JP4090559B2 - 多層配線基板の製造方法及び転写用真空装置 - Google Patents

多層配線基板の製造方法及び転写用真空装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線基板の製造方法に関し、特に高精細な配線を有する多層配線基板を生産性良く製造することができる多層配線基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造技術の飛躍的な発展により、半導体パッケージの小型化、多ピン化、ファインピッチ化、電子部品の極小化などが急速に進み、いわゆる高密度実装の時代に突入した。それに伴って、プリント配線板も片面配線から両面配線へと進み、さらに多層化、薄型化が進められている。
現在、プリント配線板の銅パターンの形成には、主としてサブトラクティブ法と、アディティブ法が用いられている。
サブトラクティブ法は、銅張り積層板に穴を開けた後に、穴の内部と表面に銅メッキを行い、フォトエッチングによりパターンを形成する方法である。このサブトラクティブ法は技術的に完成度は高く、またコストも安いが銅箔の厚さ等による制約から微細パターンの形成は困難である。
一方、アディティブ法は無電解メッキ用の触媒を含有した積層板上の回路パターン形成部以外の部分にレジストを形成し、積層板の露出している部分に無電解銅メッキ等により回路パターンを形成する方法である。このアディティブ法は、微細パターンの形成が可能であるが、コスト、信頼性の面で難がある。
【0003】
多層配線基板の場合には、上記の方法等で作製した片面あるいは両面のプリント配線板を、ガラス布にエポキシ樹脂等を含浸させた半硬化状態のプリプレグと一緒に加圧積層する方法が用いられている。この場合、プリプレグは各層の接着剤の役割をなし、層間の接続はスルーホールを作製し、内部に無電解メッキ等を施して行っている。
また、高密度実装の進展により、多層配線基板においては薄型、軽量化とその一方で単位面積当たりの高い配線能力が要求され、一層当たりの基板の薄型化、層間の接続や部品の搭載方法等に工夫がなされている。
しかしながら、上記のサブトラクティブ法により作製された両面プリント配線板を用いた多層配線基板の作製は、両面プリント配線板の穴形成のためのドリル加工の精度と、微細化限界の面から高密度化に限界があり、製造コストの低減も困難であった。
【0004】
一方、薄型、軽量化、高密度配線の要求を満たすものとして、基材上に導体パターン層と絶縁層とを順次積層して作製される多層配線基板が開発されている。
この多層配線基板は、銅メッキ層のフォトエッチングと感光性樹脂のパターニングを交互に行って作製されるため、高精細な配線と任意の位置での層間接続が可能となっている。
しかしながら、この多層配線基板の作製は、銅メッキとフォトエッチングを交互に複数回行うため、工程が煩雑となり、また、基板上に1 層づつ積み上げる直列プロセスのため、中間工程でトラブルが発生すると、製品の再生が困難となり、製造コストの低減に支障をきたしていた。
さらに従来の多層配線基板においては、層間の接続がバイアホールを作製することにより行われていたため、煩雑なフォトリソグラフィー工程が必要であり、製造コスト低減の妨げとなっていた。
【0005】
配線の微細化、高密度化に対応でき、複雑な工程を必要とせず、量産に対応できる多層配線基板として、本出願人は、すでに、ベース基板上に順次転写された複数層の配線部を設けた多層配線基板で、各層の配線部が配線部の下部に形成された絶縁樹脂層によってベース基板あるいは下層の配線部に固着されている多層配線基板を提案し、同時にその製造方法を提案している。( 特願平6−220962号)
しかし、このような多層配線基板の作製においては、転写のための圧着でベース基板と転写用原版とを重ねる際に、ベース基板と転写用原版間に気泡(空気)が残留し易く、これが原因で転写不良および電気的な絶縁不良を引き起こすという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を複数版用い、順次、多層配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に順次転写して、配線を形成する多層配線基板の製造方法においては、転写のための圧着でのベース基板と転写用原版間の気泡(空気)の残留に起因する転写不良および絶縁不良が問題となっており、この対応が求められていた。
本発明は、これに対応するもので、転写のための圧着でのベース基板と転写用原版間の気泡の残留が起こらない多層配線基板の製造方法を提供しようとするものである。同時に、このような転写が行える転写用装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の多層配線基版の製造方法は、支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を複数版用い、順次、多層配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に順次転写して、配線を形成する多層配線基板の製造方法であって、転写用原版の配線部のベース基板側への転写が、順に、(a)転写用原版の配線部側をベース基板の配線部形成側の所定の位置に合わせて、密着させて重ねる工程と、(b)ベース基板の転写用原版側でない一面を保持固定して、且つ、転写用原版の配線部側とは反対側の面を覆うフィルム等の基材を境界として、密着されたベース基板と転写用原版側に第1の真空引き用の空間、および密着されたベース基板と転写用原版側でない側に第2の真空引き用の空間を設け、両空間をともに真空引きする真空引き工程と、(c)第2の真空引き用の空間の真空引きを解除し、第1の真空引き用の空間の真空引きをそのまま継続し、ベース基板と転写用原版とを、第2の真空引き用の空間側の圧により圧着する圧着工程と、(d)第1の真空引き用の空間の真空引きを解除し、ベース基板側から転写用原版の支持体を剥離する剥離工程とを有するものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、圧着工程に引き続き、ベース基板と転写用原版とを圧着した状態のまま、ベース基板と転写用原版に熱をかけ、その後冷却する加熱、冷却処理工程を行うことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の転写用真空装置は、支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を用い、配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に転写して配線を形成するための転写用真空装置であって、ベース基板の配線部形成面側でない下側の面を、その一面で保持し、該一面に連結してベース基板の周囲を囲む第1の壁部を有する第1の治具と、第1の治具の第1の壁部とフィルム等の基材を介して重なる第1の壁部と同形状の第2の壁部を有する第2の治具とを備えており、第1の治具は第1の壁部と第2の壁部とでフィルム等の基材を挾み、フィルム等の基材とで第1の真空引き用の空間部を形成し、且つ、第2の治具は、第2の壁部と第1の壁部とでフィルム等の基材を挾み、フィルム等の基材とで第2の真空引き用の空間部を形成するものであることを特徴とするものである。
そして、上記において、第1の治具は、ベース基板の配線部形成面側でない下側の面をほぼ水平にして保持するもので、第2の治具は、第1の治具の上側に位置していることを特徴とするものである。
そしてまた、上記において、第1の治具もしくは第2の治具は、位置制御可能なステージ上に載置されていることを特徴とするものである。
【0009】
【作用】
本発明の多層配線基版の製造方法は、このような構成にすることにより、支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を複数版用い、順次、多層配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に順次転写して、配線を形成する多層配線基板の製造方法において、転写のための圧着でのベース基板と転写用原版間の気泡(空気)の残留を無くすことを可能とし、従来問題となっていた圧着でのベース基板と転写用原版間の気泡の残留に起因する転写不良や絶縁不良を無くすことを可能とした。
具体的には、転写用原版の配線部のベース基板側への転写が、順に、(a)転写用原版の配線部側をベース基板の配線部形成側の所定の位置に合わせて、密着させて重ねる工程と、(b)ベース基板の転写用原版側でない一面を保持固定して、且つ、転写用原版の配線部側とは反対側の面を覆うフィルム等の基材を境界として、密着されたベース基板と転写用原版側に第1の真空引き用の空間、および密着されたベース基板と転写用原版側でない側に第2の真空引き用の空間を設け、両空間をともに真空引きする真空引き工程と、(c)第2の真空引き用の空間の真空引きを解除し、第1の真空引き用の空間の真空引きをそのまま継続し、ベース基板と転写用原版とを、第2の真空引き用の空間側の圧により圧着する圧着工程と、(d)第1の真空引き用の空間の真空引きを解除し、ベース基板側から転写用原版の支持体を剥離する剥離工程とを有するものであることにより、これを達成している。
即ち、転写用原版の配線部側をベース基板の配線部形成側の所定の位置に合わせて、密着させて重ねあわせ、且つ、第1の真空引き用の空間および第2の真空引き用の空間を作成してから、第2の真空引き用の空間のみ大気圧に戻すことにより、転写用原版とベース基板間の真空引きを効率的に、且つ、十分に行うことができ、これにより、ベース基板と転写用原版間の気泡(空気)の残留を無くことを可能としているのである。
そして、圧着工程に引き続き、ベース基板と転写用原版とを圧着した状態のまま、ベース基板と転写用原版に熱をかけ、その後冷却する加熱、冷却処理工程を行うことにより、転写を確実に行えるものとしている。
ここで言う加熱処理とは、配線部上の絶縁性樹脂層の樹脂の溶剤分を揮発させ、凝集力を高め、転写性を良くする処理を意味する。
【0010】
本発明の転写用真空装置は、このような構成にすることにより、本発明の多層配線基板の製造方法の実施を可能とするものである。
具体的には、ベース基板の配線部形成面側でない下側の面を、その一面で保持し、該一面に連結してベース基板の周囲を囲む第1の壁部を有する第1の治具と、第1の治具の第1の壁部とフィルム等の基材を介して重なる第1の壁部と同形状の第2の壁部を有する第2の治具とを備えており、第1の治具は第1の壁部と第2の壁部とでフィルム等の基材を挾み、フィルム等の基材とで第1の真空引き用の空間部を形成し、且つ、第2の治具は、第2の壁部と第1の壁部とでフィルム等の基材を挾み、フィルム等の基材とで第2の真空引き用の空間部を形成するものであることにより、これを達成している。
そして、該第1の治具は、ベース基板の配線部形成面側でない下側の面をほぼ水平にして保持するもので、第2の治具は、第1の治具の上側に位置していることにより、ベース基板、転写用原版を略水平な状態で扱え、実用的なものとしている。
更に、第1の治具もしくは第2の治具が、位置制御可能なステージ上に載置されていることにより、ベース基板、転写用原版の位置合わせを、確実に容易にできるものとしている。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を挙げて図に基づいて説明する。
図1は本発明の多層配線基板の製造方法の実施の形態の1例の工程を示した概略図で、図2は転写用原版の一部断面図、図3は本発明の転写用真空装置の実施の形態の1例を示した概略構成図で、図4は図3に示す転写用真空装置の各動作を示した断面の概略図ある。
図1中の点線内の図1(a)〜図1(g)は転写工程▲1▼の工程内容を示した断面の概略図で、S110〜S130は処理ステップを示している。
図1、図2、図3中、110は(配線基板用の)ベース基板、121は支持体、125は(導電性層からなる)配線、127は絶縁性樹脂層、128はレジスト、130はフィルム基材、140は固定部、150は第1の真空引き用の空間、151は真空引き用配管、151Aは開閉バルブ、152は真空解除用配管、152Aは開閉バルブ、155は第2の真空引き用の空間、156は真空引き用配管、156Aは開閉バルブ、157は真空解除用配管、157Aは開閉バルブ、200、200A、201、202、203は転写用原版、210は第1の治具、215は第1の壁部、220は第2の治具、225は第2の壁部、240はXYθステージ、250は第1の真空引き用空間、251、253、254、256、258、259は真空引き用配管、252、257は真空解除用配管、251A、252A、253A、254A、256A、257A、258A、259Aは開閉バルブ、255は第2の真空引き用空間、260は転写用原版支持部、270はアライメント用(位置合わせ用)カメラである。
【0012】
まず、本発明の多層配線基板の実施の形態の1例を挙げる。
図1に示す例は、図2(a)ないし図2(b)に示すような、支持体121上に所定形状の導電性層からなる配線部(配線125)を設け、更に配線部(配線125)上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層127を設けた転写用原版3版(201、202、203)用い、順次、多層配線基板用のベース基板110の一面に、各転写用原版を圧着し、且つその支持体121を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層127を介してベース基板110側に順次転写して、配線を形成する多層配線基板の製造方法である。
そして、まず転写用原版201の配線部をベース基板側に転写形成し(S110の転写工程▲1▼)、次いで、ベース基板110の転写用原版201の配線部が形成された側の面に転写用原版202の配線部を転写形成し(S120の転写工程▲2▼)、更に、ベース基板110の転写用原版201の配線部、転写用原版202の配線部が形成された側の面に転写用原版203の配線部を転写形成し(S130の転写工程▲3▼)、多層配線基板を作製するものである。
尚、図2(a)、図2(b)に示す転写用原版200、200Aはともに導電性の支持体121上に直接、選択めっき形成により、配線と、更にその上に絶縁性樹脂層127を設けたものであるが、図2(b)の転写用原版200Aの場合はレジスト128が薄く、且つ、転写の際に影響がでないのでそのまま付けた状態で転写用原版としたものであり、図2(a)に示す転写用原版200はレジストを除去したものであり、配線125、絶縁性樹脂層127を耐めっき性のレジストを用いて選択めっき形成する際のレジストが厚い場合など、転写の際にレジストがあると不具合を起こす場合のものである。
【0013】
図1に基づいて、以下図1に示す本発明の多層配線基板の製造方法の実施の形態を説明する。
はじめに、転写用原版201の配線部のベース基板110側への転写(S110の転写工程▲1▼)を行うが、これを図1(a)〜図1(g)に基づいて説明する。
先ず、転写用原版201の配線部側をベース基板110の配線部形成側の所定の位置に合わせて、密着させて重ねる。(図1(a))
次いで、重ね合わせた転写用原版201とベース基板110の間に残留している空気を取り除くために、転写用原版201の配線部側とは反対側の面を覆うフィルム基材130を境界として、境界の密着されたベース基板110と転写用原版201側に第1の真空引き用の空間150および境界の密着されたベース基板110と転写用原版201側でない側に第2の真空引き用の空間155を設ける。(図1(b))
この状態で、ベース基板110の転写用原版201側でない一面は、固定部140にて、保持固定されている。
また、第1の真空引き用の空間150には、真空引き用配管151および真空解除用配管152が接続され、第2の真空引き用の空間155には、真空引き用配管156および真空解除用配管157が接続されているが、この段階では、各配管ともその開閉バルブは閉じた状態で、第1の真空引き用の空間150、第2の真空引き用の空間155とも大気圧の状態である。
次いで、真空引き用配管151、156のそれぞれの開閉バルブ151A、156Aを開き、両真空引き用空間(150、155)とも真空引きする。(図1(c))
次いで、開閉バルブ156Aを閉じ、真空解除用配管157の開閉バルブ157Aを開き、第2の真空引き用の空間155の真空引きを解除して大気圧に戻す操作を行い、且つ、第1の真空引き用の空間150の真空引きをそのまま継続し、ベース基板110と転写用原版201とを、第2の真空引き用の空間155側の圧により圧着する。(図1(d))
この状態で、第2の真空引き用の空間155を取り払い、フィルム基材130側からの大気圧により、ベース基板110側に転写用原版201を圧着した状態で、熱処理を行い、この後冷却する。(図1(e))
熱処理により、転写用原版201の絶縁性樹脂127の樹脂の溶剤分を揮発させ、樹脂の凝集力が高まり、転写性が良くなる。
次いで、開閉バルブ151Aを閉じ、真空解除用配管152の開閉バルブ152Aを開き、第1の真空引き用の空間150の真空引きを解除して大気圧に戻し、フィルム基材130を剥がす。(図1(f))
次いで、転写用原版201の支持体121をベース基板110側から剥離して、転写用原版201の配線部(配線125)をベース基板側に転写形成する。
(図1(g))
【0014】
次いで、上記転写工程▲1▼(S110)と同様にして、ベース基板110の転写用原版201の配線部が形成された側の面に転写用原版202の配線部を転写形成し(S120の転写工程▲2▼)、更に、ベース基板110の転写用原版201の配線部、転写用原版202の配線部が形成された側の面に転写用原版203の配線部を転写形成し(S130の転写工程▲3▼)、多層配線基板を作製する。
このようにして、配線部を3層とする多層配線基板が作製される。
【0015】
フィルム基材130は、シリコン系ゴム等からなる耐熱性を有し、且つ、可撓性を有するものが好ましい。
【0016】
転写用原版201、202、203(図2の200、200Aに相当)は、既に述べたように、通常は、導電性の支持体121の一面上に、選択めっきにより導電性層からなる配線125を形成して、更に配線125上に絶縁性樹脂層127を形成するが、これに限定はされない。
転写用原版201、202、203の支持体121としは、金属板、ガラス板、プラスチック等が用いられ、導電性層からなる配線部(配線125)としては、めっき銅が好ましいが、必要に応じてNi(ニッケル)、Au(金)、Cr(クロム)、Ag(銀)、Pt(白金)でも良く、めっき銅の場合、その厚さは、配線の幅にもよるが1μm以上は必要である。
ベース基板110としては、配線125の熱膨張係数に近い熱膨張係数を持つものが適し、めっき銅を配線とする場合には、ステンレス(SUS304)やBTレジン等のプリント基板に用いられるガラスクロス入りのエポキシ樹脂が用いられる。
【0017】
絶縁性樹脂層127としては、熱硬化性樹脂が好ましいが、これに限定はされない。熱硬化性樹脂としては、エポキシ、フェノール、メラミンポリエステル、シリコーン等がある。それぞれ、必要に応じ、硬化材、変性剤、充填剤等を、適宜選んで使用する。
めっき形成された配線125上に、更に、電着により、絶縁樹脂層127を設ける場合には、配線120の形成と絶縁樹脂層130の形成を連続して行うことができ、これにより量産性の良いものとなる。
この場合には、絶縁樹脂層127は、電着性を持ち、常温もしくは、加熱により粘着性を示すものであれば良く、例えば、使用する高分子としては、粘着性を有するアニオン性、またはカチオン性合成高分子樹脂を挙げることができる。
【0018】
アニオン性合成高分子樹脂としては、アクリル性樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン化油樹脂、ボリブタジエン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を単独で、あるいは、これらの樹脂の任意の組合せによる混合物として使用できる。さらに、上記のアニオン性合成樹脂とメラミン樹脂、フエノール樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂とを併用しても良い。
また、カチオン性合成高分子樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂等を単独で、あるいは、これらの任意の組合せによる混合物として使用できる。さらに、上記のカチオン性合成高分子樹脂とポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の架橋性樹脂を併用しても良い。
また、上記の高分子樹脂に粘着性を付与するために、ロジン系、テルペン系、石油樹脂等の粘着性付与樹脂を必要に応じて添加することも可能である。
上記高分子樹脂は、アルカリ性または酸性物質により中和して水に可溶化された状態、または水分散状態で電着法に供される。すなわち、アニオン性合成高分子樹脂は、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアミン類、アンモニア、苛性カリ等の無機アルカリで中和する。カチオン性合成高分子樹脂は、酢酸、ぎ酸、プロピオン酸、乳酸等の酸で中和する。そして、中和された水に可溶化された高分子樹脂は、水分散型または溶解型として水に希釈された状態で使用される。
【0019】
次いで、本発明の転写用真空装置の実施の形態の1例を挙げ、図3に基づいて説明する。
図3(a)は実施の形態の1例の概略構成図で、図3(b)はフィルム基材130を介して、第1の治具210と第2の治具220とにより、第1の真空引き用空間250、第2の真空引き用空間255を形成したときの状態を示した概略図で、各真空引き用空間の真空引き、真空解除を行うための、真空引き用配管と真空解除用の配管、および第1の治具210を吸着固定するための真空引き用配管253の概略構成を示してある。
尚、フィルム基材を壁部(215、225)にて吸着するための真空引き用配管254、259は、図3(b)を分かり易くするため、図3(a)のみに記載してある。
図3に示す例の転写用真空装置は、本発明の多層配基板の製造方法を実施するための転写用真空装置で、図3(a)に示すように、配線を転写形成するベース基板110の配線部形成面側でない下側の面を、略水平にしてその一面で保持し、該一面に連結してベース基板の周囲を囲む第1の壁部215を有する第1の治治具210と、第1の治具210の第1の壁部215とフィルム等の基材130を介して重なる第1の壁部215と同形状の第2の壁部225を有する第2の治具220とを備えている。
そして、図3(b)に示すように、第1の治具210は第1の壁部215と第2の治具220の第2の壁部225とでフィルム等の基材130を挾み、フィルム等の基材130とで第1の真空引き用の空間部250を形成し、且つ、第2の治具220は、第2の壁部225と第1の治具210の第1の壁部215とでフィルム等の基材130を挾み、フィルム等の基材130とで第2の真空引き用の空間部255を形成する。
第1の治具210は、X方向、Y方向、θ方向に制御されて移動できるXYθステージ240上に保持固定されている。
第1の治具210、第2の治具220の断面形状は、互いにその向きは逆であるが、図3に示すように凹形状である。
【0020】
転写用原版200は、ベース基板110の上に転写用原版支持部260にてその周辺部を保持固定されている。
アライメント用カメラ270は、転写用原版200をベース基板110の所定の位置に目合わせするためのもので、アライメント用カメラ270の測定結果に基づき、XYθステージ240を移動させる。
なお、転写用原版支持部260自体もX方向、Y方向、θ方向に微調整可能になっている方が好ましい。
転写用原版支持部260およびアライメント用カメラ270は、必要に応じ、ベース基板上をA1の方向に移動できるようになっており、且つ、図3(b)に示すように、第1の真空引き用空間250、第2の真空引き用空間255を形成する際には、A2の方向に移動するようになっている。
図3(b)に示すように、第1の治具210には、第1の真空引き用空間250の真空引き、真空解除を行うための真空引き用の配管251、258、および真空解除用の配管252と、それぞれの配管に開閉バルブ251A、252A、253Aが設けられており、図3(a)に示すように、その第1の壁部215には、フィルム基材130を吸着するための真空引き用配管254と開閉バルブ254Aとが備えられている。
図3(b)に示すように、第2の治具220には、第2の真空引き用空間255の真空引き、真空解除を行うための、真空引き用の配管256、および真空解除用の配管257と、それぞれの配管に開閉バルブ256A、257Aが設けられており、図3(a)に示すように、その第2の壁部225には、フィルム基材130を吸着するための真空引き用配管259と開閉バルブ259Aとが備えられている。
また、XYθステージ240には、第1の治具210の下側の面を真空吸着するための真空引き用配管253が設けられている。この配管にも開閉バルブ253Aが設けられている。
そして、図3(b)に示すように、第1の治具210の第1の壁部215と第2の治具220の第2の壁部225とによりフィルム基材130を挾むことにより、フィルム基材130を境にして、第1の治具210と第2の治具220とにより、第1の真空引き用空間250、第2の真空引き用空間255が形成される。
【0021】
次いで、図3に示す転写用真空装置を用いて、転写用原版の配線をベース基板側に転写する動作の1例を、図3、図4に基づいて簡単に説明しておく。
まず、図3(a)のように、ベース基板110を第1の治具210上に保持固定し、転写用原版200を転写用原版支持部260に保持固定し、且つ、フィルム基材130を第2の治具220により、真空引きして保持固定しておく。
この状態では、図3(b)に示す各配管の開閉バルブの状態は以下の通りである。
第1の治具210の真空引き用配管251の開閉バルブ251Aは閉じ、XYθステージ240の真空引き用配管253の開閉バルブ253Aは開き、第1の治具210の真空解除用配管252の開閉バルブは閉じている。
また、第1の治具210の真空引き用配管254の開閉バルブ254Aも閉じている。
そして、第2の治具220の真空引き用配管256の開閉バルブ256A、真空解除用配管257の開閉バルブ257Aは閉じた状態で、真空引き用配管259の開閉バルブ259Aは開いた状態である。
次いで、転写用原版200を転写用原版支持部260とともに、転写用原版200とベース基板110とのアライメントがし易い位置まで下げ、アライメント用カメラ270にて所望の位置からのずれ量を測定し、測定結果に対応してXYθステージ240を移動させることにより位置合わせを行う。(図4(a))
位置合わせができたら、更に、転写用原版200を転写用原版支持部260とをベース基板110側に下げ、転写用原版200、転写用原版支持部260、第1の治具210にて密閉された空間を作る。
そして、この状態で、第1の治具210の真空引き用配管251の短時間開閉バルブ251Aを開いてから再度閉じ、転写用原版200がベース基板側に、軽く圧着されるようにする。(図4(b))
次いで、この状態で、転写用原版支持部260のみを図3(a)のA1方向、およびA2方向に移動させ、第2の治具220に保持固定されたフィルム基材130を第2の治具220とともに、ベース基板110側に下げる。(図4(c))
更に、フィルム基材130と第2の治具220を下げ、フィルム基材130を第1の治具210の第1の壁部215と、第2の治具220の第2の壁部225とで挾み、フィルム基材130を境にして、第1の治具210と第2の治具220とにより、第1の真空引き用空間250、第2の真空引き用空間255を形成し、この状態で、図3(b)に示す第1の治具210の真空引き用配管251の開閉バルブ251Aと第2の治具220の真空引き用配管256の開閉バルブ256Aとを開き、両真空引き用空間(250、255)ともに真空引きする。(図4(d))
この状態で、第1の治具210の第1の壁部215の真空引き用配管254の開閉バルブ254Aを開いておく。
次いで、第2の治具220の真空引き用配管256の開閉バルブ256Aとを閉じ、真空解除用配管257の開閉バルブを開くことにより、第2の真空引き用空間255の真空を解除して大気圧に戻した後に、第2の治具220を上側(A1方向)に移動しておく。(図4(e))
尚、第2の治具220を上側への移動に先だち、真空引き用配管259の開閉バルブ259Aを閉じておく。
次いで、真空引き用配管253の開閉バルブ253Aを閉じ、転写用原版200とベース基板110とが密着された状態のまま、これを第1の治具210とともにステージの外に取り出し、この状態で、熱処理を行う。(図4(f))
第1の真空引き用空間250は真空を保った状態である。
熱処理は絶縁性樹脂層127の樹脂の溶剤分を揮発させ樹脂の凝集力を挙げ、転写性を良くするためのものである。
次いで、真空引き用配管251の開閉バルブ251Aを閉じ、その後、真空解除用配管252の開閉バルブ252Aを開き、第1の真空引き用空間250を大気圧に戻し、転写用原版200とベース基板110とが密着された状態のまま、これを第1の治具210から外に取り出する。(図4(g))
尚、第1の治具210からの取り出しに先だち、真空引き用配管254の開閉バルブ254Aを閉じておく。
次いで、転写用原版200の支持体(図2の121に相当)のみを剥離して、その配線部(図2の125に相当)をベース基板110側に転写する。(図4(h))
このようにし、図3(a)に示す転写用真空装置を用い、転写用原版200の配線部をベース基板側に転写形成した配線基板110Aを得ることができる。
上記は、図3(a)に示す転写用真空装置の動作の1例で、必ずしも、このような使用の仕方に限定はされない。
【0022】
【実施例】
(実施例1)
実施例1は、図1に示す配線部を3層とする多層配線基板の製造の1例を、図3に示す転写用真空装置を用い、以下のように作製された転写用原版(201、202、203に相当)を用いて、図4に示す真空装置動作により、転写用原版の配線部の転写を行ったものである。図1、図3、図4に基づいて説明する。
先ず、各転写用原版(201、202、203に相当)を以下のようにして作製した。
支持体121として、表面を研磨した0.10mm厚のステンレス板を準備し、この支持体の一面上に市販のフォトレジスト( 東京応化工業株式会社製、OMR−85)をスピンコート法により膜厚約1μmに塗布し、オーブンで85°C、30分間乾燥を行った後、作成する配線部の形状に対応した所定のフォトマスクを用いて、露光装置P−202−G(大日本スクリーン製造株式会社製) にて密着露光を行い、次いで、現像、水洗、乾燥等の処理を行い、所定の形状にレジスト150を層を形成した。
露光条件は30countである。
次いで、レジストを形成した支持体110と含燐銅電極を対向させて下記の組成の硫酸銅めっき浴中に浸漬し、直流電源の陽極に含燐銅電極を陰極に上記転写用原版を接続し、電流密度2A/dm2 で24分間の通電を行い、レジストで被覆されていない支持体121の露出部に膜厚約10μmの銅メッキ膜からなる導電層を形成し、これを配線とした。
(硫酸酸銅メッキ浴の組成)
CuS04 ・5H2 O 200g/l
2 S04 50g/l
HCl 0.15ml/l(Clとして60ppm)
更に、導電性層からなる配線125を形成した支持体121と白金電極とを対向させて下記の絶縁性樹脂層127形成用の下記のようにして作製された電着液に浸漬し、直流電源の陽極に支持体121を陰極に白金電極をそれぞれ接続し、150Vの電圧で10分間の電着を行い、これを150°C、5分間ホットプレートで乾燥して、導電性層からなる配線125上に厚さ30μmの絶縁性樹脂層(接着層とも言う)を形成した。これにより、図2(b)に示すレジスト128を付けた転写用原版が得られた。
【0023】
尚、以下のようにポリイミドワニスを作製し、電着液の調整を行った。
<ポリイミドワニスの製造>
1l容量の三つ口セパラブルフラスコにステンレス製イカリ攪拌器,窒素導入管及びストップコックの付いたトラップの上に玉付き冷却管をつけた還流冷却器を取り付ける。窒素気流中を流しながら温度調整機のついたシリコーン浴中にセパラブルフラスコをつけて加熱した。反応温度は浴温で示す。
3、4、3’、4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物(以後BTDAと呼ぶ)32.22g(0.1モル)、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(m−BAPS)21.63g(0.05モル),γ−バレロラクトン1.5g(0.015モル)、ピリジン2.4g(0.03モル)、NMP(N−メチル−2−ピロリドンの略)200g、トルエン30gを加えて、窒素を通じながらシリコン浴中,室温で30分撹件(200rpm)、ついで昇温して180℃、1時間、200rpmに攪拌しながら反応させる。トルエン−水留出分15mlを除去し、空冷して、BTDA16.11g(0.05モル)、3、5ジアミノ安息香酸(以後DABzと呼ぶ)15.216g(0.1モル)、NMP119g、トルエン30gを添加し、室温で30分攪拌したのち(200rpm)、次いで昇温して180℃に加熱攪拌しトルエン−水留出分15mlを除去した。その後、トルエン−水留出分を系外に除きながら、180℃、3時間、加熱、撹拌して反応を終了させた。20%ポリイミドワニスを得た。酸当量(1個のC00Hあたりのボリマー量は1554)は70である。
<電着液の調製>
20%濃度ポリイミドワニス100gに3SN(NMP:テトラヒドロチオフェン−1、1−ジオキシド=1:3(重量)の混合溶液)150g、ベンジルアルコール75g、メチルモルホリン5.0g(中和率200%)、水30gを攪拌して水性電着液を調製した。得られた水性電着液は、ポリイミド7.4%、pH7.8、暗赤褐色透明液であった。
【0024】
このようにして、得られた転写用原版201、202、203を順次用い、配線基板作製用のベース基板110上に、各配線部を図4に示す動作により順次転写形成した。
ベース基板110としては30μm厚のステンレス基板を用い、転写用原版201を用いた1層目の転写、および転写用原版202を用いた2層目の転写においては、第1の治具210をフィルム基材130とともにステージの外に取り出した後、200°Cに加熱し、約5分間維持した後、室温まで冷却し(図4(f))、空間(図3の250に相当)の真空引きを解除し、フィルム基材130を剥がし(図4(g))、更にベース基板110側からから転写用原版の支持体を剥離した。(図4(h))
転写用原版203を用いた3層目の転写においては、1、2層目と同様に、第1の治具210をフィルム基材130とともにステージの外に取り出した後、熱処理として、250°C、60分間の熱処理を行い、絶縁性樹脂層を硬化させた。(図4(f))
この後は1、2層目の転写と同様、空間(図3の250に相当)の真空引きを解除し、フィルム基材130を剥がし(図4(g))、更にベース基板110側からから転写用原版の支持体を剥離した。(図4(h))
【0025】
フィルム基材130としては、耐熱性を有するバイトン(昭和電工デュポン株式会社製、厚さ1mm、200mm□)を用いた。
尚、第1の治具210はアクリル樹脂板で、厚さ10mm、200mm□、凹部直径150mm、壁部(215)の高さ5mmである。
また、第2の治具220もアクリル樹脂板からなり、第1の治具210と同様の形状である。
【0026】
(実施例2)
実施例2は、実施例1と同様、図1に示す配線部を3層とする多層配線基板の製造の1例を、図3に示す転写用真空装置を用い、以下のように作製された転写用原版(201、202、203に相当)を用いて、図4に示す真空装置動作により、転写用原版の配線部の転写を行ったものである。図1、図3、図4に基づいて説明する。
先ず、各転写用原版(201、202、203に相当)を以下のようにして作成した。
転写用原版3版(201、202、203に相当)は、実施例1と同様に、支持体として厚さ0.1mmのステンレス板を用い、この一面にめっき銅からなる配線を形成したものであるが、この配線上に設ける絶縁性樹脂層の形成を、実施例1とは異なり、ディスペンス法にて絶縁性接着剤KE3479(信越化学株式会社製)を塗布し、厚さ15μmに形成したものである。
実施例1とほぼ同様にして、上記転写用原版(201、202、203に相当)を用いて作業を行ったが、第1層目の転写、第2層目の転写においては、第1の治具210をフィルム基材130とともにステージの外に取り出した(図4(f))後、そのまま、空間(図3の250に相当)の真空引きを解除し、フィルム基材130を剥がし(図4(g))、更にベース基板110側から転写用原版の支持体を剥離した。
3層目の転写においては、1、2層目と同様に、第1の治具210をフィルム基材130とともにステージの外に取り出した後、熱処理として、150°C、30分間の熱処理を行い、絶縁性樹脂層を硬化させた。(図4(f))
この後は1、2層目の転写と同様、空間(図3の250に相当)の真空引きを解除し、フィルム基材130を剥がし(図4(g))、更にベース基板110側からから転写用原版の支持体を剥離した。(図4(h))
【0027】
実施例1、実施例2において、各転写用原版の配線部の転写後、転写されたベース基板面の目視検査を行ったところ、転写の際の転写用原版とベース基板との圧着における、転写用原版とベース基板間の気泡(空気)の残留に起因する転写不良は見られなかった。
また、85°C、85%Rh(相対湿度)の環境下において、30V印加時の絶縁信頼性試験を行ったところ、抵抗値108 Ω以上を1000時間維持し、絶縁不良は見られなかった。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を複数版用い、順次、多層配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に順次転写して、配線を形成する多層配線基板の製造方法において、従来発生していた、転写の際の圧着において転写用原版とベース基板間の気泡(空気)の残留を無くし、これに起因する転写不良および絶縁不良の発生を無くすことを可能とした。
結局、本発明は、複雑な工程を必要とせず、生産性良く量産に向く、転写用原版を用いた多層配線基板の製造方法で、配線の微細化、高密度化に対応でき、且つ、転写歩留りの良い、配線基板の製造ができる多層配線基板の製造方法の提供を可能としている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線基板の製造方法の実施の形態の1例の工程概略図
【図2】転写用原版を示した図
【図3】本発明の転写用真空装置の実施の形態の1例を示した図
【図4】転写用真空装置の動作を説明するための図
【符号の説明】
110 (配線基板用の)ベース基板
121 支持体
125 配線
127 絶縁性樹脂層
128 レジスト
130 フィルム基材
140 固定部
150 第1の真空引き用の空間
151、156 真空引き用配管
152、157 真空解除用配管
151A、152A、156A、157A 開閉バルブ
155 第2の真空引き用の空間
200、200A、201、202、203 転写用原版
210 第1の治具
215 第1の壁部
220 第2の治具
225 第2の壁部
240 XYθステージ
250 第1の真空引き用空間
251、253、254、256、258、259 真空引き用配管
252、257 真空解除用配管
251A、252A、253A、254A 開閉バルブ
255 第2の真空引き用空間
256A、257A、258A、259A 開閉バルブ
260 転写用原版支持部
270 アライメント用(位置合わせ用)カメラ

Claims (5)

  1. 支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を複数版用い、順次、多層配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に順次転写して、配線を形成する多層配線基板の製造方法であって、転写用原版の配線部のベース基板側への転写が、順に、(a)転写用原版の配線部側をベース基板の配線部形成側の所定の位置に合わせて、密着させて重ねる工程と、(b)ベース基板の転写用原版側でない一面を保持固定して、且つ、転写用原版の配線部側とは反対側の面を覆うフィルム等の基材を境界として、密着されたベース基板と転写用原版側に第1の真空引き用の空間、および密着されたベース基板と転写用原版側でない側に第2の真空引き用の空間を設け、両空間をともに真空引きする真空引き工程と、(c)第2の真空引き用の空間の真空引きを解除し、第1の真空引き用の空間の真空引きをそのまま継続し、ベース基板と転写用原版とを、第2の真空引き用の空間側の圧により圧着する圧着工程と、(d)第1の真空引き用の空間の真空引きを解除し、ベース基板側から転写用原版の支持体を剥離する剥離工程とを有するものであることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  2. 請求項1において、圧着工程に引き続き、ベース基板と転写用原版とを圧着した状態のまま、ベース基板と転写用原版に熱をかけ、その後冷却する加熱、冷却処理工程を行うことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  3. 支持体上に所定形状の導電性層からなる配線部を設け、更に該配線部上に粘着性あるいは接着性の絶縁性樹脂層を設けた転写用原版を用い、配線基板用のベース基板の一面に転写用原版を圧着し、且つその支持体を剥離することにより、各転写用原版の配線部を絶縁性樹脂層を介してベース基板側に転写して配線を形成するための転写用真空装置であって、ベース基板の配線部形成面側でない下側の面を、その一面で保持し、該一面に連結してベース基板の周囲を囲む第1の壁部を有する第1の治具と、第1の治具の第1の壁部とフィルム等の基材を介して重なる第1の壁部と同形状の第2の壁部を有する第2の治具とを備えており、第1の治具は第1の壁部と第2の壁部とでフィルム等の基材を挾み、フィルム等の基材とで第1の真空引き用の空間部を形成し、且つ、第2の治具は、第2の壁部と第1の壁部とでフィルム等の基材を挾み、フィルム等の基材とで第2の真空引き用の空間部を形成するものであることを特徴とする転写用真空装置。
  4. 請求項3において、第1の治具は、ベース基板の配線部形成面側でない下側の面をほぼ水平にして保持するもので、第2の治具は、第1の治具の上側に位置していることを特徴とする転写用真空装置。
  5. 請求項4において、第1の治具もしくは第2の治具は、位置制御可能なステージ上に載置されていることを特徴とする転写用真空装置。
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