JP3617897B2 - 乾式止水ガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乾式止水ガスケットに関する。より詳しくは、建築物の開口部サッシと外壁パネル間の目地空間をシールする乾式止水ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の矩形状の開口部サッシとその外周に施工された外壁パネルとの間に形成される同じく矩形状に延びる目地空間には、湿式のシーリング材を充填して目地を塞いで止水効果を高めるといった、湿式工法が採用されていて、従来、乾式のガスケットは採用されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、湿式のシーリング材を充填する方法は、横目地及び縦目地の全体にむらなくシーリング材を流し込む必要があるため施工作業が煩雑で、多くの作業時間を要する。さらに、流し込まれたシーリング材が乾燥するまでの養生期間が必要である。また、耐候性,耐久性の点で品質が劣り、施工作業,及び品質そのものも天候に左右されるという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、上記問題を解決するものであり、その目的とするところは、施工時間の短縮化を図るとともに十分な止水効果を安定して得ることのできる乾式止水ガスケットを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の乾式止水ガスケットは、開口部サッシと、その外周に施工された外壁パネルとの間に形成される目地空間に沿って挿入されるとともに、開口部サッシ側の内側側面部が開口部サッシに固着され、外壁パネルの施工により、前記内側側面部に略垂直方向に押圧される中空シール部と,および、中空シール部から外壁パネル側に突出するように一体成形され、外壁パネルの施工時に先端部が外壁パネルの側端部に当接するシールリップ部と,を備え、前記シールリップ部が中空シール部の室内側でしかも内側側面部の室内側端部よりも室内側に位置するように形成され、前記外壁パネルの施工時に、前記シールリップ部に前記外壁パネルの側面部が始めに当たり、前記中空シール部全体を室内側にズレ変形を起こさせ、前記シールリップ部と前記中空シール部の2点でシールしたことを特徴とする。
【0006】
また請求項2に記載の乾式止水ガスケットは、開口部サッシと、その外周に施工された外壁パネルとの間に形成される目地空間のうち上部横目地および左右縦目地に沿って挿入されるとともに、前記開口部サッシ側の内側側面部が開口部サッシに固着され、前記外壁パネルの施工により、前記内側側面部に略垂直方向に押圧される中空シール部と,および、該中空シール部から外壁パネル側に突出するように一体成形され、前記外壁パネルの施工時に先端部が外壁パネルの側端部に当接するシールリップ部と,を備え、前記シールリップ部が中空シール部の室内側でしかも内側側面部の室内側端部よりも室内側に位置するように形成され、前記外壁パネルの施工時に、前記シールリップ部に前記外壁パネルの側面部が始めに当たり、前記中空シール部全体を室内側にズレ変形を起こさせ、前記シールリップ部と前記中空シール部の2点でシールしたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の乾式止水ガスケットは、中空シール部とシールリップ部とから構成され、中空シール部は開口部サッシ側の内側側面部が開口部サッシに固着されるとともに外壁パネルの施工により押圧され、シールリップ部は外壁パネルの施工時に先端部が外壁パネルの側端部に当接するようになっているので、乾式止水ガスケットであっても十分な止水効果が得られる。このような、乾式止水ガスケットは目地空間に挿入するだけでよいので、従来の湿式のシーリング材と比較して取り付けが簡単で施工時間の短縮化が図れる。
また、シールリップ部が外壁パネル側に突出していることによって目地幅のバラツキを吸収することができる。
【0010】
また請求項2に記載の乾式止水ガスケットによれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、下部横目地には水切りパネルなどを設けることによって浸入した水を外部に排出することができる。
【0011】
更に請求項1又は2に記載の乾式止水ガスケットによれば、シールリップ部が中空シール部の室内側に設けられているので、外壁パネルの施工により押圧された中空シール部と外壁パネルの側端部との間から万が一水が浸入してもシールリップ部によって左右あるいは下部に導かれ室内に浸入することが防止される。
【0012】
また、内側側面部の室内側端部よりもシールリップ部が室内側にあるため、例えば図4に示すように、外壁パネルの施工により矢印Fの方向に十分な押圧力が働くとシールリップ部に初めに当たり、この結果、中空シール部全体は室内側にズレ変形をおこす。これにより、シールリップ部と中空シール部とが略ハの字状となり2点シールの状態となってシール力を高める。よって、中空シール部側のシール性に仮りに問題があってもシールリップ部で補助する構成となっている。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5を参照して、本発明の実施形態に係る乾式止水ガスケット10について説明する。図1は本実施形態に係る乾式止水ガスケット10の拡大断面図,図2は目地空間mに乾式止水ガスケット10が挿入された状態を示す正面図,図3は図2のA−A線拡大断面図,図4は図3の部分拡大断面図,および図5は図2のX部拡大正面図である。
【0014】
本発明の実施形態に係る乾式止水ガスケット10は、中空シール部11と中空シール部11に一体成形されたシールリップ部12とからなる環状のガスケットである。
中空シール部11は、建築物に取り付けられる例えば矩形状の開口部サッシ1と、その外周に施工された外壁パネル2との間に形成され同じく矩形状に延びる目地空間mに沿って挿入されるものであり、開口部サッシ1側の内側側面部11aが平面状にされ開口部サッシ1に固着されている。また、中空シール部11の断面形状は略U字形からなる曲面部11bの開口部を平面状の内側側面部11aで塞いだものである。そして、中空シール部11は、その固着後に外壁パネル2の施工により図4に示す矢印Fの方向に十分押圧されることにより止水効果がより高められるようになっている。すなわち、十分な押圧が得られるところで外壁パネル2が固定されるようになっている。
なお、開口部サッシ1に対する乾式止水ガスケット10の固着は、平面状の内側側面部11aがブチルテープ3を介して開口部サッシ1に貼着されることによって行われているので、取り付けが簡単で特に工具や治具等を必要としない。
【0015】
シールリップ部12は、ゴム様弾性体からなる水返しリップで、中空シール部11の曲面部11b外側から外壁パネル2側に向けて略水平に突出して延びるように中空シール部11とともに押出成形により一体的に成形されたものである。このシールリップ部12は、中空シール部11の室内側に設けられたものであり、外壁パネル2の施工時にその先端部12aが外壁パネル2の側端部2aに当接してその側端部2aと曲面部11bとの間から万が一浸入した水を導き室内側に浸水することを防止する役割を果たす。すなわち、上部の横目地から左右の縦目地に導水し下部の横目地に取り付けられた乾式止水ガスケット10の下部に設けられた水切りパネル4から外部に水を排出するようになっている。
また、シールリップ部12が外壁パネル2側に延びていることによって目地幅のバラツキを吸収することができる。
【0016】
更に、シールリップ部12の曲面部11b外側の成形位置は、内側側面部11aの室内側端部よりも室内側に位置するように形成されている。これによれば、図4に示すように、外壁パネル2の施工により矢印Fの方向に十分な押圧力が働くとシールリップ部12に初めに当たり、この結果、中空シール部11全体は室内側にズレ変形をおこす。そして、シールリップ部12と中空シール部11とが略ハの字状となり2点シールの状態となってシール力を高める。よって、中空シール部11側のシール性に仮りに問題があってもシールリップ部12で補助する構成となっている。
その上、本実施形態例では内側側面部11aの室内側端部に交わる曲面部11bのつけ根部に凹部13が形成され、シールリップ部12の位置はこの凹部13の位置よりも室内側に設けられているので、上述のように図4に示す押圧力Fが働くと凹部13が中空シール部11のズレ変形を一層助ける作用をする。よって、一層、シール力が高められる。
【0017】
なお、下部の横目地には乾式止水ガスケット10を取り付けることなく、すなわち、上部の横目地および左右縦目地にだけに沿うように形成した乾式止水ガスケット10を取り付け、下部の横目地に相当する開口部サッシ1の底面に水切りパネル4だけを設けるようにしてもよい。
また、開口部サッシ1の形状は本実施形態例では矩形状であるが、例えば円形状や馬蹄形状などであってもよく、その形状は特に限定されるものではない。
【0018】
乾式止水ガスケット10のコーナー部は、乾式止水ガスケット10の納まりが複雑なので、図5に示すように型成形されたコーナー部材15を接着剤等で接合するようになっている。なお、これにかえて図6に示すようにガスケット端部を略45度に斜めに切断し、突き付け接合するようにしてもよい。このように各辺を一連一体にすることにより止水効果を十分発揮させようとするものである。
【0019】
【発明の効果】
以上のとおり、請求項1に記載の乾式止水ガスケットによれば、中空シール部とそれに一体成形されたシールリップ部とによって、乾式止水ガスケットであっても十分な止水効果を安定して得ることができる。このような、乾式止水ガスケットは目地空間に挿入するだけでよいので、特に工具や治具等を使用することなく取り付けができるなど従来の湿式のシーリング材と比較して取り付けが簡単で施工時間の短縮化が図れる。また、蛇行や浮き沈みすることなく直進性に優れるため外観上の見栄えもよい。更に乾式止水ガスケットは中空シール部とシールリップ部からなる単純なものであるので安価に生産することができる。
また、シールリップ部が外壁パネル側に突出していることによって目地幅のバラツキを吸収することができる。
また乾式止水ガスケットをサッシに工場にて先付けする事により現場での作業工数の低減が出来る。
【0020】
また請求項2に記載の乾式止水ガスケットによれば、請求項1の記載の発明の作用効果に加えて、下部横目地には水切りパネルなどを設けることによって浸入した水を外部に排出することができる。
【0021】
更に請求項1又は2に記載の乾式止水ガスケットによれば、シールリップ部が中空シール部の室内側に設けられているので、外壁パネルの施工により押圧された中空シール部と外壁パネルの側端部との間から万が一水が浸入してもシールリップ部によって左右あるいは下部に導かれ室内に浸入することが防止される。
【0022】
また、外壁パネルの施工により十分な押圧力がシールリップ部に働くとシールリップ部と中空シール部との変形によりシール力が高まるので、中空シール部側のシール性に仮りに問題があってもシールリップ部で補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る乾式止水ガスケット10の拡大断面図である。
【図2】本実施形態に係る乾式止水ガスケット10が目地空間mに挿入された状態を示す正面図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図3の部分拡大断面図である。
【図5】図2のX部拡大正面図である。
【図6】他の実施形態に係る図2のX部拡大正面図である。
【符号の説明】
1 開口部サッシ
2 外壁パネル
2a 側端部
3 ブチルテープ
4 水切りパネル
10 乾式止水ガスケット
11 中空シール部
11a 内側側面部
11b 曲面部
12 シールリップ部
12a 先端部
13 凹部
15 コーナー部材
m 目地空間
Claims (2)
- 開口部サッシと、その外周に施工された外壁パネルとの間に形成される目地空間に沿って挿入されるとともに、前記開口部サッシ側の内側側面部が開口部サッシに固着され、前記外壁パネルの施工により、前記内側側面部に略垂直方向に押圧される中空シール部と,および、該中空シール部から外壁パネル側に突出するように一体成形され、前記外壁パネルの施工時に先端部が外壁パネルの側端部に当接するシールリップ部と,を備え、前記シールリップ部が中空シール部の室内側でしかも内側側面部の室内側端部よりも室内側に位置するように形成され、前記外壁パネルの施工時に、前記シールリップ部に前記外壁パネルの側面部が始めに当たり、前記中空シール部全体を室内側にズレ変形を起こさせ、前記シールリップ部と前記中空シール部の2点でシールしたことを特徴とする乾式止水ガスケット。
- 開口部サッシと、その外周に施工された外壁パネルとの間に形成される目地空間のうち上部横目地および左右縦目地に沿って挿入されるとともに、前記開口部サッシ側の内側側面部が開口部サッシに固着され、前記外壁パネルの施工により、前記内側側面部に略垂直方向に押圧される中空シール部と,および、該中空シール部から外壁パネル側に突出するように一体成形され、前記外壁パネルの施工時に先端部が外壁パネルの側端部に当接するシールリップ部と,を備え、前記シールリップ部が中空シール部の室内側でしかも内側側面部の室内側端部よりも室内側に位置するように形成され、前記外壁パネルの施工時に、前記シールリップ部に前記外壁パネルの側面部が始めに当たり、前記中空シール部全体を室内側にズレ変形を起こさせ、前記シールリップ部と前記中空シール部の2点でシールした特徴とする乾式止水ガスケット。
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JP3321597A JP3617897B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 乾式止水ガスケット |
Applications Claiming Priority (1)
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JP3321597A JP3617897B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 乾式止水ガスケット |
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JPH10220111A JPH10220111A (ja) | 1998-08-18 |
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Family Applications (1)
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JP3321597A Expired - Fee Related JP3617897B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 乾式止水ガスケット |
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JP6474203B2 (ja) * | 2014-05-14 | 2019-02-27 | 西川ゴム工業株式会社 | シール構造 |
-
1997
- 1997-01-31 JP JP3321597A patent/JP3617897B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10220111A (ja) | 1998-08-18 |
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