JP3632346B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱によって発色画像を形成する感熱記録体、特に一旦発色した画像の消失の無い、記録の保存安定性に優れた感熱記録体に関するものである。さらに詳しくは、記録の長期保存性が良好であって、同時に記録画像の耐湿性、耐熱性などの耐環境性、さらに耐油性、耐可塑剤性に優れ、画像記録紙、ファクシミリ用紙、キャッシュディスペンサー用紙、乗車券、定期券、POSラベル等のラベル、プリペイドカード等のカードおよび通行券などに有用な感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録体は、一般に紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に、電子供与性ロイコ染料のような発色性物質と、電子受容性のフェノール性化合物等の有機酸性物質のような顕色性物質を主成分とする感熱発色層を設けたものであり、それらの発色成分を熱エネルギーによって反応させて記録画像を得ることができる。このような感熱記録体は特公昭43−4160号、特公昭45−14039号、及び特公昭48−27736号などに開示されており、広く実用化されている。
感熱記録体は、記録装置がコンパクトで安価でかつ保守が容易であることから、電子計算機のアウトプット、ファクシミリ、自動券売機、科学計測器のプリンター、あるいはCRT医療計測用のプリンター等に広範囲に使用されている。しかし、支持体上に発色性染料物質、顕色性物質および結着剤を有効成分とする感熱発色層を塗工した従来のいわゆる染料型感熱記録体にあっては、発色反応が可逆的であるため、発色画像が経時的に消色することが知られている。この消色は曝光、高湿、高温雰囲気下(耐環境性)に加速され、さらに可塑剤および油等の接触によって速やかに進行し、画像は読み取り不可能なレベルまで消色してしまう。
【0003】
通常無色ないし淡色のラクトン環化合物を主とする染料を使用する発色系を用いつつ、この消色現象を抑制するために数多くの技術が開示されてきた。例えば特開昭60−78782号、特開昭59−167292号、特開昭59−114096号、特開昭59−93387号に見られるようなフェノール系酸化防止剤を感熱発色層中に配合したもの、また、特開昭56−146796号に見られるような疎水性高分子化合物エマルジョン等を保護層に使用したもの、あるいは、特開昭58−199189号に見られるように感熱発色層上に水溶性高分子化合物または、疎水性高分子化合物エマルジョンを中間層として設け、その上に疎水性高分子化合物を樹脂成分とする油性塗料による表面層を設けたもの、また特開昭62−164579号に見られるようなエポキシ化合物を含有させたもの、さらには特開昭62−169681号に見られる特定のサリチル酸誘導体の金属塩を顕色剤として用いるもの等が知られている。
【0004】
前述のフェノール系酸化防止剤を配合した感熱発色層においては、それがない場合の画像に比べ、耐環境性は多少改良されるが、耐油性(例えばサラダオイルを発色面に接触させた場合の一定時間後の画像濃度の保存率)、耐可塑剤性(可塑剤を含有したラップフィルム等を発色面に接触させた場合の一定時間後の画像濃度の保存率)などについては改良が認められない。
一方、保護層、表面層を設けた感熱記録体は、耐環境性はやや改良されるが、長時間の試験では消色は避けられない。また耐油性に関しても、オイルと接触させた直後の画像保存性は改良されるが、オイルの浸透にしたがって画像はほぼ完全に消失してしまい、上記問題点に対する本質的な解決策とはいえない。
また、エポキシ化合物を含有させたものでは、加熱発色操作をしてから発色画像が安定化されるまでに比較的長い時間が必要であり、例えば発色直後に発色画像にサラダオイルを塗布したり、可塑剤と接触させると発色画像はそのかなりの部分が消色してしまう。
さらに、特定のサリチル酸金属塩を用いたものは、耐油性や耐可塑剤性は改良されるが、耐熱試験において白紙部の発色が認められ、又、有効な特定のサリチル酸の化学構造が複雑で高価であるという欠点を有する。
さらに、スルホニルアミド基を有する特定の顕色剤を用いることが提案されたが(特開昭62−19485号)、得られる感熱記録材料の発色能力が、従来のフェノール性材料と比べても同等またはそれ以下であり、優れた発色能が得られなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題点を解決し、耐油性、耐可塑剤性、耐湿性、耐熱性等の発色画像の長期保存性に優れた感熱記録体を提供しようとするものである。
本発明は、例えば自動券売機用感熱記録型の乗車券として使用できるのみならず、保存性を必要とする回数券や定期券などへの使用、可塑剤、油脂類との接触が避けられないポリ塩化ビニルフィルムで包装した食品の包装面に貼付けるPOS用バーコードシステム用のラベルとして適するばかりでなく、長期保存用のファクシミリ用紙やワープロ用紙、また、CRT用画像プリンター用紙としても利用できる感熱記録体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の感熱記録体は、シート状基体と、このシート状基体の少なくとも一面に形成され、かつ、無色又は淡色の染料前駆体と、加熱下に反応してこれを発色させる顕色剤を含む感熱発色層を有し、前記顕色剤が下記一般式(I):
【化2】
(ただし、上記式R1 、R2 はそれぞれ独立に無置換または低級アルキル基、ハロゲン原子から選ばれた少なくとも一員により置換されたベンゼン環およびナフタレン環から選ばれた一員を示し、R3 は水素原子、ハロゲン原子から選ばれた一員を示す。)
で表わされる有機化合物を少なくとも一種含むことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかわる顕色剤の具体的な化合物としては、以下のようなものをあげることができる。
1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、1−(ナフチルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、1−(m−クロロフェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−3−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、4−(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)ベンゼン、4−(p−クロロベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)ベンゼン、1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(o−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、1−(p−メチルフェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、6−クロロ−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−3−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼン、4−(2−ナフタレンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)ベンゼン。
これらの化合物は単独で用いられても良く、あるいはその2種以上を混合して用いてもよい。
【0008】
本発明において用いられる式(I)で表わされる有機化合物は、顕色剤として作用するものである。すなわち式(I)に含まれる官能基は、フェノール性の水酸基あるいはカルボキシル基などの酸性官能基を有しないが、塩基性のロイコ染料に対し、強い顕色能力を有するのである。そして、さらに、一旦発色させた染料を強固に保持し、消色反応を抑制するのである。
これら優れた性質のうち、まず強い顕色能力については式(I)中に含まれるスルホニルウレア基が、染料と強い相互作用をすることによると考えられ、さらにこの官能基を一分子中に2つ有していることにより強い保存性を発現していると考えている。
【0009】
上記のような式(I)で表される有機化合物は従来報告されていない新規化合物であって、その合成は、例えば下記の反応により行なうことができる。
【化3】
(ただし上記式中R1 、R2 、R3 は前記と同様である。)
【0010】
本発明で染料前駆体として使用されるロイコ染料はトリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系化合物等が例示できる。
たとえば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン、および2−クロロ−3−メチル−6−(N,N−ジエチルアミノアニリノフルオラン、3−(p−アニリノアニリノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノフタリド)、3,3−ビス(2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、ビス(p−ジメチルアミノスチリル)−p−トルエンスルホニルメタン等を例示できる。これらは単独で、または2種以上を併用することもできる。
【0011】
又、本発明においては、所望の効果を疎外しない範囲で、N−アリールスルホニル尿素誘導体あるいはフェノール類、または、有機酸等の従来公知の顕色剤を本発明の式(I)で表わされる官能基を有する化合物と併用することもできる。これら顕色剤は、例えば、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−メトキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(o−トリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(m−トリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p―トリル)尿素、N−(p−クロロベンゼンスルホニル)−N’−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N―(o−クロロフェニル)尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N’−フェニル尿素、4,4’−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼン、ジヒドロキシジフェニルエーテル(特開平1−180382号)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル(特開昭52−140483号)、ビスフェノールS、4−ヒドロキシ―4’−イソプロピルオキシジフェニルスルホン(特開昭60−13852号)、1、1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1、7−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3、5−ジオキサヘプタン(特開昭59−52694号)、3、3’−ジアリル−4、4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(特開昭60−208286号)などが例示できる。
【0012】
本発明においては、熱可融性物質(いわゆる増感剤)を併用することが好ましい。増感剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル(特開昭57−191089号)、p−ベンジルビフェニル(特開昭60−82382号)、ベンジルナフチルエーテル(特開昭58−87094号)、ジベンジルテレフタレート(特開昭58−98285号)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル(特開昭57−201691号)、炭酸ジフェニル、炭酸ジトリル(特開昭58−136489号)、m−ターフェニル(特開昭57−89994号)、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン(特開昭60−56588号)、1,5−ビス(p−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン(特開昭62−181183号)、シュウ酸ジエステル類(特開昭64−1583号、特公平5−62597号)、1,4−ビス(pートリルオキシ)ベンゼン(特開平2−153783号)、ジフェニルスルホン(融点124℃)、p−トルエンスルホン酸フェニルエステル(融点96℃)、メシチレンスルホン酸p−トリルエステル(融点100−102℃)、4,4’−ジアリルオキシジフェニルスルホン(融点145℃)、4−エトキシフェニルメチルスルホン(融点91℃)、4,4’−ジイソペンチルオキシジフェニルスルホン(融点100℃)、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン(融点130℃)、2,2−ビス(4−ベンゼンスルホニルオキシフェニル)プロパン(融点114℃)、2,2−ビス(4−メタンスルホニルオキシフェニル)プロパン(融点101℃)、N−フェニル−4−メチルフェニルスルホンアミド(融点102℃)、o−クロロアセトアセトアニリド(融点103℃)、p−メトキシベンゼンアセトアセトアニリド、N−ベンジル−o−スルホフタルイミドなどが例示できる。
【0013】
又、本発明の感熱層には、さらにヒンダードフェノール化合物又は紫外線吸収剤等を添加できる。それらは例えば特開昭57−151394号、特開昭58−160191号、特開昭58−69096号、特開昭59−2884号、特開昭59−95190号、特開昭60−22288号、特開昭60−255485号、特開昭61−44686号、特開昭62−169683号、特開昭63−17081号、特開平1−249385号、特開平2−266645号等に挙げられた化合物などである。
具体的には2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等を例示できる。
【0014】
本発明の感熱記録体の感熱発色層は、おもにロイコ染料と、本発明の式(I)で表わされる芳香族有機化合物(顕色剤)および増感剤からなる。さらに、感熱発色層は、必要に応じて、従来公知のフェノール系あるいは有機酸系顕色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、またはワックス類を含むことができる。また、有機又は無機顔料類を含んでいることが好ましい。更に、これらの成分を支持体に固着するためのバインダーを含むものである。
【0015】
感熱発色層における上記ロイコ染料の感熱発色層中の含有率は、一般に感熱発色層の乾燥重量の5〜20重量%であることが好ましく、本発明の式(I)で表される芳香族有機化合物である顕色剤の含有率も特に限定しないが、一般に10〜50重量%であることが好ましい。含有率が10重量%未満では顕色能力に不足をきたす恐れがあり、50重量%を越えて入れても顕色能力が飽和して格別の改善は見られず、経済的に不利となることがある。
【0016】
感熱発色層に酸化防止剤又は紫外線吸収剤が含まれる場合、その含有率は1〜10重量%であることが好ましい。従来公知のフェノール系あるいは有機酸系顕色剤を併用する場合、その含有率は、5〜40重量%であることが好ましい。また増感剤の含有率は10〜40重量%が好ましい。ワックス類、顔料が感熱発色層に含まれる場合、その含有率はそれぞれ5〜20重量%、10〜50重量%であることが好ましく、またバインダーの含有率は一般に5〜20重量%である。
【0017】
上記の有機又は無機の顔料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成クレー、タルク、および表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などの白色顔料を例示することができるが、炭酸カルシウムのようなアルカリ土類金属の塩は多用すると感度の低下を引き起こす場合があるのでその使用量は感熱発色層の乾燥重量の20重量%以下であることが好ましい。
【0018】
またワックス類としては、例えば、パラフィン、アミド系ワックス、ビスイミド系ワックス、高級脂肪酸の金属塩など公知のものを用いることができる。
前記バインダーついては、種々の分子量のポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、およびカゼインなどの水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびスチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の各々のラテックスを例示できる。
【0019】
本発明の感熱記録体に用いられるシート状基体は、紙(酸性紙や中性紙を含む)、表面に顔料、ラテックスなどを塗工したコーテッド紙、ラミネート紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた合成紙、プラスチックフィルムなどから選ぶことができる。このようなシート状基体の少なくとも一面上に、上記所要成分の混合物を含む塗布液を塗布し、乾燥して感熱記録体を製造する。
塗布量は特に限定しないが、塗布液層が乾燥した状態で1〜15g/m2 が好ましく、2〜10g/m2 が特に好ましい。
本発明の感熱記録体においてその感熱発色層上に更に保護層、印刷層などのような被覆層を形成することもできる。
また支持体上に顔料(好ましくは吸油性顔料)と接着剤を含有する下塗り層を設けることもできる。
【0020】
本発明においては、感熱記録体の付加価値を高めるためにさらに加工を施し、より高い機能を付与した感熱記録体とすることができる。例えば、裏面に粘着剤、再湿接着剤、ディレードタック型接着剤による加工を施すことで粘着紙、再湿接着紙、ディレードタック紙としたり、磁気加工することで裏面に磁気記録可能な感熱記録材料とすることができる。また裏面を利用して熱転写用紙、インクジェット用紙、ノーカーボン用紙、静電記録紙、ゼログラフィ用紙としての機能をもたせ、両面への記録が可能な記録紙とすることもできる。もちろん両面感熱記録体とすることもできる。
【0021】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
特に断らない限り「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」をあらわす。
【0022】
合成例1 1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンの合成
温度計、還流器、滴下ロートをつけた三口フラスコに6.9gのメチル(N−4−アミノベンゼンスルホニル)カーバメートと、60mlのトルエンを入れ、この混合物をマグネティックスターラーで撹拌しつつ、室温において滴下ロートにより4.2gのアニリンを加えた。この反応懸濁液を室温にて攪拌後、15時間加熱還流すると、白色固体が析出したので、冷ました後濾過を行ない、8.2gのN−(4−アミノベンゼンスルホニル)−N’−フェニルウレア(化合物A)の薄い桃白色固体を得た(NMR測定により、同定した)。
【0023】
次に温度計、還流器、滴下ロートをつけた三口フラスコに得られた化合物N−(4−アミノベンゼンスルホニル)−N’−フェニルウレア7.3gをアセトニトリル150mlに溶解し、この溶液をマグネティックスターラーで撹拌しつつ、室温において滴下ロートにより5.2gのp−トルエンスルホニルイソシアナートを加えた。この反応溶液を2時間加熱還流後、冷まし、析出した白色固体を濾過した。7gの1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンが得られた。
【0024】
NMR測定により、得られた化合物が目的物であることを同定した。
NMR測定(重DMSO中) 結果は、以下の通り。
δ=2.40(s,3H),7.01(t,1H),7.24(t,2H),7.30(d,2H),7.42(d,2H),7.55(d,2H)、7.85(d,4H)。
その他N−Hに起因すると思われるピークがδ=8.77と9.29と10.75付近に現われる。
本結晶をDSC(示差走査熱量計)により分析すると185℃に化合物の融点によると思われる吸熱ピークが現われた。
【0025】
合成例2 4−(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)ベンゼンの合成
上記合成例1と同様にN−(4−アミノベンゼンスルホニル)−N’−フェニルウレア(化合物A)を合成した。
次に温度計、還流器、滴下ロートをつけた三口フラスコに得られた化合物N−(4−アミノベンゼンスルホニル)−N’−フェニルウレア7.3gをアセトニトリル150mlに溶解し、この溶液をマグネティックスターラーで撹拌しつつ、室温において滴下ロートにより4.8gのベンゼンスルホニルイソシアナートを加えた。この反応溶液を2時間加熱還流後、冷まし、析出した白色固体を濾過した。9gの4−(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)ベンゼンが得られた。
【0026】
NMR測定により、得られた化合物が目的物であることを同定した。
NMR測定(重DMSO中) 結果は、以下の通り。
δ=7.00(t,1H),7.24(t,2H),7.30(d,2H),7.55(d,2H),7.63(t,2H),7.71(t,1H),7.85(d,2H),7.97(d,2H)、
その他N−Hに起因すると思われるピークがδ=8.77と9.37と10.6付近に現われる。
本結晶をDSC(示差走査熱量計)により分析すると191℃に化合物の融点によると思われる吸熱ピークが現われた。
【0027】
実施例1
下記操作により感熱記録紙を作製した。
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0028】
上記組成物をペイントシェーカーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0029】
(3)顔料下塗り紙の調製
焼成クレー(商品名アンシレックス、エンゲルハート社製)85部を水320部に分散して得られた分散物に、スチレン〜ブタジエン共重合物エマルジョン(固形分50%)を40部、10%酸化でんぷん水溶液を50部混合して得た塗液を48g/m2 の原紙の上に乾燥後の塗布量が7.0g/m2 になるように塗工して、顔料下塗り層を有する支持体を得た。
【0030】
(4)感熱発色層の形成
上記分散液A50部、分散液B200部、クレー顔料(商品名:HGクレー,ヒューバー社)30部、25%ステアリン酸亜鉛分散液20部、30%パラフィン分散液15部、および10%ポリビニルアルコ―ル水溶液100部を混合、撹拌し、塗布液とした。この塗布液を、上記顔料下塗り層を有する支持体の下塗り層上に、乾燥後の塗布量が5.0g/m2 となるように塗布乾燥して感熱発色層を形成し、感熱記録紙を作成した。
【0031】
(5)スーパーカレンダー処理
上記の様にして得られた感熱記録紙をスーパーカレンダーによって処理し、その表面のベック平滑度を1000〜1400秒とした。
【0032】
(6)発色試験
こうして得られた試料について、大倉電機製発色試験機THPMDを用いて印字電圧21.7V、印字パルス1.0msの条件で印字した。この印字発色した部分の濃度をマクベス反射濃度計(型式:RD−914,マクベス社製)で測定した(これを元濃度と呼ぶ)。
【0033】
(7)耐湿性試験
(6)の発色試料から所定の供試片を作成し、温度40℃、相対湿度90%に調整した耐候性試験機に入れ、48時間後に取り出し、残存画像濃度をマクベス反射濃度計で測定した。
【0034】
(8)耐油性、耐可塑剤性試験
(6)の発色試料から所定の供試片を作成し、発色後30分以内に供試片に(耐油性試験の場合は)サラダオイル、または可塑剤(ジオクチルテレフタレート)を塗布し、室温で1時間放置後、過剰のオイルまたは可塑剤(ジオクチルテレフタレート)を拭き取り、残存画像濃度をマクベス反射濃度計で測定し、以下の式に従って画像存率を算出した。
画像保存率(%)=[(耐油性または耐可塑剤性処理後の濃度)/(元濃度)]×100
(6)、(7)および(8)の試験結果(画像保存率の値)を表1に示す。
【0035】
実施例2
実施例1と同様の操作を行なった。ただし、分散液Bの調製にあたり、1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンのかわりに4−(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)−1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)ベンゼンを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0036】
実施例3
実施例1と同様の操作を行なった。ただし、分散液Bの調製にあたり、1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンのかわりに1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(o−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0037】
比較例1
実施例1と同様の操作を行なった。ただし、分散液Bの調製にあたり、1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンのかわりに2,2−ビス(4ーヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
実施例1と同様の操作を行なった。ただし、分散液Bの調製にあたり、1−(フェニルアミノカルボニルアミノスルホニル)−4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゼンのかわりにN−(p−ニトロベンゾイル)−p−トルエンスルホンアミド(融点206度)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
表1から明らかなように、本発明の顕色剤は、良好な顕色能力を有し、かつその発色画像は、従来顕色剤の代表であるビスフェノールAにくらべ格段に優れた耐湿性、耐油性および耐可塑剤性を示す。
【0041】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は、その感熱発色層中に、顕色剤として、式(I)で表わされる芳香族化合物を用いるため、得られる発色画像は、良好な発色濃度と優れた耐湿性、耐油性および耐可塑剤性を示す。
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