JP3618569B2 - 合体コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の端子を収容するコネクタハウジングを複数有し、このコネクタハウジングを多段状に連結して構成される合体コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、先にこの種の従来の合体コネクタを提案した(特願平9−223764号出願書類参照)。図8はかかる合体コネクタの合体前の状態を示す斜視図、図9は上段側のコネクタハウジングの要部を底面側から見た拡大斜視図、図10は下段側のコネクタハウジングの要部を平面側から見た拡大斜視図、図11は仕切壁が圧接端子に接触した状態を示す要部断面図、図12は仕切壁の押圧によって圧接端子が変形した状態を示す要部断面図である。
【0003】
図8〜図12において、合体コネクタ1は、上段側のコネクタハウジング2と下段側のコネクタハウジング3とから成り、上段側のコネクタハウジング2の下面2aと下段側のコネクタハウジング3の上面3aとが相対向する連結面として構成されている。上段側のコネクタハウジング2内には前後方向に配置される端子収容室4が左右方向に複数並列して構成され、この隣接する端子収容室4間は仕切壁5(図11、図12に示す)によって仕切られている。上段側のコネクタハウジング2の下面(連結面)2aの後部は開口部6として構成され、この開口部6より各端子収容室4の後部が露出されている。各端子収容室4には圧接端子7(図11、図12に示す)がそれぞれ収容され、各圧接端子7の後部の電線圧接部7aには圧接によって電線Wの一端側が接続されている。電線圧接部7aは略コ字状に折曲された形状を有し、両側の先端部が仕切壁5より上方に突出している。
【0004】
又、上段側のコネクタハウジング2の下面(連結面)2aの前部には、その中央とこの左右の一定間隔離れた位置との3カ所に前後方向に延びる略断面台形状の前側第1係止突起部8が設けられていると共に、上段側のコネクタハウジング2の下面2aの前方両端には前側第2係止突起部9が設けられている。この各前側第2係止突起部9は、図9に詳しく示すように、下方に突出された略半円状の導入リブ9aと、この導入リブ9aの先端側より斜めに形成された導入テーパ凸部9bと、この導入テーパ凸部9bの底面より水平状に突出した平坦凸部9cとから構成されている。上段側のコネクタハウジング2の両側面の後部には角柱状の後側係止突起部10が設けられている。
【0005】
下段側のコネクタハウジング3内には前後方向に配置される端子収容室4が左右方向に複数並列して構成されていると共に、下段側のコネクタハウジング3の下面の後部は開口部6として構成され、この開口部6より各端子収容室4の後部が露出されている。各端子収容室4には上記と同様にして圧接端子(図示せず)がそれぞれ収容されている。
【0006】
下段側のコネクタハウジング3の下面側にはヒンジ部(図示せず)を介してカバー11が連結され、このカバー11によって前記開口部6を閉じることができるよう構成されている。下段側のコネクタハウジング3の上面(連結面)3aの後部には、上段側のコネクタハウジング2の複数の仕切壁5に対向する位置に同じく複数の仕切壁12が設けられている。又、隣接する各仕切壁12の間には電線位置規制用突起13(図11、図12に示す)がそれぞれ設けられている。
【0007】
又、下段側のコネクタハウジング3の上面(連結面)3aの前部には、その中央とこの左右の一定間隔離れた位置との3カ所に略断面逆台形状の前側第1係止凹部14が設けられていると共に、下段側のコネクタハウジング3の上面3aの前方両端には前側第2係止凹部15が設けられている。この各前側第2係止凹部15は、図10に詳しく示すように、導入リブ9a及び導入テーパ凸部9bが挿入される案内テーパ凹部15aと、平坦凸部9cが挿入される水平凹部15bとから構成されている。下段側のコネクタハウジング3の両側面の後部には可撓性の後側係止アーム部16が設けられ、この各後側係止アーム部16に後側係止孔17が設けられている。
【0008】
上記構成において、各コネクタハウジング2、3の端子収容室4に圧接端子7を収容し、この圧接端子7に電線Wの一端側を接続し終えると、下段側のコネクタハウジング3の開口部6をカバー11で閉じる。次に、上段側のコネクタハウジング2をその下面2a側を上方として図示しない合体治具にセットし、このセットした上段側のコネクタハウジング2の上方から下段側のコネクタハウジング3を上面3a側を下方として乗せる。この乗せる際に、上段側のコネクタハウジング2の前側第1係止突起部8、前側第2係止突起部9及び後側係止突起部10が、下段側のコネクタハウジング3の前側第1係止凹部14、前側第2係止凹部15及び後側係止アーム部16に略位置合わせされる。
【0009】
次に、下段側のコネクタハウジング3を下方に押圧し、この押圧力によって双方のコネクタハウジング2、3の相対向する連結面が互いに近接する方向に移動し、連結位置で前側第1係止突起部8及び前側第2係止突起部9が前側第1係止凹部14及び前側第2係止凹部15にそれぞれ入り込むと共に、後側係止突起部10が撓み変形する後側係止アーム部16によって後側係止孔17に係止される。これによって双方のコネクタハウジング2、3が合体される。
【0010】
又、上記した双方のコネクタハウジング2、3の連結位置への移動に伴って双方の仕切壁5、12が互いに近接する方向に移動し、連結位置では双方の仕切壁5、12の先端面同士が略当接状態とされる。これによって隣接する端子収容室4間が略完全に仕切られ、隣接する圧接端子7間におけるショート事故の防止が図られる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の合体コネクタ1においては、双方のコネクタハウジング2、3の互いの連結面を離間した位置で対向させ、この離間した対向位置から徐々に互いの連結面を近接させる方向に移動することによって双方のコネクタハウジング2、3を連結させるものであるが、連結作業過程にあって双方のコネクタハウジング2、3間の位置決めが不安定である。
【0012】
つまり、双方のコネクタハウジング2、3の前方側は、その左右方向の位置決めが前側第1係止突起部8の前側第1凹部14への挿入によって、その前後方向の位置決めが前側第2係止突起部9の前側第2凹部15への挿入によってなされるために問題ないが、双方のコネクタハウジング2、3の後方側は、後側係止突起部10が撓み変形可能な後側係止アーム部16によってのみ位置決めされているため、撓み変形方向である左右方向に容易に変移可能である。
【0013】
従って、下段側のコネクタハウジング3が適性な位置から左右方向に位置ずれした状態で双方のコネクタハウジング2、3の連結位置への移動がなされると、図11に示すように、下段側のコネクタハウジング3の仕切壁12が圧接端子7の電線圧接部7aに突き当たり、仕切壁12からの押圧力によって圧接端子7の電線圧接部7aが折曲される。圧接端子7の電線圧接部7aが、図12に示すように、外側に折曲されると、隣接する圧接端子7に接触してショートする恐れがある。
【0014】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、連結作業に際して隣接する端子間のショート事故を防止できる合体コネクタを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、一方のコネクタハウジングと他方のコネクタハウジングとが、双方のコネクタハウジングの相対向する連結面を互いに突き合わせた状態で連結され、前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとのいずれか一方に、端子を収容する各端子収容室を仕切る複数の仕切壁を設け、他方にこの複数の仕切壁に対向する位置に同じく複数の仕切壁を設け、双方のコネクタハウジングの連結位置では双方の仕切壁の先端面同士が略当接される合体コネクタにおいて、前記一方のコネクタハウジングに対して前記他方のコネクタハウジングを、前記仕切壁の延びる方向を延設方向とすると、この延設方向に沿ってスライド自在に構成し、このスライド移動によって前記一方のコネクタハウジングの前記仕切壁上を前記他方のコネクタハウジングの仕切壁が移動して双方のコネクタハウジングが連結位置に位置されるよう構成し、前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとには、スライド方向の前端側とスライド方向の後端側との2か所に双方のコネクタハウジングの連結位置でそれぞれ係合し、且つ、双方のコネクタハウジング間を結合させる前側ロック手段と後側ロック手段とを設けると共に、双方のコネクタハウジングの連結位置で係合し、双方のコネクタハウジング間のスライド方向の位置決めを行う位置ロック手段を設け、前記前側ロック手段は、前記一方のコネクタハウジングの連結面に設けられ、且つ、スライド方向に延設された前側凸部と、前記他方のコネクタハウジングの連結面に設けられ、且つ、スライド先端面に一端が開口し、前記前側凸部が係合する前側凹部とから構成し、前記後側ロック手段は、前記一方のコネクタハウジングに設けられ、且つ、スライド移動の際には下記する係合アームにしか当接しない位置に配置された後側凸部と、前記他方のコネクタハウジングに設けられ、前記他方のコネクタハウジングのスライド移動過程で前記後側凸部に当接されると撓み変形して前記後側凸部のスライドを許容し、連結位置までスライドすると元の位置に弾性復帰変形して前記後側凸部が係合する前記係合孔を有する係合アームとから構成したことを特徴とする。
【0016】
この合体コネクタでは、他方のコネクタハウジングを一方のコネクタハウジングにスライド移動すると、一方のコネクタハウジングの仕切壁上を他方のコネクタハウジングの仕切壁が移動するため、仮に双方の仕切壁がその延設方向の直交方向に対して位置ずれし他方のコネクタハウジングの仕切壁が端子に接触しても端子が外側に折曲することがない。
【0018】
また、この合体コネクタでは、双方のコネクタハウジングは、スライド移動に際して連結位置で位置ロック手段によって位置決めされ、且つ、双方のコネクタハウジング間は、前側ロック手段と後側ロック手段とによって前側と後側が結合される。
【0020】
また、この合体コネクタでは、スライド移動に際して連結位置の少し手前位置から前側ロック手段の前側凸部が前側凹部に係合を開始し、又、後側ロック手段の係合アームが後側凸部に当接して撓み変形を開始する。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1記載の合体コネクタであって、前記係合アームのスライド進入側と前記後側凸部のスライド進入側との少なくともいずれか一方をテーパ面として構成したことを特徴とする。
【0022】
この合体コネクタでは、請求項1の発明の作用に加え、後側凸部と係合アームとの少なくとも一方がテーパ面であるため、双方のコネクタハウジング間でスライド方向に直交する方向に位置ずれがあってもテーパ面が案内面となって位置ずれを補正し、又、後側凸部と係合アームとが少なくとも一方のテーパ面を介して当接するため、後側凸部からの押圧力の方向が係合アームを撓み変形しやすい方向に作用する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の一実施形態に係る合体コネクタの合体前を示す斜視図、図2は下段側のコネクタハウジングの下面側から見た斜視図、図3は下段側のコネクタハウジングの上面側の一部斜視図、図4は下段側のコネクタハウジングの上面側の一部斜視図、図5は合体コネクタの連結作業の一過程を示す側面図、図6は合体コネクタの合体後を示す側面図、図7は合体コネクタの合体後を示す正面図である。尚、図1、及び図2では連結作業の状態をイメージし易いように、双方のコネクタハウジング21、22は共に下面側を上方に向けて示されている。
【0025】
図1〜図7において、合体コネクタ20は、上段側のコネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)21と下段側のコネクタハウジング(他方のコネクタハウジング)22とから成り、上段側のコネクタハウジング21の下面21aと下段側のコネクタハウジング22の上面22aとが相対向する連結面として構成されている。そして、上段側のコネクタハウジング21に対して下段側のコネクタハウジング22を、下記する仕切壁24の延びる方向を延設方向(前後方向)Tとすると、この延設方向Tに沿ってスライド自在に構成されている。
【0026】
上段側のコネクタハウジング21内には、前後方向に配置される端子収容室23が左右方向に複数並列して構成され、この隣接する端子収容室23間は仕切壁24によって仕切られている。上段側のコネクタハウジング21の下面(連結面)21aの後部は開口部25として構成され、この開口部25より各端子収容室23の後部が露出されている。各端子収容室23には圧接端子26がそれぞれ収容され、各圧接端子26の後部の電線圧接部26aには圧接によって電線Wの一端側が接続されている。電線圧接部26aは略コ字状に折曲された形状を有し、両側の先端部が仕切壁5より上方に突出している。
【0027】
一方、下段側のコネクタハウジング22内には前後方向に配置される端子収容室23が左右方向に複数並列して構成され、この隣接する端子収容室23間は仕切壁24によって仕切られている。下段側のコネクタハウジング22の下面22aの後部は開口部25として構成され、この開口部25より各端子収容室23の後部が露出されている。各端子収容室23には上記と同様にして圧接端子26がそれぞれ収容されている。各圧接端子26の後部の電線圧接部26aには圧接によって電線Wの一端側が接続されている。
【0028】
下段側のコネクタハウジング22の下面22a側にはヒンジ部28を介してカバー30が連結され、図1に示すように、このカバー30によって前記開口部25を閉じることができるよう構成されている。カバー30の両側面の先端側には係止孔31が形成され、下段側のコネクタハウジング22の両側面の後部には係止突起部32が設けられ、カバー30が開口部25を閉じる位置に位置すると係止孔31に係止突起部32が係止することによってロックされる。
【0029】
下段側のコネクタハウジング22の上面(連結面)22aの後部には、図3に示すように、上段側のコネクタハウジング21の複数の仕切壁24に対向する位置に同じく複数の仕切壁33(図3に示す)が設けられている。
【0030】
また、上段側のコネクタハウジング21と下段側のコネクタハウジング22とには、スライド方向の前端側とスライド方向の後端側に前側ロック手段34と後側ロック手段35がそれぞれ設けられており、この前側ロック手段34と後側ロック手段35によって双方のコネクタハウジング21、22が連結位置で結合される。
【0031】
前記前側ロック手段34は、図1に示すように、上段側のコネクタハウジング21の下面(連結面)21aの中央部の3カ所に設けられ、且つ、スライド方向(延設方向T)に延設された前側凸部34aと、図3に示すように、下段側のコネクタハウジング22の上面(連結面)22aの中央部の3カ所に設けられ、且つ、スライド先端面36に一端が開口し、前側凸部34aが係合する前側凹部34bとから構成されている。前側凸部34aは、先端から根元に行くに従って徐々に幅が狭くなる形状に構成され、前側凹部34bは、入口から奥に行くに従って徐々に幅が広くなるアリ溝形状に構成されている。
【0032】
前記後側ロック手段35は、上段側のコネクタハウジング21の両方の側面に設けられ、且つ、スライド移動の際には下記する係合アーム35bにしか当接しない位置に配置された後側凸部35aと、下段側のコネクタハウジング22の両方の側面から上方に突設され、且つ、可撓性を有する係合アーム35bとから構成されている。各係合アーム35bには後側凸部35aが係合する係合孔35cが設けられている。下段側のコネクタハウジング22のスライド移動過程で一対の係合アーム35bが後側凸部35aに当接されると撓み変形して後側凸部35aのスライドを許容し、連結位置までスライドすると一対の係合アーム35bが元の位置に弾性復帰変形して各係合孔35cに後側凸部35aが係合するよう構成されている。
【0033】
又、図1に示すように、各後側凸部35aのスライド進入側(スライド方向 (S)の後端部)であって、且つ、係合アーム35bが当接する側がテーパ面37として構成されている。図4に示すように、各係合アーム35bのスライド進入側(スライド方向(S)の前端部)であって、且つ、後側凸部35aの当接する側もテーパ面37として構成されている。
【0034】
さらに、上段側のコネクタハウジング21と下段側のコネクタハウジング22とには、スライド方向Sの前端側に位置ロック手段38が設けられており、この位置ロック手段38によって双方のコネクタハウジング21、22間のスライド方向Sの位置決めがなされている。位置ロック手段38は図1に示すように、上段側のコネクタハウジング21の下面(連結面)21aの両側に設けられ、且つ、スライド方向Sに直交する方向(延設方向Tに直交する方向U)に延設された位置ロック凸部38aと、図3に示すように、下段側のコネクタハウジング22の上面(連結面)22aの両側に設けられ、且つ、双方のコネクタハウジング21、22が連結位置に位置すると位置ロック凸部38aが係合する位置ロック凹部38bとから構成されている。
【0035】
上記構成において、各コネクタハウジング21、22の端子収容室23に圧接端子26を収容し、この圧接端子26に電線Wの一端側を接続し終えると、下段側のコネクタハウジング22の開口部25をカバー30で閉じる。
【0036】
次に、図5に示すように、上段側のコネクタハウジング21をその下面21a側を上方として合体治具40の凹部41にセットし、このセットした上段側のコネクタハウジング21の下面21a上に対して下段側のコネクタハウジング22をその上面22a側を下方としてスライドさせる。
【0037】
スライド移動が進むと、下段側のコネクタハウジング22の一対の係合アーム35bが上段側のコネクタハウジング21の一対の後側凸部35aに当接し、この各後側凸部35aの押圧力で各係合アーム35bが外側方向に撓み変形して下段側のコネクタハウジング22のスライド移動が許容される。そして、下段側のコネクタハウジング22が上段側のコネクタハウジング21に対して連結位置までスライドすると、一対の位置ロック凹部38bに一対の位置ロック凸部38aが係合してこれ以上のスライドが阻止される。又、連結位置において、各前側凹部34bに各前側凸部34aが係合すると共に、一対の係合アーム35bが元の位置に弾性復帰変形して一対の係合孔35cに一対の後側凸部35aが係合する。これにより双方のコネクタハウジング21、22が合体される。
【0038】
双方のコネクタハウジング21、22は、スライド移動に際して連結位置で位置ロック手段38によってスライド方向Sの位置決めがなされ、且つ、双方のコネクタハウジング21、22間は前側ロック手段34と後側ロック手段35とによって前側と後側が結合されるため、適正な連結位置で強固に結合される。特に、この実施形態では、入口より奥の幅の方が広い前側凹部34bに、先端より根元の幅が狭い前側凸部34aが嵌まり込んで係合するため、合体後のガタを有効に防止できる。
【0039】
上記スライド移動過程にあって、上段側のコネクタハウジング21の仕切壁24上を下段側のコネクタハウジング22の仕切壁33が移動する。ここで、仮に双方の仕切壁24、33がその延設方向Tの直交方向Uに対して位置ずれし下段側のコネクタハウジング22の仕切壁33が圧接端子26に接触しても圧接端子26が端子収容室23の内側に撓むことがあっても外側に折曲することがない。そして、下段側のコネクタハウジング22の仕切壁33の先端面が圧接端子26に干渉することなく上段側のコネクタハウジング21の仕切壁24の先端面に対して徐々に略当接状態に重なり合い、連結位置では双方の仕切り壁24、33が完全に重なり合う位置に位置される。以上より、連結作業に際して隣接する圧接端子26間のショート事故を防止できる。
【0040】
又、上記スライド移動に際して、連結位置の少し手前位置から前側ロック手段34の前側凸部34aが前側凹部34bに係合を開始し、又、後側ロック手段35の係合アーム35bが後側凸部35aに当接して撓み変形を開始するため、最もスライド力が必要であるスライド開始時点ではあまり負荷がなくスライド作業がスムーズにできる。
【0041】
更に、上記スライド移動に際して、後側凸部35aと係合アーム35bとの両方がテーパ面37であるため、双方のコネクタハウジング21、22間でスライド方向に直交する方向に位置ずれがあってもテーパ面37が案内面となって位置ずれを補正し、又、後側凸部35aと係合アーム35bとが両方のテーパ面37を介して当接するため、後側凸部35aからの押圧力の方向が係合アーム35bを撓み変形しやすい方向に作用し、以上よりスムーズなスライド移動が可能である。
【0042】
尚、前記実施形態によれば、上段側のコネクタハウジング21を固定し、下段側のコネクタハウジング22をスライドさせたが、逆に下段側のコネクタハウジング22を固定し、上段側のコネクタハウジング21をスライドさせても良く、又、双方のコネクタハウジング21、22を共にスライドさせても良い。
【0043】
尚、前記実施形態によれば、後側凸部35aと係合アーム35bとの両方にテーパ面37を構成したが、いずれか一方にのみテーパ面37を構成しても良い。但し、前記実施形態のように、後側凸部35aと係合アーム35bとの両方にテーパ面37を構成した方が延設方向Tの直交方向Uに対する大きな位置ずれに対応できる。
【0044】
尚、前記実施形態において、前側ロック手段34の前側凸部34aと前側凹部34bとが設けられるコネクタハウジングが逆であっても良く、又、後側ロック手段35の後側凸部35aと係合アーム35bとが設けられるコネクタハウジングが逆であっても良く、又、位置ロック手段38の位置ロック凸部38aと位置ロック凹部38bとが設けられるコネクタハウジングが逆であっても良い。但し、スライド移動の大きな負荷にならないように位置や大きさ等を考慮する。
【0045】
尚、前記実施形態によれば、合体コネクタ20が上段側と下段側の2段のコネクタハウジング21、22にて構成された場合を示したが、3段又は4段以上のコネクタハウジングにて構成された場合にも本発明を適用できることはもちろんである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、一方のコネクタハウジングに対して他方のコネクタハウジングを、仕切壁の延びる方向を延設方向とすると、この延設方向に沿ってスライド自在に構成し、このスライド移動によって前記一方のコネクタハウジングの仕切壁上を他方のコネクタハウジングの仕切壁が移動して双方のコネクタハウジングが連結位置に位置されるよう構成したので、他方のコネクタハウジングを一方のコネクタハウジングにスライド移動すると、一方のコネクタハウジングの仕切壁上を他方のコネクタハウジングの仕切壁が移動するため、仮に双方の仕切壁がその延設方向の直交方向に対して位置ずれし他方のコネクタハウジングの仕切壁が端子に接触しても端子が外側に折曲することがなく、連結作業に際して隣接する端子間のショート事故を防止できる。
【0047】
また、請求項1の発明によれば、前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとには、スライド方向の前端側とスライド方向の後端側との2か所に双方のコネクタハウジングの連結位置でそれぞれ係合し、且つ、双方のコネクタハウジング間を結合させる前側ロック手段と後側ロック手段とを設けると共に、双方のコネクタハウジングの連結位置で係合し、双方のコネクタハウジング間のスライド方向の位置決めを行う位置ロック手段を設けたので、双方のコネクタハウジングは、スライド移動に際して連結位置で位置ロック手段によって位置決めされ、且つ、前側ロック手段と後側ロック手段とによって前側と後側が結合されるため、適正な連結位置で強固に結合される。
【0048】
また、請求項1の発明によれば、前記前側ロック手段は、前記一方のコネクタハウジングの連結面に設けられ、且つ、スライド方向に延設された前側凸部と、前記他方のコネクタハウジングの連結面に設けられ、且つ、スライド先端面に一端が開口し、前記前側凸部が係合する前側凹部とから構成し、前記後側ロック手段は、前記一方のコネクタハウジングに設けられ、且つ、スライド移動の際には下記する係合アームにしか当接しない位置に配置された後側凸部と、前記他方のコネクタハウジングに設けられ、前記他方のコネクタハウジングのスライド移動過程で前記後側凸部に当接されると撓み変形して前記後側凸部のスライドを許容し、連結位置までスライドすると元の位置に弾性復帰変形して前記後側凸部が係合する前記係合孔を有する係合アームとから構成したので、スライド移動に際して連結位置の少し手前位置から前側ロック手段の前側凸部が前側凹部に係合を開始し、又、後側ロック手段の係合アームが後側凸部に当接して撓み変形を開始するため、最もスライド力が必要であるスライド開始時点ではあまり負荷がなくスライド作業がスムーズにできる。
【0049】
請求項2の発明によれば、請求項1記載の合体コネクタであって、前記係合アームのスライド進入側と前記後側凸部のスライド進入側との少なくともいずれか一方をテーパ面として構成したので、請求項1の発明の効果に加え、後側凸部と係合アームとの少なくとも一方がテーパ面であるため、双方のコネクタハウジング間でスライド方向に直交する方向に位置ずれがあってもテーパ面が案内面となって位置ずれを補正し、又、後側凸部と係合アームとが少なくとも一方のテーパ面を介して当接するため、後側凸部からの押圧力の方向が係合アームを撓み変形しやすい方向に作用し、以上よりスムーズなスライド移動が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る合体コネクタの合体前を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る下段側のコネクタハウジングの下面側から見た斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る下段側のコネクタハウジングの上面側の一部斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る下段側のコネクタハウジングの上面側の一部斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る合体コネクタの連結作業の一過程を示す側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る合体コネクタの合体後を示す側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る合体コネクタの合体後を示す正面図である。
【図8】従来例の合体コネクタの合体前の状態を示す斜視図である。
【図9】従来例の上段側のコネクタハウジングの要部を底面側から見た拡大斜視図である。
【図10】従来例の下段側のコネクタハウジングの要部を平面側から見た拡大斜視図である。
【図11】従来例の仕切壁が圧接端子に接触した状態を示す要部断面図である。
【図12】従来例の仕切壁の押圧によって圧接端子が変形した状態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
20 合体コネクタ
21 上段側のコネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
21a 下面(連結面)
22 下段側のコネクタハウジング(他方のコネクタハウジング)
22a 上面(連結面)
23 端子収容室
24 仕切壁
26 圧接端子(端子)
33 仕切壁
34 前側ロック手段
34a 前側凸部
34b 前側凹部
35 後側ロック手段
35a 後側凸部
35b 係合アーム
35c 係合孔
36 スライド先端面
37 テーパ面
38 位置ロック手段
38a 位置ロック凸部
38b 位置ロック凹部
T 延設方向
S スライド方向
Claims (2)
- 一方のコネクタハウジングと他方のコネクタハウジングとが、双方のコネクタハウジングの相対向すると共に積層される連結面を互いに突き合わせた状態で連結され、前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとのいずれか一方に、端子を収容する各端子収容室を仕切る複数の仕切壁を設け、他方にこの複数の仕切壁に対向する位置に同じく複数の仕切壁を設け、双方のコネクタハウジングの連結位置では双方の仕切壁の先端面同士が略当接される合体コネクタにおいて、
前記一方のコネクタハウジングに対して前記他方のコネクタハウジングを、前記仕切壁の延びる方向を延設方向とすると、この延設方向に沿ってスライド自在に構成し、このスライド移動によって前記一方のコネクタハウジングの前記仕切壁上を前記他方のコネクタハウジングの仕切壁が移動して双方のコネクタハウジングが連結位置に位置されるよう構成し、
前記一方のコネクタハウジングと前記他方のコネクタハウジングとには、スライド方向の前端側とスライド方向の後端側との2か所に双方のコネクタハウジングの連結位置でそれぞれ係合し、且つ、双方のコネクタハウジング間を結合させる前側ロック手段と後側ロック手段とを設けると共に、双方のコネクタハウジングの連結位置で係合し、双方のコネクタハウジング間のスライド方向の位置決めを行う位置ロック手段を設け、
前記前側ロック手段は、前記一方のコネクタハウジングの連結面に設けられ、且つ、スライド方向に延設された前側凸部と、前記他方のコネクタハウジングの連結面に設けられ、且つ、スライド先端面に一端が開口し、前記前側凸部が係合する前側凹部とから構成し、
前記後側ロック手段は、前記一方のコネクタハウジングに設けられ、且つ、スライド移動の際には下記する係合アームにしか当接しない位置に配置された後側凸部と、前記他方のコネクタハウジングに設けられ、前記他方のコネクタハウジングのスライド移動過程で前記後側凸部に当接されると撓み変形して前記後側凸部のスライドを許容し、連結位置までスライドすると元の位置に弾性復帰変形して前記後側凸部が係合する前記係合孔を有する係合アームとから構成したことを特徴とする合体コネクタ。 - 請求項1記載の合体コネクタであって、
前記係合アームのスライド進入側と前記後側凸部のスライド進入側との少なくともいずれか一方をテーパ面として構成したことを特徴とする合体コネクタ。
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