JPS633888Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はピニオンギヤの回転運動をラツクバー
の軸方向の動きに変換するラツクアンドピニオン
式ステアリングギヤ装置に係り、特に、ラツクバ
ーをピニオンギヤに押し付けているラツクガイド
がギヤハウジング内部でガタつき、異音を発生す
るのを防止するようにしたラツクアンドピニオン
式ステアリングギヤ装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の第１図に示す構造のラツクアンドピニオ
ン式ステアリングギヤ装置においては、ギヤハウ
ジング１の内部に配置されたラツクバー２はラツ
クガイド３によつてピニオンギヤ（図示せず）に
押し付けられている。また、ラツクガイド３の後
端部には弾性部材４が組み込まれていると共に、
ラツクガイド３とガイドキヤツプ５との間にはガ
イドスプリング６が介装されている。なお、前記
ガイドキヤツプ５はギヤハウジング１のねじ部１
ａに螺合挿入され、ロツクナツト７を介して前記
ギヤハウジング１に固定されている。以上の構成
により、ラツクガイド３は弾性部材４とガイドス
プリング６の弾性力によりラツクバー２の方向へ
押し付けられ、これによつて、該ラツクガイド３
の軸方向のガタつきを抑制すると同時に、弾性部
材４によりラツクガイド３とガイドキヤツプ５の
直接接触による打音を防止している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような構成においては、ラ
ツクガイド３の径方向のガタつきによるラツクガ
イド３とギヤハウジング１間での打音の発生を抑
制できず、また弾性部材４のバネ定数の変化が急
激であるため、ガイドキヤツプ５を締め込むこと
によつて行なうラツクガイド押付力の調整（ギヤ
ボツクスプレロードの調整）が非常に困難である
という欠点があつた。

本考案の目的は上述した欠点に鑑みなされたも
ので、ラツクガイドの軸方向および径方向のガタ
付きを防止してラツクガイドとガイドキヤツプ、
ラツクガイドとギヤハウジング間での打音の発生
を抑制し、かつ弾性部材のバネ定数の変化を滑ら
かにしてギヤボツクスプレロードの調整を容易に
したラツクアンドピニオン式ステアリングギヤ装
置を提供するにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本考案のラツクアン
ドピニオン式ステアリングギヤ装置は、ギヤハウ
ジング内部に配置されたラツクバーをピニオンギ
ヤに押し付けるラツクガイドと、該ラツクガイド
の後端側に位置するようラツクギヤハウジングに
固定されたガイドキヤツプと、ラツクガイドとガ
イドキヤツプとの間に介装された矩形断面を有す
る円筒形状の弾性部材と、を備え、前記弾性部材
がラツクバーとラツクガイドとの接触部近傍で該
ラツクガイドの小径部に嵌設され大径部との段部
で支持されるとともに、前記ガイドキヤツプの弾
性部材との接触部面が、ラツクガイド軸に対して
該ラツクガイドの前端方向に拡開する傾斜面に形
成され、該傾斜面が弾性部材外周縁の隅角部に当
接するように構成したものである。

〔作用〕

このような構成とすれば、ラツクガイドの軸方
向と同時に径方向のガタ付きが防止され、これに
よつて、ラツクガイドとガイドキヤツプおよびラ
ツクガイドとギヤハウジング間での打音の発生が
抑制される。しかもこれと同時に弾性部材のバネ
定数の変化を滑らかにできるので、ギヤボツクス
プレロードの調整が容易となる。また、弾性部材
は、ラツクガイドの小径部に嵌設され大径部との
段部で支持されるので、矩形断面を有する円筒形
状の簡単な構造で所期の目的が達成される。

〔実施例〕

以下、図に示す実施例を用いて本考案の詳細を
説明する。

第２図は本考案に係わるラツクアンドピニオン
式ステアリングギヤ装置の一実施例を示す断面図
で、第１図と同一部分には同一の符号を付しその
詳細な説明は省略する。

本実施例にあつては、矩形断面を有する円筒形
状の弾性部材１０は、ラツクガイドの後端部ある
いはその近辺に設けるのではなく、ラツクガイド
３がラツクバー２から横力を受ける両者の接触部
１１に近い部分で、該ラツクガイド３の小径部３
ａの外周面に組み付けられ、該小径部３ａと大径
部との段部で支持されている。また、ギヤハウジ
ング１のねじ部１ａに螺合固定されたガイドキヤ
ツプ１２における前記弾性部材１０との接触部１
２ａ面は、ラツクガイド３の軸に対して該ラツク
ガイド３の前端方向に拡開する傾斜面、即ち第２
図において下方に向つて次第に広がる方向に傾斜
するテーパ面形状に形成されている。また、前記
弾性部材１０は、その側周縁の隅角部が前記ガイ
ドキヤツプ１２の傾斜面（接触部１２ａ面）に当
接するように配置され、ラツクガイド３とガイド
キヤツプ１２との間に、ラツクバー２とピニオン
ギヤが滑らかな歯み合い運動するに必要な隙間ａ
が設けられたときに、該隅角部がガイドキヤツプ
１２の接触部１２ａにより少し押しつぶされた状
態となるよう構成されている。

このような構成としたことにより、車両の走行
時にラツクガイド３がラツクガイド軸方向および
径方向にガタついたとしても、該ラツクガイド３
とギヤハウジング１間およびラツクガイド３とガ
イドキヤツプ１２間での打音の発生は確実に防止
できることになる。

しかも、これと同時に弾性部材１０のバネ定数
の変化を滑らかにできるので、ギヤボツクスプレ
ロードの調整が容易となる。この点をラツクガイ
ドストローク（ガイドキヤツプ締込み量）とラツ
クガイド押付力との関係を示す第３図により説明
する。

第３図において、ｂはガイドスプリング６の弾
性力によるもの、ｃはガイドスプリング６の弾性
力に第１図の弾性部材４の弾性力が加えられた時
のもの、ｄにガイドスプリング６の弾性力に第２
図の弾性部材１０の弾性力が加えられた時のもの
である。なおｅは弾性部材４，１０がガイドキヤ
ツプ５，１２に接触し始める点である。この図か
ら明らかなように、従来の構造ではｃのようにガ
イドキヤツプ５の締込み量がわずかに変化するこ
とによりラツクガイド押付力は急激に変化するこ
とになり、これによつて、ギヤボツクスプレロー
ドの調整が非常に困難であるが、これを第２図の
構造とすることにより、ｄのような状態となるの
で、従来に比べてギヤボツクスプレロードの調整
は容易となる。

また、弾性部材１０は、ラツクガイド３の小径
部３ａに嵌設され大径部との段部で支持されるの
で、矩形断面を有する円筒形状の簡単な構造で所
期の目的を達成できる利点もある。

〔考案の効果〕

本考案によれば、ラツクガイドの軸方向と同時
に径方向にガタ付きを防止でき、これによつてラ
ツクガイドとガイドキヤツプおよびラツクガイド
とギヤハウジング間での打音の発生を抑制でき
る。しかも、これと同時に弾性部材のバネ定数の
変化を滑らかにできるので、ギヤボツクスプレロ
ードの調整が容易となる。また、弾性部材は、ラ
ツクガイドの小径部に嵌設され大径部との段部で
支持されるので、矩形断面を有する円筒形状の簡
単な構造で所期の目的を達成できる等の効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のラツクアンドピニオン式ステア
リングギヤ装置の断面図、第２図は本考案に係わ
るラツクアンドピニオン式ステアリングギヤ装置
の一実施例を示す断面図、第３図はラツクガイド
ストロークとラツクガイド押付力との関係を示す
図である。 １……ギヤハウジング、２……ラツクバー、３
……ラツクガイド、１０……弾性部材、１１……
接触部、１２……ガイドキヤツプ、１２ａ……接
触部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ギヤハウジング内部に配置されたラツクバーを
   ピニオンギヤに押し付けるラツクガイドと、該ラ
   ツクガイドの後端部に位置するようギヤハウジン
   グに固定されたガイドキヤツプと、ラツクガイド
   とガイドキヤツプとの間に介装された矩形断面を
   有する円筒形状の弾性部材と、を備え、前記弾性
   部材がラツクバーとラツクガイドとの接触部近傍
   で該ラツクガイドの小径部に嵌設され大径部との
   段部で支持されるとともに、前記ガイドキヤツプ
   の弾性部材との接触部面が、ラツクガイド軸に対
   して該ラツクガイドの前端方向に拡開する傾斜面
   に形成され、該傾斜面が弾性部材外周縁の隅角部
   に当接するように構成したことを特徴とするラツ
   クアンドピニオン式ステアリングギヤ装置。