JP4796807B2 - 半導体ウェハの研磨方法 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載のものは、バッファタンクに、未使用スラリー供給ユニットから供給される新規なスラリーと、再生ユニットから供給される濾過後の再生スラリーが供給される。そして、バッファタンクに貯留された研磨スラリーは、各研磨部に接続され各々独立に制御可能なポンプによって、各研磨部に供給される。
また、再利用する研磨スラリー(以下、再利用スラリーと称す)には、図15のグラフに示すような粒度分布で、研磨中に加えられる高い圧力により1次粒子が凝集したシリカの凝集体(以下、凝集シリカと称す)と、研磨スラリーが乾燥して形成されるシリカの結晶体(以下、乾燥シリカと称す)と、が存在することが確認された。そして、凝集シリカおよび乾燥シリカは、Si/O組成比および弾性率がそれぞれ異なることが確認された。
具体的には、凝集シリカは、Si/O組成比が40wt%〜50wt%/50wt%〜60wt%、弾性率が1.4×1010Pa未満であり、乾燥シリカは、Si/O組成比が50wt%〜60wt%/40wt%〜50wt%、弾性率が1.4×1010Pa以上であることが確認された。
また、仕上げ研磨工程直前の粗研磨工程で利用する再利用スラリーを濾過すると、濾過により捕捉可能な固形分のサイズが小さい場合、多数の凝集シリカおよび乾燥シリカが除去されるため研磨レートが下がり、捕捉可能な固形分のサイズが大きい場合、大きい乾燥シリカが除去されないため微小欠陥が多くなる。
本発明は、このような知見に基づいて案出されたものである。
このことにより、仕上げ研磨工程直前の粗研磨工程で用いる研磨スラリーにおける乾燥シリカの含有量、すなわち凝集シリカよりも硬い成分の含有量を調整するので、凝集シリカおよび乾燥シリカの含有量を調整する構成と比べて、研磨レートを上げることが可能となるとともに粗研磨工程で発生する微小欠陥数の低減が可能となる。
また、含有量を調整する粒径の下限値を一般的な仕上げ研磨工程時における取り代の最大値である1μmとしているので、下限値を1μmよりも大きくする構成と比べて、粗研磨工程において発生する微小欠陥の高さを1μm以下にすることが容易となり、効率的な仕上げ研磨が可能となる。
さらに、調整する含有量の上限値を3000個/ml以下としているので、図16に示すように、粗研磨工程において発生する微小欠陥数を所定数以下に抑制可能となる。
よって、半導体ウェハを良好に研磨可能となる。
このような発明によれば、スラリー調整工程に、所定サイズの固形分を捕捉可能な第1フィルタにより研磨スラリー原液を濾過する原液濾過工程と、この原液濾過工程にて濾過された研磨スラリー原液を添加剤と調合するスラリー生成工程と、第1フィルタよりも小さいサイズの固形分を捕捉可能な第2フィルタにより研磨スラリーを濾過する調合液濾過工程と、を備えているため、スラリー調整工程に第1フィルタおよび第2フィルタを設けるだけの簡単な構成で、半導体ウェハを良好に研磨可能な上述したような状態に研磨スラリーを調整可能となる。
また、研磨スラリー原液の貯蔵中に乾燥シリカが生成されたとしても、原液濾過工程で所定サイズ以上の乾燥シリカが除去されるため、スラリー生成工程において生成される研磨スラリー原液に含まれる乾燥シリカの数を減らすことが可能となるとともに、除去しきれない乾燥シリカの大きさを最小限に抑えることが可能となる。よって、原液濾過工程を設けない構成と比べて、調合液濾過工程で捕捉する乾燥シリカの数を減らすことが可能となり、調合液濾過工程での第2フィルタの目詰まりが抑制され、研磨スラリーを効率的に調整可能となる。
このような発明によれば、第1フィルタとしてシリカの1次粒子の50倍以上のサイズを有する固形分の捕捉効率が99.99%以上のものを適用し、第2フィルタとして1次粒子の10倍以上のサイズを有する固形分の捕捉効率が99.99%以上のものを適用しているため、他の捕捉する能力を有する構成を適用する構成と比べて、研磨スラリーをより効率的に調整可能となる。
このような発明によれば、スラリー調整工程に、研磨スラリー原液を遠心分離する遠心分離工程を備えているので、乾燥シリカおよび凝集シリカの密度差を利用してこれらを遠心分離することにより、半導体ウェハを良好に研磨可能な上述したような状態に研磨スラリーを調整可能となる。また、利用済みの研磨スラリーを仕上げ研磨工程直前の粗研磨工程で再利用することが可能となり、研磨スラリー原液の使用量を減らすことが可能となる。
このような発明によれば、遠心分離の遠心力の下限値を5000Gとしているので、微小欠陥数を低減可能な状態に乾燥シリカを遠心分離して除去することが可能となる。また、遠心力の上限値を10000Gとしているので、凝集シリカが遠心分離されて除去される数を最小限に抑えることが可能となり、研磨レートを下げることなく研磨可能となる。
このような発明によれば、スラリー調整工程に、研磨スラリー原液に含まれるシリカをビーズミルで粉砕する粉砕工程を備えているので、研磨スラリー原液に存在する乾燥シリカを粉砕することにより、半導体ウェハを良好に研磨可能な上述したような状態に研磨スラリーを調整可能となる。また、粉砕対象に与える単位質量あたりのエネルギー(以下、粉砕エネルギーと称す)が最も小さいビーズミルを用いているので、ビーズミル以外の粉砕手段を用いる構成と比べて、粉砕エネルギーにより生成される凝集シリカの硬度が低くなり、より良好に研磨可能となる。そして、利用済みの研磨スラリーを仕上げ研磨工程直前の粗研磨工程で再利用することが可能となり、研磨スラリー原液の使用量を減らすことが可能となる。
このような発明によれば、被粉エネルギーの下限値を20kWh/dry kgとしているので、研磨スラリーにおける乾燥シリカの含有量を効率的に3000個/ml以下とすることが可能となる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体ウェハWの研磨装置100の概略構成を示すブロック図である。
研磨装置100は、シリカを含む研磨スラリーを用いて、直径寸法が200mmの半導体ウェハWの表面を研磨する装置である。なお、直径寸法が200mm以外の半導体ウェハWを対象とした研磨装置100としてもよい。この研磨装置100は、図1に示すように、原液供給部110と、1次研磨調合液供給部120と、研磨部130と、回収部140と、スラリー調整部150と、を備える。
この原液供給部110は、完全密閉され、内部空間の湿度が99%以上となるように管理されている。また、原液供給部110の内部空間には、図14に示すような粒度分布の研磨スラリー原液が貯蔵される。そして、原液供給部110は、内部空間に貯蔵された研磨スラリー原液を、1次研磨調合液供給部120やスラリー調整部150に適宜供給する。
この1次研磨調合液供給部120は、原液供給部110から供給される研磨スラリー原液を適宜貯蔵する。そして、この研磨スラリー原液に純水を調合して後述する1次研磨に用いる研磨スラリーの調合液(以下、1次研磨スラリー調合液と称す)を生成し、この1次研磨スラリー調合液を研磨部130へ供給する。
また、1次研磨調合液供給部120は、研磨部130での研磨に利用され回収部140から供給される後述する研磨スラリー回収濾過液を適宜貯蔵して、1次研磨スラリー調合液として研磨部130へ適宜供給する。
1次研磨パッドは、半導体ウェハWを1次研磨する状態にポリウレタン樹脂が含浸された構成を有している。
1次研磨液供給部は、1次研磨調合液供給部120に接続され、この1次研磨調合液供給部120からの1次研磨スラリー調合液を1次研磨パッドに供給する。
1次研磨保持部は、搬送部により搬送される半導体ウェハWを保持する。
1次排出部は、回収部140に接続され、この回収部140に1次研磨で利用した1次研磨スラリー調合液を排出する。
この1次研磨部131は、1次研磨パッドにより、1次研磨液供給部から供給される1次研磨調合液供給部120からの1次研磨スラリー調合液を利用して、1次研磨保持部で保持された半導体ウェハWを1次研磨するとともに、利用済みの1次研磨スラリー調合液を回収部140へ排出する。
2次研磨液供給部は、スラリー調整部150に接続され、このスラリー調整部150で調整された後述する2次研磨スラリー調整液を2次研磨パッドに供給する。
2次排出部は、回収部140に接続され、この回収部140に2次研磨で利用した2次研磨スラリー調整液を排出する。
この2次研磨部132は、2次研磨パッドにより、2次研磨液供給部から供給されるスラリー調整部150からの2次研磨スラリー調整液を利用して、2次研磨保持部で保持された半導体ウェハWを2次研磨するとともに、利用済みの2次研磨スラリー調整液を回収部140へ排出する。
また、2次研磨部132から排出される2次研磨スラリー調整液には、1次研磨部131と同様の現象により生成される多数の凝集シリカおよび乾燥シリカが含まれている。
仕上げ研磨液供給部は、図示しないスラリー仕上げ液供給部に接続され、このスラリー仕上げ液供給部からの研磨スラリー仕上げ液を仕上げ研磨パッドに供給する。
この仕上げ研磨部133は、仕上げ研磨パッドにより、仕上げ研磨液供給部から供給される研磨スラリー仕上げ液を利用して、仕上げ研磨保持部で保持された半導体ウェハWを仕上げ研磨する。ここで、仕上げ研磨の取り代は、一般的な値である1μm以下に設定されている。
この回収装置141は、1次研磨部131で利用済みの1次研磨スラリー調合液や2次研磨部132で利用済みの2次研磨スラリー調整液を適宜貯蔵して、回収フィルタ142へ適宜供給する。ここで、利用済みの1次研磨スラリー調合液および2次研磨スラリー調整液をまとめて説明する際には、研磨スラリー回収液と称して説明する。
この回収フィルタ142は、濾過により回収装置141からの研磨スラリー回収液に含まれる所定サイズ以上の凝集シリカおよび乾燥シリカを除去する。
ここで、上述したように、1次研磨調合液供給部120へ供給された研磨スラリー回収濾過液は、1次研磨工程のみに利用され、2次研磨工程および仕上げ研磨工程には利用されない。また、1次研磨工程において半導体ウェハWに多数の微小欠陥が発生したとしても、2次研磨工程および仕上げ研磨工程によりこれらの微小欠陥が研磨されるため、問題とはならない。これらのことから、回収フィルタ142で除去する固形分のサイズは、微小欠陥が多数発生したとしても、1次研磨工程での研磨レートを所定レベル以上にすることが可能な所定サイズに設定されている。
そして、回収フィルタ142は、所定サイズ以上の凝集シリカおよび乾燥シリカを除去した研磨スラリー回収液を、研磨スラリー回収濾過液として1次研磨調合液供給部120へ供給する。
この回収フィルタ142としては、デプスフィルタ、メンブレンフィルタなど、液体を濾過可能ないずれのフィルタを適用できる。
ここで、研磨スラリー原液におけるシリカの1次粒子の最大粒子径は、図14に示すように0.1μmとされている。すなわち、第1フィルタ151は、研磨スラリー原液に含まれるシリカの1次粒子の50倍以上のサイズを有する固形分の捕捉効率が99.99%以上の能力を有している。
この第1フィルタ151は、濾過により原液供給部110からの研磨スラリー原液に含まれる5μm以上の固形分を除去して、2次研磨調合液生成部152へ供給する。
この第1フィルタ151としては、回収フィルタ142と同様の構成が適用できる。
この2次研磨調合液生成部152は、第1フィルタ151からの5μm以上の固形分が除去された研磨スラリー原液を適宜貯蔵する。そして、この研磨スラリー原液に純水を適宜調合して2次研磨スラリー調合液を生成して、この2次研磨スラリー調合液を第2フィルタ153へ供給する。
この第2フィルタ153は、濾過により2次研磨調合液生成部152からの2次研磨スラリー調合液に含まれる1μm以上の固形分を除去して、2次研磨スラリー調整液として2次研磨部132へ供給する。
この第2フィルタ153としては、回収フィルタ142や第1フィルタ151と同様の構成が適用できる。
次に、上述した研磨装置100の動作として、半導体ウェハWの研磨処理を説明する。
まず、半導体ウェハWの研磨処理として、1次研磨工程を説明する。
そして、1次研磨調合液供給部120は、原液供給部110から供給される研磨スラリー原液を調合して1次研磨スラリー調合液を生成し、1次研磨部131へ供給する。また、1次研磨調合液供給部120は、回収部140から供給される研磨スラリー回収濾過液を、1次研磨スラリー調合液として1次研磨部131へ供給する。
この後、1次研磨部131は、1次研磨調合液供給部120からの多数の凝集シリカおよび乾燥シリカを含む1次研磨スラリー調合液により半導体ウェハWを1次研磨するとともに、利用済みの1次研磨スラリー調合液を回収部140へ排出する。
なお、上述したように、1次研磨スラリー調合液には多数の乾燥シリカが存在するので1次研磨により多数の微小欠陥が発生することとなるが、2次研磨によりこれらの微小欠陥が研磨されるため、研磨スラリー回収濾過液を1次研磨スラリー調合液として用いた1次研磨が可能となる。
次に、半導体ウェハWの研磨処理として、スラリー調整工程を説明する。
研磨装置100は、原液供給部110にて、スラリー調整部150に研磨スラリー原液を供給する。
スラリー調整部150は、供給された研磨スラリー原液を第1フィルタ151にて濾過する原液濾過工程を実施する。この後、2次研磨調合液生成部152にて、第1フィルタ151で濾過した研磨スラリー原液から2次研磨スラリー調合液を生成するスラリー生成工程としての2次研磨調合液生成工程を実施する。そして、第2フィルタ153にて、2次研磨調合液生成部152で生成された2次研磨スラリー調合液を濾過する調合液濾過工程を実施して、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液として2次研磨部132へ供給する。
次に、半導体ウェハWの研磨処理として、2次研磨工程を説明する。
そして、2次研磨部132は、スラリー調整部150からの研磨スラリー調整液により半導体ウェハWを2次研磨するとともに、利用済みの2次研磨スラリー調整液を回収部140へ排出する。
次に、半導体ウェハWの研磨処理として、仕上げ研磨工程を説明する。
そして、仕上げ研磨部133は、仕上げ研磨液供給部からの研磨スラリー仕上げ液により半導体ウェハWを仕上げ研磨する。
上述した第1実施形態によれば、以下の作用効果がある。
(1)研磨装置100は、スラリー調整部150におけるスラリー調整工程にて、粒径が1μm以上の乾燥シリカ、すなわちSi/O組成比が50wt%〜60wt%/40wt%〜50wt%、弾性率が1.4×1010Pa以上、粒径が1μm以上のシリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液を2次研磨部132へ供給する。そして、2次研磨部132における2次研磨工程にて、スラリー調整部150から供給される2次研磨スラリー調整液を利用して半導体ウェハWを2次研磨する。
このため、仕上げ研磨工程直前の2次研磨工程で用いる2次研磨スラリー調整液における乾燥シリカの含有量を調整するので、凝集シリカおよび乾燥シリカの含有量を調整する構成と比べて、研磨レートを上げることができるとともに2次研磨工程で発生する微小欠陥数を低減できる。
また、含有量を調整する粒径の下限値を仕上げ研磨工程時における取り代の最大値である1μmとしているので、下限値を1μmよりも大きくする構成と比べて、2次研磨工程において発生する微小欠陥の高さを1μm以下にすることが容易となり、仕上げ研磨を効率的にできる。
さらに、調整する含有量の上限値を3000個/ml以下としているので、2次研磨工程において発生する微小欠陥数を所定数以下に抑制できる。
したがって、半導体ウェハWを良好に研磨できる。
このため、スラリー調整工程に第1フィルタ151および第2フィルタ153を設けるだけの簡単な構成で、半導体ウェハWを良好に研磨可能な上述したような状態に調整できる。
また、原液供給部110での研磨スラリー原液の貯蔵中に乾燥シリカが生成されたとしても、原液濾過工程で所定サイズ以上の乾燥シリカが除去されるため、2次研磨調合液生成工程で生成される2次研磨スラリー調合液に含まれる乾燥シリカの数を減らすことができるとともに、除去しきれない乾燥シリカの大きさを最小限に抑えることができる。したがって、原液濾過工程を設けない構成と比べて、調合液濾過工程で捕捉する乾燥シリカの数を減らすことができ、調合液濾過工程での第2フィルタ153の目詰まりが抑制され、2次研磨スラリー調合液を効率的に調整できる。
このため、上述したような捕捉能力を有する第1フィルタ151および第2フィルタ153を適用しているので、他の捕捉する能力を有する構成と比べて、2次研磨スラリー調合液をより効率的に調整できる。
このため、原液供給部110における内部空間の壁面および研磨スラリー原液の境界部分での乾燥シリカの発生を抑制できる。
したがって、2次研磨スラリー調整液に含まれる乾燥シリカの数をより減らすことができる。
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、第1実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図2は、第2実施形態に係る半導体ウェハWの研磨装置200の概略構成を示すブロック図である。
この研磨装置200は、図2に示すように、原液供給部210と、1次研磨調合液供給部220と、研磨部130と、回収部140と、スラリー調整部250と、を備える。
この原液供給部210は、内部空間の湿度が特別に管理されていない。そして、原液供給部210は、内部空間に貯蔵された研磨スラリー原液を1次研磨調合液供給部220に適宜供給する。
この1次研磨調合液供給部220は、原液供給部210から供給される研磨スラリー原液を調合して1次研磨スラリー調合液を生成し、研磨部130へ供給する。
また、1次研磨調合液供給部220は、回収部140からの多数の凝集シリカおよび乾燥シリカを含む研磨スラリー回収濾過液を適宜貯蔵して、1次研磨スラリー調合液として研磨部130へ適宜供給する。
さらに、1次研磨調合液供給部220は、上述した1次研磨スラリー調合液をスラリー調整部250へ適宜供給する。
研磨部130の2次研磨部132に設けられた2次研磨液供給部は、スラリー調整部250に接続され、このスラリー調整部250で調整された2次研磨スラリー調整液を2次研磨パッドに供給する。
回収部140に設けられた回収フィルタ142は、1次研磨調合液供給部220に接続され、研磨スラリー回収濾過液を1次研磨調合液供給部220へ供給する。
遠心分離機251は、遠心分離制御部254により制御され、1次研磨調合液供給部220から適宜供給される1次研磨スラリー調合液を5000G〜10000Gの遠心力で処理して、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液を生成する。すなわち、遠心分離機251は、遠心力により、1次研磨スラリー調合液に含まれる凝集シリカおよび乾燥シリカの密度差を利用して、主に粒径が1μm以上の乾燥シリカを遠心分離して2次研磨スラリー調整液を生成する。
そして、遠心分離機251は、2次研磨スラリー調整液をPMS252へ供給する。
このPMS252は、遠心分離機251から供給される2次研磨スラリー調整液に含まれる凝集シリカや乾燥シリカの数を例えば所定時間毎に計数し、この計数結果に関する信号を遠心分離制御部254へ出力する。そして、PMS252は、測定後の2次研磨スラリー調整液を2次研磨調整液供給部253へ供給する。
この2次研磨調整液供給部253は、PMS252を介して遠心分離機251から供給される2次研磨スラリー調整液を貯蔵して、2次研磨部132へ適宜供給する。
具体的には、遠心分離制御部254は、PMS252から計数結果が所定範囲内の数である旨の信号を取得すると、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に乾燥シリカが遠心分離されていると判断して、遠心分離機251の遠心力を変更しない。
また、遠心分離制御部254は、計数結果が所定範囲の数よりも多い旨の信号を取得すると、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以上となる状態に乾燥シリカが遠心分離されていると判断して、より多くの乾燥シリカを遠心分離する状態に遠心分離機251の遠心力を変更する。すなわち、遠心分離機251の遠心力を大きくする状態に変更する。
さらに、遠心分離制御部254は、計数結果が所定範囲の数よりも少ない旨の信号を取得すると、乾燥シリカに加え多数の凝集シリカが遠心分離されていると判断する。そして、凝集シリカの減少により研磨レートが下がってしまうため、遠心分離する凝集シリカを少なくする状態に遠心分離機251の遠心力を変更する。すなわち、遠心分離機251の遠心力を小さくする状態に変更する。
次に、上述した研磨装置200の動作として、半導体ウェハWの研磨処理を説明する。
なお、1次研磨工程、2次研磨工程、仕上げ研磨工程は、第1実施形態と同様のため、スラリー調整工程のみについて説明する。
半導体ウェハWの研磨処理として、スラリー調整工程を説明する。
研磨装置200は、1次研磨調合液供給部220にてスラリー調整部250に1次研磨スラリー調合液を供給する。ここで、上述したように、1次研磨スラリー調合液には、多数の凝集シリカおよび乾燥シリカが含まれている。
スラリー調整部250は、供給された1次研磨スラリー調合液を遠心分離機251で処理する遠心分離工程を実施する。すなわち、1次研磨スラリー調合液から主に乾燥シリカを遠心分離して、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液を生成する。
この後、スラリー調整部250は、PMS252を介して2次研磨調整液供給部253へ2次研磨スラリー調整液を供給するとともに、PMS252での2次研磨スラリー調整液に含まれる凝集シリカや乾燥シリカの数に応じて遠心分離機251の遠心力を調整する。そして、2次研磨調整液供給部253にて、2次研磨スラリー調整液を2次研磨部132へ適宜供給する。
上述した第2実施形態によれば、第1実施形態の(1)と同様の作用効果に加え、以下の作用効果がある。
このため、乾燥シリカおよび凝集シリカの密度差を利用して、1次研磨スラリー調合液から主に乾燥シリカを遠心分離することにより、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液を生成できる。
また、利用済みの研磨スラリー回収濾過液を2次研磨工程で再利用することができ、研磨スラリー原液の使用量を減らすことができる。
このため、遠心分離の遠心力の下限値を5000Gとしているので、微小欠陥数を低減可能な状態に乾燥シリカを遠心分離して除去することができる。また、遠心力の上限値を10000Gとしているので、凝集シリカが遠心分離されて除去される数を最小限に抑えることができ、研磨レートを下げることなく2次研磨できる。
このため、2次研磨スラリー調整液の生成状態に基づいて遠心分離機251での遠心分離状態を制御するので、安定した品質の2次研磨スラリー調整液を常時2次研磨部132へ供給できる。
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、第1実施形態または第2実施形態と同様の構造および同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図3は、第3実施形態に係る半導体ウェハWの研磨装置300の概略構成を示すブロック図である。図4は、ビーズミルの概略構成を示す模式図である。
この研磨装置300は、図3に示すように、原液供給部210と、1次研磨調合液供給部120と、研磨部130と、回収部340と、スラリー調整部350と、を備える。
1次研磨調合液供給部120は、研磨部130と、回収部340と、に接続され、原液供給部210からの研磨スラリー原液を調合して1次研磨スラリー調合液を研磨部130へ供給するとともに、回収部340からの多数の凝集シリカおよび乾燥シリカを含む研磨スラリー回収濾過液を1次研磨スラリー調合液として研磨部130へ適宜供給する。
研磨部130の1次研磨部131に設けられた1次研磨液供給部は、1次研磨調合液供給部120に接続され、1次研磨スラリー調合液を1次研磨パッドに供給する。
研磨部130の2次研磨部132に設けられた2次研磨液供給部は、スラリー調整部350に接続され、このスラリー調整部350で調整された2次研磨スラリー調整液を2次研磨パッドに供給する。
この回収装置341は、研磨スラリー回収液を適宜貯蔵して、回収フィルタ142やスラリー調整部350へ適宜供給する。
このポンプ351は、回収装置341に貯蔵された研磨スラリー回収液をビーズミル360へ適宜送る。
このビーズミル360は、図4に示すように、ミル本体部370と、駆動部380と、を備える。
第1円筒部371Aおよび第2円筒部371Bの間の空間は、冷却水が循環する冷却水循環空間371Eとされている。また、第2円筒部371Bの内部空間は、乾燥シリカなどを粉砕する図示しないビーズが充填された粉砕空間371Fとされている。ここで、ビーズは、ジルコニアにより直径が0.2mmの粒状に形成されている。
第1円筒部371Aの円周面における下面部371D側には、冷却水循環空間371Eに冷却水を外部から導入可能な略筒状の冷却水導入部371Gが設けられている。また、第1円筒部371Aの円周面における上面部371C側には、冷却水循環空間371Eに導入された冷却水を外部に排出可能な略筒状の冷却水排出部371Hが設けられている。
上面部371Cの略中央には、略円形状の挿通孔371C1が開口形成されている。
下面部371Dの略中央には、略円形状の嵌合孔371D1が開口形成されている。
この回収液導入部372は、ポンプ351を介して供給される研磨スラリー回収液を粉砕空間371Fに導入する。
排出円筒部373Aは、略円筒状に形成され、一端側が調整フィルタ353に接続されている。また、排出円筒部373Aは、他端側が粉砕空間371Fに位置し、かつ、この排出円筒部373Aの軸を中心に回転可能な状態で、上面部371Cの挿通孔371C1に挿通されている。そして、排出円筒部373Aの本体371の外側に位置する部分における軸方向略中央には、略リング板状のミルベルト受け部373A1が設けられている。
セントリセパレータ373Bは、粉砕空間371Fの研磨スラリー回収液からビーズを分離して、2次研磨スラリー調整液として排出円筒部373Aを介して排出する。このセントリセパレータ373Bは、リング板部373B1と、複数のブレード373B2と、円板部373B3と、を備える。
リング板部373B1は、排出円筒部373Aの他端から外側に向けて鍔状に突出する略リング板状に形成されている。
ブレード373B2は、長辺がリング板部373B1の幅よりも短い長方形板状を有している。そして、ブレード373B2は、長辺方向が径方向と略一致する状態で、リング板部373B1の外縁側に円周方向に所定間隔毎に取り付けられている。
円板部373B3は、リング板部373B1の外径と略同一の直径の略円板状に形成され、リング板部373B1に対して略平行となる状態にブレード373B2に取り付けられている。
撹拌軸部374Aは、略棒状に形成され、セントリセパレータ373Bの円板部373B3の下面に、下方に向けて略垂直に延びる状態で固定されている。
ロータピン374Bは、略棒状に形成され、撹拌軸部374Aの円周面から放射状に突出する状態に、かつ、軸方向に所定間隔毎に並設された状態に設けられている。
そして、駆動部380は、モータ制御部の制御によりモータ本体381を駆動させ、ベルト383を介して調整液排出部373および撹拌部374を回転させる。具体的には、駆動部380は、粉砕エネルギーが20kWh/dry kg以上となる状態で撹拌部374を回転させる。
この調整フィルタ353は、ビーズミル360から排出される2次研磨スラリー調整液を濾過して、2次研磨調整液供給部253へ供給する。
次に、上述した研磨装置300の動作として、半導体ウェハWの研磨処理を説明する。
なお、1次研磨工程、2次研磨工程、仕上げ研磨工程は、第1実施形態と同様のため、スラリー調整工程のみについて説明する。
半導体ウェハWの研磨処理として、スラリー調整工程を説明する。
研磨装置300は、スラリー調整部350のポンプ351にて回収部340の回収装置341に貯蔵された研磨スラリー回収液をビーズミル360へ送る。ここで、上述したように、研磨スラリー回収液には、多数の凝集シリカおよび乾燥シリカが含まれている。
ビーズミル360は、送られた研磨スラリー回収液に含まれる乾燥シリカなどを粉砕する粉砕工程を実施する。すなわち、ビーズミル360は、回収液導入部372を介して、研磨スラリー回収液を本体371の粉砕空間371Fに導入する。そして、駆動部380にて、調整液排出部373および撹拌部374を回転させ、粉砕空間371Fに充填されたビーズを利用して研磨スラリー回収液の乾燥シリカなどを粉砕する。この後、回転している調整液排出部373のセントリセパレータ373Bにて、研磨スラリー回収液からビーズを分離して、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液として排出円筒部373Aから排出する。
さらに、スラリー調整部350は、調整フィルタ353を介して2次研磨調整液供給部253へ2次研磨スラリー調整液を供給する。そして、2次研磨調整液供給部253にて、2次研磨スラリー調整液を2次研磨部132へ適宜供給する。
上述した第3実施形態によれば、第1実施形態の(1)と同様の作用効果に加え、以下の作用効果がある。
このため、研磨スラリー回収液の乾燥シリカを粉砕することにより、粒径が1μm以上の乾燥シリカが3000個/ml以下となる状態に調整された2次研磨スラリー調整液を生成できる。
また、粉砕エネルギーが最も小さいビーズミル360を用いているので、ビーズミル360以外の粉砕手段を用いる構成と比べて、粉砕エネルギーにより生成される凝集シリカの硬度を低くでき、より良好に研磨できる。
そして、利用済みの研磨スラリー回収液を2次研磨工程で再利用することができ、研磨スラリー原液の使用量を減らすことができる。
このため、被粉エネルギーの下限値を20kWh/dry kgとしているので、2次研磨スラリー調整液における乾燥シリカの含有量を効率的に3000個/ml以下とすることができる。
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
また、第2実施形態において、遠心分離機251の遠心力を10000Gよりも大きくしてもよい。このような構成の場合、研磨レートが下がってしまうが2次研磨工程において発生する微小欠陥数を所定数以下に抑制できる。
そして、スラリー調整部150,250,350を任意に組み合わせる構成としてもよい。
さらに、スラリー調整部150,250,350で生成された2次研磨スラリー調整液を1次研磨部131へ供給する構成としてもよい。このような構成の場合、1次研磨工程の方が2次研磨工程よりも取り代が大きいが、研磨時間や1次研磨パッドに加える加重の調整により研磨レートを下げることなく1次研磨できる。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
なお、以下において、微小欠陥よりも大きい突起状欠陥をスクラッチ欠陥と称して説明する。
まず、第1実施形態の効果を説明するための第1実施例について説明する。
図5は、各湿度で保管した研磨スラリー原液の保管時間、および、この研磨スラリー原液に含まれる乾燥シリカの個数の関係を示すグラフである。図6は、実施例1、比較例1、および、比較例2の研磨スラリー液を用いた2次研磨で発生した微小欠陥数を示すグラフである。図7は、実施例1、比較例1、および、比較例2の研磨スラリー液を用いた2次研磨で発生したスクラッチ欠陥数を示すグラフである。
まず、各湿度で保管した研磨スラリー原液の保管時間、および、この研磨スラリー原液に含まれる乾燥シリカの個数の関係について説明する。
湿度が50%、80%、99%にそれぞれ設定されたPFA製の保管槽(以下、PFA保管槽と称す)に、研磨スラリー原液を0時間、6時間、12時間、24時間保管して、1mlあたりに存在する1μm以上の乾燥シリカの個数を以下の方法を用いて計数した。
具体的には、ホルダ(Whatman社製、商品名:Swin-Lok Holder 25mm)の下部に、メッシュサイズ3μmのメンブレンフィルタ(Whatman社製、商品名:NucleporeTrack-EtchMembrane)をセットして、注射器で1ml〜5mlの研磨スラリー原液をホルダに注入する。そして、注射器で20mlの水をホルダに注入してメンブレンフィルタを洗浄する処理を3回実施して、この洗浄したメンブレンフィルタをSEM(走査電子顕微鏡)で観察して、1μm以上の乾燥シリカの個数を計数した。
図5に示すように、1mlあたりに存在する1μm以上の乾燥シリカの個数は、湿度が低いほど、保管時間が長いほど多くなることが確認された。
特に、研磨スラリー原液を湿度が99%の雰囲気中で保管した場合、24時間が経過しても1mlあたりに存在する1μm以上の乾燥シリカの個数が1000個未満となることが確認された。
実施例1の研磨スラリー液は、研磨スラリー原液を第1実施形態のスラリー調整部150で処理して生成した液である。この実施例1の研磨スラリー液に含まれる1μm以上の乾燥シリカの個数は、1700個/mlであった。
比較例1の研磨スラリー液は、湿度が99%のPFA保管槽で24時間保管した研磨スラリー原液に、純水を調合した液である。この比較例1の研磨スラリー液に含まれる1μm以上の乾燥シリカの個数は、2600個/mlであった。
比較例2の研磨スラリー液は、湿度が75%のPFA保管槽で24時間保管した研磨スラリー原液に、純水を調合した液である。この比較例2の研磨スラリー液に含まれる1μm以上の乾燥シリカの個数は、5400個/mlであった。
上述した実施例1の研磨スラリー液、比較例1の研磨スラリー液、比較例2の研磨スラリー液を用いて、2次研磨部132における2次研磨工程と同様の研磨条件で半導体ウェハWを2次研磨して、1枚あたりの微小欠陥数およびスクラッチ欠陥数を比較した。
図6に示すように、1枚あたりの微小欠陥数は、実施例1の研磨スラリー液が最も少なくなり、比較例2の研磨スラリー液が最も多くなることが確認された。すなわち、研磨スラリー液に含まれる1μm以上の乾燥シリカの個数が少ないほど、2次研磨で発生する1枚あたりの微小欠陥数が少なくなることが確認された。
また、図7に示すように、1枚あたりのスクラッチ欠陥数も、実施例1の研磨スラリー液が最も少なくなり、比較例2の研磨スラリー液が最も多くなることが確認された。
以上のことから、第1実施形態の構成で生成される2次研磨スラリー調整液、すなわち湿度が99%の環境下で保管した研磨スラリー原液をスラリー調整部150で処理した2次研磨スラリー調整液が、微小欠陥数を特に少なくできることが確認された。
次に、第2実施形態の効果を説明するための第2実施例について説明する。
図8は、研磨スラリー回収濾過液を遠心分離処理する際の遠心力と、この研磨スラリー回収濾過液に含まれる乾燥シリカおよび凝集シリカの個数と、の関係を示すグラフである。図9は、研磨スラリー回収濾過液を遠心分離処理する際の遠心力、および、この研磨スラリー回収濾過液を用いた2次研磨で発生した微小欠陥数の関係を示すグラフである。図10は、研磨スラリー回収濾過液を遠心分離処理する際の遠心力、および、この研磨スラリー回収濾過液を用いた2次研磨での研磨レートの関係を示すグラフである。
まず、研磨スラリー回収濾過液を遠心分離処理する際の遠心力と、この研磨スラリー回収濾過液に含まれる乾燥シリカおよび凝集シリカの個数と、の関係について説明する。
回収部140で処理された研磨スラリー回収濾過液を、各遠心力で遠心分離時間3min/Lだけ遠心分離処理した。そして、この遠心分離処理した研磨スラリー回収濾過液に存在する1μm以上の乾燥シリカおよび凝集シリカの個数を、上述したSEMを用いた方法、および、液中パーティクルカウンタ(Rion社製、商品名:KS71)により計数した。
図8に示すように、1μm以上の乾燥シリカおよび凝集シリカの個数は、遠心力が大きいほど少なくなることが確認された。
特に、遠心力が5000G〜10000Gの場合、凝集シリカに比べて多くの乾燥シリカを除去できることが確認された。また、遠心力5000G以下の場合、1μm以上の乾燥シリカの数を3000個/ml以下とすることが難しいことが確認された。
次に、研磨スラリー回収濾過液を遠心分離処理する際の遠心力、および、この研磨スラリー回収濾過液を用いた2次研磨で発生した微小欠陥数の関係について説明する。
各遠心力で遠心分離時間3min/Lだけ遠心分離処理した研磨スラリー回収濾過液を用いて、半導体ウェハWを2次研磨して、1枚あたりの微小欠陥数を比較した。
図9に示すように、1枚あたりの微小欠陥数は、遠心力が大きいほど少なくなることが確認された。
特に、遠心力が5000G以上の場合、微小欠陥数が極めて少なくなることが確認された。
次に、研磨スラリー回収濾過液を遠心分離処理する際の遠心力、および、この研磨スラリー回収濾過液を用いた2次研磨での研磨レートの関係について説明する。
各遠心力で遠心分離時間3min/Lだけ遠心分離処理した研磨スラリー回収濾過液を用いて、半導体ウェハWを2次研磨して、研磨レートを比較した。
図10に示すように、研磨レートは、0G〜8000Gまではほぼ同じであることが確認された。また、8000G以上の場合、遠心力が大きいほど下がることが確認された。
特に、遠心力が8000G〜14000Gの範囲で、研磨レートが大きく下がることが確認された。微小欠陥数が極めて少なくなることが確認された。
以上のことから、第2実施形態で設定された5000G〜10000Gの遠心力で遠心分離処理する構成が、微小欠陥数および研磨レートの観点から適切であることが確認された。特に、8000Gの場合、乾燥シリカのみを選択的に除去できるとともに、研磨レートを下げることなく微小欠陥数を低減でき、最も適切であることが確認された。
次に、第3実施形態の効果を説明するための第3実施例について説明する。
図11は、研磨スラリー回収液を粉砕処理する際の粉砕エネルギーと、この研磨スラリー回収液に含まれる乾燥シリカおよび凝集シリカの個数と、の関係を示すグラフである。図12は、粉砕処理前後の研磨スラリー回収液に含まれる乾燥シリカのサイズおよび個数の関係を示すグラフである。図13は、研磨スラリー回収液を粉砕処理する際の粉砕エネルギー、および、この研磨スラリー回収液を用いた2次研磨で発生した微小欠陥数の関係を示すグラフである。
まず、研磨スラリー回収液を粉砕処理する際の粉砕エネルギーと、この研磨スラリー回収液に含まれる乾燥シリカおよび凝集シリカの個数と、の関係について説明する。
回収部140で回収された研磨スラリー回収液を、容積が30Lであり、かつ、直径2mmのジルコニア製ビーズが充填されたビーズミル(以下、実施例ビーズミルと称す)を用いて、各粉砕エネルギーで処理時間3min/Lだけ粉砕処理した。そして、この粉砕処理した研磨スラリー回収液に存在する5μm以上の乾燥シリカおよび凝集シリカの個数を、上述したSEMおよび液中パーティクルカウンタを用いた方法により計数した。
図11に示すように、5μm以上の乾燥シリカの個数は、粉砕エネルギーの大きさに対応する個数の乾燥シリカがビーズで粉砕されるため、粉砕エネルギーの大きさに対応して減っていくことが確認された。すなわち、5μm未満の乾燥シリカの個数が、粉砕エネルギーの大きさに対応して増えていくことが確認された。
一方、5μm以上の凝集シリカの個数は、粉砕エネルギーによりシリカの凝集が促進されるため、粉砕エネルギーの大きさに対応して増えていくことが確認された。
次に、粉砕処理前後の研磨スラリー回収液に含まれる乾燥シリカのサイズおよび個数の関係について説明する。
実施例ビーズミルを用いた粉砕処理前後の研磨スラリー回収液に含まれる各サイズの乾燥シリカの個数を、上述したSEMおよび液中パーティクルカウンタを用いた方法により調査した。ここで、粉砕処理は、粉砕エネルギーが80kWh/dry kg、処理時間が3min/Lの条件で実施した。
図12に示すように、粉砕処理後に含まれる3μm以上の乾燥シリカの個数は、粉砕処理前よりも減っていることが確認された。また、粉砕処理後の1μmおよび2μmの乾燥シリカの個数は、粉砕処理により3μm以上の乾燥シリカが粉砕されたため、粉砕処理前よりも増えていることが確認された。
次に、研磨スラリー回収液を粉砕処理する際の粉砕エネルギー、および、この研磨スラリー回収液を用いた2次研磨で発生した微小欠陥数の関係について説明する。
実施例ビーズミルにより各粉砕エネルギーで処理時間3min/Lだけ粉砕処理した研磨スラリー回収液を用いて、半導体ウェハWを2次研磨して、1枚あたりの微小欠陥数を比較した。
図13に示すように、1枚あたりの微小欠陥数は、粉砕エネルギー大きいほど少なくなることが確認された。
以上のことから、第3実施形態で設定された20kWh/dry kg以上の粉砕エネルギーで粉砕処理する構成が、微小欠陥数を少なくできることが確認された。
153・・・第2フィルタ
360・・・ビーズミル
W・・・半導体ウェハ
Claims (7)
- 研磨スラリー原液が乾燥することで形成され、Si/O組成比が50wt%〜60wt%/40wt%〜50wt%、かつ弾性率が1.4×1010Pa以上のシリカの結晶体を含む研磨スラリー原液を、粒径が1μm以上の前記シリカの結晶体が3000個/ml以下となる状態に調整するスラリー調整工程を備え、
このスラリー調整工程で調整された研磨スラリーを仕上げ研磨工程直前の粗研磨工程で利用して半導体ウェハを研磨する
ことを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。 - 請求項1に記載の半導体ウェハの研磨方法であって、
前記スラリー調整工程は、
所定サイズの固形分を捕捉可能な第1フィルタにより前記研磨スラリー原液を濾過する原液濾過工程と、
この原液濾過工程にて濾過された前記研磨スラリー原液を添加剤と調合するスラリー生成工程と、
前記第1フィルタよりも小さいサイズの固形分を捕捉可能な第2フィルタにより前記スラリー生成工程で生成された前記研磨スラリー原液を濾過する調合液濾過工程と、
を備えていることを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。 - 請求項2に記載の半導体ウェハの研磨方法であって、
前記第1フィルタは、前記研磨スラリー原液に含まれるシリカの1次粒子の50倍以上のサイズを有する固形分の捕捉効率が99.99%以上であり、
前記第2フィルタは、前記1次粒子の10倍以上のサイズを有する固形分の捕捉効率が99.99%以上である
ことを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。 - 請求項1に記載の半導体ウェハの研磨方法であって、
前記スラリー調整工程は、
前記研磨スラリー原液を遠心分離する遠心分離工程を備えている
ことを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。 - 請求項4に記載の半導体ウェハの研磨方法であって、
前記遠心分離工程における前記遠心分離の遠心力は、5000G〜10000Gである
ことを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。 - 請求項1に記載の半導体ウェハの研磨方法であって、
前記スラリー調整工程は、
前記研磨スラリー原液に含まれる前記シリカをビーズミルで粉砕する粉砕工程を備えている
ことを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。 - 請求項6に記載の半導体ウェハの研磨方法であって、
前記粉砕工程における被粉砕体に与える単位質量あたりのエネルギーは、20kWh/dry kg以上である
ことを特徴とする半導体ウェハの研磨方法。
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