JP3622775B2 - 貼付剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は皮膚面に貼付して傷口を保護したり、薬物を皮膚から生体内に連続的に投与しうる投錨性に優れた貼付剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、薬物を皮膚面を通して生体内へ投与するための貼付剤として、粘着剤を用いたテープ剤などが種々開発されている。
【0003】
貼付剤から薬物を効果的に皮膚面に放出させ、しかも皮膚内に吸収させるには、ある程度薬物濃度を高める必要がある。しかし、薬物濃度を高めることにより粘着剤中で薬物が過飽和状態あるいは結晶状態となり、粘着剤の支持体への投錨性が低下し、貼付剤を皮膚から除去する際に、粘着剤が皮膚面上に残るという問題が生じる。
【0004】
この問題を改善する方法として、特開平2−212419号公報に記載のように、不織布や織布などを積層した支持体上に粘着剤層を形成して粘着剤の支持体への投錨性を向上させ、粘着剤の糊残りを防止した貼付剤が提案されている。
【0005】
しかし、この貼付剤は粘着剤層が不織布や織布の凹凸を充分にカバーできる厚みを有する場合は問題を生じないが、薬物の利用率を考慮して薬物を含有する粘着剤層を薄くしたとき、粘着剤層が不織布や織布の凹凸をカバーしきれず、皮膚への接着性が低下したり、逆に皮膚への糊残りが生じやすくなったりする。また、極薄の不織布や織布を用いることは可能ではあるがコスト高となる。
【0006】
さらに、肘や膝などに貼付するために伸縮性が要求される貼付剤の場合には、単層では非常に伸縮性のある支持体でも、不織布や織布を積層加工することが、著しく伸縮性が損なわれる。
【0007】
また、特開平−310559号公報には、支持体表面への下塗り剤としてイソシアネート系化合物を用いて支持体と粘着剤層の投錨性を向上させる技術が提案されている。しかしながら、イソシアネート化合物はポットライフが極めて短いために水分の遮断や反応温度を低温制御するなどの手段を必要とし、操作が極めて煩雑となる。さらにイソシアネート系化合物は反応性が高いので、粘着剤や薬物の種類によっては粘着剤と架橋反応などを起こして粘着物性を変化させたり、薬物と分解反応を起こしたりすることもあり、その使用においては充分な注意が必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、接着性、粘着性、凝集力などの粘着物性や、支持体の伸縮性に悪影響を与えることなく、粘着剤層の支持体への投錨性を向上させた貼付剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明により上記目的が達成されることを見い出した。
【0010】
即ち、本発明の貼付剤は、支持体の片面にエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンからなる下塗り層が形成され、その上に結晶状態もしくは無定形状態の薬物が分散している粘着剤層が形成されてなるものである。
【0011】
支持体の片面にエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンからなる下塗り層を形成することにより、上記従来技術の課題を解決して粘着剤層の支持体への投錨性を向上させることができるのである。
【0012】
本発明に用いる支持体としては特に限定されないが、プラスチックフィルムが好ましく、具体的にはポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコールなどの単層または積層フィルムが挙げられる。また、プラスチックフィルム以外にも、金属箔の単独フィルムや、プラスチックフィルムと金属箔とのラミネートフィルムも用いることができる。
【0013】
上記支持体のうち、伸縮性を有するものが好ましく、例えばポリエチレン、多孔質ポリエチレン、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、多孔質ポリテトラフルオロエチレンなどの単独または積層フィルムなどが挙げられる。
【0014】
支持体の厚みは通常、5〜1000μm、好ましくは5〜100μm、柔軟性および貼付操作性のバランスから、さらに好ましくは10〜50μmである。
【0015】
本発明において下塗り層として用いるエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンは、本発明において投錨力の向上などの重要な役割を果たすものである。本発明におけるエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーの分子内にエチレンイミンが開環反応したユニットを付加変成したものであって、アクリル系ポリマーの調製時にエチレンイミンを同時に反応させたり、予め調製したアクリル系ポリマーにエチレンイミンを後反応、変成して得ることができる。このようなアクリル系ポリマーとしては、具体的には炭素数が1〜13のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのうちの少なくとも一種に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を有するα−またはβ−モノオレフィンカルボン酸類のうちの少なくとも一種を必須成分として共重合したものが挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルにおけるアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0016】
また、必要に応じて下記に示す共重合性の単量体を一種もしくは二種以上共重合してもよい。
スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルなどのヒドロキシル基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどのアルキルアミノアルキル基含有単量体、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステルなどのアルコキシル基(または側鎖にエーテル結合)含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペラジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどのビニル系単量体。
【0017】
上記単量体は公知の重合方法によって共重合してアクリル系ポリマーとすることができるが、投錨性や塗布のしやすさの点から、共重合比率としては(メタ)アクリル酸アルキルエステル/α−またはβ−モノオレフィンカルボン酸類が、90〜99/10〜1(重量%)、好ましくはα−またはβ−モノオレフィンカルボン酸類の比率を8重量%程度に調整することが好ましい。
【0018】
また、上記アクリル系ポリマーへのエチレンイミン変性による付加率は、カルボキシル基に対して50〜200モル%程度とすることが、反応性や投錨性の点から好ましいものである。なお、このようなエチレンイミン変性に際して、1,2−プロピレンイミンや2−プロピレンイミンなどを本発明の効果を阻害しない範囲であれば用いることができる。
【0019】
一方、ポリエチレンイミンは、−CHCHNH−の繰り返し単位を有するポリマーであり、本発明においては分子量を10000以上、好ましくは30000以上に調整したものを用いることが好ましい。これは支持体に対する投錨性がポリエチレンイミン中の活性アミノ基との反応に起因する場合には、分子量の大小に制限はないが、活性アミノ基との反応性が乏しい場合には、充分に大きい分子量を有するものを用いることが効果的である。即ち、ポリマー内部の凝集性やフィルム形成能などの諸因子が作用するものと考えられる。また、分子量の上限については特に限定されるものではないが、支持体面への塗布に際し、溶剤にて希釈でき塗布可能なものであればよい。
【0020】
このようなエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンのうち、前者の具体例としては日本触媒社製のポリメント(商品名)KX−CK200,KX−CK500,NK−100PM,NK−200PM,NK−350,NK−380,NK−307などを用いることができる。また、後者の具体例としては日本触媒社製のエポミン(商品名)SPシリーズやP−1000などを用いることができ、これらの下塗り剤は単独で用いてもよく、また、二種類以上を併用して用いても良いものである。
【0021】
上記材料からなる下塗り層は、支持体の片面に固形分換算で0.005〜1g/m 、好ましくは0.005〜0.5g/m 程度の範囲で塗布形成する。塗布量が0.005g/m に満たない場合は、ポットライフが約1か月間程度と比較的短くなり、本発明の効果である投錨性の向上も充分に期待できない場合がある。一方、塗布量が1g/m を超える場合には、粘着剤層の粘着物性が変化したり、伸縮性支持体を用いた場合に支持体の伸縮性を阻害するおそれがある。また、粘着剤層中に薬物を含有させた場合には薬物の放出性に影響を与えることもある。
【0022】
粘着剤としては、アクリル酸アルキルエステル系ポリマーからなる粘着剤が用いられる。
【0023】
アクリル酸アルキルエステル系ポリマーとしてはアルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いた重合体であって、特に架橋反応のしやすさの点から、該(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とした共重合体を用いることが好ましい。
【0024】
このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、具体的には、アルキル基がブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルなどの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、これらは一種もしくは二種以上併用することができる。また、必要に応じて、アルキル基の炭素数が3以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを、上記アルキル基の炭素数が4以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一部に置き換えて共重合することもできる。
【0025】
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合するモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基を含有するモノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸などのスルホキシル基を含有するモノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステルなどのヒドロキシル基を含有するモノマー、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を含有するモノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルエステルなどのアルキルアミノアルキル基を含有するモノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールエステルなどのアルコキシル基(または側鎖にエーテル結合)を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペラジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリンなどのビニル系モノマーなどが挙げられ、これらは一種もしくは二種以上併用して共重合することができる。
【0026】
これらの共重合するモノマーは粘着剤層と支持体との投錨力の調整や、薬物を含有する場合の薬物溶解性向上のために用いることができ、共重合量は目的に応じて適宜設定することができる。
【0027】
上記アクリル酸アルキルエステル系ポリマーのうち、本発明において好ましく用いることができるポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに、上記にて例示したカルボキシル基を含有するモノマーとしてのα−またはβ−モノオレフィンカルボン酸類の少なくとも一種とを必須成分として共重合した共重合体を用いることが望ましい。
【0028】
つまり、エチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンからなる下塗り層中の活性アミノ基が、粘着剤層中のカルボキシル基とイオン結合あるいはアミド結合を形成することによって上記粘着剤層との良好な投錨性を発揮することができると推定される。
【0029】
さらに、下塗り層中の活性アミノ基は通常、低分子アミンと同様に種々の化学反応性を有することから、上記α−またはβ−モノオレフィンカルボン酸類以外の活性アミノ基と反応性を有するモノマーを選択することも可能である。このような活性アミノ基と反応性を有する化合物としては、例えばアルデヒド類、ケトン類、アルキルハライド類、イソシアネート類、チオイソシアネート類、活性二重結合を有する化合物、エポキシ化合物、シアナミド化合物、グアニジン化合物、尿素類、酸類、酸無水物類、アシルハライド類などのモノマーである。
【0030】
上記粘着剤層の厚みは、通常、10〜200μm、好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは20〜50μm程度の厚みである。
【0031】
上記粘着剤層に配合することができる薬物としては、経皮吸収性を有するものであれば特に限定されない。具体的には全身性麻酔薬、催眠・鎮静薬、抗癲癇薬、解熱鎮痛消炎薬、鎮暈薬、精神神経用薬、局所麻酔薬、骨格筋弛緩薬、自律神経用薬、鎮痙薬、抗パーキンソン薬、抗ヒスタミン薬、強心薬、不整脈用薬、利尿薬、血圧降下薬、血管収縮薬、冠血管拡張薬、末梢血管拡張薬、動脈硬化用薬、循環器用薬、呼吸促進薬、鎮咳去痰薬、ホルモン薬、化膿性疾患用外用薬、鎮痛・鎮痒・収斂・消炎用薬、寄生性皮膚疾患用薬、止血用薬、痛風治療用薬、糖尿病用薬、抗悪性腫瘍用薬、抗生物質、化学療法薬、麻薬などを用いることができる。
【0032】
上記薬物の粘着剤(固形分)に対する配合割合は、粘着剤の薬物放出能力や薬物の種類、薬理効果などによって、任意に設定することができる。好ましくは粘着剤層中に10〜70重量%、さらに好ましくは30〜65重量%の範囲で配合する。
【0033】
上記理由は次の通りである。即ち、配合した薬物が結晶化したりブルーミングして支持体への投錨性を低下させる割合は個々の薬物によって異なる。粘着剤に対する親和性の低い薬物の場合、10重量%程度から結晶が析出し投錨力が低下するし、親和性の高い薬物の場合には、30重量%程度から結晶が析出し投錨力が低下する場合がある。従って、薬物の配合割合が10重量%未満では薬物の結晶化が起こらないので、投錨性の低下もほとんど起こらない。よって、本発明に特有の効果は、薬物の配合割合が10重量%以上となって結晶が析出したものについて、より顕著に現れるのである。また、70重量%を超えると粘着剤層がほとんど皮膚接着性を示さなくなり、コストも高くなる。
【0034】
また、上記の薬物と共に放出補助物質を配合させてもよい。この物質は単純には、身体面に対する薬物の放出を促進するものと定義することができるが、これには粘着剤層内での薬物の溶解性や拡散性を良くする機能を有するもの、また、角質の保水能、角質軟化性、角質浸透性(ルーズ化)、浸透助剤や毛孔開孔剤としての機能、皮膚の界面状態を変える機能のような経皮吸収性を良くする機能を有するもの、さらに上記の両機能を併有し、あるいはこれらの機能に加えて薬物の薬効をさらに高くする薬効促進の機能をも有しているものなどが広く包含される。
【0035】
このような放出補助物質としては、例えばジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールの如きグリコール類(主に薬物溶解性)、オリーブ油、スクアレン、ラノリンの如き油脂類(主に薬物拡散性)、尿素、アラントインの如き尿素誘導体(主に角質の保水能)、ジメチルデシルホスホキシド、メチルオクチルスルホキシド、ジメチルラウリルアミド、ドデシルピロリドン、イソソルビトール、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドの如き極性溶剤(主に角質浸透性)、サリチル酸(主に角質軟化性)、アミノ酸(主に浸透助剤)、ニコチン酸ベンジル(主に毛孔開孔剤)、ラウリル硫酸ソーダ(主に皮膚の界面状態を変える機能)、サロコール(経皮吸収性良好な薬物と併用)などが挙げられる。
【0036】
その他ジイソプロピルアジペート、フタル酸エステル、ジエチルセバケートの如き可塑剤、流動パラフィンの如き炭化水素類、各種乳化剤、エトキシ化ステアリルアルコール、オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリドの如きグリセリンモノエステル類、あるいはグリセリンジエステル、グリセリントリエステルまたはそれらの混合物、ミリスチン酸イソプロピルやパルミチン酸オクチルの如き高級脂肪酸エステル、オレイン酸、カプリル酸の如き高級脂肪酸などを挙げることができる。
【0037】
上記のように薬物以外に他の物質を配合させる場合は、薬物と他の物質の合計で前記範囲内になるようにすればよい。
【0038】
本発明の貼付剤は、従来から用いられている方法で各層を形成して製造すればよく、例えば支持体上への片面にエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンからなる下塗り層の形成は、塗工や印刷などによって行われ、粘着剤層の形成は共押出やドライラミネートなどによって行われる。
【0039】
具体的には、支持体の片面にグラビア印刷などの手段によって、エチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンからなる下塗り層用の溶液を塗布、乾燥し、別途作製した粘着剤層をその上に転写して、本発明の貼付剤を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明の貼付剤は、従来からの貼付剤に用いる支持体と粘着剤層との間に特定の組成からなる下塗り層を形成しているので、支持体と粘着剤層との投錨性が良好であり、皮膚に貼付使用したのちに剥離除去する際に、皮膚面への糊残り現象を生じないという効果を有するものである。
【0041】
また、本発明の貼付剤は投錨性向上の手段として不織布や織布などを用いていないので、支持体が有する伸縮性を阻害せず、しかも粘着剤の物性(粘着特性)を変化させないものである。
【0042】
さらに、本発明において下塗り層として用いるエチレンイミン変成したアクリル系ポリマーまたはポリエチレンイミンは極めて良好な保存安定性を発揮するので、通常の保存条件下で本発明の貼付剤を保管することができる。
【0043】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明する。なお、以下の文中で部とあるのは全て重量部を意味するものである。
【0044】
実施例1
窒素置換を充分に行った反応容器内に、モノマーとしてのアクリル酸2−エチルヘキシルエステル95部とアクリル酸5部を投入、撹拌しながら、重合開始剤としての過酸化ベンゾイルを上記モノマー100部に対して0.2部添加し、撹拌速度の調整、外浴温度の調整、希釈溶媒としての酢酸エチルの滴下などによって、重合反応の温度(内浴温度)を60〜65℃に制御しながら重合反応を8時間行った。
【0045】
8時間経過後、内浴温度を75〜80℃まで昇温してさらに10時間熟成して粘着剤溶液を調製した。
【0046】
得られた粘着剤溶液の固形分40部に対して、局所麻酔薬であるリドカインを60部添加し、乾燥後の厚みが20μmとなるように離型ライナー(表面に剥離処理を施したポリエステルフィルム)上に塗布、乾燥して、薬物含有粘着剤層を作製した。
【0047】
一方、支持体として片面にコロナ放電処理を施した12μm厚のポリエステルフィルムを用い、この処理面にポリメントNK−307(商品名、日本触媒社製)のトルエン溶液を0.04g/m となるように塗布、乾燥して下塗り層を形成した。このようにして得られた支持体の下塗り層面に、上記にて作製した薬物含有粘着剤層を転写して本発明の貼付剤を得た。
【0048】
実施例2
実施例1において用いたモノマーを、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル75部とN−ビニル−2−ピロリドン22部、アクリル酸3部に代えた以外は、全て実施例1と同様の操作で粘着剤溶液を調製した。
【0049】
得られた粘着剤溶液の固形分58.5部に対して、消炎鎮痛薬であるジクロフェナックナトリウムを10部、オレイン酸モノグリセリドを30部、水酸化ナトリウムを1.5部添加し、乾燥後の厚みが40μmとなるように離型ライナー(表面に剥離処理を施したポリエステルフィルム)上に塗布、乾燥して、薬物含有粘着剤層を作製した。
【0050】
一方、支持体として70μm厚のエチレン/酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル単位の含量18重量%)を用い、この片面にポリメントNK−200PM(商品名、日本触媒社製)の水溶液を0.1g/m となるように塗布、乾燥して下塗り層を形成した。このようにして得られた支持体の下塗り層面に、上記にて作製した薬物含有粘着剤層を転写して本発明の貼付剤を得た。
【0051】
実施例3
窒素置換を充分に行った反応容器内に、モノマーとしてのアクリル酸イソノニルエステル70部と、N−ビニル−2−ピロリドン25部と、アクリル酸5部を投入、撹拌しながら、重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルを上記モノマー100部に対して2部添加し、撹拌速度の調整、外浴温度の調整、希釈溶媒としての酢酸エチルの滴下などによって、重合反応の温度(内浴温度)を60〜65℃に制御しながら重合反応を6時間行った。
【0052】
6時間経過後、内浴温度を75〜80℃まで昇温してさらに4時間熟成して粘着剤溶液を調製した。
【0053】
得られた粘着剤溶液の固形分60部に対して、冠血管拡張薬であるイソソルビドジニトレート40部を添加し、乾燥後の厚みが20μmとなるように離型ライナー(表面に剥離処理を施したポリエステルフィルム)上に塗布、乾燥して、薬物含有粘着剤層を作製した。
【0054】
一方、支持体として60μm厚の多孔質ポリエチレンフィルムを用い、この片面にエポミンP−1000(商品名、日本触媒社製)のイソプロパノール溶液を0.01g/m となるように塗布、乾燥して下塗り層を形成した。このようにして得られた支持体の下塗り層面に、上記にて作製した薬物含有粘着剤層を転写して本発明の貼付剤を得た。
【0055】
実施例4
実施例1において下塗り層を形成した支持体を1ヵ月間保存したのち、実施例1と同様にして本発明の貼付剤を得た。
【0056】
比較例1
実施例1において、支持体に下塗り層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。
【0057】
比較例2
実施例2において、支持体に下塗り層を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして貼付剤を作製した。
【0058】
比較例3
実施例3において、支持体に下塗り層を形成しなかった以外は、実施例3と同様にして貼付剤を作製した。
【0059】
参考例1
実施例2において、支持体に形成する下塗り層の代わりに、不織布(旭化成社製、商品名ベンコットン、目付量18g/m )をラミネート形成した以外は、実施例2と同様にして貼付剤を作製した。
【0060】
参考例2
実施例1において、支持体に形成する下塗り層を0.75重量%の三官能性イソシアネートであるトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、商品名コロネートHL)のトルエン溶液を0.04g/m となるように塗布、乾燥して得た下塗り層に代えた。さらに、この支持体を室温下で1ヵ月間保存して用いた以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。
【0061】
上記各実施例および比較例にて得た貼付剤について、以下の各試験(測定)を行い、その結果を表1に示した。なお、実施例2と参考例1については、5%モジュラスの測定を行った。
【0062】
<接着力試験>
ベークライト板に幅12mmに裁断した帯状の各サンプルを貼付し、荷重850gのローラを1往復させて密着させたのち、23℃、60%R.H.の条件下で、テンシロン引張試験機によって、180度方向に300mm/分の速度で剥離し、その際の剥離力を測定した。
【0063】
<投錨力試験>
13×100mmに裁断したプラセボテープ(各実施例、比較例等で作製した貼付剤から、薬物および添加剤を加えずに作製したテープ)を、両面テープで25×100mmのベークライト板に固定し、プラセボテープの粘着剤層面に12×70mmに裁断した各サンプルを荷重850gのローラを用いて貼付したのち、23℃、60%R.H.の条件下で、テンシロン引張試験機によって、90度方向に300mm/分の速度で剥離し、その際の負荷応力を測定した。
【0064】
<ヒト皮膚貼付試験>
30×50mmに裁断した各サンプルを、ボランティアの背中に1時間貼付したのち、引き剥がして、そのときの投錨破壊の状態を観察し、以下の判定基準で評価した。
【0065】
○:投錨破壊しない。
△:エッジ部が少し投錨破壊して、粘着剤が背中に残る。
×:全面投錨破壊して、粘着剤が背中に残る。
【0066】
<モジュラスの測定>
各サンプルをJISダンベル型2号で打ち抜き、23℃、60%R.H.の条件下で、テンシロン引張試験機により、300mm/分の速度で引っ張ったときの5%モジュラスを測定した。
【0067】
【表1】
Figure 0003622775
【0068】
上記表1から明らかなように、実施例1〜3の貼付剤は対応する比較例1〜3の貼付剤に比べて接着力において差異はないが、投錨力およびヒト皮膚への貼着性において明らかに優れた特性を有するものである。なお、参考例1の貼付剤のように下塗り層を形成しなくとも、不織布をラミネートすることによって投錨力は明らかに向上する。しかしながら、不織布をラミネートすることによって、支持体自体の伸縮性が失われるので、ヒト皮膚に貼付した場合は突っ張り感を生じるものである。
【0069】
また、実施例4と参考例2の貼付剤を比較すると、参考例2の貼付剤は投錨性が低く、比較例3(未処理)の貼付剤とほとんど同じである。さらに、実施例1と実施例4の貼付剤を比較すると、略同等の接着力および投錨力を有していることから、下塗り剤としてのポリメントNK−307は1ヵ月保存しても粘着物性を変化させずに極めて安定なものであることが判る。

Claims (3)

  1. 支持体の片面にエチレンイミン変成したアクリル系ポリマー又はポリエチレンイミンからなる下塗り層が形成され、その上に結晶状態もしくは無定形状態の薬物が分散しているアクリル酸アルキルエステル系ポリマーからなる粘着剤層が形成されてなる貼付剤。
  2. 薬物が粘着剤層中に10〜70重量%配合されている請求項1記載の貼付剤。
  3. 粘着剤が、カルボキシル基を含有するモノマーを必須成分として共重合してなるアクリル酸アルキルエステル系ポリマーからなる請求項1記載の貼付剤。
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