JP3609926B2 - ラックピニオン式ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操舵により回転するピニオンに噛み合うラックを支持する環状ラック支持部材を備えるラックピニオン式ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
操舵によって回転するピニオンに噛み合うラックを覆うハウジングの内周にブッシュを嵌め合わせ、そのブッシュの内周によりラックを支持するラックピニオン式ステアリング装置が用いられている。
【0003】
そのブッシュとしてポリアセタール等の合成樹脂製のものを用いた場合、熱変形量が大きく剛性が小さいため、ラックにがたつきが生じることがある。そのラックのがたつきは、合成樹脂製ブッシュが長期使用により摩耗した場合に大きくなる。そのようなラックのがたつきにより、ピニオンとラックの正確な噛み合いを確保できなくなり、操舵フィーリングが低下する。特に、ステアリングシャフトを介してピニオンに操舵補助力を付与するタイプのパワーステアリング装置の場合、正確な噛み合いの確保ができないと、ピニオンやラックの歯が欠けるおそれがある。
【0004】
そのブッシュとして金属製のものを用いた場合、ラックの曲がりを吸収できるようにブッシュの内周面とラックの外周面との間に隙間が必要になる。そのため、ラックとブッシュとの衝突による打撃音が大きくなるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することのできるラックピニオン式ステアリング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のラックピニオン式ステアリング装置は、操舵によって回転するピニオンと、そのピニオンに噛み合うラックと、そのラックを覆うハウジングと、そのハウジングの内周とラックの外周との間において径方向から挟まれる金属製環状ラック支持部材と、そのラック支持部材とラックとの間に介在する金属製環状スペーサと、前記ハウジングに固定されるホルダーとを備え、前記ホルダーの内周の周溝に前記ラック支持部材と前記スペーサが嵌め合わされ、その金属製環状スペーサの内周側に摩擦低減材がコーティングされ、そのラック支持部材は、リング本体と、このリング本体における周方向に間隔をおいた複数位置から径方向へ突出する突出部とを有し、前記各突出部は、前記リング本体における幅方向両側よりも内側から径方向外方へ突出され、各突出部の弾性変形量に応じた径方向弾力が、前記リング本体の内周面とスペーサの外周面との接触部、および、前記摩擦低減材を介してラックに作用される。
本件発明の構成によれば、ラックを摩擦低減材を介して支持する環状ラック支持部材は金属製であるので、合成樹脂製とする場合に比べて熱変形量を小さく剛性を大きくできる。また、そのラック支持部材の突出部は、ハウジングの内周とラックの外周との間において径方向から挟まれることで弾性変形し、摩擦低減材を介してラックに弾性変形量に応じた径方向弾力を作用させる。よって、ラックと摩擦低減材との間に隙間が生じることはない。これにより、ラックのがたつきを防止し、ピニオンとラックの正確な噛み合いを確保し、操舵フィーリングが低下するのを防止でき、ピニオンやラックの歯が欠けるのを防止できる。また、ラックとラック支持部材との間に隙間が生じることはないので、打撃音の発生を防止でき、そのラック支持部材の径方向弾性変形によりラックの曲がりを吸収できる。また、環状スペーサの内周にコーティングされた摩擦低減材を介して、各突出部の弾性変形量に応じた径方向弾力をラックに周方向において均一に作用させることが可能になり、より円滑なラックの移動を確保できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0009】
図1に示すラックピニオン式パワーステアリング装置1は、ステアリングホイールHに連結されるステアリングシャフト2と、このステアリングシャフト2に連結されるピニオン3と、このピニオン3に噛み合う金属製ラック4と、このラック4を覆うハウジング5とを備える。このハウジング5の両端から突出するラック4の両端に、ボールジョイント6を介してタイロッド7が連結され、そのタイロッド7に図外ナックルアーム等を介して車輪が連結される。これにより、操舵によるピニオン3の回転によりラック4が軸線方向に移動し、そのラック4の移動によって舵角が変化する。そのハウジング5に取り付けられるモータ8の出力が、伝動機構(図示省略)を介してステアリングシャフト2に伝達されることで、操舵補助力を付与することが可能とされている。その操舵補助力の付与機構は公知の構成を用いることができる。そのハウジング5内への塵埃や泥等の浸入を防止するため、ハウジング5の各端部において、外周が蛇腹状の筒状伸縮カバー9が、ハウジング5の端部外周とタイロッド7の外周とに嵌め合わされている。
【0010】
図2、図3に示すように、そのハウジング5の各端部に、アルミ合金やスチール等の金属製の筒状ホルダー11が固定されている。本実施形態では、そのハウジング5の内周に形成された雌ねじ5′にホルダー11の外周に形成された雄ねじ11′ねじ合わされる。そのホルダー11の一端は、外周が六角形に沿う工具当接部11″とされている。
【0011】
そのホルダー11の内周に形成された周溝11aに、バネ鋼等の金属製の環状ラック支持部材12が嵌め合わされている。図4の(1)、(2)に示すように、そのラック支持部材12は、割り溝12aを有するリング本体12bと、この本体12bにおける幅方向両側よりも内側の周方向に等間隔おいた複数位置から径方向外方へ突出する突出部12cとを有する一体成形品である。このようなラック支持部材12として、例えばトレランスリング(レンコルトレランスリングス社製、SV型)を用いることができる。
【0012】
そのラック支持部材12とラック4との間に、鋼等の金属製の環状スペーサ13が介在する。そのラック支持部材12は、ハウジング5の内周とラック4の外周との間において、そのホルダー11とスペーサ13とに径方向から挟まれ、これにより各突出部12cは弾性変形する。そのスペーサ13は、可撓製を有する金属製の帯板を環状に湾曲することで構成できる。そのスペーサ13の内周に摩擦低減材14がコーティングされる。その摩擦低減材14は、操舵時においてラック4の軸線方向移動を阻止する摩擦力を、摩擦低減材14を設けない場合に比べて低減できるものであればよく、例えばテフロンがコーティングされる。その摩擦低減材14のコーティング厚さは、装置寿命内において摩擦低減効果を奏することができるように適宜定めればよい。上記ラック支持部材12の各突出部12cの弾性変形量に応じた径方向弾力が、上記リング本体12bの内周面とスペーサ13の外周面との接触部、および、その摩擦低減材14を介してラック4に作用される。
【0013】
なお、各ラック支持部材12の内周には、ラック4の軸線方向に沿う溝12dが周方向に等間隔をおいて3か所に形成され、両伸縮カバー9の内部空間がラック4の外周とハウジング5の内周との間の空間を介して互いに連絡される。これにより、ラック4の軸線方向移動時に、両伸縮カバー9の内部の空気を一方から他方に移動させ、各伸縮カバー9の内圧上昇を防止し、ラック4の移動が阻止されるのを防止している。
【0014】
上記構成によれば、ラック4を摩擦低減材14を介して支持するラック支持部材12は金属製であるので、合成樹脂製とする場合に比べて熱変形を小さく剛性を大きくできる。また、そのラック支持部材12の突出部12cは、ハウジング5の内周とラック4の外周との間において径方向から挟まれることで弾性変形し、摩擦低減材14を介してラック4に弾性変形量に応じた径方向弾力を作用させる。よって、ラック4と摩擦低減材14との間に隙間が生じることない。これにより、ラック4のがたつきを防止し、ピニオン3とラック4の正確な噛み合いを確保し、操舵フィーリングが低下するのを防止でき、ピニオン3やラック4の歯が欠けるのを防止できる。また、ラック4とラック支持部材12との間に隙間が生じることはないので、打撃音の発生を防止でき、そのラック支持部材12の径方向弾性変形によりラック4の曲がりを吸収できる。また、スペーサ13の内周にコーティングされた摩擦低減材14を介して、各突出部12cの弾性変形量に応じた径方向弾力をラック4に周方向において均一に作用させることが可能になり、より円滑なラック4の移動を確保できる。
【0015】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、ラック支持部材として、上記のようなトレランスリングに代えて、図5の(1)、(2)に示すように、割り溝112aを有する金属製リング本体112bと、この本体112bにおける幅方向両側よりも内側の周方向に等間隔おいた複数位置から径方向内方へ突出する突出部112cとを有するラック支持部材112を用い、各突出部112cの内周をラックの外周に沿って湾曲させ、上記のようなスペーサ13を設けることなく、ラック支持部材112の内周側の突出部112cの内周に摩擦低減材114を直接にコーティングしてもよい。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば、ラックのがたつきを防止してピニオンとラックの正確な噛み合いを確保することで、操舵フィーリングの低下やピニオンやラックの歯の欠けを防止でき、さらに打撃音の発生を防止できるラックピニオン式ステアリング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のラックピニオン式ステアリング装置の正面図
【図2】本発明の実施形態のラックピニオン式ステアリング装置の要部の上半分の断面図
【図3】図2のIII‐III線断面図
【図4】本発明の実施形態のラック支持部材の(1)は断面図、(2)は正面図
【図5】本発明の変形例のラック支持部材の(1)は断面図、(2)は正面図
【符号の説明】
3 ピニオン
4 ラック
5 ハウジング
12、112 ラック支持部材
12b、112b リング本体
12c、112c 突出部
13 スペーサ
14、114 摩擦低減材
Claims (1)
- 操舵によって回転するピニオンと、
そのピニオンに噛み合うラックと、
そのラックを覆うハウジングと、
そのハウジングの内周とラックの外周との間において径方向から挟まれる金属製環状ラック支持部材と、
そのラック支持部材とラックとの間に介在する金属製環状スペーサと、
前記ハウジングに固定されるホルダーとを備え、
前記ホルダーの内周の周溝に前記ラック支持部材と前記スペーサが嵌め合わされ、
その金属製環状スペーサの内周側に摩擦低減材がコーティングされ、
そのラック支持部材は、リング本体と、このリング本体における周方向に間隔をおいた複数位置から径方向へ突出する突出部とを有し、
前記各突出部は、前記リング本体における幅方向両側よりも内側から径方向外方へ突出され、
各突出部の弾性変形量に応じた径方向弾力が、前記リング本体の内周面とスペーサの外周面との接触部、および、前記摩擦低減材を介してラックに作用されるラックピニオン式ステアリング装置。
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