JP3612669B1 - 非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 集電性が高く、また活物質の脱落が防止され、充放電を繰り返しても活物質の集電性が確保され、サイクル寿命が向上し、且つエネルギー密度の高い非水電解液二次電池用負極を提供すること。
【解決手段】 本発明の非水電解液二次電池用負極は、表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む少なくとも一層の活物質層とを備えていることを特徴とする。集電用表面層を構成する材料は、活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層が電気的に導通しており、電極全体が一体として集電機能を有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、非水電解液二次電池用負極に関し、更に詳しくは集電性が高く、またリチウムイオンの吸脱蔵に起因する活物質の脱落が防止されサイクル寿命が向上し、更にエネルギー密度の高い非水電解液二次電池を得ることができる負極に関する。また本発明は、該負極の製造方法及び該負極を用いた非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の負極活物質には一般にグラファイトが使用されている。現在では、グラファイトの5〜10倍の容量ポテンシャルを有しているSn系合金やSi系合金の開発が活発になされている。例えば、銅箔などの導電性金属箔を集電体とし、ケイ素やケイ素合金を含む活物質粒子と、銅や銅合金などの導電性金属粉末との混合物を、集電体の表面上で非酸化性雰囲気下に焼結して得られるリチウム二次電池用負極が提案されている(特許文献1参照)。
特開2002−260637号公報
しかしこの負極においては、活物質粒子が電解液にさらされていることから、リチウムイオンの吸脱蔵による活物質の粒子の膨張収縮に起因して該活物質粒子の脱落が起こりやすく、電池のサイクル寿命が低下しやすい。またこの負極における集電体は、10〜100μmといった比較的厚いものなので、負極全体に占める活物質の割合が低くそれに起因してエネルギー密度を高めることが容易でない。
従って本発明は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、活物質の層を、集電体としても機能する2つの表面層で挟むことによって、リチウムの吸脱蔵に起因する活物質の脱落が防止されると共に集電機能を維持しつつ電極全体に占める活物質の占める割合が高められることを知見した。
本発明は前記知見に基づきなされたもので、表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む少なくとも一層の活物質層とを備え
前記集電用表面層に、該表面層の厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されており、
前記集電用表面層を構成する材料が前記活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層が電気的に導通しており、電極全体が一体として集電機能を有しており、
厚さ方向の中央部に、心材としての導電性金属箔層を備えていないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む少なくとも一層の活物質層とを備え、
前記集電用表面層はその厚みが0.3〜10μmであると共に該表面層に該表面層の厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されており、
前記集電用表面層を構成する材料が前記活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層が電気的に導通しており、電極全体が一体として集電機能を有していることを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。

また本発明は前記負極の好ましい製造方法として、キャリア箔の一面に薄い剥離層を形成し、その上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして一方の集電用表面層を形成し、該集電用表面層の上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成し、該活物質層の上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして他方の集電用表面層を形成し、然る後、前記キャリア箔を前記一方の集電用表面層から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法を提供するものである。
また本発明は前記負極の好ましい製造方法の別法として、表面に多数の陽イオン交換基を有するキャリア樹脂を金属イオン含有液で処理して該陽イオン交換基の金属塩を生成さ せ、該金属塩を還元してキャリア樹脂の前記表面に触媒核となる前記金属の被膜を形成し、該被膜上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして一方の集電用表面層を形成し、該集電用表面層の上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成し、該活物質層の上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして他方の集電用表面層を形成し、然る後、前記キャリア樹脂を剥離又は溶解により前記一方の集電用表面層から分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法を提供するものである。
更に本発明は、前記負極を備えることを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
本発明の非水電解液二次電池用負極は、活物質が電極の表面に露出しておらず集電用表面層の内部に包埋されているので、電気的に孤立した活物質が存在することが効果的に防止され、十分な集電性を得ることができる。また、表面層によって活物質の脱落が防止され、また充放電を繰り返しても活物質の集電性が確保される。更にこの負極を用いた二次電池は充放電を繰り返しても劣化率が低くサイクル寿命が大幅に長くなり、充放電効率も高くなる。特に、心材としての導電性金属箔層、つまり従来の負極に用いられていた集電体を用いない場合には、従来の負極よりも負極全体に占める活物質の割合を高くすることができる。その結果、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度の高い二次電池を得ることができる。
以下、本発明の非水電解液二次電池用負極をその好ましい実施形態に基づき説明する。先ず第1の実施形態について説明する。本実施形態の負極は、活物質の粒子を含む活物質層と、該層の各面にそれぞれ配された一対の集電用表面層とを備えている。
集電用表面層は、本実施形態の電極における集電機能を担っている。また表面層は、活物質層に含まれる活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することによる該活物質の膨張収縮に起因して脱落することを防止するためにも用いられている。表面層は、非水電解液二次電池の集電体となり得る金属から構成されている。特にリチウム二次電池の集電体となり得る金属から構成されていることが好ましい。そのような金属としては例えば、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が挙げられる。具体的には銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。これらの金属のうち銅及びニッケル或いはそれらの合金を用いることが特に好適である。2つの表面層は、その構成材料が同じであってもよく、或いは異なっていてもよい。「リチウム化合物の形成能が低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
各表面層は、従来の電極に用いられている集電体よりもその厚みが薄いものである。具体的には0.3〜10μm程度、特に1〜5μm程度の薄層であることが好ましい。これによって、負極全体に占める活物質の割合が相対的に高くなり、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度を高めることができる。従来の負極では、負極全体に占める集電体の割合が高かったので、エネルギー密度を高めることに限界があった。前記範囲の薄い表面層は、後述するように電解めっきによって形成されることが好ましい。なお2つの表面層はその厚みが同じでもよく、或いは異なっていてもよい。
2つの表面層は、それらの表面が本実施形態の電極における最外面をなしている。本実施形態の負極が電池に組み込まれた場合、2つの表面層の表面は電解液と接する面となり電極反応に関与する。これとは対照的に、従来の負極における集電体は、その両面に活物 質層が形成されている場合には電解液と接することはなく電極反応に関与せず、また片面に活物質層が形成されている場合であっても一方の面しか電解液と接しない。つまり本実施形態の負極では、従来の負極で用いられていた集電体、即ち負極の厚さ方向中央部に配されている心材としての導電性金属箔層が存在せず、負極の最外面に位置する層、即ち表面層が電極反応に関与すると共に集電機能を、更には活物質の脱落を防止する機能を兼ねている。
2つの表面層は何れも集電機能を有しているので、本実施形態の負極を電池に組み込んだ場合には、何れの表面層にも電流取り出し用のリード線を接続することができるという利点がある。
各集電用表面層には、該表面層の厚さ方向へ延びる微細空隙が多数形成されている。微細空隙は曲折しながら延びている。多数の微細空隙のうちの一部は、表面層の厚さ方向へ延び活物質層にまで達している。微細空隙が形成されていることで、非水電解液が活物質層へ十分に浸透することができ、活物質の粒子との反応が十分に起こる。微細空隙は、表面層を断面観察した場合にその幅が約0.1μmから約10μm程度の微細なものである。微細であるものの、微細空隙は非水電解液の浸透が可能な程度の幅を有している。尤も非水電解液は水系の電解液に比べて表面張力が小さいことから、微細空隙の幅が小さくても十分に浸透が可能である。微細空隙は、後述する種々の方法で形成することが可能である。
表面層を電子顕微鏡観察により平面視したときの微細空隙の開孔面積は、平均して0.1〜100μm2、特に1〜30μm2程度であることが、非水電解液の十分な浸透を確保しつつ、活物質層の脱落を効果的に防止し得る点から好ましい。また同様の理由により、表面層を電子顕微鏡観察により平面視したときに、どのような観察視野をとっても、100μm×100μmの正方形の視野範囲内に1〜30個、特に3〜10個の微細空隙が存在していることが好ましい(この値を分布率という)。更に同様の理由により、表面層を電子顕微鏡観察により平面視したときに、観察視野の面積に対する微細空隙の開孔面積の総和の割合(この割合を開孔率という)が0.1〜10%、特に1〜5%であることが好ましい。
2つの表面層によって挟まれている活物質層は、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含んでいる。該活物質としては、例えばシリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料が挙げられる。活物質層は2つの表面層によって被覆されているので、活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することに起因して脱落することが効果的に防止される。
活物質の粒子はその最大粒径が好ましくは50μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。また粒子の粒径をD50値で表すと0.1〜8μm、特に1〜5μmであることが好ましい。最大粒径が50μm超であると、粒子の脱落が起こりやすくなり、電極の寿命が短くなる場合がある。粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、下限値は0.01μm程度である。粒子の粒径は、マイクロトラック、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。
負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質の量は負極全体に対して好ましくは5〜80重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%、一層好ましくは20〜50重量%である。
活物質層の厚みは、負極全体に対する活物質の量の割合や活物質の粒径に応じて適宜調 節することができ、本実施形態においては特に臨界的なものではない。一般には1〜100μm、特に3〜40μm程度である。活物質層は、後述するように、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布することによって形成されることが好ましい。
表面層及び活物質層を含む負極全体の厚みは2〜50μm、特に10〜50μm程度であることが好ましい。
活物質層においては、集電用表面層を構成する材料が活物質層の厚み方向全域に亘って浸透していることが好ましい。そして浸透した該材料中に活物質の粒子が存在していることが好ましい。つまり活物質の粒子は電極の表面に露出しておらず表面層の内部に包埋されていることが好ましい。これによって、活物質層と表面層との密着性が強固なものとなり、活物質の脱落が一層防止される。また活物質層中に浸透した前記材料を通じて表面層と活物質との間に電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質が生成すること、特に活物質層の深部に電気的に孤立した活物質が生成することが効果的に防止され、集電機能が保たれる。その結果、負極としての機能低下が抑えられる。更に負極の長寿命化も図られる。このことは、活物質として半導体であり電気導電性の乏しい材料、例えばシリコン系材料を用いる場合に特に有利である。集電用表面層を構成する材料は、活物質層をその厚み方向に貫いており、両表面層とつながっていることが好ましい。それによって2つの表面層は前記材料を通じて電気的に導通することになり、負極全体としての電子伝導性が一層高くなる。つまり本実施形態の負極は、負極全体が一体として集電機能を有する。集電用表面層を構成する材料が活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層どうしがつながっていることは、該材料を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。集電用表面層を構成する材料を、活物質層中に浸透させるための好ましい方法は後述する。
活物質層における活物質の粒子の間は、表面層の構成材料で完全に満たされているのではなく、該粒子間に空隙が存在していることが好ましい(この空隙は、集電用表面層に形成された微細空隙とは異なるものであることに留意すべきである)。この空隙の存在によって、活物質の粒子がリチウムを吸脱蔵して膨張収縮することに起因する応力が緩和される。この観点から、活物質層における空隙の割合は5〜30体積%程度、特に5〜9体積%程度であることが好ましい。空隙の割合は、電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。後述するように活物質層は活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布し乾燥させることによって形成されることから、活物質層には自ずと空隙が形成される。従って空隙の割合を前記範囲にするためには、例えば活物質の粒子の粒径、導電性スラリーの組成、スラリーの塗布条件を適切に選択すればよい。またスラリーを塗布乾燥して活物質層を形成した後、適切な条件下でプレス加工して空隙の割合を調整してもよい。
活物質層中には活物質の粒子に加えて導電性炭素材料が含まれていることが好ましい。これによって負極に電子伝導性が一層付与される。この観点から活物質層中に含まれる導電性炭素材料の量は0.1〜20重量%、特に1〜10重量%であることが好ましい。導電性炭素材料としては例えばアセチレンブラックやグラファイトなどの粒子が用いられる。これらの粒子の粒径は40μm以下、特に20μm以下であることが、電子伝導性の一層付与の点から好ましい。該粒子の粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、その下限値は0.01μm程度となる。
次に活物質の詳細について説明する。活物質として先に述べたシリコン系材料やスズ系材料が用いられる場合、該シリコン系材料又はスズ系材料の粒子としては、例えばイ)シリコン単体又はスズ単体の粒子、ロ)少なくともシリコン又はスズと炭素との混合粒子、ハ)シリコン又はスズと金属との混合粒子、ニ)シリコン又はスズと金属との化合物粒子、ホ)シリコン又はスズと金属との化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子、ヘ)シリコ ン単体又はスズ単体の粒子の表面に金属が被覆されてなる粒子などが挙げられる。ロ)、ハ)、ニ)、ホ)及びヘ)の粒子を用いると、イ)のシリコン単体又はスズ単体の粒子を用いる場合に比べて、リチウムの吸脱蔵に起因するシリコン系材料の微粉化が一層抑制されるという利点がある。また半導体であり電気導電性の乏しいシリコンに電子導電性を付与できるという利点がある。
特に、シリコン系粒子又はスズ系粒子がロ)の少なくともシリコン又はスズと炭素との混合粒子からなる場合には、サイクル寿命が向上すると共に負極容量が増加する。この理由は次の通りである。炭素、特に非水電解液二次電池用負極に用いられているグラファイトは、リチウムの吸脱蔵に寄与し、300mAh/g程度の負極容量を有し、しかもリチウム吸蔵時の体積膨張が非常に小さいという特徴を持つ。一方、シリコンは、グラファイトの10倍以上である4200mAh/g程度の負極容量を有するという特徴を持つ。反面シリコンは、リチウム吸蔵時の体積膨張がグラファイトの約4倍に達する。そこで、シリコン又はスズとグラファイトのような炭素とを所定の比率でメカニカルミリング法などを用い混合・粉砕して、粒径が約0.1〜1μmの均質に混合された粉末とすると、リチウム吸蔵時のシリコン又はスズの体積膨張がグラファイトによって緩和されて、サイクル寿命が向上し、また1000〜3000mAh/g程度の負極容量が得られる。シリコン又はスズと炭素との混合比率は、シリコン又はスズの量が10〜90重量%、特に30〜70重量%、とりわけ30〜50重量%であることが好ましい。一方、炭素の量は90〜10重量%、特に70〜30重量%、とりわけ70〜50重量%であることが好ましい。組成がこの範囲内であれば、電池の高容量化及び負極の長寿命化を図ることができる。なお、この混合粒子においては、シリコンカーバイドなどの化合物は形成されていない。
シリコン系粒子又はスズ系粒子がロ)の粒子からなる場合、該粒子は、シリコン又はスズ及び炭素に加えて他の金属元素を含む、3種以上の元素の混合粒子であってもよい。金属元素としてはCu、Ag、Li、Ni、Co、Fe、Cr、Zn、B、Al、Ge、Sn、In、V、Ti、Y、Zr、Nb、Ta、W、La、Ce、Pr、Pd及びNdからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる(以下これらの元素を総称して添加金属という)。
シリコン系粒子又はスズ系粒子が、ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子である場合、該混合粒子に含まれる金属としては、前述した添加金属の1種又は2種以上が挙げられる。これらの添加金属のうち、Cu、Ag、Ni、Co、Ceが好ましく、特に電子伝導性に優れ且つリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Ag、Niを用いることが望ましい。また添加金属としてLiを用いると、活物質中に予め金属リチウムが含まれることになり、不可逆容量の低減、充放電効率の向上、及び体積変化率の低減によるサイクル寿命向上等の利点が生ずるので好ましい。ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子においては、シリコン又はスズの量が30〜99.9重量%、特に50〜95重量%、とりわけ85〜95重量%であることが好ましい。一方、添加金属の量は0.1〜70重量%、特に5〜50重量%、とりわけ5〜15重量%であることが好ましい。組成がこの範囲内であれば、電池の高容量化及び負極の長寿命化を図ることができる。
ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子は例えば次に述べる方法で製造することができる。先ず、シリコン粒子又はスズ粒子及び添加金属の金属粒子を混合し、粉砕機によってこれらの粒子の混合及び粉砕を同時に行う。粉砕機としてはアトライター、ジェットミル、サイクロンミル、ペイントシェイカ、ファインミルなどを用いることができる。粉砕前のこれらの粒子の粒径は20〜500μm程度であることが好ましい。粉砕機による混合及び粉砕によってシリコン又はスズと添加金属とが均一に混ざり合った粒子が得られる。粉砕機の運転条件を適切にコントロールすることで得られる粒子の粒径を例えば40μm以下となす。これによってハ)の混合粒子が得られる。
シリコン系粒子又はスズ系粒子が、ニ)のシリコン又はスズと金属との化合物粒子である場合、該化合物は、シリコン又はスズと金属との合金を含み、1)シリコン又はスズと金属との固溶体、2)シリコン又はスズと金属との金属間化合物、或いは3)シリコン単相若しくはスズ単層、金属単相、シリコン若しくはスズと金属との固溶体、シリコン若しくはスズと金属との金属間化合物のうちの二相以上の相からなる複合体の何れかである。前記金属としては、ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子に含まれる添加金属と同様のものを用いることができる。ニ)の化合物粒子におけるシリコン又はスズと金属との組成は、ハ)の混合粒子と同様にシリコン又はスズの量が30〜99.9重量%で、金属の量が0.1〜70重量%であることが好ましい。更に好ましい組成は、化合物粒子の製造方法に応じて適切な範囲が選択される。例えば該化合物が、シリコン又はスズと金属との二元系合金であり、該合金を後述する急冷法を用いて製造する場合、シリコン又はスズの量は40〜90重量%であることが望ましい。一方、添加金属の量は10〜60重量%であることが好ましい。
前記化合物がシリコン又はスズと金属との三元系以上の合金である場合には、先に述べた二元系合金に更にB、Al、Ni、Co、Sn、Fe、Cr、Zn、In、V、Y、Zr、Nb、Ta、W、La、Ce、Pr、Pd及びNdからなる群から選択される元素が少量含まれていてもよい。これによって、微粉化が抑制されるという付加的な効果が奏される。この効果を一層高めるため、これらの元素はシリコン又はスズと金属との合金中に0.01〜10重量%、特に0.05〜1.0重量%含まれていることが好ましい。
ニ)のシリコン又はスズと金属との化合物粒子が合金粒子である場合、該合金粒子は、例えば以下に説明する急冷法によって製造されることが、合金の結晶子が微細なサイズとなり且つ均質分散されることにより、微粉化が抑制され、電子伝導性が保持される点から好ましい。この急冷法においては、先ずシリコン又はスズと、添加金属とを含む原料の溶湯を準備する。原料は高周波溶解によって溶湯となす。溶湯におけるシリコン又はスズと添加金属との割合は前述した範囲とする。溶湯の温度は1200〜1500℃、特に1300〜1450℃とすることが急冷条件との関係で好ましい。鋳型鋳造法を用いてこの溶湯から合金を得る。即ち、該溶湯を銅製又は鉄製の鋳型に流し込んで、急冷されたシリコン系合金又はスズ系合金のインゴットを得る。このインゴットを粉砕し篩い分けして、例えば粒径40μm以下のものを本発明に供する。
この鋳型鋳造法に代えてロール鋳造法を用いることもできる。即ち、溶湯を高速回転する銅製のロールにおける周面に対して射出する。ロールの回転速度は、溶湯を急冷させる観点から回転数500〜4000rpm、特に1000〜 2000rpmとすることが好ましい。ロールの回転速度を周速で表す場合には、8〜70m/sec、特に15〜30m/secであることが好ましい。前述の範囲の温度の溶湯を、前述範囲の速度で回転するロールを用いて急冷することで、冷却速度は102K/sec以上、特に103K/sec以上という高速になる。射出された溶湯はロールにおいて急冷されて薄体となる。この薄体を粉砕、篩い分けして例えば粒径40μm以下のものを本発明に供する。この急冷法に代えて、ガスアトマイズ法を用い、1200〜1500℃の溶湯に、アルゴンなどの不活性ガスを5〜100atmの圧力で吹き付けて微粒化及び急冷して所望の粒子を得ることもできる。更に別法として、アーク溶解法やメカニカルミリングを用いることもできる。
活物質の粒子が、ホ)のシリコン又はスズと金属との化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子である場合、該化合物粒子としては、先に述べたニ)の化合物粒子と同様の粒子を用いることができる。一方、金属の粒子としては、先に述べたハ)の混合粒子に用いられる金属の粒子と同様のものを用いることができる。化合物粒子に含まれる金属元素と、金 属の粒子を構成する金属元素とは同種でも異種でもよい。特に、化合物粒子に含まれる金属元素がニッケル、銅、銀又は鉄であり、金属の粒子を構成する金属元素がニッケル、銅、銀又は鉄であると、活物質層中にこれらの金属のネットワーク構造が形成されやすくなる。その結果、電子伝導性の向上、活物質粒子の膨張収縮による脱落の防止等という有利な効果が奏されるので好ましい。この観点から、化合物粒子に含まれる金属元素と金属の粒子を構成する金属元素とは同種であることが好ましい。ホ)の活物質粒子は、先に述べたニ)の化合物粒子の製造方法と同様の方法によって先ず化合物粒子を得て、この化合物粒子と金属の粒子とを、先に述べたハ)の混合粒子の製造方法に従い混合することで得られる。化合物粒子中におけるシリコン又はスズと金属との割合は、先に述べたニ)の化合物粒子中における両者の割合と同様とすることができる。また化合物粒子と金属の粒子との割合は、先に述べたハ)の混合粒子におけるシリコン又はスズの粒子と金属の粒子との割合と同様とすることができる。これら以外でホ)の活物質粒子に関して特に説明しない点については、先に述べたハ)の混合粒子又はニ)の化合物粒子に関して詳述した説明が適宜適用される。
シリコン系粒子又はスズ系粒子が、ヘ)のシリコン単体又はスズ単体の粒子の表面に金属が被覆されてなる粒子(この粒子を金属被覆粒子という)である場合、被覆金属としては、先に述べたハ)やニ)の粒子に含まれる添加金属、例えば銅などと同様のものが用いられる(但しLiを除く)。金属被覆粒子におけるシリコン又はスズの量は70〜99.9重量%、特に80〜99重量%、とりわけ85〜95であることが好ましい。一方、銅を始めとする被覆金属の量は0.1〜30重量%、特に1〜20重量%、とりわけ5〜15重量%であることが好ましい。金属被覆粒子は例えば無電解めっき法を用いて製造される。この無電解めっき法においては、先ずシリコン粒子又はスズ粒子が懸濁されており且つ銅を始めとする被覆金属とを含むめっき浴を用意する。このめっき浴中において、シリコン粒子又はスズ粒子を無電解めっきして該シリコン粒子又はスズ粒子の表面に前記被覆金属を被覆させる。めっき浴中におけるシリコン粒子又はスズ粒子の濃度は400〜600g/l程度とすることが好ましい。前記被覆金属として銅を無電解めっきする場合には、めっき浴中に硫酸銅、ロシェル塩等を含有させておくことが好ましい。この場合硫酸銅の濃度は6〜9g/l、ロシェル塩の濃度は70〜90g/lであることが、めっき速度のコントロールの点から好ましい。同様の理由からめっき浴のpHは12〜13、浴温は20〜30℃であることが好ましい。めっき浴中に含まれる還元剤としては、例えばホルムアルデヒド等が用いられ、その濃度は15〜30cc/l程度とすることができる。
活物質の粒子が前記イ)〜ヘ)のうちのどのような形態である場合においても、活物質の粒子は、含有している酸素の濃度が3重量%以下、特に2重量%以下であることが好ましい。これによって活物質の粒子が酸化されることに起因する劣化が効果的に防止され、負極の長寿命化を図ることができる。この理由から明らかなように、酸素の濃度は低ければ低いほど好ましい。同様の理由により、活物質の粒子は、その最表面におけるシリコン又はスズの濃度が、最表面における酸素の濃度の1/2以上である、とりわけ4/5以上であることが好ましい(但し、前記ヘ)の粒子である場合を除く)。酸素の濃度は、測定対象試料の燃焼を伴うガス分析法によって測定される。酸素濃度の分布はX線光電子分光分析装置(ESCA)やオージェ電子分光分析装置(AES)などを始めとする各種表面状態分析装置によって測定される。
次に本実施形態の負極の好ましい製造方法を、図1を参照しながら説明する。先ず図1(a)に示すようにキャリア箔1を用意する。キャリア箔1の材質に特に制限はない。例えば銅箔を用いることができる。キャリア箔1は、本実施形態の負極を製造するための支持体として用いられるものであることから、製造工程においてヨレ等が生じないような強度を有していることが好ましい。従ってキャリア箔1は、その厚みが10〜50μm程度であることが好ましい。
キャリア箔1は好ましくは電解によって製造される。具体的には、回転ドラムを陰極として用い、銅などの金属イオンを含む電解浴中で電解を行いドラム周面に金属を析出させる。析出した金属をドラム周面から剥離することでキャリア箔1が得られる。
次に図1(b)に示すようにキャリア箔1の一面に薄い剥離層2を形成する。キャリア箔1が電解によって製造されたものである場合、キャリア箔1はその一方の面が平滑な光沢面となっており、他方の面が凹凸のあるマット面となっている。光沢面はドラム周面に対向していた面であり、マット面は析出面である。本製造方法においては光沢面およびマット面のどちらに剥離層2を形成してもよい。剥離層2の形成には、例えば特開平11−317574号公報の段落〔0037〕〜〔0038〕に記載の窒素含有化合物や硫黄含有化合物、特開2001−140090号公報の段落〔0020〕〜〔0023〕に記載の窒素含有化合物や硫黄含有化合物と銅微細粒との混合物などが挙げられる。また、クロメート処理やニッケルめっき処理を行って剥離層を形成してもよい。
剥離層2が形成されたら、図1(c)に示すように剥離層上に、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして一方の表面層3aを形成する。電解めっきの条件は、後述する他方の表面層3bを形成する場合の条件と同様とすることができる。この電解めっきによって、表面層3a中に先に述べた微細空隙を容易に形成することができる。引き続き、図1(d)に示すように表面層3a上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層4を形成する。導電性スラリーが塗布される表面層3aの表面は析出面、つまりマット面であり、表面の粗度が高くなっている。このような表面状態になっている表面層3aの表面に導電性スラリーを塗布することで、活物質の粒子と表面層3aとの密着性が向上するという利点がある。
スラリーは、活物質の粒子、導電性炭素材料の粒子、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。これらの成分のうち、活物質の粒子及び導電性炭素材料の粒子については先に説明した通りである。結着剤としてはポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子の量は14〜40重量%程度とすることが好ましい。導電性炭素材料の粒子の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。また希釈溶媒の量は60〜85重量%程度とすることが好ましい。
スラリーの塗膜が乾燥して活物質層が形成された後、図1(e)に示すように該活物質層上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして他方の集電用表面層3bを形成する。電解めっきの条件としては、例えば銅を用いる場合、硫酸銅系溶液を用いるときには、銅の濃度を30〜100g/l、硫酸の濃度を50〜200g/l、塩素の濃度を30ppm以下とし、液温を30〜80℃、電流密度を1〜100A/dm2とすればよい。ピロ燐酸銅系溶液を用いる場合には、銅の濃度2〜50g/l、ピロ燐酸カリウムの濃度100〜700g/lとし、液温を30〜60℃、pHを8〜12、電流密度を1〜10A/dm2とすればよい。これらの電解条件を適宜調節することで、表面層3bが形成される。また、表面層3bを構成する材料が活物質層4の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層3a,3bが電気的に導通するようになる。更に、表面層3b中に、先に述べた多数の微細空隙が容易に形成される。図1(e)の要部を拡大して示す模式図である図2(a)にはこの状態が表されている。なお図2(a)中、符号5は活物質の粒子を表し、符号6は導電性炭素材料あるいは導電性金属材料の粒子を表している。符号7は表面層3a,3b中の微細空隙を表し、符号8は活物質層4中の空隙を表している。
電解めっきによって表面層3a,3bに微細空隙7を形成する方法は、後述するプレス加工による微細空隙の形成に比べて外力が加わらない方法なので、表面層3a,3b、ひいては負極が損傷を受けることがないという利点がある。また、微細空隙7の形成に関しては、表面層3aに比べて表面層3bの方がその形成が容易である。この理由は次の通りである。活物質層4は先に述べた通り活物質の粒子を含む層であることから、活物質層4の表面はミクロの凹凸形状となっている。つまりめっきが成長しやすい活性サイトとそうでないサイトとが混在した状態となっている。このような状態の活物質層上に電解めっきを行うと、めっきの成長にムラが生じ、表面層3bの構成材料の粒子が多結晶状に成長していく。結晶の成長が進み、隣り合う結晶がぶつかるとその部分に空隙が形成される。このようにして形成された空隙が多数連なることによって微細空隙7が形成される。この方法によれば微細空隙7はその構造が極めて微細になる。
図1(e)に示すように表面層3bが形成された後に、活物質層4を表面層3a,3bごとプレス加工して表面層3a,3bに微細空隙7を生じさせてもよい。十分な電子伝導性を得る観点から、プレス加工による圧密化は、プレス加工後の活物質層4と表面層3a,3bとの厚みの総和が、プレス加工前の90%以下、好ましくは80%以下となるように行うことが好ましい。プレス加工には、例えばロールプレス機を用いることができる。プレス加工後の活物質層4には、先に述べた通り5〜30体積%の空隙が存在していることが好ましい。この空隙の存在によって、充電時にリチウムを吸蔵して体積が膨張する場合に、その体積膨張に起因する応力が緩和される。このような空隙はプレス加工の条件を前述のようにコントロールすればよい。この空隙の値は、先に述べた通り電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。
本製造方法においては、活物質層4上に表面層3bを形成するに先立ち、活物質層4をプレス加工してもよい(このプレス加工を、先に述べたプレス加工と区別する意味で前プレス加工と呼ぶ)。前プレス加工を行うことで、活物質層4と表面層3aとの剥離が防止され、また後から形成される表面層3bの表面に活物質の粒子が露出することが防止される。その結果、活物質の粒子の脱落に起因する電池のサイクル寿命の劣化を防ぐことができる。前プレス加工の条件としては、前プレス加工後の活物質層4の厚みが、前プレス加工前の活物質層4の厚みの95%以下、特に90%以下となるような条件であることが好ましい。
最後に、図1(f)に示すようにキャリア箔1を表面層3aから剥離分離する。これによって負極10が得られる。図1(f)の要部を拡大して示す模式図である図2(b)にはこの剥離過程が表されている。なお、剥離に際して剥離層2はその厚さや剥離処理剤の種類によってキャリア銅箔1側に残る場合もあれば、表面層3a側に残る場合もある。或いはこれら双方に残る場合もある。何れの場合であっても、剥離層2はその厚みが極めて薄いので、得られる負極の性能に何ら影響はない。
等が挙げられる。
なお図1に示す工程図は模式図であるため、各表面層3a,3bが活物質層4と明確に分離しており、負極10が3層構造であるように表されている。しかし実際には図2に示すように、各表面層3a,3bの構成材料が活物質層4内に浸透して両表面層3a,3bどうしがつながった状態になっていることに留意すべきである。
本製造方法によれば、活物質層の形成操作を1回行うだけで、電極の両面を電極反応に用い得る負極が得られる。従来の負極においては、電極の両面を電極反応に用いるためには、集電体の両面にそれぞれ活物質層を形成する必要があった。つまり活物質層の形成操作を2回行う必要があった。従って、本製造方法によれば負極の製造効率が極めて向上する。
また本製造方法によれば、負極を電池に組み込むまではキャリア箔1を剥離せず、組み込む直前においてキャリア箔1を剥離することで、薄くて皺になりやすくロール搬送が困難な本実施形態の負極を、ハンドリング性良く搬送することができるという利点もある。
このようにして得られた本実施形態の負極は、公知の正極、セパレータ、非水系電解液と共に用いられて非水電解液二次電池となされる。正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、さらに裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の従来公知の正極活物質が用いられる。セパレーターとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン又はポリプロピレン多孔質フイルム等が好ましく用いられる。非水電解液は、リチウム二次電池の場合、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiC1O4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiC1、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示される。
本実施形態の負極の製造方法の別法として次に述べる方法も採用することができる。まず、表面に多数の陽イオン交換基を有するキャリア樹脂を金属イオン含有液で処理して該陽イオン交換基の金属塩を生成させる。陽イオン交換基を有するキャリア樹脂としては、例えばポリイミド樹脂の表面を水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液で処理して、イミド環を開環して多数のカルボキシル基を生成させたものが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は3〜10mol/l程度が適当である。アルカリ水溶液の処理温度は20〜70℃程度で、処理時間は3〜10分程度でよい。アルカリ水溶液で処理されたポリイミド樹脂は酸で中和されることが好ましい。なお、ポリイミド樹脂のアルカリ処理による開環及び金属被膜の形成の詳細は、特開2001−73159号公報に記載されている。
生成した金属塩を還元剤で還元する。還元剤としては水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸及びその塩などが挙げられる。還元によってキャリア樹脂の表面に触媒核となる前記金属の被膜が形成される。次いで該被膜上に電解めっきを行い一方の集電用表面層を形成する。引き続き表面層の上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成する。更に活物質層の更に電解めっきを行い他方の集電用表面層を形成する。然る後、キャリア樹脂を剥離するか又は有機溶剤を用いてキャリア樹脂を溶解して、該キャリア樹脂を一方の集電用表面層から分離する。これによって本実施形態の負極が得られる。なお、本製造方法に関し特に説明しない点については、先に述べた図1に示す製造方法に関する説明が適宜適用される。
本製造方法の更に別法として、次の方法を用いることもできる。この方法を用いると、微細孔が多数形成された表面層3a,3bを有する負極を得ることができる。この微細孔は、微細空隙と相俟って、非水電解液の活物質層への流通を一層確実にするものである。なお、便宜上、以下の説明では、表面層3aを第1の表面層と呼び、表面層3bを第2の表面層と呼ぶ。
先ずキャリア箔の一面に、被覆体を所定の手段によって被覆する。被覆前にキャリア箔に酸洗浄等の前処理を施し、その表面を清浄にしておくことが好ましい。被覆体は、キャリア箔における第1の表面層の形成面の電子伝導性を不均一な状態にすることで、第1の表面層に多数の微細孔を形成するために用いられる。被覆体は、その厚みが0.001〜1μm、特に0.002〜0.5μm、とりわけ0.005〜0.2μmとなるように形成されることが好ましい。この程度の厚みにすることで、被覆体は、キャリア箔の表面を不連続に、例えば島状に被覆することになるからである。被覆体を不連続に形成することは、微細孔を容易に形成する点から有利である。
被覆体は、第1の表面層の構成材料と異質の材料からなる。これによって後述する剥離工程において、キャリア箔から第1の表面層を首尾良く剥離することができる。特に被覆体は、第1の表面層の構成材料と異質の材料であって、且つCu、Ni、Co、Mn、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Ag、Au、C、Al、Si、Ti及びPdのうちの少なくとも1種類の元素を含んで構成されていることが好ましい。
被覆体の形成方法に特に制限はない。例えば、第1の表面層の形成方法との関係で、被覆体の形成方法を選択することができる。具体的には、第1の表面層を電解めっきで形成する場合には、被覆体も電解めっきで形成することが製造効率等の点から好ましい。尤も他の方法、例えば無電解めっき、スパッタリング法、物理気相蒸着法(PVD)、化学気相蒸着法(CVD)、ゾルゲル法又はイオンプレーティング法によって被覆体を形成することも可能である。
電解めっきによって被覆体を形成する場合には、被覆体の構成材料に応じて適切なめっき浴やめっき条件が選択される。例えば被覆体をスズから構成する場合には、めっき浴として以下の組成を有するものや、ほうふっ化スズ浴を用いることができる。このめっき浴を用いる場合の浴温は15〜30℃程度であり、電流密度は0.5〜10A/dm2程度であることが好ましい。
・SnSO4 30〜70g/l
・H2SO4 60〜150g/l
・クレゾールスルホン酸 70〜100g/l
先に述べた通り、被覆体は、キャリア箔における第1の表面層の形成面の電子伝導性を不均一な状態にするために用いられる。従って、被覆体の構成材料の電子伝導性がキャリア箔の電子伝導性と大きく異なれば、被覆体を形成することで、キャリア箔における第1の表面層の形成面の電子伝導性が直ちに不均一な状態になる。例えば被覆体の構成材料としてカーボンを用いるような場合である。一方、被覆体の構成材料として、キャリア箔と同程度の電子伝導性を有する材料、例えばスズ等を始めとする各種金属材料を用いた場合には、被覆体の形成によっては、第1の表面層の形成面の電子伝導性が直ちに不均一な状態とはならない。そこで、そのような材料から被覆体を構成する場合には、被覆体が形成されたキャリア箔を、乾燥状態下に含酸素雰囲気、例えば大気中にさらすことが好ましい。これによって被覆体の表面(及びキャリア箔1の露出面)を酸化させる。この操作によって、第1の表面層の形成面の電子伝導性が不均一な状態になる。この状態下に後述する電解めっきを行うと、被覆体の表面とキャリア箔の露出面とで電析速度に差が生じ、微細孔を容易に形成することができる。酸化の程度は本発明において臨界的ではない。例えば、被覆体が形成されたキャリア箔を大気中に10〜30分程度放置しておけば十分であることが本発明者らの検討によって判明した。尤も被覆体が形成されたキャリア箔を強制的に酸化させることは妨げられない。
被覆体が形成されたキャリア箔を、含酸素雰囲気にさらすときにこれを乾燥状態にする理由は、酸化を効率的に行うためである。例えば電解めっきによって被覆体を形成した場合には、キャリア箔をめっき浴から引き上げた後にドライヤ等を用いてこれを乾燥させ、次いで所定時間大気中に放置すればよい。被覆体の形成方法としてスパッタリング法や各種蒸着法等の乾式法を用いる場合には乾燥操作は不要であり、被覆体の形成後、そのまま大気中に放置しておけばよい。
被覆体を酸化させた後、その上に剥離層を形成する。剥離層の形成については先に述べた通りである。剥離層の形成工程は、あくまでも、後述する剥離工程において、キャリア箔から第1の表面層を首尾良く剥離するために行われるものである。従って、この工程を省いても多数の微細孔を有する第1の表面層を形成することができる。
剥離層上に、第1の表面層の構成材料を電解めっきによって電析させて第1の表面層を形成する。形成された第1の表面層には、微細孔が多数形成されている。めっき浴やめっき条件は、第1の表面層の構成材料に応じて適切に選択される。例えば第1の表面層をNiから構成する場合には、めっき浴として以下の組成を有するワット浴やスルファミン酸浴を用いることができる。ワット浴を用いる場合の浴温は40〜70℃程度であり、電流密度は0.5〜20A/dm2程度であることが好ましい。スルファミン酸浴を用いる場合の浴温は40〜60℃程度であり、電流密度はワット浴の場合と同様とすることができる。
・NiSO4・6H2O 150〜300g/l
・NiCl2・6H2O 30〜60g/l
・H3BO3 30〜40g/l
次に、第1の表面層上に活物質層を形成する。活物質層は、例えば活物質の粒子や導電性材料の粒子を含むペーストを塗布することで形成される。
活物質層上に、炭素質材料の粒子を含む塗工液、例えばペーストなどを塗布する。この塗工液は、第2の表面層に微細孔を形成する目的で塗布される。炭素質材料としては例えばアセチレンブラックなどを用いることができる。炭素質材料はその平均粒径D50(レーザー回折散乱法及び走査型電子顕微鏡観察の併用によって測定)が2〜200nm、特に10〜100nm程度であることが、第2の表面層に微細孔を容易に形成し得る点から好ましい。この塗工液を活物質層上に塗布する厚さは0.001〜1μm、特に0.05〜0.5μm程度であることが好ましい。次いで塗膜上に、第2の表面層の構成材料を電解めっきによって電析させて第2の表面層を形成する。電解めっきの条件は先に述べた第1の表面層のめっき条件と同様とすることができる。形成された第2の表面層は、多数の微細孔を有するものとなる。
第2の表面層を電解めっきで形成する際には、めっき液が活物質層内に浸入して、先に形成されている第1の表面層と活物質層との界面にまで達し、その状態下に電解めっきが行われる。その結果、(イ)活物質層の内部、(ロ)活物質層の外面側(即ちめっき液と接している面側)及び(ハ)活物質層の内面側(即ち第1の表面層と対向している面側)において金属材料が析出する。これにより第2の表面層が形成されると共に第2の表面層を構成する材料が活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して、先に形成されている第1の表面層にまで達する。その一部は第1の表面層の微細孔の一部に進入する。
最後に、先に形成されている第1の表面層をキャリア箔から剥離する。これによって本発明の負極が得られる。
次に、本発明の第2の実施形態について図3を参照しながら説明する。本実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図3において、図1及び図2と同じ部材に同じ符号を付してある。
図3に示すように本実施形態の負極は、厚さ方向の中央部に、芯材としての導電性金属箔層9を備えている。金属箔層9の各面には活物質層4,4がそれぞれ形成されている。更に各活物質層4,4を被覆する集電用表面層3a,3bがそれぞれ形成されている。
各活物質層4,4においては、集電用表面層3a,3bを構成する材料が各活物質層4,4の厚み方向全域に亘ってそれぞれ浸透している。活物質の粒子5は電極の表面に露出しておらず各表面層3a,3bの内部に包埋されている。各表面層3a,3bを構成する 材料は、各活物質層4,4をその厚み方向に貫いており金属箔層9とつながっている。それによって各表面層3a,3bは金属箔層9と電気的に導通することになり、負極全体としての電子伝導性が一層高くなる。つまり本実施形態の負極も第1の実施形態の負極と同様に、負極全体が一体として集電機能を有する。
本実施形態における表面層3a,3b及び活物質層4,4の厚みは第1の実施形態と同様とすることができる。金属箔層9の厚みに関しては、負極全体の厚みを抑えてエネルギー密度を高める観点から、5〜40μm、特に10〜20μmであることが好ましい。同様の観点から、負極全体の厚みは10〜100μm、特に20〜60μmであることが好ましい。
本実施形態の負極の製造方法の概略を説明すると次の通りである。先ず金属箔層9の各面に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層をそれぞれ形成する。金属箔層9は予め製造しておいてもよく、或いは本実施形態の負極の製造工程における一工程としてインラインで製造されてもよい。金属箔層9がインラインで製造される場合、電解析出によって製造されることが好ましい。スラリーの塗膜が乾燥して活物質層が形成された後、該活物質層が形成された金属箔層9を、リチウム化合物の形成能の低い導電性材料を含むめっき浴中に浸漬し、その状態下に活物質層上に該導電性材料による電解めっきを行い表面層3a,3bを形成する。この方法を用いることで、表面層3a,3bに多数の微細空隙を容易に形成することができる。また、表面層3a,3bを構成する導電性材料が活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して、両表面層が金属箔層9と電気的に導通する。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば第1の実施形態においては、集電用表面層を構成する材料が活物質層をその厚み方向に貫いて、両表面層が電気的に導通していたが、各表面層の集電性を十分に確保できる限度において、両表面層は電気的に導通していなくてもよい。第2の実施形態に関しても同様である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1及び2〕
(1)剥離層の形成
厚さ35μmの電解銅箔をキャリア箔として用いた。このキャリア箔を、室温において30秒間酸洗液中で洗浄した。引き続き室温において30秒間純水洗浄した。次いで、40℃に保たれた3g/lのカルボキシベンゾトリアゾール溶液中にキャリア箔を30秒間浸漬して図1(b)に示すように剥離層を形成した。更に、室温において15秒間純水洗浄した。
(2)第1の表面層の形成
以下の浴組成を有するニッケルめっき浴にキャリア箔を浸漬させて電解を行い、図1(c)に示すように、極薄ニッケル箔からなる第1の表面層を形成した。第1の表面層は、キャリア箔における光沢面側に形成された剥離層上に形成した。電流密度は5A/dm2、浴温は50℃とした。陽極にはニッケル電極を用いた。電源は直流電源を使用した。第1の表面層の膜厚は実施例1においては3μm、実施例2においては1μmとした。
ニッケルめっき浴組成
NiSO4・6H2O 250g/L
NiCl2・6H2O 45g/L
3BO3 30g/L
(3)活物質層の形成
第1の表面層の形成後、30秒間純水洗浄を行い、次いで大気中で乾燥させた。次に、第1の表面層上に、活物質の粒子を含むスラリーを塗布して、図1(d)に示すように、膜厚15μmの活物質層を形成した。活物質の粒子として、平均粒径D50が1.5μmであるSi80%−Ni20%の組成を有する合金粉を用いた。スラリーは、活物質の粒子、ニッケル粉、アセチレンブラック及びポリビニリデンフルオライド(以下PVdFという)を含むものであった。スラリー組成は、活物質:ニッケル粉:アセチレンブラック:PVdF=60:34:1:5であった。
(4)第2の表面層の形成
図1(e)に示すように、活物質層上に、極薄ニッケル箔からなる第2の表面層を電解によって形成した。電解の条件は第1の表面層の形成条件と同様とした。但し膜厚が3μmとなるように電解を行った。
(5)電極の剥離
このようにして得られた電極を、図1(f)に示すように、キャリア箔から剥離して本発明の負極とした。実施例1で得られた負極の断面の電子顕微鏡写真を図4に示す。
〔実施例3及び4〕
第1の表面層としての極薄銅箔を電解により形成した。浴組成は以下の通りであった。電流密度は20A/dm2、浴温は40℃とした。陽極には寸法安定化アノードを用いた。電源は直流電源を使用した。第1の表面層の膜厚は実施例3においては3μm、実施例4においては1μmとした。次いで、第1の表面層を防錆処理する目的で、25℃に保たれた1g/lのベンゾトリアゾール溶液によって第1の表面層を10秒間処理した。これら以外は実施例1と同様にして負極を得た。
銅めっき浴組成
CuSO4・5H2O 250g/L
2SO4 70g/L
〔実施例5〕
実施例1で用いたスラリーと同様のスラリーを、厚さ35μmの電解銅箔の各面に、厚さが各々15μmとなるように塗工し、乾燥させて活物質層を形成した。次いで、実施例1と同様の浴組成を有するニッケルめっき浴に浸漬させて電解を行い、図3に示すように極薄ニッケル箔からなる表面層をそれぞれ形成した。電解の条件は実施例1と同様とした。各表面層の膜厚はそれぞれ3μmとした。このようにして図3に示す負極を得た。
〔比較例1〕
グラファイト粉末(平均粒径D50=10μm):アセチレンブラック(平均粒径D50=40nm):PVdF:N−メチルピロリドン=16:2:2:80の混合比(重量比)のスラリーを調製した。厚さ35μmの銅箔の各面にスラリーを塗工し乾燥させて活物質層を形成した。次いで0.5t/cmの圧力でローラープレス加工した。プレス加工後の活物質層の片面の厚さは40μmであった。このようにして負極を得た。
〔比較例2〕
実施例1で用いたスラリーと同様のスラリーを、厚さ35μmの銅箔の各面に、厚さが各々15μmとなるように塗工し、乾燥させて活物質層を形成した。このようにして負極と得た。
〔性能評価〕
実施例及び比較例にて得られた負極を用い、以下の方法で非水電解液二次電池を作製した。この電池の最大負極放電容量、電池容量及び50サイクル時の容量維持率を以下の方法で測定、算出した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔非水電解液二次電池の作製〕
実施例及び比較例で得られた負極を作用極とし、対極としてLiCoO2を用い、両極をセパレーターを介して対向させた。非水電解液としてLiPF6/エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合液(1:1容量比)を用いて通常の方法によって非水電解液二次電池を作製した。
〔最大負極放電容量〕
最大容量が得られたサイクルにおける、活物質重量当たりの放電容量を測定した。単位はmAh/gである。
〔電池容量〕
負極の厚さ及び面積から体積を求め、単位体積当たりの容量を算出した。比較例1の電極を負極として用いた電池の容量を100とし、他の電池の容量を相対表示した。
〔50サイクル時の容量維持率〕
50サイクル目の放電容量を測定し、その値を最大負極放電容量で除し、100を乗じて算出した。
表1に示したように、各実施例で得られた電極を用いた二次電池は、各比較例で得られた電極を用いた二次電池よりも、最大負極放電容量、電池容量及び50サイクル時の容量維持率が高くなることが判る。なお、表には示していないが、電子顕微鏡観察の結果、実施例1〜4の負極では、表面層の構成材料が活物質層の厚み方向の全域に亘って浸透し、両表面層が電気的に導通していることが確認された。実施例5の負極では、表面層の構成材料が活物質層の厚み方向の全域に亘って浸透し、銅箔と電気的に導通していることが確認された。更に実施例1〜5の負極では、表面層に、該表面層の厚さ方向に延びる微細空隙が多数形成されていることを確認した。
図1(a)〜図1(f)は、本発明の負極の製造方法の一例を示す工程図である。 図2(a)及び図2(b)はそれぞれ、図1(e)及び図1(f)の要部を拡大して示す模式図である。 本発明の第2の実施形態の負極の構造を示す模式図である。 実施例1で得られた負極の断面の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 キャリア銅箔
2 剥離層
3a,3b 集電用表面層
4 活物質層
5 活物質の粒子
6 導電性炭素材料および導電性金属材料の粒子
7 微細空隙
8 空隙
9 金属箔層
10 負極

Claims (13)

  1. 表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む少なくとも一層の活物質層とを備え
    前記集電用表面層に、該表面層の厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されており、
    前記集電用表面層を構成する材料が前記活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層が電気的に導通しており、電極全体が一体として集電機能を有しており、
    厚さ方向の中央部に、心材としての導電性金属箔層を備えていないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  2. 表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む少なくとも一層の活物質層とを備え
    前記集電用表面層はその厚みが0.3〜10μmであると共に該表面層に該表面層の厚さ方向へ延び且つ非水電解液の浸透が可能な微細空隙が多数形成されており、
    前記集電用表面層を構成する材料が前記活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層が電気的に導通しており、電極全体が一体として集電機能を有していることを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  3. 前記微細空隙の開孔面積が平均して0.1〜100μm 2 であり、前記集電用表面層を電子顕微鏡観察により平面視したときに、100μm×100μmの正方形の視野範囲内に1〜30個の前記微細空隙が存在している請求項1又は2記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 前記活物質の粒子がシリコン系材料又はスズ系材料の粒子からなる請求項1〜3の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 前記集電用表面層がリチウム化合物の形成能の低い金属材料からなる請求項1〜4の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. 前記活物質層が、前記活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して形成されている請求項1〜5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  7. 前記集電用表面層が、電解めっきによって形成されている請求項1〜6の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  8. 前記集電用表面層を電子顕微鏡観察により平面視したときに、観察視野の面積に対する前記微細空隙の開孔面積の総和の割合が0.1〜10%である請求項1〜7の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  9. 厚さ方向の中央部に、心材としての導電性金属箔層を備えておらず、全体の厚みが2〜50μmである請求項〜8の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  10. 厚さ方向の中央部に、芯材としての導電性金属箔層を備え、該金属箔層の各面に前記活物質層がそれぞれ形成されており、更に各活物質層を被覆する前記集電用表面層がそれぞれ形成されており、全体の厚みが10〜100μmである請求項〜8の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  11. 請求項1記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法であって、
    キャリア箔の一面に薄い剥離層を形成し、その上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして一方の集電用表面層を形成し、該集電用表面層の上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成し、該活物質層の上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして他方の集電用表面層を形成し、然る後、前記キャリア箔を前記一方の集電用表面層から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
  12. 請求項1記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法であって、
    表面に多数の陽イオン交換基を有するキャリア樹脂を金属イオン含有液で処理して該陽イオン交換基の金属塩を生成させ、該金属塩を還元してキャリア樹脂の前記表面に触媒核となる前記金属の被膜を形成し、該被膜上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして一方の集電用表面層を形成し、該集電用表面層の上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成し、該活物質層の上にリチウム化合物の形成能の低い金属材料を電解めっきして他方の集電用表面層を形成し、然る後、前記キャリア樹脂を剥離又は溶解により前記一方の集電用表面層から分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
  13. 請求項1記載の非水電解液二次電池用負極を備えることを特徴とする非水電解液二次電池。
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