JP3625659B2 - 負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式電子写真用現像剤組成物に関し、特に、荷電調整剤を多量に用いなくてもカスケード法またはブラシ法等によって容易に負に帯電させることができ、さらに低温での定着性、および耐ブロッキング性に優れる電子写真用現像剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、プリンター等において、露光により感光材料中に形成された潜像を可視像に変換する方式として、乾式現像方式がある。通常、トナーはキャリヤーとの摩擦によって帯電し、感光ドラム上の静電潜像に電気的引力によって付着し、次いで用紙上に転写された後、熱ロール等によって定着処理されて永久可視像に変換される。この乾式現像方式において用いられるトナーは、着色された樹脂粉末であり、カスケード法または磁気ブラシ法で摩擦したとき、100%が均一に正または負のどちらかに帯電し、現像した時カブリの無い画像が得られるものであることが求められる。
【0003】
ところで、カスケード法および磁気ブラシ法で摩擦されるとき、従来使用されてきたスチレン・アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂及び酸価を持たないポリエーテルポリオール樹脂からなるトナーは、荷電調整剤なしでは、帯電が弱く、荷電調整剤を用いなければ鮮明な画像が得られにくいことが知られている。トナーを強く負に帯電させるためには、モノアゾ染料の金属錯塩等の電子受容性染料、塩素化ポリオレフィン、銅フタロシアニンのスルフォニルアミン、オイルブラック、ナフテン酸金属塩、脂肪酸の金属塩等を添加することが有効とされている。しかし、このような荷電調整剤を添加してトナーの摩擦帯電性を制御することは、一般に荷電調整剤の前記樹脂への混和性が悪く、均一に分散しないことが多いことから、トナーの粒子表面の均一な負帯電が得られにくい問題があった。
【0004】
このような問題を解決するためには、荷電調整剤の助けを借りなくても本質的に強く帯電する樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル等を結着樹脂として用いることが考えられる。しかし、これらの樹脂は、トナー用樹脂に求められる他のいくつかの物理的性質、すなわち(1)比較的低い温度でシャープに溶けること、(2)常温でブロッキングまたはケーキングしないこと、(3)粉砕性に優れること、(4)定着性が良いこと、(5)着色剤との混和性が良いこと等の諸性質において満足な結果が得られず、これらの樹脂を用いたトナーは実用化されていない。一方近年、電子写真方式を利用した複写機が普及するに従って、複写機作動時の低エネルギー化(消費電力節約)、複写スピードの向上が求められている。このためには、定着温度の低い結着樹脂を使用することが求められる。しかし、一般に結着樹脂の軟化点を下げる、および分子量分布をシャープにする等して定着温度を下げようとすると、付随的にガラス転移温度も低下して、常温でブロッキングし易くなるという弊害が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、荷電調整剤を多量に用いなくてもカスケード法またはブラシ法によって容易に負に帯電させることができ、さらに低温での定着性、透明性および耐ブロッキング性に優れる電子写真用現像剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、前記課題を解決すべく研究した結果、本質的に負に帯電する特定のハーフエステル基含有の酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を、結着樹脂の主成分として用いることによって、前記(1)〜(5)のトナーとしての必要な特性を満足し、カスケード法または磁気ブラシ法によって負に帯電する、負荷電性乾式電子写真用現像剤トナーとして好適な組成物を得ることができることを知見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、酸価が2〜50(KOHmg/g)であり、軟化点が90〜140℃、かつガラス転移温度が50〜90℃である酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を主成分として含む結着樹脂と、着色剤とを含む負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物を提供するものである。
また本発明は、ポリエーテルポリオール樹脂に酸無水物を付加することにより得られる、酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を主成分として含む負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物を提供する。
【0007】
さらに本発明は、前記ポリエーテルポリオールトナー樹脂として、下記一般式(a):
【化6】
〔式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基またはフェニル基であり、nは0以上の整数である。〕
で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂(a)と、下記(1)〜(5)から選択されたエポキシ基と反応する活性水素を持つ化合物のうち少なくとも1種と反応してなるものであることを特徴とする負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物に関するものである。
(1) 一価のフェノール類
(2) 下記一般式(b)で表される二価のフェノール類
【化7】
〔式中、R3、およびR4、は、同一でも異なっていてもよく、水素原子 、メチル基、エチル基またはフェニル基である。〕
(3) 下記一般式(c)で表されるカルボン酸類
【化8】
〔式中R5は、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基であり、nは1〜4の整数である。〕
(4) 下記一般式(d)で表されるアルコール類
【化9】
〔式中R6は、炭素数1〜10のアルキル基又はアルキレン基であり、nは1〜20の整数である。〕
(5)下記一般式(e)で表される二価フェノールのアルキレンオキサイド付加物
【化10】
〔式中、R7及びR8は、同一でも異なっていてもよく、エチレン基プロピレン基、であり、pおよびqは1以上の整数であり、p+qは2〜10である。またR9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、グリシジル基または酸無水物付加基である〕
【0008】
本発明負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物は、ポリエーテルポリオール樹脂の第二級水酸基とラクトン類とを反応させた後、酸無水物を付加することにより得られる、酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を主成分として含んでいても良い。
また、前記のビスフェノール型エポキシ樹脂(a)が、異なる数平均分子量を有する二種以上のビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物であってもよい。
また本発明は、前記の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物を使用した乾式電子写真用トナーを提供する。
以下、本発明の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物(以下、「本発明の組成物」という)について詳細に説明する。
【0009】
一般式(a)で表される基本骨格のビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール類とエピクロルヒドリンから製造される、いわゆる一段法エポキシ樹脂が挙げられる[垣内 弘編著「新エポキシ樹脂」(昭晃堂)30頁(昭和60年)]。
【化11】
【0010】
式中、R1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基またはフェニル基であり、nは0以上の整数、好ましくは0〜2である。
このビスフェノール型エポキシ樹脂は、さらに熱重合する時の原料供給の操作性などの観点から、一般的にはGPC法による数平均分子量が300〜1000、好ましくは350〜800であり、エポキシ当量が150〜500(g/eq)、好ましくは170〜400(g/eq)である。また分子量の異なるビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物であってもかまわない。
酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂の原料となるポリエーテルポリオール樹脂は、前記一般式(a)で表される基本骨格のビスフェノール型エポキシ樹脂と、エポキシと反応する活性水素を持った化合物を反応させて製造する。
エポキシと反応する活性水素を持った化合物の例としては、下記(1)〜(5)のようなものが挙げられる。
(1) 一価のフェノール類
一価のフェノール類の具体例としては、フェノール、クレゾール、イソプロピル フェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレ ノール、P−クミルフェノール、P−オクチルフェノール、t−ブチルフェノール、 等が挙げられる。
【0011】
(2) 下記一般式(b)で表される二価のフェノール類
【化12】
【0012】
式中、R3、およびR4、は、同一でも異なっていてもよく、水素原子 、メチル基、エチル基またはフェニル基である。
一般式(b)で表される二価のフェノール類の具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン等の単核二価フェノール類、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称:ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(通称:ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(通称:ビスフェノールAD)等が挙げられる。
(3)下記一般式(c)で表されるカルボン酸類
【0013】
【化13】
【0014】
式中R5は、炭素数1〜20のアルキル基またはフェニル基であり、nは通常1〜4の整数、好ましくは1〜3の整数である。nがこのような範囲であると、製造時の反応性制御が容易となり好ましい。
一般式(c)で表されるカルボン酸類の具体例としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、オレイン酸、アラキン酸、リノール酸、ヒマシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、安息香酸等の一価カルボン酸類、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、マレイン酸、セバシン酸、デカメチレンジカルボン酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、マコン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、等の二価カルボン酸類、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシルプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、の三価以上の多価カルボン酸類等が挙げられる。
(4)下記一般式(d)で表されるアルコール類
【0015】
【化14】
【0016】
式中R6は、炭素数1〜10のアルキル基またはアルキレン基である。またnは通常1〜20の整数、特には1〜3の整数である。nがこのような範囲であると、製造時の反応性制御が容易になり好ましい。
一般式(d)で表されるアルコール類の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール等の一価のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の二価アルコール類、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエルスリトール、ジペンタエルスリトール、トリペンタエルスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0017】
(5)下記一般式(e)で表される二価フェノールのアルキレンオキサイド付加物
【化15】
【0018】
式中、R7及びR8は、同一でも異なっていてもよく、エチレン基プロピレン基、であり、pおよびqは1以上の整数であり、p+qは2〜10である。またR9及びR10はそれぞれ独立に、水素原子、グリシジル基または酸無水物付加基である。
一般式(e)で表される二価フェノールのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(1,1)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(2,2)−ポリオキシエチレン−(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。また、本発明において、芳香族ジオールとして、P−キシレングリコール、m−キシレングリコールも使用することができる。
結着樹脂の主成分である酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂は、分子内にカルボン酸ハーフエステル基を含む。その量は、酸価として2〜50(KOHmg/g)、好ましくは5〜30(KOHmg/g)含むものである。酸価がこの範囲であると、トナー化した時、荷電調整剤を多量に用いることなく、容易に帯電を発生することができる点が好ましい。
【0019】
また、この酸付加ポリエーテルポリポリオール樹脂は、軟化点が90〜140℃、好ましくは100〜130であるものである。
軟化点がこの範囲であると定着開始温度を低くすることができ、低温定着化の点から好ましい。
さらに、この酸付加ポリエーテルポリオール樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が50〜90℃で、好ましくは58〜80℃である。ガラス転移温度(Tg)がこのような範囲であると、高温・高湿度下に放置したときの耐ブロッキング性の点から好ましい。
また、この酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂は、GPC法で測定した場合の数平均分子量が、通常、1000〜10000程度であり、好ましくは2000〜5000程度であるものである。また、このポリエーテルポリオール樹脂の重量平均分子量は、通常、2000〜80000程度であり、好ましくは5000〜50000程度である。平均分子量がこれらの範囲にあると、定着温度幅を調整することができる点から好ましい。
本発明において、この酸付加ポリエーテルポリオール樹脂の具体例として、前述のポリエーテルポリオール樹脂と酸無水物とを、付加反応させて得られるものが挙げられる。
【0020】
酸無水物は、多塩基酸の二個のカルボキシル基が脱水縮合した化合物であり、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水マレイン酸、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、アルケニル無水コハク酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、テトラブロム無水フタル酸等を例示することができる。
酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂の製造は、例えば、エポキシ基と反応する活性水素化合物として、「多価アルコールと酸無水物との反応物」及び「エポキシ基と反応する一価の活性水素を持つ化合物」とを使用する場合、下記式:
【0021】
【数1】
【0022】
【数2】
【0023】
【数3】
【0024】
(1)式は製造しようとする樹脂の理論分子量を規定する。
(2)式はエポキシ基当量数と活性水素当量比を規定する。
(3)式は(1)、(2)式で得られたポリエーテルポリオール樹脂と反応させる酸無水物の添加量を規定する。
a1 :低分子ビスフェノール型エポキシ樹脂の仕込み重量(g)
a2 :高分子ビスフェノール型エポキシ樹脂の仕込み重量(g)
b :ビスフェノール類の仕込み重量(g)
c :多価アルコールと酸無水物との反応物の仕込み量(g)
e :エポキシ基と反応する一価の活性水素を持つ化合物の仕込み量(g)
f :酸無水物の仕込み量(g)
Na1:低分子ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/当量)
Na2:高分子ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/当量)
Nb :ビスフェノール類の水酸基当量(g/当量)
Nc :多価アルコールと酸無水物との反応物の活性水素当量(g/当量)
Ne :エポキシ基と反応する一価の活性水素を持つ化合物の活性水素当量
(g/当量)
にしたがって求められるポリエーテルポリオール樹脂の数平均分子量が1000〜10000好ましくは2000〜5000となるように、ビスフェノール類およびビスフェノール型エポキシ樹脂、多価アルコールの酸無水物との反応物、エポキシ基と反応する一価の活性水素を持つ化合物を仕込み、重付加反応させて行うことができ、上記反応物のポリエーテルポリオール樹脂100重量%に対し、酸無水物を1〜20重量%好ましくは1〜10重量%添加することにより酸価2〜50(KOHmg/g)の酸付加ポリエーテルポリオール樹脂の付加反応をおこなうことができる。
【0025】
また、この重付加反応において、前述の性能、またはこれらの性能のバランスを調整するために、前記の一般式(b)で表されるビスフェノール類以外の二価フェノール、多価フェノール、また、前記の一般式(a)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂以外の二官能性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂を、一種単独でもしくは2種以上の組合せを、必要に応じて追加して重付加反応を行うこともできる。追加して使用される成分は、通常、合計で、反応生成物重量に対して30重量%以下となる量が使用される。このように、前記の一般式(b)で表されるビスフェノール類および一般式(a)で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂以外に、前記の二価フェノール、多価フェノール、二官能性エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂等を重付加反応で使用する場合、前記数式(1)と同様に、得られるポリエーテルポリオール樹脂の数平均分子量が1000〜10000となるように使用される。
例えば、多価フェノールを追加して使用する場合、その多価フェノールに由来するフェノール性水酸基量を考慮して、また、多官能エポキシ樹脂を追加して使用する場合は、その多官能エポキシ樹脂に由来するエポキシ基の量を考慮して、得られるポリエーテルポリオール樹脂の分子量を計算し、その値が1000〜10000となるように各成分を使用して、重付加反応を行えばよい。
【0026】
この重付加反応において、前記一般式(b)で表されるビスフェノール類以外に、必要に応じて使用することができる二価フェノールとしては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン等の単核二価フェノール類、1,4−ビス〔α−(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルエチル〕ベンゼン等の三核二価フェノール類等が挙げられる。
また、必要に応じて使用することができる多価フェノールとしては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のフェノール類/ホルマリン縮合物、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1−〔α−メチル−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン等が挙げられる。
【0027】
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂以外の二官能性エポキシ樹脂としては、エーテル化ジフェノール類のジグリシジル化物、グリセロールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族二官能性エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル p−オキシ安息香酸等のジグリシジルエステル類などが挙げられる。
【0028】
また、多官能エポキシ樹脂としては、例えば、前記多価フェノール類のポリグリシジル化物、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル等の脂肪族多官能エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルm−アミノフェノール、テトラグリシジル m−キシリレンジアミン等のグリシジルアミンなどが挙げられる。
また、反応して得られたポリエーテルポリオール樹脂の二級水酸基に更にラクトン類を反応してポリエーテルポリオール樹脂を製造することができる。ラクトン類として、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、γ−パルミトラクトン、γ−ステアロラクトン、クロトラクロン、α−アンゲリラクトン、β−アンゲリラクトン、σ−バレロラクトン、σ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0029】
また、重付加反応に際しては、通常、触媒が用いられる。用いられる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスフィン等の有機リン化合物、塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属塩、三フッ化ホウ素、塩化アルミニウム、四塩化スズ等のルイス酸などを例示することができる。触媒を使用する場合、その使用量は、生成物量に対して、通常、1〜1000ppm、好ましくは5〜500ppmとなる量である。
本発明のポリエーテルポリオールの製造における付加反応においては、溶媒を併用することも可能である。好適な溶媒としては、キシレン、トルエン等の芳香族化合物、2−ブタノン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル類、N,N−ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン等の非プロトン性極性溶媒を例示することができる。これらの溶媒は1種単独でも2種以上を混合して使用することもできる。溶媒を使用する場合、その使用量は、通常、反応生成物の重量の1〜100%、好ましくは5〜50%の割合となる量である。
【0030】
熱重合反応の反応温度は、触媒量にもよるが、通常、120〜180℃の範囲である。また、反応は、一般的にはエポキシ当量、軟化点、GPCによる数平均分子量を測定することによって追跡することが可能であるが、本発明では、実質的にエポキシ基が消失した時点、すなわち、エポキシ当量として20000(g/当量)以上となった時点を反応終点とする方法が簡便である。
【0031】
本発明の組成物の必須成分である着色剤は、この種の電子写真用現像剤に常用される着色剤でよく、所望の色、結着樹脂との相溶性等に応じて適宜選択され、特に制限されない。例えば、黒色の電子写真用現像剤組成物を調製する場合は、従来公知の黒色の着色剤を使用することができる。黒色の着色剤の具体例として、カーボンブラック、表面を化学処理したグラフト化カーボンブラック等の顔料を挙げることができる。黒色以外の電子写真用現像剤組成物、例えば、イエロー、マゼンタまたはシアンの三原色の電子写真用現像剤組成物を調製する場合、それぞれ従来公知の着色剤を使用することができ、特に制限されない。例えば、イエローの電子写真用現像剤組成物を調製する場合に用いられる着色剤として、クロームイエロー、キノリンイエロー等が挙げられる。また、マゼンタの電子写真用現像剤組成物を調製する場合に用いられる着色剤として、例えば、デュポンオイルレッド、ローズベンガル等が挙げられる。さらに、シアンの電子写真用現像剤組成物を調製する場合に用いられる着色剤として、例えば、アニリンブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルーが挙げられる。
【0032】
本発明の組成物における着色剤の配合量は、組成物の全量に対して、通常、0.01〜20重量%程度、好ましくは1〜10重量%程度となる量である。
また、本発明の組成物を1成分系現像剤である磁性トナーとして用いる場合には、磁性粉が配合される。用いられる磁性粉としては、例えば、フェライト、マグネタイト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル等の金属からなるものが挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、この磁性粉は、粒径1μm以下の微粉末であることが好ましい。本発明の組成物が磁性粉を含有する磁性トナーである場合、その配合割合は、通常、結着樹脂100重量部に対して30〜300重量部程度、好ましくは50〜200重量部の割合である。
【0033】
さらに、本発明の組成物は、前記の結着樹脂、着色剤、または磁性粉以外に、必要に応じて、従来の電子写真用現像剤に常用の各種の配合剤を配合することができる。例えば、結着樹脂として常用されているスチレンアクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を配合することができる。また、必要に応じて、荷電調整剤、可塑剤、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、パラフィンワックス、アミドワックス、シリコンオイル等の離型剤、シリカ等の流動性向上剤などを配合することもできる。
【0034】
本発明の組成物は、通常、平均粒径3〜20μm、好ましくは5〜15μmの粒子の形態で使用に供される。
本発明の組成物は、結着樹脂、着色剤としての顔料または染料、および1成分系現像剤である磁性トナーとする場合には、さらに磁性粉、ならびに必要に応じて荷電調整剤、その他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機によって十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、押出機等の加熱混合機を用いて溶融混合する。次に、冷却固化後、ジェットミル等を用いて粉砕および分級を行って製造することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例および比較例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、合成例、実施例および比較例におけるエポキシ当量、GPCによる数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)、ガラス転移点、軟化点、酸価、ならびに耐ブロッキング性、帯電量の測定は、下記の方法にしたがって測定または評価した。
【0036】
1)エポキシ当量;
樹脂試料0.2〜5gを精秤し、200mlの三角フラスコに入れた後、ジオキサン25mlを加えて溶解させる。1/5規定の塩酸溶液(ジオキサン溶媒)25mlを加え、密栓して十分混合後、30分間静置する。次に、トルエン−エタノール混合溶液(1:1容量比)50mlを加えた後、クレゾールレッドを指示薬として1/10規定水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。滴定結果に基づいて下記式に従ってエポキシ当量(g/当量)を計算する。
エポキシ当量(g/当量)=1000×W/〔(B−S)×N×F〕
W:試料採取量(g)
B:空試験に要した水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
S:試料の試験に要した規定水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
N:水酸化ナトリウム水溶液の規定度
F:水酸化ナトリウム水溶液の力価
【0037】
2)GPCによる数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定;
樹脂試料180mgをTHF10mlに溶解して試料液を調製し、この試料液25μlを、カラムに注入し、下記の条件で保持時間の測定を行う。また、予め、平均分子量既知のポリスチレンを標準物質として用いて、保持時間を測定して作成しておいた検量線から樹脂試料の平均分子量(Mn、Mw)をポリスチレン換算で求める。
・カラム :ガードカラム+GLR400M+GLR400M+GLR400(全て日立製作所(株)製)
・カラム温度 :40℃
・移動相(流量):THF(1ml/min)
・ピーク検出法 :UV(254nm)
3)ガラス転移温度(Tg);
下記の示差走査型熱量計を用いて、下記条件で測定した。
4)軟化点(SP);
軟化点測定装置(メトラー社製、FP90)を使用して、1℃/minの昇温速度で試料の軟化温度を測定した。
【0038】
5)酸価;
試料10〜20gを精秤して200ml三角フラスコに入れ、99.5重量%エタノール40mlを加えて溶解させる。1重量%フェノールフタレイン水溶液を指示薬として用い、1/10規定水酸化ナトリウム溶液で滴定する。滴定結果に基づいて、下記式にしたがって酸価(mgKOH/g)を計算する。
酸価(mgKOH/g)=(5.610×V×N×F)/W
W:試料採取量(g)
S:試料の試験に要した水酸化ナトリウム水溶液の量(ml)
N:水酸化ナトリウム水溶液の規定度
F:水酸化ナトリウム水溶液の力価
6)複写試験
富士ゼロックス社製の電子写真複写機(富士ゼロックス3500)の定着用熱ローラーの表面温度を変更可能に改造した複写試験機を用いて、定着用熱ローラーの表面温度を100〜200℃の範囲で変えて、上記の現像剤による複写を行った。得られる複写画像の消しゴムで摩擦したときの複写画像の濃度変化を目視で観察した。定着用熱ローラーの表面温度を110℃から5℃刻みで上げ、定着率が85%を超えた時の温度を最低定着温度とした。
【0039】
7)耐ブロッキング性
直径5cmおよび高さ15cmのガラス製容器に、現像剤組成物粉末50cm3を仕込み、現像剤組成物粉末の上から直径5cmのSUS製分銅で荷重500gを加える。湿度60%RH、温度40℃の雰囲気下で5日間放置した後、室温下で3時間放置する。次に、分銅を除去した後、ガラス製容器を逆さまにさせ、そのときの現像剤組成物粉末の流れ易さを目視で観察し、下記の基準で評価する。
◎:ガラス製容器を逆さまにするだけで全ての現像剤組成物粉末が流出する。
○:ガラス製容器を逆さまにして軽く振ると、90%以上の現像剤組成物粉末が流出する。
△:ガラス製容器を逆さまにして軽く振っても70%の現像剤組成物粉末が容器中に残留する。
×:ガラス製容器を逆さまにして軽く振っても50%以上の現像剤組成物粉末が容器中に残留する。
【0040】
8)帯電試験
樹脂単身の帯電量の測定を行う為、着色剤、荷電調整剤、離型剤等の影響を受けないように下記操作により測定を行った。
サンプルの調整:評価を行う樹脂の粗粉砕を行い、その後ジェットミル粉砕機により微粉砕を行い、粒度分布の中心が7〜8μmとなるように分級を行う。得られた分級樹脂を22℃、55%RHで24時間以上静置環境下に置き測定を行う帯電量の測定:上記樹脂を100ml瓶に現像剤濃度2%(ノンコートキャリアF−100を49g、樹脂を1g計り取る)とし、タ−ブラーシェーカーに取り付け撹拌レベル2で撹拌を行い、測定時間ごとにサンプリングを行いブローオフ帯電測定装置で帯電量の測定を行った。
【0041】
[合成例1]
攪拌装置、温度計、窒素導入口、および冷却管を備えた容量500mlのセパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂[三井化学工業(株)製エポミックR140P、エポキシ当量:188(g/当量)、粘度:13500mPa・s]156.1g、高分子ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂[三井化学工業(株)製エポミックR309R、エポキシ当量:2630(g/当量)]15.0g、ビスフェノールA60.3g、安息香酸23.6g、ビスフェノールA付加プロピレオキシド[三井化学工業(株)KB−280]の無水フタル酸付加物45.0gおよびキシレ33.3gを仕込み、窒素雰囲気下で昇温を開始し、内温80℃で反応触媒として50%テトラメチルアンモニウムクロリド水溶液120μlを添加した。さらに昇温し、内温が160℃に到達したら溶液中で反応を開始した。温度を保持しながら、1時間反応を行い再度触媒の50%テトラメチルアンモニウムクロリド水溶液120μlを添加し、キシレンの減圧濃縮を開始し、温度を保持しながら約1時間かけて10mmHgまで減圧した。反応混合物の温度を160℃に維持しながら撹拌し、反応させた。反応中、エポキシ基の残存量を、一定時間毎に測定したところ、約6時間でエポキシ当量が20000(g/当量)以上を示し、エポキシ基が実質的に消失したことが確認された。この時点で(反応開始後7時間)酸無水物のヘキサヒドロ無水フタル酸[新日本理化(株)社製リカシッドMH−700]9.1g添加し、1時間ごとに酸価の測定を行ったところ約4時間で酸価が8.5(KOHmg/g)で安定したので、生成した溶融状態の酸付加ポリエーテルポリオール樹脂をフラスコから抜き出した。得られたポリオール樹脂の軟化点は116℃、ガラス転移温度:68℃、酸価8.5(KOHmg/g)数平均分子量(Mn):3370、重量平均分子量(Mw):15260、Mw/Mn:4.5であった。以下、この酸付加ポリエーテルポリオール樹脂を(P−1)という。
【0042】
[合成例2]
低分子ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂156.0g、高分子ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂15.0g、ビスフェノールA57.9g、安息香酸26.1g、ビスフェノールA付加プロピレオキシドの無水フタル酸付加物45.0gおよびキシレ33.3gを仕込み合成例1と同様に反応させた。エポキシ当量が20000(g/当量)以上を示し、エポキシ基の消失したことを確認し酸無水物のヘキサヒドロ無水フタル酸16.8g添加し、約4時間反応させ生成した溶融状態の酸付加ポリエーテルポリオール樹脂をフラスコから抜き出した。得られたポリオール樹脂の軟化点は115℃、ガラス転移温度:68℃、酸価15.0(KOHmg/g)数平均分子量(Mn):3065、重量平均分子量(Mw):14040、Mw/Mn:4.6であった。以下、この酸付加ポリエーテルポリオール樹脂を(P−2)という。
【0043】
[合成例3]
低分子ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂156.3g、高分子ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂15.0g、ビスフェノールA63.6g、安息香酸20.1g、ビスフェノールA付加プロピレオキシドの無水フタル酸付加物45.0gおよびキシレ33.3gを仕込み合成例1と同様に反応させた。エポキシ当量が20000(g/当量)以上を示し、エポキシ基の消失したことを確認し溶融状態のポリエーテルポリオール樹脂をフラスコから抜き出した。
得られたポリオール樹脂の軟化点は113℃、ガラス転移温度:63℃、酸価0.1(KOHmg/g)数平均分子量(Mn):3380、重量平均分子量(Mw):15280、Mw/Mn:4.5であった。以下、このポリエーテルポリオール樹脂を(P−3)という。
【0044】
[実施例1]
合成例1で得られたポリオール樹脂(P−1)180g、カーボンブラック(三菱化学(株)製、MA−100)12g、およびポリプロピレンワックス(三洋化成社製、ビスコール660P)6gを、スーパーミキサーで混合後、二本ロールで溶融混練した。冷却後、ジェットミルで粉砕し、さらに乾式気流分級機で分級して平均粒径径10μmの粒子からなるポリオール樹脂粉末を得た。次いで、このポリオール樹脂粉末100g当り0.3gの割合で疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972)を混合し、ヘンシェルミキサー内で30秒間撹拌し、電子写真用現像剤組成物を得た。この電子写真用現像剤組成物のガラス転移温度の測定および耐ブロッキング性、帯電試験の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
得られた電子写真用現像剤組成物5gと、鉄粉キャリアー(平均粒径:60〜100μm)95gとを、均一に混合して現像剤を調製し、その現像剤を用いて複写試験を行い、最低定着温度およびその温度での定着強度を測定した。結果を表1に示す。
【0045】
[実施例2〜3]
各例において、ポリオール樹脂(P−1)の代わりに、ポリオール樹脂(P−2)、(P−3)180g、それぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして負荷性電子写真用現像剤組成物を製造した。得られた電子写真用現像剤組成物のガラス転移温度の測定および耐ブロッキング性の評価を行った。結果を表1に示す。
また、得られた電子写真用現像剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、現像剤を調製し、その現像剤について、複写試験および耐ブロッキング性、帯電試験の評価を行った。結果を表1、表2に示す。
【0046】
[比較例1]
ポリオール樹脂(P−1)の代わりに、市販のポリエステル樹脂(日本カーバイド工業社製、NCP−001)を用いた以外は、実施例と同様にして現像剤組成物を製造し、そのガラス転移温度の測定および耐ブロッキング性、帯電試験の評価を行った。さらに、得られた現像剤組成物を用いて、実施例1と同様にして、現像剤を調製し、その現像剤について、複写試験および耐ブロッキング性の評価を行った。結果を表1に示し、帯電量の測定を表2に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【発明の効果】
本発明の負荷電性電子写真用現像剤組成物は、荷電調整剤を多量に用いなくてもカスケード法またはブラシ法によって容易に負に帯電させることができ、さらに低温での定着性、耐ブロッキング性に優れるため、長期間保存してもブロッキングしない負電荷性乾式電子写真用現像剤として好適なものである。
Claims (6)
- 酸価が2〜50(KOHmg/g)であり、軟化点が90〜140℃、かつガラス転移温度が50〜90℃である酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を主成分として含む結着樹脂と、着色剤とを含む負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物。
- ポリエーテルポリオール樹脂に酸無水物を付加することにより得られる、酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を主成分として含むことを特徴とする、請求項1に記載の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物。
- 前記ポリエーテルポリオール樹脂が、下記一般式(a):
で表されるビスフェノール型エポキシ樹脂(a)と、下記(1)〜(5)から選択された、エポキシ基と反応する活性水素を持つ化合物のうち少なくとも1種とを反応してなるものであることを特徴とする、請求項2に記載の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物。
(1)一価のフェノール類
(2)下記一般式(b)で表される二価のフェノール類
(3)下記一般式(c)で表されるカルボン酸類
(4)下記一般式(d)で表されるアルコール類
(5)下記一般式(e)で表される二価フェノールのアルキレンオキサイド付加物
- ポリエーテルポリオール樹脂の第二級水酸基とラクトン類とを反応させた後、酸無水物を付加することにより得られる、酸付加型ポリエーテルポリオール樹脂を主成分として含むことを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物。
- 前記のビスフェノール型エポキシ樹脂(a)が、異なる数平均分子量を有する二種以上のビスフェノール型エポキシ樹脂の混合物であることを特徴とする、請求項3に記載の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の負荷電性乾式電子写真用現像剤組成物を使用した乾式電子写真用トナー
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