JP2005093331A - 非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電の初期段階から充放電容量が高く、また集電性が高く、更に活物質の脱落が防止され、サイクル寿命が向上し、且つエネルギー密度の高い非水電解液二次電池用負極を提供する。
【解決手段】非水電解液二次電池用負極は、電解液と接し且つ導電性を有する表裏一対の面1を含んでいる。前記面間に、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子2を含む活物質層3を備えている。前記面において開孔し且つ前記活物質層と通ずる多数の微細空隙5を有している。少なくとも一方の前記面における微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%である。集電用の厚膜導電体は有していない。
【選択図】 図1
【解決手段】非水電解液二次電池用負極は、電解液と接し且つ導電性を有する表裏一対の面1を含んでいる。前記面間に、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子2を含む活物質層3を備えている。前記面において開孔し且つ前記活物質層と通ずる多数の微細空隙5を有している。少なくとも一方の前記面における微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%である。集電用の厚膜導電体は有していない。
【選択図】 図1
Description
本発明はリチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池用負極に関する。更に詳しくは充放電の初期段階から充放電容量が高く、また集電性が高く、更にリチウムイオンの吸脱蔵に起因する活物質の脱落が防止されサイクル寿命が向上し、その上エネルギー密度の高い非水電解液二次電池を得ることができる負極に関する。また本発明は、該負極の製造方法及び該負極を用いた非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池の負極活物質には一般にグラファイトが使用されている。現在では、グラファイトの5〜10倍の容量ポテンシャルを有しているSn系合金やSi系合金の開発が活発になされている。例えば、銅箔などの導電性金属箔を集電体とし、ケイ素やケイ素合金を含む活物質粒子と、銅や銅合金などの導電性金属粉末との混合物を、集電体の表面上で非酸化性雰囲気下に焼結して得られるリチウム二次電池用負極が提案されている(特許文献1参照)。また、銅箔などの導電性金属箔を集電体とし、その上に電解めっき法でスズ薄膜からなる活物質層を形成し、その上に電解めっき法で銅の薄層を形成したリチウム二次電池用負極も提案されている(特許文献2参照)。
しかし特許文献1記載の負極においては、活物質粒子が電解液にさらされていることから、リチウムイオンの吸脱蔵に起因する活物質の粒子の膨張収縮に起因して該活物質粒子の脱落が起こりやすく、電池のサイクル寿命が低下しやすい。またこの負極における集電体は、10〜100μmといった比較的厚いものなので、負極全体に占める活物質の割合が低くそれに起因してエネルギー密度を高めることが容易でない。特許文献2記載の負極においては、スズ薄膜の活物質層を覆う銅の薄層はその厚みが0.01〜0.2μmと極薄のものであり島状に分布しているので、活物質層の大部分が電解液にさらされている。従って、特許文献1記載の負極と同様に、リチウムイオンの吸脱蔵に起因する活物質の脱落が起こりやすい。
従って本発明は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、電解液と接し且つ導電性を有する表裏一対の面を含み、
前記面間に、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層を備え、
前記面において開孔し且つ前記活物質層と通ずる多数の微細空隙を有し、
少なくとも一方の前記面における前記微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%であり、
集電用の厚膜導電体を有していないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。
前記面間に、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層を備え、
前記面において開孔し且つ前記活物質層と通ずる多数の微細空隙を有し、
少なくとも一方の前記面における前記微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%であり、
集電用の厚膜導電体を有していないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。
また本発明は、キャリア箔上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成し、
該活物質層が形成された該キャリア箔を、金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行い、該活物質層を含む電極を形成し、
然る後、該電極を該キャリア箔から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
を提供するものである。
該活物質層が形成された該キャリア箔を、金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行い、該活物質層を含む電極を形成し、
然る後、該電極を該キャリア箔から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。
を提供するものである。
更に本発明は、前記負極を備えることを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
本発明の非水電解液二次電池用負極では、活物質が電極の表面に露出しておらず電極の内部に包埋されているので、活物質の脱落が防止され、また充放電を繰り返しても活物質の集電性が確保される。また、電気的に孤立した活物質が存在することが効果的に防止され、十分な集電性を得ることができる。この負極を用いた二次電池は、充放電の初期段階から充放電容量が高い。また、充放電を繰り返しても劣化率が低くサイクル寿命が大幅に長くなり、充放電効率も高くなる。その上、心材としての導電性金属箔層、つまり従来の負極に用いられていた集電体を用いないので、従来の負極よりも負極全体に占める活物質の割合を高くすることができる。その結果、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度の高い二次電池用負極を得ることができる。
以下、本発明の非水電解液二次電池用負極をその好ましい実施形態に基づき説明する。図1には、本発明の負極の一実施形態の要部を拡大した模式図が示されている。なお図1においては、負極の一方の面側のみが示されており他方の面側は示されていないが、他方の面側の構造もほぼ同様となっている。
本実施形態の負極10は、非水電解液と接する表裏一対の面である第1の面1及び第2の面(図示せず)を有している。負極10は、両面間にリチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子2を含む活物質層3を備えている。活物質層3は、該層3の各面にそれぞれ形成された一対の集電用表面層(一方の集電用表面層は図示せず)4によって連続的に被覆されている。各表面層4は、第1の面1及び第2の面をそれぞれ含んでいる。また図1から明らかなように負極10は、従来の負極、例えば先に述べた特許文献1及び2に記載の負極に用いられてきた集電体と呼ばれる集電用の厚膜導電体(例えば金属箔)を有していない。
集電用表面層4は、本実施形態の負極2における集電機能を担っている。また表面層4は、活物質層3に含まれる活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することによる該活物質の膨張収縮に起因して脱落することを防止するためにも用いられている。表面層3は、非水電解液二次電池の集電体となり得る金属から構成されている。特にリチウム二次電池の集電体となり得る金属から構成されていることが好ましい。そのような金属としては例えば、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が挙げられる。具体的には銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。これらの金属のうち銅及びニッケル或いはそれらの合金を用いることが特に好適である。電極10の強度を高める観点からはニッケルを用いることが好ましい。2つの表面層は、その構成材料が同じであってもよく、或いは異なっていてもよい。「リチウム化合物の形成能が低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
各表面層4は、従来の電極に用いられている集電用の厚膜導電体よりもその厚みが薄いものである。具体的には0.3〜10μm程度、特に1〜5μm程度の薄層であることが好ましい。これによって、必要最小限の厚みで活物質層3をほぼ万遍なく連続的に被覆することができる。その結果、活物質の粒子2の脱落を防止することができる。またこの程度の薄層とすること、及び集電用の厚膜導電体を有していないことで、負極全体に占める活物質の割合が相対的に高くなり、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度を高めることができる。従来の負極では、負極全体に占める集電用の厚膜導電体の割合が高かったので、エネルギー密度を高めることに限界があった。前記範囲の薄い表面層4は、後述するように電解めっきによって形成されることが好ましい。なお2つの表面層4はその厚みが同じでもよく、或いは異なっていてもよい。
先に述べた通り、2つの表面層4は第の面1及び第2の面をそれぞれ含んでいる。本実施形態の負極10が電池に組み込まれた場合、第1の面及び第2の面は電解液と接する面となり電極反応に関与する。これとは対照的に、従来の負極における集電用の厚膜導電体は、その両面に活物質層が形成されている場合には電解液と接することはなく電極反応に関与せず、また片面に活物質層が形成されている場合であっても一方の面しか電解液と接しない。つまり本実施形態の負極10には、従来の負極で用いられていた集電用の厚膜導電体が存在せず、負極の最外面に位置する層、即ち表面層4が電極反応に関与すると共に集電機能と活物質の脱落を防止する機能とを兼ねている。
第1の面1及び第2の面をそれぞれ含む各表面層4は何れも集電機能を有しているので、本実施形態の負極10を電池に組み込んだ場合には、何れの表面層4にも電流取り出し用のリード線を接続することができるという利点がある。
図1に示すように負極10は、第1の面1及び第2の面において開孔し且つ活物質層3と通ずる多数の微細空隙5を有している。微細空隙5は各集電用表面層4の厚さ方向へ延びるように該表面層4中に存在している。微細空隙5が形成されていることで、非水電解液が活物質層3へ十分に浸透することができ、活物質の粒子2との反応が十分に起こる。微細空隙5は、表面層4を断面観察した場合にその幅が約0.1μmから約10μm程度の微細なものである。微細であるものの、微細空隙5は非水電解液の浸透が可能な程度の幅を有している。尤も非水電解液は水系の電解液に比べて表面張力が小さいことから、微細空隙5の幅が小さくても十分に浸透が可能である。微細空隙5は、好ましくは表面層4を電気めっきで形成する際に同時に形成される。
第1の面1及び第2の面を電子顕微鏡観察により平面視したとき、少なくとも一方の面における微細空隙5の平均開孔面積は、0.1〜50μm2であり、好ましくは0.1〜20μm2、更に好ましくは0.5〜10μm2程度である。この範囲の開孔面積とすることで、非水電解液の十分な浸透を確保しつつ、活物質の粒子2の脱落を効果的に防止することができる。また充放電の初期段階から充放電容量を高めることができる。活物質の粒子2の脱落を一層効果的に防止する観点から、前記の平均開孔面積は、活物質の粒子2の最大断面積の0.1〜50%、特に0.1〜20%であることが好ましい。活物質の粒子2の最大断面積とは、活物質の粒子2の粒径(D50値)を測定し、該粒子2を、D50値の直径を有する球とみなしたときの最大断面積をいう。
第1の面1及び第2の面のうち、平均開孔面積が前記の範囲を満たす面を電子顕微鏡観察により平面視したときに、観察視野の面積に対する微細空隙5の開孔面積の総和の割合(この割合を開孔率という)は、0.1〜20%であり、好ましくは0.5〜10%である。この理由は微細空隙5の開孔面積を前記の範囲内とすることと同様の理由である。更に同様の理由により、第1の面1及び第2の面のうち、平均開孔面積が前記の範囲を満たす面を電子顕微鏡観察により平面視したときに、どのような観察視野をとっても、100μm×100μmの正方形の視野範囲内に1個〜2万個、特に10個〜1千個、とりわけ50個〜500個の微細空隙5が存在していることが好ましい(この値を分布率という)。図2には、本発明の負極の一例の表面を電子顕微鏡観察して撮影した写真が示されている。図2において、黒い小斑点が微細空隙5の開孔である。なお図2は、後述する実施例1に従い製造された負極を観察対象として撮影されたものである。
第1の面1及び第2の面間に位置する活物質層3は、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子2を含んでいる。該活物質としては、例えばシリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料が挙げられる。活物質層3は2つの表面層4によって被覆されているので、活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することに起因して脱落することが効果的に防止される。活物質の粒子2は微細空隙5を通じて電解液と接することができるので、電極反応が妨げられることもない。
活物質の粒子2はその最大粒径が好ましくは50μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。また粒子2の粒径をD50値で表すと0.1〜8μm、特に1〜5μmであることが好ましい。最大粒径が50μm超であると、粒子2の脱落が起こりやすくなり、電極の寿命が短くなる場合がある。粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。粒子2の製造方法に鑑みると、下限値は0.01μm程度である。粒子2の粒径は、マイクロトラック、電子顕微鏡観察によって測定される。
負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質の量は負極全体に対して好ましくは5〜80重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%、一層好ましくは20〜50重量%である。
活物質層3の厚みは、負極全体に対する活物質の量の割合や活物質の粒径に応じて適宜調節することができ、本実施形態においては特に臨界的なものではない。一般には1〜100μm、特に3〜40μm程度である。活物質層3は、後述するように、活物質の粒子2を含む導電性スラリーを塗布することによって形成されることが好ましい。
表面層4及び活物質層3を含む負極全体の厚みは、負極の強度やエネルギー密度を高めること考慮すると、2〜50μm、特に10〜50μm程度であることが好ましい。
活物質層3においては、第1の面1及び第2の面をそれぞれ含む各表面層4を構成する材料が活物質層3の厚み方向全域に亘って浸透していることが好ましい。そして浸透した該材料中に活物質の粒子2が存在していることが好ましい。つまり活物質の粒子2は負極10の表面に実質的に露出しておらず表面層4の内部に包埋されていることが好ましい。これによって、活物質層3と表面層4との密着性が強固なものとなり、活物質の脱落が一層防止される。また活物質層3中に浸透した前記材料を通じて表面層4と活物質との間に電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質が生成すること、特に活物質層3の深部に電気的に孤立した活物質が生成することが効果的に防止され、集電機能が保たれる。その結果、負極としての機能低下が抑えられる。更に負極の長寿命化も図られる。このことは、活物質として半導体であり電気導電性の乏しい材料、例えばシリコン系材料を用いる場合に特に有利である。このことから明らかなように、本実施形態の負極は、金属発泡体中に活物質粒子を坦持させて、該発泡体の両面に電解めっきを施してなる従来の電極とはその構造が全く相違するものである。かかる金属発泡体を用いた従来の電極では、活物質の粒子を金属発泡体の骨格構造に十分に密接させることが容易ではないので、電子伝導性を高めにくく、活物質の性能を十分に活用することが容易ではない。
集電用表面層4を構成する材料は、活物質層3をその厚み方向に貫いており、両表面層4とつながっていることが好ましい。それによって2つの表面層4は前記材料を通じて電気的に導通することになり、負極全体としての電子伝導性が一層高くなる。つまり本実施形態の負極10は、負極全体が一体として集電機能を有する。集電用表面層4を構成する材料が活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層同士がつながっていることは、該材料を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。集電用表面層4を構成する材料を、活物質層中に浸透させるための好ましい方法は後述する。
活物質層3における活物質の粒子2の間は、表面層4の構成材料で完全に満たされているのではなく、該粒子間に空隙6が存在していることが好ましい(この空隙は、集電用表面層4に形成された微細空隙5とは異なるものであることに留意すべきである)。この空隙6の存在によって、活物質の粒子2がリチウムを吸脱蔵して膨張収縮することに起因する応力が緩和される。この観点から、活物質層3における空隙6の割合は5〜30体積%程度、特に5〜9体積%程度であることが好ましい。空隙6の割合は、電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。後述するように活物質層3は活物質の粒子2を含む導電性スラリーを塗布し乾燥させることによって形成されることから、活物質層3には自ずと空隙6が形成される。従って空隙6の割合を前記範囲にするためには、例えば活物質の粒子2の粒径、導電性スラリーの組成、スラリーの塗布条件を適切に選択すればよい。またスラリーを塗布乾燥して活物質層3を形成した後、適切な条件下でプレス加工して空隙6の割合を調整してもよい。
活物質層3中には活物質の粒子2に加えて導電性炭素材料又は導電性金属材料の粒子7が含まれていることが好ましい。これによって負極10に電子伝導性が一層付与される。この観点から活物質層3中に含まれる導電性炭素材料又は導電性金属材料の粒子7の量は0.1〜20重量%、特に1〜10重量%であることが好ましい。導電性炭素材料としては例えばアセチレンブラックやグラファイトなどの粒子が用いられる。これらの粒子の粒径は40μm以下、特に20μm以下であることが、電子伝導性の一層付与の点から好ましい。該粒子の粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、その下限値は0.01μm程度となる。
次に活物質の詳細について説明する。活物質として先に述べたシリコン系材料やスズ系材料が用いられる場合、該シリコン系材料又はスズ系材料の粒子としては、例えばイ)シリコン単体又はスズ単体の粒子、ロ)少なくともシリコン又はスズと炭素との混合粒子、ハ)シリコン又はスズと金属との混合粒子、ニ)シリコン又はスズと金属との化合物粒子、ホ)シリコン又はスズと金属との化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子、ヘ)シリコン単体又はスズ単体の粒子の表面に金属が被覆されてなる粒子などが挙げられる。ロ)、ハ)、ニ)、ホ)及びヘ)の粒子を用いると、イ)のシリコン単体又はスズ単体の粒子を用いる場合に比べて、リチウムの吸脱蔵に起因するシリコン系材料の微粉化が一層抑制されるという利点がある。また半導体であり電気導電性の乏しいシリコンに電子導電性を付与できるという利点がある。
特に、シリコン系粒子又はスズ系粒子がロ)の少なくともシリコン又はスズと炭素との混合粒子からなる場合には、サイクル寿命が向上すると共に負極容量が増加する。この理由は次の通りである。炭素、特に非水電解液二次電池用負極に用いられているグラファイトは、リチウムの吸脱蔵に寄与し、300mAh/g程度の負極容量を有し、しかもリチウム吸蔵時の体積膨張が非常に小さいという特徴を持つ。一方、シリコンは、グラファイトの10倍以上である4200mAh/g程度の負極容量を有するという特徴を持つ。反面シリコンは、リチウム吸蔵時の体積膨張がグラファイトの約4倍に達する。そこで、シリコン又はスズとグラファイトのような炭素とを所定の比率でメカニカルミリング法などを用い混合・粉砕して、粒径が約0.1〜1μmの均質に混合された粉末とすると、リチウム吸蔵時のシリコン又はスズの体積膨張がグラファイトによって緩和されて、サイクル寿命が向上し、また1000〜3000mAh/g程度の負極容量が得られる。シリコン又はスズと炭素との混合比率は、シリコン又はスズの量が10〜90重量%、特に30〜70重量%、とりわけ30〜50重量%であることが好ましい。一方、炭素の量は90〜10重量%、特に70〜30重量%、とりわけ70〜50重量%であることが好ましい。組成がこの範囲内であれば、電池の高容量化及び負極の長寿命化を図ることができる。なお、この混合粒子においては、シリコンカーバイドなどの化合物は形成されていない。
シリコン系粒子又はスズ系粒子がロ)の粒子からなる場合、該粒子は、シリコン又はスズ及び炭素に加えて他の金属元素を含む、3種以上の元素の混合粒子であってもよい。金属元素としてはCu、Ag、Li、Ni、Co、Fe、Cr、Zn、B、Al、Ge、Sn、In、V、Ti、Y、Zr、Nb、Ta、W、La、Ce、Pr、Pd及びNdからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる(以下これらの元素を総称して添加金属という)。
シリコン系粒子又はスズ系粒子が、ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子である場合、該混合粒子に含まれる金属としては、前述した添加金属の1種又は2種以上が挙げられる。これらの添加金属のうち、Cu、Ag、Ni、Co、Ceが好ましく、特に電子伝導性に優れ且つリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Ag、Niを用いることが望ましい。また添加金属としてLiを用いると、活物質中に予め金属リチウムが含まれることになり、不可逆容量の低減、充放電効率の向上、及び体積変化率の低減によるサイクル寿命向上等の利点が生ずるので好ましい。ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子においては、シリコン又はスズの量が30〜99.9重量%、特に50〜95重量%、とりわけ85〜95重量%であることが好ましい。一方、添加金属の量は0.1〜70重量%、特に5〜50重量%、とりわけ5〜15重量%であることが好ましい。組成がこの範囲内であれば、電池の高容量化及び負極の長寿命化を図ることができる。
ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子は例えば次に述べる方法で製造することができる。先ず、シリコン粒子又はスズ粒子及び添加金属の金属粒子を混合し、粉砕機によってこれらの粒子の混合及び粉砕を同時に行う。粉砕機としてはアトライター、ジェットミル、サイクロンミル、ペイントシェイカ、ファインミルなどを用いることができる。粉砕前のこれらの粒子の粒径は20〜500μm程度であることが好ましい。粉砕機による混合及び粉砕によってシリコン又はスズと添加金属とが均一に混ざり合った粒子が得られる。粉砕機の運転条件を適切にコントロールすることで得られる粒子の粒径を例えば40μm以下となす。これによってハ)の混合粒子が得られる。
シリコン系粒子又はスズ系粒子が、ニ)のシリコン又はスズと金属との化合物粒子である場合、該化合物は、シリコン又はスズと金属との合金を含み、1)シリコン又はスズと金属との固溶体、2)シリコン又はスズと金属との金属間化合物、或いは3)シリコン単相若しくはスズ単層、金属単相、シリコン若しくはスズと金属との固溶体、シリコン若しくはスズと金属との金属間化合物のうちの二相以上の相からなる複合体の何れかである。前記金属としては、ハ)のシリコン又はスズと金属との混合粒子に含まれる添加金属と同様のものを用いることができる。ニ)の化合物粒子におけるシリコン又はスズと金属との組成は、ハ)の混合粒子と同様にシリコン又はスズの量が30〜99.9重量%で、金属の量が0.1〜70重量%であることが好ましい。更に好ましい組成は、化合物粒子の製造方法に応じて適切な範囲が選択される。例えば該化合物が、シリコン又はスズと金属との二元系合金であり、該合金を後述する急冷法を用いて製造する場合、シリコン又はスズの量は40〜90重量%であることが望ましい。一方、添加金属の量は10〜60重量%であることが好ましい。
前記化合物がシリコン又はスズと金属との三元系以上の合金である場合には、先に述べた二元系合金に更にB、Al、Ni、Co、Sn、Fe、Cr、Zn、In、V、Y、Zr、Nb、Ta、W、La、Ce、Pr、Pd及びNdからなる群から選択される元素が少量含まれていてもよい。これによって、微粉化が抑制されるという付加的な効果が奏される。この効果を一層高めるため、これらの元素はシリコン又はスズと金属との合金中に0.01〜10重量%、特に0.05〜1.0重量%含まれていることが好ましい。
ニ)のシリコン又はスズと金属との化合物粒子が合金粒子である場合、該合金粒子は、例えば以下に説明する急冷法によって製造されることが、合金の結晶子が微細なサイズとなり且つ均質分散されることにより、微粉化が抑制され、電子伝導性が保持される点から好ましい。この急冷法においては、先ずシリコン又はスズと、添加金属とを含む原料の溶湯を準備する。原料は高周波溶解によって溶湯となす。溶湯におけるシリコン又はスズと添加金属との割合は前述した範囲とする。溶湯の温度は1200〜1500℃、特に1300〜1450℃とすることが急冷条件との関係で好ましい。鋳型鋳造法を用いてこの溶湯から合金を得る。即ち、該溶湯を銅製又は鉄製の鋳型に流し込んで、急冷されたシリコン系合金又はスズ系合金のインゴットを得る。このインゴットを粉砕し篩い分けして、例えば粒径40μm以下のものを本発明に供する。
この鋳型鋳造法に代えてロール鋳造法を用いることもできる。即ち、溶湯を高速回転する銅製のロールにおける周面に対して射出する。ロールの回転速度は、溶湯を急冷させる観点から回転数500〜4000rpm、特に1000〜 2000rpmとすることが好ましい。ロールの回転速度を周速で表す場合には、8〜70m/sec、特に15〜30m/secであることが好ましい。前述の範囲の温度の溶湯を、前述範囲の速度で回転するロールを用いて急冷することで、冷却速度は102K/sec以上、特に103K/sec以上という高速になる。射出された溶湯はロールにおいて急冷されて薄体となる。この薄体を粉砕、篩い分けして例えば粒径40μm以下のものを本発明に供する。この急冷法に代えて、ガスアトマイズ法を用い、1200〜1500℃の溶湯に、アルゴンなどの不活性ガスを5〜100atmの圧力で吹き付けて微粒化及び急冷して所望の粒子を得ることもできる。更に別法として、アーク溶解法やメカニカルミリングを用いることもできる。
活物質の粒子が、ホ)のシリコン又はスズと金属との化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子である場合、該化合物粒子としては、先に述べたニ)の化合物粒子と同様の粒子を用いることができる。一方、金属の粒子としては、先に述べたハ)の混合粒子に用いられる金属の粒子と同様のものを用いることができる。化合物粒子に含まれる金属元素と、金属の粒子を構成する金属元素とは同種でも異種でもよい。特に、化合物粒子に含まれる金属元素がニッケル、銅、銀又は鉄であり、金属の粒子を構成する金属元素がニッケル、銅、銀又は鉄であると、活物質層中にこれらの金属のネットワーク構造が形成されやすくなる。その結果、電子伝導性の向上、活物質粒子の膨張収縮による脱落の防止等という有利な効果が奏されるので好ましい。この観点から、化合物粒子に含まれる金属元素と金属の粒子を構成する金属元素とは同種であることが好ましい。ホ)の活物質粒子は、先に述べたニ)の化合物粒子の製造方法と同様の方法によって先ず化合物粒子を得て、この化合物粒子と金属の粒子とを、先に述べたハ)の混合粒子の製造方法に従い混合することで得られる。化合物粒子中におけるシリコン又はスズと金属との割合は、先に述べたニ)の化合物粒子中における両者の割合と同様とすることができる。また化合物粒子と金属の粒子との割合は、先に述べたハ)の混合粒子におけるシリコン又はスズの粒子と金属の粒子との割合と同様とすることができる。これら以外でホ)の活物質粒子に関して特に説明しない点については、先に述べたハ)の混合粒子又はニ)の化合物粒子に関して詳述した説明が適宜適用される。
シリコン系粒子又はスズ系粒子が、ヘ)のシリコン単体又はスズ単体の粒子の表面に金属が被覆されてなる粒子(この粒子を金属被覆粒子という)である場合、被覆金属としては、先に述べたハ)やニ)の粒子に含まれる添加金属、例えば銅などと同様のものが用いられる(但しLiを除く)。金属被覆粒子におけるシリコン又はスズの量は70〜99.9重量%、特に80〜99重量%、とりわけ85〜95であることが好ましい。一方、銅を始めとする被覆金属の量は0.1〜30重量%、特に1〜20重量%、とりわけ5〜15重量%であることが好ましい。金属被覆粒子は例えば無電解めっき法を用いて製造される。この無電解めっき法においては、先ずシリコン粒子又はスズ粒子が懸濁されており且つ銅を始めとする被覆金属とを含むめっき浴を用意する。このめっき浴中において、シリコン粒子又はスズ粒子を無電解めっきして該シリコン粒子又はスズ粒子の表面に前記被覆金属を被覆させる。めっき浴中におけるシリコン粒子又はスズ粒子の濃度は400〜600g/l程度とすることが好ましい。前記被覆金属として銅を無電解めっきする場合には、めっき浴中に硫酸銅、ロシェル塩等を含有させておくことが好ましい。この場合硫酸銅の濃度は6〜9g/l、ロシェル塩の濃度は70〜90g/lであることが、めっき速度のコントロールの点から好ましい。同様の理由からめっき浴のpHは12〜13、浴温は20〜30℃であることが好ましい。めっき浴中に含まれる還元剤としては、例えばホルムアルデヒド等が用いられ、その濃度は15〜30cc/l程度とすることができる。
活物質の粒子が前記イ)〜ヘ)のうちのどのような形態である場合においても、活物質の粒子は、含有している酸素の濃度が3重量%以下、特に2重量%以下であることが好ましい。これによって活物質の粒子が酸化されることに起因する劣化が効果的に防止され、負極の長寿命化を図ることができる。この理由から明らかなように、酸素の濃度は低ければ低いほど好ましい。同様の理由により、活物質の粒子は、その最表面におけるシリコン又はスズの濃度が、最表面における酸素の濃度の1/2以上である、とりわけ4/5以上であることが好ましい(但し、前記ヘ)の粒子である場合を除く)。酸素の濃度は、測定対象試料の燃焼を伴うガス分析法によって測定される。酸素濃度の分布はX線光電子分光分析装置(ESCA)やオージェ電子分光分析装置(AES)などを始めとする各種表面状態分析装置によって測定される。
次に本実施形態の負極の好ましい製造方法を、図3を参照しながら説明する。先ず図3(a)に示すようにキャリア箔11を用意する。キャリア箔11の材質に特に制限はない。キャリア箔11は導電性であることが好ましい。この場合、導電性を有していれば、キャリア箔11は金属製でなくてもよい。しかし金属製のキャリア箔11を用いることで、電極10の製造後にキャリア箔11を溶解・製箔してリサイクルできるという利点がある。リサイクルの容易性を考慮すると、キャリア箔11の材質は、後述する電解めっきによって形成される表面層4の材質と同じであることが好ましい。キャリア箔11は、本実施形態の負極10を製造するための支持体として用いられるものであることから、製造工程においてヨレ等が生じないような強度を有していることが好ましい。従ってキャリア箔11は、その厚みが10〜50μm程度であることが好ましい。
キャリア箔11は例えば電解や圧延で製造することができる。圧延で製造することで、表面粗さの低いキャリア箔11を得ることができる。表面粗さの低いキャリア箔11を用いることによって、後述する剥離層11aを形成しなくてもよくなるというメリットがある。一方キャリア箔11を電解によって製造することで、キャリア箔11の製造から負極10の製造までをインラインで行うことができる。インラインで行うことは、負極10の安定製造及び製造コストの低減の点から有利である。電解によってキャリア箔11を製造する場合には、回転ドラムを陰極として用い、銅やニッケルなどの金属イオンを含む電解浴中で電解を行いドラム周面に金属を析出させる。析出した金属をドラム周面から剥離することでキャリア箔11が得られる。
キャリア箔11の表面粗さが低い場合には、キャリア箔11の表面上に直接活物質層3を形成することができる。また図3(a)に示すように、キャリア箔11の一面に剥離層11aを形成し、その上に活物質層3を形成してもよい。剥離層11aを形成することで、剥離を一層首尾良く行うことができる。また、キャリア箔11に防錆効果を付与できるという利点もある。剥離層11aを形成するか否かにかかわらずキャリア箔11の表面粗さRaは0.01〜3μm、特に0.01〜1μm、とりわけ0.01〜0.2μmであることが好ましい。この程度の低表面粗さであれば、剥離を首尾良く行うことができ、また剥離層11aを形成する場合には、厚みのムラのない剥離層11aを形成することができる。尤も、剥離層11aを形成する場合には、該剥離層11aによってキャリア箔11の表面粗さが減殺されるので、キャリア箔11aの表面粗さRaは前記の範囲よりも大きくても差し支えないこともある。
剥離層11aは、例えばクロムめっき、ニッケルめっき、鉛めっき、クロメート処理等によって形成される。また、特開平11−317574号公報の段落〔0037〕〜〔0038〕に記載の窒素含有化合物や硫黄含有化合物、特開2001−140090号公報の段落〔0020〕〜〔0023〕に記載の窒素含有化合物や硫黄含有化合物と銅微細粒との混合物などによって形成されてもよい。これらのうち、剥離性が良好な点から、クロムめっき、ニッケルめっき、鉛めっき又はクロメート処理によって剥離層11aが形成されることが好ましい。この理由は、これらの処理等によって剥離層11aの表面に酸化物あるいは酸塩の層が形成され、この層は、キャリア箔11と後述する電解めっき層との密着性を低下させ剥離性を向上させる機能を有するからである。剥離層11aの厚みは0.05〜3μmであることが、首尾良く剥離を行い得る点から好ましい。剥離層11aが形成された後の該剥離層11aの表面粗さRaは、キャリア箔11上に活物質層3を直接形成する場合と同様に、0.01〜3μm、特に0.01〜1μm、とりわけ0.01〜0.2μmであることが好ましい。
電解によって製造されるキャリア箔11は、その製造方法に起因してその一方の面が平滑な光沢面となっており、他方の面が凹凸のあるマット面となっている。つまり各面の表面粗さが互いに異なっている。光沢面は、電解におけるドラム周面に対向していた面であり、マット面は析出面である。本製造方法においてキャリア箔11に剥離層11aを形成する場合、光沢面及びマット面のどちらに剥離層11aを形成していてもよい。剥離性が良好であることを考慮すると、表面粗さの低い光沢面上に剥離層11aを形成することが好ましい。マット面上に剥離層11aを形成する場合には、例えば特開平9−143785号公報に記載の電解液添加剤を用い電解を行い製造された箔を用いたり、剥離層11aの形成に先立ちマット面をエッチングすればよい。或いは圧延によってマット面の表面粗さを低下させればよい。
次に図3(b)に示すように剥離層11a上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層3を形成する。なお剥離層11aを形成しない場合にはキャリア箔11の表面に直接活物質層3を形成する。スラリーは、活物質の粒子、導電性炭素材料や導電性金属材料の粒子、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。これらの成分のうち、結着剤としてはポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子の量は14〜40重量%程度とすることが好ましい。導電性炭素材料又は導電性金属材料の粒子の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。また希釈溶媒の量は60〜85重量%程度とすることが好ましい。
スラリーの塗膜が乾燥して活物質層3が形成された後、該活物質層3が形成されたキャリア箔11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行う。めっき浴への浸漬によってめっき液が活物質層3内に浸入して、活物質層3と剥離層11aとの界面にまで達し、その状態下に電解めっきが行われる。その結果、(a)活物質層3の内部、(b)活物質層3の外面側(即ちめっき液と接している面側)及び(c)活物質層3の内面側(即ち剥離層11aと対向している面側)において、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が析出して、各表面層4が形成されると共に表面層4を構成する材料が活物質層3の厚み方向全域に亘って浸透して図1に示す構造の負極10が得られる(図3(c)参照)。
電解めっきの条件としては、例えばリチウム化合物の形成能の低い金属材料として銅を用いる場合、硫酸銅系溶液を用いるときには、銅の濃度を30〜100g/l、硫酸の濃度を50〜200g/l、塩素の濃度を30ppm以下とし、液温を30〜80℃、電流密度を1〜100A/dm2とすればよい。ピロ燐酸銅系溶液を用いる場合には、銅の濃度2〜50g/l、ピロ燐酸カリウムの濃度100〜700g/lとし、液温を30〜60℃、pHを8〜12、電流密度を1〜10A/dm2とすればよい。これらの電解条件を適宜調節することで、表面層4を構成する材料が活物質層3の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層4が電気的に導通するようになる。更に、表面層4中に、先に述べた多数の微細空隙5が容易に形成される。
電解めっきによって表面層4に微細空隙5を形成する方法は、後述するプレス加工による微細空隙の形成に比べて外力が加わらない方法なので、表面層4、ひいては負極10が損傷を受けることがないという利点がある。表面層4の形成の際に微細空隙5が形成されるメカニズムは以下の通りであると本発明者らは推測している。即ち、活物質層3は活物質の粒子2を含む層であることから、活物質層3の表面はミクロの凹凸形状となっている。つまりめっきが成長しやすい活性サイトとそうでないサイトとが混在した状態となっている。このような状態の活物質層に電解めっきを行うと、めっきの成長にムラが生じ、表面層4の構成材料の粒子が多結晶状に成長していく。結晶の成長が進み、隣り合う結晶がぶつかるとその部分に空隙が形成される。このようにして形成された空隙が多数連なることによって微細空隙5が形成されると推測される。この方法によれば微細空隙5はその構造が極めて微細になる。
電極10が形成された後に、これをプレス加工して表面層4に微細空隙5を生じさせてもよい。十分な電子伝導性を得る観点から、プレス加工による圧密化は、プレス加工後の活物質層3と表面層4との厚みの総和が、プレス加工前の90%以下、好ましくは80%以下となるように行うことが好ましい。プレス加工には、例えばロールプレス機を用いることができる。プレス加工後の活物質層3には、先に述べた通り5〜30体積%の空隙6が存在していることが好ましい。この空隙6の存在によって、充電時にリチウムを吸蔵して体積が膨張する場合に、その体積膨張に起因する応力が緩和される。このような空隙6はプレス加工の条件を前述のようにコントロールすればよい。この空隙6の値は、先に述べた通り電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。
本製造方法においては、電解めっきを行うに先立ち、活物質層3をプレス加工してもよい(このプレス加工を、先に述べたプレス加工と区別する意味で前プレス加工と呼ぶ)。前プレス加工を行うことで、活物質層3と表面層4との剥離が防止され、また電極10の表面に活物質の粒子2が露出することが防止される。その結果、活物質の粒子2の脱落に起因する電池のサイクル寿命の劣化を防ぐことができる。更に、前プレス加工を行うことで、表面層4を構成する材料の活物質3内への浸透の程度をコントロールできる(後述する実施例参照)。具体的には、プレスの程度が大きいと活物質の粒子2間の距離が短くなり、表面層4を構成する材料が活物質3内へ浸透しづらくなる。逆にプレスの程度が小さいと活物質の粒子2間の距離が長くなり、表面層4を構成する材料が活物質3内へ浸透しやすくなる。前プレス加工の条件としては、前プレス加工後の活物質層3の厚みが、前プレス加工前の活物質層3の厚みの95%以下、特に90%以下となるような条件であることが好ましい。
最後に、図3(d)に示すように、剥離層11aの部分において電極10をキャリア箔11から剥離分離する。なお、図3(d)では剥離層11aがキャリア箔11側に残るように描かれているが、実際は剥離層11aはその厚さや剥離処理剤の種類によってキャリア箔11側に残る場合もあれば、電極10側に残る場合もある。或いはこれら双方に残る場合もある。何れの場合であっても、剥離層11aはその厚みが極めて薄いので、得られる負極の性能に何ら影響はない。
本製造方法によれば、活物質層3の形成操作を1回行うだけで、電極の両面を電極反応に用い得る負極10が得られる。従来の負極においては、電極の両面を電極反応に用いるためには、集電用の厚膜導電体の両面にそれぞれ活物質層を形成する必要があった。つまり活物質層の形成操作を2回行う必要があった。従って、本製造方法によれば負極の製造効率が極めて向上する。
また本製造方法によれば、負極10を電池に組み込むまではこれをキャリア箔11から剥離せず、組み込む直前においてキャリア箔11から剥離することで、薄くて皺になりやすい本実施形態の負極10を、ハンドリング性良く搬送することができるという利点もある。
このようにして得られた本実施形態の負極10は、公知の正極、セパレータ、非水系電解液と共に用いられて非水電解液二次電池となされる。正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、さらに裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の従来公知の正極活物質が用いられる。セパレーターとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン又はポリプロピレン多孔質フイルム等が好ましく用いられる。非水電解液は、リチウム二次電池の場合、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiC1O4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiC1、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC4F9SO3等が例示される。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態においては、集電用表面層4を構成する材料が活物質層3をその厚み方向に貫いて、両表面層4が電気的に導通していたが、各表面層4の集電性を十分に確保できる限度において、両表面層4は電気的に導通していなくてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。以下の例中、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
(1)活物質粒子の製造
シリコン80%、ニッケル20%を含む1400℃の溶湯を、銅製の鋳型に流し込んで、急冷されたシリコン−ニッケル合金のインゴットを得た。このインゴットをジェットミルで粉砕し篩い分けして活物質粒子を得た。この粒子の平均粒径(D50値)は5μmであった。
(1)活物質粒子の製造
シリコン80%、ニッケル20%を含む1400℃の溶湯を、銅製の鋳型に流し込んで、急冷されたシリコン−ニッケル合金のインゴットを得た。このインゴットをジェットミルで粉砕し篩い分けして活物質粒子を得た。この粒子の平均粒径(D50値)は5μmであった。
(2)スラリーの調製
以下の組成のスラリーを調製した。
・前記(1)で得られた活物質粒子 16%
・アセチレンブラック(粒径0.1μm) 2%
・結着剤(ポリピニリデンフルオライド) 2%
・希釈溶媒(N−メチルピロリドン) 80%
以下の組成のスラリーを調製した。
・前記(1)で得られた活物質粒子 16%
・アセチレンブラック(粒径0.1μm) 2%
・結着剤(ポリピニリデンフルオライド) 2%
・希釈溶媒(N−メチルピロリドン) 80%
(3)剥離層の形成
電解によって得られた銅製のキャリア箔(厚さ35μm、表面粗さRa0.1μm)の表面をクロメート処理して厚さ0.5μmの剥離層を形成した(図3(a)参照)。剥離層の表面粗さRaも0.1μmであった。
電解によって得られた銅製のキャリア箔(厚さ35μm、表面粗さRa0.1μm)の表面をクロメート処理して厚さ0.5μmの剥離層を形成した(図3(a)参照)。剥離層の表面粗さRaも0.1μmであった。
(4)活物質層の形成
キャリア箔における剥離層上に前記スラリーを塗工し乾燥させて活物質層を形成した(図3(b)参照)。次いで0.5t/cmの圧力でロールプレス加工(前プレス加工)し活物質層を圧密化させた。このようにして得られた活物質層の厚みは8μmであった。
キャリア箔における剥離層上に前記スラリーを塗工し乾燥させて活物質層を形成した(図3(b)参照)。次いで0.5t/cmの圧力でロールプレス加工(前プレス加工)し活物質層を圧密化させた。このようにして得られた活物質層の厚みは8μmであった。
(5)集電用表面層の形成
活物質層が形成されたキャリア箔を、以下の組成を有するめっき浴中に浸漬し、電解めっきを行った。
・銅 50g/l
・硫酸 60g/l
・浴温 40℃
電流密度を20A/dm2として70秒間電解めっきした後、キャリア箔をめっき浴から引き上げ負極を得た(図3(c)参照)。キャリア箔と接する側の集電用表面層(以下、こちら側の表面層を第1表面層という)の厚さは1μmであり、キャリア箔と接しない側の集電用表面層(以下、こちら側の表面層を第2表面層という)の厚さは1μmであった。
活物質層が形成されたキャリア箔を、以下の組成を有するめっき浴中に浸漬し、電解めっきを行った。
・銅 50g/l
・硫酸 60g/l
・浴温 40℃
電流密度を20A/dm2として70秒間電解めっきした後、キャリア箔をめっき浴から引き上げ負極を得た(図3(c)参照)。キャリア箔と接する側の集電用表面層(以下、こちら側の表面層を第1表面層という)の厚さは1μmであり、キャリア箔と接しない側の集電用表面層(以下、こちら側の表面層を第2表面層という)の厚さは1μmであった。
(6)キャリア銅箔の剥離
図3(d)に示すように、剥離層の部分において、負極をキャリア箔をから剥離した。これによって図1に示す構造の負極を得た。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
図3(d)に示すように、剥離層の部分において、負極をキャリア箔をから剥離した。これによって図1に示す構造の負極を得た。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
〔実施例2〕
電解めっきの時間を60秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは1μmであり、第2表面層の厚みは0.5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
電解めっきの時間を60秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは1μmであり、第2表面層の厚みは0.5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
〔実施例3〕
電解めっきの時間を130秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは1μmであり、第2表面層の厚みは5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
電解めっきの時間を130秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは1μmであり、第2表面層の厚みは5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
〔実施例4〕
スラリー塗工後のロールプレス加工(前プレス加工)を1t/cmの圧力で行い、且つ電解めっきの時間を50秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは0.5μmであり、第2表面層の厚みは0.5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
スラリー塗工後のロールプレス加工(前プレス加工)を1t/cmの圧力で行い、且つ電解めっきの時間を50秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは0.5μmであり、第2表面層の厚みは0.5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
〔実施例5〕
スラリー塗工後のロールプレス加工(前プレス加工)を1t/cmの圧力で行い、且つ電解めっきの時間を120秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは0.5μmであり、第2表面層の厚みは5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
スラリー塗工後のロールプレス加工(前プレス加工)を1t/cmの圧力で行い、且つ電解めっきの時間を120秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは0.5μmであり、第2表面層の厚みは5μmであった。各表面層には、該表面層の表面において開孔し且つ活物質層と通ずる多数の微細空隙が存在していた。微細空隙の平均開孔面積及び開孔率は表1に示す通りであった。
〔比較例1〕
スラリー塗工後のロールプレス加工(前プレス加工)を5t/cmの圧力で行い、且つ電解めっきの時間を320秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは0.1μmであり、第2表面層の厚みは20μmであった。
スラリー塗工後のロールプレス加工(前プレス加工)を5t/cmの圧力で行い、且つ電解めっきの時間を320秒とした以外は実施例1と同様にして負極を得た。第1表面層の厚みは0.1μmであり、第2表面層の厚みは20μmであった。
〔比較例2〕
(1)剥離層上にスラリーを塗工する前に、スラリー塗工後の電解めっきと同様にして剥離層上に電解めっきを行った。処理時間は280秒であった。その後は実施例1と同様にして負極を得た。但し、スラリー塗工後の電解めっきの時間を320秒とした。
(1)剥離層上にスラリーを塗工する前に、スラリー塗工後の電解めっきと同様にして剥離層上に電解めっきを行った。処理時間は280秒であった。その後は実施例1と同様にして負極を得た。但し、スラリー塗工後の電解めっきの時間を320秒とした。
〔比較例3〕
(1)スラリーの調製
以下の組成のスラリーを調製した。
・グラファイト粉末(粒径10μm) 16%
・アセチレンブラック(粒径0.1μm) 2%
・結着剤(ポリピニリデンフルオライド) 2%
・希釈溶媒(N−メチルピロリドン) 80%
(1)スラリーの調製
以下の組成のスラリーを調製した。
・グラファイト粉末(粒径10μm) 16%
・アセチレンブラック(粒径0.1μm) 2%
・結着剤(ポリピニリデンフルオライド) 2%
・希釈溶媒(N−メチルピロリドン) 80%
(2)厚さ30μmの銅箔の各面上に、調製されたスラリーそれぞれを塗工し乾燥させて活物質層を形成した。次いで0.5t/cmの圧力でローラープレス加工し負極を得た。プレス加工後の各活物質層の厚みは20μmであった。
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた負極を用いて以下の通り非水電解液二次電池を作製した。以下の方法で不可逆容量、最大容量が得られるまでに要したサイクル数(以下、最大容量が得られたサイクル数という)、最大容量が得られたサイクル数における重量あたり容量密度(以下、重量あたり最大容量密度という)、最大容量が得られたサイクル数における体積あたり容量密度(以下、体積あたり最大容量密度という)、50サイクル時の容量維持率を測定した。これらの結果を以下の表1に示す。
実施例及び比較例で得られた負極を用いて以下の通り非水電解液二次電池を作製した。以下の方法で不可逆容量、最大容量が得られるまでに要したサイクル数(以下、最大容量が得られたサイクル数という)、最大容量が得られたサイクル数における重量あたり容量密度(以下、重量あたり最大容量密度という)、最大容量が得られたサイクル数における体積あたり容量密度(以下、体積あたり最大容量密度という)、50サイクル時の容量維持率を測定した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔非水電解液二次電池の作製〕
対極として金属リチウムを用い、また作用極として前記で得られた負極を用い、両極をセパレーターを介して対向させた。更に非水電解液としてLiPF6/エチレンカーポネートとジエチルカーポネートの混合溶液(1:1容量比)を用いて通常の方法によって非水電解液二次電池を作製した。
対極として金属リチウムを用い、また作用極として前記で得られた負極を用い、両極をセパレーターを介して対向させた。更に非水電解液としてLiPF6/エチレンカーポネートとジエチルカーポネートの混合溶液(1:1容量比)を用いて通常の方法によって非水電解液二次電池を作製した。
〔不可逆容量〕
不可逆容量(%)=(1−初回放電容量/初回充電容量)×100
すなわち、充電したが放電できず、活物質に残存した容量を示す。
不可逆容量(%)=(1−初回放電容量/初回充電容量)×100
すなわち、充電したが放電できず、活物質に残存した容量を示す。
〔最大容量が得られたサイクル数〕
充放電を開始した後、最大の放電容量が得られたサイクル数を示す。初期の活性が悪い電極ほど最大容量が得られるサイクル数は大きくなる。
充放電を開始した後、最大の放電容量が得られたサイクル数を示す。初期の活性が悪い電極ほど最大容量が得られるサイクル数は大きくなる。
〔重量あたり最大容量密度〕
最大容量が得られたサイクル数における、負極重量あたりの放電容量を示す。単位はmAh/gである。なお一般には、活物質重量あたりの放電容量を示す場合が多いが、ここでは厚膜集電体を用いないことの優位性を明らかにするため負極重量あたりの放電容量を示した。
最大容量が得られたサイクル数における、負極重量あたりの放電容量を示す。単位はmAh/gである。なお一般には、活物質重量あたりの放電容量を示す場合が多いが、ここでは厚膜集電体を用いないことの優位性を明らかにするため負極重量あたりの放電容量を示した。
〔体積あたり最大容量密度〕
最大容量が得られたサイクル数における、負極体積あたりの放電容量を示す。単位はmAh/cm3である。なお一般には、活物質体積もしくは活物質層体積あたりの放電容量を示す場合が多いが、ここでは厚膜集電体を用いないことの優位性を明らかにするため負極体積あたりの放電容量を示した。
最大容量が得られたサイクル数における、負極体積あたりの放電容量を示す。単位はmAh/cm3である。なお一般には、活物質体積もしくは活物質層体積あたりの放電容量を示す場合が多いが、ここでは厚膜集電体を用いないことの優位性を明らかにするため負極体積あたりの放電容量を示した。
〔50サイクル時の容量維持率〕
50サイクル時の容量維持率(%)=50サイクル目の放電容量/最大放電容量×100
50サイクル時の容量維持率(%)=50サイクル目の放電容量/最大放電容量×100
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の負極は、不可逆容量が小さいことが判る。また最大容量が得られたサイクル数が小さく、充放電の初期段階から充放電容量が高いことが判る。また重量あたり及び体積あたりの容量密度が極めて高いことが判る。更に充放電を繰り返した後の容量維持率が高く、サイクル寿命が長くなることが判る。なお表には示していないが、各実施例の負極においては、各表面層を構成する材料が活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して、両表面層が電気的に導通していた。また、活物質の粒子は負極の表面に実質的に露出しておらず表面層の内部に包埋されていた。
1 第1の面
2 活物質の粒子
3 活物質層
4 集電用表面層
5 微細空隙
6 空隙
7 導電性炭素材料および導電性金属材料の粒子
10 負極
11 キャリア箔
11a 剥離層
2 活物質の粒子
3 活物質層
4 集電用表面層
5 微細空隙
6 空隙
7 導電性炭素材料および導電性金属材料の粒子
10 負極
11 キャリア箔
11a 剥離層
Claims (13)
- 電解液と接し且つ導電性を有する表裏一対の面を含み、
前記面間に、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層を備え、
前記面において開孔し且つ前記活物質層と通ずる多数の微細空隙を有し、
少なくとも一方の前記面における前記微細空隙の平均開孔面積が0.1〜50μm2で且つ開孔率が0.1〜20%であり、
集電用の厚膜導電体を有していないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極。 - 前記面を構成する材料が前記活物質層の厚み方向全域に亘って浸透して両面が電気的に導通しており、電極全体が一体として集電機能を有している請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
- 前記面を構成する材料が、電解めっきによって前記活物質層の厚み方向全域に亘って浸透している請求項2記載の非水電解液二次電池用負極。
- 全体の厚みが2〜50μmである請求項1〜3の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
- 前記活物質の粒子がシリコン系材料又はスズ系材料の粒子からなる請求項1〜4の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
- 前記面がリチウム化合物の形成能の低い金属材料からなる請求項1〜5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
- 前記活物質層が、前記活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して形成されている請求項1〜6の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
- キャリア箔上に活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層を形成し、
該活物質層が形成された該キャリア箔を、金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行い、該活物質層を含む電極を形成し、
然る後、該電極を該キャリア箔から剥離分離することを特徴とする非水電解液二次電池用負極の製造方法。 - 前記キャリア箔の面のうち、前記活物質層が形成される面の表面粗さRaが0.01〜3μmである請求項8記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法。
- 剥離層が形成された前記キャリア箔における該剥離層上に前記活物質層を形成する請求項8記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法。
- 前記剥離層が、クロムめっき、ニッケルめっき、鉛めっき又はクロメート処理によって形成されている請求項10記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法。
- 前記剥離層の表面粗さRaが0.01〜3μmである請求項10又は11記載の非水電解液二次電池用負極の製造方法。
- 請求項1記載の非水電解液二次電池用負極を備えることを特徴とする非水電解液二次電池。
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CN114784289A (zh) * | 2022-04-18 | 2022-07-22 | 蔚来汽车科技(安徽)有限公司 | 双极性集流体及其制备方法、锂离子电池、车辆 |
-
2003
- 2003-09-19 JP JP2003327893A patent/JP2005093331A/ja active Pending
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