JP3609145B2 - サスペンションアーム用のブッシュ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、車両用サスペンション装置に用いられる防振ブッシュに関するものであり、特に、コーナリングフォースに対するトーコレクト機能を発揮させるようにし、これによって、乗心地性と操縦安定性との両方の性能を向上させるようにしたサスペンション装置用のブッシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両におけるサスペンション装置の、その車体への取付部には、振動吸収を目的とした防振ブッシュが設けられている。そして、この防振ブッシュ(ブッシュ)は、凸起乗り越え時等の乗心地性を良くするためには、柔らかくする必要がある。また、一方、操縦安定性を良くするためには、コーナリングフォース等の横方向の力に対して硬くする必要がある。これらの相反する機能を満たすために、ゴム状弾性体を主体とするブッシュにおいて、種々の工夫が成されている。そのようなサスペンション装置のリンク機構取付部等に用いられるブッシュに関して、前後方向のバネ定数は柔らかくし、左右方向のバネ定数は硬くするようにしたものとして、例えば実開平6−8835号公報記載のようなものがある。
【0003】
ところで、このものは、内筒に傾斜面からなる膨出状のハンプ部を設け、一方、これに対向するように外筒の端末部にテーパ面からなる絞り部を設け、これら傾斜面とテーパ面との間にゴム状弾性体を介在させるようにした構成からなるものである。また、このような傾斜面及びテーパ面からなる構成部を軸方向に対の状態で設け、これによって、軸方向の左右荷重(入力)に対して、ラジアル方向の分力が生ずるようにしているものである。このような構成からなるブッシュをサスペンションアームの取付部に設けることによって、路面から車輪を介して入力される振動(荷重)等に対して、前後方向は柔らかいバネ特性を形成させるようにするとともに、左右方向(横方向)に対しては、剛性を高く保つことができるようにしているものである。すなわち、乗心地性と操縦安定性との両方の性能を満足させるようにしているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは、一つのブッシュの中に、傾斜面とテーパ面とからなる分力発生部が、軸方向に2個、対の状態で設けられているものである。従って、操縦安定性を良くするために軸方向の剛性を上げようとすると、前後方向、すなわち、ラジアル方向のバネ定数も上がり、当該ブッシュの取り付けられるサスペンションアームの前後方向のコンプライアンス特性が低下して、乗心地性能を低下させるという問題点がある。また、ブッシュ自体の構造も複雑になり、ブッシュの製造原価を高くするという問題点がある。このような問題点を解決することとした、サスペンション装置用のブッシュを提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、内筒と、外筒と、これら内外筒間に設けられるものであってゴム状弾性体からなる防振ゴムと、にて形成されるサスペンションアーム用のブッシュに関して、上記内筒の外側に、そのラジアル方向に扇状に形成された膨出部からなるものであって、その軸線方向の一端面に傾斜面を有するハンプ部を設け、一方、上記外筒の一端部側に、上記ハンプ部の傾斜面と対向するように絞り状のテーパ面を設け、当該テーパ面の外側に、当該テーパ面と対向するように形成されたテーパ部からなるテーパフランジを有するディスク状のストッパを設け、更に当該ストッパの上記テーパフランジの内側、及び上記外筒のテーパ面の外側のうちのいずれか一方側に、ゴム状弾性体からなるクッション部を設け、当該クッション部を上記内筒に設けられたハンプ部の傾斜面と対向するように設置し、更に、上記ストッパと上記内筒とを一体化させるようにした構成を採ることとした。
【0006】
また、このような構成において、上記内筒と外筒との間に設けられる防振ゴムのところに、上記外筒の内周面に沿うように形成されるものであって、円弧状の形態からなるすぐり部を、当該ブッシュの軸心に対して対称形の位置に複数個設けてなる構成を採ることとした。
【0007】
また、上記構成において、上記外筒のテーパ面とストッパのテーパフランジとの間に設けられるクッション部に、円周方向に、複数本のすぐり状の溝(すぐり溝)を設けてなる構成を採ることとした。
【0008】
【作用】
上記構成を採ることにより、本発明においては、次のような作用を呈することとなる。すなわち、本発明にかかるブッシュは、図4に示す如く、内筒に設けられたハンプ部、外筒に設けられたテーパ面、これらハンプ部の傾斜面とテーパ面との間に設けられた防振ゴムの一部を成す絞り部、更には上記テーパ面とストッパのテーパフランジ面との間に設けられたクッション部とからなることを基本とするものである。そして、このような構成からなるブッシュが、図6に示す如く、車両のリヤサスペンション装置を形成するリンク機構(アーム)の取付部に、左右対称形に取り付けられているものである。
【0009】
従って、本発明においては、図6に示すようなコーナリング時において、外側の車輪にコーナリングフォースとしてFの力が加わることとなる。このFの力は、リンク機構を介して外筒のところへと伝播される。この外筒のところへ伝播された力は、当該外筒のテーパ面とハンプ部の傾斜面との間の相互作用によって、ブッシュのラジアル方向(P矢印方向)への分力(P)へと変換される。すなわち、Fのコーナリングフォースに対してPの分力が生ずることとなる。一方、内側の車輪についても、同じコーナリングフォースに起因して、ブッシュの外筒にはスラスト力が作用することとなる。このスラスト力は、外筒のテーパ面とストッパのテーパフランジとの間における相互作用によって、P’矢印方向への力(P’)として分力されることとなる。すなわち、コーナリングフォースに対してP’の分力が生ずることとなる。これらP及びP’の分力によって、サスペンション機構(リヤサスペンション装置)には、車輪をトーイン側へ導くような力(モーメント)が働くこととなる。すなわち、本発明のブッシュが取り付けられたリヤサスペンション装置には、車両の走行運動(コーナリング)時に、ロールステアによるアンダステア現象が生ずることとなる。これによって、コーナリング時における操縦安定性の向上が図られることとなる。
【0010】
また、一方、本ブッシュは、その防振ゴムのところに、すぐり部が設けられており、このすぐり部は、サスペンション機構に組み込まれた状態において、図6に示す如く、車両の前後方向に来るように設置されている。従って、車両の走行運動に対して、前後方向のバネ定数を柔らかくすることが可能となる。すなわち、前後方向のコンプライアンス特性を上げて、微小凸起乗越え時の乗心地性能を向上させることができる。
【0011】
また、本発明のブッシュは、スラスト方向の荷重(力)に対するストッパが別途設けられている構成からなるものであり、そして、このストッパのテーパフランジと外筒のテーパ面との間にはゴム状弾性体からなるクッション部が設けられているので、これらの作用により、内外筒間のスラスト力に対する、その変形の状態(たわみ量)を左右方向で対称の状態とすることができる。従って、このような特性を有するブッシュが、左右の車輪に対応するそれぞれのリンク取付部に取り付けられると、コーナリングフォースに対する車輪をトーイン側へ作動させようとするモーメントは、左右輪で同じように発生することとなる(図6参照)。すなわち、車輪へのトーコレクト作用は、リニア(線形)な状態で発揮されることとなる(図8参照)。
【0012】
また、上記ストッパの作用により、ブッシュへのスラスト入力に対する変形(変位)が、その左右方向において、図7に示す如く、ある一定のストローク量のところで止められるようになっているので、上記内外筒間に設置される防振ゴムへの入力荷重(力)が一定の値のところで抑えられることとなり、防振ゴムのバネ定数をある程度柔らかく保った状態で、その耐久性を向上させることができるようになる。
【0013】
【実施例】
本発明の実施例について、図1ないし図9を基に説明する。本実施例の構成は、図1に示す如く、パイプ状の内筒1と、基本的に円筒状の形態からなるものであって、その一端側にテーパ面31を有する外筒3と、これら内外筒間に設けられるものであってゴム状弾性体からなる防振ゴム2と、上記内筒1と一体的に設置(セット)されるものであって、ディスク状の形態からなり、更に上記外筒3のテーパ面31と対をなすように形成されたテーパ状のフランジ(テーパフランジ)51を有するストッパ5と、当該ストッパ5のテーパフランジ51の内側、または上記外筒3のテーパ面31上の、いずれか一方側に設けられるクッション部6と、からなることを基本とするものである。
【0014】
このような基本構成において、上記内筒1は、基本的には中空状のストレートパイプからなるものであって、その外周部の一部に、図2に示すような膨出部からなるハンプ部11が設けられている構成からなるものである。なお、当該ハンプ部11は、図2及び図3に示す如く、内筒1の外周上に扇状に形成されているものであり、その開き角(θ)は100°ないし120°の角度を有するように形成されているものである。そして、当該ハンプ部11を形成する膨出部の一方側には、45°ないし55°の傾斜角をもった傾斜面111が設けられるようになっている(図4参照)。また、この傾斜面111は、図4に示す如く、ブッシュとして形成された状態において、上記外筒3のテーパ面31と対向するようになっているものである。
【0015】
このような構成からなる内筒1の外側に設置される外筒3は、図1、図3、及び図4に示す如く、基本的に円筒状の形態からなるものであり、その一端側には、上記内筒1のハンプ部11に設けられた傾斜面111と同じ角度の立体角を有するテーパ面31が設けられているものである。そして、これら構成からなる内外筒間には、図3ないし図5に示す如く、ゴム状弾性体からなる防振ゴム2が設けられるようになっている。
【0016】
なお、本防振ゴム2は、上記内外筒1、3間にインジェクション手段等によって注入され、更には加硫接着手段等によって、上記内外筒1、3と一体化されるようになっているものである。また、このようにして形成される本防振ゴム2には、図3及び図4に示す如く、円弧状のすぐり部22が、2個対称形を成すように設けられている。なお、このすぐり部22の設けられる位置は、図3のXX方向のみであるのが望ましい。そして、このXX方向は、本ブッシュが車両のサスペンション機構に組み込まれた状態において、図6に示す如く、車両の前後方向に位置するようになっているものである。また、本ブッシュのYY方向の断面においては、図5に示す如く、上記すぐり部22は設けられておらず、防振ゴム2が十分に充填されている構成となっている。そして、このYY方向は、本ブッシュがサスペンション機構に組み込まれた状態において、上下方向を向くようになっているものである。また、上記内筒1に設けられたハンプ部11の傾斜面111と上記外筒3のテーパ面31との間には、上記防振ゴム2が、上記インジェクション手段等により充填されており、これによって絞り部21が形成されている構成となっている。
【0017】
また、このような構成からなる外筒3のテーパ面31の、その外側には、図1、図3、図4、及び図5に示す如く、基本形態が傘状の形態からなるディスク状のストッパ5が設けられている。このストッパ5は、その周縁部にテーパ状のフランジ(テーパフランジ)51を有するようになっており、このテーパフランジ51のテーパ角は、上記外筒3に形成されたテーパ面31の角度と一致するように形成されているものである。そして、このテーパフランジ51の内側には、ゴム状弾性体からなるクッション部6が、その円周上の一部に設けられている。なお、当該クッション部6の設けられる円周上の角度は、上記内筒1に設けられたハンプ部11の円周角と同様、約100°ないし120°の範囲に設定されている。
【0018】
このような構成からなる内筒1、外筒3、及び防振ゴム2は、当該防振ゴム2の加硫接着時等に一体化されるようになっているものである。そして、これら一体化されたものの上記テーパ面31の側面に、ストッパ5が、内筒1の端面を利用して取り付けられ、一体化されるようになっているものである。なお、当該ストッパ5が上記内筒1と一体的に組み付けられるに際しては、上記内筒1に設けられたハンプ部11の傾斜面111と、上記ストッパ5のテーパフランジ51に設けられた上記クッション部6とが対向するように設置されるようになっている。
【0019】
なお、これら構成からなるストッパ5のテーパフランジ51の内面側に設けられるクッション部6は、上記テーパフランジ51に加硫接着手段等により一体的に取り付けられるものである。また、当該クッション部6は、上記の如く、テーパフランジ51側に設けられるものの外に、外筒3のテーパ面31の外側に設けられるものであっても良い。このように外筒3側にゴム状部材を集中させることによって、ストッパ5自体はゴム部を有しない構成となり、ストッパ5の構造を簡素化することが可能となる。また、このような構成からなるクッション部6の内側である上記外筒3のテーパ面31と接触する側には、図9に示すようなすぐり溝61を設けるようにしたものも考えられる。このすぐり溝61を設けることによって、上記テーパ面31とクッション部6とが接触して、相互作用、すなわち、力の伝達による変形(変位)が行なわれる際、荷重の移動及び変形(たわみ)を円滑に行なわせることができるようになる。すなわち、図7における荷重−たわみ曲線において、ストッパ作用の効き始める変換点(A点)付近の曲線を滑らかに変化させることができるようになる。
【0020】
このような構成からなるブッシュが、図6に示す如く、サスペンション装置のリンク機構に、防振ゴム2のすぐり部22が前後方向を向くように、かつ、ハンプ部11の傾斜面111及びこれに対向するクッション部6が前側に来るように取り付けられるようになっている。これによって、コーナリングフォースが加わったときに、適正なトーコレクト機能が発揮されるようになっているものである。
【0021】
このような構成からなる本実施例の作用等について説明する。なお、本実施例の作用は、上記作用の欄のところで説明したものと、基本的には同じである。すなわち、上記構成からなるブッシュが、例えば図6に示す如く、リヤサスペンション装置のリンク機構に左右対称形の状態で取り付けられ、更に、このようなリンク機構を有する車両が、図6の矢印図示のような走行運動をすると、本車両のリヤサスペンション装置は、上記ブッシュの作用により、アンダステアの特性を発揮することとなる。
【0022】
その具体的例について、図6を基に説明する。図6において、車両が矢印図示方向の走行運動をすると、外側の車輪9にはコーナリングフォースとしてFの力が加わる。このFの力は、リンク機構を介して外筒3のところへと伝播される。そして、この外筒3のところへ伝播された力(F)は、当該外筒3のテーパ面31とハンプ部11の傾斜面111との間の相互作用によって、ブッシュのラジアル方向(P矢印方向)への分力(P)を生じさせる。すなわち、Fのコーナリングフォースに対してPの分力が生ずることとなる。一方、内側の車輪9’側についても、同じコーナリングフォースに起因して、ブッシュの外筒3にはF’の力が作用することとなる。このF’の力は、外筒3のテーパ面31とストッパ5のテーパフランジ51との間における相互作用によって、P’矢印方向への力(P’)として分力されることとなる。すなわち、F’の横方向の力に対してP’のラジアル方向の分力が生ずることとなる。これらP及びP’の力によって、サスペンション機構(リヤサスペンション装置)には、車輪9、9’をトーイン側へ導くような力(モーメント)が働くこととなる。すなわち、本実施例のブッシュが取り付けられたリヤサスペンション装置には、車両の走行運動(コーナリング)時に、ロールステアによるアンダステア現象が生ずることとなる。これによって、コーナリング時における操縦安定性の向上が図られることとなる。
【0023】
また、一方、本ブッシュは、図3及び図4に示す如く、その防振ゴム2のところに、すぐり部22が設けられており、このすぐり部22は、サスペンション装置に組み込まれた状態において、図6に示す如く、車両の前後に来るように設置されている。従って、車両の走行運動に対して、前後方向のバネ定数を柔らかくする機能を発揮することとなる。すなわち、前後方向のコンプライアンス特性を上げて、微小凸起乗り越え時の乗心地性能を向上させる。このように、本実施例のブッシュを用いることによって、特に、リヤサスペンション装置のリンク機構に用いることによって、車両の乗心地性と操縦安定性との両方の性能を向上させることができるようになる。
【0024】
また、本実施例のブッシュは、スラスト方向の荷重(力)に対するストッパ5が別途設けられている構成からなるものであり、そして、このストッパ5のテーパフランジ51と外筒3のテーパ面31との間にはゴム状弾性体からなるクッション部6が設けられているので、これらの作用により、内外筒間のスラスト力に対する、その変形の状態(たわみ量)を左右方向で対称の状態とすることができるようになっている。従って、このような特性を有するブッシュが、図6に示す如く、左右の車輪9、9’に対応するそれぞれのリンク取付部に取り付けられると、コーナリングフォースに対する、車輪9、9’をトーイン側へ作動させようとするモーメントは、左右輪9、9’において同じように発生することとなる。すなわち、車輪9、9’へのトーコレクト作用は、図8に示す如く、リニア(線形)な状態で発揮されることとなる。従って、ロールステア時におけるアンダステア特性が従来のものに比べて高くなる。その結果、操縦安定性がより高められることとなる。
【0025】
また、上記ストッパ5の作用により、ブッシュへのスラスト入力に対する変形(変位)が、その左右方向において、図7に示す如く、ある一定のストローク量のところで止められるようになっているので、上記内外筒1、3間に設置される防振ゴム2のところへの入力荷重(力)は一定の値のところで抑えられることとなる。従って、防振ゴム2のバネ定数をある程度柔らかく保った状態で、その耐久性の向上を図ることができるようになる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、内筒と、外筒と、これら内外筒間に設けられるものであってゴム状弾性体からなる防振ゴムと、にて形成されるブッシュに関して、上記内筒の外側に、そのラジアル方向に扇状に形成された膨出部からなるものであって、その軸線方向の一端面に傾斜面を有するハンプ部を設け、一方、上記外筒の一端部側に、上記ハンプ部の傾斜面と対向するように絞り状のテーパ面を設け、当該テーパ面の外側に、当該テーパ面と対向するように形成されたテーパ部からなるフランジ(テーパフランジ)を有するディスク状のストッパを設け、更に当該ストッパの上記テーパフランジの内側、または、上記外筒のテーパ面の外側のいずれか一方側に、ゴム状弾性体からなるクッション部を設けるとともに、当該クッション部を上記内筒に設けられたハンプ部の傾斜面と対向するように設置し、更に、上記ストッパと上記内筒とを一体化させるようにした構成を採ることとしたので、当該ブッシュを用いたサスペンション機構、特に、リアサスペンション機構においては、コーナリングフォースによる横力に対して、当該ブッシュのところで、ブッシュのラジアル方向への分力を発生させることができるようになり、この分力によって、車輪をトーイン側へロールステアさせ、車両全体をアンダステア状態に保持することができるようになった。その結果、ブッシュ自体のバネ定数を柔らかくすることによって乗心地性能を向上させるとともに、上記ブッシュの作用により操縦安定性をも向上させることができるようになった。すなわち、乗心地性と操縦安定性との両方の性能を向上させることができるようになった。また、上記ストッパの作用により、本ブッシュの耐久性を向上させることができるようになった。
【0027】
また、本ブッシュの防振ゴムのところに、上記外筒の内周面に沿うように形成されるものであって、円弧状の形態からなるすぐり部を、当該ブッシュの軸心に対して対称形の位置に複数個設けるとともに、当該すぐり部を有するブッシュを、サスペンション機構に取り付けるに当って、上記すぐり部が車両の前後方向に来るように設置することとしたので、前後方向のバネ定数を柔らかくすることができるようになり、これによって、前後方向のコンプライアンス特性を高め、微小凸起乗越え時等の乗心地性能を向上させることができるようになった。すなわち、これらによっても、乗心地性と操縦安定性との両方の性能を向上させることができるようになった。
【0028】
また、上記構成において、上記外筒のテーパ面とストッパのテーパフランジとの間に設けられるクッション部に、円周方向に、複数本のすぐり状の溝(すぐり溝)を設けてなる構成を採ることとしたので、ブッシュへのスラスト力の入力に対して、上記ストッパの効き具合いを円滑に変化させることができるようになった。これによって、コーナリング時におけるロールステアの変化を少なくし、操縦安定性の向上を図ることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す展開斜視図である。
【図2】本発明の主要部を成す内筒の全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明にかかるブッシュを構成する内筒、外筒、防振ゴムの構成を示す正面図である。
【図4】本発明の全体構成を示す縦断面図であって、図3のXX断面図である。
【図5】本発明の全体構成を示す縦断面図であって、図3のYY断面図である。
【図6】本発明にかかるブッシュの装着されたリヤサスペンション機構の概要を示すスケルトン図である。
【図7】本発明にかかるブッシュの荷重−たわみ曲線を示す図である。
【図8】本発明にかかるブッシュを用いたサスペンション機構におけるロールステア時のトーコレクト状態を示す図である。
【図9】本発明におけるクッション部の一変形例の構成を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 内筒
11 ハンプ部
111 傾斜面
2 防振ゴム
21 絞り部
22 すぐり部
3 外筒
31 テーパ面
5 ストッパ
51 テーパフランジ
6 クッション部
61 すぐり溝
9 車輪
9’ 車輪
Claims (1)
- 内筒と、外筒と、これら内外筒間に設けられる防振ゴムとからなるサスペンションアーム用のブッシュにおいて、上記内筒の外側に、そのラジアル方向に扇状に形成された膨出部からなるものであって、その軸線方向の一端面に傾斜面を有するハンプ部を設け、一方、上記外筒の一端部側に、上記ハンプ部の傾斜面と対向するようにテーパ面を設け、当該テーパ面の外側に、当該テーパ面と対向するように形成されたテーパ部からなるテーパフランジを有するディスク状のストッパを設け、更に当該ストッパの上記テーパフランジの内側、及び、上記外筒のテーパ面の外側のうちのいずれか一方側に、ゴム状弾性体からなるクッション部を設けるとともに、当該クッション部を上記内筒に設けられたハンプ部の傾斜面と対向するように設置し、また、上記クッション部のところに、円周方向に複数本のすぐり溝を設け、更に、上記ストッパと上記内筒とを一体化させるようにした構成からなることを特徴とするサスペンションアーム用のブッシュ。
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