JP4199487B2 - ペースト材料の連続脱泡装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ペースト材料の連続脱泡装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、広い範囲で様々なペースト材料が使用されている。例えば、電池の電極は、集電体に活物質を含有するペースト材料を塗布して製造される。このようなペースト材料は、その製造工程中において気泡が巻き込まれている。このため、この気泡を含んだ状態でペースト材料を集電体に塗布した場合には、電極の活物質層にピンホールやひび割れが発生し、電極の性能が損なわれてしまう。
【0003】
このような問題を解決するために、従来より真空ポンプで減圧した容器中において、ペースト材料を攪拌ハネで攪拌しながら脱泡したり、或いは遠心真空脱泡等が行われていた。このようなペースト材料の脱泡技術が特開平11−213990号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のペースト材料の脱泡方法においては、バッチ処理によりペースト材料の脱泡処理が行われており、バッチ処理のロット間でのペースト材料の水分量のばらつきが大きくなって、ペースト材料を集電体に塗布して電極を構成する場合に、電極の品質のばらつきが大きい等の問題があった。
【0005】
また、バッチ処理となるので各ペースト材料のロット毎に在庫時間が異なるので、これによってもペースト材料への含有水分量のばらつきが大きくなるという問題もあった。
【0006】
更に、バッチ処理のため脱泡工程、塗布工程等への材料の移動時にペースト材料に異物が混入する可能性も大きかった。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、連続工程によりペースト材料の脱泡処理を行うことができるペースト材料の連続脱泡装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ペースト材料の連続脱泡装置であって、容器と、前記容器内を減圧する減圧手段と、前記容器の内壁を構成するスクリーンと、前記容器内に設けられ、前記スクリーンにペースト材料を押しつけつつかき取るかき取り手段と、前記容器に脱泡前のペースト材料を供給する供給手段と、前記スクリーンの細孔から前記かき取り手段によって押し出された脱泡後のペースト材料を連続的に排出する排出手段と、を備え、排出手段は、容器に接続され、脱泡後のペースト材料を排出する排出管と、排出管に設けられるバルブと、排出管に接続され、脱泡後のペースト材料を貯める完成品タンクと、を有し、該ペースト材料を貯めた完成品タンク内は、減圧されることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、減圧容器内で、かき取り手段によりペースト材料をスクリーンに押しつけることにより、スクリーンの細孔から押し出された脱泡後のペースト材料を連続的に排出することができるので、ペースト材料の連続的かつ確実な脱泡処理を行うことができる。さらに、排出されたペースト材料を減圧された完成体タンクに貯めることで、ここでも連続してより細かい気泡を脱泡することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0011】
図1には、本発明に係るペースト材料の連続脱泡装置を使用したペースト材料の製造工程の説明図が示される。図1において、予備タンク100に原材料を投入し、攪拌機102によって投入した原材料を攪拌し、荒混練が行われる。予備タンク100に投入される原材料は、例えば電池電極用のペースト材料を製造する場合には、直径2〜3mm程度の活性炭と直径1mm程度のカーボンブラックと粉体のセルロース系増粘材(MC,CMC)と水である。
【0012】
上記荒混練された原材料は、モーノポンプ104により混練機106に供給される。この混練機106では、回転軸によって回転されるリング108により原材料が混練機106の内壁と擦られることによって粉砕、混練される。これにより、原材料は直径4〜5μm程度まで粉砕され、ペースト材料となる。この混練機106にはモーノポンプ104から連続的に荒混練された原材料が供給され、混練機106によって粉砕されたペースト材料が混練機106の上部よりクーラー110、バルブV1を介して中間タンク112に供給される。中間タンク112に供給されたペースト材料には、脱泡前であるので大量の気泡が含まれている。
【0013】
中間タンク112からは、脱泡前のペースト材料がバルブV2を介して本発明に係るペースト材料の連続脱泡装置を構成する容器10に供給される。容器10の内部には、多数の細孔が形成されたスクリーン12が設けられており、このスクリーン12により容器10の内壁が構成されている。また、容器内には、本発明に係るかき取り手段に相当するスクレーパ14が設けられている。このスクレーパ14は、モータ(M)により回転され、容器10に供給されたペースト材料をスクリーン12に押しつけつつかき取る機能を有する。
【0014】
また、容器10には、本発明の減圧手段に相当する真空ポンプ16がバルブV4を介して接続されており、これにより容器10内が減圧される。
【0015】
更に、容器10には、容器10から排出される脱泡後のペースト材料を受け取るための完成品タンク18がバルブV3、排出管30を介して接続されている。
【0016】
中間タンク112から容器10に脱泡前のペースト材料を供給する場合には、バルブV2、V3、V4を開とし、バルブV5を閉として、真空ポンプ16により容器10および完成品タンク18内を減圧状態としながらペースト材料の供給が行われる。この場合、中間タンク112から容器10に供給されるペースト材料の供給量は、例えば容器10または中間タンク112にレベル監視装置114を設けておき、これにより中間タンク112から所定量のペースト材料を供給する構成としてもよい。また、中間タンク112から容器10へのペースト材料の供給量は、他の計量装置を使用することもできる。これにより、中間タンク112から容器10に所定量のペースト材料を供給することが可能となる。この中間タンク112、バルブV2、レベル監視装置114により、本発明に係る供給手段が構成される。
【0017】
図2には、図1に示されたスクリーン12、スクレーパ14の部分断面図が示される。図2において、容器10に供給されたペースト材料20には、気泡22が含まれている。このようなペースト材料20は、スクレーパ14によりスクリーン12に押しつけられつつかき取られる。このかき取り動作中にペースト材料20がスクリーン12に形成された細孔24から押し出される。この際に、ペースト材料20に含まれる気泡22のうち、直径が100μm〜1mm程度の大きな気泡がつぶされる。また、この際には、上述したとおり、容器10内が真空ポンプ16により減圧されており、この場合の圧力は6650〜13300Pa(50〜100トール)程度とされているので、ペースト材料20に含まれる気泡22の径を常圧時よりも大きくでき、スクリーン12とスクレーパ14とにより気泡22をつぶしやすくする事が出来る。
【0018】
また、スクレーパ14によってかき取り動作を行うことにより、高粘度でかつチクソ性のあるペースト材料を常に流動化することができ、過大な剪断力がスクレーパ14にかかることを回避することができる。
【0019】
なお、上記スクリーン12の細孔24は、その径が20〜400μm程度とするのが好適である。径が20μmより小さくなるとペースト材料20が詰まりやすくなり、400μmより大きくなると、気泡をつぶす効果が小さくなってしまう。スクレーパ14の回転速度は、ペースト材料の脱泡処理量やペースト材料の粘度により決定されるが、5rpm〜300rpmの範囲とするのが好適である。
【0020】
以上のようにして、スクレーパ14によりスクリーン12の細孔24から押し出されたペースト材料20は、バックアッププレート26の開口部28から連続的に排出される。
【0021】
開口部28から排出された脱泡後のペースト材料は、容器10に接続された排出管30とバルブV3を介して完成品タンク18に貯められていく。この場合の排出管30、バルブV3、完成品タンク18が本発明に係る排出手段に相当する。この場合、容器10のみならず排出管30、完成品タンク18も真空ポンプ16により6650〜13300Pa(50〜100トール)程度に減圧されているので、容器10から排出されたペースト材料中に含まれる直径100μm以下の小さな気泡も脱泡することができる。
【0022】
以上のように、本実施形態にかかる脱泡装置では、容器10から完成品タンク18に連続的にペースト材料が排出されてくるので、バッチ処理の場合に比べて水分量のばらつきを低く抑えることができる。また、予備タンク100から完成品タンク18までを閉回路とする事が出来るので、異物の浸入を回避できる。
【0023】
図3には、所定のシリンダに脱泡後のペースト材料を入れ、シリンダ内を減圧していった場合に、シリンダ内のペースト材料の粉面の高さが3%上昇する圧力が示される。この圧力が高いほど含有される気泡が多いことになる。図3において、横軸には、中間タンク112の内容物(A)、真空ポンプ16による減圧を行わない場合の容器10からの排出製品(B)、真空ポンプ16による減圧を行った場合の容器10からの排出製品(C)がそれぞれ示される。また縦軸は、シリンダの減圧圧力が示される。なお、縦軸に示される40×102Paは、30℃における飽和空気圧である。図3に示されるように、容器10内のペースト材料を真空ポンプ16で減圧しつつスクレーパ14でかき落とす処理を行うことにより、ペースト材料を極めて良く脱泡することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、真空ポンプで減圧にしつつスクレーパによりペースト材料をスクリーンに押しつけ、スクリーンに形成された細孔を通過させることによりペースト材料中に含まれる気泡をつぶすことができると共に、微細な気泡は真空ポンプにより除去することができる。これにより、連続的に、かつ高い効率でペースト材料の脱泡処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るペースト材料の連続脱泡装置を使用したペースト材料の生産工程を示す図である。
【図2】 図1に示されたスクリーン及びスクレーパの部分断面図である。
【図3】 本発明に係る連続脱泡装置の脱泡効果を示す図である。
【符号の説明】
10 容器、12 スクリーン、14 スクレーパ、16 真空ポンプ、18完成品タンク、20 ペースト材料、22 気泡、24 細孔、26 バックアッププレート、28 開口部、100 予備タンク、102 攪拌機、104モーノポンプ、106 混練機、108 リング、110 クーラー、112中間タンク、114 レベル監視装置。
Claims (1)
- 容器と、
前記容器内を減圧する減圧手段と、
前記容器の内壁を構成するスクリーンと、
前記容器内に設けられ、前記スクリーンにペースト材料を押しつけつつかき取るかき取り手段と、
前記容器に脱泡前のペースト材料を供給する供給手段と、
前記スクリーンの細孔から前記かき取り手段によって押し出された脱泡後のペースト材料を連続的に排出する排出手段と、
を備え、
排出手段は、
容器に接続され、脱泡後のペースト材料を排出する排出管と、
排出管に設けられるバルブと、
排出管に接続され、脱泡後のペースト材料を貯める完成品タンクと、
を有し、該ペースト材料を貯めた完成品タンク内は、減圧されることを特徴とするペースト材料の連続脱泡装置。
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