JP3622219B2 - 多層配線板の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は多層配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の多層配線板の製造法すなわち層間接続法としては、
(1)配線パターンおよび絶縁層を貫通する穴をあけた後、めっき等によって穴内を金属化し層間の導通を得る方法、
(2)配線パターン上に絶縁層を形成した後、層間接続をすべき部分の絶縁層を除去し、その後表面金属化と同時に層間接続を行う方法
が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
(1)の方法は一般の多層配線板で行われている層間接続方法であるが、貫通穴の形成にドリルをもちいるため、200μm径を下まわるような小径の形成は困難な上、穴位置精度も±30μm以上と十分でない。
(2)の方法は主に半導体の多層配線形成に用いられている方法で、層間接続部の小径化や穴位置精度はフォトマスクによる位置合わせ技術を用いるため、
(1)の方法に比べ一桁優れている。しかしこの方法の場合、下部の配線パターンの凹凸を吸収できず、表面に凹凸形状を残す。このことは、さらなる多層化や表面実装にとって障害となっているばかりか、表面配線の微細化をも阻害している。
また、上記2方法とも層間接続用穴が微小径化しているため、めっき液等のスムーズな流れが得られず、十分な厚みの金属膜が形成しにくい。これは層間接続信頼性に直接影響する問題で深刻である。
本発明は、高密度で層間接続信頼性の高い多層配線板の製造法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本願の第一の発明は、
(A1)キャリヤー金属箔の片面に後工程で層間接続部となる柱状パターンを形成し、
(B1)柱状パターンを内側にして第一の絶縁基材と重ね合わせて柱状パターンを第一の絶縁基材内に埋め込み、
(C1)キャリヤー金属箔を所望する第一の配線パターンに加工し、
(D1)第一の配線パターン面を内側にして第二の絶縁基材と重ね合わせて第二の絶縁基材内に埋め込むとともに第一及び第二の絶縁基材を一体化させ、
(E1)第一の絶縁基材側から柱状パターンを露出させ、
(F1)柱状パターンと導通した第二の配線パターンを形成する
工程を含むことを特徴とするものである。
【0005】
本願の第二の発明は、
(A2)可とう性を有するフィルム基材上に金属薄膜を形成し、
(B2)金属薄膜上に後工程で層間接続部となる柱状パターンを形成し、
(C2)柱状パターンを内側にして第一の絶縁基材と重ね合わせて柱状パターンを第一の絶縁基材内に埋め込み、
(D2)フィルム基材を除去して金属薄膜面を露出させ、
(E2)金属薄膜を含む第一の配線パターンを形成し、
(F2)第一の配線パターン面を内側にして第二の絶縁基材と重ね合わせて第二の絶縁基材内に埋め込むとともに第一及び第二の絶縁基材を一体化させ、
(G2)第一の絶縁基材側から柱状パターンを露出させ、
(H2)柱状パターンと導通した第二の配線パターンを形成する
工程を含むことを特徴とする多層配線板の製造法。
【0006】
図1により本願の第一の発明を具体的に説明する。
キャリヤー金属箔1の片面にレジスト膜を形成し、これをフォトリソグラフ法で所定の形状にパターニングする。次に電気めっきにより後工程で層間接続部となる柱状パターン2を形成後、レジストパターンを剥離する(図1(a))。このようにして、50μm径程度の微細な層間接続用柱状パターンが10μm以下の精度で形成することができる。柱状パターン付きキャリヤー金属箔の製造方法としては、所定の厚さ(柱状パターン厚さ+キャリヤー金属箔厚さ)を有する金属箔上に所望する形状のレジストパターンを形成し、レジストパターン面から所定の深さまで化学的にエッチングする方法もある。この場合、柱状パターン厚さのばらつきを低減するために、金属箔の所定の深さに柱状パターンとエッチング条件が異なる金属薄層を内蔵した金属箔を用いることもできる。次に、柱状パターン2が形成されたキャリヤー金属箔1を柱状パターン面を内側にして第一の絶縁基材3と重ね合わせて柱状パターンを絶縁基材3内に埋め込む。柱状パターンはプレス等熱圧着によって容易に絶縁基材3の樹脂中に埋め込むことができる(図1(b))。この場合、柱状パターン上に存在する絶縁膜の厚さ(図1(b)、h)はプレス条件や第一の絶縁基材の樹脂分及び溶融粘度等により制御可能である。なお、柱状パターンを絶縁基材中に埋め込む方法としては、ポリイアミドワニスのような粘性のある樹脂を柱状パターン上に塗布後、加熱により硬化させてもよい。
【0007】
次に、キャリヤー金属箔の柱状パターンを形成した面の反対面上にレジスト膜を形成し、これをフォトリソグラフ法で所望する配線形状にパターニングし、化学的エッチング法により第一の配線パターン4を形成する。その後、レジストパターンを剥離後(図1(c))、第一の配線パターンを内側にして第二の絶縁基材5と重ね合わせて第一の配線パターン4を第二の絶縁基材5内に埋め込むとともに、第一と第二の絶縁基材を一体化する(図1(d))。この後、第一の絶縁基材側から柱状パターン2を露出させ、層間接続用柱状パターン2、第一の絶縁基材3とによって形成される表面に柱状パターンと導通した第二の配線パターン6を形成する(図1(e))。この場合、第二の配線パターンと良好な電気的接続を得るために、柱状パターン上にある絶縁層(樹脂層)を機械研磨したり、プラズマエッチングやエキシマレーザ照射等により除去・平坦化することは有効である。第二の配線パターンの形成は、エッチング法、アディティブ法いずれでも良い。例えば柱状パターン2、第一の絶縁基材3とによって形成される平坦な表面全面を金属化し柱状パターン2と導通をとり、この金属層をパターニングして第二の配線パターン6を形成する。表面金属化と層間接続を同時に行う金属化はスパッタリングや蒸着等の真空成膜技術を適用することもできる。この場合は、薄膜が形成されるので、その上にレジスト膜を形成した後、パターニングし、電気めっきで厚付けして、レジスト膜を除去し、当初形成した金属薄膜をエッチング除去するセミアディティブ法を採用することができる。セミアディティブ法を採用することにより、第二の配線パターン6は配線幅20μm、配線厚20μm程度にすることができる。
【0008】
図2により本願の第二の発明を具体的に説明する。可とう性を有するフィルム基材7上に厚さサブミクロンから数ミクロン程度の厚さを有する金属薄膜8を形成する。金属薄膜の形成方法としては、スパッタリングや蒸着等の真空成膜法や無電解めっき法が適している。金属薄膜8としては特に限定されるものではなくニッケルなど一般に配線板分野で使用される金属を適用できるが、めっきが析出し易く、かつ、後工程に於てフィルム基材7を容易に除去するためには、比抵抗が小さく、かつ、フィルム基材との親和性が低い金属として銅が最も好ましい。この場合、銅のフィルム基在中への拡散深さを30nm以下に抑えることにより、後工程でフィルム基材と銅薄膜とが容易に分離可能となる。フィルム基材としては、通常の高分子フィルムを適用できるが、厚さ0.03mm程度のステンレス箔も適用できる。ステンレス箔を使用する場合にも、プレス工程に於ける加熱・加圧工程に於いてステンレス箔/銅界面で相互拡散層が形成されるが、相互拡散層を0.03μm以下に抑えることにより容易にステンレス箔を除去可能となる。次に、金属薄膜上にレジスト膜を形成し、これをフォトリソグラフ法で所定の形状にパターニングする。次に、電気めっきにより後工程で層間接続部となる柱状パターン9を形成後、レジストパターンを剥離する(図2(a))。柱状パターン付きフィルム基材の製造方法としては、フィルム基材上に金属薄膜を形成した後、電気めっき等で所定の厚さまで厚付けし、厚付け面上に所望する形状のレジストパターンを形成し、レジストパターン面から化学的にエッチングする方法もある。このようにして、100μm径程度の微細な層間接続用柱状パターンが10μm以下の精度で形成することができる。次に、柱状パターン9が形成されたフィルム基材7を柱状パターン面を内側にして第一の絶縁基材10と重ね合わせて柱状パターンを絶縁基材10内に埋め込む。柱状パターンはプレス等熱圧着によって容易に絶縁基材10の樹脂中に埋め込むことができる(図2(b))。この場合、柱状パターン上に存在する絶縁膜の厚さ(図2(b)、h)はプレス条件や第一の絶縁基材の樹脂分及び溶融粘度等により制御可能である。
【0009】
次に、フィルム基材7を機械的に剥離して金属薄膜8を露出させ、露出した金属薄膜面上にレジスト膜を形成し、これをフォトリソグラフ法で所望する配線形状にパターニングし、電気めっき法により第一の配線パターン11を形成する。その後、レジストパターンを剥離し、クイックエッチングにより金属薄膜8の所望する領域を除去後(図2(c))、第一の配線パターンを内側にして第二の絶縁基材12と重ね合わせて第一の配線パターン11を第二の絶縁基材12内に埋め込むとともに、第一と第二の絶縁基材を一体化する(図2(d))。この後、第一の絶縁基材側から柱状パターン9を露出させ、柱状パターン9、第一の絶縁基材10とによって形成される表面に柱状パターンと導通した第二の配線パターン13を形成する(図2(e))。この場合、第二の配線パターンと良好な電気的接続を得るために、柱状パターン上にある絶縁層を機械研磨したり、プラズマエッチングやエキシマレーザ照射等により除去・平坦化することは有効である。第二の配線パターンの形成は、エッチング法、アディティブ法いずれでも良い。例えば柱状パターン9、第一の絶縁基材10とによって形成される平坦な表面全面を金属化し柱状パターン9と導通をとり、この金属層をパターニングして第二の配線パターン13を形成する。表面金属化と層間接続を同時に行う金属化はスパッタリングや蒸着等の真空成膜技術を適用することもできる。このようにして、高密度で層間接続信頼性の高い多層配線板ができる。
【0010】
【実施例】
実施例1
18μm厚の銅箔に25μm厚のフィルムレジスト(日立化成工業(株)製、商品名PHT 887AF)層を形成した後、層間接続部に相当するところのレジストを露光・現像によって除去した。次に、電気めっきにより銅を23μmめっき後、レジストを剥離液にて除去した。これによって、直径60μm、厚さ23μmの層間接続用の柱状パターンを形成した。防錆処理後、この柱状パターン付銅箔のパターン面に厚さ30μmのポリイミド絶縁膜を形成した。ポリイミド絶縁膜の形成方法は、まずポリアミドワニスをロールコーターで塗布後、2段階加熱(150℃、30分→350℃、120分)によりイミド化した。次に、銅箔の反対面に所定のレジストパターンを形成し、過硫酸アンモニウム溶液(濃度:40g/l、液温:40±3℃)により銅箔の所望する部分をエッチングしてライン/スペースが85/85μmの配線パターンを形成した。レジストパターンを除去後、配線パターンを内側にして、接着用ポリイミドプイプレグを介してガラス布ポリイミド樹脂基板とプレス圧着した。プレス条件は40kgf/cm2、170℃で120分である。次に、機械研磨により柱状パターン上に存在するポリイミド層を除去し、洗浄、乾燥後、日本真空技術(株)製スパッタリング装置(MLH 6315型)によりクロム、銅薄膜を連続して形成した。スパッタリング条件を表1に示した。
【0011】
【表1】
【0012】
その後、銅薄膜上に液状レジスト(Shipley社製、商品名 TF−20)を回転塗布し(塗布条件:300rpm、30秒→700rpm、60秒)、85℃で20分前加熱を施し、露光量550mJで露光した後、専用現像液で現像してライン/スペースが20/20μm、厚さ18μmのレジストパターンを形成した。次に、電気めっきで銅配線層を15μm形成した後、レジストパターンをアセトンで除去し、過硫酸アンモニウム溶液(濃度:20g/l、液温:40±3℃)で銅薄膜、続いて、フェリシアン化カリウムと水酸化カリウムの混合溶液(濃度:フェリシアン化カリウム 300g/l、水酸化カリウム 50g/l, 液温40±3℃)でクロム薄膜をそれぞれクイックエッチングした。
この結果、配線幅20μm及び配線厚15μm、層間接続部径60μmで、約60μm厚中に2層の配線を収納した高密度配線構造を形成できた。この多層配線板の接続信頼性は良好であった。なお、本発明の多層配線板は、通常の方法で形成した多層配線板上に使用しても有効である。
【0013】
実施例2
250mm角のポリイミドフィルム(宇部興産(株)製、商品名 UPILEX S−type,厚さ50μm)上に日本真空技術(株)製スパッタリング装置(MLH 6315D型)を用いて厚さ1μmの銅薄膜を形成した。スパッタリング条件は表2に示した。
【0014】
【表2】
【0015】
次に、銅薄膜上に25μm厚のフィルムレジスト(日立化成工業(株)製、商品名PHT 887AF)層を形成した後、層間接続部に相当するところのレジストを露光 ・現像によって除去した。次に、電気めっきにより銅を23μmめっき後、レジストを剥離液にて除去した。これによって、直径60μm、厚さ23μmの層間接続用の柱状パターンを形成した。防錆処理後、柱状パターンを内側にして熱融着型ポリイミド絶縁フィルムとプレス圧着した。プレス条件は、圧力40kgf/cm2、温度200℃で90分である。次に、ポリイミドフィルムを剥離し、露出した銅薄膜面にドライフィルムレジストをラミネートし、露光、現像により所定のレジストパターンを形成し、電気めっきにより配線パターンを形成した後、レジストパターンを除去した。次に、過硫酸アンモニウム溶液(濃度:40g/l、液温:40±3℃)により銅薄膜の所望する部分をクイックエッチングしてライン/スペースが50/50μm、厚さが25μmの配線パターンを形成した。次に、配線パターンを内側にして、接着用ポリイミドプイプレグを介してガラス布ポリイミド樹脂基板とプレス圧着した。プレス条件は40kgf/cm2、175℃で120分である。次に、機械研磨により柱状パターン上に存在するポリイミド層を除去し、洗浄、乾燥後、スパッタリングによりクロム、銅薄膜を連続して形成した。スパッタリング条件を表3に示した。
【0016】
【表3】
【0017】
その後、銅薄膜上に液状レジスト(Shipley社製、商品名 TF−20)を塗布し、 85℃で20分前加熱を施し、露光量550mJで露光した後、専用現像液で現像してライン/スペースが20/20μm、厚さ18μmのレジストパターンを形成した。次に、電気めっきで銅配線層を15μm形成した後、レジストパターンをアセトンで除去し、過硫酸アンモニウム溶液(濃度:20g/l、液温:40±3℃)で銅薄膜、続いて、フェリシアン化カリウムと水酸化カリウムの混合溶液(濃度:フェリシアン化カリウム 300g/l、水酸化カリウム 50g/l, 液温40±3℃)でクロム薄膜をそれぞれクイックエッチングした。
この結果、約60μm厚中に上部配線密度20/20μm及び下部配線50/50μmの高密度2層配線を収納した高密度配線構造を形成できた。この多層配線板の接続信頼性は良好であった。なお、本発明の多層配線板は、通常の方法で形成した多層配線板上に使用しても有効である。その場合、既に形成した配線部との接続は例えばスルーホール接続等による。
【0018】
【発明の効果】
本発明により、高密度で接続信頼性の高い多層配線板の製造が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(e)は本願の第一の発明の製造工程を示す部分断面図である。
【図2】図1(a)〜(e)は本願の第二の発明の製造工程を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1.キャリヤー金属箔
2.柱状パターン
3.第一の絶縁基材
4.第一の配線パターン
5.第二の絶縁基材
6.第二の配線パターン
7.フィルム基材
8.金属薄膜
9.柱状パターン
10.第一の絶縁基材
11.第一の配線パターン
12.第二の絶縁基材
13.第二の配線パターン
h.柱状パターン頭頂部〜第一の絶縁基材表面間に存在する樹脂の厚さ
Claims (2)
- (A1)キャリヤー金属箔の片面に後工程で層間接続部となる柱状パターンを形成し、
(B1)柱状パターンを内側にして第一の絶縁基材と重ね合わせて柱状パターンを第一の絶縁基材内に埋め込み、
(C1)キャリヤー金属箔を所望する第一の配線パターンに加工し、
(D1)第一の配線パターン面を内側にして第二の絶縁基材と重ね合わせて第二の絶縁基材内に埋め込むとともに第一及び第二の絶縁基材を一体化させ、
(E1)第一の絶縁基材側から柱状パターンを露出させ、
(F1)柱状パターンと導通した第二の配線パターンを形成する
工程を含むことを特徴とする多層配線板の製造法。 - (A2)可とう性を有するフィルム基材上に金属薄膜を形成し、
(B2)金属薄膜上に後工程で層間接続部となる柱状パターンを形成し、
(C2)柱状パターンを内側にして第一の絶縁基材と重ね合わせて柱状パターンを第一の絶縁基材内に埋め込み、
(D2)フィルム基材を除去して金属薄膜面を露出させ、
(E2)金属薄膜を含む第一の配線パターンを形成し、
(F2)第一の配線パターン面を内側にして第二の絶縁基材と重ね合わせて第二の絶縁基材内に埋め込むとともに第一及び第二の絶縁基材を一体化させ、
(G2)第一の絶縁基材側から柱状パターンを露出させ、
(H2)柱状パターンと導通した第二の配線パターンを形成する
工程を含むことを特徴とする多層配線板の製造法。
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