JP7270512B2 - 等速ジョイント用ブーツ - Google Patents
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Description
このようなブーツは、等速ジョイントの外筐が挿入される第1の端部(大径側の端部)と、該外筐内部から突き出した軸部が挿入される第2の端部(小径側の端部)と、第1の端部と第2の端部との間に形成され、周方向に連続する環状の凸状部(山部)および環状の凹状部(谷部)が、ブーツの軸方向に繰り返し配列されて構成されているベローズ部とで全体略円すい状に構成されている。
そして、通常、上記等速ジョイント用ブーツは、その第1の端部および第2の端部をそれぞれ等速ジョイントの外筐の外周面と、該外筐内部から突き出た軸部の外周面とにそれぞれバンドによって締結され、液密に固定される。
また、特許文献2には、前輪駆動車のドライブシャフト用ジョイント等に不可欠な等速ジョイントを被覆する等速ジョイント用ブーツに関する技術が開示され、蛇腹部(ベローズ部)における軸方向で最も大径筒部(第1の端部)寄りに存した第1山部(山部)と大径筒部(第1の端部)との間には、外方から見て凹部(谷部)を存している。すなわち、第1の端部とベローズ部とは凹部(谷部)によって接続されている。そして、この凹部に対応して第1の端部のべローズ部側には、内径方向に突出したフランジ部が開示されており、このフランジ部に外筐が当接することにより組付け時の位置決めがなされている。なお、このフランジ部は、上述の最も第1の端部寄りに存した山部から内径方向且つ第1の端部に向けて傾斜状のテーパー面をもって連続して突出している。
いずれの等速ジョイント用ブーツにおいても、内径方向に突出するフランジ部を第1の端部とベローズ部との境界部分、すなわち、境界領域に設ける場合、フランジ部の存在が、ベローズ部の第1の端部近接部位に剛性を付与し変形しづらくなるので、挟み込みを防止するためにベローズ部の変形の起点をフランジ部からなるべく離す必要があり、そのため、等速ジョイント用ブーツのコンパクト化が困難となる。
前記等速ジョイントに接続された軸部が挿入される第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間にわたって形成されるベローズ部とで構成され、
前記第1の端部と前記ベローズ部との境界領域には、前記第1の端部の内面よりも径方向外方に向けて窪む環状凹部を有し、
前記第1の端部の外周面には、前記環状凹部の下端部から軸方向に所定距離を有した位置に、径方向外方に延びる立上り部を有し、
前記第1の端部の内面よりも径方向内方に向けて突出するフランジ部を備えた等速ジョイント用ブーツであって、
前記環状凹部は、前記凹部の下端部から前記ベローズ部の下端部にわたり断面視で軸方向に連続する直線部を有し、
前記フランジ部は、前記環状凹部の下端部から径方向内方に向けて前記外筐の上方に位置するように突出すると共に、前記立上がり部と前記環状凹部との間に、少なくとも一部が設けられていることを特徴とする等速ジョイント用ブーツとしたことである。
前記トリポッドジョイントの外筐の軸方向溝の溝面に適合して、前記第1の端部の内周面に張り出して形成された複数の厚肉部と、前記円筒面の外面に適合する円弧状の内面を有し、前記厚肉部間に配される薄肉部と、を含み、
前記フランジ部は、前記厚肉部と一体になって突出する第一フランジ部からなることを特徴とする等速ジョイント用ブーツとしたことである。
なお、本実施形態においては、フリー状態の等速ジョイント用ブーツの中心軸に沿う第1の端部方向を下方又は下とし、上記中心軸に沿う第2の端部方向を上方又は上とし、軸方向とは、上記中心軸に沿う方向として説明する。また、本実施形態は本発明の一例にすぎずなんらこれに限定解釈されるものではなく、本発明の範囲内で設計変更可能である。
外筐2の外周面3は、図9に示すように、外筐2の軸心と同心の円筒面状に形成されている3箇所の円筒面4と、夫々の円筒面4の両側から断面視円弧状に窪まされて形成された3箇所の軸方向溝5が形成されている。
すなわち、外筐2の外周面3は、120°ずつ周方向にずれて3面が形成された円筒面4と、これら各円筒面4間に夫々設けられた3つの軸方向溝5の面とからなる。そして、軸方向溝5を有する各領域の外筐内周面は内径方向に突出する3箇所の突条部60を備えるとともに、隣り合う突条部60間の外筐内周面は、ドライブシャフトの軸部30に三叉状に装着された3組のローラ(ベアリング)40,40,40が、それぞれ外筐2内にて軸方向(図8にて矢印100で示す方向)に滑動可能に配されるローラ溝50,50,50を備えて構成されている(図8乃至図10参照。)。
なお、図に示す等速ジョイント1を構成する外筐2、軸部30、ローラ40等の大きさ・厚みなどの寸法・比率等は概略であって正確ではない。
図1に示すように、ブーツ6は全体を筒状に形成され、トリポッドジョイント1の外筐2側に固定される第1の端部(大径側の端部)10と、その第1の端部10よりも小径に形成され、図8に示す外筐2内部から突き出した軸部30側に固定される第2の端部(小径側の端部)7とを有する。
そして、第1の端部10と第2の端部7との間には、可撓性を有し屈曲可能に構成された蛇腹状のベローズ部9が形成されている。
なお、本実施形態の場合、ブーツ6は、例えば熱可塑性のポリエステル系エラストマ等の弾性を有する樹脂から形成されているものを想定している。
この小径側バンド締結部8には、ブーツ6を図8に示す外筐2内部から突き出した軸部30側に締結するためのバンド(図示省略)が装着される。
第2の端部7の内周面は、ドライブシャフトの軸部30側の外周面に適合して嵌合可能な内径を有している。本実施形態では、軸部30の外周に凹設されている環状溝部に嵌合可能な環状のずれ防止突部7aが形成されている。
また、図示はしないが、その内周面には、軸心方向に向けて突出する周方向に連続した突条(シールリップ)が形成されている。なお、この突条は、小径側バンド締結部8の緊迫力が付与される位置であれば、第2の端部7の内周面に設けることとしてもよい。この突条の形状及び配設本数などは特に限定されず本発明の範囲内で設計変更可能である。なお、突条を有しない形態であっても本発明の範囲内である。
本実施形態の場合には、例えば7つの凸状部9aと6つの凹状部9bとが繰り返し配列され、各凸状部9aおよび凹状部9bは、夫々第2の端部7側から第1の端部10側に向かうにつれて径が大きく設定され、その結果、ベローズ部9は、全体として略円すい状に形成されている。
ベローズ部9の最も第1の端部10寄りの凸状部に関しては、説明上、以後突条部16と呼称する。(図1、図3及び図4参照。)。
この大径側バンド締結部11には、ブーツ6を、図8乃至図10に示すトリポッドジョイント1の外筐2の軸方向溝5の溝面を含む外周面3に締結するためのバンド(図示省略)が装着される。
それぞれの第一フランジ部18と第二フランジ部19とは、環状に連続して備えられているものではなく、周方向で断続的に備えられている(図2、図3、図7参照。)。
すなわち、第一フランジ部18は、図8及び図9に示すように、外筐2の開口側の端面2aが当接して挿入時の位置決めが可能な程度に突出していれば良い。また、矩形状ではなく軸方向溝5から突出した円弧状の相似形状でもよい。つまり、外筐2の開口側の端面2aが当接してブーツ挿入時の位置決めが可能、且つ、外筐2に内蔵されるジョイントが有する機能の妨げにならない形状であればよい。なお、本実施例においては、図2に示すように、薄肉部12方向に向かうに従ってその突出量は多くなり、外筐2の開口側の端面2aとの接触領域は広くなっている。この形状は、トリポッドジョイントにおいて、ローラの移動を規制しない好適な形状である。(図2、図3及び図10参照。)
この第二フランジ部19の内径方向に向けた突出程度は、第一フランジ部18よりも少なく構成されている。すなわち、第二フランジ部19は、外筐2の円筒面4の端面2bを当接させて位置決めをするものであるが、それ以上内径方向に突出させると、外筐2内に備えられているローラ溝50内に突出することとなり、ローラ40の軸方向の滑動(摺動)を妨げてしまう虞があるためである。
また、本実施形態においてセンター部20とサイド部21,21のそれぞれの下面(外筐2の開口側の端面2a,2bと対向する面)には湾曲状に形成された面取り20a,21aが施されている(図3、図4、図6及び図7参照。)。
本実施形態では、センター部20の形状を平面視で略矩形状とし、サイド部21,21の形状を平面視で略三角形状としているが、特にその形状に限定解釈されるものではなく適宜設計変更可能である。
本実施形態においては、上面18aと上面19aが、軸30に対して直交する方向に平坦(フラット)に形成される。これにより、第一フランジ部18又は第二フランジ部19の存在が、これに外周面で接続される突条部16の変形を阻害しない。
本実施形態においては、第一フランジ部と第二フランジ部の両方が設けられた等速ジョイント用ブーツを用いて説明したが、第一フランジ部のみを設けることとしても良い。またトリポッドジョイントでない等速ジョイント用のブーツにおいては、上述の第二フランジ部19が本発明のフランジ部として機能を有する。
そこで、従来では、このようなローラの外筐からの(ベローズ部内への)飛び出し現象を防止するため、様々な抜け止め機構が採用されている。
例えば、抜け止め機構の一つとしては、外筐の開口部寄りの内周面に環状凹溝を設け、その環状凹溝に止め輪(サークリップともいう)を嵌着した構造が知られている。このような構造とすることにより、(例えば、軸の軸方向変位時等において、)ローラが止め輪と干渉することでローラの飛び出し現象を防止する(軸方向変位量を規制する)ようにしている。
しかし、使用上必要な摺動量を確保しつつ止め輪を組み付けるスペースを用意し、外筐の開口部寄りの内周面に環状凹溝を旋削加工する手間が必要となり、かつ別部品である止め輪も必要となることから、外筐の大型化、旋削加工手間の追加および部品点数の増加等により製品のコストアップを招く虞があった。
図10に示す本発明の別の実施形態によれば、これら不具合を十分に解消し得るものである。
また、それぞれのサイド部21,21の突出量の他、サイド部21のローラ40との接触面領域を、ローラ40の外周に合わせた曲面状に構成、あるいはテーパー面状に構成することも可能で、このように構成することにより、ローラ40との接触時の応力又は衝撃力を小さくする(和らげる)ことが可能となりローラ40の外周面の傷つき防止を図ることが出来る。
また、必要に応じて、サイド部21,21を、センター部20に対して、軸方向に変位させて配するように設計変更することも可能である。例えば、ローラ40のベローズ方向への軸方向移動をさらに許容したい場合、サイド部21,21のみを第二の端部の開口寄りに配するものとすることもできる。
図示例では、センター部20と両サイド部21,21とを分割構成した一例をもって説明するが、本形態を採用する場合にあっても、センター部20と両サイド部21,21とを一体に成形することももちろん可能である。
従って、フランジ部は、第1の端部10の立上り部10aと環状凹部14の下端部14aとの境界領域に備えられ、このフランジ部の上方には、環状凹部14が設けられているため、この外周面となる突条部16の変形(柔軟性)に影響を及ぼすことがない。よって、ベローズ部に大きな変形が生じた場合であっても突条部16が自由に変形可能であるので、バンド締結部11への影響もなく、第1の端部10の内周面に設けられたシール部にも影響することが無い。
このような構成及び作用効果を発揮することにより、軸部(シャフト)30と外筐2との間で生じ得る噛み込み(挟み込み)を防止することが可能となる(図11参照。)。すなわち、等速ジョイントの大きな屈曲動作によるベローズ部9の大きな変形にも十分に対応可能であるから、コンパクト設計が可能となる。
2 外筐
30 軸部
40 ローラ(ベアリング)
7 第2の端部
9 ベローズ部
10 第1の端部
10a 立上り部
14 環状凹部
14a 下端部
16 突条部
17 フランジ部
18 第一フランジ部
19 第二フランジ部
Claims (5)
- 等速ジョイントの外筐が挿入される第1の端部と、
前記等速ジョイントに接続された軸部が挿入される第2の端部と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間にわたって形成されるベローズ部とで構成され、
前記第1の端部と前記ベローズ部との境界領域には、前記第1の端部の内面よりも径方向外方に向けて窪む環状凹部を有し、
前記第1の端部の外周面には、前記環状凹部の下端部から軸方向に所定距離を有した位置に、径方向外方に延びる立上り部を有し、
前記第1の端部の内面よりも径方向内方に向けて突出するフランジ部を備えた等速ジョイント用ブーツであって、
前記環状凹部は、前記凹部の下端部から前記ベローズ部の下端部にわたり断面視で軸方向に連続する直線部を有し、
前記フランジ部は、前記環状凹部の下端部から径方向内方に向けて前記外筐の上方に位置するように突出すると共に、前記立上がり部と前記環状凹部との間に、少なくとも一部が設けられていることを特徴とする等速ジョイント用ブーツ。 - 前記直線部は、バンド締結部の周面に対し径方向同等又は外方に位置することを特徴とする請求項1に記載の等速ジョイントブーツ。
- 前記フランジ部のべローズ部側対向面は平坦面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の等速ジョイント用ブーツ。
- 前記等速ジョイントは、外周面に凹設された複数の軸方向溝と、隣り合う軸方向溝間に形成される円筒面とを有する外筐を備えたトリポッドジョイントであって、
前記トリポッドジョイントの外筐の軸方向溝の溝面に適合して、前記第1の端部の内周面に張り出して形成された複数の厚肉部と、前記円筒面の外面に適合する円弧状の内面を有し、前記厚肉部間に配される薄肉部と、を含み、
前記フランジ部は、前記厚肉部と一体になって突出する第一フランジ部からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の等速ジョイント用ブーツ。 - 前記フランジ部は、さらに、前記薄肉部と一体になって突出する第二フランジ部を備えることを特徴とする請求項4に記載の等速ジョイント用ブーツ。
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