JPH11189783A - 香気・香味・香喫味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品およびたばこ - Google Patents
香気・香味・香喫味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品およびたばこInfo
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Abstract
物である、光学活性ラクトンの特徴的な香気、香味、香
喫味を付与する香気・香味・香喫味付与組成物を提供す
る。この香気・香味・香喫味付与組成物は、簡単な工程
で大量生産でき、飲食物、香料、化粧品およびたばこに
添加使用される。 【解決手段】一般式(I) 【化1】 (式中、nは1または2、Rは炭素数1から9までの直
鎖状飽和アルキル基を示す)で示される(R)-ラクトンお
よび一般式(II) 【化2】 (式中、nは1または2、Rは炭素数1から9までの直
鎖状飽和アルキル基を示す)で示される(S)-ラクトンの
鏡像異性体の混合物であって、どちらかの鏡像異性体が
光学純度50%e.e.以上含有されている香気・香味・香
喫味付与組成物。
Description
(S)-ラクトンの鏡像異性体の混合物である香気・香味・
香喫味付与組成物、ならびにその香気・香味・香喫味付
与組成物が添加された飲食物、香水、化粧品およびたば
こに関するものである。
こ等に使用されている香料等の一種類として、一般式(I
II)
示す。)で示されるラクトンが知られている。しかしな
がら、これらのラクトンは、ラセミ体(鏡像異性体の等
量混合物)で使用されており、光学活性なラクトンを香
料(ここでいう香料とはフレーバー、フレグランスおよ
びたばこ用フレーバー全般を指す。以降、注釈がない場
合は同じ意味を指す。)などに使用されている例は非常
に少ない。まして、その光学純度と香気・香味・香喫味
特性の関係を明らかにした例は今までにない。
が天然物中に存在することがいくつか報告されている。
すなわち、光学活性γ-ラクトンについては、P.Schreie
r等によってJournal of Chromatography, 481 (1989)36
3-367で報告されており、例えば、ピーチ中には、(R)-
γ-ウンデカラクトンが62.4%e.e.存在していることが報
告されている。また、δ-ラクトンについては、P. Werk
hoff等によってZ. Lebensm. Unters. Forsch.(1993) 19
6: 307-328で報告されており、例えば、ラズベリー中
に、(S)-δ-デカラクトンが95.6%e.e.存在していること
が報告されている。
hem.,Vol.37,No.2,1989,413-418 でγ-ラクトンの異性
体について、またZ. Lebensm. Unters. Forsch.(1988)1
87:40-44でδ-ラクトンの異性体について、香気、香味
を報告している。これらの報告によると、例えば、γ-
ウンデカラクトンでは、香気については、(R)-異性体は
強くてファッティ−スウィートでピーチを連想させ、い
くらか花の様相をもっており、一方、(S)-異性体はファ
ッティ−スウィートなアルデヒドノートで(R)-異性体よ
りも強度が弱い、と記述されている。また香味について
は、(R)-異性体、(S)-異性体ともに甘く、キャラメル的
でラクトン様である、と記述されている。しかしなが
ら、これらの報告は飲食物等の香気、香味とは直接関係
のない化合物単体の香気、香味を評価したものにすぎな
いと同時に、光学純度と香気、香味との関係を示すもの
ではなかった。また、香喫味についての評価は今までに
報告がなされていない。
天然物から抽出しても得ることができるが、機器分離的
手段、生化学的手段および化学的合成手段によっても得
ることができる。
化粧品およびたばこ等は、ラセミ体ラクトンの特徴的な
香気、香味、香喫味を与えるという点では一応満足され
るが、2つの異性体の香気・香味・香喫味特性を活用す
るという点から見ると未だ十分であるとはいえない。
類が、どのような香気・香味・香喫味特性を有している
かについては、最終的な製品形態を含めて今まで全く知
られていなかった。これら2つの異性体の香気・香味・
香喫味特性を活用するという点から考えると、光学純度
が100%e.e.に近いものを用いることが考えられるが、光
学純度が100%e.e.に近いものを製造するためには、現在
知られている製造法では、非常に高度な技術が必要であ
ったり、非常に複雑な工程が必要であったりして製造コ
ストが膨大になるという欠点と、大量に取得できないと
いう欠点があった。
ンの各々の異性体の香気・香味・香喫味特性を活用する
という点から、各々の異性体純度を追及した結果、香気
・香味・香喫味特性に異性体純度が関与していることを
突き止め、本発明に到達した。
トンの鏡像異性体混合物、詳しくは(R)-γ-ラクトン、
(S)-γ-ラクトン、(R)-δ-ラクトン、(S)-δ-ラクトン
を含む、光学活性ラクトンの特徴的な香気・香味・香喫
味を付与することができる香気・香味・香喫味付与組成
物を提供することにある。
製造コストを抑えて、大量生産できる香気・香味・香喫
味付与組成物を提供することにある。
味・香喫味付与組成物を添加した、光学活性ラクトンの
特徴的な香気、香味、香喫味が付与された飲食物、香
料、化粧品およびたばこを提供することにある。
発明の香気・香味・香喫味付与組成物は、一般式(I)
鎖状飽和アルキル基を示す)で示される(R)-ラクトンお
よび一般式(II)
鎖状飽和アルキル基を示す)で示される(S)-ラクトンの
鏡像異性体からなり、どちらかの鏡像異性体が光学純度
50%e.e.以上含有されていることを特徴とするもので
あり、本発明では、特に、前記(R)-ラクトンと(S)-ラク
トンの鏡像異性体のうちいずれかが、光学純度70%e.
e.以上含有されていることが好ましい。
組成物は、好ましくは飲食物、香水、化粧品およびたば
こに添加使用される。
組成物は、次の一般式(I)で示される(R)-ラクトンと一
般式(II)で示される(S)-ラクトンの鏡像異性体の混合物
である。
鎖状飽和アルキル基をそれぞれ示す) これらの光学活性ラクトンは、既述のように、天然物か
ら抽出しても得ることはできるが、機器分離的方法、生
化学的合成法および化学的合成法によっても得ることが
できる。
としては、Agric.Boil. Chem.,Vol.48,No.10, p2497-25
00,1984に記載の方法が挙げられる。すなわち、(S)-2-
アミノデカン酸から得られる(S)-1,2-エポキシデカンと
ジエチルソディオマロネート(ジエチルマロネートとナ
トリウムをエタノール中で作用させて製造する)を縮合
させた後、水酸化ナトリウムで脱炭酸反応し、硫酸でラ
クトン化すると、(S)-γ-ドデカラクトンを製造するこ
とができる。また、(R)-2-アミノデカン酸から得られる
(R)-1,2-エポキシデカンを同様に処理すると、(R)-γ-
ドデカラクトンを製造することができる。
例としては、特開平6−319589号公報に記載の方
法が挙げられる。すなわち、ラセミ体の(±)-δ-デカラ
クトンとシュードモナス属リパーゼ、リパーゼP(長瀬
生化学工業製)をリン酸系緩衝液中で作用させ、(R)-δ
-ヒドロキシデカン酸を得て、これをラクトン化し、(R)
-δ-デカラクトンを製造することができる。また、上記
処理で生じる未反応δ-デカラクトンとアスペルギルス
属リパーゼ、リパーゼP4(天野製薬製)を、リン酸系
緩衝液中で作用させ、同様に処理すると、(S)-δ-デカ
ラクトンを製造することができる。
成する方法の例としては、第40回香料・テルペンおよび
精油化学に関する討論会講演要旨集P165-167に記載の方
法が挙げられる。すなわち、まず市販品を容易に入手で
きるシクロペンタノンと飽和アルデヒドのアルドール縮
合で容易に得られる2−アルキリデンシクロペンタノン
を、飽和酢酸カリウム−酢酸溶液中で、過酢酸を用いて
酸化反応せしめ、exo-エノールラクトンを合成する。次
に、このexo-エノールラクトンを、Ru2Cl4[(4S,5S)-DIO
P]3錯体触媒等と水素を用いて不斉還元を行なうことに
より(R)-体の光学活性δ-ラクトンを得ることができ
る。
性がどの程度の光学純度で現れるかを試験したところ、
本発明においては、直鎖状飽和アルキル基の違いによっ
て僅かに差異は観察されるが、光学純度が50%e.e.以
上で、より好ましくは70%e.e.以上で現れることが分
かった。
喫味特性がどの程度の光学純度で現れるかを試験したと
ころ、本発明においては、直鎖状飽和アルキル基の違い
によって僅かに差異は観察されるが、光学純度が50%
e.e.以上で、より好ましくは70%e.e.以上で現れるこ
とが分かった。
香喫味特性がどの程度の光学純度で現れるかを試験した
ところ、本発明においては、直鎖状飽和アルキル基の違
いによって僅かに差異は観察されるが、やはり光学純度
が50%e.e.以上で、より好ましくは70%e.e.以上で
現れることが分かった。
喫味特性がどの程度の光学純度で現れるかを試験したと
ころ、本発明においては、直鎖状飽和アルキル基の違い
によって僅かに差異は観察されるが、光学純度が50%
e.e.以上で、より好ましくは70%e.e.以上で現れるこ
とが分かった。
δ-ラクトン、(S)-δ-ラクトンのいずれのラクトンにお
いても、光学純度50% e.e.以上、より好ましくは7
0% e.e.以上の範囲は香気、香味、香喫味特性を付与
する点においてもこれらのラクトンを製造する点におい
ても優れていることが分かった。したがって、これらの
光学純度以上のものであれば、精製することなくそのま
ま、飲食物、香水、化粧品およびたばこに用いて、香気
・香味・香喫味付与効果を確実に期待できることが分か
った。
は、(R)-ラクトンと(S)-ラクトンの鏡像異性体のうちい
ずれかの鏡像異性体が、光学純度50%e.e.以上、より
好ましくは70%e.e.以上含有されている。
定した。すなわち、東京化成工業(株)製Chiraldex G
−TAキャピラリーカラムによるGC分析では、カラム
長さ10mまたは20m、カラム内径0.25mm、注
入口温度170℃、FID検出器、検出器温度170℃、
キャリア−ヘリウム、キャリアー流速1.15〜1.2
ml/分、オーブン温度は90℃恒温、110℃恒温、
130℃恒温、135℃恒温、140℃恒温、50分間
135℃でその後140℃まで2℃/分昇温、80℃か
ら130℃まで2℃/分昇温、110℃から130℃ま
で1℃/分昇温、120℃から140℃まで1℃/分昇
温、のいずれかの条件で測定した。また、ダイセル化学
工業(株)製Chiralcel OD250mm×4.6mm
I.D.カラムによるHPLC分析では、移動相がヘキ
サンとイソプロピルアルコールの98対2体積比混合
液、流速1ml/分、UV検出器220nmによって測
定した。本発明においては、これらの(R)-γ-ラクト
ン、(S)-γ-ラクトン、(R)-δ-ラクトン、(S)-δ-ラク
トン、また、光学純度が請求項に記載の光学活性ラクト
ンを得るために、高い光学純度の光学活性ラクトンとラ
セミのラクトンを適宜混合することができる。
光学活性ラクトンは、その鏡像体以外の異なる光学活性
ラクトンや異なるラセミラクトンおよび他の香料等の成
分を配合または単独で香気・香味・香喫味を付与する香
料組成物とし、飲食物、香水、化粧品およびたばこに添
加される。この香料組成物には、通常の香料に使用され
る成分であれば特に限定されることなく配合することが
できる。
の含有量は特に限定されないが、香料組成物中に0.0
01〜50重量%程度の割合で含有させることが好まし
い。しかしながら、意図する官能効果によってはこの範
囲外でも使用し得る。
・香味・香喫味を付与する香料組成物として、各種飲食
物、香水、化粧品およびたばこに添加して光学活性ラク
トンの特徴的な香気・香味・香喫味を付与することがで
きる。本発明の光学活性ラクトンの各種飲食物、香水、
化粧品およびたばこへの添加量は、添加する飲食物、香
水、化粧品およびたばこの種類によって適宜選択するこ
とができる。
を含有する香気・香味・香喫味を付与する香料組成物
は、このものの香気、香味、香喫味付与効果を期待する
各種飲食物、香水、化粧品およびたばこであれば特に限
定することなく添加することができる。例えば、飲食物
としては、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料
類のごとき飲料類;アイスクリーム類、シャーベット
類、アイスキャンディーのごとき冷菓類;和洋菓子類、
ジャム類、チューインガム類、パン類、コーヒー、ココ
ア、紅茶、お茶のごとき嗜好品類;和風スープ類、洋風
スープ類のごときスープ類;風味調味料各種インスタン
ト飲料乃至食品類、各種スナック食品類などが挙げら
れ、香粧品類としては、香水類、石鹸、ボディーシャン
プー、シャンプー・リンス類、洗剤、ヘアークリーム
類、ポマード類、その他の毛髪用化粧料基剤;オシロ
イ、口紅、その他の化粧料基剤や化粧料洗剤基剤、洗濯
用洗剤・柔軟剤類、室内芳香剤類、トイレ用芳香剤・消
臭剤・洗剤類などが挙げられる。たばこの種類について
は通常の葉たばこを原料として製造される紙巻きたば
こ、パイプたばこ、葉巻たばこなどの他、天然繊維ある
いは植物の組織培養物を用いて製造される合成たばこな
どが挙げられる。紙巻きたばこについては製造用の材料
品、例えば巻紙、糊、フィルターなどに含有させること
も香喫味効果を上げることができる。
の各種保健・衛生材料類、医薬品などの服用を容易にす
るための矯味、賦香剤などの保健・衛生・医薬品類など
が挙げられる。
((S)-(-)-4-オクチル-4-ブタノリ ッ
ド)の製造 ナトリウム1.6g(69.6mmol)、エタノール20ml、ジエチル
マロネート7.4g(46.2mmol)の混合液に(S)-(-)-1,2-エ
ポキシデカン6.0g(38.4mmol)を加え3時間加熱還流し
た。冷却後、水で希釈しエーテルで抽出した。エーテル
相をブラインで洗浄し溶媒回収した。残渣に水酸化ナト
リウム8g(0.2mol)の水100ml溶液を加え1.5時間加熱
還流した。冷却後、硫酸6ml(0.11mol)と水8mlの溶液を
加え、18時間加熱還流した。冷却後、エーテルで抽出
し、エーテル相を水、炭酸水素ナトリウム水、飽和食塩
水で洗浄し硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒回収した。
残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し蒸
留して、(S)-(-)-γ-ドデカラクトン5.3g(95%e.e.)
を得た。
((R)-(+)-5-ペンチル-5-ペンタノリ ッ
ド)の製造 あらかじめアルゴン置換したガラス管にRu2Cl4[(4S,5S)
-DIOP]3 14.3mg(7.7μmol)、5-ペンチリデン-δ-ペン
タノリッド130mg(0.773mmol)と脱気THF 10mlを入れた。
この溶液をガラス管ごと100mlステンレスオートクレー
ブに入れ水素100気圧(9.8MPa)、50℃、45時間
反応した。溶媒回収後、残渣にヘキサンを加え濾過し
た。濾液を溶媒回収し残渣を中圧液体クロマトグラフィ
ーで精製して(R)-(+)-δ-デカラクトン74mg(51%e.
e.)を得た。
光学純度で確実に現れるかを試験した。任意の光学純度
の光学活性ラクトンはR異性体とS異性体を任意の割合
で混合するか、R異性体またはS異性体をラセミ体と任
意の割合で混合することで調整した。また、光学純度的
に純粋な光学活性ラクトンは、参考例を初めとした方法
の他に機器分離的方法、生化学的合成法、化学的合成
法、またはこれらの組み合わせによって準備した。評価
はサンプル1重量%のプロピレングリコール希釈液を匂
い紙で実施し、パネラーは熟練したフレーバリスト10
名で行なった。各異性体の効果が(ラセミ体に対して)
はっきりと確実に識別できる光学純度と、光学純度的に
純粋なものに対して香気効果の違いが現れる光学純度
を、ひきぬき法(佐藤信著「統計的官能検査法」1985
年、株式会社日科技連出版社発行)にて測定した。
基を示す)で示される(R)-γラクトン、および一般式
(V)
基を示す)で示される(S)-γ-ラクトンの香気評価の結
果を表1に示す。
基を示す)で示される(R)-δ-ラクトン、および一般式
(VII)
基を示す)で示される(S)-δ-ラクトンの香気評価結果
を表2に示す。
セミ体品と比較して各異性体の香気の特徴が認められた
のは、(R)-ラクトンまたは(S)-ラクトンの光学純度50
%e.e.以上品であった。また、(R)-ラクトンまたは(S)-
ラクトンの光学純度100%e.e.品と比較して香気効果
のはっきりした違いが現れたのは、(R)-ラクトンまたは
(S)-ラクトンの光学純度70%e.e.未満品であった。
は、一般式(I)
鎖状飽和アルキル基を示す)で示される(R)-ラクトンを
用いる場合は光学純度50%e.e.以上のもの、より好ま
しくは70%e.e.以上のものであれば、精製することな
くそのまま、飲食物、香水、化粧品およびたばこに用い
て、香気、香味、香喫味付与効果を確実に期待できるこ
とが分かった。
鎖状飽和アルキル基を示す)で示される(S)−ラクト
ンを用いる場合は光学純度50%e.e.以上のもの、より
好ましくは70%e.e.以上のものであれば、精製するこ
となくそのまま用いて、飲食物、香水、化粧品およびた
ばこへの香気、香味、香喫味付与効果を確実に期待でき
ることが分かった。
物、香水、化粧品およびたばこへ実際に添加し、香気、
香味、香喫味について評価した例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
ピーチフレーバー処方に基づき、飲料用香料組成物を調
整した。光学純度70%e.e.の(R)-(+)-γ-ウンデカラ
クトンを含有するものを実施例2、光学純度70%e.e.
の(S)-(-)-γ-ウンデカラクトンを含有するものを実施
例3、そして、ラセミ体の(±)-γ-ウンデカラクトンを
含有するものを比較例1とした。
飲料にそれぞれ0.1重量%の割合で添加した。各飲料
について、前述のフレーバリスト10名によって、2点
識別法(佐藤信著「統計的官能検査法」1985年、株式会
社日科技連出版社発行)にて香気・香味を評価し、その
結果を表4に示した。
(R)-(+)-γ-ウンデカラクトンを含有する実施例2の飲
料用香料組成物を添加した飲料は、完熟したピーチ果汁
果実様の強い香気・香味なのに対し、光学純度70%e.
e.の(S)-(-)-γ-ウンデカラクトンを含有する実施例3
の飲料用香料組成物を添加した飲料は、フレッシュな果
実様であっさりした香気・香味であると評価した。ま
た、ラセミ体を含有する比較例1の飲料用香料組成物を
添加したものは、穏やかなピーチ果汁感のある香気・香
味であった。
処方に基づき、ボディーシャンプー用ベリーフルーツタ
イプの調合香料組成物を調整した。光学純度50%e.e.
の(R)-(+)-γ-ウンデカラクトンを含有するものを実施
例4、光学純度50%e.e.の(S)-(-)-γ-ウンデカラク
トンを含有するものを実施例5、ラセミ体の(±)-γ-ウ
ンデカラクトンを含有するものを比較例2とした。
剤にそれぞれ0.5重量%の割合で賦香し、それらを専
門パネリスト10名によって、2点識別法にて香気評価
し、その結果を表6に示した。
(R)-(+)-γ-ウンデカラクトンを含有する実施例4の香
料組成物を添加したボディーシャンプーは、ナチュラル
なみずみずしい果肉的なフルーティな香気で軽く拡散性
のある匂い立ちなのに対し、光学純度50%e.e.の(S)-
(-)-γ-ウンデカラクトンを含有する実施例5の香料組
成物を添加したボディーシャンプーは、フレッシュグリ
ーンなフルーティ感のある香気であると評価した。ま
た、ラセミ体の(±)-γ-ウンデカラクトンを含有する比
較例2の香料組成物を添加したボディーシャンプーは、
ファッティ感のあるフルーティな香気であった。
処方に基づき、香水用フルーティフローラルタイプの調
合香料組成物を調整した。光学純度80%e.e.の(R)-
(+)-γ-ウンデカラクトンを含有するものを実施例6、
光学純度80%e.e.の(S)-(-)-γ-ウンデカラクトンを
含有するものを実施例7、ラセミ体の(±)-γ-ウンデカ
ラクトンを含有するものを比較例3とした。
5 重量%)希釈溶液を匂い紙で実施し、専門パネリスト1
0名によって、2点識別法にて香気評価を行ない、その
結果を表8に示した。
(R)-(+)-γ-ウンデカラクトンを含有する実施例6の組
成物の希釈サンプルは、熟したフルーティな甘みのある
香気なのに対し、光学純度80%e.e.の(S)-(-)-γ-ウ
ンデカラクトンを含有する実施例7の組成物の希釈サン
プルは、ファッティフローラル感が強調された香気であ
ると評価した。ラセミ体の(±)-γ-ウンデカラクトンを
含有する比較例3の希釈サンプルは、マイルドなフルー
ティ香気であった。
れている日本たばこ産業(株)製の紙巻きたばこ商品名
「キャスター・マイルド」に、光学純度90%e.e.の
(R)-(+)-γ-ウンデカラクトンの0.01重量%エタノ
ール溶液をマイクロシリンジで1マイクロリットル添加
したものを実施例8、光学純度90%e.e.の(S)-(-)-γ
-ウンデカラクトンの0.01重量%エタノール溶液を
マイクロシリンジで1マイクロリットル添加したものを
実施例9、ラセミ体の(±)-γ-ウンデカラクトンの0.
01重量%エタノール溶液をマイクロシリンジで1マイ
クロリットル添加したものを比較例4とした。各紙巻き
たばこについて、専門パネリスト10名によって、2点
識別法によって香喫味を評価し、その結果を表9に示し
た。
(R)-(+)-γ-ウンデカラクトンを添加した実施例8の紙
巻きたばこは、強いスイートワクシーでジューシーな完
熟したピーチ様のフルーティであり、軽快で明るく甘臭
甘味で煙のきめが細かく膨らみがある香喫味であった。
光学純度90%e.e.の(S)-(-)-γ-ウンデカラクトンを
添加した実施例9の紙巻きたばこは、スイートワクシー
で僅かにナッツ様でピーチ様のグリーンフルーティであ
り、青黒く苦渋みが強い酸甘臭味な香喫味であった。ラ
セミ体の(±)-γ-ウンデカラクトンを添加した比較例4
の紙巻きたばこは、スイートワクシーでピーチ様のフル
ーティであり、ワクシースイートで僅かに甘臭甘味、フ
ルーティ、僅かに渋み、酸甘臭な香喫味であった。
気・香味・香喫味付与組成物は、飲食物、香水、化粧品
およびたばこに添加することによって請求項に記載の光
学活性ラクトンの特徴的な香気、香味、香喫味を付与す
ることができる。すなわち、従来のラセミ体では得るこ
とができなかった各々の異性体の特徴的な香気、香味、
香喫味を飲食物、香水、化粧品またはたばこに付与する
ことができ商品価値を著しく高めることができるととも
に、光学活性ラクトンの製造コストの膨張を抑え、また
大量製造に相応しくすることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、nは1または2、Rは炭素数1から9までの直
鎖状飽和アルキル基を示す。)で示される(R)-ラクトン
および一般式(II) 【化2】 (式中、nは1または2、Rは炭素数1から9までの直
鎖状飽和アルキル基を示す。)で示される(S)-ラクトン
の鏡像異性体からなり、どちらかの鏡像異性体が光学純
度50%e.e.以上含有されていることを特徴とする香気
・香味・香喫味付与組成物。 - 【請求項2】 前記(R)-ラクトンと(S)-ラクトンの鏡像
異性体のうちいずれかの鏡像異性体が、光学純度70%
e.e.以上含有されていることを特徴とする請求項1記載
の香気・香味・香喫味付与組成物。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の香気・香味・香
喫味付与組成物が添加された飲食物、香水、化粧品また
はたばこ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9368737A JPH11189783A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 香気・香味・香喫味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品およびたばこ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9368737A JPH11189783A (ja) | 1997-12-26 | 1997-12-26 | 香気・香味・香喫味付与組成物およびそれを添加した飲食物、香水、化粧品およびたばこ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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