JP6007647B2 - イオン性ポリマーおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン性ポリマーおよびその製造方法に関する。
イオン交換膜、固体高分子形燃料電池用電解質膜等に含まれる電解質材料としては、例えば、1つのペンダント基にスルホン酸基(−SOH基)、スルホンイミド基(−SON(H)−基)等のイオン交換基を複数有するイオン性ポリマーが知られている。該イオン性ポリマーは、1つのペンダント基にイオン交換基を1つ有するイオン性ポリマーに比べて、イオン交換容量を高くしても水による膨潤が小さく、寸法安定性が良好である。
1つのペンダント基に複数のイオン交換基を有するイオン性ポリマーの製造方法としては、例えば、下記方法(1)〜(4)が挙げられる。
方法(1):1つのペンダント基に複数のイオン交換基を有するモノマーを合成し、該モノマーを、テトラフルオロエチレン(TFE)等と重合する方法(例えば、非特許文献1)。
方法(2):下記工程(X1)〜(X3)を有する方法(特許文献1)。
(X1)−SOF基を有するポリマーの前記−SOF基を−SONH基に変換する工程。
(X2)前記−SONH基を有するポリマーにFSO(CFSOFを反応させ、前記−SONH基同士を架橋しつつ、前記−SONH基の一部を−SONHSO(CFSOF基に変換する工程。
(X3)前記−SONHSO(CFSOF基を−SONHSO(CFSOH基に変換する工程。
方法(3):下記工程(Y1)〜(Y3)を有する方法(特許文献1)。
(Y1)−SOF基を有するポリマーの前記−SOF基を−SONH基に変換する工程。
(Y2)前記−SONH基を有するポリマーにFSO(CFIを反応させ、前記−SONH基を−SONHSO(CFI基に変換する工程。
(Y3)前記−SONHSO(CFI基を−SONHSO(CFSOH基に変換する工程。
方法(4):下記工程(Z1)および(Z2)を有する方法(非特許文献2)。
(Z1)前記−SONH基を有するポリマーに、過剰のFSO(CFSOFに例示されるFSO基を少なくとも2個有する化合物を反応させ、前記−SONH基を−SONHSO(CFSOF基に変換する工程。
(Z2)前記−SONHSO(CFSOF基を−SONHSO(CFSOH基に変換する工程。
特開2002−324559号公報
Proceedings Electrochem. Soc., 94,-23 (1994) p265 U.S. Department of Energy Hydrogen Program 2010 Annual Merit Review & Peer Evaluation 講演No.FC034
しかし、方法(1)は、前記ペンダント基を有するモノマーの沸点が高く、蒸留によるモノマーの精製が難しい。また、該モノマーは水溶性であり、含フッ素溶剤に溶解し難いため、含フッ素溶剤での溶液重合が難しく、重合方法が限定される。さらに、得られたポリマーの不安定末端をフッ素ガスにより安定末端にしようとすると、イオン交換基がフッ素と反応してしまうため、イオン交換基を維持することが難しく、充分な耐久性が得られ難い。
方法(2)で得られるポリマーは、実質的に架橋を有するため、溶剤への溶解性に劣る。そのため、該ポリマーの溶液化が難しく、キャスト法等のコーティング法を使用することによる電解質膜の薄膜化が困難である。
方法(3)および(4)で得られるポリマーは、架橋を有さない。しかし、方法(3)で使用するFSO(CFIは合成が困難である。また、工程(Y3)において、末端を−SOH基に変換する必要があるが、その反応は煩雑で分子量の大きなヨウ素化合物を大量に副生してしまうなど実用的とは言えない反応である。方法(4)では、FSO(CFSOFは両側のSOF基が反応する可能性があるので、ポリマーが有する−SONH基に対する架橋を防ぐためには、一般的には過剰量のFSO(CFSOFを添加する必要がある。また、非特許文献2では、FSO(CFSOFを使用することで実質的に架橋が抑制できていると記載されている。しかし、どの程度の過剰量で反応させているかは記載されていない。特許文献1の実施例1では同化合物による架橋が行われていることから、架橋を抑制しつつ反応させるには該化合物を過剰に加える必要があり、経済性が劣る。
また、方法(2)および(4)で使用するFSO(CFSOFは、例えば、I(CFIの末端をSOF基に変換することで合成される。I(CFIは、ICFIにTFEを付加する方法で合成される(J.Org.Chem 69(7)2394(2004)等。)が、該方法ではI(CFI、I(CFI等が副生し、精製が困難である。特に、不純物としてFSO(CFSOFが含まれると、後述するように、該FSO(CFSOFは両端の官能基の反応性が等しいためにゲル化が生じやすくなる、さらにポリマーの含水率が過度に高くなる等の問題がある。
また、FSO(CFSOFは、FSO(CHSOFを電解フッ素化する方法でも合成できる。しかし、FSO(CHSOFの合成は多数の工程を要するし、かつ収率も高いとは言えず実用的とは言い難い。また、電解フッ素化の収率も低く、充分にフッ素化されていない不純物が残存し、精製が非常に困難である。このため、得られた材料を例えば燃料電池用電解質材料に使用した場合、耐久性が充分に発揮されない可能性がある。
本発明は、簡便な手法で、架橋反応を抑制しつつ、ポリマーが有する−SOF基を、イオン交換基を複数有するペンダント基に変換でき、イオン交換容量が高く、かつ含水率が低いイオン性ポリマーが得られるイオン性ポリマーの製造方法、および該製造方法により得られるイオン性ポリマーの提供を目的とする。
本発明のイオン性ポリマーの製造方法は、下記工程(A)〜(C)を有する方法である。
(A)下式(1)で表される基を有する繰り返し単位を有するポリマーの前記式(1)で表される基を、下式(2)で表される基に変換する工程。
(B)前記工程(A)で得られたポリマーと下式(3)で表される化合物とを、前記式(2)で表される基に対する、前記式(3)で表される化合物のモル比が0.5〜20となるように反応させ、前記ポリマーの前記式(2)で表される基を下式(4)で表される基に変換する工程。
(C)前記工程(B)で得られた前記ポリマーの前記式(4)で表される基を下式(5)で表される基に変換する工程。
−SOF ・・・(1)
−SONZ ・・・(2)
FSO(CFSOF ・・・(3)
−SO(M)SO(CFSOF ・・・(4)
−SO(M)SO(CFSO(M)(SO ・・・(5)
(ただし、ZおよびZはそれぞれ独立に水素原子、1価の金属元素、および−Si(R)からなる群から選ばれる基である。Rは水素原子、またはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の有機基であり、3つのRは互いに同じ基でもよく、異なる基でもよい。Mは水素イオン、1価の金属カチオン、または有機アミン由来の1価のカチオンである。Xは酸素原子または窒素原子である。mは、Xが酸素原子のときは0、Xが窒素原子であるときは1である。Rは、1個以上のエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)
また、前記式(1)で表される基を有するポリマーが、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子に置換されたペルフルオロポリマーであることが好ましい。
また、本発明のイオン性ポリマーは、前記式(5)におけるXが窒素原子であり、mが1である基を有する繰り返し単位を有するイオン性ポリマーである。
本発明のイオン性ポリマーの製造方法によれば、ポリマーが有する−SOF基を、イオン交換基を複数有するペンダント基に、架橋反応を抑制しつつ簡便な手法で変換でき、イオン交換容量が高く、かつ含水率が低いイオン性ポリマーが得られる。
また、本発明のイオン性ポリマーは、高いイオン交換容量と低い含水率を両立できる。
本実施例のイオン性ポリマーからなるフィルムの抵抗を測定した結果を示したグラフである。 本実施例のイオン性ポリマーからなるフィルムの抵抗を測定した結果を示したグラフである。
本明細書中では、式(1)で表される基を基(1)と示し、他の基についても同様に示す。また、式(3)で表される化合物を化合物(3)と示す。
本発明のイオン性ポリマーの製造方法は、下記工程(A)〜(C)を有する。
(A)下記基(1)を有する繰り返し単位を有するポリマー(以下、「ポリマー(i)」という。)の基(1)を、下記基(2)に変換する工程。
(B)前記工程(A)で得られたポリマーと下記化合物(3)で表される化合物を反応させ、前記ポリマー(i)の基(2)を下記基(4)に変換する工程。
(C)前記工程(B)で得られた前記ポリマーの基(4)を下記基(5)に変換する工程。
−SOF ・・・(1)
−SONZ ・・・(2)
FSO(CFSOF ・・・(3)
−SO(M)SO(CFSOF ・・・(4)
−SO(M)SO(CFSO(M)(SO ・・・(5)
(ただし、ZおよびZはそれぞれ独立に水素原子、1価の金属元素、および−Si(R)からなる群から選ばれる基である。Rは水素原子、またはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の有機基であり、3つのRは互いに同じ基でもよく、異なる基でもよい。Mは水素イオン、1価の金属カチオン、または有機アミン由来の1価のカチオンである。Xは酸素原子または窒素原子である。mは、Xが酸素原子のときは0、Xが窒素原子であるときは1である。Rは、1個以上のエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)
工程(A):
ポリマー(i)の側鎖の基(1)を基(2)に変換し、基(2)を有するポリマー(以下、「ポリマー(ii)」という。)を得る。
およびZの1価の金属元素としては、例えば、アルカリ金属が挙げられる。なかでも、入手の容易さ、経済性の観点ではナトリウムおよび/またはカリウム、溶媒への膨潤性・溶解性を必要とする場合はリチウムが好ましい。
およびZの−Si(R)としては、例えば、−Si(CH等が挙げられる。
基(1)を基(2)に変換する方法は、基(2)の種類によって、下記の方法(α)および(β)が挙げられる。
方法(α):基(2)のZおよびZが水素原子、すなわち基(2)が−SONH基である場合。
方法(β):基(2)のZおよびZの少なくとも一方が、1価の金属元素および−Si(R)からなる群から選ばれる基である場合。
以下、方法(α)および(β)のそれぞれについて詳細に説明する。
(方法(α))
ポリマー(i)にアンモニアを接触させ、側鎖の基(1)を−SONH基に変換する。ポリマー(i)にアンモニアを接触させる方法としては、例えば、ポリマー(i)にアンモニアを直接接触させる方法、ポリマー(i)を溶解したポリマー溶液にアンモニアを吹き込んでバブリングする方法、ポリマー(i)を溶媒に膨潤させた状態でアンモニアと接触させる方法等が挙げられる。
アンモニアを接触させる際の温度は、−80℃〜50℃が好ましく、−30℃〜30℃がより好ましい。
(方法(β))
方法(β)としては、例えば、下記の方法(β1)および方法(β2)が挙げられる。
方法(β1):基(1)を有するポリマー(i)にNHZ1121(Z11およびZ21はそれぞれ独立に、水素原子、1価の金属元素および−Si(R)からなる群から選ばれる基であり、少なくとも一方が1価の金属元素または−Si(R)である。)を接触させ、基(1)を−SONZ1121基に変換する。
方法(β2):基(1)を有するポリマー(i)にアンモニアを接触させ、基(1)を−SONH基に変換した後、さらに1価の金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、水素化物等を反応させる方法や、さらに(R)SiNHSi(R)を反応させる方法等により−SONZ1121基に変換する。ただし、−SONH基を−SONZ1121基に変換する方法は、前記方法に限られるものではない。
方法(β1)においてポリマー(i)にNHZ1121を接触させる方法としては、例えば、ポリマー(i)にNHZ1121を直接接触させる方法、ポリマー(i)を溶解したポリマー溶液にNHZ1121を接触させる方法、ポリマー(i)を溶媒に膨潤させた状態でNHZ1121と接触させる方法等が挙げられる。
方法(β2)においてポリマー(i)にアンモニアを接触させる方法としては、方法(α)で挙げた方法と同じ方法が挙げられる。
工程(A)では、ポリマー(i)との反応性の点から、基(1)を−SONH基に変換することが好ましい。その方法としては、反応性の観点から、アンモニアを接触させる方法が好ましい。
また、工程(A)で使用するポリマー(i)は、フッ素ガス等を使用して、予めポリマー末端の不安定基をフッ素化して安定基に変換しておくことが好ましい。これにより、得られるイオン性ポリマーの耐久性が向上する。
ポリマー(i)としては、−SOF基を有するポリマーであれば特に限定されない。ポリマー(i)は、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子に置換されたペルフルオロポリマーであってもよく、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフルオロポリマーであってもよく、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換されていないポリマーであってもよい。また、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子のうち、フッ素原子に置換されていないものが、フッ素原子以外の置換基(塩素原子等。)に置換されたポリマーであってもよい。なかでも、ポリマー(i)は、例えば本発明の材料を燃料電池等のOHラジカルに対する高い耐久性が要求されるような用途に使用する場合においては、特に化学的な安定性の観点から、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子に置換されたペルフルオロポリマーが好ましい。
また、ポリマー(i)としては、より高いイオン交換容量が得られる点から、下記基(11)を有する繰り返し単位を有するポリマーが好ましい。該ポリマーを使用すれば、下記基(21)を有する繰り返し単位を有するポリマー(ii)が得られる。
−(OCFCFROCF(CFRSOF ・・・(11)
−(OCFCFROCF(CFRSONZ ・・・(21)
(ただし、RおよびRは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、または1個以上のエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。aは、0、1、または2であり、bは、0〜6の整数である。Z、Zは前記のとおりである。)
は、フッ素原子または−CF基が好ましい。
は、フッ素原子または−CF基が好ましい。
aは、0〜2が好ましい。
bは、1〜5が好ましい。
基(11)の具体例としては、例えば、以下に示す基が挙げられる。
−O−(CFSOF、
−OCFCF(CF)O(CFSOF等。
基(11)を有する繰り返し単位を有するポリマー(i)は、基(11)を有するモノマーを重合することで得られる。基(11)を有するモノマーとしては、例えば、以下に示すモノマーが挙げられる。
CF=CF−O−(CFSOF、
CF=CF−OCFCF(CF)O(CFSOF等。
これらの中でも、得られたイオン性ポリマーの含水率を低減するためには側鎖の短いモノマーが好ましく、また、側鎖が有するエーテル性酸素原子が少ないモノマーが好ましい。これらの観点では、CF=CF−O−(CFSOFが好ましい。
また、ポリマー(i)としては、−CF−O−(CFSOFを有する繰り返し単位を有するポリマーも好ましく、エーテル性酸素原子が主鎖に直結しているモノマーよりも、立体障害の高い−CF−基が主鎖に直結している方が硬いポリマー(i)が得られやすく、また特開昭58−96630号公報に記載されているように短い工程で収率良く合成でき、工業的に低コストとなる観点では、CF=CF−CF−O−(CFSOFが特に好ましい。
ポリマー(i)は、基(11)を有するモノマーのみを重合したポリマーであってもよく、基(11)を有するモノマーと、他のモノマーを共重合したポリマーであってもよいが、イオン性ポリマーの機械強度がより高くなり、含水率がより低減され、また高い寸法安定性が得られやすく、さらにイオン交換容量が高くなりすぎることを抑制しやすいことから、基(11)を有するモノマーと、他のモノマーを共重合したポリマーが好ましい。
他のモノマーとしては、炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子に置換されたペルフルオロモノマーであってもよく、炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子に置換されたフルオロモノマーであってもよく、炭素原子に結合した水素原子がフッ素原子に置換されていないモノマーであってもよい。なかでも、他のモノマーは、耐久性・化学的安定性の点から、ペルフルオロモノマーが好ましい。
他のモノマーとしては、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、ビニルエーテル類(CF=CF−O−C、CF=CF−O−CF−CF(CF)−O−C、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等。)等が挙げられる。また、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,−メチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,−エチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2,2−ジエチル−1,3−ジオキソール)、パーフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、パーフルオロ(2−メチレン−4−エチル−1,3−ジオキソラン)、パーフルオロ(2−メチレン−4−ブチル−1,3−ジオキソラン)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソールなどの環状モノマーや、パーフルオロ(3−ブテニルビニルエーテル)、パーフルオロ[(1−メチル−3−ブテニル)ビニルエーテル]、パーフルオロ(アリルビニルエーテル)、1,1’−[(ジフルオロメチレン)ビス(オキシ)]ビス[1,2,2−トリフルオロエテン]等の環化重合性モノマーを使用してもよい。
なかでも、得られるポリマーの耐久性等の点から、パーフルオロモノマーが好ましく、共重合性の点からは特にTFEを使用するのが好ましい。
ポリマー(i)における基(11)を有する繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対して、2〜50mol%が好ましく、5〜30mol%がより好ましく、10〜25mol%が特に好ましい。前記割合が下限値以上であれば、高いイオン交換容量を有するイオン性ポリマーが得られやすい。前記割合が上限値以下であれば、イオン性ポリマーの機械強度がより高くなり、含水率がより低減され、高い寸法安定性が得られやすい。
また、ポリマー(i)中の基(1)の含有量は、0.5〜5mmol/gが好ましく、0.8〜3mmol/gがより好ましく、1.0〜2.0mmol/gが特に好ましい。前記基(1)の含有量が下限値以上であれば、高いイオン交換容量を有するイオン性ポリマーが得られやすい。前記基(1)の含有量が上限値以下であれば、含水率が低減されやすく、高い寸法安定性が得られやすい。
ポリマー(i)の重合方法は、公知の重合方法を採用できる。
工程(B):
ポリマー(ii)に化合物(3)を反応させ、基(2)を基(4)に変換したポリマー(以下、「ポリマー(iii)」という。)を得る。基(2)が基(21)である場合、下記基(41)を有する繰り返し単位を有するポリマー(iii)が得られる。
−(OCFCFROCF(CFRSO(M)SO(CFSOF ・・・(41)
(ただし、R、R、a、b、Z、およびZは前記のとおりである。)
基(4)のMが1価の金属カチオンの場合、該金属カチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。基(4)のMが有機アミン由来の1価のカチオンの場合、該カチオンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4-Diazabicyclo[2.2.2]octane)等の3級アミン化合物等が挙げられる。
化合物(3)は、公知の方法で合成できる。例えば、テトラフルオロエチレンとヨウ素の付加体である、ICFCFIを出発物質とし、公知の方法でNaSOCFCFSONaに変換後、ClSOCFCFSOClとし、最後にFSOCFCFSOFに変換する方法(b1)、TFEと無水硫酸を反応させることでテトラフルオロエタンサルトンとし、これを開環後、加水分解することでFSOCFCOOHとし、さらにコルベ電解によりカップリングして合成する方法(b2)(例えば国際公開第2006/106960号に記載)等が挙げられる。上記2つの方法はいずれもパーフルオロ化合物を使用するため、電解フッ素化等で合成する方法と異なり、C−F結合に比べて耐久性に劣るC−H結合を含む不純物が入らないため好ましい。中でも方法(b2)は、工程数が少なく、工業的に安価に合成できるためより好ましい。
化合物(3)の純度としては、ガスクロマトグラフィーによる測定において、98%以上が好ましく、99%以上がより好ましく、99.5%以上がさらに好ましい。また、化合物(3)のプロトンNMRによる測定においては、重溶媒に含まれる溶媒由来のC−H結合以外のC−H結合のピークが非検出であることが好ましい。
化合物(3)は、方法(b2)で合成した場合、純度が高くなりやすい。例えばFSO(CFSOFや化合物(3)を、その前駆体であるFSO(CHSOFまたはFSO(CHSOFを電解フッ素化する方法で合成した場合、完全にフッ素化されないC−H結合が残った不純物が含有されることがある(例えば、Jorunal of Fluorine Chemistry 35(1987)P329参照)。該不純物を含む材料を例えば燃料電池用電解質材料に使用した場合、耐久性が充分に発揮されない可能性がある。該不純物は精製が難しく、精製によって純粋なパーフルオロ化合物を得ることも難しい。
工程(B)では、非プロトン性極性溶媒中でポリマー(ii)を膨潤もしくは溶解し、化合物(3)と反応させることが好ましい。
非プロトン性極性溶媒とは、容易にプロトンを与えることのない溶媒である。非プロトン性極性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルフォルムアミド(DMF)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γブチロラクトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、CHO(CHCHO)CH(ただし、cは1〜4の整数である。)等が挙げられる。中でもポリマーに対する親和性等の観点から、DMAc、DMF、DMI、NMP、アセトニトリルが好ましく、DMF、DMAc、アセトニトリルがより好ましい。
工程(B)における、前記非プロトン性溶媒とポリマー(ii)の質量比は、1:99〜99:1が好ましく、1:50〜50:1がより好ましく、1:5〜20:1がさらに好ましく、1:2〜10:1が特に好ましい。前記非プロトン性溶媒に対するポリマー(ii)の質量比が下限値以上であれば、必要以上の溶媒を使用することがなく、反応の進行がより効率良く進行する。前記非プロトン性溶媒に対するポリマー(ii)の質量比が上限値以下であれば、架橋反応等の副反応を抑制し、反応を均一に進行させることが容易になり、適正な反応速度が得られやすい。
化合物(3)の使用量は、ポリマー(ii)が有する基(2)に対するモル比で、0.5〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1.1〜5が特に好ましい。前記モル比が下限値以上であれば、適正な反応速度が得られ、前記基(2)の基(4)への反応率を充分に高くしやすく、高いイオン交換容量を有するイオン性ポリマーが得られやすい。前記モル比が上限値以下であれば、過剰な量の化合物(3)を使用せずに済むのでコスト面で有利である。
工程(B)において、ポリマー(ii)に化合物(3)を反応させる場合には反応促進剤を用いることも好ましい。このような反応促進剤としては、3級有機アミンが好ましい。
3級有機アミンとしては、例えば、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(1,4-Diazabicyclo[2.2.2]octane)等の3級アミン化合物等が挙げられる。
反応促進剤の使用量は、基(2)に対して、1〜20が好ましく、2〜5がより好ましい。反応促進剤の使用量が下限値以上であれば、高いイオン交換容量を有するイオン性ポリマーが得られやすい。反応促進剤の使用量が上限値以下であれば、過剰な試薬を効率良く除去・精製することができる。
工程(B)では、化合物(3)の加水分解等の副反応を抑制する観点から、非プロトン性極性溶媒および反応促進剤は脱水処理を施したものを使用することが好ましい。脱水処理としては、特に限定されず、例えば、モレキュラーシーブスを使用する方法が挙げられる。
工程(B)では、化合物(3)の加水分解を抑制するために湿分を混入させないことが好ましく、窒素雰囲気下でポリマー(ii)と化合物(3)を反応させることが好ましい。
工程(B)におけるポリマー(ii)と化合物(3)の反応の反応温度は、0〜150℃が好ましく、20〜80℃がより好ましい。前記反応温度が下限値以上であれば、反応効率が向上する。前記反応温度が上限値以下であれば、架橋反応や分解反応等の好ましくない副反応を抑制しやすい。
また、ポリマー(ii)の基(2)を−SONHM(ここで、MはLi、Na、K、Cs等の1価の金属)とすることにより、基(4)のMが1価の金属カチオンのポリマー(iii)が得られる。また、基(2)を−SONHとし、反応促進剤として前記第3級アミンを使用する等の方法により、基(4)のMが有機アミン由来の1価のカチオンのポリマー(iii)が得られる。
工程(C):
工程(B)で得られたポリマー(iii)の基(4)を基(5)に変換し、イオン性ポリマーを得る。基(4)が基(41)である場合、下記基(51)を有する繰り返し単位を有するイオン性ポリマーが得られる。
−(OCFCFROCF(CFRSO(M)SO(CFSO(M)(SO ・・・(51)
(ただし、R、R、a、b、m、Z、Z、X、M、Rは、前記のとおりである。)
基(5)のRは、炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基がより好ましい。
基(51)としては、例えば、以下に示す基が挙げられる。
−O−(CFSO(M)SO(CFSO(M)(SO
−OCFCF(CF)O(CFSO(M)SO(CFSO(M)(SO等。
基(4)を基(5)に変換する方法としては、基(5)の末端の種類によって、下記方法(γ1)および(γ2)が挙げられる。
方法(γ1):基(5)の末端が−SO−O基の場合。
方法(γ2):基(5)の末端が−SO−N(SO)基の場合。
(方法(γ1))
ポリマー(iii)の基(4)の末端−SOF基を、−SO−O基に変換する方法としては、例えば、水、または水とアルコール類(メタノール、エタノール等。)若しくは極性溶媒(ジメチルスルホキシド等。)の混合液を溶媒とするNaOH、KOH等の塩基性溶液を用いて加水分解する方法が挙げられる。これにより、基(4)の末端−SOF基が、−SONa基、−SOK基等に変換される。また、その後、塩酸、硝酸、硫酸等の酸の水溶液で処理することで、−SONa基、−SOK基等を酸型化し、−SOH基(スルホン酸基)に変換できる。
加水分解および酸型化処理の温度は、特に限定されるものではないが、10〜100℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。
(方法(γ2))
ポリマー(iii)の基(4)の末端−SOF基を、−SO−N(SO)基に変換する方法としては、米国特許5463005号明細書、Inorg.Chem.32(23)5007頁(1993年)に記載の方法等の公知の方法が使用できる。すなわち、ポリマー(iii)中の−SOF基をスルホンアミド等と反応させ、塩基由来の塩型のスルホンイミド基に変換でき、その後にさらに塩酸や硫酸等の水溶液で酸型化することで酸型のスルホンイミド基に変換できる。また、ポリマー(iii)を、アンモニアと接触させて−SOF基をスルホンアミド基に変換した後、アルカリ金属フッ化物や有機アミン等の塩基性化合物の存在下にトリフルオロメタンスルホニルフルオライド、ペンタフルオロエタンスルホニルフルオライド、ノナフルオロブタンスルホニルフルオライド、ウンデカフルオロシクロヘキサンスルホニルフルオライド等の−SOF基を有する化合物と接触させることで変換できる。
以上説明した本発明の製造方法によれば、工程(B)で化合物(3)を使用することにより、化合物(3)を大過剰に使用しなくても、架橋反応が起こることを抑制でき、簡便な手法で基(5)を有するイオン性ポリマーを製造できる。そのため、キャスト法等のコーティング法を使用することによる電解質膜の薄膜化が容易である。これは、化合物(3)は、FSO(CFSOFやFSO(CFSOFと異なり、一方の−SOF基が反応すると、他方の−SOF基の反応性が低下し、架橋反応が進行し難いためである。また、化合物(3)により形成したペンダント基(基(5))は、FSO(CFSOFやFSO(CFSOFにより形成したペンダント基よりも含水率が低い。そのため、本発明の製造方法により得られるイオン性ポリマーは、高いイオン交換容量と、低い含水率を両立できる。
さらに、化合物(3)は、合成の際に化合物(3)のC−F結合がC−H結合となった不純物が少ないため、高純度のものを得ることが容易である。そのため、優れた耐久性を有するイオン性ポリマーが得られることが期待できる。また、工程(A)〜(C)の前に、ポリマー(i)の不安定末端を、フッ素ガス等を使用して予めペルフルオロ末端の安定末端に変換できるので、より耐久性が優れたイオン性ポリマーが得られることが期待できる。
本発明の製造方法で得られるイオン性ポリマーは、高いイオン交換容量が得られやすいことから、ポリマー(i)が有する基(1)の50モル%以上が基(5)に変換されていることが好ましく、基(1)の80モル%以上が基(5)に変換されていることがより好ましく、基(1)の100モル%が基(5)に変換されていることが特に好ましい。
本発明の製造方法で得られるイオン性ポリマーは、例えば、燃料電池用の固体高分子電解質膜として使用できる。
固体高分子電解質膜は、例えば、工程(B)で得られたポリマー(iii)を溶媒に溶解した溶液を使用したキャスト法で製膜する、ポリマー(iii)を溶融押出しする、ポリマー(iii)を加熱プレスする等の製膜方法でフィルム化した後に、工程(C)を行うことで得られる。また、ポリマー(i)を前記製膜方法でフィルム化した後に、工程(A)〜(C)を行うことでも得てもよい。また、工程(A)〜(C)を行うことで得られたイオン性ポリマーを前記製膜方法で成膜してもよい。
また、固体高分子電解質膜には、本発明のイオン性ポリマーに、ポリテトラフルオロエチレン多孔体、ポリテトラフルオロエチレン繊維(フィブリル)等を配合して補強してもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜3、6、9は実施例であり、例4、5、7、8、10は比較例である。
[例1]
TFEと、下式(m1)で表されるモノマーを重合することで得られた、−SOF基が1.1mmol/g含まれているポリマーを、フッ素ガスと接触させてフッ素化し、安定化させたポリマー(以下、「ポリマー1」という。)を得た。
CF=CF−OCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(m1)
工程(A):
得られたポリマー1の10gを、CF(CFHの500gとともに撹拌機付き耐圧容器に入れ、140℃に加熱撹拌して溶液を調製した。この溶液を、撹拌機およびドライアイスコンデンサーを取り付けた1Lフラスコに仕込み、20〜25℃の室温下、フラスコをドライアイスで冷却しながら、アンモニアが常に還流し、かつ内温が−30℃以下にならないようにバブリングを10時間継続したところ、溶液が白濁し、白色の固体が析出した。ドライアイス冷却を中止し、20〜25℃の室温下、16時間撹拌を継続した後、この溶液を濾過し、得られた固体を3規定塩酸にて6回洗浄し、さらに超純水にて5回洗浄した後、乾燥し、白色固体9.8gを得た。
得られた白色固体を赤外分光分析法により分析したところ、1467cm−1付近のポリマー1が有するSOF基由来のピークが消失し、−1388cm−1付近のSONH基由来のピークが生成していることを確認した(以下、「ポリマー2」という。)。
工程(B):
次に、ポリマー2の1gと、モレキュラーシーブス4Aを使用して脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)の20gを、冷却コンデンサー付きフラスコに投入して溶解した後、窒素シール下に、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)の1.02g、ついでFSO(CFSOF(BSTFE)の2.34gを仕込み、80℃、48時間の条件で加熱撹拌した。BSTFEと、ポリマー2が有する−SONH基とのモル比は8:1とした。
得られた溶液は均一な溶液でゲル化は認められなかった。
反応前の溶液(DMAcにポリマー2を溶解した溶液)および得られた反応溶液に、ヘキサフルオロベンゼンを標準液(−162.5ppm)として微量添加し19F−NMRを測定したところ、反応前の溶液では−116.2ppm付近に観測されたCF−SONH由来のピークが消失し、−104.0ppm、−115.3ppm付近、−110.6ppm付近に−CF−SOSOCF−CF−SOFに由来するピークの生成が確認された。この反応液をガラスシャーレ上にキャストし、80℃で一晩、次いで80℃で2時間減圧乾燥し、最後に180℃で30分間乾燥し、250μm前後の膜厚の膜を得た。
工程(C):
次に、得られた膜をメタノール性KOH水溶液(KOH濃度15質量%)中に80℃で一晩浸漬した後、洗浄水のpHが7になるまで水洗し、さらに3規定塩酸水にて4回洗浄し、10質量%過酸化水素水(80℃)に一晩浸漬し、再度3規定塩酸水にて洗浄して膜中に残留しているカリウムを取り除いた。その後、洗浄水のpHが7になるまで水洗した。
得られた膜のIR分析をしたところ、該膜は、ポリマー1の−SOF基が消失し、−SONHSO(CFSOH基に変換されたポリマーからなる膜であった。
[例2、3]
BSTFEと、ポリマー2が有する−SONH基とのモル比を4:1(例2)、2:1(例3)に変更した以外は、例1と同様にして、工程(A)および工程(B)を行った。得られた反応液は、ゲル化が認められず、均一な溶液であった。さらに、例1と同様にして工程(C)を行って膜を得た。
得られた膜のIR分析をしたところ、いずれの例についても、該膜は、ポリマー1の−SOF基が、−SONHSO(CFSOH基に変換されたポリマーからなる膜であった。
[例4]
BSTFEの2.34gの代わりに、FSO(CFSOF(BSOFB)の3.22gを使用した以外は、例1と同様して工程(A)〜(C)を行い、膜を得た。工程(B)における、BSOFBと、ポリマー2が有する−SONH基とのモル比は8:1とした。
得られた膜のIR分析をしたところ、該膜は、ポリマー1の−SOF基が−SONHSO(CFSOH基に変換されたポリマーからなる膜であった。
[例5]
BSTFEの代わりにBSOFBを使用し、BSOFBと、ポリマー2が有する−SONH基とのモル比を2:1とした以外は、例1と同様にして工程(A)と、工程(B)の加熱撹拌までを実施した。得られた反応液には若干のゲル分が認められ、例3における工程(B)後の溶液よりも粘度が高かった。その後、得られた溶液を水に投入し、凝集した固体を集め、再度DMAcに約5質量%濃度で溶解しようとしたところ、不溶な成分が認められ、その後の工程が行えなかった。
[含水率の測定]
膜を80℃で2時間以上乾燥し、80℃の温水に16時間浸漬した後、水が25℃以下になるまで冷却してから膜を取り出し、膜表面に付着した水を濾紙でふき取り、膜の質量を測定した(質量W1)。次いで、この膜を80℃で5時間以上乾燥し、さらに窒素雰囲気のデシケータにて一晩乾燥した後、そのままデシケータ内で質量を測定し(質量W2)、(W1−W2)/W2を含水率(%)とした。
工程(B)で使用した変性剤(化合物(3)等)の種類およびその比率、ならびに例1〜4で得られた膜の含水率を測定した結果を表1に示す。なお、表1における略号を以下の意味を示す。
BSTFE:FSO(CFSOF。
BSOFB:FSO(CFSOF。
Figure 0006007647
表1に示すように、BSTFEを使用して得た例1〜3の膜は、BSOFBを使用して得た例4の膜に比べて含水率が低かった。これは、例1〜3の膜では、ポリマーの側鎖(ペンダント基)の運動半径を小さく抑えることができるためであると考えられる。
[例6]
TFEと下式(m2)のモノマーを重合することで得られた、−SOF基が1.0mmol/g含まれているポリマーを、フッ素ガスと反応させてフッ素化し、安定化させたポリマー(以下、「ポリマー3」という。)を、工程(A)においてポリマー1の代わりに使用し、それにより得られたポリマー(以下、「ポリマー4」という。)を、工程(B)においてポリマー2の代わりに使用し、ポリマー4が有する−SONH基とのモル比を4:1に変更した以外は、例1と同様にして、ポリマーの−SOF基が−SONHSO(CFSOH基に変換されたポリマーからなる膜を得た。
CF=CF−OCFCF(CF)O(CFSOF ・・・(m2)
得られた膜の80℃での伝導度を測定した結果を図1に示す。
[例7]
前記ポリマー1を、成型温度240℃で押し出し成型した、厚み50μmのフィルム(以下、「フィルム1」という。)を得た。得られたフィルム1を、ジメチルスルホキシド/水酸化カリウム/水=30/15/65(質量比)の溶液(80℃)に一晩浸漬し、水洗した後、3規定塩酸水にて4回洗浄し、10質量%過酸化水素水(80℃)に一晩浸漬し、再度3規定塩酸水にて洗浄し、フィルム中に残留しているカリウム分を取り除き、最後に洗浄液のpHが7になるまで超純水で洗浄、乾燥してイオン性ポリマー(末端基が−SOH基)からなるフィルムを得た。
得られたフィルムの80℃での伝導度を測定した結果を図1に示す。
[例8]
前記ポリマー1の代わりに、前記ポリマー3を使用した以外は、例7と同様にしてイオン性ポリマー(末端基が−SOH基)からなるフィルムを得た。
得られたフィルムの80℃での伝導度を測定した結果を図1に示す。
[抵抗測定]
ポリマーの伝導度は、下記方法により求めた。
ポリマーからなる5mm幅のフィルムまたは膜に、5mm間隔で4端子電極が配置された基板を密着させ、公知の4端子法により、温度80℃、相対湿度30〜95%の恒温恒湿条件下にて、10kHz、1Vの交流電圧でフィルムまたは膜の抵抗を測定し、該結果から伝導度を算出した。
図1に示すように、BSTFEを使用して得た例2、6の膜は、ペンダント基を有さない例7、8のフィルムに比べて、イオン交換容量が高かった。
[例9]
TFEと下式(m3)のモノマーを重合することで得られた、−SOF基が1.1mmol/g含まれているポリマーを、フッ素ガスと反応させてフッ素化し、安定化させたポリマー(以下、「ポリマー5」という。)を得た。工程(A)においてポリマー1の代わりにポリマー5を使用し、それにより得られたポリマー(以下、「ポリマー6」という。)を、工程(B)においてポリマー2の代わりに使用し、ポリマー6が有する−SONH基とのモル比を4:1に変更した以外は、例1と同様にして、ポリマーの−SOF基が−SONHSO(CFSOH基に変換されたポリマーからなる膜を得た。
CF=CF−CFO(CFSOF ・・・(m3)
得られた膜の含水率を測定したところ、含水率は130%であった。また得られた膜の伝導度を測定した結果を図2に示す。
[例10]
前記ポリマー1の代わりに、前記ポリマー5を使用した以外は、例7と同様にしてイオン性ポリマー(末端基が−SOH基)からなるフィルムを得た。
得られたフィルムの80℃での伝導度を測定した結果を図2に示す。
図2に示すように、BSTFEを使用して得た例9の膜は、ペンダント基を有さない例10のフィルムに比べて、イオン交換容量が高かった。

Claims (3)

  1. 下記工程(A)〜(C)を有するイオン性ポリマーの製造方法。
    (A)下式(1)で表される基を有する繰り返し単位を有するポリマーの前記式(1)で表される基を、下式(2)で表される基に変換する工程。
    (B)前記工程(A)で得られたポリマーと下式(3)で表される化合物とを、前記式(2)で表される基に対する、前記式(3)で表される化合物のモル比が0.5〜20となるように反応させ、前記ポリマーの前記式(2)で表される基を下式(4)で表される基に変換する工程。
    (C)前記工程(B)で得られた前記ポリマーの前記式(4)で表される基を下式(5)で表される基に変換する工程。
    −SOF ・・・(1)
    −SONZ ・・・(2)
    FSO(CFSOF ・・・(3)
    −SO(M)SO(CFSOF ・・・(4)
    −SO(M)SO(CFSO(M)(SO ・・・(5)
    (ただし、ZおよびZはそれぞれ独立に水素原子、1価の金属元素、および−Si(R)からなる群から選ばれる基である。Rは水素原子、またはエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜12の1価の有機基であり、3つのRは互いに同じ基でもよく、異なる基でもよい。Mは水素イオン、1価の金属カチオン、または有機アミン由来の1価のカチオンである。Xは酸素原子または窒素原子である。mは、Xが酸素原子のときは0、Xが窒素原子であるときは1である。Rは、1個以上のエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)
  2. 前記式(1)で表される基を有するポリマーが、主鎖および側鎖の炭素原子に結合した水素原子が全てフッ素原子に置換されたペルフルオロポリマーである、請求項1に記載のイオン性ポリマーの製造方法。
  3. 下式(5)で表される基を有する繰り返し単位を有するイオン性ポリマー。
    −SO(M)SO(CFSO (M)(SO ・・・(5
    (ただし、Mは水素イオン、1価の金属カチオン、または有機アミン由来の1価のカチオンである。R は、1個以上のエーテル性酸素原子を有してもよい炭素数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)
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