JP3624209B2 - 農園芸用殺菌剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は農薬に関するものであり、より具体的には、農園芸用殺菌剤として有用な農薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農園芸分野では各種植物病害の防除を目的とした様々な殺菌剤が開発され実用に供されている。しかしながら、従来汎用されている農園芸用殺菌剤は、殺菌効果や殺菌スペクトラムなどの有効性、あるいは残効性などの安全性において必ずしも満足すべきものではなく、例えば、施用回数や施用薬量の低減などの観点からの改良が求められている。また、従来汎用の農薬に対して抵抗性を獲得した病原菌の出現も問題となっており、これらの病原菌に起因する各種病害の防除が年々困難になっている。従って、抵抗性の各種病原菌に対しても低薬量で十分な防除効果を示し、環境への悪影響が軽減された農園芸用殺菌剤の開発が切望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、優れた防除作用と高い安全性を有する農薬、特に農園芸用殺菌剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決すべき手段】
本発明者らは、先に、植物の芽生え期に特異的な病害制御機構を研究する目的で黄化芽生えに含まれる抗菌性物質の検索を行ない、インド型栽培イネから抗菌性の 5−(8’Z−ヘプタデカニル)−レゾルシノールを単離することに成功し、この物質の蓄積が緑色芽生えにはほとんど認められず黄化体に特異的であることを確認した。本発明者らはさらに鋭意研究を行い、モロコシの黄化芽生え中にも特異的な抗菌性物質が存在することを見いだした。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0005】
すなわち本発明は、下記の式:
【化2】
で示される農薬を提供するものである。本発明の好ましい態様によれば、農園芸用殺菌剤である上記農薬;植物病害の予防及び/又は防除のために用いる上記農薬が提供される。また、本発明の別の態様によれば、上記の農薬、好ましくは農園芸用殺菌剤の製造のための上記化合物の使用;並びに、植物病害の予防及び/又は治療有効量の上記化合物を茎葉処理、種子処理、土壌処理、及び水面処理からなる群から選ばれる処理によって施用する工程を含む植物病害の予防及び/又は防除方法が提供される。
【0006】
上記式で示される本発明の農薬の有効成分は、トウモロコシ、モロコシ、ソルガム系牧草類の根部に半寄生する植物(Striga asiatica) の種子発芽促進物質由来の自動酸化物として報告された公知化合物である [Chang, M., et al., J. Am. Chem. Soc., 108, pp.7858−7860, 1986: 2−hydroxy−5−methoxy−3−(8’Z,11’Z,14’−pentadecatriene)−p−benzoquinone] 。この化合物は上記文献に記載された方法で製造することができるほか、本明細書の実施例に記載された方法に従ってモロコシから分離・精製することが可能である。
【0007】
上記の化合物は、農園芸用植物の病原菌に対して高い殺菌効果を有しており、農薬、好ましくは農園芸用殺菌剤の有効成分として有用である。例えば、水稲のいもち病、ごまはがれ病、なえたちがれ病;麦類のあかかび病、あかさび病、きさび病、くろさび病、うどんこ病;甘薯のこくはん病などの植物病害に高い防除効果を有している。また、例えば、そら豆(さび病等)、えんどう(うどんこ病等)、ほうれんそう(たちがれ病等)、セロリ(はがれ病等)、きゅうり(うどんこ病等)、いちご(うどんこ病等)、ホップ(はいいろかび病等)、りんご(あかほし病等)、梨(くろほし病等)、桃(くろほし病等)、柿(うどんこ病等)、桑(うれうどんこ病等)、及びばら(うどんこ病等)等の農園芸用植物の各種病原菌を防除対象とすることもできる。もっとも、防除対象となる植物病原菌は上記に例示したものに限定されることはない。これらのうち、水稲のいもち病は本発明の農薬により特に好適に防除可能な病害である。
【0008】
上記化合物を農園芸用殺菌剤として植物病害の防除に使用する場合には、それ自体を用いてもよいが、当業界で汎用される農薬補助剤を用いて組成物の形態の農園芸用殺菌剤を製造して施用することが好ましい。農園芸用殺菌剤の形態は特に限定されないが、例えば、乳剤、水和剤、水溶剤、懸濁剤(フロアブル剤)、油剤等の液剤;粉剤、微粒剤、粒剤、錠剤、マイクロカプセル剤等の固形剤;くん煙剤;くん蒸剤などの形態の組成物が好適である。農園芸用殺菌剤の製造に用いられる農薬補助剤は、例えば、農園芸用殺菌剤の効果の向上、安定化、分散性の向上等の目的で使用することができるが、このような農薬補助剤としては、例えば、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を挙げることができる。もっとも、農薬補助剤は上記に例示したものに限定されることはなく、農園芸用殺菌剤の形態や施用の目的及び方法などに応じて適宜選択することが可能である。
【0009】
例えば、液体担体としては、水、メタノール、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。また、固体担体としては、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
【0010】
乳化剤、分散剤としては、通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤等を用いることができる。また、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の展着剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
【0011】
農園芸用殺菌剤に配合される上記化合物の含有量は特に限定されず、農園芸用殺菌剤の形態、並びに施用の目的及び方法等の条件に応じて適宜選択することが可能であるが、例えば、粉剤、水和剤、及び乳剤等では、一般的には農園芸用殺菌剤の全重量に対して 0.0001 〜20重量%の範囲から選択することができる。
【0012】
例えば、上記化合物に溶剤及び界面活性剤等を混合して原液の乳剤を製造し、使用に際して適宜の濃度に水で希釈して施用することができる。また、上記化合物、固形担体及び界面活性剤等を混合して水和剤を製造し、使用に際して水で希釈して施用することができる。さらに、上記化合物と固形担体等とを混合して粉剤を製造することができ、上記化合物、固形担体、及び界面活性剤等を混合して造粒することにより粒剤を製造することができる。粉剤及び粒剤は製造したものをそのまま施用することができる。もっとも、農園芸用殺菌剤の形態及び製造方法、並びにその施用方法は上記のものに限定されることはなく、当業者が適宜選択可能であることはいうまでもない。
【0013】
本発明の農園芸用殺菌剤には、有効成分である本発明の化合物以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、昆虫生育調整剤、肥料、土壌改良剤等の任意の有効成分を配合してもよい。本発明の農園芸用殺菌剤の施用対象及び施用形態は特に限定されないが、例えば、茎葉処理(液剤散布、粉剤散布、煙霧など)、種子処理(浸漬、粉衣、塗抹など)、土壌処理(粉剤散布、灌注、混和、くん蒸など)、水面施用(粒剤散布、灌注など)等のいずれでもよい。例えば、茎葉散布の場合、1 〜1,000 ppm 程度の溶液を1アール当たり10〜100 リットル程度の施用量で用いればよく、水面施用の場合の施用量は、通常、有効成分が 1〜20% 程度の粒剤では、1アール当たり0.1 〜1 Kg程度である。もっとも、これらの施用量は一例として記載したものであり、施用量はこれらに限定されることはなく、防除対象となる植物病原菌の種類や病害の程度、組成物の形態などに応じて適宜増減することが可能である。
【0014】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。
例1:化合物の抽出
28℃の暗所で9日間育種したモロコシ(Sorghum bicolor) の黄化芽生え(約 740 g, 新鮮重量) を常法に従ってメタノール抽出し、抽出液を減圧濃縮した。残渣を常法に従って塩化メチレンおよびn−ブタノール可溶画分を調製した。緑色芽生えからも同様な画分を調製し、イネいもち病菌胞子の発芽阻害活性を指標としてこれらの画分の抗菌活性の測定を行ったところ、黄化体からの塩化メチレン画分は緑色体からの塩化メチレン画分に比べて約10倍もの高い活性を示し、一方、ブタノール画分は両者でほぼ同程度の活性を示した。
【0015】
黄化芽生えから調製した塩化メチレン抽出画分を減圧濃縮して残渣 2.03 g を得た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5%酢酸エチル−ベンゼン)で精製して活性画分 1.482 gを得、さらにこの活性画分をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30% 酢酸エチル−ヘキサン)で精製して活性物質 200 mg を淡黄色粉末として分離した。各種スペクトル分析の結果は、この物質が2−ヒドロキシ−5− メトキシ−3−(8’Z,11’Z,14’− ペンタデカトリエン)−p−ベンゾキノンであることを示していた(Chang, M., et al., J. Am. Chem. Soc., 108, pp.7858−7860, 1986) 。
【0016】
例2:抗菌活性の測定
25〜27℃のオートミール寒天培地(胞子形成培地, 直径 6 cm のシャーレ内)上でイネいもち病菌 (Pyricuralia oryzae) を 3〜5 日間培養してコロニーを形成させ、このコロニー上に蒸留水を流しながら気中胞子を洗い流し、BLB ランプ照射下でさらに2日間培養した。この培養物に数 ml の蒸留水を加えてハケで分生胞子を浮遊させ、濾紙を用いて濾過した。濾液の一部をスライドグラスに取り、光学顕微鏡(×200)で胞子数を観察した。胞子が一視野あたり 5〜10個になるように蒸留水で希釈した。
【0017】
試料に計算量の 99%エチルアルコールを加え、超音波を照射して十分溶解させた。この溶液に計算量の蒸留水を加えて 15%エチルアルコール水溶液の検定試料を調製した。二穴スライドグラスに試料溶液30μl を加え、次いで胞子懸濁液30μl を加えた。培養液が均一になるようによく攪拌した後、25〜27℃、湿度 100% でインキュベートした。 4〜5 時間後、光学顕微鏡(×200)を用いて胞子発芽の有無を調べた。発芽管の長さが胞子の短径の半分を超える場合を発芽と見なし、発芽阻害率(%) は 100− [試料の発芽率(%) ÷コントロールの発芽率(%)]×100 に従って計算した。試料溶液に替えて15% エチルアルコール水溶液を用いたものをコントロールとした。この結果、上記の活性物質のED50は約 6 ppmであった。
【0018】
【発明の効果】
本発明の農薬の有効成分は植物病原菌に対して優れた防除効果を有しているので、本発明の農薬は特に農園芸用殺菌剤として有用である。上記有効成分はモロコシに含まれる天然の植物成分であり、安全性が高いうえ、農園芸植物の育種に悪影響を与えないという特徴がある。
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