JP2009277509A - 非水電解液二次電池用負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】充放電に起因する活物質の粒子の不可逆的な膨張が抑制されまた、充放電を繰り返したときのサイクル特性が良好な非水電解液二次電池用負極を提供すること。
【解決手段】非水電解液二次電池用負極は、Si又はSnを含む活物質の粒子12a及び金属酸化物14を含有する活物質層12を備える。粒子12aの表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料13で被覆されているとともに、金属材料13で被覆された粒子12aどうしの間に空隙が形成されている。金属酸化物14は、好ましくはLivCoO2、Co34、LivAlO2又はAl23からなる(0<v≦1.1)。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池などの非水電解液二次電池用の負極及び該負極を備えた非水電解液二次電池に関する。
本出願人は先に、表面が電解液と接する一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層とを備えた非水電解液二次電池用負極を提案した(特許文献1参照)。この負極の活物質層には、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が浸透しており、浸透した該金属材料中に活物質の粒子が存在している。活物質層がこのような構造になっているので、この負極においては、充放電によって該粒子が膨張収縮することに起因して微粉化しても、その脱落が起こりづらくなる。その結果、この負極を用いると、電池のサイクル寿命が長くなるという利点がある。
しかし、上述の負極を用いた場合であっても、負極自体の不可逆的な膨張を確実に防止することは容易でない。負極の不可逆的な膨張は、電池缶の膨張につながり、電池缶の膨張は、電池を使用する電子機器類の電池収容スペースの精度に影響を及ぼす。したがって、負極の不可逆的な膨張を極力抑えることが望まれる。
また、上述の負極を用いれば電池のサイクル寿命は長くなるが、電池のサイクル特性に対する要求は日増しに厳しくなっており、これまでよりも一層サイクル特性が向上した電池が要求されている。
上述の技術とは別に、負極の活物質層に、Li32(PO43やLi2CuO2などのリチウム含有化合物を含有させる技術が提案されている(特許文献2参照)。この技術においては、これらのリチウム含有化合物を、活物質として黒鉛を用いた負極活物質層に含有させることで、初回充放電によって発生する不可逆容量の補完や、デンドライトの発生防止、電解液の分解防止を図っている。しかし、黒鉛よりも高容量の活物質であるSi系の材料やSn系の材料を用いた負極の不可逆的な膨張の抑制については、同文献では何ら検討されていない。
特許第3612669号公報 特開2007−172954号公報
したがって本発明の目的は、前述した従来技術の負極よりも各種性能が更に一層向上した非水電解液二次電池用負極を提供することにある。
本発明は、Si又はSnを含む活物質の粒子及び金属酸化物を含有する活物質層を備え、該粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されているとともに、該金属材料で被覆された該粒子どうしの間に空隙が形成されていることを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供するものである。
本発明の負極は、充放電に起因する活物質の粒子の不可逆的な膨張が抑制されたものとなる。また、充放電を繰り返したときのサイクル特性が向上したものとなる。更に、充放電を繰り返したときに充放電効率が高くなる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の負極の一実施形態の構造が模式的に示されている。本実施形態の負極10は、集電体11と、その少なくとも一面に形成された活物質層12を備えている。なお図1においては、便宜的に集電体11の片面にのみ活物質層12が形成されている状態が示されているが、活物質層は集電体の両面に形成されていてもよい。
本実施形態の負極10は、活物質層12が、活物質の粒子12a及び金属酸化物14を含んでいることによって特徴付けられる。金属酸化物14は、一般に粒子の形態で活物質層12中に存在している。活物質の粒子12a及び金属酸化物14は、活物質層12中に均一に分散されている。なお、図1に示す活物質の粒子12a及び金属酸化物の粒子14は模式的なものであり、これらの粒子の実際の大きさや形状を表すものではない。
金属酸化物14としては、リチウム及びリチウム以外の金属を含む複合酸化物や、リチウムを含まない金属酸化物が用いられる。リチウムを含むか含まないかにかかわらず、金属酸化物14としては、非水電解液二次電池の負極活物質としての働きを実質的に有していないものが用いられる。
リチウム及びリチウム以外の金属を含む複合酸化物としては、(イ)リチウム及びリチウム以外の典型金属元素を含む複合酸化物や、(ロ)リチウム及び遷移金属元素を含む複合酸化物が挙げられる。リチウムを含まない金属酸化物としては、典型金属元素の酸化物や、遷移金属元素の酸化物が挙げられる。
リチウム及びリチウム以外の金属を含む複合酸化物の具体例としては、以下の式(1)で表される物質が挙げられる。
LivAlwx2-n (1)
式中、Mは一種又は二種以上の遷移金属元素を表す。また、0<v≦1.1、w≧0、x≧0、w+x=1である。nは、v、w及びxとの関係で化学量論数を調整する値である。
前記の式(1)においてxが0の場合が、前記の(イ)のリチウム及びリチウム以外の典型金属元素(すなわちAl)を含む複合酸化物に該当する。また前記の式(1)においてwが0の場合が、前記の(ロ)のリチウム及び遷移金属元素を含む複合酸化物に該当する。wが0の場合、式(1)における遷移金属元素であるMとしては、例えばMn、Co、Ni、Ti、Cu、Fe等の一種又は二種以上が挙げられる。特に、前記の式(1)においてwが0の場合、式(1)は、LivMnx1Cox2Nix3Tix42-nで表されることが好ましい。式中、x1+x2+x3+x4=xである。x1は、好ましくは0≦x1≦0.4、更に好ましくは0≦x1≦0.2である。x2は、好ましくは0≦x2≦1.0、更に好ましくは0.1≦x2≦1.0である。x3は、好ましくは0≦x3≦1.0、更に好ましくは0.3≦x3≦1.0である。x4は、好ましくは0≦x4≦0.5、更に好ましくは0≦x4≦0.3である。
前記の式(1)においてxが0の場合、つまり金属酸化物14がリチウム及びリチウム以外の典型金属元素を含む複合酸化物である場合、特に好ましい該複合酸化物は、LivAlO2である。また、前記の式(1)においてwが0の場合、つまり金属酸化物14がリチウム及び遷移金属元素を含む複合酸化物である場合、特に好ましい複合酸化物は、LivCoO2及びLivNix3Tix42(式中、x3及びx4は、x3+x4=xであることを条件として、0.5≦x3≦1.0、0≦x4≦0.5である。)である。
金属酸化物14がリチウムを含まない金属酸化物である場合、該金属酸化物の例としては、典型金属元素の酸化物であるAl23等が挙げられる。遷移金属元素の酸化物としては、Co34、MnO2、Mn23、Mn34等が挙げられる。
金属酸化物14として2種以上の組み合わせを用いることもできる。例えば前記の(イ)と(ロ)との組み合わせ、すなわちリチウム及びリチウム以外の典型金属元素を含む複合酸化物と、リチウム及び遷移金属元素を含む複合酸化物との組み合わせを用いることができる。この場合、(イ)と(ロ)の使用量は、重量比で(イ):(ロ)=1:9〜9:1、特に3:7〜7:3とすることが好ましい。これ以外の組み合わせとして、例えば(イ)又は(ロ)と、リチウム含有遷移金属窒化物との組み合わせ等を挙げることができる。
本実施形態の負極10においては、上述の金属酸化物14を、Si又はSnを含む活物質の粒子12aとともに活物質層12に含有させることで、充放電に起因する活物質の粒子12aの不可逆的な膨張が抑制されたものとなる。また、充放電を繰り返したときの二次電池のサイクル特性が向上したものとなる。更に、充放電を繰り返したときに二次電池の充放電効率が高くなる。この理由は、(イ)活物質の粒子12aの表面がリチウム化合物の形成能の低い金属材料13で被覆されていることと(このことについては後述する。)、(ロ)このような被覆状態にある活物質の粒子12aの周囲に金属酸化物14が存在することで、非水電解液が、活物質の粒子12aの全域から均一に供給されるからであると、本発明者らは考えている。非水電解液の均一供給は、金属酸化物14として特にLivCoO2を用いた場合に顕著である。また、別の理由として、二次電池の初回充放電によって金属酸化物14が還元分解して、還元分解によって生じた金属を含む保護膜(SEI)が、活物質の粒子12aの表面に形成され、該保護膜の作用によって充放電に起因する活物質の粒子12aの腐食が抑制されるためと本発明者らは考えている。この抑制作用は、金属酸化物14として特にLivAlO2を用いた場合に顕著である。
以上の有利な効果を一層顕著なものとする観点から、金属酸化物14は、リチウムイオン伝導性を有し、かつ電子伝導性を有さないものであることが好ましい。また、金属酸化物14は、表面がリチウム化合物の形成能の低い金属材料13で被覆されている活物質の粒子12aの周囲において、金属酸化物14の粒子の一部が金属材料13中に存在している状態になっていることが好ましい。特に、図2に示すように、表面がリチウム化合物の形成能の低い金属材料13で被覆されている活物質の粒子12aの周囲において、金属酸化物14の粒子の一部が金属材料13中に埋設され、かつ一部が外部へ露出している状態になっていることが好ましい。この場合、金属酸化物14は、活物質の粒子12aの表面と直接に接しているか、あるいは金属酸化物14と活物質の粒子12aとの間が金属材料13の薄層で隔てられている。同図に示す状態においては、金属酸化物14が電子伝導性を有していないことから、金属材料13を電解めっきによって析出させる場合に、金属材料13と金属酸化物14との間に微小なクラックが生じやすく、そのクラックを通じて非水電解液が活物質の粒子12aへ供給されやすい。また金属酸化物14を通じてリチウムイオンが活物質の粒子12aへ供給されやすい。
先に述べたとおり、金属酸化物14は一般に粒子の形態で用いられる。この場合、金属酸化物14の二次粒子の粒径D50は、活物質の粒子12aの粒径とも関連するが、一般に0.01〜10μm、特に0.1〜3μmであることが好ましい。なお、金属酸化物14の種類によっては、前記の範囲の粒径を有するものを原料として用いた場合であっても、活物質層12の形成時に、後述する電解めっきによって還元分解されて、初めの粒径よりも小さな状態で活物質層12中に存在するものもある。そのような金属酸化物14としては、例えばLivCoO2が挙げられる。LivCoO2は、還元分解によってその一部がCoとLi2Oに分解すると考えられる。また、生成したLi2Oは活性が高く、すぐさま近隣のSiと反応し、その一部がLiySi(yは4.4以下の正数を表す。)に変化すると、本発明者らは考えている。
金属酸化物14を用いることによって奏される上述の有利な効果は、広範な範囲の金属酸化物14の使用で発現することが本発明者らの検討の結果判明した。具体的には、金属酸化物14の使用量は、活物質の重量に対して好ましくは1〜60重量%、特に好ましくは5〜35重量%である。
金属酸化物14とともに活物質層12に存在する活物質としては、Si又はSnを含み、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料が用いられる。Siを含む負極活物質の例としては、シリコン単体、シリコンと金属との合金、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンホウ化物などを用いることができる。これらの材料はそれぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。前記の合金に用いられる金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ni、Coが好ましく、特に電子伝導性に優れる点、及びリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Niを用いることが望ましい。また、負極を電池に組み込む前に、又は組み込んだ後に、Siを含む負極活物質に対してリチウムを吸蔵させてもよい。特に好ましいSiを含む負極活物質は、リチウムの吸蔵量の高さの点からシリコン単体又はシリコン酸化物である。
一方、Snを含む負極活物質の例としては、スズ単体、スズと金属との合金などを用いることができる。これらの材料はそれぞれ単独で、あるいはこれらを混合して用いることができる。スズと合金を形成する前記の金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ni、Coが好ましい。合金の一例として、Sn−Co−C合金が挙げられる。また、Snと、Coと、Cと、Ni及びCrのうちの少なくとも一方とを含む合金も好ましく用いられる。
活物質層12は、活物質の粒子12a及び金属酸化物14を含み、かつ図1に示すように、粒子12の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料13で被覆されているとともに、該金属材料13で被覆された該粒子どうしの間に空隙が形成されている構造を有している。
活物質の粒子12aの表面の少なくとも一部を被覆する金属材料13は、粒子12aの構成材料と異なる材料である。該金属材料13で被覆された該粒子12aの間には空隙が形成されている。つまり該金属材料13は、リチウムイオンを含む非水電解液が粒子12aへ到達可能なような隙間を確保した状態で粒子12aの表面を被覆している。図1中、金属材料13は、粒子12aの周囲を取り囲む太線として便宜的に表されている。なお同図は活物質層12の断面構造を二次元的にみた模式図であり、実際は、活物質の粒子12aは他の粒子12aと直接ないし金属材料13を介して接触している。「リチウム化合物の形成能の低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
金属材料13は導電性を有するものであり、その例としては銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。特に金属材料13は、活物質の粒子12aが膨張収縮しても該粒子12aの表面の被覆が破壊されにくい延性の高い材料であることが好ましい。そのような材料としては銅を用いることが好ましい。
金属材料13は、活物質層12の厚み方向全域にわたって活物質の粒子12aの表面に存在していることが好ましい。そして金属材料13のマトリックス中に粒子12aが存在していることが好ましい。これによって、充放電によって粒子12aが膨張収縮することに起因して微粉化しても、その脱落が起こりづらくなる。また、金属材料13を通じて活物質層12全体の電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した粒子12aが生成すること、特に活物質層12の深部に電気的に孤立した粒子12aが生成することが効果的に防止される。このことは、活物質として半導体であり電子伝導性の乏しい材料、例えばSiを含む材料を用いる場合に特に有利である。金属材料13が活物質層12の厚み方向全域にわたって粒子12aの表面に存在していることは、該金属材料13を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって確認できる。
金属材料13は、活物質の粒子12aの表面を連続に又は不連続に被覆している。金属材料13が粒子12aの表面を連続に被覆している場合には、金属材料13の被覆に、非水電解液の流通が可能な微細な空隙を形成することが好ましい。金属材料13が粒子12aの表面を不連続に被覆している場合には、粒子12aの表面のうち、金属材料13で被覆されていない部位を通じて該粒子12aへ非水電解液が供給される。
活物質の粒子12aの表面を被覆している金属材料13は、その厚みの平均が好ましくは0.05〜2μm、更に好ましくは0.1〜0.25μmという薄いものである。つまり金属材料13は最低限の厚みで以て粒子12aの表面を被覆している。これによって、エネルギー密度を高めつつ、充放電によって粒子12aが膨張収縮して微粉化することに起因する脱落を防止している。ここで言う「厚みの平均」とは、粒子12aの表面のうち、実際に金属材料13が被覆している部分に基づき計算された値である。したがって粒子12aの表面のうち金属材料13で被覆されていない部分は、平均値の算出の基礎にはされない。
金属材料13で被覆された活物質の粒子12a間に形成された空隙は、リチウムイオンを含む非水電解液の流通の経路としての働きを有している。この空隙の存在によって非水電解液が活物質層12の厚み方向へ円滑に流通するので、サイクル特性を向上させることができる。更に、粒子12a間に形成されている空隙は、充放電で活物質の粒子12aが体積変化することに起因する応力を緩和するための空間としての働きも有する。充電によって体積が増加した活物質の粒子12aの体積の増加分は、この空隙に吸収される。その結果、該粒子12aの微粉化が起こりづらくなり、また負極10の著しい変形が効果的に防止される。
活物質層12に形成されている空隙について本発明者らが検討したところ、活物質層12の空隙率を好ましくは15〜45%、更に好ましくは20〜40%、一層好ましくは25〜35%に設定すると、活物質層12内における非水電解液の流通が極めて良好になり、また活物質の粒子12aの膨張収縮に伴う応力緩和に極めて有効であることが判明した。特に、上限を35%とすることで活物質層内の導電性の向上と強度維持に極めて効果的であり、下限を25%とすることで電解液の選択の幅を広げることができる。このような高空隙率の活物質層を備えた負極10を用いることで、従来は用いることが困難であると考えられてきた高粘度の非水電解液を用いることが可能になる。
活物質層12の空隙量は、水銀圧入法(JIS R 1655)で測定される。水銀圧入法は、固体中の細孔の大きさやその容積を測定することによって、その固体の物理的形状の情報を得るための手法である。水銀圧入法の原理は、水銀に圧力を加えて測定対象物の細孔中へ圧入し、その時に加えた圧力と、押し込まれた(浸入した)水銀体積の関係を測定することにある。この場合、水銀は活物質層12内に存在する大きな空隙から順に浸入していく。
本発明においては、圧力90MPaで測定した空隙量を全体の空隙量とみなしている。本発明において、活物質層12の空隙率(%)は、前記の方法で測定された単位面積当たりの空隙量を、単位面積当たりの活物質層12の見かけの体積で除し、それに100を乗じることにより求める。
活物質層12は、好適には粒子12a、金属酸化物14及び結着剤を含むスラリーを集電体上に塗布し乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13を析出させることで形成される。金属材料13の析出の程度は、活物質層12の空隙率の値に影響を及ぼす。所望の空隙率を達成するためには、前記の塗膜中に、めっき液の浸透が可能な空間が形成されている必要がある。めっき液の浸透が可能な空間を塗膜内に必要かつ十分に形成するためには、金属酸化物14や活物質の粒子12aの粒度分布が大きな要因となっていることが本発明者らの検討の結果判明した。特に、上述のとおり、活物質の粒子12aは、金属酸化物14よりも多量に用いられるので、該粒子12aの粒度分布が重要である。詳細には、活物質の粒子12aとしてD10/D90で表される粒度分布が好ましくは0.05〜0.5、更に好ましくは0.1〜0.3であるものを採用することで、塗膜内に所望とする程度の空間が形成され、めっき液の浸透が十分となることが判明した。また電解めっき時に塗膜の剥がれ落ちを効果的に防止し得ることが判明した。D10/D90が1に近ければ近いほど、粒子12aの粒径が単分散に近くなるから、前記の範囲の粒度分布はシャープなものであることが判る。つまり本実施形態においては粒度分布がシャープな粒子12aを用いることが好ましい。粒度分布がシャープな粒子12aを用いることで、該粒子12aを高密度充填した場合に、粒子間の空隙を大きくすることができる。逆に粒度分布がブロードな粒子を用いると、大きな粒子間に小さな粒子が入り込み易くなり、粒子間の空隙を大きくすることが容易でない。また、粒度分布がシャープな粒子12aを用いると、反応にばらつきが生じにくくなるという利点もある。
サイクル特性に優れた負極を得るためには、活物質の粒子12aの粒度分布が上述の範囲内であることに加えて該粒子12a自体の粒径も重要である。活物質の粒子12aの粒径が過度に大きい場合には、粒子12aが膨張収縮を繰り返すことで微粉化しやすくなり、それによって電気的に孤立した粒子12aの生成が頻発する。また活物質の粒子12aの粒径が小さすぎる場合には、該粒子12a間の空隙が小さくなりすぎて、後述する浸透めっきによって空隙が埋められてしまうおそれがある。このことはサイクル特性の向上の点からはマイナスに作用する。そこで本実施形態においては、活物質の粒子12aとしてその平均粒径がD50で表して0.1〜5μm、特に0.2〜3μmであることが好ましい。
活物質の粒子12a及び金属酸化物14の粒度分布D10/D90及び平均粒径D50の値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定や、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。
活物質層12の空隙率を前記の範囲内とするためには、前記の塗膜内にめっき液を十分浸透させることが好ましい。これに加えて、該めっき液を用いた電解めっきによって金属材料13を析出させるための条件を適切なものとすることが好ましい。めっきの条件にはめっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。めっき浴のpHに関しては、これを7超11以下、特に7.1以上11以下に調整することが好ましい。pHをこの範囲内とすることで、活物質の粒子12aの溶解が抑制されつつ、該粒子12aの表面が清浄化されて、粒子表面へのめっきが促進され、同時に粒子12a間に適度な空隙が形成される。pHの値は、めっき時の温度において測定されたものである。
めっきの金属材料13として銅を用いる場合には、ピロリン酸銅浴を用いることが好ましい。また該金属材料としてニッケルを用いる場合には、例えばアルカリ性のニッケル浴を用いることが好ましい。特に、ピロリン酸銅浴を用いると、活物質層12を厚くした場合であっても、該層の厚み方向全域にわたって、前記の空隙を容易に形成し得るので好ましい。また、活物質の粒子12aの表面には金属材料13が析出し、かつ該粒子12a間では金属材料13の析出が起こりづらくなるので、該粒子12a間の空隙が首尾良く形成されるという点でも好ましい。ピロリン酸銅浴を用いる場合、その浴組成、電解条件及びpHは次のとおりであることが好ましい。
・ピロリン酸銅三水和物:85〜120g/l
・ピロリン酸カリウム:300〜600g/l
・硝酸カリウム:15〜65g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:1〜7A/dm2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH7.1〜9.5になるように調整する。
ピロリン酸銅浴を用いる場合には特に、P27の重量とCuの重量との比(P27/Cu)で定義されるP比が5〜12であるものを用いることが好ましい。P比が5未満のものを用いると、活物質の粒子12aを被覆する金属材料13が厚くなる傾向となり、粒子12a間に所望の空隙を形成させづらい場合がある。また、P比が12を超えるものを用いると、電流効率が悪くなり、ガス発生などが生じやすくなることから生産安定性が低下する場合がある。更に好ましいピロリン酸銅浴として、P比が6.5〜10.5であるものを用いると、活物質の粒子12a間に形成される空隙のサイズ及び数が、活物質層12内での非水電解液の流通に非常に有利になる。
アルカリ性のニッケル浴を用いる場合には、その浴組成、電解条件及びpHは次のとおりであることが好ましい。
・硫酸ニッケル:100〜250g/l
・塩化アンモニウム:15〜30g/l
・ホウ酸:15〜45g/l
・浴温度:45〜60℃
・電流密度:1〜7A/dm2
・pH:25重量%アンモニア水:100〜300g/lの範囲でpH8〜11となるように調整する。
このアルカリ性のニッケル浴と前述のピロリン酸銅浴とを比べると、ピロリン酸銅浴を用いた場合の方が活物質層12内に適度な空隙が形成される傾向があり、負極の長寿命化を図りやすいので好ましい。
前記の各種めっき浴に、タンパク質、活性硫黄化合物、セルロース等の銅箔製造用電解液に用いられる各種添加剤を加えることにより、金属材料13の特性を適宜調整することも可能である。
本実施形態の負極10においては、水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が前記の範囲内であることに加えて、10MPaにおいて水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が10〜40%であることが好ましい。また、1MPaにおいて水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が0.5〜15%であることが好ましい。更に、5MPaにおいて水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙量から算出された空隙率が1〜35%であることが好ましい。上述したとおり、水銀圧入法よる測定では、水銀の圧入条件を次第に高くしていく。そして低圧の条件下では大きな空隙に水銀が圧入され、高圧の条件下では小さな空隙に水銀が圧入される。したがって圧力1MPaにおいて測定された空隙率は、主として大きな空隙に由来するものである。一方、圧力10MPaにおいて測定された空隙率は、小さな空隙の存在も反映されたものである。
先に述べたとおり、活物質層12は、好適には粒子12a、金属酸化物14の粒子及び結着剤を含むスラリーを塗布し乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13を析出させることで形成されるものである。したがって、上述した大きな空隙は、主として粒子12a間の空間に由来するものであり、一方、上述した小さな空隙は、主として粒子12aの表面に析出する金属材料13の結晶粒間の空間に由来するものであると考えられる。大きな空隙は、主として粒子12aの膨張収縮に起因する応力を緩和するための空間としての働きを有している。一方、小さな空隙は、主として非水電解液を粒子12aに供給する経路としての働きを有している。これら大きな空隙と小さな空隙の存在量をバランスさせることで、サイクル特性が一層向上する。
負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると強度が低下し活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質層12の厚みは好ましくは10〜40μm、更に好ましくは15〜30μm、一層好ましくは18〜25μmである。
本実施形態の負極10においては、活物質層12の表面に薄い表面層(図示せず)が形成されていてもよい。また負極10はそのような表面層を有していなくてもよい。表面層の厚みは、0.25μm以下、好ましくは0.1μm以下という薄いものである。表面層の厚みの下限値に制限はない。表面層を形成することで、微粉化した活物質の粒子12aの脱落を一層防止することができる。尤も、本実施形態においては、活物質層12の空隙率を上述した範囲内に設定することによって、表面層を用いなくても、充放電に伴い微粉化した活物質の粒子12aの脱落を十分に防止することが可能である。
負極10が前記の厚みの薄い表面層を有するか又は該表面層を有していないことによって、負極10を用いて二次電池を組み立て、当該電池の初期充電を行うときの過電圧を低くすることができる。このことは、二次電池の充電時に負極10の表面でリチウムが還元することを防止できることを意味する。リチウムの還元は、両極の短絡の原因となるデンドライトの発生につながる。
負極10が表面層を有している場合、該表面層は活物質層12の表面を連続又は不連続に被覆している。表面層が活物質層12の表面を連続に被覆している場合、該表面層は、その表面において開孔しかつ活物質層12と通ずる多数の微細空隙(図示せず)を有していることが好ましい。微細空隙は表面層の厚さ方向へ延びるように表面層中に存在していることが好ましい。微細空隙は非水電解液の流通が可能なものである。微細空隙の役割は、活物質層12内に非水電解液を供給することにある。微細空隙は、負極10の表面を電子顕微鏡観察により平面視したとき、金属材料13で被覆されている面積の割合、即ち被覆率が95%以下、特に80%以下、とりわけ60%以下となるような大きさであることが好ましい。被覆率が95%を超えると、高粘度な非水電解液が浸入しづらくなり、非水電解液の選択の幅が狭くなるおそれがある。
表面層は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されている。この金属材料は、活物質層12中に存在している金属材料13と同種でもよく、あるいは異種でもよい。また表面層は、異なる2種以上の金属材料からなる2層以上の構造であってもよい。負極10の製造の容易さを考慮すると、活物質層12中に存在している金属材料13と、表面層を構成する金属材料とは同種であることが好ましい。
負極10における集電体11としては、非水電解液二次電池用負極の集電体として従来用いられているものと同様のものを用いることができる。集電体11は、先に述べたリチウム化合物の形成能の低い金属材料から構成されていることが好ましい。そのような金属材料の例は既に述べたとおりである。特に、銅、ニッケル、ステンレス等からなることが好ましい。また、コルソン合金箔に代表されるような銅合金箔の使用も可能である。集電体11の厚みは、負極10の強度維持と、エネルギー密度向上とのバランスを考慮すると、9〜35μmであることが好ましい。なお、集電体11として銅箔を使用する場合には、クロメート処理や、トリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物などの有機化合物を用いた防錆処理を施しておくことが好ましい。
次に、本実施形態の負極10の好ましい製造方法について、図3を参照しながら説明する。本製造方法では、活物質の粒子、金属酸化物の粒子及び結着剤を含むスラリーを用いて集電体11上に塗膜を形成し、次いでその塗膜に対して電解めっきを行い、活物質層を形成する。
先ず図3(a)に示すように集電体11を用意する。そして集電体11上に、活物質の粒子12a及び金属酸化物の粒子(図示せず)を含むスラリーを塗布して塗膜15を形成する。集電体11における塗膜形成面の表面粗さは、輪郭曲線の最大高さで0.5〜4μmであることが好ましい。最大高さが4μmを超えると塗膜15の形成精度が低下する上、凸部に浸透めっきの電流集中が起こりやすい。最大高さが0.5μmを下回ると、活物質層12の密着性が低下しやすい。活物質の粒子12aとしては、好適に上述した粒度分布及び平均粒径を有するものを用いる。
スラリーは、活物質の粒子12a及び金属酸化物の粒子の他に、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。またスラリーはアセチレンブラックやグラファイトなどの導電性炭素材料の粒子を少量含んでいてもよい。特に、活物質の粒子12aがSiを含む材料から構成されている場合には、該活物質の粒子12aの重量に対して導電性炭素材料を1〜3重量%含有することが好ましい。導電性炭素材料の含有量が1重量%未満であると、スラリーの粘度が低下して活物質の粒子12aの沈降が促進されるため、良好な塗膜15及び均一な空隙を形成しにくくなる。また導電性炭素材料の含有量が3重量%を超えると、該導電性炭素材料の表面にめっき核が集中し、良好な被覆を形成しにくくなる。
結着剤としてはスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子12aの量は30〜70重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリーとする。
形成された塗膜15は、粒子12a間に多数の微小空間を有する。塗膜15が形成された集電体11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬する。めっき浴への浸漬によって、めっき液が塗膜15内の前記微小空間に浸入して、塗膜15と集電体11との界面にまで達する。その状態下に電解めっきを行い、めっき金属種を粒子12aの表面に析出させる(以下、このめっきを浸透めっきともいう)。浸透めっきは、集電体11をカソードとして用い、めっき浴中にアノードとしての対極を浸漬し、両極を電源に接続して行う。
浸透めっきによる金属材料の析出は、塗膜15の一方の側から他方の側に向かって進行させることが好ましい。具体的には、図3(b)ないし(d)に示すように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するように電解めっきを行う。金属材料13をこのように析出させることで、活物質の粒子12aの表面を金属材料13で首尾よく被覆することができるとともに、金属材料13で被覆された粒子12a間に空隙を首尾よく形成することができる。しかも、該空隙の空隙率を前述した好ましい範囲にすることが容易となる。
前述のように金属材料13を析出させるための浸透めっきの条件には、めっき浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。このような条件については既に述べたとおりである。
図3(b)ないし(d)に示されているように、塗膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出が進行するようにめっきを行うと、析出反応の最前面部においては、ほぼ一定の厚みで金属材料13のめっき核からなる微小粒子13aが層状に存在している。金属材料13の析出が進行すると、隣り合う微小粒子13aどうしが結合して更に大きな粒子となり、更に析出が進行すると、該粒子どうしが結合して活物質の粒子12aの表面を連続的に被覆するようになる。
浸透めっきは、塗膜15の厚み方向全域に金属材料13が析出した時点で終了させる。めっきの終了時点を調節することで、活物質層12の上面に表面層(図示せず)を形成することができる。このようにして、図3(d)に示すように、目的とする活物質層12が得られる。なお、金属材料13と異なる種類の金属からなる表面層を構成する場合には、塗膜15の厚み方向全域に金属材料13が析出した時点で浸透めっきを一旦終了させ、次いでめっき浴の種類を変えて再度めっきを行い塗膜15上に表面層を形成すればよい。
浸透めっきを行っている間、使用する金属酸化物の種類によっては該金属酸化物が還元分解を受け、一分が別の形態に変化することがある。例えば、金属酸化物としてLivCoO2を用いた場合には、これが還元分解してCoとLi2Oに変化することがある。
このようにして得られた負極10は、公知の正極、セパレータ及び非水電解液とともに用いられ、非水電解液二次電池を構成する。この二次電池の形態に特に制限はない。例えばコイン型やジェリーロール型の電池とすることができる。ジェリーロール型の場合、円筒形や角形の形態とすることができる。
二次電池における正極としては、例えばリチウム遷移金属複合酸化物の粒子を、アセチレンブラック等の導電剤及びポリフッ化ビニリデン等の結着剤とともに適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これをアルミニウム箔等からなる集電体の少なくとも一面に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスすることにより得られる。
セパレータとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、又はポリテトラフルオロエチレンの多孔質フィルム等が好ましく用いられる。
非水電解液は、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、CF3SO3Li、(CF3SO22NLi、(C25SO22NLi、LiClO4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCl、LiBr、LiI、LiC49SO3等が例示される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。有機溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「重量%」を意味する。
先ず、図3に示す方法に従い負極を製造した。厚さ18μmの電解銅箔からなる集電体を室温で30秒間酸洗浄した。処理後、15秒間純水洗浄した。集電体の各面上にSiの粒子及びLiCoO2の粒子を含むスラリーを膜厚15μmになるように塗布し塗膜を形成した。スラリーの組成は、Siの粒子:LiCoO2の粒子:スチレンブタジエンラバー(結着剤):アセチレンブラック=100:5:1.7:2(重量比)であった。Siの粒子の平均粒径D50は2μmであった。粒度分布D10/D90は0.07であった。LiCoO2の二次粒子の平均粒径D50は2.8μmであった。平均粒径D50及び粒度分布D10/D90は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分布測定装置(No.9320−X100)を使用して測定した。
塗膜が形成された集電体を、以下の浴組成を有するピロリン酸銅浴に浸漬させ、電解により、塗膜に対して銅の浸透めっきを行い、活物質層を形成した。電解の条件は以下のとおりとした。陽極にはDSEを用いた。電源は直流電源を用いた。
・ピロリン酸銅三水和物:105g/l
・ピロリン酸カリウム:450g/l
・硝酸カリウム:30g/l
・P比:7.7
・浴温度:50℃
・電流密度:3A/dm2
・pH:25重量%アンモニア水15g/lと、10重量%ポリリン酸を添加してpH8.2になるように調整した。
浸透めっきは、塗膜の厚み方向全域にわたって銅が析出した時点で終了させた。このようにして目的とする活物質層を有する負極を得た。活物質層の縦断面のSEM観察によって、該活物質層においては、活物質の粒子は平均厚み300nmの銅の被膜で被覆されていたことを確認した。また、先に述べた方法で測定した活物質層全体の空隙率は17%であり、10MPa下での空隙率は16%であり、1MPa下での空隙率は0.8%であった。
〔実施例2〕
実施例1において、LiCoO2の粒子に代えてLiAlO2の粒子を用いた。LiAlO2の粒子はSiの粒子に対して5%用いた。LiAlO2の二次粒子の平均粒径D50は1.8μmであった。これら以外は実施例1と同様にして負極を得た。
〔比較例1〕
実施例1において、LiCoO2の粒子を用いなかった。これ以外は実施例1と同様にして負極を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた負極を用い以下の方法で二次電池を作製した。作製した二次電池について以下の方法でサイクル特性、電池の膨張率及び充放電効率を測定した。それらの結果を図4ないし図6に示す。
〔二次電池の作製〕
正極活物質としてLi1.03Mn0.06Co0.912を用いた。これを、アセチレンブラック及びポリフッ化ビニリデンとともに、溶媒であるN−メチルピロリドンに懸濁させ正極合剤を得た。配合の重量比は、正極活物質:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン=88:6:6とした。この正極合剤をアルミニウム箔(厚さ20μm)からなる集電体の各面にアプリケータを用いて塗布し、120℃で乾燥した後、荷重0.5ton/cmのロールプレスを行い、正極を得た。得られた正極及び負極を、20μm厚のポリプロピレン製多孔質フィルムからなるセパレータとともに用いて円筒形の捲回体を得た。この捲回体をその軸方向と直交する方向から加圧して扁平体となした。この扁平な捲回体を角型電池缶に装填し、更に非水電解液を注入した。電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1:1体積比の混合溶媒に1mol/lのLiPF6を溶解した溶液に対して、ビニレンカーボネートを2体積%外添したものを用いた。電池缶を封口して角型のリチウム二次電池を得た。
〔サイクル特性の測定〕
得られた二次電池について、充放電を繰り返した。充電条件は、初回が終止電圧4.45V、レート0.01Cで定電流・定電圧とした。2回目以降は終止電圧4.2V、レート0.5Cで定電流・定電圧とした。放電条件は、初回が終止電圧2.7V、レート0.05Cで定電流とした。2回目以降は終止電圧2.7V、レート0.5Cで定電流とした。サイクル特性は、13サイクル目の放電容量を100としたときの各サイクルでの放電容量の比として算出した。
〔電池の膨張率〕
サイクル特性の測定と同条件で充放電を行った。1サイクル目、150サイクル目及び300サイクル目における電池の最大幅広面の中央部の位置における厚みの増加を、マイクロメータを用いて測定し、その値と充放電前の厚みから膨張率を算出した。
〔充放電効率〕
サイクル特性の測定と同条件で充放電を行った。各サイクルにおいて放電容量及び充電容量を測定し、放電容量/充電容量×100から充放電効率を算出した。
図4ないし5に示す結果から明らかなように、実施例の負極を備えた電池は、比較例の負極を備えた電池に比べ、サイクル特性が良好であり、また電池の膨張率が小さいことが判る。更に、充放電効率が高いことが判る。
本発明の非水電解液二次電池用負極の一実施形態の断面構造を示す模式図である。 図1に示す負極における活物質層の要部を拡大して示す模式図である。 図1に示す負極における活物質層の製造方法を示す工程図である。 実施例及び比較例の負極を備えた二次電池のサイクル特性を示すグラフである。 実施例及び比較例の負極を備えた二次電池の充放電による膨張率を示すグラフである。 実施例及び比較例の負極を備えた二次電池の充放電効率を示すグラフである。
符号の説明
10 非水電解液二次電池用負極
11 集電体
12 活物質層
12a 活物質の粒子
13 金属材料
14 金属酸化物

Claims (9)

  1. Si又はSnを含む活物質の粒子及び金属酸化物を含有する活物質層を備え、該粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されているとともに、該金属材料で被覆された該粒子どうしの間に空隙が形成されていることを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  2. 前記金属酸化物が以下の式(1)で表される物質からなる請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
    LivAlwx2-n (1)
    式中、Mは一種又は二種以上の遷移金属元素を表し、0<v≦1.1、w≧0、x≧0、w+x=1である。nは、v、w及びxとの関係で化学量論数を調整する値である。
  3. 前記金属酸化物が、リチウムを含まないものである請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 前記金属酸化物が、LivCoO2又はCo34からなる請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 前記金属酸化物が、LivAlO2又はAl23からなる請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. 2種以上の前記金属酸化物を含有する請求項1ないし5のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  7. 前記金属酸化物が、前記活物質の粒子の重量に対して1〜50重量%含有されている請求項1ないし6のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  8. 前記金属材料で被覆されている前記活物質の粒子の周囲において、前記金属酸化物の一部が該金属材料中に存在している請求項1ないし7のいずれかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の負極を備えることを特徴とする非水電解液二次電池。
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