JP3619857B2 - 香料組成物 - Google Patents
香料組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3619857B2 JP3619857B2 JP26068795A JP26068795A JP3619857B2 JP 3619857 B2 JP3619857 B2 JP 3619857B2 JP 26068795 A JP26068795 A JP 26068795A JP 26068795 A JP26068795 A JP 26068795A JP 3619857 B2 JP3619857 B2 JP 3619857B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fragrance composition
- fragrance
- compound
- present
- aroma
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Cosmetics (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、1−アルキルピロリジンを有効成分として含有する、するめ様、甲殻類様、コーン様、ネギ様、オレンジの花様、アンバー様及び新鮮柑橘様等の香気香味特性を有する新規な香料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明で使用される1−アルキルピロリジンはいずれも公知の化合物である。これらの製造法に関する報告としては、例えば、ピロリジンと対応するカルボン酸をナトリウムボロハイドライドでN−アルキル化する方法 [Synthesis, (10), 766−8, 1978]、2−ピロリジノンとアルキルハライドにリチウムアルミニウムハイドライドを作用させて、還元的にアルキル化する方法 [Org. Prep. Proced. Int., 5(1), 9−12, 1973]、ピロリジンと対応するアルコールをロジウムの如き有機金属を触媒にしてアルキル化する方法[ Chem. Commun., (12), 611−2, 1981]、更にN−アルキルピロリジノンを酸価銅−酸価クロムを触媒に水素化する方法[特開昭63−27486号]等が提案されている。
【0003】
しかしながら、上記提案においては、化合物の合成方法が開示されているのみで、該化合物の香気香味特性ならびに該化合物を調合香料の素材として用いることなどについては、全く言及されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年の食品及び香粧品製品の多様化に伴い、新しいタイプの香料素材が求められている。特にレトルト食品用に要求される調理香気に関する研究は益々重要なテーマとなっている。本発明者等はこれらの要求を解決するため、様々な食品素材の調理香気の分析を行ってきた。その結果、焼きスルメ加熱香気より上記式(1)に示される一連の1−アルキルピロリジンが、焼いたスルメの香りを演出している重要な成分であることを見出し、また該化合物が1〜10ppmの匂い閾値である事を知見した。該化合物は、するめ様、甲殻類様、コーン様、ネギ様等の香気香味特性を有し、さらに高度に希釈した場合にはオレンジの花様、アンバー様及び新鮮柑橘様等の香気特性を有し、香粧品用の素材としても有効であることを発見して本発明を完成するに至った。
【0005】
従って、本発明の目的は、1−アルキルピロリジンを有効成分として含有する、するめ様、甲殻類様、コーン様、ネギ様、オレンジの花様、アンバー様及び新鮮柑橘様等の香気香味特性を有する新規香料組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記式(1)
【化2】
[式中、Rはイソプロピル、イソブチル、n−ペンチル、2−メチルブチルまたは3−メチルブチル基を示す]で表される1−アルキルピロリジンの少なくとも一種を含有することを特徴とする香料組成物である。
【0007】
前記1−アルキルピロリジンは、具体的には以下の5種類の化合物である。
1−イソプロピルピロリジン(以下、化合物IIIという)
1−イソブチルピロリジン(以下、化合物Vという)
1−ペンチルピロリジン(以下、化合物VIという)
1−(2−メチルブチル)ピロリジン(以下、化合物VIIという)
1−(3−メチルブチル)ピロリジン(以下、化合物VIIIという)
【0008】
前記1−アルキルピロリジンは、いずれも公知の化合物であるが、本発明者らは、(1)それらの化合物が、1〜10ppmの匂い閾値であること(2)スルメを水、ガラスビーズと共に加熱して留出液を得、それをエーテル、ジクロロメタンで抽出してGC−MS,GC−FTIRおよびGCーSNIFFING分析等により、前記1−アルキルピロリジンが、焼きスルメ加熱香気中に存在し、またその加熱香気の重要な成分であること等を確認した。
【0009】
前記1−アルキルピロリジンは、各種の合成香料、天然香料等と良く調和し、これを含有せしめて新規な香料組成物を調製できる。
前記香料組成物において、1−アルキルピロリジンと混合させる成分としては公知の合成香料、天然香料等がある。例えば、アルコール類(ペンタノール、ヘキサノール、シス−3−ヘキセノール、1−オクテン−3−オール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、メントール、ターピネオール、ペリラアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコール、ネロリドール、ファルネソール、セドロール、フルフリルアルコール)、フェノール類(フェノール、ジメチルフェノール、グァヤコール、アニスアルコール、チモール)、アルデヒド類(オクタナール、デカナール、2−トランス−ヘキセナール、2,6−ノナジエナール、2,4−デカジエナール、シトラール、シトロネラール、ペリラアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、アニスアルデヒド、シンナミックアルデヒド、バニリン、5−メチルフルフラール)、ケトン類(2−ヘプタノン、2−ノナノン、メチルヘプテノン、カルボン、メントン、イオノン、アセトフェノン、マルトール)、カルボン酸類(プロピオン酸、デカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ゲラン酸、シンナミック酸)、エステル類(エチル レブリネート、エチル ヘキサノエート、メチル シンナメート、メチル ジヒドロジャスモネート、リナリル アセテート、ゲラニル アセテート、ターピニル アセテート、メンチル アセテート、シンナミル アセテート、フェニルエチル アセテート、メチル サリシレート、γ−ウンデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトン)、エーテル類(リナロールオキシド、ローズオキシド、アニソール)、含硫黄,含窒素化合物類(ピラジン、メチルピラジン、ジメチルピラジン、アセチルピラジン、ピペリジン、ピリジン、2−アセチルピリジン、メタンチオール、フランチオール、2−メチル−3−フランチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、5,6−ジハイドロ−2,4,6−トリメチル−4H−1,3,5−ジチアジン、3,4,5,6−テトラハイドロ−2,4,6−トリメチル−2H−1,3,5−チアジアジン)、天然香料(レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、パチョリ油、ローズマリー油、シンナモン油、クローブ油)等が挙げられる。
【0010】
前記1−アルキルピロリジンの配合量は、その目的あるいは香料組成物の種類によっても異なるが、例えば、香料組成物の全体量に対して0.00001%(重量%、以下同様)〜10%程度の範囲を例示することが出来る。高濃度の場合には、その非常に強力な鋭い刺激性芳香のため一般に使用される香料組成物とよくマッチしない傾向がある為、0.00001%〜1%、さらには0.00001%〜0.1%が好ましい。
【0011】
本発明の香料組成物は、するめ様、甲殻類様、コーン様、ネギ様、オレンジの花様、アンバー様及び新鮮柑橘様等の優れた香気香味特性を有する。例えば、従来のスルメ、ホタテ貝などの海産物の調理フレーバーに配合することにより、ロースト感、旨みなどを付与できる。一方、従来の合成ユズオイルなどの合成柑橘油に配合することにより、フレッシュ感を増強できる。
【0012】
なお、前記1−アルキルピロリジンの中でも、化合物V、化合物VII、化合物VIIIを用いた香料組成物は、ケミカル臭がなく、優れたローストシーフード感などがあるという点から調理フレーバー等に特に好ましい。
【0013】
本発明の香料組成物は、飲食品類、香粧品類、保健衛生材料、医薬品などに用いることが出来る。
例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料類のごとき飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類のごとき冷菓類;和洋菓子類、ジャム類、チューインガム類、パン類、コーヒー、ココア、紅茶、お茶のごとき嗜好品類;和風スープ類、洋風スープ類のごときスープ類;風味調味料、各種インスタント飲料乃至食品類、各種スナック食品類などにそのユニークな香気香味を付与できる。また、例えば、シャンプー類、ヘアークリーム類、ポマード類、その他の毛髪用化粧品類;香水、コロン、クリーム、乳液、化粧水、ファンデーション、口紅、その他の化粧品類などに、そのユニークな香気を付与できる。さらにまた、洗濯用洗剤類、消毒用洗剤類、室内芳香剤その他各種の保健・衛生材料類;医薬品の服用を容易にするための矯味、賦香剤などの保健・衛生・医薬品類などに、そのユニークな香気を付与できる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例によりこの発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより制限されるものではない。
【0015】
実施例1、比較例1
焼きイカ様フレーバーの調合香料組成物として下記の処方で各成分(重量部)を調製した。
【0016】
実施例1の香料組成物と化合物VIIを食用油で置き換えた比較例1の香料組成物とを専門パネラー8人で比較した。その結果、8人全員が実施例1の香料組成物はロースト感を伴った香ばしさが強調され、香りの持続性においても格段に優れていることを認めた。
【0017】
さらに、実施例1の化合物VIIの代わりに、化合物III、V、VIまたはVIIIをそれぞれ用い、実施例1と同様にして本発明の香料組成物を調製し、それぞれを比較例1と比較した。その結果、いずれの場合でも本発明の香料組成物はロースト感を伴った香ばしさが強調され、香りの持続性においても格段に優れていることを専門パネラー8人全員が認めた。
【0018】
実施例2、比較例2
ホタテ貝フレーバーの調合香料組成物として下記処方で各成分(重量部)を調製した。
【0019】
実施例2の香料組成物と化合物V及びVIIを95%アルコールで置き換えた比較例2の香料組成物とを専門パネラー8人で比較した。その結果、8人全員が実施例2の香料組成物は焼いたホタテ貝の肉感と香ばしさが強調され、香りの持続性においても格段に優れていることを認めた。
【0024】
実施例5、比較例5
ジャスミンタイプの調合香料組成物として下記の処方で各成分(重量部)を調製した。
【0025】
実施例5の香料組成物と化合物VIIIをジエチルフタレートで置き換えた比較例5の香料組成物とを専門パネラー8人で比較した。その結果、8人全員が実施例5の香料組成物はフローラルな華やかさがより大きく表れていることを認めた。
【0026】
【発明の効果】
本発明の香料組成物は、するめ様、甲殻類様、コーン様、ネギ様、オレンジの花様、アンバー様及び新鮮柑橘様等の優れた香気香味特性を有する。
Claims (1)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26068795A JP3619857B2 (ja) | 1995-09-12 | 1995-09-12 | 香料組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26068795A JP3619857B2 (ja) | 1995-09-12 | 1995-09-12 | 香料組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0978081A JPH0978081A (ja) | 1997-03-25 |
JP3619857B2 true JP3619857B2 (ja) | 2005-02-16 |
Family
ID=17351386
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26068795A Expired - Fee Related JP3619857B2 (ja) | 1995-09-12 | 1995-09-12 | 香料組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3619857B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5546192B2 (ja) * | 2009-09-28 | 2014-07-09 | 小川香料株式会社 | 香料組成物 |
JP6974043B2 (ja) * | 2017-06-06 | 2021-12-01 | サッポロビール株式会社 | 飲料、飲料ベース、飲料の製造方法、飲料ベースの製造方法、及び、ユズフラワー様の香気の付与方法 |
KR20190100877A (ko) * | 2018-02-21 | 2019-08-29 | 아지노모토 가부시키가이샤 | 식품, 향미료 및 식품의 제조 방법, 및 식품에 향미를 부여하는 방법 |
-
1995
- 1995-09-12 JP JP26068795A patent/JP3619857B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0978081A (ja) | 1997-03-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6900128B2 (ja) | 4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(3h)−フラノンおよびそれを有効成分として含有する香料組成物 | |
JP6334470B2 (ja) | 4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5h)−フラノンを有効成分とする香料組成物 | |
JP2021036795A (ja) | ラクトン化合物 | |
JP4393824B2 (ja) | 香料組成物 | |
JP3619857B2 (ja) | 香料組成物 | |
JPH10219272A (ja) | 香質改善剤 | |
JP7389738B2 (ja) | 酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物 | |
JP2007091663A (ja) | (z)−9−テトラデセン−5−オリド、その製造法およびそれを含有する香料組成物 | |
JP6001031B2 (ja) | 香味変調剤 | |
JPH11189783A (ja) | 香気・香味・香喫味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品およびたばこ | |
JP6639436B2 (ja) | 3−メチル−4−ドデセン酸およびその製造方法 | |
JPH08113795A (ja) | 香料組成物 | |
JP2020050837A (ja) | 香味改善剤 | |
JP7326243B2 (ja) | シクロプロパン骨格を有するラクトン化合物 | |
JP7179431B2 (ja) | 含硫化合物および香味付与剤 | |
JP7362591B2 (ja) | 含硫ラクトン化合物 | |
JP7094644B2 (ja) | 含硫化合物および香味付与剤 | |
JP5393103B2 (ja) | 3−アルキルチオ−2−アルカノン及び当該化合物を含有する香料組成物 | |
JP6647256B2 (ja) | トリエンエーテル化合物、香料組成物、ならびにこれらを含有する飲食品および香粧品 | |
JP7232087B2 (ja) | 2-アルキリデン-メチルシクロヘキサノン系化合物からなる新規な香料 | |
JP3558299B2 (ja) | 香料組成物 | |
JP2002069479A (ja) | 香質改善剤、香料組成物、香粧品または食品 | |
JP4527989B2 (ja) | 香料組成物 | |
JPH07119434B2 (ja) | 香料組成物 | |
WO2023276505A1 (ja) | ジスルフィド化合物を含む香味付与組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040617 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040629 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040826 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040928 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041015 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081126 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091126 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101126 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111126 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121126 Year of fee payment: 8 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |