JP3609336B2 - 防護管 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海流や海岸の波の影響を受ける場所等に敷設される海底ケーブルや送水管等を保護するための防護管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、各種の通信ケーブルを用いた信号の伝送、電力線ケーブルを用いた送電等が、海底に敷設された海底ケーブルを用いて行なわれている。この海底ケーブルは、海流及び波等の影響を強く受けて移動し易いため、岩石等へ接触して損傷することのないよう、海底ケーブル等を所定の防護管で被って保護している。
【0003】
この防護管としては、例えば、図10に示すように、対をなす半割管体が対向するように組み合わされて、海底ケーブルを収容する管状部分100を備えている。管状部分100は、その一端に球体状の小径接続口101が形成され、他端に球体状の大径接続口102が形成され、一の管状部分100の大径接続口102が、隣接している他の管状部分100の小径接続口101を収容して、管状部分100同士を離脱し得ない状態で縦列的に連結するものである。そして、管状部分100は、およそ0.5メートルの長さを有している。
【0004】
この様な防護管を海底ケーブルに装着するときは、ダイバーが海中に潜り、海底ケーブルの特定箇所に2つの半割管体を当てがい、管状部分100に海底ケーブルを収容した状態で両半割管体の孔部103にボルトを入れ、ナットで締め付けて固定していた。そして、次の防護管は、海底ケーブルに固定した管状部分100の小径接続口101を挟み込むようにして両半割管体の大径接続口102を当てがい、大径接続口102が小径接続口101を収容して両者が離脱し得ない状態として、ボルト・ナットを用いて両半割管体を固定していた。この作業を繰り返し行なうことで、海底ケーブルを収容している防護管を縦列的に連結するものである。
【0005】
また、防護管を装着した海底ケーブルを海底に固定する場合には、まず海底の岩盤等のしっかりした場所を選び、この上に防護管を構成する管状部分100を乗せ、U字型・三角型等の固定板等を管状部分100上に被せて、固定板の両端をボルト等で岩盤等に固定する手段が採られていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の防護管は、鋳鉄等を用いて作製されており、かなりの重量があるため、海中に潜っているダイバーによる海底ケーブルへの取付作業が非常に重労働であった。また、半割管体を組み合わせて一体化するのに、2箇所乃至4箇所において、ステンレス製のボルトやナットを用いて締め付けを行なっているが、装置の取付場所によっては海流や波の影響を強く受けて防護管が強くが揺さ振られるため、ナットが緩み易く、しまいにはボルトとナットが外れて、海底ケーブルに装着した防護管も外れてしまう事態が生じていた。さらに、防護管内に隙間電触が発生して鋳鉄が減少し、ボルトとナットが外れることもあった。
【0007】
加えて、従来の防護管は、一の管状部分100の大径接続口102が他の管状部分100の小径接続口101を収容して、管状部分100同士を離脱し得ない状態で連結するため、その作業においては、一の管状部分100の小径接続口101に他の管状部分100の大径接続口102を当てがうよう、接続する管状部分100の方向性(左右)をいちいち確認しなければならず、海中に潜っているダイバーによる防護管の連結作業が非常に面倒であった。
【0008】
また、従来の防護管は、管状部分100の一端に小径接続口101を形成し、他端に大径接続口102を形成した約0.5メートル程度の長さを有する一種類の構成であるため、常に海底ケーブルにおける特定の箇所から一方向へ向かって防護管を順次取り付けなければならなかった。すなわち、海底ケーブルにおける複数箇所において防護管の取付作業を同時に行なうと、既に取り付けられている防護管との中継接続をする際、防護管の長さが中継をする残存距離寸法に合致せず、その中継連結ができない事態が生じていたのである。
【0009】
さらに、海底ケーブルを収容している防護管を海底の岩盤や砂層地帯等に固定する必要がある場合、海中における作業性を向上させるために、U字型・三角型等の固定板等を使用せず、防護管を海底に直接固定できるようにすることが強く望まれていた。
【0010】
上述した様に、海底ケーブルへの防護管の取付作業が海中でなされることから、従来の防護管では非常に細かい作業をダイバーに強いることとなり、その負担が増大して、防護管の取付作業に多大な労力と作業時間が費やされ、作業費用も高額なものになっていた。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、防護管の軽量化を図り、また、防護管の方向性(左右)を確認しなくても海底ケーブルや送水管等への取付作業を行なえるようにし、しかも、海底ケーブルや送水管の複数箇所における防護管の取付作業を同時に進行して防護管の中継接続も可能として、水中におけるダイバーの労働力の低減、作業時間の短縮、作業費用の低減等を実現した防護管を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明による防護管は、対をなす半割管体を対向させて組み合わせることによって構成される本管と中継管とをそれぞれ設け、前記本管は、前記半割管体の組み合わせにより形成される管状部分と、該管状部分の両端に該管状部分の外径よりも大きく且つ同径の大径接続口を備え、前記中継管は、前記半割管体の組み合わせにより形成される管状部分と、該管状部分の両端に前記大径接続口の外径よりも小さく且つ同径の小径接続口を備え、前記本管及び中継管の前記半割管体のぞれぞれには、該半割管体を組み合わせて固定するための係合部をそれぞれ設け、前記係合部に挿入係合して前記対をなす半割管体同士を連結固定可能なバックル体をそれぞれ別個に設け、更に、前記本管及び中継管の半割管体のぞれぞれの外周面には、補強ベルトが巻回可能な溝部が形成されてなり、前記本管の大径接続口が前記中継管の小径接続口を収容して前記管状部分が縦列に連結可能な構成としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による第1の実施の形態としての防護管について、図1乃至図8を参照して説明する。図1は、本発明による第1の実施の形態としての防護管を構成する本管1と中継管2の構成を示す一部分解斜視図、図2は、図1に示す本管1を組み立てた状態を示すもので(a)は平面図・(b)は側面図、図3は、図2(a)に示すA−A線断面図、図4は、防護管の中継管2を組み立てた状態を示すもので(a)は平面図・(b)は側面図、図5は、図4(a)に示すC−C線断面図、図6は、ジョイント機構10を構成するバックル体14の構成を示す斜視図、図7は、図2(b)に示すB−B線断面図、図8は、本管1と中継管2を交互に縦列的に接続した防護管の使用状態を示す側面図である。
【0022】
本発明に係る防護管は、図1に示すように、本管1と中継管2とから構成されている。本管1は、図1または図2に示すように、対をなす半割管体1A・1Bが対向するように組み合わされて海底ケーブルを収容する管状部分3が形成されている。この管状部分3の両端には、管状部分3の外径よりも大きな大径接続口4が設けられている。大径接続口4は、半割管体1A・1Bの両端部に設けた半球体4A・4Bが組み合わされて形成されている。
【0023】
一方、中継管2も、図1または図4に示すように、対をなす半割管体2A・2Bが対向するように組み合わされて海底ケーブルを収容する管状部分5が形成されている。この管状部分5の両端には、管状部分5の外径よりも大きくて、本管1の大径接続口4の外径よりも小さい小径接続口6が設けられている。小径接続口6は、半割管体2A・2Bの両端部に設けた小半球体6A・6Bが組み合わされて形成されている。
【0024】
そして、本管1の大径接続口4の内部は、半球体4A・4Bが組み合わされて、中継管2の小径接続口6を収容できる球体凹面状に形成されている。また、中継管2の小径接続口6の内部も、小半球体6A・6Bが組み合わされて、球体凹面状に形成されている。本管1の大径接続口4は、図8に示すように、中継管2の小径接続口6を収容し、本管1と中継管2が離脱し得ない状態として、本管1と中継管2を交互に縦列的に連結し、それぞれの管状部分5・6に収容している海底ケーブルを保護するものである。
【0025】
さらに、本管1は、管状部分3の方向性(左右)を無視して海底ケーブルに取り付けることができるよう、管状部分3の両端に、同径の大径接続口4を設けている。同様に中継管2も、管状部分5の両端に、同径の小径接続口6を設けている。
【0026】
この様に、本発明に係る防護管は、本管1と中継管2の2種類により構成されている。防護管を海底ケーブルに取り付ける際には、保護が必要な長さに応じて本管1の半割管体1B(又は1A)と中継管2の半割管体2B(又は2A)とを複数嵌合して連結し、半割状の防護管を形成する。そして、この半割状の管内に海底ケーブルを収納し、半割管体2B(又は2A)上に半割管体2A(又は2B)を固定して中継管2を形成する。そして、最後に半割管体1B(又は1A)上に半割管体1A(又は1B)を固定して本管1を形成すれば、海底ケーブルを収容した状態の本管1と中継管2とを、交互に縦列状態に連結して行くことができる。
【0027】
尚、防護管を構成する本管1と中継管2は、軽量非鉄金属材、強化プラスチック材(FRP)、硬質ゴム材等を用いて形成することにより、防護管全体の軽量化を図っている。そのため、海中における本管1・中継管2の持ち運びが容易となり、海中において連結作業を行なうダイバーの負担を軽減させている。
【0028】
また、海底ケーブルにおける複数の箇所から中継管2と本管1を取り付けて行き、全体の中継箇所における残存接続寸法に対応して連結を行なうため、中継管2は、適宜所定の長さ(例えば、約30cm〜100cm程度)に設定された長尺管、中尺管、短尺管等の複数の長さパターンを有している。例えば、中継管として、30cm、70cm、100cmの3種類を用意しておき、全体の中継箇所における残存接続寸法が30cmのときは、短尺管を用いて連結し、また、残存接続寸法が70cmのときは、中尺管を用いて全体を連結するのである。この様に、中継管2が複数の長さパターンを有するため、海底ケーブルにおける複数の箇所から中継管2と本管1を取り付けて行くことができ、海底ケーブルへの防護管の取付作業を極めて迅速に行なうことができる。また、本管1と中継管2との接合部は、球体状の大径接続口4と小径接続口6とを嵌合させた構成であることから、該接合部において、所定の範囲で折曲させた状態で取り付けることも可能であり、防護管を取り付ける海底の環境に応じて適宜設定可能である。
【0029】
尚、本管1においても、中継管2と同様に複数の長さパターンを有するものを予め用意しておくと、より細かな残存接続寸法に対応して、全体を容易に連結することができる。
【0030】
この他、本管1と中継管2を、海底ケーブルへ誰もが極めて簡単な手順で取り付けて、海中におけるダイバーの取付作業を迅速に行なうために、図1、図3または図5に示すように、本管1と中継管2は、共にバックル式のジョイント機構10を備えている。このジョイント機構10は、本管1を構成する2つの半割管体1A・1B同士、中継管2を構成する2つの半割管体2A・2B同士を、組み合わせて固定するものである。
【0031】
以下に、本管1に備えたジョイント機構10を一例にして、その構成を説明する。ジョイント機構10は、図1、図6または図7に示すように、2つの半割管体1A・1Bに夫々取り付けた係合部16・17と、この係合部16・17の間に介在して両係合部16・17を連結固定するバックル体14とから構成されている。バックル体14は、図6に示すように、横長の基部11における中央の上下方向に縦長のガイド部12を延設形成している。また、ガイド部12を挟むように、基部11の左右両側における上下方向に、計4個の可撓係止片13を延設形成して、バックル体14全体で、略H型リブ形状を呈している。
【0032】
さらに、係合部16・17は、半割管体1A・1Bの開放側周面に、対置するように設置されている。そして、係合部16・17は、図7に示すように、バックル体14の可撓係止片13を挿入して係合保持するための掛架孔15を備えて、略矩形筒状に形成されている。この様にして構成されるジョイント機構10は、半割管体1A・1Bの開放側周面において、計4個設けられている。
【0033】
この他、本管1を構成する半割管体1A・1B、中継管2を構成する半割管体2A・2Bを強固に連結するため、図2または図4に示すように、組み合わせた半割管体1A・1B、2A・2Bの両端側において、補強ベルト20を巻回している。この補強ベルト20は、例えば、ネジ式の締結部を備えたリング状のスチール帯を、半割管体1A・1B、2A・2Bの外周面に設けた溝部21に巻回し、本管1を構成する半割管体1A・1B同士、中継管2を構成する半割管体2A・2B同士を強固に連結固定するものである。
【0034】
また、本管1を構成する半割管体1A・1Bの管状部分3の周面や、中継管2を構成する半割管体2A・2Bの管状部分5における周面には、直線状の補強リブ30・32を設けている。そして、この補強リブ30・32の中央には、固定孔31・33を設けている。この固定孔31・33に、図8に示すように、棒材40等を差し込み、棒材40の先端側は海底面等に打ち込んでこれを固定する。また、棒材40の基端側は、ネジ部を有し、固定孔31・33を挟み込んだ状態で2つのナットを締め付けて、棒材40に本管1や中継管2を固定するのである。これにより、従来のようにU字型・三角型等の固定板等を用いることなく、本管1と中継管2を、海底の岩盤や砂層地帯等に直接的に固定できるものである。
【0035】
次に、本発明による第2の実施の形態について、図9を参照して説明する。図9は、本発明による第2の実施の形態としての海底テーブル防護管を構成する本管1を組み立てた状態を示すもので(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0036】
この防護管は、1種類の本管1のみで構成され、中継管2は存在しない。本管1は、対をなす半割管体1A・1Bが対向するように組み合わされて海底ケーブルを収容する管状部分3が形成されている。そして、この管状部分3の一端には、管状部分3の外径よりも大きな大径接続口4が設けられている。大径接続口4は、半割管体1A・1Bの一端部に設けた半球体4A・4Bが組み合わされて形成されている。
【0037】
また、管状部分3の他端には、管状部分3の外径よりも大きくて、大径接続口4の外径よりも小さい小径接続口6が設けられている。小径接続口6は、半割管体1A・1Bの他端部に設けた小半球体6A・6Bが組み合わされて形成されている。
【0038】
さらに、本管1の大径接続口4の内部は、半球対4A・4Bが組み合わされて、自身の小径接続口6を収容できる球体凹面状に形成されている。勿論、小径接続口6の内部も、小半球体6A・6Bが組み合わされて、球体凹面状に形成されている。そして、本管1の大径接続口4は、隣接している本管1の小径接続口6を収容して、本管1同士が離脱し得ない状態として、複数の本管1を縦列的に連結し、それぞれの管状部分3に収容している海底ケーブルを保護するものである。
【0039】
尚、海底ケーブルにおける複数の箇所から本管1の取付作業を行ない、全体の中継接続を容易に行なうため、本管1を適宜所定の長さ(例えば、30cm〜100cm)に設定し、長尺管、中尺管、短尺管等の長さパターンを有する複数の本管1を用意しておくと良い。
【0040】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、本発明による防護管を海底ケーブルに適用した例について説明したが、これに限らず、水中に敷設する送水管等の索状のものに適用可能であり、海底ケーブルや送水管等の保護装置として好適である。
【0041】
また、本管1及び/又は中継管2内に、金属や合成樹脂等を網目状に埋設して配筋を施せば、防護管全体の強度を向上することが可能であり、好適である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、本管と中継管の軽量化を図ることができ、また、本管と中継管の方向性(左右)を確認しなくても海底ケーブルへの取付作業を容易に行なうことができ、しかも、海底ケーブルの複数箇所における本管と中継管の取付作業を同時に進行して防護管全体の中継接続も可能として、水中におけるダイバーの労働力の低減、作業時間の短縮、作業費用の低減等を実現した防護管を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態としての防護管を構成する本管と中継管の構成を示す一部分解斜視図である。
【図2】図1に示す本管を組み立てた状態を示すもので(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】図2(a)に示すA−A線断面図である。
【図4】防護管の中継管を組み立てた状態を示すもので(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】図4(a)に示すC−C線断面図である。
【図6】ジョイント機構を構成するバックル体の構成を示す斜視図である。
【図7】図2(b)に示すB−B線断面図である。
【図8】本管と中継管を交互に縦列的に接続した防護管の使用状態を示す側面図である。
【図9】本発明による第2の実施の形態としての海底テーブル防護管を構成する本管を組み立てた状態を示すもので(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図10】従来の防護管の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1…本管
1A,1B…半割管体
2…中継管
2A,2B…半割管体
3…管状部分
4…大径接続口
4A,4B…半球体
5…管状部分
6…小径接続口
6A,6B…小半球体
10…ジョイント機構
11…基部
12…ガイド部
13…可撓係止片
14…バックル体
15…掛架孔
16,17…係合部
20…補強ベルト
21…溝部
30,32…補強リブ
31,33…固定孔
40…棒材
100…管状部分
101…小径接続口
102…大径接続口
103…孔部

Claims (1)

  1. 対をなす半割管体を対向させて組み合わせることによって構成される本管と中継管とをそれぞれ設け、
    前記本管は、前記半割管体の組み合わせにより形成される管状部分と、該管状部分の両端に該管状部分の外径よりも大きく且つ同径の大径接続口を備え、
    前記中継管は、前記半割管体の組み合わせにより形成される管状部分と、該管状部分の両端に前記大径接続口の外径よりも小さく且つ同径の小径接続口を備え、
    前記本管及び中継管の前記半割管体のぞれぞれには、該半割管体を組み合わせて固定するための係合部をそれぞれ設け、前記係合部に挿入係合して前記対をなす半割管体同士を連結固定可能なバックル体をそれぞれ別個に設け、
    更に、前記本管及び中継管の半割管体のぞれぞれの外周面には、補強ベルトが巻回可能な溝部が形成されてなり、
    前記本管の大径接続口が前記中継管の小径接続口を収容して前記管状部分が縦列に連結可能な構成としたこと
    を特徴とする防護管。
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