JP3622167B2 - 自動現像機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光材料を処理する自動現像機に関し、特に、処理液の温度調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動現像機は、白黒感光材料(例えば、X線フィルム、印刷用フィルム、白黒写真用フィルム)であれば、現像、定着の各処理を行い水洗し、カラー感光材料(例えば、カラーネガフィルム、カラーペーパー)であれば、発色現像、漂白、定着(または漂白・定着もあるが、以下定着といい、液を定着液という)の各処理を行い水洗し、感光材料を処理する。この自動現像機においては、所望の性能を得るためには、各処理槽に収容された処理液、特に、現像液(または発色現像液であるが、以下現像液という)を所定の温度に維持するようにしている。この温度を維持するために、従来から処理槽に収容された処理液を循環ポンプによって循環させ、かつ、循環路中に処理液に対して温度変化を与える温調手段(例えば、処理液を加熱するヒータ)とを備え、これら循環ポンプとヒータとを同期して駆動する自動現像機がある。
【0003】
この循環ポンプとヒータとを同期して駆動する自動現像機においては、ヒータをオフしたときに、ヒータの余熱によって、ヒータの周囲にある処理液の温度が上昇し、処理液を劣化させるという問題があった。この問題の解決策として、特開平4−37754号公報において、ヒータのオフ後、所定時間あるいは所定の温度に低下するまで、循環ポンプを駆動することが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報に記載の制御を行ったとしても、循環系路中の処理液の温度と処理槽中の処理液の温度差が生じるという問題が生じた。これについて、本出願人が鋭意検討した結果、この温度差が発生する原因が、循環ポンプにあることを突き止めた。すなわち、循環ポンプを駆動すると熱が発生し、この熱により温度差が生じるのである。従って、ヒータと循環ポンプを同期して駆動しようが、ヒータオフしたときに所定時間あるいは所定の温度に低下するまで循環ポンプを駆動しようが、循環ポンプの駆動を停止した後に、循環ポンプから発生した熱により、温度差が発生する。
【0005】
さらに、処理液の液温度が所定の温度以上になったときに、処理液を冷却する機構を有する自動現像機があるが、この自動現像機の場合は、循環ポンプから発生した熱により処理液の液温度が温度上昇したときに、この冷却機構が駆動され、冷却に使用するエネルギーあるいは水が大量に使用されることにもなる。
【0006】
そこで、本発明は、送液手段(循環ポンプ)の駆動により発生する熱の影響を減じ、処理液の劣化を防止し、安定した処理を可能とすることを課題とする。さらに、処理液を冷却する機構を備えた自動現像機の場合は、冷却するためのエネルギーの無駄な消費をなくすことを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、以下の手段により解決することができる。
【0008】
(1) 処理液が収容された処理槽と、前記処理槽に連通された循環路と、前記循環路の途上に設けられ、処理液を循環させる送液手段と、処理液に対して温度変化を与える温調手段と、を有した感光材料を処理する自動現像器において、前記温調手段を駆動、非駆動制御して、処理液が所定の温度範囲内になるように維持するとともに、前記温調手段を駆動しているとき前記送液手段を駆動し、前記温調手段を非駆動しているとき前記送液手段を間欠駆動して、処理液を循環させることによって前記送液手段による前記循環路中の処理液と処理槽内の処理液との温度差、及び前記処理槽内の処理液の温度変化を抑えるように制御することを特徴とする自動現像機。
【0009】
(2) 処理液が収容された処理槽と、前記処理槽に連通された循環路と、前記循環路の途上に設けられ、処理液を循環させる送液手段と、処理液に対して温度変化を与える温調手段と、を有した感光材料を処理する自動現像機において、前記送液手段の駆動により発生する熱を冷却する駆動熱冷却手段を有することを特徴とする自動現像機。
【0010】
(3) 処理液が収容された処理槽と、前記処理槽に連通された循環路と、前記循環路の途上に設けられ、処理液を循環させる送液手段と、処理液に対して温度変化を与える温調手段と、を有した感光材料を処理する自動現像機において、前記送液手段は、駆動部と、該駆動部の駆動力により処理液を循環させる循環部とを有し、前記駆動部と前記循環部との間に、断熱材を設けたことを特徴とする自動現像機。
【0011】
(4) 温度制御される処理液を収容する処理槽と、処理された感光材料を水洗する水洗槽と、前記処理槽と連通された循環路と、前記循環路の途上に設けられ、処理液を循環させる送液手段と、処理液の温度を検出する温度検出手段と、前記水洗槽に収容される水を利用して処理液を冷却する液冷却手段と、処理液を加熱する液加熱手段と、前記温度検出手段により処理液の温度が温度t1℃以下のとき、前記加熱手段と前記送液手段を駆動して、処理液の加熱制御を行い、前記温度検出手段により処理液の温度が温度t2℃(但し、t2>t1)以上のとき、前記冷却手段と前記送液手段を駆動して、処理液の冷却制御を行い、処理液の温度を維持する制御手段と、を有した感光材料を処理する自動現像機において、前記制御手段は、前記水洗槽に水がない場合に前記温度検出手段により検出された処理液の温度が温度t1℃以上のとき、前記送液手段を間欠駆動することを特徴とする自動現像装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して本実施の形態を説明する。図1は、自動現像機10の概略構成図である。なお、この自動現像機10は、感光材料としてX線フィルム(以下、フィルムという)を現像処理する。
【0013】
自動現像機10内には、フィルムに現像処理を行う現像処理槽11、現像処理されたフィルムに定着処理を行う定着処理槽12、定着処理されたフィルムを水洗する水洗槽13、および、水洗されたフィルムを乾燥する乾燥部14を有している。現像処理槽11には現像液が、定着処理槽12には定着液が、水洗槽13には水が各々収容されている。
【0014】
また、処理槽としての現像処理槽11、定着処理槽12と水洗槽13の各槽には、フィルムを搬送するための搬送手段である搬送ローラ111、121、131が設けられている。乾燥部14には、フィルムを搬送するための搬送ローラ141、搬送ローラ141によって搬送されるフィルムに対して熱風を吹き付ける乾燥ノズル142が設けられている。また、水洗槽13と乾燥部14との間には、スクイズ部15があり、スクイズローラ151によって、水洗槽13から送り出され水が付着したフィルムをスクイズしながら乾燥部14へ搬送する。
【0015】
この自動現像機10によってフィルムを処理する場合、挿入口(図番なし)から挿入したX線フィルムが、搬送ローラ111、121、131によって、現像処理槽11内、定着処理槽12内、水洗槽13内を順次搬送されて現像処理、定着処理、水洗がなされ、スクイズ部15によってスクイズされ、乾燥部14によって乾燥され、機外に排出される。
【0016】
なお、処理槽としての現像処理槽11、定着処理槽12と水洗槽13の各槽に隣接して、不図示のオーバーフロー槽112、122、132が各々設けられ、各槽に収容されている液の液位を所定の液位に保つようにしている。また、現像処理槽11、定着処理槽12および水洗槽13内に各々現像液、定着液および水を補充するための、不図示の補充槽および不図示の補充ポンプなどが設けられており、現像処理槽11、定着処理槽12および水洗槽13内に設けられた不図示の液面センサにより、処理槽11、12および水洗槽13内に収容される処理液の液位の低下を検出すると、補充ポンプを駆動して、補充液を補充するよう構成されている。また、フィルム処理面積に応じても補充液の補充はなされている。
【0017】
また、現像処理槽11、定着処理槽12および水洗槽13に隣接して、オーバーフロー槽112、122、132が詰まった場合であってもオーバーフローさせることができるように、不図示のエマージェンシー槽116、126、136が設けられている。
【0018】
上述の自動現像機10の処理液の温調に関して、図2に基づいて説明する。図2は、処理液の温度制御を行うための自動現像機10の配管の概略構成図である。なお、定着槽12に収容される定着液の温調も同様であるので、図2においては現像処理槽11内に収容された現像液を温調する様を示している。
【0019】
感光材料の自動現像機10においては、所望の処理性能を得るために、処理槽に収容された処理液(現像液、定着液であり、特に現像液)を所定の温度に厳密に維持する必要がある。そのために、処理槽(以下、現像処理槽11ともいう)に連通された循環路113が設けられ、また、この循環路113の途上に、循環路113中に処理液(以下、現像液ともいう)を循環させるための送液手段である循環ポンプ25が設けられている。従って、現像処理槽11に収容された現像液は、循環ポンプ25によって循環路113(一部を図示)を通って、再び現像処理槽11へと戻り、循環するようになっている。
【0020】
また、この循環路113途中には、処理液の温度を制御する温度調整手段として温調槽20が設けられており、この温調槽20が現像処理槽11と循環路113によって連通するよう構成している。温調槽20には、温度制御する処理液(現像液)の温度を測定する温度検出手段である温度センサ21と、この温度センサ21の測定結果に基づいて現像液の温度を調整する温調手段とを有している。すなわち、温調手段は、処理液に対して温度変化を与える手段である。本実施の形態では、この温調手段として、現像液を加熱する液加熱手段であるヒータ23と、現像液を冷却する液冷却手段の一部であるU字状の冷却管22とが、温調槽20内に設けられている。
【0021】
ここで、配管の詳細について説明すると、オーバーフロー槽132の底部に一端が連通した管311が接続され、この管311の他端に分岐管312が設けられている。分岐管312の一方には管313を、他方には管314が接続されている。管313の他端は冷却管22に接続され、管314の他端は冷却用電磁弁35が接続されている。また、管313と冷却管22とが接続した冷却管22の一端との反対端には、管315が接続され、合流管316を介して機外に排水できるようにしている。また、冷却用電磁弁35には管317が接続され、合流管318を介して機外に排水できるようになっている。従って、オーバーフロー槽132→管311→分岐管312→管313→冷却管22→管315→合流管316を水が流れることにより、温調槽20内の現像液を冷却することができる。すなわち、本実施の形態においては、冷却管22による現像液を冷却するために、水洗槽13に収容された水がオーバーフロー槽132へオーバーフローした水を利用している。そして、冷却電磁弁35を閉じることにより、オーバーフローした水は分岐管312から管313へと流れて冷却を行うことができ、また、冷却電磁弁35を開くことにより、オーバーフローした水は、分岐管312から管314へと流れて、冷却を行うことなく機外に排水できる。換言すると、この管311、分岐管312、管313、冷却管22、管315、合流管316および冷却用電磁弁35が、現像液を冷却する液冷却手段を構成する。
【0022】
一方、水洗槽13の底部には一端が連通した管321が接続され、この管321の他端には排水用電磁弁36が接続されており、この排水用電磁弁36にはさらに管322が接続され、この管322の他端には合流管316が接続されている。従って、水洗槽13→管321→排水用電磁弁36→管322→合流管316を水が流れることにより、水洗槽13内の水を抜くことができる。すなわち、排水用電磁弁36をあけることにより、水洗槽13の底部から水が機外へと流れ、水洗槽内13の水を抜くことができる。なお、エマージェンシー槽136の底部と合流管318との間には、これらをつなぐように管323が設けられ、エマージェンシー槽136に溢れた水は、常に、機外へ排水できるように構成している。
【0023】
なお、本実施の形態においては、現像液を冷却するための液冷却手段として、温調槽20内にU字状の冷却管22を配置するように構成しているが、これに限らず、螺旋状の管であってもよく、また、温調槽20の周囲に巻いた管であってもよく、温調槽20内の現像液と混合せずに、現像液を熱交換により冷却できればよい。また、本実施の形態においては、処理液の冷却に水洗槽13からオーバーフローした水を利用するものであるが、水洗槽13の水を直接利用するものでってもよく、さらに、これに限られず、冷却ファンなどを用いた液冷却手段であってもよい。また、本実施の形態では、図2の如く配管を施したが、これに限られることなく、適宜、施すことができることは、いうまでもない。
【0024】
ここで、温調手段(液加熱手段と液冷却手段)および送液手段の制御について概略を説明する。なお、本実施の形態においては、上述したように、温調手段として制御されるものはヒータ23と冷却用電磁弁35であり、送液手段として制御されるものは循環ポンプ25である。また、温度センサ21からの信号は、不図示の制御手段に入力され、制御手段は、温度センサ21から得られた情報に基づいて、循環ポンプ25、ヒータ23、冷却用電磁弁35を制御する。
【0025】
自動現像機10に電源を投入している場合、すなわち、処理液(以下、現像液について説明するが、定着液に対しても同様に行われる)を温度制御(所定の温度を維持するように温度制御)している場合、温度センサ21により検出された現像液の液温度が温度t1(好ましくは、所望の性能が得るために最適な現像液の温度以下であって所望の性能が得るための現像液の液温度の許容範囲の下限以上の温度)℃以下であれば、制御手段は、ヒータ23を駆動して現像液を加熱する。なお、ヒータ23を駆動する場合、温度センサ21により検出されている現像液の液温度(温度t1℃以下)に応じて、所定のデューティー比(ヒータ23のオン・オフの比率)で制御してもよい。従って、温度t1℃より高い温度であれば、ヒータ23を駆動しない(非駆動)。
【0026】
また、処理液を温度制御している場合、温度センサ21により検出された現像液の液温度が温度t2(好ましくは、所望の性能が得るために最適な現像液の温度以上であって所望の性能が得るための現像液の液温度の許容範囲の上限以下の温度であり、t2>t1である)℃以下であれば、制御手段は、オーバーフロー槽132の水を機外へ排水するために開いていた冷却用電磁弁35を駆動(閉じる、冷却を行うので本実施の形態では駆動ということもある)し、冷却管22へオーバーフロー槽132の水を流す。これにより、温調槽20(冷却管22)に水が供給されて、温調槽20内にある現像液を冷却する。従って、温度t2℃より低い温度であれば、冷却電磁弁35を駆動しない(弁を開く、冷却を行わないので本実施の形態では非駆動ということもある)。なお、この冷却用電磁弁35を駆動しているときは、図示しない水補給手段により、水洗槽13に水を補給するよう構成する。
【0027】
このようにして、現像液の温度が所定の温度範囲内になるように、制御手段は、ヒータ23および冷却用電磁弁35を駆動する。一方、制御手段は、これらヒータ23、冷却用電磁弁35を駆動しているとき(すなわち、現像液の温度がt1℃以下、および、t2℃以上のとき)、これらの駆動と同期して循環ポンプ25を連続駆動して、現像液の循環を行わせ、現像槽11内での温度差および温調槽20と温度差の不均一をなくしている。なお、制御手段は、ヒータ23をオフしてから、あるいは、冷却用電磁弁35を閉じてから所定時間経過後に、循環ポンプ25を止めるように構成することにより、ヒータ23や冷却管22の余熱により生じる現像槽11内と温調槽20内との温度差をなくすことができ好ましい。
【0028】
従って、現像液は、温調槽20内で、温度がt1℃以下に下がりすぎた場合ヒータ23の駆動(現像液の温度に応じたデューティー比でオンしてもよい)により加熱され、現像液の温度がt2℃以上に上がりすぎた場合冷却管22により現像液を冷却されるとともに、循環ポンプ25によって現像槽11と温調槽20との間を循環し、所定の温度範囲内に維持される。
【0029】
ところで、このような制御を行っている(現像液の温度がt1℃より高くt2℃より低い)場合に、循環系路中の現像液の温度と現像槽11中の現像液の温度差が生じるという問題が生じた。これについて、本出願人が鋭意検討した結果、この温度差が発生する原因が、循環ポンプ25にあることを突き止めた。すなわち、循環ポンプ25を駆動すると熱が発生し、この熱により、循環ポンプの駆動を停止した後でも現像液に熱伝達し、温度差が発生する。
【0030】
この様子を、循環ポンプ25の駆動停止後の温度推移を示した図3に基づいて説明する。図3(a)は循環系路中と現像槽11内との現像液の温度差を示しており、図3(b)は現像槽11内の現像液の温度変化を示しており、図3(c)は循環ポンプ25の駆動・非駆動の様を示している。なお、図3において、実線は本発明である循環ポンプ25の間欠駆動、一点鎖線は従来の循環ポンプ25の非駆動、点線は循環ポンプ25の連続駆動、を施した場合を示している。
【0031】
図からわかるように、循環ポンプ25の駆動を非駆動してから(図3において時間が0(零)の場合であり、ヒータ23あるいは冷却用電磁弁35と循環ポンプ25を同期して駆動しようが、ヒータ23あるいは冷却用電磁弁35を非駆動してから所定時間あるいは所定の温度に達するまで循環ポンプ25を駆動しようが関係なく、要は、循環ポンプ25を非駆動してから)、次に循環ポンプ25を駆動するときまで(現像液の温度がt1℃以下あるいはt2℃以上になるまで)の間に、従来のように循環ポンプ25を非駆動にすると(図3における一点鎖線)、現像処理槽11内にある現像液の温度変化はないが、循環系路中の現像液(特に、循環ポンプ25付近にある現像液)と現像処理槽11内にある現像液との温度差が時間の経過と共に大きくなり、現像液を劣化させる。
【0032】
逆に、循環ポンプ25の駆動を非駆動してから、次に循環ポンプ25を駆動するときまで(現像液の温度がt1℃以下あるいはt2℃以上になるまで)の間に、循環ポンプ25を連続駆動すると(図3における点線)、循環系路中の現像液(特に、循環ポンプ25付近にある現像液)と現像処理槽11内にある現像液との温度差はないが、現像処理槽11内にある現像液の温度変化が時間の経過と共に大きくなるために、冷却用電磁弁35が駆動されて現像液を冷却させられ、冷却に使用するエネルギーあるいは水が大量に使用されることになる。
【0033】
これらに対して、本実施の形態(本発明)では、循環ポンプ25の駆動を非駆動してから、次に循環ポンプ25を駆動するときまで(現像液の温度がt1℃以下あるいはt2℃以上になるまで)の間に、循環ポンプ25を間欠駆動すると(図3における実線)、循環系路中の現像液(特に、循環ポンプ25付近にある現像液)と現像処理槽11内にある現像液との温度差、および、現像処理槽11内にある現像液の温度変化を極力抑えることができる。
【0034】
このように、本実施の形態では、温調手段(液加熱手段であるヒータ23、あるいは、液冷却手段)を駆動、非駆動制御して、処理液が所定の温度範囲内になるように維持するとともに、温調手段を駆動しているとき送液手段である循環ポンプ25を駆動し、温調手段が非駆動しているとき循環ポンプ25を間欠駆動して、処理液を循環させるように制御することにより、循環ポンプ25の駆動により発生する熱の影響を減じ、処理液の劣化を防止し、安定した処理を可能とすることができ、しかも、冷却するためのエネルギー(水)の無駄な消費をなくすことができる。
【0035】
さらに、循環ポンプ25の間欠駆動に関しては、所定の周期で所定のデューティー比で行うことが好ましい。この周期としては、1分以上10分以下であることが好ましい。これは、周期を1分以上とすることで、循環ポンプ25の駆動時間を十分にもたせ、処理液を循環させ、処理液の均一化(温度差をなくす)させることができ、また、周期を10分以下とすることで、循環ポンプ25の非駆動の時間を長くせず、温度差を防ぐことができる実用的な範囲である。また、その周期におけるデューティー比を2%以上20%以下にすることが好ましい。デューティー比を2%以上とすることで、循環ポンプ25を駆動して処理液を循環させ、処理液の均一化(温度差をなくす)させることができ、また、デューティー比を20%以下とすることで、循環ポンプ25の非駆動の時間を長くせず、温度差を防ぐことができる実用的な範囲である。なお、図3における間欠駆動は、周期を200秒、デューティー比を5%としたときの図である。
【0036】
ところで、本実施の形態の自動現像機10においては、夜間スタンバイモードを有している。これは、夜間時に、制御手段が排水用電磁弁36を制御(開き)して、水洗槽13内に収容されている水を抜き(自動排水)、一旦、水洗槽13内を空にして水洗槽13内に発生した水垢の除去を行い、水洗槽13を乾燥させる。このとき、水洗槽13の水位の低下はあるが水の補給は行わない。その後、排水用電磁弁36を閉じ、水洗槽13内に水を補給し、水を溜める。
【0037】
本実施の形態の自動現像機10は、このような夜間スタンバイモード時の自動排水中においても、現像液(含、定着液)は所定の温度を維持する必要がある。これは、本実施の形態の自動現像機10がX線フィルムの自動現像機であることから、緊急に感光材料を処理しなければならない事態が生じた場合であっても、素早く対応する必要があるからである。
【0038】
このような夜間スタンバイモード時の温調手段(液加熱手段と液冷却手段)および送液手段の制御について概略を説明する。温度センサ21により検出された現像液の液温度が温度t1℃以下であれば、制御手段は上述と同様に、ヒータ23を駆動して現像液を加熱するとともに、循環ポンプ25を駆動する。一方、温度センサ21により検出された現像液の液温度がt2℃以上であれば、制御手段は本来(通常)ならば冷却用電磁弁35を駆動して現像液を冷却するが、夜間スタンバイモードの自動排水時には、冷却させるための水が水洗槽13内にないので、冷却用電磁弁35(液冷却手段)を駆動しない。また、この場合に制御手段が循環ポンプ25を連続駆動すると、その駆動に伴う熱発生により、さらに現像液の液温度が上昇するという悪循環になってしまう。
【0039】
そのために、本実施の形態では、制御手段は、夜間スタンバイモードの自動排水時、すなわち、水洗槽13に水がない場合に、温度センサ21により検出された処理液の温度が温度t1℃以上のとき、循環ポンプ25を間欠駆動する。これにより、循環ポンプ25が停止したときに、循環ポンプ25から発生する熱による温度差が大きくなることを防ぎ、現像液の劣化を防ぐことができる。なお、この間欠駆動の好ましい周期、デューティー比は、上述と同様であるので説明を省略する。また、本実施の形態では循環ポンプ25の間欠駆動する温度を、ヒータ23が非駆動となる温度t1℃以上としたが、温度t2℃以上としてもよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
以下、図4を参照して第2の実施の形態を説明する。上述した第1の実施の形態においては、循環ポンプ25で発生する熱の影響を、循環ポンプ25を間欠駆動することにより、減じたが、本実施の形態では、循環ポンプ25から発生する熱を直接冷却するよう構成したものである。なお、以下に示す本実施の形態の循環ポンプ25は、第1の実施の形態の間欠駆動という制御に変えて用いる、あるいは、第1の実施の形態に本実施の形態の循環ポンプ25を用いることができる。従って、以下の説明においては、上述した第1の実施の形態と変わる部分である循環ポンプ25のみについて説明する。
【0041】
循環ポンプ25は、駆動部であるモータ251と、該モータ251の駆動力により処理液(現像液)を循環させる循環部であるプロペラ252とを有している。従って、モータ251に通電を行うと、モータ251が回転し、この回転力がプロペラ252に伝達され、プロペラ252の回転により、現像液を、循環路中を循環させることができる。このとき、モータ251に通電を行うと内部のコイル(図示せず)はジュール熱を発生し、この熱が、上述したように温度差を与える原因になる。
【0042】
そこで、本実施の形態では、循環ポンプ25の駆動により発生する熱を冷却するために、駆動熱冷却手段である冷却パイプ253を、熱の発生源のモータ251上であって循環ポンプ25の周囲を螺旋状に巻いている。そして、この冷却パイプ253内に冷却水(例えば、水洗槽13内の水、あるいは、処理槽へ補充する補充液であってもよい)を流し、この冷却水と循環ポンプ25とが熱交換することで、循環ポンプ25で発生する熱を放熱し、循環路中の現像液と現像処理槽11内の処理液との温度差をなくすことができ、液の劣化を防ぎ、安定した処理を可能とすることができる。
【0043】
なお、上述の例では冷却パイプ253が循環ポンプ25の周囲を巻き、冷却液が循環ポンプ25の周囲を通る構成であったが、図5に示すように、冷却液を循環ポンプ25の内部を通るように冷却パイプ253を設けてもよい。また、循環ポンプ25を冷却する手段として、循環ポンプ25と熱交換できる閉ループ管内で冷媒の圧縮と膨張とを行い、循環ポンプ25から吸熱し、補充液、水洗水、または、大気に放熱するヒートポンプを設けてもよい。
【0044】
さらに、図6で示すように、上述した循環ポンプ25に冷却パイプ253を設ける代わり(あるいは、さらに追加して)、モータ251とプロペラ252との間に、断熱作用を有する断熱材254を設けてもよい。
【0045】
このように、本実施の形態では、循環ポンプ25で発生する熱を、直接冷却する(図4、5)、あるいは、発生する熱が現像液に伝達されにくくする(図6)ことにより、循環ポンプ25の駆動により発生する熱の影響を減じ、処理液の劣化を防止し、安定した処理を可能とすることができ、しかも、冷却するためのエネルギー(水)の無駄な消費をなくすことができる。
【0046】
なお、以上説明した第1、2の実施の形態は、厳密な温度制御が必要なために現像液の冷却について説明したが、定着液の冷却も同様に行うことができる。また、以上の説明においては、X線フィルムの自動現像機について説明したが、本発明は、白黒感光材料(例えば、X線フィルム、印刷用フィルム、白黒写真用フィルム)、カラー感光材料(例えば、カラーネガフィルム、カラーペーパ)を処理する自動現像機にも適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、送液手段(循環ポンプ2)の駆動により発生する熱の影響を減じ、処理液の劣化を防止し、安定した処理を可能とすることができ、しかも、冷却するためのエネルギー(水)の無駄な消費をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動現像機の概略構成図である。
【図2】処理液の温度制御を行うための自動現像機の配管の概略構成図である。
【図3】循環ポンプの駆動停止後の温度推移を示した図である。
【図4】第2の実施の形態の循環ポンプを示す図である。
【図5】第2の実施の形態の変形例の循環ポンプを示す図である。
【図6】第2の実施の形態の変形例の循環ポンプを示す図である。
【符号の説明】
10 自動現像機
11 現像処理槽
12 定着処理槽
13 水洗槽
20 温調槽
21 温度センサ(温度検出手段)
22 冷却管(液冷却手段)
23 ヒータ(液加熱手段)
25 循環ポンプ(送液手段)
35 冷却用電磁弁(液冷却手段)
113 循環路
251 モータ(駆動部)
252 プロペラ(循環部)
253 冷却パイプ(駆動熱冷却手段)
254 断熱材

Claims (1)

  1. 処理液が収容された処理槽と、
    前記処理槽に連通された循環路と、
    前記循環路の途上に設けられ、処理液を循環させる送液手段と、
    処理液に対して温度変化を与える温調手段と、
    を有した感光材料を処理する自動現像器において、
    前記温調手段を駆動、非駆動制御して、処理液が所定の温度範囲内になるように維持するとともに、前記温調手段を駆動しているとき前記送液手段を駆動し、前記温調手段を非駆動しているとき前記送液手段を間欠駆動して、処理液を循環させることによって前記送液手段による前記循環路中の処理液と処理槽内の処理液との温度差、及び前記処理槽内の処理液の温度変化を抑えるように制御することを特徴とする自動現像機。
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