスト面に密着させることを特徴とする上記[7]記載のフィルム製造方法。
【0021】
[9] 溶液膜と溶液膜の全幅に渡って接触部分を有し、第一の負圧領域と、溶液膜との接触部分を有せず、第一の負圧領域と平行に配設された第二の負圧領域と、第一の負圧領域の両端部に配設された第三・第四の負圧領域とにより、フィルムをキャスト面に密着させることを特徴とする上記[7]に記載のフィルム製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される溶液膜としては、特に制限はないが、例えばメタ系アラミドフィルムやパラ系アラミドフィルム等があげられる。
【0023】
以下、これを図1、2を用いて説明する。
【0024】
図1は本発明のフィルム密着装置の概略の側面断面図である。図2は吸引ボックスの概略の平面断面図である。
【0025】
図1について、押出機(図示せず)で溶液は口金1により溶液膜3として押し出される。このとき溶液膜3のベルト14への密着は、口金1の、溶液膜がキャスト面に密着する地点より、ベルト14移動方向の上流側(矢印14の逆方向側)に配設された吸引ボックス2内の第一の負圧領域4と第二の負圧領域5とにより作り出される真空度により制御される。第一の負圧領域4には、第一の減圧系15が接続され、第一の減圧系15には、第一のブロアー8と、第一のブロアー8の吸気側に第一の吸気弁7と、第一のブロアー8の排気側に第一の排気弁9と、これらを繋ぐ第一の配管6とが設置してある。また第二の負圧領域5には、第二の減圧系16が接続され、第二の減圧系16には、第二のブロアー12と、第二のブロアー12の吸気側に第二の吸気弁11と、第二のブロアー12の排気側に第二の排気弁11と、これらを繋ぐ第二の配管10とが設置してある。
【0026】
図2について、第一の負圧領域4は、溶液膜3とほぼ同等の幅方向長さを有している。幅方向長さの詳細には製膜条件等により任意に選択して良い。例えば、溶液膜3の端部の厚みが、中央部の厚みより薄い場合は、第一の負圧領域4の幅方向長さを溶液膜3より数ミリ程度短くした方が良く、また、溶液膜3の端部の厚みが、中央部の厚みより厚い場合は、第一の負圧領域4の幅方向長さを溶液膜3より数ミリ程度長くした方が良い。第一の負圧領域4のA寸法も製膜条件等により任意に選択して良く、10〜200mmが最適である。
【0027】
第二の負圧領域5は、第一の負圧領域4が溶液膜3と接している部分を除き、第一の負圧領域4を取り囲むように配設してある。第二の負圧領域5のC寸法及びF寸法も製膜条件等により任意に選択して良く、C寸法は10〜200mmが最適であり、F寸法は5〜100mmが最適である。
【0028】
吸引ボックス2のB・D・E及びG寸法は、必要強度・有効スペース及び製膜条件等により任意に選択して良く、B寸法及びD寸法は10〜100mmが最適であり、E寸法及びG寸法は1〜50mmが最適である。
【0029】
また、本発明の別の形態を図1、図3を用いて説明する。
【0030】
図1は、本発明のフィルム密着装置の概略の側面断面図である。図3は吸引ボックス野概略の平面断面図である。
【0031】
図1、3において、押出機(図示せず)で溶液は口金1により溶液膜3として押し出される。このとき溶液膜3のベルト14への密着は、口金1の、溶液膜がキャスト面に密着する地点より、ベルト14移動方向の上流側(矢印17の逆方向側)に配設された吸引ボックス2内の第一の負圧領域4と第二の負圧領域5と第三の負圧領域24と第四の負圧領域25とにより作り出される真空度に
より制御される。第三の負圧領域24と第四の負圧領域25とは、第三の配管26により接続され、また第三の減圧系(図示せず)に接続されている。第三の減圧系には第三のブロアー(図示せず)と、第三のブロアーの吸気側に第三の吸気弁27と、第三のブロアーの排気側に第三の排気弁(図示せず)と第三の流量計(図示せず)と、これらを繋ぐ第三の配管26とが設置してある。第三の負圧領域24と第四の負圧領域25は同じ真空度となるため代表して、第三の負圧領域24に第三の真空計(図示せず)が設置されている。
【0032】
図3において、第一の負圧領域4は、溶液膜3とほぼ同等の幅方向長さを有している。幅方向長さの詳細は製膜条件等により任意に選択して良い。第一の負圧領域4のA寸法も製膜条件等により任意に選択して良く、10〜200mmが最適である。
【0033】
第二の負圧領域5は、第一負圧領域4のベルト14移動方向の上流側(矢印17の逆方向側)に第一の負圧領域4と平行配設してある。第二の負圧領域5のC寸法及びF寸法も製膜条件等により任意に選択して良く、C寸法は、10〜200mmが最適であり、F寸法は、5〜100mmが最適である。第二の負圧領域5のH寸法も製膜条件等により任意に選択して良いが、溶液膜3の幅方向長さより長くした方が望ましく、溶液膜3の幅方向長さに両端部にE寸法とF寸法を加えたものが最も望ましい。
【0034】
第三の負圧領域24と第四の負圧領域25のF寸法も製膜条件等により任意に選択して良く5〜100mmが最適である。
【0035】
吸引ボックス2のB・D・E・I及びG寸法は、必要強度・有効スペース及び製膜条件等により任意に選択して良く、B寸法及びD寸法は10〜100mmが最適であり、E寸法及びG寸法及びI寸法は1〜50mmが最適である。
【0036】
次に、本発明のフィルム密着装置及びフィルム製造方法の作用について説明する。
【0037】
溶液膜3を高速で移動するベルト14に、溶液膜3の製膜で特に問題となる微小な微小なエアーの噛み込みを発生させることなく密着できるよう、ベルト14の移動速度に見合った第一の真空領域4に必要な真空度は第一の真空系15によって制御し、吸引ボックス2の周囲より侵入するエアーは第二の真空領域5を制御する第二の真空系16により排除することができる。
【0038】
これにより、溶液膜3をベルト14に密着させる力は、静圧により発生させることができ、安定した密着点で密着させることができる。
【0039】
このとき第二の負圧領域5は、第一の負圧真空領域4を取り囲むように配設しすべての方向からの侵入を排除するのが最も望ましいが、用途によっては所定の方向から侵入するエアーのみを排除することが望ましいことも考えられ、このときは所定の部分のみに第二の負圧領域5が配設されていても良い。このとき第二の負圧領域5は一カ所ではなく数カ所で配設して良い。
【0040】
また、第二の負圧領域5を、第一の負圧真空領域4と平行に配設し、第一の負圧真空領域4の両端部に第三の負圧領域24と第四の負圧領域25とを配設し、第二の負圧領域5と第三の負圧領域24と第四の負圧領域25とにより第一の負圧真空領域4を取り囲むことにより、すべての方向からの侵入を排除し、特に側面からの侵入を第三の負圧領域24と第四の負圧領域25により積極的に排除することが、望ましい。
【0041】
キャスト面はドラム状、ベルト状等任意形状で良いが、ベルトであった場合は、吸引ボックス2の形状が最も単純となるので望ましい。
【0042】
また第一の減圧系15は第一の負圧領域4を微妙に調整するため、第一の吸気弁7により粗調整を実施し、第一の排気弁9により微調整を実施することが最も望ましいが、弁を使用せずブロアーの回転数をインバータにより制御しても良い。
【0043】
また第二の減圧系16は第二の負圧領域5を微妙に調整するため、第二の吸気弁11により粗調整を実施し、第二の排気弁13により微調整を実施することが最も望ましいが、弁を使用せずブロアーの回転数をインバータにより制御しても良い。
【0044】
【実施例】
以下、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0045】
[実施例1]
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として80モル%に相当する2−クロルパラフェニレンジアミンと、20モル%に相当する4、4’−ジアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに100モル%に相当する2−クロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間攪拌して重合を完了した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度11重量%、粘度2000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を幅2mの口金より2kg/分で押出し溶液膜を得た。
【0046】
吸引ボックス2の詳細寸法は次の通りとした。第一の負圧領域4のA寸法は100mmとした。第二の負圧領域5は、第一の負圧領域4が溶液膜3と接している部分を除き、第一の負圧領域4を取り囲むように配設した。第二の負圧領域5のC寸法は80mmとし、F寸法は20mmとした。
【0047】
吸引ボックス2のB寸法及びD寸法は60mmとし、E寸法及びG寸法は25mmとした。
【0048】
この吸引ボックス2により、表面温度が90℃で矢印17方向に移動するベルト14に密着させた。その後熱風による乾燥、水洗工程における延伸及び水洗、熱処理工程における延伸及び熱処理工程を経た後、巻取厚さ6μmのポリアミドフィルムを得た。
【0049】
ベルト14の移動速度を5m/分としたところから密着を開始し、第一の負圧領域4と第二の負圧領域5の真空度を、第一の真空計18と第二の真空計19とにより確認しながら第一の排気弁9と第二の排気弁13とにより微調整し、移動速度を増速した。ベルト速度が25m/分であっても、第一の負圧領域4の真空度が90mmAqでこのときの第一の流量計の風量が3m/分で、第二の負圧領域5の真空度が100mmAqでこのときの第二の流量計21の風量が15m/分であれば、溶液膜3とベルト14との間にエアーを噛み込むことなく、密着点が安定し、厚み斑の良好なポリアミドフィルムを巻き取ることができた。
【0050】
[比較例1]
第一の吸気弁7を閉じ、第一の減圧系15を使用せずに、ベルト14の移動速度を5m/分としたところから密着を開始した。9m/分辺りから、溶液膜3とベルト14との間のエアーの噛みが発生し、10m/分では実施例で25m/分を実現した合計風量となる、第二の負圧領域5の真空度が105mmAqでこのときの第二の流量計21の風量が18m/分、であってもエアーの噛みが収まらず、熱風乾燥時に膨張、破裂しフィルム破れが発生した。このときの第一の負圧領域4は第二の負圧領域5により間接的に減圧され真空度が80mmAqとなった。この時の密着状態の概略は図4の通りであった。
【0051】
[比較例2]
第一の吸気弁7を閉じ、第一の減圧系15を使用しないが、第一の負圧領域4の真空度を実施例と合わせるようにし、ベルト14の移動速度を5m/分としたところから密着を開始した。開始直後より密着点が安定せず12m/分となったところで突発的なエアーの噛み込みが発生するようになった。第一の負圧領域4は第二の負圧領域5により間接的に減圧され真空度が90mmAqとなるようにし、このときの第二の負圧領域5の真空度が120mmAqでこのときの第二の流量計21の風量が24m/分となった。この時の密着状態の概略は図4の通りであった。
【0052】
実施例1、比較例1及び2の主要条件と密着結果とを表1にまとめた。
【0053】
【表1】
Figure 0003633271
[実施例2]
Nーメチルー2ーピロリドン(NMP)に芳香族ジアミン成分として80モル%に相当する2ークロルパラフェニレンジアミンと、20モル%に相当する4、4′ージアミノジフェニルエーテルとを溶解させ、これに100モル%に相当する2ークロルテレフタル酸クロリドを添加し、2時間攪拌して重合を完了した。
【0054】
これを水酸化リチウムで中和して、ポリマ濃度11重量%、粘度2000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液を幅2mの口金より2kg/分で押し出し溶液膜を得た。
【0055】
吸引ボックス2の詳細寸法はつぎの通りとした。第一の負圧領域4のA寸法は100mmとした。第二の負圧領域5は、第一の負圧領域4に平行に配設した。第二の負圧領域5のC寸法は80mmとし、H寸法は2090mmとした。第三の負圧領域24と第四の負圧領域25のF寸法は20mmとした。
【0056】
吸引ボックス2のB寸法及びD寸法は60mmとし、E寸法及びG寸法は25mmとしI寸法は5mmとした。
【0057】
この吸引ボックス2により、表面温度が90℃で矢印17方向に移動するベルト14に密着させた。その後熱風による乾燥、水洗工程における延伸及び水洗、熱処理工程における延伸及び熱処理工程を経た後、巻取厚さ6μmのポリアミドフィルムをえ得た。
【0058】
ベルト14の移動速度を5m/分としたところから密着を開始し、第一の負圧領域4と第二の負圧領域5と第三の負圧領域の真空度を、第一の真空計18と第二の真空計19と第三の真空計とにより確認しながら第一の排気弁9と第二の排気弁13と第三の排気弁とにより微調整し、移動速度を増速した。ベルト速度が27m/分であっても、第一の負圧領域4の真空度90mmAqでこのときの第一の
流量計21の風量が1m/分で、 第二の負圧領域5の真空度120mmAqでこのときの第二の流量計21の風量が9m/分で、第三の負圧領域5の真空度が120mmAqでこのときの第三の流量計の風量が9m/分であれば、溶液膜3とベルト14との間にエアーを噛み込むことなく、密着点が安定し、厚み斑の良好なポリアミドフィルムを巻き取ることができた。
【0059】
[実施例3]
ベルト14の移動速度を5m/分としたところから密着を開始し、第一の負圧領域4と第二の負圧領域5と第三の負圧領域の真空度を、第一の真空計18と第二の真空計19と第三の真空計とにより確認しながら第一の排気弁9と第二の排気弁13と第三の排気弁とにより微調整し、移動速度を増速した。ベルト速度が25m/分であっても、第一の負圧領域4の真空度90mmAqでこのときの第一の
流量計21の風量が4m/分で、 第二の負圧領域5の真空度が 50mmAqでこのときの第二の流量計21の風量が4m/分で、第三の負圧領域5の真空度が120mmAqでこのときの第三の流量計の風量が10m/分であれば、溶液膜3とベルト14との間にエアーを噛み込むことなく、密着点が安定し、厚み斑の良好なポリアミドフィルムを巻き取ることができた。
【0060】
[比較例3]
ベルト14の移動速度を5m/分としたところから密着を開始し、第一の負圧領域4と第二の負圧領域5と第三の負圧領域の真空度を、第一の真空計18と第二の真空計19と第三の真空計とにより確認しながら第一の排気弁9と第二の排気弁13と第三の排気弁とにより微調整し、移動速度を増速した。第一の負圧領域4の真空度90mmAqでこのときの第一の流量計21の風量が8m/分で、第二の負圧領域5の真空度 50mmAqでこのときの第二の流量計21の風量が5m/分で、第三の負圧領域5の真空度が50mmAqでこのときの第三の流量計の風量が6m/分であった場合、ベルト速度が18m/分から密着点が不安定となり 、20m/分で突発的なエアの噛みこみが発生するようになった。
実施例2及び比較例3の主要条件と密着結果とを表2にまとめた。
【0061】
【表2】
Figure 0003633271
【0062】
【発明の効果】
接触シールを使用することなく、しかも簡便で安価な構造で、溶液膜を、高速で移動するベルトに溶液膜の製膜で特に問題となる微小なエアーの噛み込みを発生させることなく密着でき、ベルトの移動速度に見合いかつ必要な真空度を、溶液膜と接触する第一の真空領域および、第一の真空領域に接続された第一の減圧系により微妙に制御することができ、吸引ボックスの周囲より侵入するエアーは第二の真空領域及び第二の真空領域に接続された第二の減圧系により排除されるので、溶液膜は、静圧により発生された密着力により、安定した密着点で密着することができる。
【0063】
これにより従来、溶液膜の製膜では考えることのできなかった、厚み斑が無く高品質を保ちながらの、高速製膜が可能となった。
【0064】
また、第二の負圧領域を、第一の負圧真空領域と平行に配設し、第一の負圧真空領域の両端部に第三の負圧領域と第四の負圧領域とを配設し、第二の負圧領域と第三の負圧領域と第四の負圧領域とにより第一の負圧真空領域44を取り囲むことにより、すべての方向からの侵入を排除し、特に側面からの侵入わ第三の負圧領域と第四の負圧領域により積極的に排除することによりさらなる、製膜速度の高速化が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフィルム密着装置の一実施例の断面概略図である。
【図2】本発明に係るフィルム密着装置の一実施例の平面(底面)概略図である。
【図3】比較例1におけるフィルム密着状態の概略図である。
【図4】比較例2におけるフィルム密着状態の概略図である。
【図5】従来のフィルム密着装置の断面概略図である。
【図6】従来のフィルム密着装置の平面概略図である。
【図7】従来のフィルム密着装置の断面概略図である。
【図8】従来のフィルム密着装置の平面略図である。
【図9】従来のフィルム密着装置の断面概略図である。
【符号の説明】
1:口金
2:吸引ボックス
3:溶液膜
4:第一の負圧領域
5:第二の負圧領域
6:第一の配管
7:第一の吸気弁
8:第一のブロアー
9:第一の排気弁
10:第二の配管
11:第二の吸気弁
12:第二のブロアー
13:第二の排気弁
14:ベルト
15:第一の減圧系
16:第二の減圧系
17:矢印
18:第一の真空計
19:第二の真空計
20:第一の流量計
21:第二の流量計
22:密着線
23:噛み込みエアー

Claims (9)

  1. 口金のスリット間隙から押し出された溶液膜を、移動するキャスト面に密着させるフィルム密着装置において、口金の、溶液膜がキャスト面に密着する地点よりキャスト面移動方向の上流側に、独立した吸引口を持ちそれぞれ独立した減圧手段を有する負圧領域を複数有し、少なくとも一つの負圧領域は溶液膜との接触部分を有し、少なくとも一つの負圧領域は溶液膜との接触部分を有していないことを特徴とするフイルムの密着装置。
  2. 第一の負圧領域は、溶液膜と溶液膜の全幅に渡って接触部分を有し、第二の負圧領域は、溶液膜との接触部分を有しておらず、第一の負圧領域を取り囲むように配設されたことを特徴とする請求項1に記載のフイルムの密着装置。
  3. 第一の負圧領域には第一の減圧手段が接続され、第二の負圧領域には第二の減圧手段が接続されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム密着装置。
  4. 第一の負圧領域は、溶液膜と溶液膜の全幅に渡って接触部分を有し、第二・第三・第四の負圧領域は、溶液膜との接触部分を有しておらず、第二の負圧領域は、第一の負圧領域と平行に配設され、第三・第四の負圧領域は、第一の負圧領域の両端部に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム密着装置。
  5. 第一の負圧領域には第一の減圧手段が接続され、第二の負圧領域には第二の減圧手段が接続され、第三・第四の負圧領域には第三の減圧手段が接続され第一の減圧手段と第二の減圧手段と第三の減圧手段のそれぞれに 、吸引バルブ・ブロワ・排気バルブが配設されていることを特徴とする請求項4に記載のフィルム密着装置。
  6. キャスト面はベルトであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム密着装置。
  7. 口金のスリット間隙から押し出された溶液膜を、移動するキャスト面に密着させるフィルム製造方法において、
    口金の、溶液膜がキャスト面に密着する地点よりキャスト面移動方向の上流側に、独立した吸引口を持ち、それぞれ独立した減圧手段を有する、負圧領域を複数有し、溶液膜との接触部分を有する負圧領域と、溶液膜との接触部分を有していない負圧領域とにより、フィルムをキャスト面に密着させることを特徴とするフィルム製造方法。
  8. 溶液膜と、溶液膜の全幅に渡って接触部分を有する、第一の負圧領域と、溶液膜との接触部分を有せず、第一の負圧領域を取り囲むように配設された第二の負圧領域とにより、フイルムをキャスト面に密着させることを特徴とする請求項7記載のフィルム製造方法。
  9. 溶液膜と溶液膜の全幅に渡って接触部分を有し、第一の負圧領域と、溶液膜との接触部分を有せず、第一の負圧領域と平行に配設された第二の負圧領域と、第一の負圧領域の両端部に配設された第三・第四の負圧領域とにより、フィルムをキャスト面に密着させることを特徴とする請求項7に記載のフィルム製造方法。
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