JP2004083856A - 粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱可塑性樹脂フィルムからなる基材1に、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体を塗布した後、乾燥させることにより、バインダ層2を形成し、そのバインダ層2を介して、基材1に、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーに、アニオン系分散剤とノニオン系分散剤とを併用して水分散させた水分散粘着付与樹脂を含有させた水分散型粘着剤を塗布した後、乾燥させることにより、粘着剤層3を形成することによって、粘着シートを得る。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着シートに関し、詳しくは、テープ、フィルム、シートなどの形態で用いられる粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂フィルムを基材として、粘着剤層が形成されている粘着シートは、例えば、包装用途、電気絶縁用途、部品接着用途、銘板接着用途、発泡体接着用途などに広く用いられている。
【0003】
この種の粘着シートは、熱可塑性樹脂フィルムに対する粘着剤の接着強度が低い場合もあり、そのような場合には、基材と粘着剤層との間において、接着破壊(投錨破壊)を生じやすいという不具合がある。
【0004】
そのため、基材の表面を改質したり、あるいは、基材と粘着剤層との間に下塗り層を設けて、基材と粘着剤層との間の接着強度を向上させることが知られており、例えば、コロナ処理やプラズマ処理などの表面改質処理や、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリウレタンなどの樹脂を下塗り層として塗布することが、広く実施されている。
【0005】
また、下塗り層としては、例えば、ポリエステルフィルムに易接着性を付与するものとして、ポリエステル水分散体(例えば、特許文献1参照。)や、水不溶性コポリエステルおよび水不溶性アクリル樹脂からなるコーティング剤(例えば、特許文献2参照。)が知られている。また、発泡基材と感圧接着剤層との間にアミノ基を有するアクリル系重合体およびエポキシ化合物からなる架橋された下塗り層を介在させることが知られている(例えば、特許文献3参照。)。さらに、ポリアミン組成物を押出しラミネーション用のアンカーコート剤として用いることが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0006】
一方、近年、地球環境保護あるいは環境衛生上の観点から、有機溶剤などの環境負荷物質の低減化が要求されており、かかる観点より、有機溶剤を用いない水分散型粘着剤の使用が高まりつつある。
【0007】
【特許文献1】
特開昭60−248232号公報
【特許文献2】
特開平6−293875号公報
【特許文献3】
特開平7−331194号公報
【特許文献4】
特開平6−240154号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱可塑性樹脂フィルムを基材として、水分散型粘着剤を塗布すると、たとえ、上記のような表面改質処理や下塗り層の塗布を施しても、実用上十分な接着強度を得ることができない場合が多く、とりわけ、加湿雰囲気下においては、水分散型粘着剤に含まれる乳化剤に起因して、著しい接着強度の低下を生じるという不具合がある。
【0008】
一方、下塗り層として、イソシアネートを含むプライマーを用いれば、接着強度を確保できる場合もあるが、このようなプライマーを下塗り層として塗布すると、大量の有機溶剤が使用されるため、却って、環境負荷物質の低減化を図ることができないという不具合を生じる。
【0009】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、熱可塑性樹脂からなる基材に、水分散型粘着剤からなる接着剤層を形成しても、それらの間に十分な接着強度を確保することができ、より一層、環境負荷物質の低減化を図ることのできる粘着シートを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の粘着シートは、熱可塑性樹脂からなる基材と、水分散型粘着剤からなる粘着剤層と、それらの間に設けられ、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体からなるバインダ層とを備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明の粘着シートにおいては、前記重合体が、ポリアリルアミン系重合体またはポリエチレンイミン系重合体であることが好ましい。また、前記水分散型粘着剤が、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーを含有することが好ましく、また、前記水分散型粘着剤が、アニオン系分散剤とノニオン系分散剤とを併用して水分散させた水分散型粘着付与樹脂を含有することが好ましい。また、前記熱可塑性樹脂が、ポリエステルからなることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着シートは、熱可塑性樹脂からなる基材と、水分散型粘着剤からなる粘着剤層と、それらの間に設けられ、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体からなるバインダ層とを備えている。
【0013】
本発明において、熱可塑性樹脂は、特に制限されず、粘着シートに通常使用される公知の熱可塑性樹脂が用いられ、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、その他のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニールアルコール、ナイロンなどが挙げられる。好ましくは、ポリエステルが用いられる。ポリエステルは、基材として十分な強度を有し、特に引裂き強度が高く、また、寸法安定性に優れるなどの利点を有している。
【0014】
そして、基材は、特に制限されないが、このような熱可塑性樹脂が、テープ状、フィルム状、シート状など、その目的および用途によって所望の形状に成形されている。
【0015】
また、基材には、接着強度(投錨力)の向上を図るべく、例えば、コロナ処理などの公知の表面処理を施すことが好ましい。
【0016】
本発明において、水分散型粘着剤は、特に制限されず、粘着シートに通常使用される公知の水分散型粘着剤が用いられ、例えば、アクリル系水分散型粘着剤、天然ゴムラテックス系水分散型粘着剤などが挙げられる。好ましくは、アクリル系水分散型粘着剤、より具体的には、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーを含有する水分散型粘着剤が用いられる。(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーは、優れた粘着特性を有し、さらに、耐候性が高いという利点を有している。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物が共重合されてなる共重合体が、水に分散している水分散型のポリマーであって、乳化重合など公知の重合方法によって得ることができる。
【0018】
(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルであって、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0019】
CH2=CR1COOR2 (1)
(式中、R1は水素またはメチル基を、R2は炭素数1〜17の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ラウリル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、ステアリル基などが挙げられる。
【0020】
より具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸へプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。
【0021】
これら(メタ)アクリル酸エステルは、適宜、単独または併用して用いられる。例えば、アクリル酸ブチルを単独で用いたり、あるいは、アクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとを併用することができ、そのような場合には、アクリル酸ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの重量割合が、それぞれ0/100〜55/45(例えば、5/95〜60/40)の範囲で用いられる。
【0022】
また、(メタ)アクリル酸エステルの配合割合は、単量体混合物100重量部に対して、例えば、80重量部以上(例えば85〜99.8重量部)、好ましくは、85重量部以上(例えば85〜99.5重量部)、さらに好ましくは、90重量部以上(例えば90〜99重量部)である。
【0023】
また、単量体混合物には、熱架橋させるための架橋点を導入すべく、通常、官能基を含有する官能基含有単量体(熱架橋性官能基含有単量体)が含まれている。このような官能基含有単量体を共重合することによって、被着体に対する接着力の向上を図ることができる。
【0024】
このような官能基含有単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体またはその酸無水物、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有単量体、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体、その他、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0025】
これら官能基含有単量体は、適宜、単独または併用して用いられる。また、官能基含有単量体の配合割合は、(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、例えば、0.5〜12重量部、好ましくは、1〜8重量部である。また、官能基含有単量体としては、これらの中でも、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシル基含有単量体またはその酸無水物などが好ましく用いられる。
【0026】
さらに、単量体混合物には、例えば、凝集力などの種々の特性の向上を図るべく、必要に応じて、その他に、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な共重合性単量体が含まれていてもよい。このような共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、例えば、スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物、例えば、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類などが挙げられる。
【0027】
これら共重合性単量体は、適宜、単独または併用して用いられる。また、共重合性単量体の配合割合は、(メタ)アクリル酸エステル100重量部に対して、例えば、0〜30重量部、好ましくは、0〜15重量部である。
【0028】
さらに、単量体混合物には、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なシラン系単量体が含まれていることが好ましい。このようなシラン系単量体を共重合することによって、溶剤可溶分および溶剤不溶分の分子量および端末剥がれ性の経時安定性を図ることができ、水分散型粘着剤であっても、優れた端末剥がれ性と高い保持性とを両立することができる。
【0029】
シラン系単量体は、ケイ素原子を有し、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能であれば、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルに対する共重合性に優れている(メタ)アクリロイルオキシアルキルシラン誘導体などの(メタ)アクリロイル基を有するシラン単量体が好ましく用いられる。(メタ)アクリロイル基を有するシラン単量体としては、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
【0030】
また、上記以外にも、共重合可能なシラン系単量体として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなども用いることができる。
【0031】
これらシラン系単量体は、適宜、単独または併用して用いられる。また、シラン系単量体の配合割合は、単量体混合物100重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部、好ましくは、0.01〜0.5重量部である。シラン系単量体の配合割合が、0.005重量部未満であると、共重合体の強度が不足して凝集力が低下する場合があり、また、1重量部を超えると、接着できない程度まで粘着力が低下する場合がある。
【0032】
そして、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として、その目的および用途によって、適宜、上記した種々の単量体が含まれる単量体混合物を共重合することによって得ることができる。
【0033】
共重合は、特に制限されず、公知の重合方法が用いられ、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として含む単量体混合物とともに、重合開始剤、乳化剤、必要に応じて連鎖移動剤などを、水中において適宜配合または添加して乳化重合すればよい。乳化重合法は、特に制限されず、例えば、一括重合法、連続滴下重合法、分割滴下重合法などの公知の乳化重合法を採用することができる。なお、反応条件などは、適宜選択されるが、重合温度は、例えば、20〜100℃程度である。
【0034】
重合開始剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知のラジカル重合開始剤が用いられ、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系開始剤、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、例えば、フェニル置換エタンなどの置換エタン系開始剤、例えば、芳香族カルボニル化合物などのカルボニル系開始剤、例えば、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせなどのレドックス系開始剤などが挙げられる。
【0035】
これら重合開始剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、重合開始剤の配合割合は、単量体混合物100重量部に対して、例えば、0.005〜1重量部程度である。
【0036】
乳化剤としては、特に制限されず、乳化重合に通常使用される公知の乳化剤が用いられ、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤、その他、例えば、プロペニル基などを導入したラジカル重合性の乳化剤などが挙げられる。
【0037】
これら乳化剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、乳化剤の配合割合は、単量体混合物100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部程度である。
【0038】
連鎖移動剤は、必要により、共重合体の分子量を調節するものであって、乳化重合に通常使用される連鎖移動剤が用いられ、例えば、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノ−ルなどメルカプタン類などが挙げられる。
【0039】
これら連鎖移動剤は、適宜、単独または併用して用いられる。また、連鎖移動剤の配合割合は、単量体混合物100重量部に対して、例えば、0.001〜0.5重量部程度である。
【0040】
そして、このような乳化重合によって、得られる共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体の水分散液として調製される。
【0041】
なお、このような水分散液は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体を、乳化重合以外の方法によって重合した後に、公知の分散剤により水に分散させるようにして調製することもできる。
【0042】
そして、このようにして調製された(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーの水分散液は、そのまま水分散型粘着剤として用いることができる。また、水分散型粘着剤には、水分散型粘着付与樹脂を含有させることが好ましい。
【0043】
水分散型粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン系樹脂、ロジンフェノール系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン樹脂、エラストマーなどが挙げられる。これら水分散型粘着付与樹脂は、適宜、分散剤を用いて、水分散させて用いることができる。また、これらは、単独または併用して用いられ、その配合割合は、例えば、水分散型ポリマーの水分散液の固形分(単量体混合物)100重量部に対して、例えば、1〜100重量部程度である。
【0044】
水分散型粘着付与樹脂の水分散に用いる分散剤としては、特に制限されず、通常使用される公知の分散剤(乳化剤としても用いられる)が用いられ、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリアクリル酸共重合体の塩、ナフタレンスルホン酸重縮合物の塩、ポリスチレンスルホン酸共重合体の塩、ポリスチレン/マレイン酸共重合体の塩などのアニオン系分散剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系分散剤、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどのカチオン系分散剤、例えば、アルキルベタイン系またはアミドベタイン系などの両性分散剤などが挙げられる。
【0045】
分散剤は、適宜、単独または併用して用いられるが、特に、湿度条件下における基材に対する接着性の観点から、アニオン系分散剤とノニオン系分散剤とを併用することが好ましい。また、分散剤の配合割合は、水分散型粘着付与樹脂100重量部に対して、例えば、0.2〜10重量部、好ましくは、0.5〜5重量部程度である。アニオン系分散剤およびノニオン系分散剤を併用した場合におけるアニオン系分散剤とノニオン系分散剤との配合割合は、特に制限されるものではないが、好ましくは、アニオン系分散剤50〜95重量部に対して、ノニオン系分散剤50〜5重量部である。
【0046】
アニオン系分散剤およびノニオン系分散剤を併用して水分散させた水分散型粘着付与樹脂を、水分散型粘着剤に含有させれば、分散剤を単独で用いた場合よりも、機械的安定性や成膜性の向上を図ることができる。これは、アニオン系分散剤とノニオン系分散剤とを併用することにより、成膜過程における分散粒子の充填性や融着性が向上し、粘着剤膜内への水の浸透がしにくくなり、その結果、湿度条件下においても、基材に対する優れた接着特性が発現されているからであると推測される。
【0047】
そして、水分散型粘着付与樹脂は、分散剤とともに水に配合して、撹拌混合することにより水分散させればよく、水分散型粘着付与樹脂を水分散型粘着剤に含有させるには、このようにして調製された水分散型粘着付与樹脂の水分散体を水分散型粘着剤に配合すればよい。
【0048】
また、水分散型粘着剤には、その目的および用途に応じて、必要により、公知の架橋剤を適宜配合してもよい。
【0049】
架橋剤としては、粘着剤に通常添加される公知の架橋剤が用いられ、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は、油溶性または水溶性など、特に制限されるものではない。これら架橋剤は、適宜、単独または併用して用いられ、その配合割合は、例えば、水分散型ポリマーの水分散液の固形分(単量体混合物)100重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部程度である。
【0050】
また、水分散型粘着剤は、粒子の安定化を図るべく、アンモニアのような塩基を用いて、そのpHを、例えば、7〜9、好ましくは、7〜8に調整することが好ましい。なお、このような調整において、残存するアンモニア量が多いと重剥離化が生じるため、アンモニアの使用量を少なくすることが好ましい。
【0051】
また、水分散型粘着剤には、その目的および用途に応じて、粘着剤に通常添加される、例えば、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤などを適宜添加してもよい。
【0052】
なお、このようにして得られる水分散型粘着剤において、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーが、とりわけ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつ、シラン系単量体を含まない組成で重合した場合に、溶剤不溶分が5重量%以下となる重合体が得られる単量体混合物と、その単量体混合物100重量部に対して、0.005〜1重量部のシラン系単量体とを、シラン系単量体を含まない組成で重合した場合と同一条件(シラン系単量体の有無を除く、他のすべての重合条件が同一条件であって、例えば、反応温度、反応時間、重合開始剤の種類および配合割合、連鎖移動剤の種類および配合割合などが同一である条件)下において重合することによって得られる共重合体を含有する場合には、水分散型であるにもかかわらず、より一層、優れた端末剥がれ性と高い保持性とを両立させることができる。なお、シラン系単量体を含まない組成で重合した場合に、溶剤不溶分が5重量%を超える重合体が得られる単量体混合物と、シラン系単量体とを重合することによって得られる共重合体を含有する場合には、端末剥がれが生じやすくなる場合がある。
【0053】
なお、溶剤不溶分は、例えば、所定量(約500mg)の試料(試料中の不揮発分重量をW1とする。)を精秤し、これを酢酸エチル中に、室温で3日間浸漬した後、不溶物を取り出して、この不溶物を100℃で2時間乾燥させた後、その重量W2を測定して、下記式から求めることができる。
【0054】
溶剤不溶分(重量%)=(W2/W1)×100
そして、本発明おいては、このようにして得られる水分散型粘着剤が、後述するように、バインダ層を介して、粘着剤層として基材に塗布される。
【0055】
本発明において、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体としては、特に制限されないが、例えば、ポリアリルアミン系重合体、ポリエチレンイミン系重合体、ポリビニルアミン系重合体、ポリリシン系重合体、グリコールキトサン系重合体などが挙げられる。これらの重合体は、単独重合体のみならず、主成分となる単量体と、その主成分となる単量体と共重合可能な単量体との共重合体であってもよく、通常、水溶液または水分散液として調製されている。また、例えば、疎水性粒子にポリエチレンイミンがグラフト化されているポリマーエマルション(一級アミングラフトアクリルポリマー、商品名:ポリメントSK−1000、日本触媒社製)などを用いることもできる。
【0056】
接着強度に関しては、好ましくは、ポリアリルアミン系重合体やポリエチレンイミン系重合体が用いられる。これらポリアリルアミン系重合体やポリエチレンイミン系重合体は、アミノ基の含有率が高く、接着強度のさらなる向上を図ることができる。
【0057】
また、疎水性粒子にポリエチレンイミンがグラフト化されているエマルション(ポリメントSK−1000)は、接着強度がポリアリルアミン系重合体やポリエチレンイミン系重合体程ではないが、塗工性(はじき性、適正塗布範囲が広い)などの製造工程特性に優れる場合が多く、実用性が高い利点がある。
【0058】
これら水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体は、適宜、単独または併用して用いることができる。また、重合体の重量平均分子量は、特に制限されないが、例えば、1000〜1000000の範囲のものが用いられる。
【0059】
なお、これら水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの水溶性または水分散性のアミノ基を含有しない重合体などと、適宜混合して用いることもできる。
【0060】
そして、本発明の粘着シートは、例えば、熱可塑性樹脂からなる基材の片面または両面に、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体からなるバインダ層(下塗り層)を積層形成し、そのバインダ層の表面に、水分散型粘着剤からなる粘着剤層を積層形成することにより得ることができる。
【0061】
基材の片面または両面に、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体をバインダ層として積層形成するには、特に制限されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、基材の単位面積(1m2)あたり、0.1mg〜10g、好ましくは、1mg〜1gの塗布量(固形分換算値)にて、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体を基材の片面または両面に塗布し、乾燥させればよい。
【0062】
また、バインダ層の表面に、水分散型粘着剤を粘着剤層として積層形成するには、特に制限されず、公知の塗布方法を用いることができる。例えば、基材の単位面積(1m2)あたり、1g〜200gの塗布量(固形分換算値)にて、水分散型粘着剤をバインダ層の表面に塗布し、乾燥させればよい。
【0063】
なお、粘着剤層は、水分散型粘着剤を、バインダ層の表面に直接塗布して乾燥させる以外に、例えば、別途、離型紙などに塗布して乾燥させ、その離型紙から基材に転写することによって形成してもよい。
【0064】
このようにして得られる本発明の粘着シートは、より具体的には、例えば、図1に示すように、基材1の片面に、バインダ層2を介して粘着剤層3が積層される形態や、図2に示すように、基材1の両面に、バインダ層2を介して粘着剤層3がそれぞれ積層される形態として得ることができる。なお、特に制限されないが、基材1の厚みは、例えば、1〜500μm程度、バインダ層2の厚みは、例えば、0.01〜10μm程度、粘着剤層3の厚みは、例えば、1〜500μm程度とされる。
【0065】
そして、本発明の粘着シートは、粘着剤層として、有機溶剤を用いない水分散型粘着剤が用いられているので、地球環境保護あるいは環境衛生の観点から望ましく、しかも、粘着剤層は、熱可塑性樹脂からなる基材に、バインダ層を介して実用上十分な接着強度(投錨力)をもって積層されており、たとえ、加湿雰囲気下においても、接着強度(投錨力)の低下が少なく、さらには、バインダ層も、有機溶剤を用いない水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体からなるため、より一層、環境負荷物質の低減化を図ることができる。
【0066】
そのため、本発明の粘着シートは、例えば、包装用途、電気絶縁用途、部品接着用途、銘板接着用途、発泡体接着用途などの産業用途または家庭用途において、例えば、テープ、シート、フィルムなどの種々の形態として広く用いることができる。
【0067】
なお、本発明の粘着シートにおいて、基材と粘着剤層との間の接着強度(投錨力)の向上は、例えば、重合体の有するアミノ基が、基材および粘着剤層の両方に、接着力が向上するように作用しているものと推測される。
【0068】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例に何ら制限されるものではない。なお、以下の説明において、「部」および「%」は、特に明記のない限り、重量基準である。
【0069】
製造例1(水分散型ポリマーの水分散液の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル70部、アクリル酸2−エチルヘキシル30部、アクリル酸3部、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503、信越シリコーン株式会社製)0.05部、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド0.1部、1−ドデカンチオール0.05部を、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム1.5部を添加した水100部に加えて、60℃にて7時間重合することにより、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする共重合体の水分散型ポリマーの水分散液を調製した。
【0070】
製造例2(アニオン系高分子分散剤の調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌機を備えた反応容器に、アクアロンRN−50(アニオン系乳化剤、第一工業製薬社製)を固形分換算で25部、スチレン15部、メタクリル酸メチル10部、メタクリル酸40部、スチレンスルホン酸ナトリウム10部、1−ドデカンチオール1部、ベンゾイルパーオキサイド2部、脱イオン水320部を加え、65℃にて6時間重合した。その後、28重量%アンモニア水30部を添加し、アニオン系高分子分散剤の分散液を調製した。
【0071】
製造例3(水分散型粘着付与樹脂の水分散液の調製、アニオン系分散剤使用)
フラスコ中で、スミライトレジンPR12603N(ロジンフェノール系樹脂、住友デュレツ社製)を固形分換算で39部およびハイテノールN−17(アニオン系分散剤、第一工業製薬社製)2部をトルエン26部に溶解させ、次いで、脱イオン水32部を加えた後、ホモミキサーにて撹拌し、10重量%アンモニア水1.2部を加えた後、高圧ホモジナイザーにて圧力100MPaにて分散した。この分散物を5時間減圧蒸留(20kPa)してトルエンを除去し、水分散型粘着付与樹脂の水分散液を調製した。
【0072】
製造例4(水分散型粘着付与樹脂の水分散液の調製、アニオン系分散剤/ノニオン系分散剤併用)
フラスコ中で、スミライトレジンPR12603(ロジンフェノール系樹脂、住友デュレツ社製)を固形分換算で39部をトルエン26部に溶解させ、次いで、脱イオン水32部、製造例2で調製したアニオン系高分子分散剤4部、および、ノニオン系分散剤としてエパン485(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、第一工業製薬社製)1部を加えた後、ホモミキサーにて撹拌し、10重量%アンモニア水1.2部を加えた後、高圧ホモジナイザーにて圧力100MPaにて分散した。この分散物を5時間減圧蒸留(20kPa)してトルエンを除去し、水分散型粘着付与樹脂の水分散液を調製した。
【0073】
製造例5(水分散型粘着剤の調製)
製造例1で調製した水分散型ポリマーの水分散液に、10重量%アンモニウム水を添加して、pH8に調整した後、水分散型粘着付与樹脂の水分散液としてタマノルE−100(ロジンフェノール系樹脂、アニオン系分散剤使用、荒川化学工業社製)を、水分散型ポリマーの水分散液の固形分100部に対して、固形分として30部添加して、水分散型粘着剤を調製した。
【0074】
製造例6(水分散型粘着剤の調製)
タマノルE−100の代わりに製造例3の水分散型粘着付与樹脂の水分散液を用いた以外は、製造例5と同様の操作により、水分散型粘着剤を調製した。
【0075】
製造例7(水分散型粘着剤の調製)
タマノルE−100の代わりに製造例4の水分散型粘着付与樹脂の水分散液を用いた以外は、製造例5と同様の操作により、水分散型粘着剤を調製した。
【0076】
実施例1
0.05重量%のポリアリルアミン(PAA−10C、日東紡績社製)の水溶液を、メイヤーバー(#5)を用いて、厚さ25μmのポリエステルフィルム(ルミラーS−10、東レ株式会社製)の基材に、基材1m2あたり10mgの塗布量で塗布し、その後乾燥することにより、厚さ0.01μmのバインダ層を形成した。次いで、製造例5にて得られた水分散型粘着剤を、基材におけるバインダ層の表面に、アプリケーターを用いて、基材1m2あたり70gの塗布量で塗布し、その後乾燥することにより、厚さ70μmの粘着剤層を形成し、これによって粘着シートを得た。
【0077】
実施例2
0.03重量%のポリアリルアミン(PAA−10C、日東紡績社製)の水溶液を、基材1m2あたり60mgの塗布量で塗布し、厚さ0.06μmのバインダ層を形成した以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0078】
実施例3
0.05重量%のポリエチレンイミン(エポミンP−1000、日本触媒社製)の水溶液を、基材1m2あたり10mgの塗布量で塗布し、厚さ0.01μmのバインダ層を形成した以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0079】
実施例4
0.03重量%のポリエチレンイミン(エポミンP−1000、日本触媒社製)の水溶液を、基材1m2あたり60mgの塗布量で塗布し、厚さ0.06μmのバインダ層を形成した以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0080】
実施例5
ポリメントSK−1000(日本触媒社製)を、基材1m2あたり500mgの塗布量で塗布し、厚さ0.5μmのバインダ層を形成した以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0081】
実施例6
ポリメントSK−1000(日本触媒社製)を、基材1m2あたり10000mgの塗布量で塗布し、厚さ10μmのバインダ層を形成した以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0082】
実施例7
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0083】
実施例8
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例2と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0084】
実施例9
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例3と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0085】
実施例10
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例4と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0086】
実施例11
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例5と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0087】
実施例12
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例6と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0088】
実施例13
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0089】
実施例14
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例2と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0090】
実施例15
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例3と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0091】
実施例16
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例4と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0092】
実施例17
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例5と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0093】
実施例18
製造例5で得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7で得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、実施例6と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0094】
比較例1
厚さ25μmのポリエステルフィルム(ルミラーS−10、東レ株式会社製)の基材に、バインダ層を形成することなく、製造例5にて得られた水分散型粘着剤を、基材におけるバインダ層の表面に、アプリケーターを用いて、基材1m2あたり70gの塗布量で塗布し、その後乾燥することにより、厚さ70μmの粘着剤層を形成し、これによって粘着シートを得た。
【0095】
比較例2
厚さ25μmのポリエステルフィルム(ルミラーS−10、東レ株式会社製)の表面をコロナ処理し、そのコロナ処理された表面に、製造例5にて得られた水分散型粘着剤を塗布した以外は、比較例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0096】
比較例3
製造例5にて得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6にて得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、比較例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0097】
比較例4
製造例5にて得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例6にて得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、比較例2と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0098】
比較例5
製造例5にて得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7にて得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、比較例1と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0099】
比較例6
製造例5にて得られた水分散型粘着剤の代わりに、製造例7にて得られた水分散型粘着剤を用いた以外は、比較例2と同様の操作により、粘着シートを得た。
【0100】
評価
各実施例および各比較例によって得られた粘着シートを、温度40℃、湿度92%RHの加湿雰囲気下において7日間保存した後、次の特性を評価した。
【0101】
1)投錨力試験
加湿雰囲気下7日間保存後の各粘着シートについて、粘着剤層側に、投錨性に優れる粘着テープ(No.31、日東電工社製)を貼着した後、それぞれ10mm幅に切断して、サンプルを用意した。各サンプルの基材側を、金属板に貼着して固定し、粘着テープ側を、万能引張試験機(TCM−1kNB、ミネベア社製)を用いて引っ張り、粘着テープをサンプルから剥離させるのに要する剥離力(投錨力)を測定した。なお、剥離試験は、温度23℃、湿度60%RHの雰囲気下で、クロスヘッドスピード(剥離速度)300mm/minとして実施した。その結果を、目視により観察した剥離界面の状態とともに、表1に示す。
【0102】
2)ステンレス板貼り付け剥離試験
加湿雰囲気下7日間保存後の各粘着シートを、それぞれ幅20mm、長さ100mmに切断して、サンプルを用意した。各サンプルを、ステンレス板(SUS430BA)に、2kgのローラを1往復させる方法にてぞれぞれ圧着し、23℃、30分間放置した。次いで、ステンレス板から各サンプルを、下記の剥離条件で剥離させたときの状態を、目視にて観察し評価した。
【0103】
なお、剥離は、万能引張試験機(TCM−1kNB、ミネベア社製)を用いて、温度23℃、湿度60%RHの雰囲気下で、クロスヘッドスピード(剥離速度)300mm/minで、180°ピール試験として実施した。
【0104】
その結果を、表1に示す。なお、表1中の記号は、下記の評価を示す。
【0105】
○:ステンレス板に粘着剤が残存することなく剥離できた。
【0106】
×:ステンレス板に粘着剤が全面転写され、基材のみが剥離された。
【0107】
【表1】
表1に示すように、実施例1〜4および7〜10の粘着シートでは、投錨力試験において、基材界面から剥離させることができず、投錨力を測定することができなかった。また、ステンレス板貼り付け剥離試験においても、基材界面で投錨破壊せず、ステンレス板に粘着剤が残存することなく剥離することができた。
【0108】
実施例5、6、11および12の粘着シート(基材表面処理:ポリメントSK−1000)では、それぞれの投錨力試験において測定不能となる程の投錨力は得られなかったが、比較対象となる比較例1〜4よりも良好な値を示した。また、ステンレス板貼り付け剥離試験では、ステンレス板に粘着剤が残存することなく剥離することができた。
【0109】
これらのことから、製造例5の水分散型粘着剤を用いた実施例1〜6の粘着シートおよび製造例6の水分散型粘着剤を用いた実施例7〜12の粘着シートでは、粘着剤層の基材に対する優れた投錨力が得られていることがわかった。
【0110】
また、製造例7の水分散型粘着剤を用いた実施例13〜18の粘着シートでは、すべての投錨力試験において、粘着シートを基材界面から剥離させることができず、投錨力を測定することができなかった。また、ステンレス板貼り付け剥離試験においても、基材界面で投錨破壊せず、ステンレス板に粘着剤が残存することなく剥離することができた。
【0111】
これらのことから、製造例7の水分散型粘着剤を用いた実施例13〜18の粘着シートでは、さらに優れた投錨力が得られていることがわかった。
【0112】
一方、比較例1〜6の粘着シートでは、投錨力試験において、基材界面にて剥離して投錨力も低く、また、ステンレス板貼り付け剥離試験においても、基材界面で投錨破壊して、ステンレス板に粘着剤が全面転写され、基材のみが剥離された。
【0113】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の粘着シートは、粘着剤層として、有機溶剤を用いない水分散型粘着剤が用いられているので、地球環境保護あるいは環境衛生の観点から望ましいものであり、しかも、粘着剤層は、熱可塑性樹脂からなる基材に、バインダ層を介して実用上十分な接着強度(投錨力)をもって積層されており、たとえ、加湿雰囲気下においても、接着強度の低下が少なく、さらには、バインダ層も、有機溶剤を用いない水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体からなるため、より一層、環境負荷物質の低減化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着シートの一実施形態(基材の片面にバインダ層を介して粘着剤層が積層形成されている態様)を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の粘着シートの他の実施形態(基材の両面にバインダ層を介して粘着剤層がそれぞれ積層形成されている態様)を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 バインダ層
3 粘着剤層
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂からなる基材と、水分散型粘着剤からなる粘着剤層と、それらの間に設けられ、水溶性または水分散性のアミノ基を有する重合体からなるバインダ層とを備えていることを特徴とする、粘着シート。
- 前記重合体が、ポリアリルアミン系重合体またはポリエチレンイミン系重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の粘着シート。
- 前記水分散型粘着剤が、(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分散型ポリマーを含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の粘着シート。
- 前記水分散型粘着剤が、アニオン系分散剤とノニオン系分散剤とを併用して水分散させた水分散型粘着付与樹脂を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート。
- 前記熱可塑性樹脂が、ポリエステルからなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート。
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