JP3628780B2 - 粉体の嵩密度増大装置および嵩密度増大方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、粉体の嵩密度を増大させるための装置および粉体の嵩密度を増大させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粉体は、その粒子の持つ凝集力により凝集体を形成するが、凝集体の内部には空気層が存在し、凝集体としての密度は見掛け上粒子単位の真密度より小さい値を示す。そのため粉体はその取扱に際し飛散、付着またはそれに起因する作業環境の悪化の問題があり、特に嵩密度が小さい粉体の場合には環境の悪化は著しく、またポリマーとの混合工程においても粉体が混ざり難くなる場合もあり、結果として生産性を著しく低下させるという問題があった。
これらを解決する方法として粉体の嵩密度を増加させて飛散を小さくしたり、混合に要する時間を短くする方法があり、嵩密度を増加させる方法としては回分式と連続式がある。
回文式には真空容器内で粉体の空気を抜く方法、機械的に粉体に圧縮力を加えてその嵩密度を増す方法がある。連続式は、回分式の生産性の低さを改善するためのものであり、連続式機械的圧縮法、二つのロール間を粉体が落下する際にロール周面の焼結金網部分で減圧吸引して表面に付着した粉体の脱気を行うロール式嵩密度増大方法、一軸押出機のシリンダーが2重管の構造であり、内筒壁が焼結金網であり、外筒側が真空室となっており、内筒壁に付着して脱気されて嵩密度の増大した粉体をスクリューにより排出するというスクリュー押出式密度増大方法が知られている(特開平6−166082)。
また、側壁に多孔板を具備し、中央部に回転軸を縦設したホッパー内に投入された粉体を該多孔板を介して減圧吸引し、該多孔板に付着した嵩密度の増大した粉体を該回転軸の上部に取付けた攪拌棒によりホッパー下端に連設した移送筒内に払落して、該回転軸下部のオーガースクリューにより排出するという方法も知られている(特開昭54−143353)。
しかし、連続式であっても、機械的圧縮法は凝集力の低い粉体には効果的でなく、ロール式嵩密度増大方法は、ロール間隙を小さくすると嵩密度増大効果が大きくなるが生産性が低下し、ロール間隙を大きくすると生産性が大きくなるが嵩密度増大効果が小さくなるという欠点があり、スクリュー押出式嵩密度増大方法は粉体供給口の面積が小さいので嵩密度の小さい粉体については生産性が小さく、摩耗性の大きな粉体によりシリンダー内壁やスクリュー表面が摩耗されやすいという欠点があり、特開昭54−143353号公報に開示された方法には多孔板がホッパーの側壁にあるので嵩密度の増大した粉体に嵩密度の増大していない粉体が混ざり込む率が大きいという欠点がある。
しかし、連続法ではいずれの方法も起動時や停止時に粉体の嵩密度のバラツキが生じるという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決すること、すなわち、嵩密度増大効果が大きく、摩耗性の大きい粉体であっても装置内壁が摩耗されにくく、嵩密度の増大した粉体に嵩密度の増大しない粉体が混ざり込む率が低く、装置の起動時や停止時に粉体の嵩密度のバラツキが生じないという、粉体の嵩密度増大装置および粉体の嵩密度増大方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段とその作用】
この目的は、ホッパー下端に、貫通微小孔を有する天板を具備し、減圧可能な中空箱体が連設されており、該中空箱体の一部に上下に貫通する粉体排出口が設けられており、動力源に連結した回転軸が該中空箱体の中心部を貫通して該ホッパー内に突出しており、該回転軸の突出部に固設されたスクレーパーが該天板上を近接して施回可能なように配設されていることを特徴とする、粉体の嵩密度増大装置および上記装置のホッパー内に粉体を投入し、中空箱体の中穴室を減圧して貫通微小孔を有する天板上に吸引して粉体の嵩密度を増大させ、嵩密度の増大した粉体を回転するスクレーパーでかき取って粉体排出口から排出することを特徴とする、粉体の嵩密度増大方法により達成される。
【0005】
本発明の粉体の嵩密度増大装置は、ホッパー、ホッパー下端に連接された、貫通微小孔を有する天板を具備し減圧可能であり、その一部に上下に貫通する粉体排出口を設けた中空箱体、動力源に連結しており、該中空箱体の中心部を貫通して該ホッパー内に突出した回転軸、該回転軸の突出部に固設されており、天板上を近接して回転可能なように配設されたスクレーパーから成っている。
本発明の粉体の嵩密度増大装置は、該中空箱体下面にロータ式粉体搬送部が連接されていてもよい。
ロータ式粉体搬送部は、該中空箱体の下面に連接された筒形カバー、該回転軸に固設され該筒形カバーの内周面に近接して旋回するロータ部、該ロータの下方向に密接して存在し該枠体に固設された固定板とからなり、該ロータ部は3個以上の上下方向に連通した粉体収納室を有し、該固定板は該粉体収納室の嵩密度の増大した粉体を外部に排出するための粉体排出口を有する。ロータ式粉体搬送部があると、嵩密度の増大した粉体を一定量づつ間歇的に外部へ排出することができ、嵩密度の増大した粉体をミキサーへ連続的に投入する時に有利である。
本発明において嵩密度増大の対象となる粉体は特には制限されず、嵩密度が0.03〜0.2kg/lの範囲にあることが好ましく、小麦粉、そば粉、カタクリ粉のような凝集性の食品粉末、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、沈降法シリカ、コロイド状酸化マグネシウム粉末、ヒュームド二酸化チタン粉末、コロイド状炭酸カルシウム粉末のような比表面積の大きな、凝集性の充填剤粉末が例示される。これらの中でも、カーボンブラック、ヒュームドシリカ、沈降法シリカのような粒径が1μmよりはるかに小さな粉体は空気を多量に含んでいて嵩張っているので、脱気して嵩密度を増大させるのに好適である。
【0006】
【実施例】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の粉体の嵩密度増大装置1を構成するホッパー2は、嵩密度増大の対象とする粉体を収容するためのものであり、その形状は横断面が円形のものが好ましく、倒立円錐台形であってもよい。ホッパーには、粉体供給口付き蓋をかぶせておくことが好ましい。
貫通微小孔を有する天板3を具備し減圧可能な中空箱体4は、ホッパー2に収納された粉体を、貫通微小孔を有する天板3を介して吸引して、粉体中の空気を除去して嵩密度を増大させるためのものである。天板3の貫通微小孔は孔径が0.5〜500μmであることが好ましく、対象とする粉体の粒径に応じて適宜選択すればよい。粒子径の大きな粉体用には貫通微小孔の孔径も大きくし、粒子径の小さな粉体用には貫通微小孔の孔径も小さくすればよい。
天板3は平板であり、円形板であることが好ましい。天板3は貫通微小孔を多数有する必要があり、焼結金網製、焼結セラミック製、焼結プラスチック製が例示される。
減圧可能な中空箱体4は内部を減圧にするので、スチール、ステンレススチール、アルミニウム、ジェラルミンのような金属製であることが好ましく、減圧に耐えるだけの厚みを持つことが必要である。中空箱体4は中空室5を持ち、排気管7を介して真空ポンプのような真空源に連通している。中空室5は、粉体を脱気して嵩密度を増大させるために大気圧(760mm Hg )からの減圧度−10〜−760mmHgに減圧できることが好ましい。
中空箱体4には、その一部に上下に貫通する粉体排出口6が設けられている。貫通微小孔を有する天板3に付着した嵩密度の増大した粉体は旋回するスクレーパーによりかき取られて、粉体排出口6を通って外部へ排出される。
粉体排出口6は小さすぎると粉体排出能が低下し、大きすぎると嵩密度の増大していない粉体の混入率が大きくなるので、天板面積の2〜20%であることが好ましい。
動力源に連結しており、中空箱体4の中心部を貫通してホッパー2内へ突出した回転軸9は、その突出部へスクレーパー10を固設するためのものである。
スクレーパー10は、回転軸9と共に旋回して、貫通微小孔を有する天板3に付着した嵩密度の増大した粉体をかき取り、粉体排出口6へ送りこむ作用をする。スクレーパー10は、天板3に近接して旋回する必要がある。スクレーパー下端と天板の隙間は0.5〜5mmであることが好ましい。
【0007】
また、スクレーパー10の両先端部はホッパー2の内周壁に近接して旋回する。スクレーパー10は、回転軸の軸芯とその先端部の真中あたりで逆時計回り方向に約30度折れ曲がっているので、粉体を逆時計回り方向に移動させやすい。ロータ式粉体搬送部11は、中空箱体4の下面に連接しており、筒状カバー16と該カバー内に収納されたロータ部と該ロータ部の下方向にきわめて近接して存在する固定板17とからなる。
ロータ部は、その中心部13が前記回転軸9に固設されており、中空箱体4の下面に近接して旋回可能である。ロータ部は、その中心部13から周壁板方向に延出した2枚以上、好ましくは4板以上の仕切り板14と周壁板15により囲まれた粉体収納室12を3個以上、好ましくは4個以上、より好ましくは6〜10個有するが、この粉体収納室には天板も底板も有せず、上下方向に開口している。ロータ部の下側には固定板17がロータ部下面にきわめて近接して配設されており、固定板17の周端部は筒状カバー16の内周壁に固設されている。固定板17の周縁領域の一部には粉体排出口18が設けられている。この粉体排出口18は中空箱体4の粉体排出口6と連通しない位置にあることが好ましい。
固定板17の粉体排出口18がミキサーに連通していると、粉体が充填剤であるときは、嵩密度の増大した状態で生ゴムや、液状樹脂や、溶融樹脂に定量的に配合することができるので、混合が迅速かつ容易になる。
中空箱体4の粉体排出口6から落下して粉体収納室12に収納された嵩密度の増大した粉体はロータ部が旋回して固定板16の粉体排出口18上に来ると落下して外部へ排出される。
空になった粉体収納室12が中空箱体4の粉体排出口6の下に来ると嵩密度の増大した粉体が落下してきて粉体収納室12に収納される。粉体収納室12に収納された嵩密度の増大した粉体は、前と同様にロータ部が旋回して固定板16の粉体排出口18上に来ると落下して外部に排出される。粉体収納室は3個以上あるので、嵩密度の増大した粉体は一定量づつ間歇的に外部へ排出される。粉体収納室が6〜10個あると、該粉体を一定量づつ間歇的にミキサー等に供給できるので、きわめて有用である。
【0008】
図1〜図3に示される本発明の実施例の粉体の嵩密度増大装置において、天板3として孔径が40μmの焼結金網を用い、ホッパー2に粉体としての嵩密度0.08kg/lの湿式シリカを投入し、中空箱体4の大気圧(760mm Hg )からの減圧度を−300mmHgとして運行したときの起動時、連続運転時および停止時の外部へ排出された湿式シリカ嵩密度の変化を調査した。
また、比較のためロール式嵩密度増大装置および一軸押出式嵩密度増大装置を用いて上記と同じ粉体を用い、上記同様の減圧度で嵩密度増大試験をおこない、その結果を表1に示した。なお、表中の数値は嵩密度を示し、単位はkg/lである。
【表1】
【0009】
【発明の効果】
本発明の粉体の嵩密度増大装置および嵩密度増大方法は、嵩密度増大効果が大きく、摩耗性の大きい粉体であっても装置内壁が摩耗されにくく、嵩密度の増大した粉体に嵩密度の増大しない粉体が混ざり込む率が低く、そのため装置の起動時や停止時に粉体の嵩密度のバラツキが生じないという、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の粉体の嵩密度増大装置の縦断図面である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図3は図1のB−B線断面図である。
【符号の説明】
1...粉体の嵩密度増大装置
2...ホッパー
3...天板
4...中空箱体
5...中空室
6...粉体排出口
7...排気管
8...真空ポンプ
9...回転軸
10...スクレーパー
11...ロータ式粉体搬送部
12...粉体収納室
13...ロータ中心部
14...仕切板
15...周壁板
16...筒状カバー
17...固定板
18...粉体排出口
Claims (8)
- ホッパー下端に、貫通微小孔を有する天板を具備し減圧可能な中空箱体が連設されており、該中空箱体は中空室を有し、該中空箱体の一部に上下方向に貫通する粉体排出口が設けられており、動力源に連結した回転軸が該中空箱体の中心部を貫通して該ホッパー内に突出しており、該回転軸の突出部に固設されたスクレーパーが該天板上を近接して旋回可能なように配設されていることを特徴とする、粉体の嵩密度増大装置。
- 天板の貫通微小孔の内径が0.5〜500μmであり、中空室の大気圧からの減圧度が−10〜−760mmHgであることを特徴とする請求項1記載の粉体の嵩密度増大装置。
- 天板が焼結金網製であることを特徴とする、請求項1記載の粉体の嵩密度増大装置。
- 請求項1記載の粉体の嵩密度増大装置のホッパー内に粉体を投入し、中空箱体の中空室を減圧して該粉体を貫通微小孔を有する天板上に吸引して嵩密度を増大させ、嵩密度の増大した粉体を旋回するスクレーパーでかき取って粉体排出口から排出することを特徴とする、粉体の嵩密度増大方法。
- 該中空箱体下面にロータ式粉体搬送部が連設されていることを特徴とする、請求項1記載の粉体の嵩密度増大装置。
- ロータ式粉体搬送部が、該中空箱体の下端に固設された筒形カバー、該回転軸に固設され該筒形カバーの内周面に近接して旋回するロータ部、該ロータ部の下方向に密接して存在し、該カバーに固設された固定板とからなり、該ロータ部は3個以上の上下方向に開口した粉体収納室を有し、該固定板には該粉体収納室内の嵩密度の増大した粉体を排出するための粉体排出口を有することを特徴とする、請求項5記載の粉体の嵩密度増大装置。
- 請求項5記載の粉体の嵩密度増大装置のホッパー内に粉体を投入し、中空箱体の中空室を減圧して該粉体を貫通微小孔を有する天板上に吸引して嵩密度を増大させ、嵩密度の増大した粉体を、旋回するスクレーパーでかき取って粉体排出口からロータ式粉体搬送部を通して外部へ排出することを特徴とする、粉体の嵩密度増大方法。
- 請求項6記載の粉体の嵩密度増大装置のホッパー内に粉体を投入し、中空箱体の中空室を減圧して該粉体を貫通微小孔を有する天板上に吸引して嵩密度を増大させ、嵩密度の増大した粉体を旋回するスクレーパーでかき取って粉体排出口からロータ式粉体搬送部のロータ部の3個以上の粉体収納室に排出し、該ロータ部を旋回させて粉体収縮室内の嵩密度の増大した粉体を固定板の粉体排出口より間歇的に外部へ排出することを特徴とする、粉体の嵩密度増大方法。
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