JP3982974B2 - 感熱記録体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱によって発色画像を形成する感熱記録体に関するものである。さらに詳しくは、白色度が高く、一旦発色した画像の消失の無い、記録の保存安定性に優れ、かつ記録感度の高い感熱記録体に関するものである。本発明の感熱記録体は、記録の長期保存性が良好であって、同時に記録画像の耐熱性、耐湿性等の耐環境性、さらに耐油性、耐可塑剤性に優れ、かつ記録感度と白色度が高く、画像記録紙、キャッシュディスペンサー用紙、乗車券、定期券、POSラベル等のラベル、プリペイドカード等のカードおよび通行券などに有用な感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録体は、一般に紙、合成紙、プラスチックフィルム等の支持体上に電子供与性ロイコ染料のような発色性物質と電子受容性のフェノール性化合物等の有機酸性物質のような顕色性物質を主成分とする感熱発色層を設けてなり、それらを熱エネルギーによって反応させて記録画像を得ることができる。このような感熱記録体は特公昭43−4160号公報、特公昭45−14039号公報、及び特公昭48−27736号公報などに開示されており、広く実用化されている。
【0003】
感熱記録体は、記録装置がコンパクトで安価でかつ保守が容易であることから、電子計算機のアウトプット、ファクシミリ、自動券売機、科学計測器のプリンター、あるいはCRT医療計測用のプリンター等に広範囲に使用されている。しかし、支持体上に発色性染料物質、顕色性物質および結着剤を有効成分とする感熱発色層を塗工した従来のいわゆる染料型感熱記録体にあっては、発色反応が可逆的であるため、発色画像が経時的に消色することが知られている。この消色は曝光、高湿、高温雰囲気下に加速され、さらに水中での長時間の放置、サラダオイルのような油、可塑剤との接触によって著しく進行し、画像は読み取り不可能なレベルまで消色してしまう。
【0004】
通常無色ないし淡色のラクトン環化合物を主とする染料を使用する発色系を用いつつ、この消色現象を抑制するために数多くの技術が開示されてきた。例えば特開昭60−78782号公報、特開昭59−167292号公報、特開昭59−114096号公報、特開昭59−93387号公報に見られるようなフェノール系酸化防止剤を感熱発色層中に配合したもの、また、特開昭56−146796号公報に見られるような疎水性高分子化合物エマルジョン等を保護層に使用したもの、あるいは、特開昭58−199189号公報に見られるように感熱発色層上に水溶性高分子化合物または、疎水性高分子化合物エマルジョンを中間層として設け、その上に疎水性高分子化合物を樹脂成分とする油性塗料による表面層を設けたもの、また特開昭62−164579号公報に見られるようなフェノール系顕色剤にエポキシ化合物を併用したもの、さらには特開昭62−169681号公報に見られる特定のサリチル酸誘導体の金属塩を顕色剤として用いるもの等が知られている。
【0005】
前述のフェノール系酸化防止剤を配合した感熱発色層においては、それがない場合の画像に比べ、耐油性(例えばサラダオイルを発色面に接触させた場合の一定時間後の画像濃度の保存率)、耐可塑剤性(可塑剤を含有したラップフィルム等を発色面に接触させた場合の一定時間後の画像濃度の保存率)などについては改良が認められない。
【0006】
一方、保護層、表面層を設けた感熱記録体は、油、可塑剤との短時間の接触に対しては画像の消色が抑制されるが、長時間の接触での消色は避けられず、上記問題点に対する本質的な解決策とはいえない。また、フェノール化合物とエポキシ化合物を併用したものでは、加熱発色操作をしてから発色画像が安定化されるまでに比較的長い時間が必要であり、例えば発色直後に発色画像にサラダオイルを塗布したり、可塑剤と接触させると発色画像はそのかなりの部分が消色してしまう。
【0007】
さらに、特定のサリチル酸金属塩を用いるものは、画像保存性は改良されるが、耐熱試験における白紙部の発色が見られ、又、有効な特定のサリチル酸の化学構造が複雑で高価であるという欠点を有する。さらに、一般に高保存性を有する感熱記録体は、添加剤を入れたり、やや特殊な発色材料を用いざるをえないため、比較的感度が低いという欠点を有することが多い。 さらに、スルホニルアミド基を有する特定の顕色剤を用いる事が提案されたが(特開昭62−19485号公報)、得られる感熱記録材料の発色能力が、従来のフェノール性材料と比べても同等または、それ以下であり、優れた発色能が得られなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題点を解決し、感熱紙の白色度が高く、耐環境性試験における白紙部の発色が抑制され、耐油性、耐可塑剤性等の発色画像の長期保存性に優れた感度の高い感熱記録体を提供しようとするものである。本発明は、例えば自動券売機用感熱記録型の乗車券として使用できるのみならず、保存性を必要とする回数券や定期券などへの使用、可塑剤、油脂との接触が避けられないポリ塩化ビニルフィルムで包装した食品の包装面に貼付けるPOS用バーコードシステム用のラベルとして適するばかりでなく、高感度を要求される長期保存用のファクシミリ用紙やワープロ用紙、また、CRT用画像プリンター用紙としても利用できる感熱記録体を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為、本発明は下記の構成を採用する。即ち、本発明は、「シート状基体と、該基体の少なくとも一面に形成され、かつ、無色または淡色の染料前駆体、およびこの染料前駆体と加熱下に反応してこれを発色させる顕色剤を含む感熱発色層とを有する感熱記録体において、前記顕色剤として下記一般式(I)で表される化合物を含有する事を特徴とする一旦は発色した画像の消失がない感熱記録体」である。
【化5】
(ただし、式(I)において、R1は無置換の芳香族環基、あるいはメチル基または、塩素原子から選ばれた少なくとも一員により置換された芳香族環基を表わし、R2は炭素数が3個以上8個以下のアルキル基、またはアラルキル基を表す。)
【0010】
一般式(I)で表される顕色剤として、下記化学式(II-a, b, c)で表される化合物を用いる事が好ましい。
【化6】
【化7】
【化8】
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる式(I)の化合物は、顕色剤として作用するものである。すなわち式(I)の化合物は、フェノール性の水酸基、あるいはカルボキシル基などの酸性官能基を有しないが、塩基性のロイコ染料に対し、強い顕色能力を有するのである。これは式(I)の化合物中の尿素基が、それに隣接するスルホニル基により活性化されているためと理解される。
【0012】
上記一般式(I)におけるR1基については、具体的には、フェニル基、2−ナフチル基、p−トリル基、o−トリル基、m−トリル基、p−クロロフェニル基等を挙げることができる。
【0013】
また、上記一般式(I)におけるR2基については、炭素数3個以上8個以下のアルキル基、アラルキル基を示す。アルキル基の具体的な例としては、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などを挙げることができる。炭素数2以下の置換基では、得られる顕色剤化合物の融点が高く、これを用いて製造した感熱記録体の感度がやや低いという問題がある。また、炭素数8を越えると、分散時の分散性に問題を生じ易くなることがある。アラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、2−ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基などを示すが、アルキル部位の一部が、酸素原子で置換されたフェノキシエチル基、2−ナフトキシエチル基等も挙げることができる。
【0014】
本発明に関わる顕色剤の具体的な化合物として以下の通りである。式(I)の化合物の例として、プロピル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、プロピル 4−(m−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、プロピル 4−(o−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、プロピル 4−(ベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、プロピル 4−(p−クロロベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、プロピル 4−(m−クロロベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ブチル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ブチル 4−(o−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ブチル 4−(m−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ベンジル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ベンジル 4−(m−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、シクロヘキシル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ブチル 4−(p−クロロベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート、ブチル 4−(o−クロロベンゼンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエート等である。
これらの化合物は、単独で用いられても良く、あるいはその2種以上を混合しても良い。
また、上記の中で化学式(II)に示す、ブチル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートは、特に良好な顕色剤である。
【0015】
本発明で染料前駆体として使用されるロイコ染料はトリフェニルメタン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系化合物等が挙げられ、従来公知のものから選ぶことができる。例えば、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o、p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、および3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−ヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン等から選ばれた一種以上を用いることができる。
【0016】
又、本発明においては、所望の効果を阻害しない範囲でフェノール類、一分子中にひとつ、または2つ以上のスルホニルウレア基を有する顕色剤、又は、有機酸からなる従来公知の顕色剤を本発明の式(I)の化合物と併用することができる。これら従来の顕色剤は、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼン、1,3ービス(1−メチル−1−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル)ベンゼン、ジヒドロキシジフェニルエーテル(特開平1−180382号公報)、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル(特開昭52−140483号公報)、ビスフェノールS、4−ヒドロキシ―4’−イソプロピルオキシジフェニルスルホン(特開昭60−13852号公報)、1,1−ジ(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、 1,7ージ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン(特開昭59−52694号公報)、3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン(特開昭60−208286号公報)、2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノール(特開平8−269000号公報)等が挙げられる。
また、フェノール以外の顕色剤として、特開平5−32601号公報に開示されている、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−フェニル尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−メトキシフェニル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(o−トリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(m−トリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(p−トリル)尿素、N−(p−トルエンスルホニル)−N’−(o−クロロフェニル)尿素、N−(ベンゼンスルホニル)−N’−フェニル尿素、N−(p−クロロベンゼンスルホニル)−N’−フェニル尿素などである。
高保存型顕色剤として、一分子中に2つ以上のスルホニルウレア基を有する化合物である、4,4−ビス(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、1,8−(3,6−ジオキサオクチレン) ビス(4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートや一分子中にフェノール構造とスルホン基を有する顕色剤として、特開平8−269000号公報記載の2,4−ビス(フェニルスルホニル)フェノールなどが挙げられる。
更に特開平8−333329号公報に開示されている下記化学式(III)で表される一分子中に二つのp−ヒドロキシジフェニルスルホン構造を、エチレンまたはエチレンオキシドあるいはポリエチレンオキシド構造でつなげた顕色剤などが挙げられる。
【化5】
前記化学式(III)で表される化合物の中でも、式中のnが1である、1,7−(1,4,7−トリオキシヘプテン)ビス(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)ベンゼン)とnが2である、4,4’−ビス(7−(4−(p−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェニル)−1,4,7−トリオキシヘプト−1−イル)ジフェニルスルホンとの混合物が好ましい。
該混合物の中でも、n=1の化合物:n=2の化合物が82:18のものが特に好ましい。
また、1分子中にフェノール構造を有しかつ分子量が1000以上の化学構造を有する顕色剤である下記化学式(IV)の化学構造を有する化合物、具体的には、日本化学会第76春季年会の予稿集I、2PB152、pp618(1999)の化合物をあげることができる。
【化6】
【0017】
更に本発明において、所望の効果を損なわない範囲内で従来公知の熱可融性物質(増感剤)を併用することもできる。それらの代表的な例としては、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル(特開昭57−191089号公報)、p−ベンジルビフェニル(特開昭60−82382号公報)、ベンジルナフチルエーテル(特開昭58−87094号公報)、ジベンジルテレフタレート(特開昭58−98285号公報)、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル(特開昭57−201691号公報)、炭酸ジフェニル、炭酸ジトリル(特開昭58−136489号公報)、m−ターフェニル(特開昭57−89994号公報)、1,2−ビス(m−トリルオキシ)エタン(特開昭60−56588号公報)、1,5−ビス(p−メトキシフェノキシ)−3−オキサペンタン(特開昭62−181183号公報)、シュウ酸ジエステル類(特開昭64−1583号公報)、1,4−ビス(p−トリルオキシ)ベンゼン(特開平2−153783号公報)などがあげられる。
【0018】
本発明の感熱記録体の感熱発色層は、さらにワックス類を含むことができ、また、有機又は無機顔料類を含んでいることが好ましい。感熱発色層は、更に、これらの成分を支持体に固着するためのバインダーを含むものである。
【0019】
感熱発色層における上記ロイコ染料の感熱発色層中の含有率は、一般に感熱発色層の乾燥重量の5〜20重量%であることが好ましく、本発明の新規顕色剤の含有率は一般に5〜50重量%であることが好ましい。含有率が5重量%未満では顕色能力に不足をきたし、50重量%を越えて入れても顕色能力が飽和して格別の改善は見られず、経済的に不利となることがある。また、増感剤をもちい5%未満の添加では増感効果が小さく、50%を越えて添加しても増感効果は飽和し、さらなる感度の上昇は望めない。
【0020】
感熱発色層に従来公知のフェノール系あるいは有機酸系顕色剤が含まれる場合、その含有率は、5〜40重量%であることが好ましく、また増感剤を用いる場合、その含有率は10〜40重量%が好ましい。ワックス類、白色顔料が感熱発色層に含まれる場合、その含有率はそれぞれ2〜20重量%、2〜50重量%であることが好ましく、またバインダーの含有率は一般に5〜20重量%である。
【0021】
上記の有機又は無機の顔料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、焼成クレー、タルク、および表面処理された炭酸カルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、並びに、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、およびポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末などを挙げることができる。
またワックス類としては、例えば、パラフィン、アミド系ワックス、ビスイミド系ワックス、高級脂肪酸の金属塩など公知のものを用いることができる。
【0022】
前記バインダーについては、種々の分子量のポリビニルアルコール、デンプン及びその誘導体、メトキシセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、およびカゼインなどの水溶性高分子材料、並びに、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、およびスチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の各々のラテックスを用いることができる。
【0023】
本発明の感熱記録体に用いられるシート状基体は、紙(酸性抄紙紙、中性抄紙紙を含む)、表面に顔料、ラテックスなどを塗工したコーテッド紙、ラミネート紙、ポリオレフィン系樹脂から作られた合成紙、プラスチックフィルムなどから選ぶことができる。このようなシート状基体の少なくとも一面上に、上記所要成分の混合物を含む塗布液を塗布し、乾燥して感熱記録体を製造する。塗布量は、塗布液層が乾燥した状態で1〜15g/m2が好ましく、2〜10g/m2が特に好ましい。
【0024】
本発明の感熱記録体においてその感熱発色層上に印刷層を設けても良い。また、耐摩耗性、耐水性、耐油性、耐可塑剤性、耐光性などの向上を目的として、感熱記録層または印刷層の上に保護層を形成することもできる。
また支持体として上記被覆層の間に顔料(好ましくは吸油性顔料)と接着剤を含有する下塗り層を設ける事もできる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
特に断らない限り、「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」をあらわす。
【0026】
<合成例1> ブチル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートの合成(化合物(II)):
滴下ロート、温度計、および還流器を装備した三ツ口フラスコに15.4gの4−アミノ安息香酸n−ブチルを入れ、これに150mlのアセトニトリルを加えて攪拌し、4−アミノ安息香酸n−ブチルを溶解した。この混合溶液をマグネティックスターラーで攪拌しつつ、滴下ロートより、17.3gのp−トルエンスルホニルイソシアナートを室温で滴下した。反応混合液の攪拌を継続すると、発熱反応が起こり、大量の白色固体が沈殿した。
この反応混合物を70℃で3時間加熱し、冷却し、濾過することにより、26.5gの白色結晶を得た。この白色結晶の分析値は、以下のとおりである。
【0027】
融点; 155℃
NMR測定(重DMSO中)の結果(数字はppm);
δ=0.93(t、3H)、1.42(m、2H)、1.68(m、2H)、2.41(s、3H)、4.22(t、2H)、7.46(dd、4H)、7.85(dd、4H)
その他、N−Hに起因すると思われるピークが、 δ=9.17付近に表われた。
IR測定(KBr錠剤法)の結果(特性吸収のみ);
1720cm-1(尿素基のカルボニル基に由来)
1692cm-1(エステル基のカルボニル基に由来)
1340、1158cm-1(スルホニル基に由来)
【0028】
<合成例2> プロピル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートの合成:
合成例1と同様の操作を行なった。但し、15.4gの4−アミノ安息香酸n−ブチルの代わりに14.1gの4−アミノ安息香酸n−プロピルを用いた。25.0gの白色結晶を得た。この白色結晶の分析値は、以下の通り。
【0029】
融点; 172℃
NMR測定(重DMSO中)の結果 (数字はppm);
δ=0.96(t、3H)、1.71(m、2H)、2.41(s、3H)、4.16(m、2H)、7.42(d、2H)、7.47(d、2H)、7.85(d、2H)、7.87(d、2H)
その他、N−Hに起因すると思われるピークが、 δ=9.17、10.85付近に表われた。
IR測定(KBr錠剤法)の結果(特性吸収のみ);
1720cm-1(尿素基のカルボニル基に由来)
1690cm-1(エステル基のカルボニル基に由来)
1340、1160cm-1(スルホニル基に由来)
【0030】
<合成例3> n−ヘキシル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートの合成:
合成例1と同様の操作を行なった。但し、15.4gの4−アミノ安息香酸n−ブチルの代わりに18.48gの4−アミノ安息香酸n−ヘキシルを用いた。24.24gの白色結晶を得た。この白色結晶の分析値は、以下の通り。
【0031】
融点;151℃
NMR測定(重DMSO中)の結果 (数字はppm);
δ=0.90(t、3H)、1.34(m、4H)、1.42(m、2H)、1.74(m、2H)、2.42(s、3H)、4.30(t、2H)、7.32(d、2H)、7.48(d、2H)、7.83(d、2H)、8.00(d、2H)
その他、N−Hに起因すると思われるピークが、 δ=8.65付近に表われた。
【0032】
<合成例4> ベンジル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートの合成:
合成例1と同様の操作を行なった。但し、15.4gの4−アミノ安息香酸n−ブチルの代わりに18.98gの4−アミノ安息香酸ベンジルを用いた。24.66gの白色結晶を得た。この白色結晶の分析値は、以下の通り。
【0033】
融点;182℃
NMR測定(重DMSO中)の結果 (数字はppm);
δ=2.42(s、3H)、5.31(s、2H)、7.37(m、5H)、7.42(d、2H)、7.43(d、2H)、7.92(d、2H)、7.94(d、2H)
その他、N−Hに起因すると思われるピークが、 δ=8.47、10.33付近に表われた。
【0034】
<実施例1>
下記操作により感熱記録紙を作成した。
(1)顔料下塗り紙の調製
焼成クレイ(商品名アンシレックス)85部を水320部に分散して得られた分散物にスチレン〜ブタジエン共重合物エマルジョン(固形分50%)を40部、10%酸化でんぷん水溶液を50部混合して得た塗液を48g/m2の原紙の上に乾燥後の塗布量が7.0g/m2になるように塗工して、顔料下塗り紙を得た。
【0035】
上記組成物をサンドグラインダーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0036】
上記組成物をサンドグラインダーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0037】
上記組成物をサンドグラインダーをもちい、平均粒径が1μm以下になるまで粉砕した。
【0038】
(5)発色層の形成
上記A液60部、B液120部、C液120部、HGクレー(Huber社製カオリナイト顔料)23部、25%ステアリン酸亜鉛分散液20部、30%パラフィン分散液15部、および10%ポリビニルアルコ―ル水溶液120部を混合、撹拌し、塗布液とした。この塗布液を、顔料下塗り紙の片面に、乾燥後の塗布量が5.0g/m2となるように塗布乾燥して感熱発色層を形成し、感熱記録紙を作成した。
【0039】
(6)スーパーカレンダー処理
上記のようにして得られた感熱記録紙をスーパーカレンダーによって処理し、その表面の平滑を800〜1000秒とした。
【0040】
(7)各種試験
(a)白色度
上記感熱記録紙試料について、ハンター白色度計(東洋精機製作所製)を用いて白色度を測定した。
【0041】
(b)発色試験
こうして得られた感熱記録体について、大倉電機製動的感熱発色シミュレーターTHPMD(印字電圧21.7V)を用い、印加パルス幅1.0msの印字条件で試料を市松模様状に発色させた。発色濃度はマクベス反射濃度計RD−914で測定し、これを記録感度を代表する値とした。
【0042】
(c)白紙部耐湿地発色試験
上記感熱記録紙試料を40℃、90%に調湿した恒温恒湿器に、24時間入れ、白紙部分の濃度を上記(b)と同様に測定した。
(a)、(b)、(c)のテスト結果を表1に示す。
【0043】
<実施例2>
実施例1と同様の操作を行なった。但し、分散液Bの調製にあたり、ブチル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートのかわりにプロピル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0044】
<実施例3>
実施例1と同様の操作を行なった。但し、分散液Bの調製にあたり、ブチル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートのかわりにn−ヘキシル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートを用いた。テスト結果を表1に示す。
【0045】
<比較例1>
実施例1と同様の操作を行なった。但し、分散液Bの調製にあたり、ブチル 4−(p−トルエンスルホニルアミノカルボニルアミノ)ベンゾエートのかわりに2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)を用いた。テスト結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
前記表1から明らかなように、本発明の感熱記録体は、白色度が高く、高温高湿雰囲気下での白紙部地発色を抑え、良好な顕色能力を示す。
【0048】
【発明の効果】
本発明の感熱記録体は、その感熱発色層中に、顕色剤として、式(I)で表わされる芳香族化合物を用いる為、白色度が高く、高温高湿雰囲気下での白紙部地発色を抑え、かつ、その発色画像は、高い画像保存性と共に、高い発色濃度を示す。
Claims (5)
- 前記R2がプロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、フェノキシエチル基及び2−ナフトキシエチル基から成る群から選択される、請求項1に記載の感熱記録体。
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- 2000-03-31 JP JP2000098544A patent/JP3982974B2/ja not_active Expired - Lifetime
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