JP3609620B2 - スイベルジョイントおよびその回り止め構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油圧ショベルなどの下部走行体と上部旋回体との間で油を流通するスイベルジョイントおよびその回り止め構造に関する。
【0002】
【従来技術】
油圧ショベルなどの油圧走行式建設機械は、上部旋回体に設置したエンジンで駆動される油圧ポンプと、上部旋回体に設置され油圧ポンプから吐出される油の流れを制御するコントロールバルブと、下部走行体に設置されコントロールバルブを経由して圧油が供給される走行用油圧モータとを備え、上部旋回体の油圧ポンプからの圧油はスイベルジョイントを介して下部走行体の油圧モータへ供給される。スイベルジョイントは円筒状のボディと、ボディに回転可能に嵌入され上部がボディから突出するスピンドルとを有する。ボディの周面に設けられる第1接続ポートには一端が走行用油圧モータと接続される油圧配管の他端が接続され、ボディから突出するスピンドルの周面に設けられる第2接続ポートには一端がコントロールバルブと接続される油圧配管の他端が接続される。このようなスイベルジョイントを油圧ショベルに設置する場合、ボディはその上部に設けられたフランジを介して下部走行体に固定され、スピンドルは回転防止プレートにより上部旋回体に対して回り止めされる。この場合、回転防止プレートの一端は、スピンドルの端面の周縁に沿って立設されたブラケットにボルト結合され、他端は上部旋回体に係止される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上部旋回体と下部走行体との間の流路が多くなり、たとえば、従来の6〜8ポートが10以上になることがある。この場合、ボディ側には第1接続ポートを増設する余裕はあるものの、スピンドル側には第2接続ポートを増設する余裕がない。これは、ボディからのスピンドル突出長をあまり大きくできないからである。そこで、スピンドルの突出長を大きくして第2接続ポートを増設すると、上部旋回体側で無駄なスペースが発生してしまう。
【0004】
本発明の目的は、上部旋回体側でのスペースを大きくすることなく従来よりも接続ポート数を増設することが可能なスイベルジョイントおよびその回り止め構造を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
一実施の形態を示す図1〜図7に対応づけて説明する。
(1)請求項1の発明は、複数の第1接続ポート41bを有するボディ41と、このボディ41に回転可能に嵌入され複数の第1接続ポート41bの各々にそれぞれ内部通路42aを介して連通する複数の第2接続ポート42cを有するスピンドル42とを備え、ボディ41を第1の構造体11に取り付け、第1の構造体11と相対回転する第2の構造体21に対して回転防止部材53によりスピンドル42の回転を防止した、第1接続ポート41bと第2接続ポート42cとの間で油を流通するスイベルジョイントに適用される。そして、スピンドル42の軸心方向に形成される内部通路42aをスピンドル42の端面まで延設して開口させ、その開口の1つ(内部通路42aS)に回転防止部材53の一端を結合する係合部54を形成するとともに、当該内部通路42aSに連通する第2接続ポート42cをスピンドル42の周面に設け、他の開口の少なくとも1つに第2接続ポート42dを形成することにより、上述した目的は達成される。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載のスイベルジョイントに用いる回り止め構造に適用され、開口には雌ねじ54を刻設し、雌ねじ54に雄ねじ55を螺合して回転防止部材53をスピンドル42の端面に固定することにより、上記目的を達成する。
(3)請求項3の発明は、請求項2のスイベルジョイントの回り止め構造において、雌ねじ54と雄ねじ55により内部通路42aSを油密にすることを特徴とする。
【0006】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は本発明によるスイベルジョイントの回り止め構造が適用される油圧ショベルの全体構成を示す図であり、(a)が側面図、(b)が正面図である。この油圧ショベルは、下部走行体10と、下部走行体10に旋回可能に支持された上部旋回体20と、上部旋回体20に取り付けられたフロントアタッチメント30とで構成される。下部走行体10は、図2に詳細を示すトラックフレーム11と、このトラックフレーム11の左右両端に設けられたサイドフレーム12と、サイドフレーム12の一端側に設置された図示しない走行用油圧モータと、油圧モータで駆動されるスプロケット13と、サイドフレーム12の他端側に設置されたアイドラー14と、スプロケット13とアイドラー14との間に巻き回され油圧モータで駆動される履帯15と、排土板16aと図示しない油圧シリンダで構成される排土装置16とを有する。上部旋回体20を構成するメインフレーム21には、運転室22と、図示しないエンジンと、エンジンで駆動される図示しない油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出される油の流量と流れる方向を制御する図示しないコントロールバルブと、フロントアタッチメント30とが設けられる。
【0008】
上部旋回体20のコントロールバルブと下部走行体10の走行用油圧モータおよび排土板用油圧シリンダなどとの間では、図2および図3に示すように、トラックフレーム11に固定されたスイベルジョイント40を介して油が流通される。本実施の形態では、下部走行体10と上部旋回体20との間で11個の油路が設けられる。図4および図5にも詳細を示すように、スイベルジョイント40は円筒状のボディ41と、ボディ41に回転可能に嵌入されて一端側がボディ41から突出するスピンドル42とからなる。ボディ41はトラックフレーム11に固定され、スピンドル42は回り止めプレート53によりメインフレーム21に対して回り止めされる。21aはメインフレーム21に立設された回り止めプレート用係止部材である。なお、図3のSCは上部旋回体20の旋回中心を示す。
【0009】
図4(a),(c)において、ボディ41の上端部には固定用フランジ41aが形成され、ボディ41の外周面には複数の、本例では11個の第1接続ポート41bが設けられる。それぞれの第1接続ポート41bはそれぞれボディ41の周壁を貫通する接続通路(図示せず)に連通し、接続通路のそれぞれはボディ41の周面に周方向に360度に渡って各々が刻設された溝にそれぞれ連通する。なお、図4(a)は図2のIVA−IVA線方向から見た図、図4(c)は図2のIVC−IVC線方向から見た図である。
【0010】
図4および図5において、スピンドル42には、軸心方向に形成された複数の、本例では図7に詳細を示す11個の内部通路42aと、それぞれの内部通路42aから半径方向外方にそれぞれ延設される11個の接続通路42b(図7に2つ示す)と、ボディ41から突出する外周面に形成されて内部通路42aとそれぞれ連通する複数の、本例では7つの第2接続ポート42cと、上端面に形成されて内部通路42aとそれそれ連通する複数の、本例では4つの第2接続ポート42dとが設けられる。
【0011】
上述したように、この実施の形態では上部旋回体と下部走行対との間で11個の通路がスイベルジョイント40により確保されるので、スピンドル42にはその端面から軸心方向に上述した11本の内部通路42aが穿設される。そして、図4および図6において、そのうちの5本の内部通路にはテーパ雌ねじが刻設されて盲栓51が螺着され、4本の内部通路には第2接続ポート41dとなるテーパ雌ねじ52が刻設される。さらに、2本の内部通路には回り止めプレート53を固定する雌ねじ54(図6)が刻設される。そして、図3および図6に示すように、回り止めプレート53がボルト55を雌ねじ54に螺合することでスピンドル42に固定される。回り止めプレート53の他端は、図3に示すようにメインフレーム21に設けられた回り止め部材21aに係止し、これにより、スピンドル42がメインフレーム21に対して回り止めされる。すなわち、スピンドル42はメインフレーム21と一体に回転する。図6に詳細を示すように、ボルト55が螺合される内部通路42aSには盲栓56が嵌入されて内部通路42aSが密閉されるが、雌ねじ54とボルト55を管用テーパねじとして内部通路42aSを密閉してもよい。この場合、盲栓56を省略できる。
【0012】
このように、この実施の形態では、スピンドル42の軸心方向に形成された内部通路42aの他端を上部旋回体側の端面まで延設させて開口し、2つの内部通路42aの開口部分に回り止めプレート53をボルト55で螺合するようにするとともに、4つの内部通路42aの第2接続ポート42dをスピンドル42の端面に形成して第2接続ポートを増設するようにした。その結果、スピンドル42の突出長を長くしてスピンドル42の周面に第2接続ポートを増設する必要がなく、スピンドル42の小型化と上部旋回体側での無駄なスペースの発生を回避できる。
【0013】
以上では、ボディ41を下部走行体10に固定しスピンドル42を上部旋回体20側へ突出するようにしたが、ボディ41を上部旋回体20に固定しスピンドル42を下部走行体10側へ突出させてもよい。この場合、スピンドル42が下部走行体10と一体に回転するようにトラックフレーム11に回り止めプレート53で回り止めされ、回り止めプレート53は上述したと同様にスピンドル42の下端面に結合される。また、下端面に増設した第2接続ポート42dを設け、走行用油圧モータや排土板用油圧シリンダへの油圧配管が接続される。
【0014】
以上の実施の形態と請求項の構成要素との対応において、下部走行体10が第1の構造体を、上部旋回体20が第2構造体を、回り止めプレート53が回転防止部材を、雌ねじ54が係合部を、ボルト55が雄ねじそれぞれ構成する。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、スピンドルの軸心方向に形成される内部通路をスピンドルの端面まで延設して開口させ、その開口に回転防止部材を結合してスピンドルの回り止めを行なうとともに、他の開口に第2接続ポートを形成するようにしたので、スピンドル周面に接続ポートを増設する場合のようにスピンドル全長を大きくすることなく、スイベルジョイントの油路を増設することができる。その結果、スピンドルを小型化できるともに、第2構造体、たとえば上部旋回体側での無駄なスペースの発生を防止できる。とくに請求項3のように、回転防止部材を固定する雌ねじに雄ねじを螺合して内部通路を油密にすれば、内部通路を油密にするために盲栓を内部通路に打込む必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスイベルジョイントが使用される油圧ショベルを示し、(a)が正面図、(b)が側面図
【図2】図1のトラックフレーム上に設置されたスイベルジョイントを示す図
【図3】スイベルジョイントの回り止め構造を示し、(a)が平面図、(b)が正面図
【図4】スイベルジョイントの側面を示し、(a)は図2および図3のIVA−IVA線方向から見た図、(b)は(a)の平面図、(c)は図2および図3のIVB−IVB線方向から見た図
【図5】スピンドル上部の側面を示し、(a)は図4(b)のVA−VA線方向から見た図、(b)は図4のVC−VC線方向から見た図
【図6】図3のVI−VI線断面図
【図7】スピンドルの内部通路を説明する断面図
【符号の説明】
10…下部走行体、 11…トラックフレーム
20…上部旋回体 21…メインフレーム
30…フロントアタッチメント 40…スイベルジョイント
41…ボディ 41a…フランジ
41b…第1接続ポート 42…スピンドル
42a…内部通路 42c,42d…第2接続ポート
53…回り止めプレート 54…雌ねじ
55…ボルト
Claims (3)
- 複数の第1接続ポートを有するボディと、このボディに回転可能に嵌入され前記複数の第1接続ポートの各々にそれぞれ内部通路を介して連通する複数の第2接続ポートを有するスピンドルとを備え、前記ボディを第1の構造体に取り付け、前記第1の構造体と相対回転する第2の構造体に対して回転防止部材により前記スピンドルの回転を防止した、前記第1接続ポートと第2接続ポートとの間で油を流通するスイベルジョイントにおいて、
前記スピンドルの軸心方向に形成される前記内部通路を前記スピンドルの端面まで延設して開口させ、その開口の1つに前記回転防止部材の一端を結合する係合部を形成するとともに、当該内部通路に連通する第2接続ポートを前記スピンドルの周面に設け、他の開口の少なくとも1つに前記第2の接続ポートを形成したことを特徴とするスイベルジョイント。 - 請求項1に記載のスイベルジョイントに用いる回り止め構造において、
前記開口には雌ねじを刻設し、前記雌ねじに雄ねじを螺合して前記回転防止部材を前記スピンドルの端面に固定することを特徴とするスイベルジョイントの回り止め構造。 - 請求項2のスイベルジョイントの回り止め構造において、
前記雌ねじに前記雄ねじを螺合することにより前記内部通路を油密にすることを特徴とするスイベルジョイントの回り止め構造。
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