JP3628384B2 - キャニスタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンクから蒸発する燃料を吸着して車外への放出を防止するキャニスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
車両放置時に燃料タンクから蒸発する燃料は、活性炭等の吸着材を充填したキャニスタに導かれて一時的に吸着保持され、エンジン作動時に生じる負圧によりキャニスタ内に導入される大気によって吸着材から離脱して、吸気系に送出される。
【0003】
ここで、吸着材層に吸着した蒸発燃料は、時間とともに吸着材層内を拡散していくため、長時間放置時に、拡散した蒸発燃料が吸着材層端に達して大気に放出される問題がある。そこで、キャニスタ内を蒸発燃料導入ポートおよびパージポートを備えた主室と、大気導入ポートを備えた比較的容量の小さい副室に区画して空気室で連結し、主室から放出される蒸発燃料が副室にて捕集されるようになしたキャニスタが提案されている。また、上記空気室内を主室側と副室側に仕切って、両室を連通する絞りを設け、蒸発燃料が副室側へ流入しにくくしたものや、特開平5−187330号公報、特開平5−187331号公報に見られるように、上記絞りに連結して主室側の空気室へ突出する突出管路を設け、副室側の空気室との距離を長くして蒸発燃料の移動をさらに制限したものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、1998年から米国で実施されているORVR規制では、給油口からの大気中への蒸発燃料の拡散を規制するため、燃料タンクからキャニスタへ流入する蒸発燃料が増加する。この時、上記した絞りを設けた構成では、キャニスタの圧損が大きく、燃料タンク内の圧力が上昇して給油しにくくなるおそれがあった。また、上記突出管路を設けた構成でも、副室側の空気室との距離を十分長くとれず、拡散を防止するには突出管路の通路面積を縮小する必要があって、拡散防止と低圧損構造を両立することは難しかった。
【0005】
しかして、本発明の目的は、蒸発燃料の拡散を抑制して大気中への吹き抜けを確実に防止でき、かつ低圧損構造のキャニスタを実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の第1の構成では、図1(a)(b)に示すように、蒸発燃料導入ポート16とパージポート17を備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層11を有する主室1と、大気導入ポート26を備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層21を有する副室2と、上記主室1および上記副室2を連結する空気室3を具備する。上記空気室3は、上記主室1側の第1室3Aと、上記副室2側の第2室3Bと、これら第1室3Aおよび第2室3Bの間に設けられる第3室3Cとに区画され、上記第3室3Cの内部を仕切り壁33にて仕切ることによりジグザグ状の一続きの連通路34となしている。該連通路34の両端はそれぞれ上記第1室3Aおよび上記第2室3Bに開口せしめてある。
【0007】
本発明の第2の構成では、図3に示すように、蒸発燃料導入ポート16とパージポート17を備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層11を有する主室1と、大気導入ポート26を備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層21を有する副室2と、上記主室1と上記副室2の間に設けられ、蒸発燃料を吸着する吸着材層41、51を有する少なくとも1つの中間室4、5と、上記各室間をそれぞれ連結する複数の空気室3を具備する。そして、上記空気室3の少なくとも1つを、上記第1の構成同様、内部を3室3A、3B、3Cに区画して第3室3C内に上記連通路34を設けている。
【0008】
本発明の第3の構成では、図4(a)(b)に示すように、上記第3室3Cをさらに複数の小室3D、3E、3Fに区画して、該小室3D、3E、3F内をそれぞれ仕切り壁33にて仕切ることにより、互いに独立するジグザグ状の一続きの連通路34を複数設け、これら連通路34の両端をそれぞれ上記第1室3Aおよび上記第2室3Bに開口せしめてある。
【0009】
上記第1の構成では、主室1と副室2を連結する空気室3内に通路長の長い連通路34を設けたので、主室1から副室2への蒸発燃料の拡散が抑制される。しかも拡散防止に必要な十分な長さを有するので、連通路34に絞りを設ける必要がなく、低圧損構造を維持できる。また、上記連通路34は空気室3内を仕切り壁33で仕切って構成されるので、限られたスペースを有効に利用して必要な通路長を確保することができ、装置が大型化することがない。
【0010】
上記中間室4、5を有する第2の構成でも、空気室3の少なくとも1つに上記連通路34を設けることで、第1の構成同様、蒸発燃料の拡散が抑制されるとともに、圧損を低く抑えることができる。
【0011】
上記第3の構成では、上記連通路34を複数設けて、そのそれぞれを上記第1室3Aおよび第2室3Bに開口したので、上記主室1から空気室3へ至る蒸気流れが分散し、吸着が吸着材層11の一部に偏ることがない。よって、吸着材層11の外周部、特にコーナー部の吸着材を有効に活用でき、吸着効率が向上する。また、パージの際も、導入大気が副室2内の外周部まで行き渡るのでパージの効率が向上する。
【0012】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の一実施例を説明する。図1(a)において、角筒状の容器H内は、仕切り壁により上下に仕切られており、下部室を主室1、上部室を主室1より容量の小さい副室2となしてある。上記主室2は、一対の多孔板12、13間に活性炭Cを充填してなる吸着材層11を有し、上記多孔板12、13の内側には活性炭の脱落を防止するためのフィルタ14、15がそれぞれ配してある。上記副室2は、多孔板22、23間に支持された吸着材層21を有し、多孔板22、23の内側には同様のフィルタ24、25が配してある。
【0013】
上記主室1の一方の端部(図の左端部)は、蒸発燃料導入ポート16に連通しており、図略の燃料タンクから蒸発する燃料が該ポート16を経て主室1内に導入されるようになしてある。また燃料導入ポート16の近傍には、吸着材層11から離脱する蒸発燃料をエンジン吸気管へ導くパージポート17と、タンク内圧弁を介して燃料タンクにつながり、主に給油時以外に蒸発燃料を導入する第2の燃料導入ポート18が設けられている。なお、燃料導入ポート16は、キャニスタ−燃料タンク間に設けたバルブを給油時に開くことにより給油時のみ蒸発燃料を導入するようになしてある。上記副室2の一方の端部(図の左端部)は、大気が導入される大気ポート26に連通している。
【0014】
上記主室1および副室2の右端面を構成する多孔板13、23と、容器Hとの間には空気室3が形成してある。該空気室3は、上記主室1に面する第1室3Aと、上記副室2に面する第2室3Bと、これら両室3A、3Bの右側に位置する第3室3Cとに区画され、第3室3Cと上記第1室3Aおよび第2室3Bとはそれぞれ開口31、32にて連通している。
【0015】
上記第3室3C内は(図1(b))、複数の仕切り壁33を平行配設してその一端を図の左右両壁に交互に固定することにより、ジグザク状の一続きの連通路34となしてある。そして、上記連通路34の両端部に上記開口31、32を開口せしめて、上記第1室3Aと第2室3Bとの距離が拡散防止に十分な長さとなるようにしている。上記開口31、32は上記燃料導入ポート16、大気ポート26と各々対向して設けられ、また開口31、32の径は対向する各ポート16、26と同径としてある。
【0016】
しかして、上記主室1より放出される蒸発燃料は、上記第1室3Aで一旦拡散した後、上記開口31より連通路34内に入り、開口32、第2室3Bを経て上記副室2へ流入する。このとき、上記主室1と上記副室2とを結ぶ流路が十分長いので、上記副室2側への蒸発燃料の拡散を確実に防止でき、上記開口31、32の径が十分大きいので、キャニスタの圧損を低く抑えることができる。また、空気室3はコンパクトで、装置が大型化することがない。
【0017】
図2は本発明の第2の実施例である。上記第1の実施例では、上記主室1、副室2を上下に配置したが、本実施例ではキャニスタの容器H内を左右2室に区画して上記主室1、副室2を形成している。また、空気室3の上記連通路34と第1室3A、第2室3Bを結ぶ開口31、32には、開口縁の全周に上方に突出するリブ311、321が設けてある。
【0018】
キャニスタを縦置きにする場合、吸着した蒸発燃料が夜間など気温低下により液化して空気室3の上記第1室31底部に溜まることがあり、これが上記空気室3の連通路内に入ると、昇温時に気化して副室側へ抜けるおそれがある。本実施例の構成では、開口31縁に設けたリブ311により液化した燃料が開口内に入ることを防止し、副室2への蒸発燃料の吹き抜けをより確実に防止する。また、副室2においても、吸着燃料がパージされる時に周囲から気化熱を奪うことにより、空気中の水蒸気が液化して副室2底部へ溜まることがあるが、同様のリブ321を開口32縁に設けたことにより水滴が開口内に入ることを防止することができる。
【0019】
図3は本発明の第3の実施例である。本実施例では、上記主室1と副室2の間に、活性炭Cを充填してなる吸着材層41、51を有する複数の中間室4、5を設けて、吸着材層の全長を長くしている。該中間室4、5間、およびこれらと上記主室1、副室2とはそれぞれ空気室3にて連結してあり、蒸発燃料は、上記主室1より、中間室4、5を経て副室2へ、それぞれ空気室3を介して導入する。そして、上記中間室5と副室2の間の空気室3内を第1〜第3室3A〜3Cに区画して、第3室3Cに上記実施例同様の連通路34を設けている。
【0020】
このように、3室以上からなるキャニスタにおいても、空気室3内に連通路34を設ける本発明の構成を適用することができ、同様の効果が得られる。また、連通路34は他の空気室3に設けても、さらに複数以上の空気室3に設けてももちろんよい。
【0021】
図4は本発明の第4の実施例であり、本実施例では、上記空気室3の第3室3C内をさらに3分割して小室3D、3E、3Fを形成し、各小室3D、3E、3F内を仕切り壁33で仕切ってそのそれぞれにジグザグ状の一続きの連通路34を設けている。そしてこれら連通路34の一端と第1室3Aを開口31にて、他端と第2室3Bを開口32にて連通せしめてある。
【0022】
上記第1室3Aと第3室3Cとを結ぶ開口31が、燃料導入ポート16対向位置の1つのみの場合、蒸気流れが燃料導入ポート16の延長線上で多くなり、開口31から遠い吸着材層1の外周部、特にコーナー部の活性炭が有効に利用されないおそれがある。本実施例の上記構成によれば、上記主室1より第1室3Aを経て第3室3Cへ入る蒸気流れが複数に分流されるので、コーナー部の活性炭を有効利用でき、吸着効率を向上できる。また、副室2側の開口32を複数設けたことにより、吸着燃料をパージする際のパージ効率を向上できる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、キャニスタの圧損を増加させることなく、蒸発燃料の拡散を確実に防止できる。また、装置を大型化することがなく、構成が簡単で、実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明第1実施例のキャニスタの全体断面図であり、図1(b)は図1(a)のA矢視図である。
【図2】図2(a)は本発明第2実施例のキャニスタの全体断面図であり、図2(b)は図2(a)のB矢視図である。
【図3】図3は本発明第3実施例のキャニスタの全体断面図である。
【図4】図4(a)は本発明第4実施例のキャニスタの全体断面図であり、図4(b)は図4(a)のC矢視図である。
【符号の説明】
H 容器
1 主室
11 吸着材層
16 蒸発燃料導入ポート
17 パージポート
2 副室
21 吸着材層
26 大気ポート
3 空気室
31、32 開口
33 仕切り壁
34 連通路
3A 第1室
3B 第2室
3C 第3室
4、5 中間室
41、51 吸着材層
Claims (3)
- 蒸発燃料導入ポートとパージポートを備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層を有する主室と、大気導入ポートを備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層を有する副室と、上記主室および上記副室を連結する空気室を具備し、上記空気室を、上記主室側の第1室と、上記副室側の第2室と、これら第1室および第2室の間に設けられる第3室とに区画し、上記第3室の内部を仕切り壁にて仕切ることによりジグザグ状の一続きの連通路となし、該連通路の両端をそれぞれ上記第1室および上記第2室に開口せしめたことを特徴とするキャニスタ。
- 蒸発燃料導入ポートとパージポートを備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層を有する主室と、大気導入ポートを備え、蒸発燃料を吸着する吸着材層を有する副室と、上記主室と上記副室の間に設けられ、蒸発燃料を吸着する吸着材層を有する少なくとも1つの中間室と、上記各室間をそれぞれ連結する複数の空気室を具備し、上記空気室の少なくとも1つを、上記主室側の第1室と、上記副室側の第2室と、これら第1室および第2室の間に設けられる第3室とに区画し、上記第3室の内部を仕切り壁にて仕切ることによりジグザグ状の一続きの連通路となし、該連通路の両端をそれぞれ上記第1室および上記第2室に開口せしめたことを特徴とするキャニスタ。
- 上記第3室をさらに複数の小室に区画して、該小室内をそれぞれ仕切り壁にて仕切ることにより、互いに独立するジグザグ状の一続きの連通路を複数設け、これら連通路の両端をそれぞれ上記第1室および上記第2室に開口せしめた請求項1または2記載のキャニスタ。
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JP19589595A JP3628384B2 (ja) | 1995-07-06 | 1995-07-06 | キャニスタ |
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