JP3742828B2 - 非水電解液二次電池用負極 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池用負極に関する。更に詳しくは集電性が高く、またリチウムイオンの吸脱蔵に起因する活物質の脱落が防止されサイクル寿命が向上し、更にエネルギー密度の高い非水電解液二次電池を得ることができる負極に関する。
銅などのLiと合金化しない金属からなる集電体層の上に、スズなどのLiと合金化する金属からなる活物質層が設けられたリチウムイオン二次電池用負極において、該活物質層上に、Liと合金化しない金属からなる表面被覆層、又はLiと合金化しない金属とLiと合金化する金属との合金からなる表面被覆層を設けることが提案されている(特許文献1参照)。この特許文献によれば、活物質層の表面と電解液との反応を、この表面被覆層により抑制することができるので、活物質層表面の劣化を抑制することができ、充放電サイクル特性を向上させることができるとされている。
しかしこの電極における表面被覆層は、活物質層上を薄く島状に被覆しているだけなので、活物質層のかなりの領域は電極の表面に露出し、電解液と直接接している。従って、充放電に伴うLiの吸脱蔵に起因する活物質の膨張収縮によって該活物質が電極から脱落しやすい。
特開2002−289178号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る非水電解液二次電池用負極を提供することにある。
本発明は、電解液と接し且つ導電性を有する表裏一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層とを備え、該表面層はその厚さが0.3〜5μmであって且つ該活物質層を連続的に被覆しており、少なくとも一方の表面層がリチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成されており、また厚さ8〜35μmの集電用の厚膜導電体を有していないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明の非水電解液二次電池用負極によれば、充放電によって集電用表面層に微細空隙が形成される。この微細空隙は電解液の浸透及び活物質粒子の脱落防止に十分な大きさを有するものである。その結果、活物質と電解液とが充分に接触した上で、表面層によって活物質の脱落が防止され、また充放電を繰り返しても活物質の集電性が確保される。更にこの負極を用いた二次電池は充放電を繰り返しても劣化率が低くサイクル寿命が大幅に長くなり、充放電効率も高くなる。更に、心材としての導電性金属箔層、つまり従来の負極に用いられていた集電体を用いないので、従来の負極よりも負極全体に占める活物質の割合を高くすることができる。その結果、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度の高い二次電池を得ることができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の負極の一実施形態の模式図が示されている。本実施形態の負極10は、電解液と接する表裏一対の面である第1の面1a及び第2の面1bを有している。電極10は、両面間に活物質の粒子2を含む活物質層3を備えている。活物質層3は、該層3の各面にそれぞれ形成された一対の集電用表面層4a,4bによって連続的に被覆されている。各表面層4a,4bは、第1の面1a及び第2の面1bをそれぞれ含んでいる。また図1から明らかなように電極10は、従来の電極に用いられてきた集電体と呼ばれる集電用の厚膜導電体(例えば厚さ8〜35μm程度の金属箔やエキスパンドメタル)を有していない。
集電用表面層4a,4bは、本実施形態の負極10における集電機能を担っている。また表面層4a,4bは、活物質層3に含まれる活物質が電極反応によって膨張及び/又は収縮することに起因して脱落することを防止するためにも用いられている。
各表面層4a,4bは、従来の電極に用いられている集電用の厚膜導電体よりもその厚みが薄いものである。具体的には0.3〜μm程度の薄層であることが好ましい。これによって、必要最小限の厚みで活物質層3をほぼ満遍なく連続的に被覆することができる。その結果、活物質の粒子2の脱落を防止することができる。またこの程度の薄層とすること、及び集電用の厚膜導電体を有していないことで、負極全体に占める活物質の割合が相対的に高くなり、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度を高めることができる。従来の電極では、電極全体に占める集電用の厚膜導電体の割合が高かったので、エネルギー密度を高めることに限界があった。前記範囲の薄い表面層4a,4bは、後述するように電解めっきによって形成されることが好ましい。なお2つの表面層4a,4bはその厚みが同じでもよく、或いは異なっていてもよい。また2つの表面層4a,4bの構成材料は同じでもよく、或いは異なっていてもよいが、少なくとも一方の表面層が、後述するように、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成されていることが必要である。一方の表面層が、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成されている場合、他方の表面層は、リチウム化合物の形成能の低い元素からなることが好ましい。好ましくは2つの表面層4a,4bが、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成されている。
先に述べた通り、2つの表面層4a,4bは第1の面1a及び第2の面1bをそれぞれ含んでいる。本実施形態の負極10が電池に組み込まれた場合、第1の面1a及び第2の面1bは電解液と接する。これとは対照的に、従来の電極における集電用の厚膜導電体は、その両面に活物質層が形成されている場合には電解液と接することはなく、また片面に活物質層が形成されている場合であっても一方の面しか電解液と接しない。つまり本実施形態の負極10には、従来の電極で用いられていた集電用の厚膜導電体が存在せず、電極の最外面に位置する層、即ち表面層4a,4bが集電機能と活物質の脱落を防止する機能とを兼ねている。
第1の面1a及び第2の面1bをそれぞれ含む各表面層4a,4bは何れも集電機能を有しているので、本実施形態の負極10を電池に組み込んだ場合には、何れの表面層4a,4bにも電流取り出し用のリード線を接続することができるという利点がある。
前述した通り、少なくとも一方の表面層4a,4bはリチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成されている。各表面層4a,4bがこのような構成を有していることで、本実施形態の負極10には以下に述べる利点がある。この利点を図2を参照しながら説明する。図2は、本実施形態の負極10の要部を拡大して示す模式図である。
本実施形態の負極10を非水電解液二次電池に組み込み充放電を行うと、図2(a)に示すように、各表面層4a,4bに含まれているリチウム化合物の形成能の高い元素5が、リチウムを吸脱蔵することに起因して次第に微粉化してくる。これに対して各表面層4a,4bに含まれているリチウム化合物の形成能の低い元素6は、充放電が行われても変化しない。
リチウム化合物の形成能の高い元素5の微粉化が進むと、図2(b)に示すように、各表面層4a,4bの表面に亀裂が生じる。そして、その亀裂が生じた部分が多数の微細空隙7となる。
この亀裂が進むと微細空隙7が一層成長し、図2(c)に示すように、該微細空隙7は少なくとも一方の表面層4a,4bの厚さ方向に延びて活物質層3に到達する。微細空隙7は曲折しながら延びている。なお図2(c)においては、形成されたすべての微細空隙7が活物質層3に到達するように描かれているが、これは本発明の理解を容易にするために誇張されたものであり、実際はすべての微細空隙7が活物質層3に到達しているわけではない。
このような微細空隙7が形成される結果、電解液が活物質層3へ十分に浸透することができ、活物質の粒子2との反応が十分に起こる。なお、非水電解液は水系の電解液に比べて表面張力が小さいことから、微細空隙7の幅が小さくても、活物質層3へ十分に浸透が可能である。このようにして微細空隙7が形成される結果、本実施形態の負極10においては、活物質層3への電解液の浸透を確保しつつ、活物質の粒子2の脱落を防止することができる。
負極10における反応は、対極と対向した面を中心に起こるので、微細空隙7は、一対の表面層4a,4bのうちの少なくとも一方に形成されれば足りる。しかし、実用的な電池においては、負極の両側にセパレータ及び対極が配置されていることが多い。そのような電池に本実施形態の負極10を適用する場合には、一対の表面層4a,4bの両方に微細空隙7が形成されることが好ましい。一対の表面層4a,4bのうち一方の表面層にのみ微細空隙が形成される負極10を用いる場合には、そのような負極10を一組用意し、各負極10,10における微細空隙が形成されていない側の表面層を対向させ重ね合わせて使用することで、一対の表面層の両方に微細空隙5が形成された負極10と同様の効果を得ることができる。特に、各負極10,10における微細空隙が形成されていない側の表面層を対向させ、両負極10,10間に導電性金属箔を挟み込み、三者を接合一体化させた構成の負極とすることが好ましい。このような構成にすることで、負極全体の強度が一層向上するからである。このことは、電池を作成する際に負極を曲げる必要がある場合、曲げ応力に対する負極の強度が担保される観点から有利である。導電性金属箔は、電解銅箔、圧延銅合金箔、ステンレス箔など、リチウム形成能の低い材料からなる種々な材質のものを用いることが可能である。強度向上の効果とエネルギー密度とのバランスから、その厚さは5〜35μm程度、特に12〜18μmが好ましい。また、導電性金属箔としては、パンチングメタル等の多孔性のものや、上記に例示した各種の箔の表面にリチウム層を形成させたものも使用できる。
微細空隙7の大きさ(孔径、長さ)は電池の充放電の回数に依存して変化する。従って微細空隙7の大きさを一義的に決定することはできない。しかし、本発明者らの検討の結果、表面層4a,4bを電子顕微鏡観察により平面視したときに、微細空隙7の開孔面積が平均して0.1〜100μm2、特に1〜30μm2程度であれば、電解液の十分な浸透を確保しつつ、活物質の粒子2の脱落を効果的に防止し得ることが判明した。また、表面層4a,4bを電子顕微鏡観察により平面視したときに、どのような観察視野をとっても、1cm×1cmの正方形の視野範囲内に1〜2万個、特に10〜1000個、とりわけ30〜500個の微細空隙7が存在していることが好ましいことが判明した(この値を分布率という)。更に、表面層4a,4bを電子顕微鏡観察により平面視したときに、観察視野の面積に対する微細空隙7の開孔面積の総和の割合(この割合を開孔率という)が0.1〜10%、特に1〜5%であることが好ましいことが判明した。微細空隙7は、表面層4a,4bを断面観察した場合にその幅が0.1〜100μm程度であるが、活物質の脱落を一層効果的に抑制するためには、0.1〜50μm、特に0.1〜10μm程度の微細なものとすることが好ましい。
所望の微細空隙を形成するためには、各表面層4a,4bに含まれるリチウム化合物の形成能の高い元素5と、リチウム化合物の形成能の低い元素6との比率を適切な範囲とすればよいことが本発明者らの検討の結果判明した。具体的には、各表面層4a,4bは、リチウム化合物の形成能の低い元素6が50重量%以上を占めることが好ましい。特に各表面層4a,4bは、リチウム化合物の形成能の低い元素50〜99.9重量%及びリチウム化合物の形成能の高い元素0.1〜50重量%を含んで構成されていることが好ましく、とりわけリチウム化合物の形成能の低い元素70〜99重量%及びリチウム化合物の形成能の高い元素1〜30重量%を含んで構成されていることが好ましい。
リチウム化合物の形成能の低い元素6としてはニッケル、銅、鉄若しくはコバルト又はこれらの合金などが好ましく用いられる。特に、ニッケル−タングステン合金を用いると、表面層4を高強度となすことができるので好ましい。一方、リチウム化合物の形成能の高い元素5としてはスズ、亜鉛、アルミニウム又はインジウムなどが好ましく用いられる。これらの元素は一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
再び図1に戻ると、2つの表面層4a,4b間に位置する活物質層3は、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子2を含んでいる。活物質としては、例えばシリコン系材料やスズ系材料、アルミニウム系材料、ゲルマニウム系材料が挙げられる。特にシリコン系材料が好ましい。活物質層3は2つの表面層4a,4bによって被覆されているので、活物質がリチウムイオンを吸脱蔵することに起因して脱落することが効果的に防止される。また、後述する理由によって、活物質の粒子2は電解液と接することができるので、電極反応が妨げられることもない。
活物質の粒子2はその最大粒径が好ましくは50μm以下であり、更に好ましくは20μm以下である。また粒子の粒径をD50値で表すと0.1〜8μm、特に1〜5μmであることが好ましい。最大粒径が50μm超であると、粒子の脱落が起こりやすくなり、電極の寿命が短くなる場合がある。粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、下限値は0.01μm程度である。粒子の粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。
負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質の量は負極全体に対して好ましくは5〜80重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%、一層好ましくは20〜50重量%である。
活物質層3の厚みは、負極全体に対する活物質の量の割合や活物質の粒径に応じて適宜調節することができ、本実施形態においては特に臨界的なものではない。一般には1〜100μm、特に3〜40μm程度である。活物質層は、後述するように、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布することによって形成されることが好ましい。
活物質層3においては、該層中に含まれる粒子間に、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が浸透していることが好ましい。該金属材料は、活物質層3の厚み方向全域に亘って浸透していることが好ましい。そして浸透した金属材料中に活物質の粒子2が存在していることが好ましい。つまり活物質の粒子2は負極10の表面に露出しておらず表面層4a,4bの内部に包埋されていることが好ましい。これによって、活物質層3と表面層4a,4bとの密着性が強固なものとなり、活物質の粒子2の脱落が一層防止される。また活物質層3中に浸透した前記材料を通じて表面層4a,4bと活物質の粒子2との間に電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質が生成すること、特に活物質層3の深部に電気的に孤立した活物質が生成することが効果的に防止され、集電機能が保たれる。その結果、負極としての機能低下が抑えられる。更に負極の長寿命化も図られる。このことは、活物質として半導体であり電子伝導性の乏しい材料、例えばシリコン系材料を用いる場合に特に有利である。
活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料は、少なくとも一方の表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料と同種であってもよく、或いは異種であってもよい。例えば、(イ)各表面層にリチウム化合物の形成能の低い金属材料が含まれる場合、当該金属材料は、活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と同じでもよい。この場合には、各材料が同一であることから、後述する製造方法が複雑にならないという利点がある。或いは(ロ)各表面層にリチウム化合物の形成能の低い金属材料が含まれ、当該金属材料の一方が、活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異なっていてもよい。更に、(ハ)各表面層にリチウム化合物の形成能の低い金属材料が含まれ、当該金属材料の双方が、活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異なっていてもよい。
(ハ)の場合には、各表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料は同じでもよく、或いは異なっていてもよい。つまり、(i)各表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料は同じで、且つ当該金属材料が、活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異なる場合、及び(ii)各表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料が異なり、且つ当該金属材料が何れも、活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異なる場合がある。
活物質層3中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料は、活物質層3をその厚み方向に貫いており、両表面層4a,4bとつながっていることが好ましい。それによって2つの表面層4a,4bは前記材料を通じて電気的に導通することになり、負極全体としての電子伝導性が一層高くなる。つまり本実施形態の負極10は、全体が一体として集電機能を有する。リチウム化合物の形成能の低い金属材料が活物質層3の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層4a,4bどうしがつながっていることは、該材料を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって確認することができる。リチウム化合物の形成能の低い金属材料を、活物質層3中に浸透させるための好ましい方法は後述する。
活物質層3における活物質の粒子2の間は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料で完全に満たされているのではなく、該粒子2間に空隙8が存在していることが好ましい(この空隙は、集電用表面層4a,4bに形成される微細空隙7とは異なるものであることに留意すべきである)。この空隙8の存在によって、活物質の粒子2がリチウムを吸脱蔵して膨張収縮することに起因する応力が緩和される。この観点から、活物質層3における空隙8の割合は5〜30体積%程度、特に5〜9体積%程度であることが好ましい。空隙8の割合は、電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。後述するように活物質層3は活物質の粒子2を含む導電性スラリーを塗布し乾燥させることによって形成されることから、活物質層3には自ずと空隙8が形成される。従って空隙8の割合を前記範囲にするためには、例えば活物質の粒子2の粒径、導電性スラリーの組成、スラリーの塗布条件を適切に選択すればよい。またスラリーを塗布乾燥して活物質層3を形成した後、適切な条件下でプレス加工して空隙8の割合を調整してもよい。
活物質層3中には活物質の粒子2に加えて導電性炭素材料が含まれていることが好ましい。これによって負極10に電子伝導性が一層付与される。この観点から活物質層3中に含まれる導電性炭素材料の量は0.1〜20重量%、特に1〜10重量%であることが好ましい。導電性炭素材料としては例えばアセチレンブラックやグラファイトなどの粒子が用いられる。これらの粒子の粒径は40μm以下、特に20μm以下であることが、電子伝導性の一層付与の点から好ましい。該粒子の粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、その下限値は0.01μm程度となる。
次に本実施形態の負極10の好ましい製造方法を、図3を参照しながら説明する。先ず図3(a)に示すようにキャリア箔11を用意する。キャリア箔11の材質に特に制限はない。例えば銅箔を用いることができる。キャリア箔11は、負極10を製造するための支持体として用いられるものであることから、製造工程においてヨレ等が生じないような強度を有していることが好ましい。従ってキャリア箔11は、その厚みが10〜50μm程度であることが好ましい。先に述べた通り、キャリア箔11の重要な役割は負極10を製造するための支持体である。従って表面層4の強度が十分である場合は必ずしもキャリア箔を用いて負極10を製造することを要しない。
キャリア箔11は好ましくは電解によって製造される。具体的には、回転ドラムを陰極として用い、銅などの金属イオンを含む電解浴中で電解を行いドラム周面に金属を析出させる。析出した金属をドラム周面から剥離することでキャリア箔11が得られる。
次に図3(b)に示すようにキャリア箔11の一面に薄い剥離層12を形成する。キャリア箔11が電解によって製造されたものである場合、キャリア箔11はその一方の面が平滑な光沢面となっており、他方の面が凹凸のあるマット面となっている。光沢面はドラム周面に対向していた面であり、マット面は析出面である。本製造方法においては光沢面およびマット面のどちらに剥離層12を形成してもよい。
剥離層12は、例えばクロムめっき、ニッケルめっき、鉛めっき、クロメート処理等によって形成されることが好ましい。この理由は、これらの処理等によって剥離層12の表面に酸化物あるいは酸塩の層が形成され、この層は、キャリア箔11と後述する電解めっき層との密着性を低下させ剥離性を向上させる機能を有するからである。また剥離剤として有機化合物を用いることもできる。特に窒素含有化合物又は硫黄含有化合物を用いることが好ましい。窒素含有化合物としては、例えばベンゾトリアゾール(BTA)、カルボキシベンゾトリアゾール(CBTA)、トリルトリアゾール(TTA)、N’,N’−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア(BTD−U)及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール(ATA)などのトリアゾール系化合物が好ましく用いられる。硫黄含有化合物としては、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、チオシアヌル酸(TCA)及び2−ベンズイミダゾールチオール(BIT)などが挙げられる。これらの有機化合物はアルコール、水、酸性溶媒、アルカリ性溶媒などに溶解して用いられる。例えばCBTAを用いた場合、その濃度は2〜5g/1とするのが好ましい。有機化合物からなる剥離層12の形成には、塗工法の他、浸漬法も採用できる。剥離層12の厚みは0.05〜3μmであることが、首尾良く剥離を行い得る点から好ましい。剥離層12が形成された後の該剥離層12の表面粗さRaは、キャリア箔11上に活物質層3を直接形成する場合と同様に、0.01〜3μm、特に0.01〜1μm、とりわけ0.01〜0.2μmであることが好ましい。
剥離層12が形成されたら、図3(c)に示すように剥離層12上に、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含む表面層4bを形成する。表面層4bの形成方法に特に制限はなく、公知の各種薄膜形成法を採用することができる。例えば電解めっき、スパッタリング、化学気相蒸着、物理気相蒸着などの方法を用いることができる。特に好ましい形成方法は電解めっきである。
引き続き、図3(d)に示すように表面層4b上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層3を形成する。この場合、表面層4bが電解めっきによって形成されていると、導電性スラリーが塗布される表面層4bの表面は析出面、つまりマット面であり、表面の粗度が高くなっているので、そのような表面状態になっている表面層4bの表面に導電性スラリーを塗布することで、活物質の粒子と表面層4bとの密着性が向上するという利点がある。
スラリーは、活物質の粒子、導電性炭素材料の粒子、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。これらの成分のうち、活物質の粒子及び導電性炭素材料の粒子については先に説明した通りである。結着剤としてはスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子の量は14〜40重量%程度とすることが好ましい。導電性炭素材料の粒子の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。また希釈溶媒の量は60〜85重量%程度とすることが好ましい。
スラリーの乾燥によって形成された活物質層3は、粒子間に多数の微小空間を有する。活物質層3が形成された後、図3(e)に示すように該活物質層3上に、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含む表面層4aを形成する。表面層4aの形成方法は、先に説明した表面層4bの形成方法と同様とすることができる。特に、表面層4aを構成する材料が活物質層3の厚み方向全域に亘って浸透して両表面層4a,4bが電気的に導通するようにするためには、表面層4aを電解めっきによって形成することが有利である。つまり、少なくとも一方の表面層を電解めっきによって形成することが有利である(以下、この電解めっきを浸透めっきともいう)。活物質層3が形成されたキャリア箔11を、めっき浴へ浸漬することによって、めっき液が活物質層3内の前記微小空間に浸入して、活物質層3と表面層4bとの界面にまで達し、その状態下に電解めっきが行われる。浸透めっきの条件の条件は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を活物質層3中に析出させるために重要である。例えば、表面層4aが電解めっきから形成される場合、該表面層4aが例えば銅(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びスズ(リチウム化合物の形成能の高い元素)から構成されているときの電解条件は次の通りである。めっき浴としては、通常の文献にある組成のもの、一般的にはシアン浴、ピロりん酸浴、ほう弗化浴などが使用可能である。このうち、シアン化浴の浴組成及び電解条件の一例を以下に示す。
・CuCN :35g/l
・Na2SnO3・2H2O :60g/l
・NaCN :25g/l
・電流密度 :5A/dm2
・浴温 :65℃
このめっき浴を用いると、浸透めっきによって、活物質層3における活物質の粒子間に、銅(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びスズ(リチウム化合物の形成能の高い元素)が析出する。更に、活物質層3上に銅及びスズを構成材料とする表面層4aが形成される。
また表面層を、例えばニッケル(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びシリコン(リチウム化合物の形成能の高い元素)から構成する場合には、ニッケルを含む電解めっき液にシリコン酸化物の粒子を懸濁させ、めっき液を攪拌しながら電解めっきを行い、表面層にシリコンを取り込むことで、所望の表面層を得ることができる。この場合には、浸透めっきによって、活物質層3における活物質の粒子間にニッケル(リチウム化合物の形成能の低い元素)のみが析出する。
最後に、図3(f)に示すようにキャリア箔11を表面層4bから剥離分離する。これによって負極10が得られる。なお、剥離に際して剥離層12はその厚さや剥離処理剤の種類によってキャリア箔11側に残る場合もあれば、表面層4b側に残る場合もある。或いはこれら双方に残る場合もある。何れの場合であっても、剥離層12はその厚みが極めて薄いので、得られる負極10の性能に何ら影響はない。
上述の方法においては、両表面層4a,4bが、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成される。これに代えて、一方の表面層がリチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成され、他方の表面層がリチウム化合物の形成能の低い元素からなるようにすることもできる。この場合には、リチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含むめっき浴と、リチウム化合物の形成能の低い元素を含むめっき浴の2種類のめっき浴を用いて電解めっきを行えばよい。
また、上述の方法においては、活物質層3への浸透めっきと、活物質層3の表面に表面層を形成する操作の2つの操作を同時に行った。この場合には、活物質層3中に析出したリチウム化合物の形成能の低い金属材料と、表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料とが同じになる。これらの操作に代えて、2つの操作を別個に行っても良い。即ち、活物質層3への浸透めっきの操作を行った後に、活物質層3が形成されたキャリア箔11を別のめっき浴に浸漬させて、電解めっきによって活物質層3上に表面層を形成してもよい。この操作を行うことで、各表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料と、活物質層3中に析出したリチウム化合物の形成能の低い金属材料とを異種のものにすることができる。
本製造方法によれば、活物質層の形成操作を1回行うだけで、負極の両面を電極反応に用い得る負極が得られる。従来の負極においては、電極の両面を電極反応に用いるためには、集電体の両面にそれぞれ活物質層を形成する必要があった。つまり活物質層の形成操作を2回行う必要があった。従って、本製造方法によれば負極の製造効率が極めて向上する。また本製造方法によれば、負極10を電池に組み込むまではキャリア箔11を剥離せず、組み込む直前においてキャリア箔11を剥離することで、薄くて皺になりやすくロール搬送が困難な負極10を、ハンドリング性良く搬送することができるという利点もある。
なお、本製造方法の別法として、剥離層12を形成したキャリア箔11上に表面層4bを形成せずに直接活物質層3を形成し、然る後に活物質層3全体を電解めっきすることによって、活物質層3とキャリア箔11との間に表面層4bを形成すると共に、活物質層3上に表面層4aを形成することもできる。この場合の電解めっきの条件は前述した条件と同様とすることができる。この別法によれば、電解めっきを一回行うだけの操作で各表面層を形成することができるので、負極10の製造を効率化することができる。
このようにして得られた負極10は、公知の正極、セパレータ、非水系電解液と共に用いられて非水電解液二次電池となされる。正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、さらに裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の従来公知の正極活物質が用いられる。セパレーターとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン又はポリプロピレン多孔質フイルム等が好ましく用いられる。非水電解液は、リチウム二次電池の場合、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiBF4、LiClO4、LiAlCl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiCl、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示される。
本発明の負極の別の実施形態として、図4に示すように、表面層4a,4bの形成時にすでに該表面層4a,4bに微細空隙7が形成されている負極10’が挙げられる。この負極10’においては、充放電を行う前において既に表面層4a,4bに微細空隙7が形成されており、更に充放電によって微細空隙7が成長する。図4に示す負極10’の製造方法を説明すると図5の通りとなる。
先ず図5(a)に示すようにキャリア箔11を用意する。キャリア箔11としては、図3(a)に示されるものと同様のものを用いることができる。次に図5(b)に示すように、キャリア箔11の一面上に、表面層4bを構成する材料と異質の材料からなる薄層の被覆体13を形成する。その後に表面層4bを電解めっきによって形成する。この操作によって、表面層4bに微細空隙7を形成することができ、該微細空隙7の数や開孔面積を容易にコントロールすることができる。
被覆体13は、表面層4bの形成面の電子伝導性を不均一な状態にすることで、表面層4bに多数の微細空隙7を形成するために用いられる。被覆体13は、その厚みが0.001〜1μm、特に0.002〜0.5μm、とりわけ0.005〜0.2μmとなるように形成されることが好ましい。この程度の薄さにすることで、被覆体13は、キャリア箔11の表面を不連続に、例えば島状に被覆することになるからである。
被覆体13は、表面層4bの構成材料と異質の材料からなる。これによって剥離工程において、キャリア箔11から表面層4bを首尾良く剥離することができる。特に被覆体13は、表面層4bの構成材料と異質の材料であって、且つCu、Ni、Co、Mn、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Ag、Au、C、Al、Si、Ti及びPdのうちの少なくとも1種類の元素を含んで構成されていることが好ましい。
被覆体13の形成方法に特に制限はない。例えば、表面層4bの形成方法との関係で、被覆体13の形成方法を選択することができる。具体的には、表面層4bを電解めっきで形成する場合には、被覆体13も電解めっきで形成することが製造効率等の点から好ましい。尤も他の方法、例えば無電解めっき、スパッタリング法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法、ゾルゲル法又はイオンプレーティング法によって被覆体13を形成することも可能である。
電解めっきによって被覆体13を形成する場合には、被覆体13の構成材料に応じて適切なめっき浴やめっき条件が選択される。例えば被覆体13をスズから構成する場合には、めっき浴として以下の組成を有するものや、ほうふっ化スズ浴を用いることができる。このめっき浴を用いる場合の浴温は15〜30℃程度であり、電流密度は0.5〜10A/dm2程度であることが好ましい。
・SnSO4 30〜70g/l
・H2SO4 60〜150g/l
・クレゾールスルホン酸 70〜100g/l
先に述べた通り、被覆体13は、表面層4bの形成面の電子伝導性を不均一な状態にするために用いられる。従って、被覆体13の構成材料の電子伝導性がキャリア箔11の電子伝導性と大きく異なれば、被覆体13を形成することで表面層4bの形成面の電子伝導性が直ちに不均一な状態になる。例えば被覆体13の構成材料としてカーボンを用いるような場合である。一方、被覆体13の構成材料として、キャリア箔11と同程度の電子伝導性を有する材料、例えばスズ等を始めとする各種金属材料を用いた場合には、被覆体13の形成によっては、表面層4bの形成面の電子伝導性が直ちに不均一な状態とはならない。そこで、そのような材料から被覆体13を構成する場合には、被覆体13が形成されたキャリア箔11を、乾燥状態下に含酸素雰囲気、例えば大気中にさらすことが好ましい。これによって被覆体13の表面(及びキャリア箔11の露出面)を酸化させる(図5(c)参照)。この操作によって、表面層4bの形成面の電子伝導性が不均一な状態になる。この状態下に後述する電解めっきを行うと、被覆体13の表面とキャリア箔11の露出面とで電析速度に差が生じ、微細空隙7を容易に形成することができる。酸化の程度は本発明において臨界的ではない。例えば、被覆体13が形成されたキャリア箔11を大気中に10〜30分程度放置しておけば十分であることが本発明者らの検討によって判明した。尤も被覆体13が形成されたキャリア箔11を強制的に酸化させることは妨げられない。
被覆体13が形成されたキャリア箔11を、含酸素雰囲気にさらすときにこれを乾燥状態にする理由は、酸化を効率的に行うためである。例えば電解めっきによって被覆体13を形成した場合には、キャリア箔11をめっき浴から引き上げた後にドライヤ等を用いてこれを乾燥させ、次いで所定時間大気中に放置すればよい。被覆体13の形成方法としてスパッタリング法や各種蒸着法等の乾式法を用いる場合には乾燥操作は不要であり、被覆体13の形成後、そのまま大気中に放置しておけばよい。
被覆体13を酸化させた後、図5(d)に示すように、その上に剥離層12を形成する。剥離剤としては、図3(b)に示すものと同様のものを用いることができる。剥離層12を形成する工程は、あくまでも、後述する剥離工程(図5(i))において、キャリア箔11から負極10’を首尾良く剥離するために行われるものである。従って、この工程を省いても表面層4bに微細空隙を形成することができる。次に図5(e)に示すように、剥離剤12を施した上に、表面層4bの構成材料を電解めっきによって電析させて表面層4bを形成する。形成された表面層4bには、微細空隙7が多数形成されている。なお図5(e)においては、被覆体13の頂点の位置に微細空隙7が形成されているように描かれているが、これは便宜的なものであり、実際には、被覆体13の頂点の位置に必ず微細空隙7が形成される訳ではない。
次に図5(f)に示すように表面層4b上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層3を形成する。導電性スラリーの配合組成及び活物質層3の形成については、図3(d)に関する説明が適宜適用される。
活物質層3が形成されたら、図5(g)に示すように、その上に導電性ポリマーを含む塗工液を塗布し乾燥させて塗膜14を形成する。塗工液は、導電性ポリマーが揮発性の有機溶媒に溶解してなるものである。
導電性ポリマーとしては、その種類に特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。例えばポリフッ化ビリニデン(PVDF)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)及びポリメチルメタクリレート(PMMA)等が挙げられる。特に、リチウムイオン伝導性ポリマーを用いることが好ましい。また、導電性ポリマーはフッ素含有の導電性ポリマーであることが好ましい。フッ素含有ポリマーは、熱的及び化学的安定性が高く、機械的強度に優れているからである。これらのことを考慮すると、リチウムイオン伝導性を有するフッ素含有ポリマーであるポリフッ化ビリニデンを用いることが特に好ましい。
導電性ポリマーを溶解させる前記有機溶媒としては、導電性ポリマーとして例えばポリフッ化ビニリデンを用いる場合には、N−メチルピロリドンなどを用いることができる。
先に述べた通り、塗工液は活物質層3上に塗工される。活物質層3は活物質の粒子を含む層であるから、その表面は凹凸状態となっている。従って塗工液は活物質層3の表面の凹部に溜まりやすくなる。この状態で溶媒が揮発すると、塗膜14の厚みは不均一になる。つまり活物質層3表面の凹部に対応する塗膜の厚みは大きく、凸部に対応する塗膜の厚みは小さくなる。本製造方法においては、塗膜14の厚みの不均一性を利用して表面層4aに多数の微細空隙を形成している。
本製造方法において、表面層4aに多数の微細空隙が形成されるメカニズムは次のように考えられる。塗膜12が形成されたキャリア箔11は電解めっき処理に付されて、塗膜14が形成されたキャリア箔11は電解めっき処理に付されて、図5(h)に示すように塗膜14上に表面層4aが形成される。この状態を図5(h)の要部拡大図である図6に示す。塗膜14を構成する導電性ポリマーは、金属ほどではないが電子伝導性を有する。従って塗膜14はその厚みに応じて電子伝導性が異なる。その結果、導電性ポリマーを含む塗膜14の上に電解めっきによって金属を析出させると、電子伝導性に応じて電析速度に差が生じ、その電析速度の差によって表面層4aに微細空隙7が形成される。つまり、電析速度の小さい部分、換言すれば塗膜14の厚い部分が微細空隙7になりやすい。
塗工液に含まれる導電性ポリマーの濃度によって微細空隙7の孔径や存在密度をコントロールできる。例えば導電性ポリマーの濃度が薄い場合には孔径は小さくなる傾向にあり、存在密度も小さくなる傾向にある。逆に、導電性ポリマーの濃度が濃い場合には孔径は大きくなる傾向にある。この観点から、塗工液における導電性ポリマーの濃度は0.05〜5重量%、特に1〜3重量%であることが好ましい。なお、導電性ポリマーは、塗工法の他、浸漬法によっても活物質層3上に施すことができる。
このようにして負極10’が得られる。最後に図5(i)に示すように、負極10’をキャリア箔11から剥離分離する。
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、活物質粒子と電解液との反応活性点を増やすために、レーザやポンチ、針等を用いて負極の少なくとも一方の表面において開孔し且つ活物質層の少なくとも一部にまで達する孔、或いは負極の厚さ方向に延びる貫通孔を形成してもよい。
また前記実施形態においては表面層4a,4bは単層構造であったが、これに代えて、少なくとも一方の表面層を2層以上の多層構造にしても良い。例えば少なくとも一方の表面層をニッケル(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びリチウム化合物の形成能の高い元素からなる下層と、銅(リチウム化合物の形成能の低い元素)及びリチウム化合物の形成能の高い元素からなる上層の2層構造とすることで、活物質の体積変化に起因する負極の著しい変形を一層効果的に防止することができる。表面層が多層構造である場合、該表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料の少なくとも1種を、活物質層3に浸透したリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異種の材料とすることができる。或いは各表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の低い金属材料のすべてが、活物質層3に浸透したリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異種の材料でもよい。
また表面層の構成材料と、活物質層3中に浸透している材料とが異なる場合には、活物質層3中に浸透している材料は、活物質層3と表面層との境界部まで存在していてもよい。或いは、活物質層3中に浸透している材料は、当該境界部を越えて表面層の一部を構成していてもよい。逆に、表面層の構成材料が、当該境界部を越えて活物質層3内に存在していてもよい。
また、活物質層4中に、リチウム化合物の形成能の低い材料を析出させる操作を、異なる2種以上のめっき浴を用いて行うことで、活物質層4中に析出される金属材料を、異なる2種以上の多層構造とすることができる。
また図5に示す製造方法においては、表面層4bの形成に際して被覆体13を形成せず、それに代えて、キャリア箔11(又は剥離層12)の上に、先に述べた導電性ポリマーを含む塗工液を塗布してその上に表面層4bを形成することで、該表面層4bに多数の微細空隙を形成することもできる。その場合、キャリア箔11の表面粗さRa(JIS B 0601)は0.05〜5μm、特に0.2〜0.8μmであることが、所望の径及び存在密度を有する微細空隙を容易に形成し得る点から好ましい。
本発明の負極の一実施形態の断面構造を示す模式図である。 図1に示す負極の要部を拡大して示す模式図である。 図1に示す負極の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の負極の別の実施形態の断面構造を示す模式図である。 図4に示す負極の製造方法の一例を示す工程図である。 表面層及び微細空隙が形成される状態を示す模式図である。
符号の説明
1a 第1の面
1b 第2の面
2 活物質の粒子
3 活物質層
4a,4b 集電用表面層
5 リチウム化合物の形成能の高い元素
6 リチウム化合物の形成能の低い元素
7 微細空隙
8 空隙
10,10’ 負極
11 キャリア箔
12 剥離層
13 被覆体
14 導電性ポリマーの塗膜

Claims (12)

  1. 電解液と接し且つ導電性を有する表裏一対の集電用表面層と、該表面層間に介在配置された、リチウム化合物の形成能の高い活物質の粒子を含む活物質層とを備え、該表面層はその厚さが0.3〜5μmであって且つ該活物質層を連続的に被覆しており、少なくとも一方の表面層がリチウム化合物の形成能の低い元素及びリチウム化合物の形成能の高い元素を含んで構成されており、また厚さ8〜35μmの集電用の厚膜導電体を有していないことを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  2. 前記表面層が、リチウム化合物の形成能の低い元素50〜99.9重量%及びリチウム化合物の形成能の高い元素0.1〜50重量%を含んで構成されている請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  3. リチウム化合物の形成能の低い元素がニッケル、銅、鉄又はコバルトであり、リチウム化合物の形成能の高い元素がスズ、亜鉛、アルミニウム又はインジウムである請求項1又は2記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 少なくとも一方の前記表面層にその厚さ方向に延びて前記活物質層に到達し且つ電解液の浸透が可能な多数の微細空隙が形成されている請求項1ないし3の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 前記微細空隙は、前記表面層の形成時に形成されたものであるか、又は前記表面層に含まれるリチウム化合物の形成能の高い元素が充放電に起因して微粉化することにより、該表面層に亀裂が生じることで形成されたものである請求項4記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. リチウム化合物の形成能の高い活物質がシリコン系材料である請求項1ないし5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  7. 前記活物質層において、活物質の粒子間にリチウム化合物の形成能の低い金属材料が浸透して両表面層が電気的に導通しており、全体が一体として集電機能を有している請求項1ないし6の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  8. 前記活物質層が、前記活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して形成されている請求項1ないしの何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  9. 前記表面層の少なくとも一方が、電解めっきによって形成されている請求項1ないしの何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  10. 前記表面層に含まれているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と、前記活物質層に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料とが、異種のものである請求項1ないしの何れかに記載の非水電解液二次電池用電極。
  11. 前記表面層に含まれているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と、前記活物質層に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料とが、同種のものである請求項1ないしの何れかに記載の非水電解液二次電池用電極。
  12. 少なくとも一方の前記表面層が2層以上の多層構造からなり、該多層構造の表面層にお ける各層の構成材料の少なくとも1種が、前記活物質層に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料と異種の材料である請求項1ないしの何れかに記載の非水電解液二次電池用電極。
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