JP3648608B2 - 植物用防カビ剤及びカビ発生防止方法 - Google Patents

植物用防カビ剤及びカビ発生防止方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物用防カビ剤に関する。より詳細には、本発明は、種子の播種・育成用培地または組織培養用培地に直接添加することにより、種子及び植物組織の無菌培養におけるカビ発生の防止に有効な植物用防カビ剤である。
【0002】
【従来の技術】
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は植物体が小さく、生育が容易で生活環が2か月と短いこと、ゲノムサイズが高等植物で最小であるなどの特色を有し、またその全塩基配列が明らかにされたことから、遺伝子の導入、組換え、変異や発現などの実験に頻繁に利用されている。シロイヌナズナは通常エタノール溶液及び次亜塩素酸ソーダ溶液に浸漬処理することによって消毒した種子をMS培地(Murashige-Skoog)に播種し育苗する。種子消毒は上記のような浸漬処理以外にも様々な方法があるが、多量に播種されるような場合には、溶液浸漬後の洗浄操作が煩雑なため塩素ガスによる滅菌処理が行われる。通常は十分に消毒殺菌された種子は播種してから雑菌の繁殖を見ることは希であるが、時として多くの種子からカビが発生する。カビの発生は採種時の汚染に起因するところが大きい。採種時にはポット植えの植物が透明フィルムの筒の中に誘引して(アラシステム)栽培されるが、多くの場合高湿によりポットの土壌面にカビの発生が見られる。著しい場合には、そのカビが土壌面から離れたフィルム円筒中にも繁殖し、花弁や莢の表面でカビの菌糸や胞子が観察される。このような状態で採種された種子はカビ胞子などの汚染が著しく、日和見感染により種皮組織内にも菌の存在が推測される。このような種子では上述したような種子消毒だけでは培地上のカビの発生を十分に抑えることができない。
【0003】
発生するカビは多様で何れも同定されていないが、恒常的に見られるのは数種のカビに限られる。薄ピンクのコロニー(MS培地上)を形成するカビとPenicilliumが多く、FusariumAcremonium様のカビ等も見出されている。培地に加える防カビ剤はこれまでベノミル(Benomyl)が多く用いられ、またイソチアゾロン系化合物2種の混合剤が専用の殺菌剤として市販されているが、高価格であることや、効果の点でかなり劣るなどという問題があった。また、これらの既存の製剤は効果を上げるために使用濃度を増やすと、カビの発生は抑えられるものの植物の生育を阻害するという問題もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、より安価で、確実な防カビ効果を有し、かつ植物の生育を阻害しない植物用防カビ剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく、抗菌スペクトラムが広く抗菌活性が強い農業用殺菌剤を組み合わせて使用することを検討した。その結果、数種の特定の薬剤を組み合わせて種子の播種・育成用培地、あるいは組織培養用培地に直接加えることにより、単独の薬剤では対象植物に生長阻害が起こるような高い使用濃度でしか得ることができなかった100%の防カビ効果が比較的低い使用濃度で得られ、しかも植物の成長阻害が起こらないことを見出した。本発明はかかる知見を基にして完成された。
【0006】
すなわち、本発明は、フルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル(Thiophanate-methyl)、ベノミル(Benomyl)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)から成る群より選ばれる抗菌スペクトラムの異なる少なくとも2種以上の化合物を組み合わせて構成される植物用防カビ剤を提供するものである。
本発明の好ましい態様によれば、対象植物の種子の播種・育成用培地または組織培養用培地に添加することによって使用される、上記植物用防カビ剤が提供される。
本発明の別の好ましい態様によれば、該2種類以上の化合物を100%の防カビ率が達成されるように選択し、かつ該2種類以上の化合物の各々を対象植物の生長が阻害されない濃度で使用する、上記植物用防カビ剤が提供される。
本発明のさらに別の好ましい態様によれば、該2種以上の化合物がフルジオキソニル(Fludioxonil)とチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)の組み合わせである、上記植物用防カビ剤;該2種以上の化合物がフルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル(Thiophanate-methyl)、及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)の組み合わせである、上記植物用防カビ剤;対象植物がシロイヌナズナである、上記植物用防カビ剤が提供される。
本発明の別の態様によれば、フルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル(Thiophanate-methyl)、ベノミル(Benomyl)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)から成る群より選ばれる抗菌スペクトラムの異なる少なくとも2種以上の化合物を防カビ効果を発揮するのに有効な量において対象植物の種子の播種・育成用培地または組織培養用培地に添加することを含む、カビ発生防止方法が提供される。
本発明のさらに別の態様によれば、フルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル(Thiophanate-methyl)、ベノミル(Benomyl)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)から成る群より選ばれる抗菌スペクトラムの異なる少なくとも2種以上の化合物を防カビ効果を発揮するのに有効な量において対象植物の種子を処理することを含む、カビ発生防止方法;フルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル(Thiophanate-methyl)、ベノミル(Benomyl)、ジクロフルアニド(Dichlofluanid)、及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)から成る群より選ばれる抗菌スペクトラムの異なる少なくとも2種以上の化合物を防カビ効果を発揮するのに有効な量において土壌表面に散布することを含む、カビ発生防止方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の植物用防カビ剤の有効成分は、フェニルピロール系殺菌剤のフルジオキソニル(Fludioxonil;化学名4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンズ[d]ジオキソール−4−イル)−3−シアノピロール)、ベンズイミダゾール系殺菌剤のチオファネートメチル(Thiophanate-methyl:化学名ジメチル4,4’−(O−フェニレン)ビス(3−チオアロダネート))、ベンズイミダゾール系殺菌剤のベノミル(Benomyl:化学名1−[(ブチルアミノ)カルボニル−1H−ベンズイミダゾール−2−イル]カルバミン酸メチルエステル)、スルフェニルフェン酸系のジクロフルアニド(Dichlofluanid:化学名1,1−ジクロロ−N−[(ジメチルアミノ)スルホニル]−1−フルオロ−N−フェニルメタンスルフェナミド及びキノリン系抗バクテリア剤のオキソリニック酸(Oxolinic acid:化学名5−エチル−5,8−ジヒドロ−8−オキソ[1,3]−ジオキソロ[4,5g]キノリン−7−カルボン酸)から成る群より選ばれる2種以上の化合物の組み合わせである。本発明の植物用防カビ剤の有効成分としては、フルジオキソニル(Fludioxonil)とチオファネートメチルの組み合わせが好ましく、フルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)の組み合わせが特に好ましい。上記した本発明で有効成分として用いる化合物は、植物病害防除または種子消毒用の殺菌剤として市販されており、それらを利用できる。
【0008】
本明細書で言う「防カビ」とは、カビを死滅させること、カビの生育を完全に阻止すること、カビの生育を抑制すること、またはカビの生育を予防することなどを含めて最も広義に解釈されるべきであり、いかなる意味においても限定的に解釈されるべきではない。
【0009】
本発明の植物用防カビ剤は、有効成分である上記した2種類以上の化合物を組み合わせて構成される。即ち、本発明の植物用防カビ剤は、上記2種類以上の化合物を混合して成る組成物の形態として提供してもよいし(以下、この形態を第一の形態と称する)、あるいは、上記化合物のうちの1種類だけを含む製剤(以下、この製剤のことを、「構成要素製剤」と称する)をそれぞれ別個に調製し、各製剤を組み合わせて構成される製剤キットの形態として提供してもよい(以下、この形態を第二の形態と称する)。さらにまた、3種類以上の有効成分を使用する場合には、上記の第一の形態と第二の形態を組み合わせた形態として提供してもよい。
【0010】
本発明の植物用防カビ剤およびその構成要素製剤には、有効成分である上記化合物以外に、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、除草剤、昆虫生育調整剤、肥料、土壌改良剤等の任意の有効成分を配合してもよい。組織培養などバクテリアの混入が懸念される場合、カルベニシリンなど抗バクテリア活性の強い抗生物質などを加えてもよい。
【0011】
有効成分である化合物を用いて本発明の植物用防カビ剤またはその構成要素製剤を調製する場合には、それ自体を単独で用いてもよいが、当業界で汎用される農薬補助剤を用いて組成物にして使用することが好ましい。本発明の植物用防カビ剤およびその構成要素製剤の形態は特に限定されないが、例えば、乳剤、水和剤、水溶剤、懸濁剤(フロアブル剤)、油剤等の液剤;粉剤、微粒剤、粒剤、錠剤、マイクロカプセル剤等の固形剤;くん煙剤;くん蒸剤などの形態の組成物が好適である。
【0012】
本発明の植物用防カビ剤およびその構成要素製剤の製造に用いられる農薬補助剤は、例えば、防カビ効果の向上、製剤の安定化、製剤の分散性の向上等の目的で使用することができるが、このような農薬補助剤としては、例えば、担体(希釈剤)、展着剤、乳化剤、湿展剤、分散剤、崩壊剤等を挙げることができる。もっとも、農薬補助剤は上記に例示したものに限定されることはなく、植物用防カビ剤の形態や施用の目的及び方法などに応じて適宜選択することが可能である。
【0013】
例えば、液体担体としては、水、メタノール、ブタノール、グリコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、メチルナフタレン、シクロヘキサン、動植物油、脂肪酸等を挙げることができる。また、固体担体としては、クレー、カオリン、タルク、珪藻土、シリカ、炭酸カルシウム、モンモリナイト、ベントナイト、長石、石英、アルミナ、鋸屑、ニトロセルロース、デンプン、アラビアゴム等を用いることができる。
【0014】
乳化剤、分散剤としては、通常の界面活性剤を使用することができ、例えば、高級アルコール硫酸ナトリウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ラウリルベタイン等の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤等を用いることができる。また、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等の展着剤;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルスルホサクシネート等の湿展剤;カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等の固着剤;リグニンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の崩壊剤を用いることができる。
【0015】
例えば、上記化合物に溶剤及び界面活性剤等を混合して原液の乳剤を製造し、使用に際して適宜の濃度に水で希釈して施用することができる。また、上記化合物、固形担体及び界面活性剤等を混合して水和剤を製造し、使用に際して水で希釈して施用することができる。さらに、上記化合物と固形担体等とを混合して粉剤を製造することができ、上記化合物、固形担体、及び界面活性剤等を混合して造粒することにより粒剤を製造することができる。粉剤及び粒剤は製造したものをそのまま施用することができる。
【0016】
本発明の植物用防カビ剤は、そのまま、又は水等で適宜希釈し、若しくは懸濁させた形でカビ防除に有効な量を対象植物の種子の播種・育成用培地または組織培養用培地に添加する態様で使用することが好ましい。また、本発明の植物用防カビ剤は、このような培地添加のほかに、例えば、茎葉処理(液剤散布、粉剤散布、煙霧など)、種子処理(浸漬、粉衣、塗抹など)、土壌処理(粉剤散布、灌注、混和、くん蒸など)、水面施用(粒剤散布、灌注など)等の態様で使用することもできる。
【0017】
例えば、本発明の植物用防カビ剤を用いて種子処理する場合は、液状又固体状の製剤を適宜希釈して液体状態にて種子を浸漬して薬剤を浸透させる方法、固形製剤又は液状製剤を種子と混和、粉衣処理等して種子の表面に付着させる方法、樹脂、ポリマー等の付着性の担体と混和して種子にコーティングする方法、植え付けと同時に種子の近辺に散布する方法等で行うことができる。
【0018】
また、本発明の植物用防カビ剤を育苗用ポット土壌へ散布する場合は、液体製剤を水に適宜希釈し植物体の設置場所近辺又は育苗のための苗床等に施用する方法、粒剤を植物体の設置場所近辺又は苗床に散布する方法、播種前又は移植前に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布し土壌全体と混和する方法、播種前又は植物体を植える前に植え穴、作条等に粉剤、水和剤、顆粒水和剤、粒剤等を散布する方法等で行うことができる。
【0019】
もっとも、本発明の植物用防カビ剤の形態及び製造方法、並びにその施用方法は上記のものに限定されることはなく、当業者が適宜選択可能であることはいうまでもない。
【0020】
本発明の植物用防カビ剤の好ましい態様においては、有効成分として使用される上記した2種類以上の化合物は、100%の防カビ率が達成されるように選択され、かつ該2種類以上の化合物の各々は、対象植物の生長が阻害されない濃度で使用される。例えば、Fludioxonil とThiophanate-methyl の組み合わせの場合、FludioxonilとThiophanate-methylの使用濃度は、培地に対してそれぞれ1μg/ml以下および10μg/ml以下とすることが好ましい。また、Fludioxonil 、Thiophanate-methyl 、およびOxolinic acidの組み合わせの場合、Fludioxonil、Thiophanate-methyl、およびOxolinic acidの使用濃度は、培地に対してそれぞれ0.8μg/ml以下、10μg/ml以下、及び1.0μg/ml以下とすることが好ましい。
上記した2種以上の化合物の使用濃度は、化合物の配合割合、製剤の形態・施用時期・施用方法・施用場所、防除対象菌、対象植物等により適宜変更してもよい。例えば、本発明の植物用防カビ剤を散布剤として用いる場合は、同製剤を通常1000〜5000倍に希釈し、その希釈液を1m2当たり10〜500ml程度散布すればよい。
【0021】
本発明の植物用防カビ剤の防除対象となるカビは、子嚢菌類[例えば、クラビセプス(Claviceps)属、コクリオボルス(Cochliobolus)属、エリシフェ(Erysiphe)属、ジベレラ(Gibberella)属、レプトスファエルリナ(Leptosphaerulina)属、スクレロティニア(Sclerotinia)属等]、担子菌類[例えばコルティシウム(Corticium)属、プシニア(Puccinia) 属、ティフラ(Typhula)属、ウロミセス(Uromyces)属等]、不完全菌類[例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、アクレモニウム(Acremonium)属、アルテルナリア(Alternaria)属、ボトリチス(Botrytis) 属、クラドスポリウム(Cladosporium)属、クルブラリア(Curvularia)属、フサリウム(Fusarium) 属、ペニシリウム(Penicillium)属、リゾトニア(Rhizoct onia)属等]等に属する菌が挙げられる。
【0022】
本発明の植物用防カビ剤を施用する対象植物は、代表的には研究材料用のシロイヌナズナであるがこれに限定はされず、穀類(例えば、稲、大麦、小麦、ライ麦、オート麦、トウモロコシ等)、豆類(大豆、小豆、そら豆、えんどう豆、落花生等)、果樹・果実類(リンゴ、柑橘類、梨、ブドウ、桃、梅、黄桃、クルミ、アーモンド、バナナ、イチゴ等)、野菜類(キャベツ、トマト、ほうれん草、ブロッコリー、レタス、タマネギ、ネギ、ピーマン等)、根菜類(ニンジン、馬鈴薯、サツマイモ、大根等)、加工用作物類(綿、麻、コウゾ、ミツマタ、菜種、ホップ、サトウキビ、テンサイ、オリーブ、ゴム、コーヒー、タバコ、茶等)、瓜類(カボチャ、キュウリ、スイカ、メロン等)、牧草類(オーチャードグラス、ソルガム、チモシー、クローバー、アルファルファ等)、芝類(高麗芝、ベントグラス等)、香料等用作物類(ラベンダー、ローズマリー、タイム、パセリ、胡椒、しょうが等)、花卉類(キク、バラ、蘭等)等の植物に広く使用できる。
【0023】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。
【0024】
(実施例1)防カビ試験
1/2MS培地の溶液にFludioxonil、Thiophanate-methyl、Benomyl、Oxolinic acidをそれぞれ下記表1に記載の濃度で加えよく攪拌した後、平板固化して、シロイヌナズナの無菌殺菌種子(滅菌水洗浄のみ)を播種し、防カビ効果とシロイヌナズナの生育に対する影響を調べた。
【0025】
【表1】
Figure 0003648608
【0026】
培地へのBenomyl 、Thiophanate-methyl 10μg/ml添加でシロイヌナズナは顕著な生育阻害は示さなかったが、僅かながらカビの発生が認められた。Fludioxonil は0.5〜10μg/mlの添加で強くカビの発生を抑え、その防カビ効果は高かった。しかしながら、2μg/ml 以上の処理ではシロイヌナズナの初期成育が抑制されるので、0.8μg/mlでもカビの発生を十分抑えることが可能であることがわかった。
【0027】
(実施例2)
Fludioxonil 8g、Thiophanate-methyl 100g、Oxolinic acid 10g、Tween80 5gをDMSO1Lに溶解して混合乳剤とした。この混合乳剤1mlを1/2MS培地の溶液1Lによく攪拌した後、9cmペトリ皿に各20ml分注し、固化後、シロイヌナズナの無殺菌種子(滅菌水洗浄のみ)を各20粒ずつ播種し、常法により陽光定温器下で発芽育苗させた。15日後に発芽率、カビ発生率、シロイヌナズナの生育に対する影響を調べた。また混合乳剤の代わりに溶媒(DMSO)を添加した培地(溶媒添加区)、あるいは無添加の培地(無処理区)を用いて同様に試験を行った。薬剤処理区でのシロイヌナズナの発芽率は溶媒添加区や無処理区と差はなく、無処理区でのカビ発生率が65%であったのに対し、薬剤処置区ではカビやバクテリアの発生は見られなかった。また薬剤処理区、溶媒添加区における20日後のシロイヌナズナの生育は無処理区と何ら差異がなかった。
【0028】
(実施例3)
Fludioxonil 10g、Thiophanate-methyl 100g、リグニンスルホン酸ナトリウム20gをクレー870gに混和して混合水和剤とした。この混合水和剤の1000倍希釈液を、採種を目的としてシロイヌナズナを育成しているポットの土壌表面に対して1m2あたり50〜100mlカビの発生初期に散布したところ、当初認められたカビは消滅し、無処理に比べてその後の著しい増殖を抑えることができた。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、種子及び植物組織の無菌培養におけるカビ発生の防止に有効な植物用防カビ剤が提供される。本発明の植物用防カビ剤はトランスジェニック植物作成など植物バイオテクノロジー分野で多用されているシロイヌナズナの種子の培地上での無菌培養やカルス培養においてその生育を阻害することなく優れた防カビ効果を発揮できる。

Claims (11)

  1. フルジオキソニル(Fludioxonil)とチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)の組み合わせを含む植物用防カビ剤。
  2. 対象植物の種子の播種・育成用培地または組織培養用培地に添加することによって使用される、請求項1に記載の植物用防カビ剤。
  3. フルジオキソニル(Fludioxonil)とチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)を100%の防カビ率が達成されるように選択し、かつ該化合物の各々を対象植物の生長が阻害されない濃度で使用する、請求項1又は2に記載の植物用防カビ剤。
  4. フルジオキソニル(Fludioxonil)およびチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)の使用濃度が、培地に対してそれぞれ1μg/ml以下および10μg/ml以下である、請求項1から3の何れかに記載の植物用防カビ剤。
  5. さらにオキソリニック酸(Oxolinic acid)を含む、請求項1から4の何れかに記載の植物用防カビ剤。
  6. フルジオキソニル(Fludioxonil)、チオファネートメチル(Thiophanate-methyl)、及びオキソリニック酸(Oxolinic acid)の使用濃度が、培地に対してそれぞれ0.8μg/ml以下、10μg/ml以下、及び1.0μg/ml以下である、請求項5に記載の植物用防カビ剤。
  7. 対象植物がシロイヌナズナである、請求項1から6のいずれかに記載の植物用防カビ剤。
  8. フルジオキソニル(Fludioxonil)及びチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)を防カビ効果を発揮するのに有効な量において対象植物の種子の播種・育成用培地または組織培養用培地に添加することを含む、カビ発生防止方法。
  9. フルジオキソニル(Fludioxonil)、及びチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)を防カビ効果を発揮するのに有効な量において対象植物の種子を処理することを含む、カビ発生防止方法。
  10. フルジオキソニル(Fludioxonil)及びチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)を防カビ効果を発揮するのに有効な量において土壌表面に散布することを含む、カビ発生防止方法。
  11. フルジオキソニル(Fludioxonil)及びチオファネートメチル(Thiophanate-methyl)を100%の防カビ率が達成されるように選択し、かつ該化合物の各々を対象植物の生長が阻害されない濃度で使用する、請求項8から10の何れかに記載の方法。
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