JP3617979B2 - ディスク装置用ガスケット、これを有する蓋体、筐体、及びディスク装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録方式、光記録方式、光磁気記録方式等に使用されるディスク装置、及びこれに用いられる蓋体、筐体及びこの蓋体と筐体間を封止するためのガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ディスク装置の筐体と、筐体上を覆うための蓋体との間には、これら筐体と蓋体間の空気の出入りを遮断して封止するためのガスケットが挟まれている。
【0003】
このガスケットとしては、弾性を有する材料を用いて形成され、筐体の蓋体側の枠表面形状に応じた枠形状の成形体が使用されている。
【0004】
このガスケット材料として、例えばフッ素系樹脂、及びEPDM等の炭化水素系弾性体材料を用いることができる。
【0005】
フッ素系樹脂は、材料自体の特性から、環境中からの不純物ガスの表面吸着汚染が少なく、水蒸気遮蔽能力、耐薬品、及び耐候性が良好であり、また、成型温度が高いため、不純物ガス成分の少ない成形部品を作成することが可能であるなどの利点を有する。
【0006】
しかしながら、高温での成形を余儀なくされ、また金型の寿命が低く、コストが高いこと、材料流動性が低く、成形性が悪いため、複雑または微細な形状の成形が困難であること、比重が大きい等の不利点があった。
【0007】
一方、EPDMは、水分の遮蔽能力は、フッ素系樹脂にやや劣るが、低コストで、成形性が良く、低い成形温度で、複雑または微細な形状の成形が可能であること比重の面でフッ素系樹脂より優位であるため、よく使用されている。
【0008】
しかしながら、EPDMは、シロキサン系のガスによる吸着汚染を受けやすい性質を持つという不利点を有する。このため、生産及び保管環境中に存在するシロキサン系ガスは、EPDM原材料、及び成形後のEPDM製品等に容易に吸着する。このようなEPDM製品をディスク装置の部品として使用すると、装置内部にアウトガス成分としてシロキサン系ガスが放出される。放出されたシロキサン系ガスは、例えば装置内の不所望な場所例えばヘッドのリードライト素子及びディスク媒体表面間、およびその周辺等に堆積し、ヘッドと摺動し、ヘッドの浮上姿勢を変動させる等の障害を引き起こし、ディスク装置の信頼性を低下させていた。
【0009】
さらに、EPDM等の炭化水素系弾性体材料を用いたガスケットには、硬さ調整のために炭化水素系のオイルが添加され、このオイルは、ガスケット洗浄、ディスク装置の清掃時に使用する洗浄剤や有機溶剤により抽出され、ガスケット周辺に残渣として残留しやすいという不利点があった。この残渣は、磁気ディスク装置の組み立て環境や、治具、周辺装置を転写汚染し、各種部品の機能障害を発生する可能性がある。
【0010】
このようなことから、例えば特開2000−344987号には、フッ素ゴムと非フッ素ゴム例えばシリコンゴムとアクリルゴムの混合物をガスケットに使用することが提案されている。しかしながら、この混合物は、多量のシロキサン系有機ガス成分を不純物として含有し、またアクリルゴムは環境からのシロキサンによる吸着汚染を受けやすいことから、アウトガスの発生及びオイルの抽出を十分に防ぐことができなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の不利点を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、安価で軽量かつ複雑な形状に成形可能であって、シロキサン系のガスによる吸着、かつ炭化水素系オイルの残渣が発生しないガスケットを得ることにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、安価で軽量かつ複雑な形状に成形可能であって、シロキサン系のガスによる吸着、かつ炭化水素系オイルの残渣が発生しないガスケットを使用することにより、信頼性の高いディスク装置を得ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むことを特徴とするディスク装置用ガスケットを提供する。
【0014】
本発明は、第2に、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する組成物を用いた成形体を含むディスク装置用ガスケットが設けられたことを特徴とするディスク装置用蓋体を提供する。
【0015】
本発明は、第3に、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むディスク装置用ガスケットが設けられたことを特徴とするディスク装置用筐体を提供する。
【0016】
本発明は、第4に、筐体と、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むディスク装置用ガスケットと、蓋体とを具備することを特徴とするディスク装置を提供する。
【0017】
本発明は、第5に、
筐体と、
該筐体内に収容された、ディスク媒体、該ディスク媒体を支持及び回転駆動する駆動機構、該ディスク媒体に対して情報の再生を行うため素子を有するヘッド、及び該ヘッドを前記ディスク媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、
該筐体を覆う蓋体と、
該筐体と蓋体間に設けられ、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むガスケットとを具備することを特徴とするディスク装置を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のディスク装置用ガスケットは、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する組成物を用いて得られた成形体を含む。
【0019】
本発明のディスク装置用ガスケットでは、この成形体を単独で、あるいは例えば金属等の剛性フレームの少なくとも一表面上に形成して使用することができる。
【0020】
本発明によれば、上述の組成物を用いて成形を行うと、得られた成形体では、表面エネルギーの低いフッ素系樹脂成分が、炭化水素系有機弾性体材料表面に偏析する。この様子を表す模式図を図1に示す。
【0021】
図示するように、フッ素系樹脂成分21が、炭化水素系有機弾性体材料23表面に染み出して、その表面を覆うため、シロキサン系ガス成分22によるガスケットの吸着汚染、およびゴム洗浄、清掃時に使用する洗浄剤や溶媒に対するガスケットの耐候性が向上される。
【0022】
特に、シロキサン系ガス成分に関しては、成形後、組み立て前に、保管環境からの微量な吸着汚染を防止できるため、ディスク装置内に封入されるシロキサン成分を、微量かつ安定に制御することが可能となる。
【0023】
このように、本発明によれば、シロキサン系ガスによる吸着、かつ炭化水素系オイルの残渣を発生することなく、安価で軽量かつ複雑な形状に成形可能なディスク装置用ガスケットが得られる。
【0024】
また、本発明のディスク装置用蓋体は、蓋体本体と、蓋体本体裏面に設けられた上記ディスク装置用ガスケットとを有する。
【0025】
さらに、本発明のディスク装置用筐体は、筐体本体と、筐体の外枠表面すなわち蓋体と接する表面上に設けられた上記ディスク装置用ガスケットとを有する。
【0026】
また、本発明のディスク装置は、ディスク装置用筐体と、ディスク装置用蓋体と、これらの間に挟まれて配置されたディスク装置用ガスケットとを有する。
【0027】
さらにまた、本発明の好ましいディスク装置は、筐体と、
筐体内に収容された、ディスク媒体、ディスク媒体を支持及び回転駆動する駆動機構、ディスク媒体に対して情報の再生を行うため素子を有するヘッド、及びヘッドをディスク媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、
筐体を覆う蓋体と、
該筐体と蓋体間に設けられた上記ガスケットとを有する。
【0028】
本発明に用いられる炭化水素系有機弾性体材料としては、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)、エチレンプロピレンジエン三元共重合体(EPDM)とブチルゴムの混合物、及びエチレンプロピレン共重合体(EPM)等があげられる。
【0029】
本発明に使用されるフッ素系樹脂は、100℃におけるその蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaの範囲である。100℃における蒸気圧が1.3×10−8Pa未満であると、フッ素樹脂による弾性体材料表面の保護膜形成が不十分となり、十分な吸着防止効果や耐洗浄効果、あるいは耐薬品効果が得られなくなる。また、100℃における蒸気圧が1.3kPaを超える場合、蒸散が激しく、製造、加工が困難であり、かつフッ素樹脂を弾性体中に保持し難くなるため、上述の効果を長期間維持できない。
【0030】
また、炭化水素系有機弾性体材料の100重量部に対するフッ素系樹脂の添加量は、好ましくは0.005ないし1重量部である。フッ素系樹脂の添加量が0.005重量部未満であると、十分な吸着防止効果や耐洗浄効果、あるいは耐薬品効果が持続的に確保できない傾向がある。また、フッ素系樹脂の添加量が1重量部を超えると、フッ素系樹脂の偏析等の影響で成形性が低下する傾向がある。さらに好ましくは、フッ素系樹脂の添加量は0.005ないし0.5重量部である。
【0031】
本発明に使用されるフッ素系樹脂は、無官能基のものより、水酸基、アミノ基、カルボキシルキシル基、及びメルカプト基等の官能基を有するものが、分散性が良好となることから好ましい。フッ素系樹脂材料が炭化水素系有機弾性体材料内に細かい単位で均質に分散すると、炭化水素系有機弾性体材料本来の弾性、機械的強度及び耐熱性を損なうことなく、シロキサン系ガス成分の吸着をおさえ、かつ、耐候性に優れた成形体を得ることができる。
【0032】
本発明に使用されるフッ素系樹脂としては、例えば水酸基含有ポリフルオロアルキル(HO−FC)、水酸基含有ポリフルオロエーテル(HO−FCO)、無官能基ポリフルオロエーテル(FCO)、無官能基ポリフルオロアルキル(FC)、カルボキシル基含有ポリフルオロエーテル(HOOC−FCO)、メルカプト基含有ポリフルオロアルキル(HS−FC)、エポキシ基含有ポリフルオロアルキル(EPOX−FC),CnF2n+1−(CH2OCH2CHCH2O)等があげられる。
【0033】
本発明のディスク装置用ガスケットに用いられる成形体は、さらに、炭化水素系のオイルを含み得る。このようなオイルとして、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系オイル等があげられる。
【0034】
また、この成形体は、例えば酸化防止剤(BHT等)、補強剤、充填剤(CaCO3、酸化マグネシウム等)、架橋促進剤(ステアリン酸等)、脱泡剤(酸化カルシウム等)、加流助剤(トリアシルシアヌレート)等の添加剤を含み得る。
【0035】
以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【0036】
図2は、本発明に係るディスク装置用ガスケットの一例を表す正面図、図3は図2の縦断面図である。
【0037】
図示するように、このガスケット1は、適用される筐体の外枠表面の形状及び蓋体の形状に応じて、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する組成物を用いて成形された枠形状を有する成形体からなる。
【0038】
図4に、本発明に係るディスク装置用ガスケットの他の一例を表す縦断面図を示す。
【0039】
このガスケット4は、正面から見た枠形状は図2と同様であるが、図示するように、例えばステンレス鋼等の金属からなる同様の枠形状を有する剛性フレーム2と、その両面に、各々炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaである組成物を用いて成形された成形体3とを有する。
【0040】
図5に、本発明に係る蓋体の一例の裏面を表す図を示す。
【0041】
図示するように、この蓋体128は、蓋体本体と、蓋体本体の裏面に設けられ、この蓋体の形状と、この蓋体が適用され得る筐体の外枠の表面形状に応じて成形された枠形状のガスケット1とを有する。
【0042】
図6は、本発明に係る筐体を表す図を示す。図示するように、この筐体129は、筐体本体と、その外枠上表面に、その表面形状に応じて成形された枠形状のガスケット1とを有する。
【0043】
図7は、本発明に係るディスク装置の一例を一部分解した斜視図を示す。
【0044】
本発明のディスク装置は、ディスク装置用筐体129と、これを覆うための蓋体128と、その間に挟まれた、蓋体128が適用され得る筐体129の外枠の表面形状に応じて成形された枠形状のガスケット1とを有する。筐体129内には、以下の各部材が収容されている。
【0045】
図7に示す構成を有し、情報を記録するための剛構成のディスク121はスピンドル122に装着されており、図示しないスピンドルモータによって一定回転数で回転駆動される。ディスク121にアクセスして情報の再生を行うヘッドを搭載したスライダー123は、薄板状の板ばねからなるサスペンション124の先端に取付けられている。サスペンション124は図示しない駆動コイルを保持するボビン部等を有するアーム125の一端側に接続されている。
【0046】
アーム125の他端側には、リニアモータの一種であるボイスコイルモータ126が設けられている。ボイスコイルモータ126は、アーム125のボビン部に巻き上げられた図示しない駆動コイルと、それを挟み込むようにして配置された永久磁石および対向ヨークにより構成される磁気回路とから構成されている。
【0047】
アーム125は、固定軸127の上下2カ所に設けられた図示しないボールベアリングによって保持され、ボイスコイルモータ126によって回転対向揺動駆動される。すなわち、ディスク121上におけるスライダー123の位置は、ボイスコイルモータ126によって制御される。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0049】
実施例1ないし6
エチレンプロピレンゴム(EPR)100重量部、炭酸カルシウム50重量部、プロセスオイル10重量部、有機過酸化物架橋材(ジクミルペルオキシド)3重量部、添加物(酸化カルシウム)3重量部をニーダーストックブレンダーオープンロールを用いて混合し、未架橋混合物を得た。得られた混合物を、ペレット成型機に投入し、ペレット成型機により直径5mm長さ約5mmのペレットを作成して、原料ペレットとした。
【0050】
得られた原料ペレット総重量に対し、水酸基含有ポリフルオロアルキルC8F17C2H4OH(100℃における蒸気圧が25Pa)を、0.005部、0.01部、0.05部、0.1部、0.5部、1部をそれぞれ添加して混練した。得られた混練物をそれぞれ再度ペレット成型機に投入し、直径3mm、長さおよそ2mmのペレットを作成した。なお、比較として原料ペレットを使用した。
【0051】
なお、混練方法としては、例えばオープンロール、バンバリーミキサー、及びニーダー等を用いることができる。上述の例のように、フッ素系樹脂は、プロセスオイルより後の工程で投入することが望ましい。
【0052】
これらペレットを、2.5インチ型ディスクドライブ用トップカバー一体型のカバーシールの成形機に投入して、成形を行い、各々、カバーシール付きトップカバーを得た。得られたカバーシール付きトップカバーに、各々、120℃で4時間のガス抜きのためのべーキングを施した。
【0053】
これらのカバーシールをそれぞれ一部分解し、カバーシール表面を、アルミニウムKα線を用いたX線光電子分光分析装置で、ClsピークのCF結合/CC結合のピーク比を測定し、カバーシール表面に、フッ素系の有機物が偏析しているかどうかを確認した。得られた結果を下記表1に示す。
【0054】
さらに、カバーシールを、冷凍粉砕装置を用いて、−30μm程度の粒子に粉砕した後、フッ素系有機溶剤であるC4F9OCH3(住友スリーエム:ノベックHFE−7100)を用いて抽出し、抽出液を蒸発させて得られた残渣物を、液体クロマトグラフィーを用いて分析した。その結果を下記表1に示す。
【0055】
また、120℃×4時間のダイナミックヘッドスペースサンプリング法を用いてシロキサン系ガスのアウトガスの加熱脱着を行ない、GC/MS分析装置を用いて測定した。その結果を、下記表1に示す。
【0056】
シロキサン系ガス暴露試験
また、得られた各カバーシールを、およそ0.5ng/Lの環状シロキサ4量体(Cyclotetrasiloxane,octamethyl−)を含む高濃度のシロキサン環境に、常温で10日間暴露した。この後、カバーシールを取りだし、120℃×4時間のダイナミックヘッドスペース分析法(IDEMA STANDARDS No.11−99)を用いて加熱脱着を行ない、シールゴムに含まれる環状シロキサン4量体(シクロテトラシロキサン、オクタメチル基)をGC/MS分析装置を用いて測定した。その結果を下記表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1から明らかなように、添加したフッ素系樹脂のほとんどが、カバーシール表面に偏析していた。
【0059】
また、成形初期のカバーシール中のシロキサン系ガス含有量は、0.5ng以下と微量であった。
【0060】
さらに、暴露試験後、比較例では、シロキサン系ガスが7.5ng検出され、成形初期に比べて増加したのに対し、実施例1ないし6のカバーシールでは若干の増加はみられるものの、検出量は1ng以下と微量であった。
【0061】
実施例7
EPR100部、炭酸カルシウム30部、プロセスオイル5部、有機過酸化物架橋剤(ジクミルペルオキシド)5重量部、添加物(ステアリン酸)2重量部、及び酸化防止剤(ブチレーテドハイドルキシトルエン(BHT))3重量部を、ニーダー及びオープンロールを用いて混合した未架橋混合物を、ペレット成形機に投入し、直径3mm長さ約5mmのペレットを作成して、原料ペレットとした。
【0062】
得られた原料ペレット総重量に対し、水酸基含有ポリフルオロエーテル(アウジモント社製Fonblin Z DOL−2000(100℃における蒸気圧が0.26Pa))を、0.005部添加し、実施例7の成型原材料とした。
【0063】
また、得られた原料ペレット総重量に対し、カルボキシル基含有ポリフルオロエーテル(アウジモント社製Fonblin Z DIACID−2000(100℃における蒸気圧が0.26Pa))を、0.005部添加し、実施例8の成型原材料とした。
【0064】
これら原料を混練後、再度ペレット成型機により直径2mm、長さ約2mmのペレットを作成した。
【0065】
これらペレットを、2.5インチ型ディスクドライブ用トップカバー一体型のカバーシールの成型機に投入し、成形を行い、各々、カバーシール付きトップカバーを得た。得られたカバーシール付きトップカバーに、各々、120℃で4時間のガス抜きのためのべーキングを施した。
【0066】
なお、原料ペレットを比較として使用した。
【0067】
有機溶剤に対する耐候性試験
カバーシールに約1mlのヘキサンを約1cmの長さのシールゴムに均等に滴下し、そのまま1時間放置し、自然乾燥させた後、さらに、100℃のホットプレート上で30分の乾燥を行ない、残渣を確認した。
【0068】
その結果、比較例では、カバーシール近傍のトップカバー面に、幅5mm程度の液状の残渣が観察された。得られた残渣を顕微赤外分光分析装置(FT−IR)を用いて分析を行なった結果、同付着物は、プロセスオイルと同等のスペクトルが得られ、プロセスオイルの染み出しであることが確認された。一方、実施例7および8のカバーシールについて、残渣は観察されなかった。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、安価で軽量かつ複雑な形状に成形可能であって、シロキサン系のガスによる吸着、かつ炭化水素系オイルの残渣が発生しないガスケットが得られる。また、本発明のガスケットを使用することにより、信頼性の高いディスク装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フッ素系樹脂成分が、炭化水素系有機弾性体材料表面に偏析する様子を表す模式図
【図2】本発明に係るディスク装置用ガスケットの一例を表す正面図
【図3】図2の縦断面図
【図4】本発明に係るディスク装置用ガスケットの他の一例を表す縦断面図
【図5】本発明に係る蓋体の一例の裏面を表す図
【図6】本発明に係る筐体を表す図
【図7】本発明に係るディスク装置の一例を一部分解した斜視図
【符号の説明】
1,4…ガスケット、2…剛性フレーム、3…成形体、51,52…コイル、123…スライダー、124…サスペンション、125…アーム、126…ボイスコイルモータ、127…固定軸、128…蓋体、129…筐体
Claims (7)
- 炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むことを特徴とするディスク装置用ガスケット。
- 剛性フレームをさらに含み、前記成形体は、該剛性フレーム上に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置用ガスケット。
- 炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する組成物を用いた成形体を含むディスク装置用ガスケットが設けられたことを特徴とするディスク装置用蓋体。
- 炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むディスク装置用ガスケットが設けられたことを特徴とするディスク装置用筐体。
- ディスク媒体と、該ディスク媒体に対して情報の再生を行うための素子を有するヘッドがさらに収容された請求項4に記載のディスク装置用筐体。
- 筐体と、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むディスク装置用ガスケットと、蓋体とを具備することを特徴とするディスク装置。
- 筐体と、
該筐体内に収容された、ディスク媒体、該ディスク媒体を支持及び回転駆動する駆動機構、該ディスク媒体に対して情報の再生を行うため素子を有するヘッド、及び該ヘッドを前記ディスク媒体に対して移動自在に支持したキャリッジアッセンブリと、
該筐体を覆う蓋体と、
該筐体と蓋体間に設けられ、炭化水素系有機弾性体材料、及び100℃における蒸気圧が1.3×10−8Paないし1.3kPaであるフッ素系樹脂を含有する成形体を含むガスケットとを具備することを特徴とするディスク装置。
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