JP2006228512A - 非水電解液二次電池用負極 - Google Patents

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清隆 安田
Yoshiki Sakaguchi
善樹 坂口
Masahiro Momotake
正浩 百武
Yoshihiko Honda
仁彦 本田
Tomoyoshi Matsushima
智善 松島
Akihiro Motegi
暁宏 茂出木
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Abstract

【課題】 充放電に起因する活物質の体積変化を緩和でき、負極の変形を防止し得る非水電解液二次電池用負極を提供すること。
【解決手段】 非水電解液二次電池用負極10は、シリコン系材料の活物質層2を備えている。負極10は、その少なくとも一方の面において開孔し且つ活物質層2の厚み方向に延びる孔5を多数有している。孔5は、その直径が5〜500μmで、ピッチが20〜10000μmであり、開孔率が0.3〜30%である。活物質層2は、シリコン系の粒子を含むか、又はシリコン系の薄膜からなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リチウム二次電池などの非水電解液二次電池用の負極に関する。
リチウム二次電池において、充放電に伴う活物質の膨張による応力の発生を防止することを目的として、集電体上に堆積された活物質薄膜をエッチングして、該薄膜の厚み方向に空隙を形成し、該薄膜を微小区域に分割することが提案されている(特許文献1参照)。これとは別に、リチウム二次電池において、負極に貫通孔を形成し、該貫通孔の内部に高分子電解質を存在させることが提案されている(特許文献2参照)。
しかし、特許文献1記載の方法では、分割された微小区域の幅が1〜4μmという極めて微小なものなので、シリコン等の体積変化の大きな活物質を用いた場合には、活物質の膨張による応力を十分に緩和できないおそれがある。一方、特許文献2記載の方法は、リチウムのデンドライトの発生に起因する高分子電解質の剥離を、該高分子電解質に含まれている高分子化合物の弾性力を利用して防止することを目的としており、活物質の膨張による応力を緩和することは目的としていない。
特開2003−17040号公報 特開2004−14151号公報
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る非水電解液二次電池用負極を提供することにある。
本発明は、シリコン系材料の活物質層を備えた非水電解液二次電池用負極において、
前記負極は、該負極の少なくとも一方の面において開孔し且つ前記活物質層の厚み方向に延びる孔を多数有し、
前記孔は、その直径が5〜500μmで、ピッチが20〜600μmであり、開孔率が0.3〜30%であることを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明によれば、活物質層の厚さ方向に延びる孔が、充放電に起因する活物質の体積変化を十分に緩和することができるので、負極の著しい変形を効果的に防止することができる。従ってサイクル寿命が大幅に長くなり、充放電効率も高くなる。また、本発明の好ましい実施形態によれば、活物質層における活物質の粒子間に金属材料が析出しているので、充放電に起因して活物質の粒子が微粉化しても、電気的に孤立した活物質が存在することが効果的に防止され、十分な集電性を得ることができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ず図1に示す第1の実施形態の負極について説明する。本実施形態の負極10は、電解液と接する表裏一対の面である第1の面1a及び第2の面1bを有している。負極10は、活物質層2を備えている。活物質層2は、該層2の各面にそれぞれ形成された一対の集電層3a,3bによって連続的に被覆されている。各集電層3a,3bは、第1の面1a及び第2の面1bをそれぞれ含んでいる。また図1から明らかなように電極10は、従来の電極に用いられてきた集電体と呼ばれる集電用の厚膜導電体(例えば厚さ12〜35μm程度の金属箔やエキスパンドメタル)を有していない。
集電層3a,3bは、本実施形態の負極10における集電機能を担っている。また集電層3a,3bは、活物質層2に含まれる活物質が充放電に起因して体積変化し微粉化して脱落することを防止するためにも用いられている。
各集電層3a,3bは、従来の電極に用いられている集電用の厚膜導電体よりもその厚みが薄いものである。具体的には0.3〜10μm程度、特に0.4〜8μm程度、とりわけ0.5〜5μm程度の薄層であることが好ましい。これによって、必要最小限の厚みで活物質層2をほぼ満遍なく連続的に被覆することができる。その結果、微粉化した活物質の脱落を防止することができる。またこの程度の薄層とすること、及び集電用の厚膜導電体を有していないことで、負極全体に占める活物質の割合が相対的に高くなり、単位体積当たり及び単位重量当たりのエネルギー密度を高めることができる。従来の電極では、電極全体に占める集電用の厚膜導電体の割合が高かったので、エネルギー密度を高めることに限界があった。前記範囲の集電層3a,3bは、後述するように電解めっきによって形成されることが好ましい。なお2つの集電層3a,3bはその厚みが同じでもよく、或いは異なっていてもよい。
先に述べた通り、2つの集電層3a,3bは第1の面1a及び第2の面1bをそれぞれ含んでいる。本実施形態の負極10が電池に組み込まれた場合、第1の面1a及び第2の面1bは電解液と接する面となる。これとは対照的に、従来の電極における集電用の厚膜導電体は、その両面に活物質層が形成されている場合には電解液と接することはなく、また片面に活物質層が形成されている場合であっても一方の面しか電解液と接しない。つまり本実施形態の負極10には、従来の電極で用いられていた集電用の厚膜導電体が存在せず、電極の最外面に位置する層、即ち集電層3a,3bが、集電機能と、微粉化した活物質の脱落を防止する機能とを兼ねている。
第1の面1a及び第2の面1bをそれぞれ含む各集電層3a,3bは何れも集電機能を有しているので、本実施形態の負極10を電池に組み込んだ場合には、何れの集電層3a,3bにも電流取り出し用のリード線を接続することができるという利点がある。
各集電層3a,3bは、非水電解液二次電池の集電体となり得る金属から構成されている。特にリチウム二次電池の集電体となり得る金属から構成されていることが好ましい。そのような金属としては例えば、リチウム化合物の形成能の低い元素が挙げられる。リチウム化合物の形成能の低い元素としては銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などが挙げられる。これらの金属のうち銅若しくはニッケル又はそれらの合金を用いることが特に好適である。特に、ニッケル−タングステン合金を用いると、集電層3a,3bを高強度となすことができるので好ましい。2つの集電層3a,3bは、その構成材料が同じであってもよく、或いは異なっていてもよい。「リチウム化合物の形成能が低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。
各集電層3a,3b間に位置する活物質層2は、活物質の粒子2aを含んでいる。活物質層2は例えば、活物質の粒子2aを含むスラリーを塗布して形成されている。
活物質としては、シリコン系材料が用いられる。詳細には、活物質の粒子2aとしては、イ)シリコン単体の粒子、ロ)シリコンの粒子と炭素の粒子との混合粒子、ハ)シリコンの粒子と金属の粒子との混合粒子、ニ)シリコン及び金属の化合物粒子、ホ)シリコン及び金属の化合物粒子と、金属の粒子との混合粒子などが挙げられる。これら各粒子はそれぞれ単独で或いはイ)〜ホ)の2種類以上を適宜組み合わせて用いることができる。ロ)、ハ)、ニ)及びホ)の粒子を用いると、イ)のシリコン単体の粒子を用いる場合に比べて、リチウムの吸脱蔵に起因する活物質粒子の微粉化が一層抑制されるという利点がある。また、半導体であり電子伝導性の乏しいシリコンに電子伝導性を付与できるという利点がある。前記の金属としては、例えばNi、Cu、Co、Cr、Fe、Ag、Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上の元素が挙げられる。これらの金属のうち、Cu、Ag、Ni、Coが好ましく、特に電子伝導性に優れ且つリチウム化合物の形成能の低さの点から、Cu、Ag、Niを用いることが望ましい。
活物質の粒子2aはその最大粒径が好ましくは30μm以下であり、更に好ましくは10μm以下である。また粒子の粒径をD50値で表すと0.1〜8μm、特に0.3〜2μmであることが好ましい。最大粒径が30μm超であると、粒子の脱落が起こりやすくなり、電極の寿命が短くなる場合がある。粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、下限値は0.01μm程度である。粒子の粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定、電子顕微鏡観察によって測定される。
負極全体に対する活物質の量が少なすぎると電池のエネルギー密度を十分に向上させにくく、逆に多すぎると活物質の脱落が起こりやすくなる傾向にある。これらを勘案すると、活物質の量は負極全体に対して好ましくは5〜80重量%であり、更に好ましくは10〜50重量%、一層好ましくは20〜50重量%である。
活物質層2の厚みは、負極全体に対する活物質の量の割合や活物質の粒径に応じて適宜調節することができ、本実施形態においては特に臨界的なものではない。一般には1〜100μm、特に3〜60μm程度である。活物質層は、後述するように、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布することによって形成されることが好ましい。
活物質層2においては、図1に示すように、該層中に含まれる粒子間に、リチウム化合物の形成能の低い金属材料4が浸透している。金属材料4は、電解めっきによって粒子間に析出したものである。金属材料4は、活物質層2の厚み方向全域に亘って浸透していることが好ましい。そして浸透した当該材料中に活物質の粒子2aが存在していることが好ましい。つまり活物質の粒子2aは負極10の表面に実質的に露出しておらず集電層3a,3bの内部に包埋されていることが好ましい。これによって、活物質層2と集電層3a,3bとの密着性が強固なものとなり、活物質の脱落が一層防止される。また活物質層2中に浸透した前記材料4を通じて集電層3a,3bと活物質との間に電子伝導性が確保されるので、電気的に孤立した活物質が生成すること、特に活物質層2の深部に電気的に孤立した活物質が生成することが効果的に防止され、集電機能が保たれる。その結果、負極としての機能低下が抑えられる。更に負極の長寿命化も図られる。
活物質層2中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料4は導電性を有するものであり、その例としては銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれらの金属の合金などの金属材料が挙げられる。当該材料は、集電層3a,3bを構成する材料と同種の材料であってもよく、或いは異種の材料であってもよい。
活物質層2中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料4は、活物質層2をその厚み方向に貫いていることが好ましい。それによって2つの集電層3a,3bは金属材料4を通じて電気的に導通することになり、負極全体としての電子伝導性が一層高くなる。つまり本実施形態の負極10は、その全体が一体として集電機能を有する。リチウム化合物の形成能の低い金属材料4が活物質層2の厚み方向全域に亘って浸透していることは、該材料を測定対象とした電子顕微鏡マッピングによって確認できる。リチウム化合物の形成能の低い金属材料4は、電解めっきによって活物質層2中に浸透している。
活物質層2における活物質の粒子2aの間は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料4で完全に満たされているのではなく、該粒子間に空隙が存在していることが好ましい。この空隙の存在によって、充放電に起因する活物質の粒子2aの体積変化が緩和される。この観点から、活物質層2における空隙の割合は0.1〜30体積%程度、特に0.5〜5体積%程度であることが好ましい。空隙の割合は、電子顕微鏡マッピングによって求めることができる。活物質層2は活物質の粒子2aを含む導電性スラリーを塗布し乾燥させることによって形成されることから、活物質層2には自ずと空隙が形成される。従って空隙の割合を前記範囲にするためには、例えば活物質の粒子2aの粒径、導電性スラリーの組成、スラリーの塗布条件を適切に選択すればよい。またスラリーを塗布乾燥して活物質層2を形成した後、適切な条件下でプレス加工して空隙の割合を調整してもよい。ここでいう空隙は、後述する孔5を含むものではない。
活物質層中には活物質の粒子2aに加えて導電性炭素材料が含まれていても良い。これによって負極10に電子伝導性が一層付与される。この観点から活物質層中に含まれる導電性炭素材料の量は0.1〜20重量%、特に1〜10重量%であることが好ましい。導電性炭素材料としては例えばアセチレンブラックやグラファイトなどの粒子が用いられる。これらの粒子の粒径は40μm以下、特に20μm以下であることが、電子伝導性の一層付与の点から好ましい。該粒子の粒径の下限値に特に制限はなく小さいほど好ましい。該粒子の製造方法に鑑みると、その下限値は0.01μm程度となる。
図1に示すように、負極10においては、負極10の各表面において開孔し且つ活物質層2及び各集電層3a,3bの厚み方向に延びる孔5を多数有している。孔5は、負極10の厚み方向に貫通している。活物質層2においては、孔5の壁面において活物質層2が露出している。孔5の役割は大別して次の2つである。
一つは、孔5の壁面において露出した活物質層2を通じて電解液を活物質層内に供給する役割である。この場合、孔5の壁面において活物質層2が露出しているが、活物質層内の活物質の粒子2a間に金属材料4が浸透しているので、該粒子2aが脱落することが防止されている。
もう一つは、充放電に起因して活物質層内の活物質の粒子2aが体積変化した場合、その体積変化を緩和する役割である。体積変化は、主として負極10の平面方向に生ずる。従って、充電によって活物質の粒子2aの体積が増加しても、その増加分が、空間となっている孔5に吸収される。その結果、負極10の著しい変形が効果的に防止される。
本発明者らの検討の結果、負極10の表面において開孔している孔5の開孔率、即ち孔5の面積の総和を、負極10の表面の見掛けの面積で除して100を乗じた値を0.3〜30%、好ましくは2〜15%とすることが、活物質層内に電解液を十分に供給する観点及び活物質の粒子2aの体積変化を効果的に緩和する観点から有効であることが判明した。本実施形態においては、負極10の第1の面1a及び第2の面1bの何れにおいても孔5が開孔しており、且つ面1a,1bの同位置に実質的に同寸で開孔しているので、面1aの開孔率と面1bの開孔率とは実質的に同じになっている。しかし、各面での開孔率は同じである必要はなく、少なくとも一方の面における開孔率が前述の範囲内であれば、所期の目的は達成される。
孔5の開孔率を前記の範囲に設定することに加えて、負極10の表面において開孔している孔5の直径を5〜500μm、好ましくは20〜100μmとすることが、活物質層内に電解液を十分に供給する観点及び活物質の粒子2aの体積変化を効果的に緩和する観点から有効であることも判明した。なお、前述した通り、本実施形態においては、負極10の第1の面1aにおいて開孔している孔5の直径と、第2の面1bにおいて開孔している孔5の直径とは同じになっているが、両者は異なっていてもよい。また、第1の面1aにおいて開孔している孔5の直径は何れも同じになっているが、前記の範囲の直径を満たす限り、異なる直径の孔5が形成されていてもよい。更に、本発明の効果を損なわない範囲において、前記の範囲外の直径を有する孔が小数形成されていてもよい。これらのことは、第2の面1bに関しても同様である。
前述の開孔率及び直径と関係するが、孔5のピッチも重要である。ピッチを20〜10000μm、好ましくは20〜600μm、更に好ましくは50〜200μmに設定することで、活物質層内に電解液を十分且つ均一にに供給でき、また活物質の粒子2aの体積変化を効果的に緩和できるようになる。ピッチは、隣り合う孔5の中心を結ぶ長さで定義される。孔5の配置がランダムな場合には、平均値をもってピッチの値とする。本実施形態においては、負極10の第1の面1aにおけるピッチと、第2の面1bにおけるピッチは実質的に同じになっている。しかし、各面でのピッチは同じである必要はなく、少なくとも一方の面におけるピッチが前述の範囲内であれば、所期の目的は達成される。
孔5は、負極10の第1の面1a及び第2の面1bの何れにおいても、均一に分布していることが好ましい。この観点から、負極10の表面における任意の部分に着目したとき、1cm×1cmの正方形の観察視野内に平均して100〜250000個、特に1000〜40000個、とりわけ5000〜20000個の孔5が開孔していることが好ましい。
本実施形態の負極10においては、孔5は負極10の厚さ方向に貫通している。しかし、活物質層内に電解液を十分に供給し、また活物質の粒子2aの体積変化を緩和するという孔5の役割に鑑みると、孔5は負極10の厚さ方向に貫通している必要はなく、負極10の表面において開孔し且つ少なくとも活物質層2において、その厚さ方向に延びていればよい。
次に本実施形態の負極10の好ましい製造方法を、図2を参照しながら説明する。本製造方法では、電解めっきによって集電層3bを形成し、次いでその上に活物質層2を形成し、更にその上に電解めっきによって集電層3aを形成し、最後に孔5を形成するという工程が行われる。先ず図2(a)に示すようにキャリア箔11を用意する。キャリア箔11は、負極10を製造するための支持体として用いられるものである。また製造された負極10をその使用の前まで、或いは電池組立加工の最中に支持しておき、負極10の取り扱い性を向上させるために用いられるものである。これらの観点から、キャリア箔11は、負極10の製造工程において及び製造後の搬送工程や電池組立工程等においてヨレ等が生じないような強度を有していることが好ましい。従ってキャリア箔11は、その厚みが10〜50μm程度であることが好ましい。先に述べた通り、キャリア箔1の重要な役割は負極10を製造するための支持体である。従って集電層3bの強度が十分である場合は必ずしもキャリア箔を用いて負極10を製造することを要しない。
キャリア箔11としては導電性を有するものを用いることが好ましい。この場合、導電性を有していれば、キャリア箔11は金属製でなくてもよい。しかし金属製のキャリア箔11を用いることで、負極10の製造後にキャリア箔11を溶解・製箔してリサイクルできるという利点がある。金属製のキャリア箔11を用いる場合、Cu、Ni、Co、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Ag、Au、Al及びTiのうちの少なくとも1種類の金属を含んでキャリア箔11が構成されていることが好ましい。キャリア箔11としては、例えば圧延箔や電解箔などの各種方法によって製造された箔を特に制限なく用いることができる。
次に図2(b)に示すように、キャリア箔11の一面に剥離剤12を施して剥離処理を行う。剥離剤はキャリア箔11における粗面に施すことが好ましい。剥離剤12は、後述する剥離工程において、キャリア箔11から負極10を首尾良く剥離するために用いられる。剥離剤としては有機化合物を用いることが好ましく、特に窒素含有化合物又は硫黄含有化合物を用いることが好ましい。窒素含有化合物としては、例えばベンゾトリアゾール(BTA)、カルボキシベンゾトリアゾール(CBTA)、トリルトリアゾール(TTA)、N',N'−ビス(ベンゾトリアゾリルメチル)ユリア(BTD−U)及び3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール(ATA)などのトリアゾール系化合物が好ましく用いられる。硫黄含有化合物としては、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、チオシアヌル酸(TCA)及び2−ベンズイミダゾールチオール(BIT)などが挙げられる。これらの有機化合物はアルコール、水、酸性溶媒、アルカリ性溶媒などに溶解して用いられる。例えばCBTAを用いた場合、その濃度は2〜5g/1とするのが好ましい。剥離性は、剥離剤の濃度や塗布量によって制御できる。一方、有機化合物による剥離層に代えて、クロム、鉛、クロメート処理などによる無機系剥離層を形成させることも有効である。剥離剤を施す工程は、あくまでも、後述する剥離工程(図2(g))において、キャリア箔11から負極10を首尾良く剥離するために行われるものである。
剥離剤12が形成されたキャリア箔11は電解めっき処理に付されて、図2(c)に示すように塗膜12上に集電層3bが形成される。集電層3bを形成するためのめっき浴やめっき条件は、集電層3bの構成材料に応じて適切に選択される。集電層3bを例えば銅から構成する場合には、めっき浴として以下の組成を有する硫酸銅浴やピロリン酸銅浴を用いることができる。これらのめっき浴を用いる場合の浴温は40〜70℃程度であり、電流密度は0.5〜50A/dm2程度であることが好ましい。なお、これらの条件で電解めっきを行うと、集電層3bに、その厚さ方向に延び、負極10の表面から活物質層2にわたる微細な空隙(図示せず)が多数形成される。この微細な空隙は、微細であるものの電解液の流通が可能な程度の寸法を有しているので、活物質層2内に電解液を十分に供給するという孔5の役割を補助する働きを有している。
・CuSO4・5H2O 150〜350g/l
・H2SO4 50〜250g/l
次に図2(d)に示すように集電層3b上に、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層2を形成する。スラリーは、活物質の粒子の他に、導電性炭素材料の粒子、結着剤及び希釈溶媒などを含んでいる。これらの成分のうち、活物質の粒子及び導電性炭素材料の粒子については先に説明した通りである。結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、スチレンブタジエンラバー(SBR)などが用いられる。希釈溶媒としてはN−メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが用いられる。スラリー中における活物質の粒子の量は14〜40重量%程度とすることが好ましい。導電性炭素材料の粒子の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。結着剤の量は0.4〜4重量%程度とすることが好ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリーを調製する。
スラリーの塗膜を乾燥させて活物質層2を形成する。形成された活物質層2は、粒子間に多数の微小空間を有する。活物質層2が形成されたキャリア箔11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して電解めっきを行う。めっき浴への浸漬によって、めっき液が活物質層2内の前記微小空間に浸入して、活物質層2と集電層3bとの界面にまで達する。その状態下に電解めっきが行われる(以下、このめっきを浸透めっきともいう)。その結果、(a)活物質層2の内部、及び(b)活物質層2の内面側(即ち集電層3bと対向している面側)において、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が析出して、該材料が活物質層2の厚み方向全域に亘って浸透する。
浸透めっきの条件は、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を活物質層2中に析出させるために重要である。例えばリチウム化合物の形成能の低い金属材料として銅を用いる場合、硫酸銅系溶液を用いるときには、銅の濃度を30〜100g/l、硫酸の濃度を50〜200g/l、塩素の濃度を30ppm以下とし、液温を30〜80℃、電流密度を1〜100A/dm2とすればよい。ピロ燐酸銅系溶液を用いる場合には、銅の濃度2〜50g/l、ピロ燐酸カリウムの濃度100〜700g/lとし、液温を30〜60℃、pHを8〜12、電流密度を1〜10A/dm2とすればよい。これらの電解条件を適宜調節することで、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が活物質層2の厚み方向全域に亘って析出する。特に重要な条件は電解時の電流密度である。電流密度が高すぎると、活物質層2の内部での析出が起こらず、活物質層2の表面でのみ析出が起こってしまう。
次に図2(e)に示すように、活物質層2の上に電解めっきによって集電層3aを形成する。電解めっきの条件は、集電層3bを形成したときの条件とすることができる。なお、集電層3bの形成に関して先に述べた通り、電解めっきの条件によっては、集電層3aにも、その厚さ方向に延び、負極10の表面から活物質層2にわたる微細な空隙(図示せず)が多数形成される。この微細な空隙の働きは先に述べた通りである。
次に、図2(f)に示すように、所定の孔あけ加工によって両集電層3a,3b及び活物質層2を貫通する孔5を形成する。孔5の形成方法に特に制限はない。例えばレーザ加工によって孔5を形成することができる。或いは針やポンチによって機械的に穿孔を行うこともできる。更に、サンドブラスト加工によって穿孔を行うこともできる。孔5は、実質的に等間隔に存在するように形成されることが好ましい。そうすることによって、電極全体が均一に反応を起こすことが可能となるからである。
最後に、図2(g)に示すようにキャリア箔11を集電層3bから剥離分離する。これによって負極10が得られる。なお、図2(g)においては剥離剤12が集電層3b側に残るように描かれているが、該剥離剤12はその厚さや導電性ポリマーの種類によってキャリア箔11側に残る場合もあれば、集電層3b側に残る場合もある。或いはこれら双方に残る場合もある。なお、先に述べた通り、負極10をその使用の前まではキャリア箔11から剥離せず、キャリア箔11に支持させておいてもよい。
このようにして得られた本実施形態の負極は、公知の正極、セパレータ、非水系電解液と共に用いられて非水電解液二次電池となされる。正極は、正極活物質並びに必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、さらに裁断、打ち抜きすることにより得られる。正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の従来公知の正極活物質が用いられる。セパレータとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン又はポリプロピレン多孔質フイルム等が好ましく用いられる。非水電解液は、リチウム二次電池の場合、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiC1O4、LiA1Cl4、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiC1、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示される。
次に、本発明の負極の第2の実施形態を、図3を参照しながら説明する。第2の実施形態に関し特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図3において、図1及び図2と同じ部材に同じ符号を付してある。
本実施形態の負極10は、その基本構成部材として、二つの負極前駆体20及び金属リチウム層7を有している。金属リチウム層7は、負極前駆体20の間に挟持されている。
負極前駆体20は、集電層3と、該集電層3の一面に配された活物質層2とを備えている。図4に示すように、金属リチウム層7は、各負極前駆体20における活物質層2どうしが対向し且つ集電層3が外方を向くように両負極前駆体20間に挟持されている。
二つの活物質層2間に介在配置された金属リチウム層7は、非水電解液の存在下に、活物質(負極活物質)との間に局部電池を構成する。これによって金属リチウムが、金属リチウム層7の近傍に位置する活物質と化学的に反応してリチウム化物を形成する。或いはリチウムの濃度勾配に起因してリチウムが活物質と反応してリチウム化物を形成する。このように、金属リチウム層7はリチウムの供給源として作用する。その結果、充放電サイクル或いは長期保存時における電解液との反応などによってリチウムが消費されても、リチウム化物からリチウムが供給されるので、リチウム枯渇の問題が解消される。それによって負極10の長寿命化が図られる。金属リチウム層7は、負極10の表面に露出しておらず、負極10の内部に位置しており、またリチウムは活物質中と反応してリチウム化物を形成するので、内部短絡や発火の原因となるリチウムのデンドライトが生成するおそれも少ない。リチウムが反応した後の金属リチウム層7にはリチウムと活物質とが反応して体積膨張したリチウム化合物が存在する。
特筆すべきは、負極10を電池に組み込んで充電を行わずとも、金属リチウムと活物質との反応が起こることである。この現象は本発明者らが初めて見いだしたものである。電池の組み込み前に金属リチウムと活物質との反応が起こることで、活物質は、電池の組み込み前に既に体積が増加した状態になっている。従って、その後に負極10を電池に組み込み充放電を行っても、充放電に起因する負極10の膨張率は極めて小さい。その結果、本実施形態の負極10は、充放電による活物質の体積変化に起因する変形が極めて起こりづらいという非常に有利な効果を奏する。
金属リチウムの量は、活物質の飽和可逆容量に対して0.1〜70%、特に5〜30%であることが、容量回復特性が良好になることから好ましい。
次に図3に示す負極10の好ましい製造方法を、図4を参照しながら説明する。なお本製造方法に関し特に説明しない点については、図2に示す製造方法に関する説明が適宜適用される。先ず、負極前駆体20を製造する。負極前駆体20の製造には、図4(a)に示すようにキャリア箔11を用意する。次に、必要に応じ、図4(b)に示すように、キャリア箔11の一面上に、剥離剤12を施して剥離処理を行う。次に図4(c)に示すように、剥離剤12を施した上に、集電層3の構成材料を電解めっきによって電析させて集電層3を形成する。集電層3上には、図4(d)に示すように、活物質の粒子を含む導電性スラリーを塗布して活物質層2を形成する。スラリーの塗膜が乾燥して活物質層2が形成された後、該活物質層2が形成されたキャリア箔11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材料を含むめっき浴中に浸漬して浸透めっきを行う。
このようにしてキャリア箔11上に集電層3と活物質層2とをこの順で備えた負極前駆体20を形成する。これを一対用い、図4(e)に示すように、各負極前駆体20における活物質層2どうしが対向するように、金属リチウム箔30を両負極前駆体20間に挟み込む。それによって金属リチウム箔30と両負極前駆体20とを貼り合わせにより一体化させる。この場合、金属リチウム箔30と両負極前駆体20とを単に重ね合わせて圧着させるだけの操作でこれら三者を貼り合わせることができる。貼り合わせを強固にしたい場合には、導電性ペースト等の導電性接着材料を用いてこれら三者を貼り合わせてもよい。或いは、一対の負極前駆体20を張り合わせる前に予めキャリア箔を分離除去しても良い。
次に、図4(f)に示すように、一方のキャリア箔11を集電層3から剥離させ、集電層3を露出させる。一方の集電層3が露出したら、図4(g)に示すように、所定の孔あけ加工によって両集電層3,3、両活物質層2,2及び金属リチウム箔30を貫通する孔5を形成する。最後に、図4(h)に示すように、もう一方のキャリア箔11をもう一方の集電層3から剥離分離する。これによって目的とする負極10が得られる。
次に、本発明の負極の第3及び第4の実施形態について図5〜図7を参照しながら説明する。第3及び第4の実施形態に関し特に説明しない点については、第1及び第2の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図5〜図7において、図1〜図4と同じ部材に同じ符号を付してある。
図5に示す第3の実施形態の負極10においては、一対の集電層3a,3b間に、一層の活物質層2及び一層の金属リチウム層7が介在配置されている。そして、負極10をその厚み方向に貫通する孔5が多数形成されている。活物質層2とそれに隣接する集電層3aは、第2の実施形態の負極における負極前駆体20に相当するものである。
図6に示す第4の実施形態の負極10は、活物質層2とそれに隣接する集電層3からなる負極前駆体20を一対備えている。また各面に金属リチウム層7が配された導電性箔8も備えている。各面に金属リチウム層7が配された導電性箔8は、各負極前駆体20における活物質層2どうしが対向し且つ集電層3が外方を向くように両負極前駆体20間に挟持されている。
図6に示す実施形態の負極10は、図5に示す実施形態の負極に比較して、導電性箔8を備えている分だけ強度が高いものである。このことは、ジェリー・ロール・タイプの電池を作製する場合に有利である。この観点から、導電性箔8はその厚さが好ましくは5〜15μmである。導電性箔8は一般に金属箔から構成される。導電性箔8を構成する材料としては、リチウム化合物の形成能の低い金属材料が挙げられる。そのような材料としては、集電層3や、浸透めっきに用いられる金属材料4として先に説明した材料と同様のものを用いることができる。また、強度を高める観点から、ステンレス箔や高強度圧延合金箔を用いることも有効である。
図6に示す実施形態の負極10の好ましい製造方法は次の通りである。先ず、図7(a)に示すように、導電性箔8を用意し、その各面に金属リチウム層7を形成する。金属リチウム層7は公知の薄膜形成手段、例えば真空蒸着法等によって形成することができる。これとは別に、図2に示す第1の実施形態の負極の製造方法に従い、活物質層2とそれに隣接する集電層3からなる負極前駆体20を予め製造しておき、図7(b)に示すように、金属リチウム層7が形成された導電性箔8を、一対の負極前駆体20によって挟み込む。負極前駆体20はキャリア箔11によって支持されている。挟み込みに際しては、各負極前駆体20における活物質層2どうしが対向し、集電層3が外方を向くようにする。次いで図7(c)に示すように、一方のキャリア箔11を集電層3から剥離させ、集電層3を露出させる。一方の集電層3が露出したら、図7(d)に示すように、所定の孔あけ加工によって両集電層3,3、両活物質層2,2、両金属リチウム層7,7及び導電性箔8を貫通する孔5を形成する。最後に、図7(e)に示すように、もう一方のキャリア箔11をもう一方の集電層3から剥離分離する。これによって目的とする負極10が得られる。
図8には、本発明の第5の実施形態の負極が示されている。図8に示す負極10は、これまでに説明してきた負極と異なり、活物質層2がシリコン系材料の粒子を含まず、各種薄膜形成手段によって形成されたシリコン系材料の薄膜からなる。シリコン系材料の薄膜からなる活物質層2は、厚膜導電体40の少なくとも一面(図8においては、両面)に形成されている。
本実施形態における活物質層2は、例えばスパッタリングや蒸着法などの薄膜形成手段によって形成される。このようにして形成された活物質層2の厚みは、0.1〜50μm、特に1〜10μmであることが好ましい。一方、厚膜導電体40の厚みは、3〜40μm、特に3〜20μmであることが好ましい。厚膜導電体40としては、例えば各種箔やエキスパンドメタルなどを用いることができる。厚膜導電体40の構成材料としては、これまで説明してきた実施形態における集電層の構成材料と同様のものを用いることができる。
本実施形態においては、活物質層2が負極10の表面に露出しているが、これに代えて活物質層2の表面を、これまで説明してきた実施形態における集電層によって被覆してもよい。これによって充放電に起因して活物質層2が微粉化してもその脱落を効果的に防止できる。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されず種々の変更が可能である。例えば、図1に示す第1の実施形態や、図5に示す第3の実施形態においては、一方の集電層3bに代えて、従来の電極に用いられてきた集電体と呼ばれる集電用の厚膜導電体(例えば厚さ12〜35μm程度の金属箔やエキスパンドメタル)を用いてもよい。
また、従来の電極に用いられてきた集電体と呼ばれる集電用の厚膜導電体の各面に、負極前駆体20を重ね合わせ、これらを厚さ方向に貫通する孔を形成して負極を構成してもよい。
第1ないし第4の実施形態においては、浸透めっきが施された活物質層2が十分な強度を有する場合には、一対の集電層のうちの一方を形成しなくてもよく、或いは双方を形成しなくてもよい。
また第1ないし第4の各実施形態においては、活物質層2に浸透めっきを施さなくてもよい。
また第1ないし第4の実施形態においては、集電層3(3a,3b)は単層構造であったが、これに代えて、材料の異なる2種以上の層からなる多層構造にしても良い。例えば集電層3(3a,3b)をニッケルからなる内層と銅からなる外層の2層構造とすることで、活物質の体積変化に起因する負極の著しい変形を一層効果的に防止することができる。
また集電層3(3a,3b)の材料と、活物質層2中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料とが異なる場合には、活物質層2中に浸透しているリチウム化合物の形成能の低い金属材料は、活物質層2と集電層3(3a,3b)との境界部まで存在していてもよい。或いは、リチウム化合物の形成能の低い金属材料は、当該境界部を越えて集電層3(3a,3b)の一部を構成していてもよい。逆に、集電層3(3a,3b)の構成材料が、当該境界部を越えて活物質層2内に存在していてもよい。
更に、図3、図5及び図6に示す実施形態においては、金属リチウム層に孔を形成させなくてもよい。例えば、図3に示す実施形態においては、負極前駆体を製造した後、該負極前駆体に孔を形成し、孔が形成された一対の負極前駆体で金属リチウム箔30を挟み込めばよい。図5及び図6に示す実施形態についても同様である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜6〕
図2に示す方法に従い図1に示す負極を製造した。先ず、電解によって得られた銅製のキャリア箔(厚さ35μm)を室温で30秒間酸洗浄した。引き続き室温で30秒間純水洗浄した。次いで、40℃に保った状態の3.5g/lのCBTA溶液中に、キャリア箔を30秒間浸漬した。これにより剥離処理を行った。剥離処理後、溶液から引き上げて15秒間純水洗浄した。
キャリア箔を、H2SO4/CuSO4系のめっき浴に浸漬させて電解めっきを行った。これによって銅からなる集電層をキャリア箔の一面上に形成した。めっき浴の組成は、CuSO4が250g/l、H2SO4が70g/lであった。電流密度は5A/dm2とした。集電層は5μmの厚さに形成した。めっき浴から引き上げた後、30秒間純水洗浄して大気中で乾燥させた。
次に、集電層上に負極活物質の粒子を含むスラリーを膜厚20μmになるように塗布し活物質層を形成した。活物質粒子はSiからなり、平均粒径はD50=2μmであった。スラリーの組成は、活物質:アセチレンブラック:スチレンブタジエンラバー=98:2:1.7であった。
活物質層が形成されたにキャリア箔を、以下の浴組成を有するワット浴に浸漬させ、電解により、活物質層に対してニッケルの浸透めっきを行った。電流密度は5A/dm2、浴温は50℃、pHは5であった。陽極にはニッケル電極を用いた。電源は直流電源を用いた。この浸透めっきは、めっき面から一部の活物質粒子が露出する程度に行った。めっき浴から引き上げた後、30秒間純水洗浄して大気中で乾燥させた。
・NiSO4・6H2O 250g/l
・NiCl2・6H2O 45g/l
・H3BO3 30g/l
次に、Cu系のめっき浴にキャリア箔を浸漬させて電解めっきを行った。めっき浴の組成は、CuSO4が250g/l、H2SO4が70g/lであった。また、めっきの条件は、電流密度5A/dm2、浴温度40℃であった。これによって銅からなる集電層を活物質層上に形成した。この集電層は5μmの厚さに形成した。めっき浴から引き上げた後、30秒間純水洗浄して大気中で乾燥させた。
次に、活物質層上に形成された集電層に向けてYAGレーザを照射し、孔を規則的に形成した。孔は、両集電層及びそれらの間に位置する活物質層を貫通するように形成した。孔の直径、ピッチ、孔密度、開孔率を表1に示す。
最後に、キャリア箔とそれに接する集電層とを剥離して、一対の集電層間に活物質層が挟持されてなる非水電解液二次電池用負極を得た。
〔実施例7〕
電解によって得られた銅箔(厚さ35μm)の各面に、実施例1で用いたスラリーと同様のスラリーを、膜厚20μmになるように塗布して活物質層を形成した。活物質層に向けてYAGレーザを照射し、孔を規則的に形成して非水電解液二次電池用負極を得た。孔の直径、ピッチ、孔密度、開孔率を表1に示す。
〔実施例8〕
電解によって得られた銅箔(厚さ35μm)の各面に、スパッタリングによって、厚さ5μmのシリコンの層(活物質層)を形成した。活物質層に向けてYAGレーザを照射し、孔を規則的に形成して非水電解液二次電池用負極を得た。孔の直径、ピッチ、孔密度、開孔率を表1に示す。
〔比較例1〕
電解によって得られた銅箔(厚さ35μm)の各面に、実施例1で用いたスラリーと同様のスラリーを、膜厚20μmになるように塗布して活物質層を形成し、非水電解液二次電池用負極を得た。
〔比較例2及び3〕
孔の直径、ピッチ、孔密度、開孔率を表1に示す値とする以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用負極を得た。
〔性能評価〕
実施例及び比較例にて得られた負極を用い、以下の方法で非水電解液二次電池を作製した。この電池の1サイクル後の放電容量、負極厚み変化率、及び100サイクル後の容量維持率を以下の方法で測定、算出した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔非水電解液二次電池の作製〕
実施例及び比較例で得られた負極を作用極とし、対極としてLiCoO2を用いた。対極は、4mAh/cm2となるように、LiCoO2を厚み20μmのAl箔上に塗工して製造した。正極容量と負極容量との比率(前者:後者)は1:2とした。両極を、セパレータを介して対向させた。非水電解液としてLiPF6/エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合液(1:1容量比)を用いて通常の方法によって非水電解液二次電池を作製した。
〔1サイクル後の放電容量〕
単位重量当たり及び単位容積当たりの放電容量を測定した。単位重量当たりの放電容量は、活物質(Si)の重量を基準とした。単位容積当たりの放電容量は、負極の体積を基準とした。但し、充電時の負極の膨張は考慮しなかった。
〔負極厚み変化率〕
宝泉株式会社製HS変位セルを用いて、1サイクルにおける充電に伴う負極の厚み変化を測定した。この変位セルでは、負極+セパレーター+正極LiCoO2の、全体の厚み変化が測定される。しかし、正極は充放電によってほとんど膨張せず、負極の厚み変化の寄与率が大きいので、測定している厚み変化は実質的に負極の厚み変化とみなせる。
〔100サイクル後の容量維持率〕
100サイクル後の放電容量を測定し、その値を最大負極放電容量で除し、100を乗じて算出した。
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の負極を用いた電池は、放電容量及び容量維持率が高いことが判る。更に、負極厚みの変化率が小さいことが判る。これに対して、縦孔の形成されていない比較例1の負極や、縦孔は形成されているものの、その径が小さい比較例2の負極を用いた電池は、活物質の体積変化に起因する応力を十分に緩和できないので、負極厚みの変化率が極めて大きいことが判る。縦孔の径が大きすぎる比較例3の負極を用いた電池では、負極の強度を維持することができず、サイクル性やハンドリングの面で不利であることが確認された。
本発明の負極の第1の実施形態の断面構造を示す模式図である。 図1に示す負極の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の負極の第2の実施形態の断面構造を示す模式図である。 図3に示す負極の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の負極の第3の実施形態の断面構造を示す模式図である。 本発明の負極の第4の実施形態の断面構造を示す模式図である。 図6に示す負極の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の負極の第5の実施形態の断面構造を示す模式図である。
符号の説明
1a,1b 表面
2 活物質層
3,3a,3b 集電層
4 リチウム化合物の形成能の低い金属材料
5 孔
7 金属リチウム層
8 導電性箔
10 負極
20 負極前駆体
30 金属リチウム箔
40 厚膜導電体

Claims (12)

  1. シリコン系材料の活物質層を備えた非水電解液二次電池用負極において、
    前記負極は、該負極の少なくとも一方の面において開孔し且つ前記活物質層の厚み方向に延びる孔を多数有し、
    前記孔は、その直径が5〜500μmで、ピッチが20〜10000μmであり、開孔率が0.3〜30%であることを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  2. 前記活物質層が、シリコン系の粒子を含む活物質層からなる請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  3. 前記活物質層において、電解めっきによって析出した金属材料が粒子間に浸透している請求項2記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 電解液と接する集電層を更に備え、該集電層よりも内側に前記活物質層が配されており、
    前記孔が、前記集電層及び前記活物質層の厚み方向に延びている請求項1ないし3の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 一対の前記集電層と、該集電層間に介在配置された前記活物質層とを備えており、
    前記孔が、少なくとも一方の前記集電層と前記活物質層の厚み方向に延びている請求項4記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. 前記集電層の厚みが0.3〜10μmである請求項4又は5記載の非水電解液二次電池用負極。
  7. 一対の前記集電層間に介在配置された金属リチウム層を更に備えている請求項5記載の非水電解液二次電池用負極。
  8. 一対の前記活物質層を備え、該活物質層間に前記金属リチウム層が介在配置されている請求項7記載の非水電解液二次電池用負極。
  9. 一対の前記金属リチウム層を備え、該金属リチウム層間に導電性箔が介在配置されている請求項7記載の非水電解液二次電池用負極。
  10. 薄膜形成手段により形成されたシリコン系の前記活物質層が、厚膜導電体の少なくとも一面に形成されている請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  11. 前記孔が負極の厚み方向に貫通している請求項1ないし10の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  12. 請求項1ないし11の何れかに記載の負極を備えていることを特徴とする非水電解液二次電池。
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