JP3620614B2 - メッキ用樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メッキ処理に適する樹脂組成物に関するものであり、ポリカーボネート系樹脂組成物であって、良好な外観と耐熱性・耐衝撃性にすぐれたメッキ成形品が得られることから自動車部品、電気製品等に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリカーボネートとABS樹脂からなるメッキ用樹脂組成物は、ポリカーボネートの本来有する耐熱性・耐衝撃性という特性を生かし、多くの分野で使用されてきた。
しかし、初期メッキ密着強度が不充分であったり、熱サイクル使用下でのメッキのフクレトラブルが発生するといったメッキ特性上の問題が生じている。
【0003】
こうした問題に対する解決策として、ABS樹脂合成の際にα−メチルスチレンやマレイミド等を共重合させて、耐熱性を向上させたポリカーボネートおよびABS系樹脂からなるメッキ用樹脂組成物が提案されている(特開昭61−155445号公報、特開昭61−255955号公報、特開昭62−184675号公報)。
【0004】
これらはα−メチルスチレンに基づく熱安定性不足から樹脂が分解し、成形加工時に外観不良を起こしたり、ポリカーボネートとの相溶性が悪いためメッキ処理過程で、実施するクロム酸エッチング処理で処理面にエッチングムラが生ずるため、メッキ密着不良が生じやすくなるなど総じて充分なものではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はポリカーボネート系樹脂組成物にあって、メッキ密着強度に優れ、熱サイクル使用下でのメッキのフクレ等トラブルの発生が少ないメッキ用樹脂組成物の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、以下を要旨とする本発明を完成させた。
(1)(A)成分としてのポリカーボネート30〜80重量%と(B)成分としての芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体を原料とする共重合体(B1)または(B1)共重合体と芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を原料とする共重合体(B2)70〜20重量%とからなる樹脂組成物であって、(B)成分中のアセトン可溶分の重量平均分子量が10万以上であり、該アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体含有率が15〜32重量%であることを特徴とするメッキ用樹脂組成物。
(2)上記(1)において、(B1)共重合体がアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)であり、(B2)共重合体がアクリルニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)であるメッキ用樹脂組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は(A)成分としてのポリカーボネートとB成分としての芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体を原料とする共重合体(B1)または(B1)共重合体と芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を原料とする共重合体(B2)とからなるメッキ用樹脂組成物であって、(B)成分中のアセトン可溶分の重量平均分子量が10万以上であり、該アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体含有率が15〜32重量%であるものがメッキ特性に優れるというものである。
【0008】
この場合のメッキ特性とは初期メッキ密着強度およびヒートサイクル後のメッキフクレの有無をいう。
本発明はメッキ密着強度等の性能がエッチング処理により発生する孔の大きさ、深さ、数等に関与するゴム質重合体の量に左右されるだけでなく、孔の周辺を構成する基材の強度にも支配されるという知見に基づくものである。メッキ成分は孔の内部に浸入して基板に根を下ろし、表層部を形成するメッキ部分の剥離を防止する(アンカー効果)。しかし、アンカー周辺の基材が脆くては基材もろとも剥離される。そのため、基材は充分な機械的強度を有する高分子量のものであり、更にエッチング液による脆性化を防ぐに充分な耐溶剤性を有することが必要となる。
【0009】
本発明の樹脂組成物においては、(B)成分の共重合体の中、ゴム質重合体とグラフト重合等により結合していないフリーの芳香族ビニル・シアン化ビニル共重合体成分(アセトン可溶分)がアンカー周辺部の基材を主に構成する。このアセトン可溶分についてさらに研究した結果、所定の分子量の大きさすなわち重量平均分子量が10万以上のものであり、且つシアン化ビニル単量体含有率(アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体含有量/アセトン可溶分)が15〜32重量%であるものが好適であるということを見いだした。
【0010】
シアン化ビニル単量体含有率が所定の範囲で含有することが好ましいのは、そもそも極性の高い−CN基がメッキ過程で使用するパラディウム系触媒を基材表面に付着させるのに充分な濃度で存在することが必要であり、そのためにはシアン化ビニル単量体含有率が15重量%未満では触媒付着が不充分であり、また32重量%を超えるとCN基がエッチング液による酸化を受けて基材の脆性化が進むからである。
【0011】
なお、(B2)成分が必要となる場合の例としては(B1)成分中の芳香族ビニル・シアン化ビニル共重合体成分(アセトン可溶分)が上記した重量平均分子量とシアン化ビニル単量体含有率の条件を満たさないときにこれを満たすべく補充して用いる場合が典型的なものである。
【0012】
(A)ポリカーボネート
本発明に用いる(A)成分のポリカーボネートとは慣用された製造方法、すなわち、通常、二価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物等のポリカーボネート前駆体とを反応させることにより、製造することが出来る。具体的には例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受容体や分子量調節剤の存在下、更に、必要により分岐剤を添加し、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、あるいは二価フェノールとジフェニールカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応などによって製造される。
【0013】
二価フェノールとしては、様々なものがあるが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。ビスフェノールA以外のビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラメチルフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラクロロフェニル)プロパン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−テトラブロモフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルフェニルエーテル等のジヒドロキシアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン;4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類、4,4’−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類などが挙げられる。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0014】
また、炭酸エステル化合物としては、ジフェニールカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート等が挙げられる。
そして分子量調整剤としては通常、ポリカーボネートの重合に用いられるものでよく、各種のものを用いることができる。具体的には、一価フェノールとして、例えば、フェノール,o−n−ブチルフェノール,m−n−ブチルフェノール,p−n−ブチルフェノール,o−イソブチルフェノール,m−イソブチルフェノール,p−イソブチルフェノール,o−t−ブチルフェノール,m−t−ブチルフェノール,p−t−ブチルフェノール,o−n−ペンチルフェノール,m−n−ペンチルフェノール,p−n−ペンチルフェノール,o−n−ヘキシルフェノール,m−n−ヘキシルフェノール,p−n−ヘキシルフェノール,p−t−オクチルフェノール,o−シクロヘキシルフェノール,m−シクロヘキシルフェノール,p−シクロヘキシルフェノール,o−フェニルフェノール,m−フェニルフェノール,p−フェニルフェノール,o−n−ノニルフェノール,m−ノニルフェノール,p−n−ノニルフェノール,o−クミルフェノール,m−クミルフェノール,p−クミルフェノール,o−ナフチルフェノール,m−ナフチルフェノール,p−ナフチルフェノール;2,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,4−ジ−t−ブチルフェノール;3,5−ジ−t−ブチルフェノール;2,5−ジクミルフェノール;3,5−ジクミルフェノール;p−クレゾール,ブロモフェノール,トリブロモフェノールなどが挙げられる。これらの一価フェノールのなかでは、p−t−ブチルフェノール,p−クミルフェノール,p−フェニルフェノールなどが好ましく用いられる。
【0015】
その他、分岐剤として、例えば、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;1−〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;フロログリシン,トリメリト酸,イサチンビス(o−クレゾール)等の官能基を3つ以上有する化合物を用いることもできる。
【0016】
本発明において用いられるポリカーボネートは通常、粘度平均分子量Mvが10,000〜100,000のものが好ましく、より好ましくは15,000〜40,000である。
粘度平均分子量Mvの測定方法はウベローデ型粘度計にて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求めた後、下記式にて算出する。
[η]=1.23×10−5Mv0.83
【0017】
(B1)芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体を原料とする共重合体
本発明に用いる(B1)成分は芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体を原料とする共重合体であり、芳香族ビニル単量体としてはスチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン、フルオロスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等を1種または2種以上使用することができる。
【0018】
シアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができ、これらを1種または2種以上使用する。
ゴム質重合体としてはポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン‐ブタジエンのランダム共重合体およびブロック共重合体、該ブロック共重合体の水素添加物、アクリロニトリル‐ブタジエン共重合体、ブタジエン‐イソプレン共重合体などのジエン系ゴム、エチレン‐プロピレンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレン‐ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体、エチレンとα‐オレフィンとの共重合体、エチレン‐メタクリレート、エチレン‐ブチルアクリレートなどのエチレン‐不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、アクリル酸エステル‐ブタジエン共重合体、例えばブチルアクリレート‐ブタジエン共重合体やアクリル酸エステル−シリコン重合体などのアクリル系弾性重合体、エチレン‐酢酸ビニルなどのエチレンと脂肪酸ビニルとの共重合体、エチレン‐プロピレン‐エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン‐プロピレン‐ヘキサジエン共重合体などのエチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマー、ブチレン‐イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレンなどが挙げられ、これらを1種または2種以上で使用する。好ましいゴム質重合体としてはエチレン‐プロピレンゴム、エチレン‐プロピレン非共役ジエンターポリマー、ジエン系ゴムおよびアクリル系弾性重合体であり、特に好ましくはポリブタジエンおよびスチレン‐ブタジエン共重合体であり、このスチレン‐ブタジエン共重合体中のスチレン含有率は50重量%以下であることが好ましい。
【0019】
上記の芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体の他に、これらの成分と共重合可能な単量体を本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。そのような共重合可能な単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β‐不飽和カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のα,β‐不飽和カルボン酸エステル類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のα,β‐不飽和ジカルボン酸無水物類;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−クロロフェニルマレイミド等のα,β‐不飽和ジカルボン酸のイミド化合物類;等を挙げることができ、これらの単量体は1種または2種以上で使用される。
【0020】
この(B1)共重合体としては、ゴム質重合体の存在下に他の成分がグラフト共重合したグラフト共重合体等が好ましく、さらに好ましくはABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル‐エチレン‐プロピレン‐スチレン共重合体)、ACS樹脂(アクリロニトリル‐塩素化ポリエチレン‐スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル‐アクリル系弾性重合体‐スチレン共重合体)である。特にABS樹脂(アクリロニトリル‐ブタジエン‐スチレン共重合体)を好適に用いることが出来る。
【0021】
これら共重合体の製造方法は、塊状重合、溶液重合、塊状懸濁重合、懸濁重合、乳化重合など慣用された製造法が用いられる。
又、この共重合体は分子量が通常、6万〜40万であるものを用いるが、前記したように(B1)成分の共重合体の中ゴム質重合体とグラフト重合等結合していないフリーの芳香族ビニル・シアン化ビニル共重合体成分(アセトン可溶分)の分子量が10万以上であることがことが好ましく、且つシアン化ビニル単量体含有率が15〜32重量%であるものが好適である。又、用いる(B1)成分の共重合体の中ゴム質重合体とグラフト重合等結合していないフリーの芳香族ビニル・シアン化ビニル共重合体成分(アセトン可溶分)が上記、ポリマー特性値を有しない場合でも(B2)成分の共重合体の追加的投入により、このポリマー特性値を有するように調整することができる。
【0022】
そのようなポリマー特性値を特定するには(B1)成分の共重合体の中ゴム質重合体とグラフト重合等結合していないフリーの芳香族ビニル・シアン化ビニル共重合体成分が元の(B1)成分の共重合体からアセトンにより溶解するから、容易に分離し、測定可能である。その分子量はアセトン抽出物をGPCにて、又シアン化ビニル単量体含有率はアセトン抽出物を元素分析し、N含有量から算出して求める。
(B2)芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を原料とする共重合体
本発明に用いる(B2)成分は芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を原料とする共重合体であり、各単量体については上記と同じである。
この共重合体は、一般的には脂肪酸を乳化剤とし、ラウリルパーオキサイドを重合開始剤としてドデシルメルカプタンを連鎖移動剤として用いて水中にスチレンとアクリロニトリルを乳化重合させて得ることができるが重合方法に、特に規定されない。
【0023】
(B)成分中のアセトン可溶分として、特に制限はないがメッキ特性上10〜60重量%あることが望ましく、例えば(B1)成分中のアセトン可溶分が6重量%あるとすれば(B2)成分中のアセトン可溶分(ほぼ全量がアセトン可溶分である)が4〜54重量%ある。又、当該アセトン可溶分の重量平均分子量は10万以上必要である。好ましくは12万以上、より好ましくは18万以上である。重量平均分子量が10万未満であるとメッキ成形品において初期メッキ密着強度の低下やヒートサイクル試験後、メッキフクレが生ずる。またシアン化ビニル単量体含有率は、15〜32重量%である。好ましくは20〜31重量%、より好ましくは25〜30重量%である。シアン化ビニル単量体含有率が15重量%未満であっても、32重量%を越えても、前記したように原因は異なるが初期メッキ密着強度の低下やヒートサイクル試験後、メッキフクレが生ずる。
【0024】
本発明のメッキ用樹脂組成物は上記(A)成分としてのポリカーボネート30〜80重量%と(B)成分としての(B1)芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体を原料とする共重合体または(B1)共重合体と(B2)芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を原料とする共重合体70〜20重量%とからなる樹脂組成物である。これらの各成分の中、(A)ポリカーボネートが30重量%未満では耐衝撃強度が劣り、80重量%を超えるとメッキ密着強度が低下するので不充分である。(A)ポリカーボネートは好ましくは35〜70重量%、より好ましくは40〜60重量%である。(B)共重合体は20重量%未満ではメッキ密着強度が劣り、70重量%を超えると衝撃強度が劣り不充分である。
【0025】
本発明の樹脂組成物は上記のほか必要に応じてリン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の光安定剤、脂肪族カルボン酸エステル系、パラフィン系、シリコンオイル、ポリエチレンワックスなどの内部滑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、他の無機充填剤や有機充填剤、離形剤、着色剤などを配合することができる。
【0026】
配合・混練は、通常用いられている方法、例えばリボンタンブラー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュウ押出機、二軸スクリュウ押出機、コニーダ、多軸スクリュウ押出機などを用いる方法により行うことができる。なお、混練に際しての加熱温度は通常240〜300℃の範囲で選ばれる。
【0027】
かくして得られるポリカーボネート樹脂組成物は既知の種々の成形方法、例えば射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形などを適用して自動車外装部材をはじめとして、各種成形品の製造に供する事が出来る。
そして、このようにして得られた成形品はメッキ処理され、すぐれたメッキ特性を示す。そのメッキ処理方法は特殊なメッキ処理を必要とせず、樹脂メッキとして広く普及しているABS樹脂用メッキ処理方法で充分であり、その一例を表4に示す。その代表的なメッキ処理に装飾メッキと電磁波シールドメッキとがあり、前者は表4に示す工程で1〜13まですなわち、通称、ケミカルメッキ処理工程を使って作成されるものでメッキ膜厚を60μm程度に仕上げられる。後者はメッキ膜厚を数μm程度と薄く仕上げ、そのメッキ工程は表4に示す工程で1〜13の後、更に通称、電気メッキ処理工程といわれる14〜21までの工程を実施して仕上げる。
【0028】
【実施例】
さらに、本発明を実施例及び比較例により詳しく説明する。
実施例1
ポリカーボネート樹脂として、出光石油化学株式会社製タフロンFN2200A(Mv:21200)、ABS樹脂として宇部サイコン株式会社製UCLモディファイヤーレジンB600N(フリーのAS部(アセトン可溶分)の割合:10重量%、フリーのAS部(アセトン可溶分)の重量平均分子量:13万、フリーのAS部(アセトン可溶分)中のアクリロニトリル含有率:30重量%)、AS樹脂として宇部サイコン株式会社製モディファイヤーレジンS200Nを用いた。用いたAS樹脂は、フリーのAS部(アセトン可溶分)の割合は100重量%で表1に示すように、重量平均分子量が19万及びアクリロニトリル含有率が30重量%である。
【0029】
それぞれポリカーボネートを50重量%、ABS樹脂を30重量%、AS樹脂を20重量%の割合で配合し、260℃で押出し、ペレット化した。そして、トータルのAS成分(アセトン可溶分)の重量平均分子量とアクリロニトリル含有率はそれぞれ170000、30重量%である。各樹脂の配合割合等を表2に示す。
【0030】
なお、ペレット化するに際し、酸化防止剤としてオクタデシル−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)プロピオネート(チバガイギ製IRGNX 1076)を2000ppm配合した。得られたペレットを260℃で射出成形し、80×80×3mmの平板を作成した。得られた平板に装飾メッキ処理をした。メッキ特性を評価して、表3にメッキ密度強度及び熱サイクル試験におけるメッキフクレの有無を示した。
【0031】
なお、ポリカーボネート樹脂のMvはウベローデ型粘度管にて、20℃におけるメチレンクロライド溶液の極限粘度[η]を測定し、次の関係式により計算した。
[η]=1.23×10−5・Mv0.83
メッキ特性の評価方法は以下のとおりである。
【0032】
メッキ密度強度:得られた平板に、1cm幅の切り込みを作り、引張速度50mm/分で90度引張強度を測定した(2回の平均値)。
熱サイクル試験:得られた平板を−30℃で3時間保持し、昇温に1時間かけ、80℃にし、3時間保持し、降温に1時間かけ、−30℃にする。これを1サイクルとし20サイクル実施した後、メッキのフクレの有無を目視で判断する。
【0033】
実施例2
実施例1において、AS樹脂の種類をS200NからS201Nに代える以外は同じ組成物で、同様にメッキ処理し、メッキ特性を評価し、表3に示す。
実施例3
実施例1において、AS樹脂の種類をS200NからS100Nに代える以外は同じ組成物で、同様にメッキ処理し、メッキ特性を評価し、表3に示す。
【0034】
比較例1
実施例1において、AS樹脂の種類をS200NからS101Nに代える以外は同じ組成物で、同様にメッキ処理し、メッキ特性を評価し、表3に示す。
比較例2
実施例1において、AS樹脂の種類をS200NからS300Nに代える以外は同じ組成物で、同様にメッキ処理し、メッキ特性を評価し、表3に示す。
【0035】
比較例3
実施例1において、AS樹脂の種類をS200NからS301Nに代える以外は同じ組成物で、同様にメッキ処理し、メッキ特性を評価し、表3に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003620614
【0037】
【表2】
Figure 0003620614
【0038】
【表3】
Figure 0003620614
【0039】
【表4】
Figure 0003620614
【0040】
実施例1〜3においては、初期メッキ密着強度に優れると共に、ヒートサイクル試験におけるメッキフクレが観測されず良好である。
これに対し、比較例1ではAS成分(アセトン可溶分)の分子量が小さいために初期メッキ密着強度においてもヒートサイクル性能においても不充分な強度である。
比較例2、3ではAS成分のアクリロニトリル含有率が上限の30重量%を超えて存在するため、やはり初期メッキ密着強度においてもヒートサイクル性能においても不充分である。
【0041】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物において、全芳香族ビニル・シアン化ビニル共重合体成分の合算したものの重量平均分子量が10万以上であって、且つシアン化ビニル単量体含有率が15〜32重量%であるものはすぐれた初期メッキ密着強度およびヒートサイクル性能を示す。

Claims (2)

  1. (A)成分としてのポリカーボネート30〜80重量%と(B)成分としての芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体およびゴム質重合体を原料とする共重合体(B1)または(B1)共重合体と芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体を原料とする共重合体(B2)70〜20重量%とからなる樹脂組成物であって、(B)成分中のアセトン可溶分の重量平均分子量が10万以上であり、該アセトン可溶分中のシアン化ビニル単量体含有率が15〜32重量%であることを特徴とするメッキ用樹脂組成物。
  2. 請求項1項において、(B1)共重合体がアクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)であり、(B2)共重合体がアクリルニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)であるメッキ用樹脂組成物。
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