JP3630306B2 - 多官能化電解質及びこれを用いた電気化学デバイス並びに多官能化電解質の製造方法 - Google Patents

多官能化電解質及びこれを用いた電気化学デバイス並びに多官能化電解質の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多官能化電解質及びこれを用いた電気化学デバイス並びに多官能化電解質の製造方法に関し、さらに詳しくは、燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、水素及び/又は酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等に用いられる電解質膜等として好適な多官能化電解質及びこれを用いた電気化学デバイス並びに多官能化電解質の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子電解質は、高分子鎖中にスルホン酸基等の電解質基を有する固体高分子材料であり、特定のイオンと強固に結合したり、陽イオン又は陰イオンを選択的に透過する性質を有していることから、粒子、繊維、あるいは膜状に成形し、各種の用途に利用されている。
【0003】
例えば、固体高分子型燃料電池は、電解質膜の両面に一対の電極を設け、改質ガス等の水素を含む燃料ガスを一方の電極(燃料極)へ供給し、空気等の酸素を含む酸化剤ガスを他方の電極(空気極)へ供給し、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを、直接電気エネルギーとして取り出す電池である。固体高分子型燃料電池には、電解質膜として、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜が用いられている。
【0004】
また、SPE電解法は、水を電気分解することにより水素と酸素を製造する方法であり、電解質として、従来のアルカリ水溶液に代えて、プロトン伝導性を有する固体高分子電解質膜が用いられている。
【0005】
このような用途に用いられる固体高分子電解質としては、例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)に代表される非架橋のパーフルオロ系電解質が知られている。パーフルオロ系電解質は、化学的安定性が非常に高いことから、燃料電池、SPE電解等、過酷な条件下で使用される電解質膜として賞用されているものである。
【0006】
また、ジャーナル・オブ・フルオリン・ケミストリ(Journal of Fluorine Chemistry)第72巻(1995年)203〜208頁には、新規な酸基として、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミド基が提案されており、エーテル部分に2つのビススルホニルイミド基を有するパーフロオロビニルエーテルと、テトラフルオロエチレンとの共重合により合成されたナフィオンに類似の構造を有するビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドポリマが開示されている。
【0007】
さらに、特開2000−188013号公報には、ビススルホニルイミド、スルホニルカルボニルイミド、ビスカルボニルイミド、ビススルホニルメチレン等からなる強酸性架橋基を介して、パーフルオロ系高分子化合物を架橋させた高耐熱性高分子電解質が本件出願人により開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
固体高分子型燃料電池は、電池の作動温度が高くなるほど、発電効率が高くなることが知られている。また、固体高分子電解質の両面に接合される電極には、白金系の電極触媒が含まれているが、白金は、微量の一酸化炭素であっても被毒され、燃料電池の出力を低下させる原因となる。しかも、電極触媒の一酸化炭素による被毒は、低温ほど著しくなることが知られている。
【0009】
そのため、メタノール改質ガス等、微量の一酸化炭素を含むガスを燃料ガスとして用いる固体高分子型燃料電池においては、高効率化と電極触媒の一酸化炭素被毒の低減のために、作動温度を高くすることが望まれている。
【0010】
また、水電解において、水の電気分解に必要な全エネルギーは温度によってさほど変化しないが、水の電気分解に必要な最低の電圧、すなわち理論分解電圧は、高温になるほど小さくなることが知られている。そのため、外部から熱エネルギーを系に供給し、高温において電気分解反応を行わせることができれば、高価な電気エネルギーの消費を減らすことができ、効率の点で有利である。
【0011】
さらに、従来の固体高分子電解質は、いずれもプロトン伝導性を発現するには水を必要とする。従って、固体高分子型燃料電池において、運転条件がドライ条件になると、電解質膜の乾燥によって膜抵抗が増加し、出力が低下する。従来の固体高分子型燃料電池においては、これを回避するために、補機を用いて電解質膜の加湿を行っているが、補機による加湿は、燃料電池の効率低下とシステムの大型化を招く。そのため、燃料電池においては、高い電池性能を得るために、低加湿・高温条件下でも高い電気伝導度を示す電解質膜が望まれている。
【0012】
しかしながら、ナフィオンに代表されるパーフルオロ系電解質は、非架橋であるために耐熱性が低く、ガラス転移温度近傍である130℃以上でクリープするという性質がある。そのため、パーフルオロ系電解質を燃料電池やSPE電解装置に用いた場合には、作動温度を100℃以下とする必要があり、一酸化炭素による電極触媒の被毒の防止や効率の点で有利な高温で使用できないという問題がある。
【0013】
また、ナフィオン等の1つの極性基を有するモノマから合成された電解質膜を用いた燃料電池の場合、電解質膜の電気伝導度が不十分であるので、低加湿・高温条件下において高い電池性能は得られない。一方、電解質膜の電気伝導度を上げるために極性基を有するモノマの割合を増やすと、主鎖の結晶性が低下する。そのため、電解質膜の強度が低下したり、あるいは、電解質膜が水に著しく膨潤又は可溶化し、形状を維持できなくなるという問題がある。
【0014】
また、ジャーナル・オブ・フルオリン・ケミストリ(Journal of Fluorine Chemistry)第72巻(1995年)203〜208頁に開示されているビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドポリマの場合、テトラフルオロエチレンに比してパーフルオロビニルエーテルが嵩高いために、これらを共重合させても十分な分子量が得られず、膜強度が不足する懸念がある。
【0015】
また、ビス(パーフルオロアルキルスルホニル)イミドポリマは非架橋であるために、ナフィオンと同様、耐熱性に問題がある。この問題を解決するために、イミドポリマを共重合させる時に架橋構造を導入することも考えられる。しかしながら、共重合時に架橋構造を導入すると、ポリマが不溶性となるので、膜等に成形するのが非常に困難となり、均質な膜は得られない。
【0016】
これに対し、本件出願人により提案された高耐熱性高分子電解質は、強酸性架橋基を介してパーフルオロ系電解質が架橋されているので、電解質基の量を大きく減らすことなく、強度を向上させることができる。しかしながら、燃料電池、SPE電解装置等の過酷な条件下で使用される電気化学デバイスの性能をさらに高めるためには、これに用いられる電解質の耐熱性、強度及び電気伝導性をさらに向上させることが望まれる。
【0017】
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性、強度及び電気伝導性に優れた多官能化電解質及びその製造方法を提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、過酷な条件下で使用される場合であっても高い性能を発揮する電気化学デバイスを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る多官能化電解質は、側鎖を有する固体高分子化合物と、前記側鎖の末端にある1又は2以上の末端酸基と、該末端酸基がある側鎖と同一の側鎖内にある1又は2以上の中間酸基及び/又は変性酸基とを備えていることを要旨とするものである。
【0019】
本発明に係る多官能化電解質は、固体高分子化合物を構成する1つの側鎖内に2個以上の酸基が導入されるので、主鎖構造が類似し、かつ、側鎖に1個の酸基が導入された従来の固体高分子電解質に比べて、高い電気伝導度を示す。また、電解質全体の酸基量は、側鎖に導入される酸基の個数によって制御でき、その際に主鎖構造の変化を伴わない。そのため、多官能化電解質の強度を担う主鎖部分の結晶性を低下させることなく、電気伝導度を高めることができる。
【0020】
また、同一側鎖内に末端酸基並びに中間酸基及び/又は変性酸基が導入された多官能化電解質に対して、さらに架橋構造を導入すると、高温における分子の流動が抑制され、耐高温クリープ性が大幅に向上する。そのため、これを高温で使用される各種の電気化学デバイスに用いた場合には、デバイスの作動温度を高めることができ、効率を飛躍的に向上させることができる。また、これを燃料電池用の電解質膜として用いた場合には、低加湿・高温条件下であっても安定して作動する燃料電池が得られる。
【0021】
このような構造を備えた多官能化電解質は、官能基Aを有する固体高分子化合物に対して、官能基Aと反応して第1の中間酸基となり得る1又は2以上の官能基B及び末端酸基又は第2の中間酸基となり得る1又は2以上の官能基Cを備えた第1変性剤を導入し、官能基Aと官能基Bとを反応させることにより製造することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の第1の実施の形態に係る多官能化電解質は、固体高分子化合物と、末端酸基と、中間酸基及び/又は変性酸基とを備えている。
【0023】
初めに、固体高分子化合物について説明する。固体高分子化合物は、本発明に係る多官能化電解質の主要部分をなすものであり、多官能化電解質の強度を担う主鎖と、主鎖に結合している側鎖とを備えている。側鎖の構造は、直鎖状あるいは分岐状のいずれであっても良く、特に限定されるものではない。
【0024】
固体高分子化合物は、高分子鎖中にC−F結合を含むフッ素系化合物、あるいは、高分子鎖中にC−H結合のみを含む炭化水素系化合物のいずれであっても良い。また、フッ素系化合物は、高分子鎖中にC−F結合及びC−H結合の双方を有するもの(以下、これを「フッ素・炭化水素系化合物」という。)、あるいは、高分子鎖中にC−F結合を含み、かつC−H結合を含まないもの(以下、これを「パーフルオロ系化合物」という。)のいずれであっても良い。なお、フッ素系化合物には、C−F結合の他、C−Cl結合やその他の結合(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等)が含まれていても良い。
【0025】
また、炭化水素系化合物は、高分子鎖中に芳香環を有しないもの(以下、これを「脂肪族炭化水素系化合物」という。)、あるいは、高分子鎖のいずれかに芳香環を有するもの(以下、これを「芳香族炭化水素系化合物」という。)のいずれであっても良い。また、芳香族炭化水素系化合物は、結合連鎖の一部にアルキレン鎖(−(CH−、n≧1)や分岐炭素構造(例えば、−CHCH−、−C(CH−等)を含むもの(以下、これを「部分芳香族炭化水素系化合物」という。)であっても良く、あるいは、結合連鎖の中にアルキレン鎖や分岐炭素構造を含まないもの(以下、これを「全芳香族炭化水素系化合物」という。)でも良い。
【0026】
これらの中で、フッ素系化合物は、C−F結合を有しているために、耐熱性及び耐酸化性に優れている。また、後述するように、中間酸基は、パーフルオロ骨格との相互作用によって強酸基として機能する。そのため、耐熱性、耐酸化性及び高電気伝導性を有する多官能化電解質を得るためには、固体高分子化合物として、フッ素系化合物、特に、パーフルオロ系化合物を用いるのが好ましい。
【0027】
また、炭化水素系化合物の中でも、芳香族炭化水素系化合物は、酸基を備えた側鎖の導入が比較的容易である。そのため、高電気伝導性を有する多官能化電解質を得るためには、固体高分子化合物として、芳香族炭化水素系化合物、特に、全芳香族炭化水素系化合物を用いるのが好ましい。
【0028】
なお、本発明に係る多官能化電解質は、固体高分子化合物を構成する1つの側鎖に複数の酸基が導入されていることを特徴とする。そのため、主鎖に結合している側鎖の数が相対的に少ない場合であっても、高電気伝導性が得られる。また、主鎖に結合している側鎖の数が多くなるほど、電解質全体に導入可能な総酸基量が多くなる。
【0029】
次に、末端酸基について説明する。末端酸基とは、側鎖の末端に結合している酸基をいう。末端酸基は、固体高分子化合物を構成する側鎖の内、一部の側鎖の末端に結合していても良く、あるいは、すべての側鎖の末端に結合していても良い。また、側鎖が分岐構造を有している場合、末端酸基は、分岐した枝のいずれか1つの末端に結合していても良く、あるいは、2個以上の枝の末端に結合していても良い。一般に、末端酸基が結合している側鎖の数、及び/又は、側鎖に結合している末端酸基の数が多くなるほど、高電気伝導性を示す。
【0030】
末端酸基としては、具体的には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等が好適な一例として挙げられる。また、1個の側鎖に複数個の末端酸基が結合している場合、これらの末端酸基は、すべて同種であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせであっても良い。さらに、末端酸基の種類は、側鎖ごとに異なっていても良い。
【0031】
次に、中間酸基及び変性酸基について説明する。中間酸基とは、側鎖の結合連鎖の一部をなしている酸基をいう。また、変性酸基とは、中間酸基を構成する元素の一部が1又は2以上の酸基を備えた原子団により置換されたものをいう。この場合、原子団に備えられる酸基は、特に限定されるものではなく、上述した末端酸基、又は、中間酸基もしくは変性酸基と同様の構造を有するもののいずれであっても良い。また、原子団は、直鎖状又は分岐状のいずれの構造を有していても良く、さらに、フッ素系あるいは炭化水素系のいずれであっても良い。
【0032】
また、本発明において、中間酸基又は変性酸基の少なくとも一部は、1又は2以上の末端酸基がある側鎖と同一の側鎖内にあることを特徴とする。この場合、固体高分子化合物を構成する一部の側鎖が、このような末端酸基及び中間酸基又は変性酸基の双方を備えた側鎖(以下、これを「多官能側鎖」という。)であっても良く、あるいは、すべての側鎖が多官能側鎖であっても良い。
【0033】
また、多官能側鎖は、1個の中間酸基又は変性酸基を有するものであっても良く、あるいは、2個以上の中間酸基及び/又は変性酸基を有するものであっても良い。一般に、多官能側鎖の数、及び/又は、多官能側鎖に結合している、末端酸基、中間酸基もしくは変性酸基の数が多くなるほど、高電気伝導性を示す。また、末端酸基、中間酸基及び変性酸基の種類、並びに固体高分子化合物に対するこれらの導入量を適宜制御することによって、電気伝導度が0.05S/cm以上である多官能化電解質を得ることができる。
【0034】
さらに、1個の多官能側鎖に複数個の中間酸基及び/又は変性酸基が結合している場合、これらは、すべて同種であっても良く、あるいは、2種以上の組み合わせであっても良い。さらに、中間酸基及び/又は変性酸基の種類は、多官能側鎖ごとに異なっていても良い。
【0035】
中間酸基としては、具体的には、ビススルホニルイミド基(−SO−NH−SO−)、スルホニルカルボニルイミド基(−CO−NH−SO−)、ビスカルボニルイミド基(−CO−NH−CO−)等が好適な一例として挙げられる。また、変性酸基としては、具体的には、ビススルホニルイミド基、スルホニルカルボニルイミド基又はビスカルボニルイミド基の水素がスルホン酸基等を有するパーフルオロアルキレン鎖に置換したもの等が好適な一例として挙げられる。
【0036】
なお、中間酸基が上述したビススルホニルイミド基、スルホニルカルボニルイミド基又はビスカルボニルイミド基である場合、これらは、その両端が炭化水素骨格に結合している場合であっても酸基として機能する。しかしながら、中間酸基の一端又は両端がパーフルオロ骨格に結合している場合には、中間酸基が強酸基として機能し、多官能化電解質に高電気伝導性が付与される。これは、N−H結合に寄与する電子が、電気陰性度の大きなFに引っ張られてパーフルオロ骨格側に移動し、Nに結合しているHがプロトンとして放出されやすくなるためである。
【0037】
次に、本実施の形態に係る多官能化電解質の製造方法について説明する。本実施の形態に係る多官能化電解質は、官能基Aを有する固体高分子化合物と、変性剤とを反応させることにより得ることができる。
【0038】
固体高分子化合物は、官能基Aを有しているもの、あるいは、官能基Aを導入可能なものであれば良い。従って、反応前の固体高分子化合物の構造は、直鎖状であっても良く、あるいは、分岐状でも良い。また、固体高分子化合物は、フッ素系化合物あるいは炭化水素系化合物のいずれであっても良い。
【0039】
中でも、高電気伝導性を備えた多官能化電解質を得るためには、固体高分子化合物は、芳香族系炭化水素化合物が好ましく、全芳香族系炭化水素化合物が特に好適である。また、耐熱性、耐酸化性及び高電気伝導性を備えた多官能電解質を得るためには、固体高分子化合物は、フッ素系化合物が好ましく、パーフルオロ系化合物が特に好適である。
【0040】
官能基Aとは、後述する変性剤の官能基Bと反応することによって中間酸基となり得る官能基をいう。官能基Aは、固体高分子化合物のいずれの部分に導入されていても良い。すなわち、官能基Aは、直鎖状を呈する固体高分子化合物に直接結合していても良く、あるいは、固体高分子化合物を構成する側鎖の中間又は末端に結合していても良い。
【0041】
官能基Aとしては、具体的には、スルホニルハライド基、スルホンアミド基、スルホンアミド金属塩、N−アルキルシリルスルホンアミド基、N−アルキルシリルスルホンアミド金属塩、カルボニルハライド基、カルボン酸エステル基、カルボニルアミド基、ホスホニルハライド基、ホスホン酸エステル基、ホスホニルアミド基、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。特に、スルホニルハライド基及びその誘導体は、変性剤との反応に消費されなかった場合であっても、これを加水分解すれば容易に強酸基となり、多官能化電解質に高電気伝導性を付与することができるので、官能基Aとして好適である。
また、官能基Aとして、スルホニルハライド基とアンモニアとを反応させて得られるスルホンアミド基を用いることが好ましい。この場合、スルホニルハライド基とアンモニアとの反応率は、20〜100%が好ましい。反応率は、さらに好ましくは、30〜100%、さらに好ましくは、50〜100%、特に好ましくは、70〜100%である。
【0042】
なお、固体高分子化合物には、1種類の官能基Aが含まれていても良く、あるいは、2種以上の官能基Aが含まれていても良い。さらに、1種又は2種以上の官能基Aを有する単一の固体高分子化合物と変性剤とを反応させてもよく、あるいは、同一又は異なる官能基Aを備えた2種以上の固体高分子化合物を任意の比率で混合し、これと変性剤とを反応させても良い。
【0043】
官能基Aを有するパーフルオロ系化合物としては、具体的には、デュポン社製ナフィオン(登録商標)、旭化成(株)製アシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)製フレミオン(登録商標)、ゴア社製ゴア膜等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0044】
また、官能基Aを導入可能なフッ素・炭化水素系化合物としては、具体的には、ポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(以下、これを「PS−g−ETFE」という。)、ポリスチレン−グラフト−ポリテトラフルオロエチレン等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0045】
また、官能基Aを導入可能な脂肪族炭化水素系化合物としては、具体的には、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテル等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0046】
また、官能基Aを導入可能な部分芳香族炭化水素系化合物としては、具体的には、ポリスチレン、芳香環を有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0047】
また、官能基Aを導入可能な全芳香族炭化水素系化合物としては、具体的には、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
さらに、官能基Aを有する、又は官能基Aが導入されたこれらの化合物(電解質)は、多孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート、フィブリルPTFE繊維等の補強材により補強されていても良い。
【0048】
なお、出発原料として用いる固体高分子化合物中の官能基Aの濃度又は官能基Aを有する側鎖の数は、特に限定されるものではなく、多官能化電解質に要求される強度、電気伝導性等に応じて、最適な濃度又は側鎖数を有する化合物を用いればよい。一般的には、官能基Aの濃度が高くなるほど、又は、官能基Aを有する側鎖の数が多くなるほど、電解質全体に導入可能な総酸基量が多くなる。従って、高電気伝導性を示す多官能化電解質を得るには、主鎖構造の結晶性を損なわない限り、官能基Aの濃度は高いほど良く、また、官能基Aを有する側鎖の数は多い程良い。官能基Aの濃度は、具体的には、0.25mmol/g以上10mmol/g以下が好ましく、さらに好ましくは0.5mmol/g以上4mmol/g以下である。
【0049】
次に、変性剤について説明する。固体高分子化合物の側鎖に中間酸基を導入するための変性剤(以下、これを「第1変性剤」という。)は、1分子中に、1又は2以上の官能基Bと、1又は2以上の官能基Cとを備えている必要がある。
【0050】
官能基Bとは、固体高分子化合物の官能基Aと反応して第1の中間酸基となり得る官能基をいう。官能基Bとしては、具体的には、スルホニルハライド基、スルホンアミド基、スルホンアミド金属塩、N−アルキルシリルスルホンアミド基、N−アルキルシリルスルホンアミド金属塩、カルボニルハライド基、カルボン酸エステル基、カルボニルアミド基、ホスホニルハライド基、ホスホン酸エステル基、ホスホニルアミド基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
官能基Bとしては、スルホニルハライド基、カルボニルハライド基、ホスホニルハライド基、スルホン酸エステル基、カルボン酸エステル基、ホスホン酸エステル基が特に好適である。
【0051】
また、官能基Cとは、末端酸基又は第2の中間酸基となり得る官能基をいう。すなわち、官能基Cには、末端酸基又は第2の中間酸基そのものの他、加水分解、置換反応等により末端酸基又は第2の中間酸基となるものも含まれる。官能基Cとしては、具体的には、ハロゲン、スルホニルハライド基、スルホンアミド基、スルホンアミド金属塩、N−アルキルシリルスルホンアミド基、N−アルキルシリルスルホンアミド金属塩、カルボニルハライド基、カルボン酸エステル基、カルボニルアミド基、ホスホニルハライド基、ホスホン酸エステル基、ホスホンアミド基等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0052】
このような官能基B及び官能基Cを備えた第1変性剤としては、具体的には、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,3−ジスルホニルフルオライド、1,1,2,2,3,3,−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルフルオライド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル−1,3−ジスルホニルフルオライド、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−パーフルオロブチル−1,3−ジスルホニルフルオライド等のフッ素系スルホニルフルオライド、及びその誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0053】
また、第1変性剤として、1,1,2,2−テトラフルオロエチル−1,3−ジスルホニルクロライド、1,1,2,2,3,3,−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルクロライド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル−1,3−ジスルホニルクロライド、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−パーフルオロブチル−1,3−ジスルホニルクロライド等のフッ素系スルホニルクロライド、及びその誘導体、1,4−ベンゼンジスルホニルクロライド、4,4’−ビフェニルジスルホニルクロライドを用いても良い。
【0054】
さらに、第1変性剤の他の具体例としては、1,1,2,2,3,3,−ヘキサフルオロプロピル−3−アイオド−1−スルホニルフルオライド、1,1,2,2,3,3,4,4,−オクタフルオロブチル−4−アイオド−1−スルホニルフルオライド等、及びその誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0055】
固体高分子化合物の側鎖に変性酸基を導入するための変性剤(以下、これを「第2変性剤」という。)は、1又は2以上の官能基Dと、1又は2以上の官能基Eとを備えている必要がある。
【0056】
官能基Dとは、側鎖に導入された第1又は第2の中間酸基と反応可能な官能基をいう。官能基Dとしては、具体的には、ハライド、スルホニルハライド基、カルボニルハライド基、ホスホニルハライド基等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0057】
また、官能基Eとは、末端酸基又は第3の中間酸基となり得る官能基をいう。すなわち、官能基Eには、末端酸基又は第3の中間酸基そのものの他、加水分解、置換反応等により末端酸基又は第3の中間酸基となるものも含まれる。官能基Eとしては、具体的には、スルホニルハライド基、カルボニルハライド基、カルボン酸エステル基、ビススルホニルイミド基、スルホニルカルボニルイミド基、ビスカルボニルイミド基、ハロゲン等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0058】
このような官能基D及び官能基Eを備えた第2変性剤としては、具体的には、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1,3−ジアイオダイド、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロ−1,4−ジアイオダイド等、及びこれらの誘導体が好適な一例として挙げられる。
【0059】
なお、第1変性剤としてフッ素系スルホニルハライドを用いる場合、スルホニルハライド基間の炭素数は、1〜20が好ましい。また、フッ素系スルホニルハライドは、直鎖構造を有するものでも良く、あるいは分岐構造を有するものでもよい。また、多官能化電解質に高電気伝導性を付与するためには、分岐構造を有し、かつ、2個以上のスルホニルハライド基を有するものが特に好適である。
【0060】
また、第1変性剤には、上述のような各1種類の官能基B及び官能基Cが含まれていても良く、あるいは、各2種以上の官能基B及び官能基Cが含まれていても良い。また、1種又は2種以上の官能基B及び官能基Cを備えた単一の化合物を第1変性剤として用いても良く、あるいは、同一又は異なる官能基B及び官能基Cを備えた2種以上の化合物を任意の比率で混合し、これを第1変性剤として用いても良い。これらの点は、第2変性剤についても同様である。
【0061】
官能基Aを有する固体高分子化合物、並びに、第1変性剤及び/又は第2変性剤に対して、必要に応じて前処理を施した後、これらをその組み合わせに応じた最適な条件下で反応させると、多官能側鎖を有する多官能化電解質が得られる。特に、固体高分子化合物の官能基Aをアミド化した後、これと変性剤とを最適な条件下で反応させると、高電気伝導度を示す多官能化電解質が得られる。
この場合、第1変性剤及び第2変性剤の導入量、これらと固体高分子化合物との反応率等は、多官能化電解質に要求される電気伝導度、機械的特性等に応じて選択すればよい。一般に、変性剤と反応している官能基Aの割合が多くなるほど、高い電気伝導度を有する多官能化電解質が得られる。
具体的には、官能基Aを有する前記固体高分子化合物に対して、1又は2以上の官能基B及び1又は2以上の官能基Cを備えた第1変性剤を導入し、官能基Aの20%〜100%を官能基Bと反応させることが好ましい。官能基Aの反応率は、さらに好ましくは、30〜100%、さらに好ましくは、50〜100%、特に好ましくは、70〜100%である。
また、官能基Aを有する固体高分子化合物と第1変性剤との反応物に対してさらに第2変性剤を反応させると、その反応率に応じて酸基導入量が増大し、電気伝導度をさらに向上させることができる。
【0062】
例えば、図1に示すように、側鎖12の末端にスルホニルフルオライド基(官能基A)を有するパーフルオロ系化合物10と、両端に所定の官能基を有する直鎖状の変性剤(図示せず)とを適当な条件下で反応させると、側鎖12の一部が多官能側鎖22、24に変性され、多官能化電解質20となる。
【0063】
この内、多官能側鎖22は、側鎖12の一部が第1変性剤により変性されたものであり、スルホン酸基(末端酸基)とビススルホニルイミド基(中間酸基)の2個の酸基を備えている。また、多官能側鎖24は、多官能側鎖22がさらに第2変性剤により変性されたものであり、末端酸基であるスルホン酸基と、ビススルホニルイミド基の水素がスルホン酸基を有する原子団に置換された変性酸基の2個の酸基を備えている。
【0064】
次に、本実施の形態に係る多官能化電解質の作用について説明する。固体高分子電解質は、一般に、強度を担う主鎖と、電解質基を有する側鎖からなる。側鎖にある電解質基は、会合してクラスタを形成し、これが狭いチャネルでつながることによって伝導パスを形成する。従って、固体高分子電解質の電気伝導度を高めるためには、太い伝導パスを形成する必要があり、そのためには、固体高分子電解質中の電解質基の濃度を増加させる必要がある。
【0065】
一方、ナフィオンに代表される従来のパーフルオロ系電解質は、一般に、1つの極性基を有するモノマ(以下、これを「極性基モノマ」という。)と、主鎖を構成するモノマの共重合体からなる。従って、パーフルオロ系電解質に含まれる電解質基の濃度を増加させるためには、合成時に極性基モノマの割合を増加させる必要がある。しかしながら、極性基モノマの割合を増加させると、電気伝導度は高くなるが、主鎖の結晶性が低下し、強度を維持できない。
【0066】
これに対し、例えば、側鎖に1個の官能基Aを有する固体高分子化合物と、直鎖状の変性剤とを反応させると、図2(a)に示すように、末端酸基(スルホン酸基)及び中間酸基(図2中、「S」と表示。)を有する多官能側鎖22aを備えた多官能化電解質20aが得られる。同様に、この固体高分子化合物と、3個の官能基を有する分岐状の変性剤とを反応させると、図2(b)に示すように、2個の末端酸基及び1個の中間酸基を有する多官能側鎖22bを備えた多官能化電解質20bが得られる。さらに、この固体高分子化合物と、多数の分岐を備えた変性剤とを反応させるか、あるいは、変性剤との反応を複数回繰り返すと、多数の末端酸基、中間酸基及び変性酸基(図2中、中間酸基から水素が取れたものを「S’」と表示。)を有する多官能側鎖22cを備えた多官能化電解質20cが得られる。
【0067】
このようにして得られた多官能化電解質20a〜20cの断面模式図を、それぞれ、図2(d)〜図2(f)に示す。多官能化電解質20a〜20cは、酸基量の増加によって伝導パス30a〜30cが太くなるので、変性前より高い電気伝導性を示す。しかも、側鎖に導入される酸基量が多くなるほど伝導パス30a〜30cは太くなるので、電気伝導度もこれに応じて高くなる。
【0068】
一方、多官能化電解質20a〜20cは、変性の際に強度を担う主鎖骨格32a〜32cの構造の変化を伴わない。そのため、多官能化電解質20a〜20cは、側鎖に導入する酸基量を増加させても、変性前と同等の強度が維持され、しかも、水に対して著しく膨潤又は可溶化することもない。
【0069】
また、エーテル部分に2以上の酸基を有するモノマを用いて電解質を合成する場合、モノマの嵩高さのために十分な分子量が得られず、膜強度が不足する懸念がある。また、嵩高いモノマほど共重合されにくいので、1分子当たりに導入される側鎖数(すなわち、酸基数)にも限界がある。これに対し、本実施の形態に係る多官能化電解質は、固体高分子化合物の官能基Aと変性剤とを反応させることにより製造できるので、従来の方法に比して、1分子当たりの側鎖数及び側鎖当たりの酸基数の制御範囲が広い。そのため、従来の方法では得られない高強度かつ高い電気伝導度を有する多官能化電解質が得られる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る多官能化電解質について説明する。本実施の形態に係る多官能化電解質は、側鎖を有する高分子化合物と、側鎖の末端にある1又は2以上の末端酸基と、末端酸基がある側鎖と同一側鎖内にある1又は2以上の中間酸基及び/又は変性酸基とを備えていることに加え、さらに固体高分子化合物間を架橋する架橋基を備えていることを特徴とするものである。
【0071】
本実施の形態において、固体高分子化合物は、主鎖及び側鎖のいずれで架橋されていても良い。また、一般に、高分子化合物の架橋方法には、種々の方法があり、架橋基は、使用する架橋方法に応じて種々の構造を取る。本実施の形態においては、固体高分子化合物は、いずれの方法で架橋されていても良く、また、架橋基の構造も、特に限定されるものではない。
【0072】
但し、末端酸基は他の部分に比して反応性が高いので、これを介して固体高分子化合物を架橋させるのが好ましい。また、末端酸基を用いて架橋させる場合、固体高分子化合物に1個の架橋構造を導入する毎に2個の末端酸基が消費される。従って、高電気伝導性を示す多官能化電解質を得るためには、固体高分子化合物は、酸性架橋基を介して架橋されていることが好ましい。
【0073】
酸性架橋基とは、水を含んだ状態で酸性を呈する架橋基をいう。そのためには、酸性架橋基は、架橋点から電子を移動させやすい構造を備えている必要がある。このような酸性架橋基としては、具体的には、ビススルホニルイミド基、スルホニルカルボニルイミド基、ビスカルボニルイミド基等が好適な一例として挙げられる。固体高分子化合物は、これらの内、1種類の酸性架橋基を介して架橋されていても良く、あるいは、2種以上の酸性架橋基により架橋されていても良い。
【0074】
なお、一般に、架橋密度が大きくなるほど、耐熱性に優れた多官能化電解質が得られるが、架橋密度が過大になると、含水及び水分子の移動を妨げ、かえってプロトン導電性を低下させる傾向がある。従って、架橋密度は、多官能化電解質に要求される耐熱性、電気伝導性等に応じて、最適な値を選択すればよい。架橋密度は、具体的には、反応溶液中の水分量を調節することにより制御することができる。一般に、反応溶液中の水分量が多くなるほど架橋密度は小さくなり、可能な限り水分量を少なくすると、架橋密度は大きくなる。
【0075】
また、酸性架橋基は、その一端又は両端がパーフルオロ骨格に結合している場合に強酸性を示す点は、上述した中間酸基と同様である。また、固体高分子化合物、末端酸基、中間酸基及び変性酸基の構成については、第1の実施の形態と同一であるので、説明を省略する。
【0076】
本実施の形態に係る多官能化電解質は、種々の方法を用いて製造することができる。この内、酸性架橋基を介して架橋された多官能化電解質は、上述した官能基Aを備えた固体高分子化合物と、上述した変性剤の内、官能基Bを2個以上備えたものとを反応させることにより製造することができる。
【0077】
このような固体高分子化合物及び変性剤に対して、必要に応じて前処理を行った後、これらをその組み合わせに応じた最適な条件下で反応させると、一部の変性剤は、1個の官能基Bが1個の官能基Aと反応し、多官能側鎖の一部となる。また、他の変性剤は、少なくとも2個の官能基Bがそれぞれ別個の固体高分子化合物の官能基Aと反応し、固体高分子化合物間を繋ぐ架橋構造の一部となる。しかも、架橋点は、官能基Aと官能基Bの反応により生じた酸性架橋基となる。この場合、多官能側鎖と酸性架橋基の生成比率は、反応条件を適正化することによって、制御することができる。
高強度及び高電気伝導度を示す多官能化電解質を得るためには、官能基Aを有する固体高分子化合物に対して、2個以上の官能基Bを備えた第1変性剤を導入し、官能基Aの20%〜100%を官能基Bと反応させることが望ましい。官能基Aの反応率は、さらに好ましくは、30〜100%、さらに好ましくは、50〜100%、特に好ましくは、70〜100%である。
【0078】
本実施の形態に係る多官能化電解質は、多官能側鎖を備えているので、高強度、かつ、高電気伝導度を示す。また、固体高分子化合物間を繋ぐ架橋構造を備えているので、高温における分子の流動が抑制され、耐高温クリープ性が大幅に向上する。特に、固体高分子化合物が酸性架橋基を介して架橋されている場合には、架橋反応に消費された末端酸基が酸性架橋基により補われるので、強度、電気伝導性及び耐高温クリープ性に優れた多官能化電解質が得られる。
また、官能基Aの濃度、官能基Aの反応率、官能基A及び官能基Bの種類、製造条件等を制御することによって、電気伝導度が0.05S/cm以上、クリープ伸び(試験温度:160℃、付加応力:0.8MPa、試験時間:4分間)が150%以下である多官能化電解質が得られる。
【0079】
さらに、本実施の形態に係る多官能化電解質は、非架橋の状態で膜等に成形した後、架橋構造を導入することができるので、重合時に架橋構造を導入する方法に比して、成形が容易化する。また、電解質基の濃度(又は、側鎖数)が相対的に多く、水に膨潤又は可溶化しやすい固体高分子化合物を出発原料に用いる場合であっても、架橋構造を導入することによって、多官能化電解質を水に対して不溶化することができる。そのため、電解質の設計自由度が大幅に向上し、耐熱性、強度及び電気伝導度の異なる種々の多官能化電解質が得られる。
【0080】
【実施例】
(実施例1)
以下の手順に従い、多官能化電解質膜を作製した。固体高分子化合物及び変性剤には、それぞれ、化1の式に示すナフィオン112F膜(8cm×8cm、厚さ50μm)、及び、化2の式に示す1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルフルオライドを用いた。なお、化1の式中、波線は、ナフィオンのエーテル側鎖を略示したものである。
【0081】
【化1】
Figure 0003630306
【0082】
【化2】
Figure 0003630306
【0083】
まず、化1の式に示すナフィオン112F膜をアンモニアガスと共に容器に封入し、25℃で2時間放置することによって、ナフィオン112F膜のスルホニルフルオライド基をアミド化した。このアンモニアガス処理により、膜中のすべてのスルホニルフルオライド基がスルホンアミド基に変換された。化3の式に、アミド化されたナフィオン112F膜の分子構造を示す。
【0084】
【化3】
Figure 0003630306
【0085】
次に、窒素置換した容器に、テトラヒドロキシフラン200ml、トリエチルアミン15ml、及び、化2の式に示す1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−1,3−ジスルホニルフルオライド10g(以下、これを「変性剤溶液A」という。)を入れ、この変性剤溶液Aに化3の式に示すアミド化されたナフィオン112Fを50℃で24時間浸積し、ナフィオン112F膜と変性剤とを反応させた。本実施例の場合、変性剤と反応した膜中のスルホンアミド基の割合(反応率)は、92%であった。
【0086】
次に、反応後のナフィオン112F膜を、KOH/ジメチルスルオキシド/水=15/35/50の溶液に80℃で8時間浸漬し、膜に含まれるスルホニルフルオライド基を加水分解した。さらに、この膜を10%硝酸水溶液で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、加水分解されたスルホニルフルオライド基を完全なプロトン型に変換した。化4の式に、得られた多官能化電解質膜の分子構造を示す。
【0087】
【化4】
Figure 0003630306
【0088】
本実施例で得られた多官能化電解質膜は、化4の式に示すように、スルホン酸基(末端酸基)及びビススルホニルイミド基(中間酸基)を有する多官能側鎖と、2個のビススルホニルイミド基(酸性架橋基)を有する架橋構造とを備えている。なお、化4の式は、ナフィオン112F膜に含まれる側鎖の内、m個が変性剤との反応によって多官能側鎖となり、p個が他のナフィオン分子(化4の式中、波線で略示)との架橋に消費され、q個が変性剤との反応に消費されなかったことを模式的に示したものである。
【0089】
(実施例2)
変性剤溶液Aへの浸漬時間を48時間に変えた以外は、実施例1と同一の手順に従い、多官能化電解質膜を作製した。本実施例の場合、反応時間を48時間に変えたことにより、変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、100%であった。
【0090】
(実施例3)
固体高分子電解質として、ナフィオン111F膜(8cm×8cm、厚さ25μm)を用いた以外は、実施例1と同一の手順に従い、多官能化電解質膜を作製した。本実施例の場合、変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、95%であった。
【0091】
(実施例4)
固体高分子電解質として、ナフィオン111F膜(8cm×8cm、厚さ25μm)を用い、変性剤溶液Aへの浸漬時間を48時間に変えた以外は、実施例1と同一の手順に従い、多官能化電解質膜を作製した。本実施例の場合、反応時間を48時間に変えたことにより、変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、100%であった。
【0092】
(実施例5)
以下の手順に従い、多官能化電解質膜を作製した。固体高分子化合物には、ナフィオン111F膜(8cm×8cm、厚さ50μm)を用いた。また、変性剤には、次の化5の式に示す1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−3−アイオド−1スルホニルフルオライドを用いた。
【0093】
【化5】
Figure 0003630306
【0094】
まず、実施例1と同一の手順に従い、ナフィオン111F膜をアミド化した。次に、窒素置換した容器に、テトラヒドロキシフラン200ml、トリエチルアミン15ml、及び、化5の式に示す1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル−3−アイオド−1−スルホニルフルオライド10g(以下、これを「変性剤溶液B」という。)を入れ、この変性剤溶液Bにアミド化されたナフィオン111Fを50℃で48時間浸漬し、ナフィオン111F膜と変性剤とを反応させた。本実施例の場合、変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、100%であった。化6の式に、変性されたナフィオン111F膜の分子構造を示す。
【0095】
【化6】
Figure 0003630306
【0096】
次に、変性されたナフィオン111F膜を、アセトニトリル200ml、炭酸水素ナトリウム82g、ハイドロサルファイトナトリウム100g、水300mlの反応溶液に40℃で20時間浸漬した。反応後、この膜をNaCl水溶液で洗浄し、側鎖の末端にスルホニルナトリウム(−SONa)を導入した。
【0097】
次に、この膜を200mlの水に浸漬し、0℃で塩素ガスを2時間バブリングし、スルホニルナトリウムをスルホニルクロライドに変換した。反応後、膜を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。次いで、この膜を、KOH/ジメチルスルオキシド/水=15/35/50の溶液に80℃で8時間浸漬し、多官能側鎖に含まれるスルホニルクロライド基を加水分解した。さらに、この膜を10%硝酸水溶液で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、加水分解されたスルホニルクロライド基を完全なプロトン型に変換した。化7の式に、得られた多官能化電解質膜の分子構造を示す。
【0098】
【化7】
Figure 0003630306
【0099】
本実施例で得られた多官能化電解質膜は、化7の式に示すように、スルホン酸基(末端酸基)及びビススルホニルイミド基(中間酸基)を有する多官能側鎖を備えている。
【0100】
(比較例1)
実施例1で用いたナフィオン112F膜をKOH/ジメチルスルオキシド/水=15/35/50の溶液に80℃で8時間浸漬し、スルホニルフルオライド基を加水分解した。次に、この膜を10%硝酸水溶液で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、ナフィオン112膜を得た。
【0101】
(比較例2)
実施例3で用いたナフィオン111F膜を用いた以外は、比較例1と同一の手順に従い、ナフィオン111膜を得た。
【0102】
実施例1〜5で得られた多官能化電解質膜及び比較例1、2で得られたナフィオン膜について、電気伝導度及びクリープ特性を評価した。また、得られた電解質膜の両面に白金カーボン電極を接合した後、これを用いて燃料電池を作製し、出力特性を評価した。表1に、アンモニアとの反応率、変性剤との反応率、電気伝導度、クリープ伸び及び出力電圧を示す。
【0103】
【表1】
Figure 0003630306
【0104】
なお、電気伝導度は、25℃の純水中において交流法(測定周波数10kHz)により求めた膜抵抗と、膜厚から算出した。また、クリープ特性は、160℃において膜に0.8MPaの応力をかけ、4分間経過後のクリープ伸びで評価した。さらに、出力特性は、セル温度を105℃、加湿バブラー温度を60℃とし、表2に示す反応ガス供給条件下で定常運転を行い、電流密度0.5A/cmでの出力電圧で評価した。
【0105】
【表2】
Figure 0003630306
【0106】
比較例1及び比較例2で得られたナフィオン膜の場合、電気伝導度は、いずれも0.1S/cm未満であり、クリープ伸びは、300%以上であった。また、ナフィオン膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下では作動せず、出力電圧は、いずれも0Vであった。
【0107】
これに対し、多官能側鎖のみを導入した実施例5の多官能化電解質の場合、クリープ伸びは220%となり、比較例2に比して、耐クリープ性の大幅な向上は認められなかった。しかしながら、電気伝導度は0.152S/cmとなり、比較例2の約2倍に向上した。また、作製した燃料電池は、表2の低加湿・高温条件下においても安定して作動し、0.72Vの出力電圧が得られた。
【0108】
また、多官能側鎖と架橋構造の双方が導入された実施例1〜4の多官能化電解質の場合、電気伝導度は、いずれも0.1S/cm以上となり、比較例1より向上した。また、クリープ伸びは、53〜62%となり、比較例1の約1/5以下であった。これは、多官能側鎖が導入されることに加え、酸性架橋基を介して高分子間が架橋されたことによって、酸基量が増大し、かつ、高温における分子の流動が抑制されたためである。
【0109】
さらに、実施例1〜4で得られた膜を用いた燃料電池は、いずれも、表2の低加湿・高温条件下においても安定して作動し、膜の製造条件に応じて0.48〜0.72Vの出力電圧が得られた。変性剤溶液との反応時間が長くなるほど出力電圧が高くなるのは、反応時間が長くなるほど多官能側鎖の導入量が増えるためと考えられる。また、膜厚が薄くなるほど出力電圧が高くなるのは、膜厚が薄くなるほどカソードにおいて生成した水のアノード側への拡散が容易となり、膜が適正な含水状態に維持されるためと考えられる。
【0110】
図3に、実施例2及び比較例1で得られた電解質膜を用いた燃料電池のセル温度と電流密度0.5A/cmでの出力電圧との関係を示す。図3より、比較例1の場合、セル温度が100℃を超えると出力電圧が急激に低下するのに対し、実施例2の場合、セル温度が100℃を超える低加湿・高温条件下であっても、安定して作動することがわかる。
【0111】
(実施例6)
まず、実施例1と同一の手順に従い、ナフィオン112F膜に含まれるスルホニルフルオライド基のアミド化、及び、アミド化されたナフィオン112F膜と変性剤溶液Aとの反応を行い、膜に多官能側鎖及び架橋構造を導入した。反応後、この膜をテトラヒドロキシフラン200mlに浸漬し、未反応試薬を除去した。
【0112】
次に、得られた膜に対して、再度、実施例1と同一の手順に従い、膜に含まれるスルホニルフルオライド基のアミド化、及び、アミド化された膜と変性剤溶液Aとの反応を行った。本実施例の場合、スルホニルフルオライド基とアンモニアとの反応率及び変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、いずれも100%であった。反応後、この膜を、KOH/ジメチルスルオキシド/水=15/35/50の溶液に80℃で8時間浸漬し、加水分解を行った。さらに、この膜を10%硝酸水溶液で洗浄した後、さらに蒸留水で洗浄し、多官能化電解質膜を得た。
【0113】
得られた多官能化電解質膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.165S/cm、クリープ伸びは49%であった。また、この多官能化電解質膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.69Vの出力電圧が得られた。
【0114】
(実施例7)
PEEK(ポリエーテルエーテルケトン、三井化学(株)製)10gを100mlの濃硫酸に溶かし、室温で100時間反応させた。次いで、得られた反応液を1lの水にあけ、スルホン化されたPEEK(以下、「s−PEEK」という。)を析出させた。さらに、析出物を濾過し、これを水で洗浄した。得られたs−PEEKのスルホン化率は80%であった。
【0115】
次に、s−PEEKの水/エタノール溶液から厚さ50μmのs−PEEK膜を製膜した。次いで、塩化チオニル30g、テトラヒドロフラン300mlの溶液に、この膜(8cm×8cm)を50℃で10時間浸漬し、s−PEEK膜のスルホン酸基をクロロ化した。反応後、膜をテトラヒドロフラン300mlの溶液に浸漬し、未反応の塩化チオニルを除去した。
【0116】
さらに、得られた膜(8cm×8cm、厚さ50μm)について、実施例1と同一条件下で、膜のアミド化処理、変性剤溶液Aとの反応、加水分解及びプロトン化処理を行った。本実施例の場合、スルホニルクロライド基とアンモニアとの反応率及び変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、いずれも100%であった。
【0117】
得られた多官能化電解質膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.165S/cm、クリープ伸びは5%であった。また、この多官能化電解質膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.56Vの出力電圧が得られた。
【0118】
(実施例8)
4,4’−ジアミノ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸と、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物をモル比で1:1になるようにクレゾールに溶解し、80℃で10時間反応させ、ポリイミドを合成した。この溶液をキャストし、厚さ50μmのポリイミド膜Aを製膜した。次に、この膜(8cm×8cm)を、塩化チオニル30g、テトラヒドロフラン300mlの溶液に50℃で10時間浸漬し、ポリイミド膜Aのスルホン酸基をクロロ化した。反応後、膜をテトラヒドロフラン300mlの溶液に浸漬し、未反応の塩化チオニルを除去した。
【0119】
さらに、得られた膜(8cm×8cm、厚さ50μm)について、実施例1と同一条件下で、膜のアミド化処理、変性剤溶液Aとの反応、加水分解及びプロトン化処理を行った。本実施例の場合、スルホニルクロライド基とアンモニアとの反応率及び変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、いずれも100%であった。
【0120】
得られた多官能化電解質膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.170S/cm、クリープ伸びは5%であった。また、この多官能化電解質膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.55Vの出力電圧が得られた。
【0121】
(実施例9)
4,4’−ジアミノ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸と、4,4’−(9−フルオレニリデンジアミン)と、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物とをモル比で0.95:0.05:1になるようにクレゾールに溶解し、80℃で10時間反応させ、ポリイミドを合成した。この溶液をキャストし、厚さ50μmのポリイミド膜Bを製膜した。次に、塩化チオニル30g、テトラヒドロフラン300mlの溶液に、この膜(8cm×8cm)を50℃で10時間浸漬し、ポリイミド膜Bのスルホン酸基をクロロ化した。反応後、膜をテトラヒドロフラン300mlの溶液に浸漬し、未反応の塩化チオニルを除去した。
【0122】
さらに、得られた膜(8cm×8cm、厚さ50μm)について、実施例1と同一条件下で、膜のアミド化処理、変性剤溶液Aとの反応、加水分解及びプロトン化処理を行った。本実施例の場合、スルホニルクロライド基とアンモニアの反応率及び変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、いずれも100%であった。
【0123】
得られた多官能化電解質膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.175S/cm、クリープ伸びは6%であった。また、この多官能化電解質膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.56Vの出力電圧が得られた。
【0124】
(実施例10)
4,4’−ジアミノ−2,2’−ビフェニルジスルホン酸と、4,4’−オキシジアニリンと、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物とをモル比で0.95:0.05:1になるようにクレゾールに溶解し、80℃で10時間反応させ、ポリイミドを合成した。この溶液をキャストし、厚さ50μmのポリイミド膜Cを製膜した。次に、塩化チオニル30g、テトラヒドロフラン300mlの溶液に、この膜(8cm×8cm)を50℃で10時間浸漬し、ポリイミド膜Cのスルホン酸基をクロロ化した。反応後、膜をテトラヒドロフラン300mlの溶液に浸漬し、未反応の塩化チオニルを除去した。
【0125】
さらに、得られた膜(8cm×8cm、厚さ50μm)について、実施例1と同一条件下で、膜のアミド化処理、変性剤溶液Aとの反応、加水分解及びプロトン化処理を行った。本実施例の場合、スルホニルクロライド基とアンモニアとの反応率及び変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、いずれも100%であった。
【0126】
得られた多官能化電解質膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.176S/cm、クリープ伸びは7%であった。また、この多官能化電解質膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.55Vの出力電圧が得られた。
【0127】
(実施例11)
電子線を照射したETFE膜(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体。8cm×8cm、膜厚50μm)を、スチレン588ml、ジビニルベンゼン12ml、キシレン300mlからなる溶液に60℃で5時間浸漬することにより、ポリスチレンがグラフト重合したPS−g−ETFE膜を得た。グラフト率は45%であった。この膜を、クロロスルホン酸20ml、ジクロロエタン500mlからなる溶液に60℃で1時間浸漬し、ポリスチレン部分をスルホン化した。この後、膜をジクロロエタン500mlに浸漬し、未反応試薬を除去した。
【0128】
さらに、得られた膜(8cm×8cm、厚さ50μm)について、実施例1と同一条件下で、膜のアミド化処理、変性剤溶液Aとの反応、加水分解及びプロトン化処理を行った。本実施例の場合、スルホニルクロライド基とアンモニアとの反応率及び変性剤と膜中のスルホンアミド基との反応率は、いずれも100%であった。
【0129】
得られた多官能化電解質膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.190S/cm、クリープ伸びは3%であった。また、この多官能化電解質膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.50Vの出力電圧が得られた。
【0130】
(比較例3)
実施例7で合成したs−PEEK膜(膜厚50μm)について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.105S/cm、クリープ伸びは15%であった。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において作動せず、出力電圧は得られなかった。
【0131】
(比較例4)
実施例8で合成したポリイミド膜A(膜厚50μm)について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.115S/cm、クリープ伸びは10%であった。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において作動せず、出力電圧は得られなかった。
【0132】
(比較例5)
実施例9で合成したポリイミド膜B(膜厚50μm)について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.120S/cm、クリープ伸びは10%であった。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において作動せず、出力電圧は得られなかった。
【0133】
(比較例6)
実施例10で合成したポリイミド膜C(膜厚50μm)について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.121S/cm、クリープ伸びは12%であった。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において作動せず、出力電圧は得られなかった。
【0134】
(比較例7)
実施例11で合成したスルホン化したPS−g−ETFE膜(膜厚50μm)について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。その結果、電気伝導度は0.135S/cm、クリープ伸びは10%であった。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において作動せず、出力電圧は得られなかった。
【0135】
表3に、実施例6〜11及び比較例3〜7で得られた膜のアンモニアとの反応率、変性剤との反応率、電気伝導度、クリープ伸び、出力電圧を示す。
【0136】
【表3】
Figure 0003630306
【0137】
(実施例12)
アンモニアガスによる処理時間を45分とし、スルホニルフロライド基からスルホンアミド基への変換率(アンモニアとの反応率)を72%に変えた以外は、実施例4と同一の手順に従い、多官能化電解質を作製した。
【0138】
(実施例13)
アンモニアガスによる処理時間を30分とし、スルホニルフロライド基からスルホンアミド基への変換率を51%に変えた以外は、実施例4と同一の手順に従い、多官能化電解質を作製した。
【0139】
(実施例14)
アンモニアガスによる処理時間を15分とし、スルホニルフロライド基からスルホンアミド基への変換率を30%に変えた以外は、実施例4と同一の手順に従い、多官能化電解質を作製した。
【0140】
(実施例15)
アンモニアガスによる処理時間を10分とし、スルホニルフロライド基からスルホンアミド基への変換率を20%に変えた以外は、実施例4と同一の手順に従い、多官能化電解質を作製した。
【0141】
(実施例16)
電解質膜として、多孔質PTFEシートにより補強されたパーフルオロ系電解質膜(ゴア社製、膜厚30μm)のフルオロ体を用いた以外は、実施例4と同一の手順に従い、多官能化電解質を作製した。本実施例の場合、アンモニアとの反応率及び変性剤との反応率は、いずれも100%であった。
【0142】
(実施例17)
変性剤としてとして、トリ(3−フルオロスルホニルヘキサフルオロプロピル)アミン(N(CFCFCFSOF))を用いた以外は、実施例4と同一の手順に従い、多官能化電解質を作製した。本実施例の場合、アンモニアとの反応率及び変性剤との反応率は、いずれも100%であった。
【0143】
(比較例8)
電解質膜として、多孔質PTFEシートにより補強されたパーフルオロ系電解質膜(ゴア社製、膜厚30μm)をそのまま実験に用いた。
【0144】
実施例12〜17及び比較例8で得られた膜について、実施例1と同一条件下で電気伝導度、クリープ伸び及び出力特性を測定した。表4に、アンモニアとの反応率、変性剤との反応率、電気伝導度、クリープ伸び及び出力電圧を示す。
【0145】
【表4】
Figure 0003630306
【0146】
実施例12〜15より、ナフィオン111Fとアンモニアガスとを反応させる場合において、アンモニアガスによる処理時間が長くなるほど、電気伝導度が大きくなり、かつクリープ伸びも小さくなることがわかる。これは、アンモニアガスによる処理時間が長くなるほど、膜中のスルホニルフロライド基のスルホンアミド基への変換率が大きくなり、これによって、より多くの多官能側鎖及び架橋基が膜中に導入されるためと考えられる。また、これらの膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、膜の製造条件に応じて、0.42〜0.68Vの出力電圧が得られた。
【0147】
一方、多孔質PTFEシートにより補強されたパーフルオロ系電解質膜(比較例8)の場合、電気伝導率は0.075S/cm、クリープ伸びは25%であった。しかしながら、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において作動せず、出力電圧は得られなかった。
【0148】
これに対し、比較例8の電解質膜に対して多官能側鎖を導入した実施例16の場合、電気伝導率は0.135S/cm、クリープ伸びは20%であり、いずれも比較例8に比して向上した。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.69Vの出力電圧が得られた。
【0149】
さらに、変性剤としてトリ(3−フルオロスルホニルヘキサフルオロプロピル)アミンを用いた実施例17の場合、クリープ伸びは64%であり、実施例4とほぼ同等であったが、電気伝導度は0.165S/cmとなり、実施例4より向上した。これは、3個のスルホニルフルオライド基を有する3官能試薬を変性剤として用いたために、1側鎖当たりの酸基導入量が増大したためと考えられる。また、この膜を用いた燃料電池は、表2に示す低加湿・高温条件下において安定して作動し、0.75Vの出力電圧が得られた。
【0150】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【0151】
例えば、本発明に係る多官能化電解質の製造方法は、相対的に少数の官能基Aを備えた固体高分子化合物と変性剤とを反応させることによって、多官能側鎖を形成し、電解質全体の酸基数を増加させる点に特徴がある。従って、本発明に係る方法を応用すれば、多官能側鎖のみならず、2個又は3個以上の中間酸基のみを有する側鎖を備えた固体高分子電解質も製造することができる。
【0152】
また、上記実施の形態では、多官能側鎖及び架橋構造を備えた多官能化電解質の製造方法として、所定の変性剤を用いる方法について説明したが、架橋構造の導入方法はこれに限定されるものではない。例えば、変性剤を用いて固体高分子化合物に多官能側鎖を導入した後、通常の架橋剤(例えば、UV効果型のアミン系架橋剤)と反応させ、これによって架橋構造を導入しても良い。
【0153】
さらに、本発明に係る多官能化電解質は、燃料電池やSPE装置等、過酷な条件下で使用される電気化学デバイスに用いられる電解質として特に好適であるが、本発明の用途は、燃料電池あるいはSPE電解装置に限定されるものではなく、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、水素及び/又は酸素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種の電気化学デバイスに用いられる電解質としても用いることができる。
【0154】
【発明の効果】
本発明に係る多官能化電解質は、側鎖を有する固体高分子化合物と、側鎖の末端にある1又は2以上の末端酸基と、末端酸基がある側鎖と同一の側鎖内にある1又は2以上の中間酸基及び/又は変性酸基とを備えているので、高強度かつ高電気伝導度を示すという効果がある。
【0155】
また、固体高分子化合物がフッ素系化合物、特に全フッ素系化合物である場合には、多官能化電解質の耐熱性、耐酸化性が向上することに加え、中間酸基が強酸基として機能するので、多官能化電解質の電気伝導度がさらに向上するという効果がある。
【0156】
また、固体高分子化合物が芳香族炭化水素系化合物、特に全芳香族炭化水素系化合物である場合には、多官能側鎖の導入が容易となり、高電気伝導性を示す多官能化電解質が得られるという効果がある。
【0157】
また、固体高分子化合物間を架橋する架橋基をさらに備えている場合には、高温における分子の流動が抑制され、多官能化電解質の耐熱性が向上するという効果がある。特に、固体高分子化合物間が酸性架橋基を介して架橋されている場合には、架橋点が酸基として機能し、耐熱性、強度及び電気伝導性に優れた多官能化電解質が得られるという効果がある。
【0158】
以上のように本発明に係る多官能化電解質は、電気伝導性に優れているので、これを各種の電気化学デバイスに用いた場合には、高性能を発揮する。また、高電気伝導性に加えて、耐熱性及び強度に優れているので、これを例えば車載動力源用燃料電池やSPE電解装置等に用いた場合には、過酷な条件下であっても安定して作動し、高出力、高効率が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多官能化電解質の概念図である。
【図2】多官能側鎖に導入される酸基量と伝導パスの太さの関係を説明する概念図である。
【図3】本発明に係る多官能化電解質及び従来の固体高分子電解質を用いた燃料電池のセル温度と出力電圧の関係を示す図である。
【符号の説明】
20 多官能化電解質
22、24 側鎖(多官能側鎖)

Claims (17)

  1. 側鎖を有する固体高分子化合物と、
    前記側鎖の末端にある1又は2以上の末端酸基と、
    該末端酸基がある側鎖と同一の側鎖内にある1又は2以上の中間酸基及び/又は変性酸基とを備えた多官能化電解質。
  2. 前記中間酸基は、ビススルホニルイミド基、スルホニルカルボニルイミド基又はビスカルボニルイミド基の内のいずれか1種又は2種以上である請求項1に記載の多官能化電解質。
  3. 前記末端酸基は、スルホン酸基、カルボン酸基又はホスホン酸基の内のいずれか1種又は2種以上である請求項1に記載の多官能化電解質。
  4. 前記固体高分子化合物は、フッ素系化合物である請求項1に記載の多官能化電解質。
  5. 前記フッ素系化合物は、パーフルオロ系化合物である請求項4に記載の多官能化電解質。
  6. 前記固体高分子化合物は、炭化水素系化合物である請求項1に記載の多官能化電解質。
  7. 前記炭化水素系化合物は、芳香族炭化水素系化合物である請求項6に記載の多官能化電解質。
  8. 前記炭化水素系化合物は、全芳香族炭化水素系化合物である請求項6に記載の多官能化電解質。
  9. 前記固体高分子化合物間を架橋する架橋基をさらに備えている請求項1に記載の多官能化電解質。
  10. 前記架橋基は、酸性架橋基である請求項9に記載の多官能化電解質。
  11. 前記酸性架橋基は、ビススルホニルイミド基、スルホニルカルボニルイミド基又はビスカルボニルイミド基の内のいずれか1種又は2種以上である請求項10に記載の多官能化電解質。
  12. 電気伝導度が0.05S/cm以上である請求項1から11までのいずれかに記載の多官能化電解質。
  13. 160℃において0.8MPaの応力を4分間かけたときに生ずるクリープ伸びが、150%以下である請求項1から12までのいずれかに記載の多官能化電解質。
  14. 官能基Aを有する前記固体高分子化合物に対して、前記官能基Aと反応して第1の中間酸基となり得る1又は2以上の官能基B及び前記末端酸基又は第2の中間酸基となり得る1又は2以上の官能基Cを備えた第1変性剤を導入し、前記官能基Aの20%〜100%を前記官能基Bと反応させることにより得られる請求項1から13までのいずれかに記載の多官能化電解質。
  15. 請求項1から14までのいずれかに記載の多官能化電解質を用いた電気化学デバイス。
  16. 請求項1から14までのいずれかに記載の多官能化電解質を用いた固体高分子型燃料電池。
  17. 官能基Aを有する固体高分子化合物に対して、前記官能基Aと反応して第1の中間酸基となり得る1又は2以上の官能基B及び末端酸基又は第2の中間酸基となりうる1又は2以上の官能基Cを備えた第1変性剤を導入し、前記官能基Aと前記官能基Bとを反応させる工程を備えた多官能化電解質の製造方法。
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