JP3608878B2 - 微小中空体含有硬化性組成物 - Google Patents

微小中空体含有硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は架橋可能な飽和炭化水素系重合体を含有する硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応性ケイ素基とは、例えば−Si(OCHで表される基で空気中の水分等により加水分解し、−Si(OH)等、を経て他の反応性ケイ素基とシラノール縮合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)を生じる基である。
Figure 0003608878
従って反応性ケイ素基を有するポリマーは湿分存在下で室温の下でも架橋硬化する。このようなポリマーの中で、主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体は、室温では粘度が高い液状で硬化によりゴム弾性体となる特性を有し、シーリング材、接着剤、土木止水用テープ、耐熱マスキングテープ等の用途に用いることができる。この硬化物は、優れた機械特性(伸び、強度)、耐候性、接着性、耐熱性、電気絶縁性、低湿分透過性、非石材汚染性等を有する。この重合体の組成物は、コストダウン等の目的のため、充填剤と混合して用いられることがある。ただし、充填剤の添加により、硬化物の重量が増加したり、期待した程度にコストダウンが図れないなどの問題があった。また充填剤によっては硬化物の引張特性等の機械特性を低下させることもあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は従来の充填剤を使用する場合より安価でありかつ硬化物の引張特性の低下がない反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体含有組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この目的を達成する為に鋭意検討を重ねた結果、充填剤としてシリカバルーンまたは有機系バルーンを用いることにより、硬化物の引張特性等の機械特性を低下させることなく、軽量で高充填の硬化物を得ることを見いだした。すなわち、本発明は、(A)少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(B)シリカバルーンまたは有機系バルーン及び(C)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の硬化触媒からなる硬化性組成物であり、(A)成分の飽和炭化水素系重合体100重量部に対する、(B)成分の配合量が0.1〜50重量部、(C)成分の硬化触媒の配合量が0.1〜20重量部であり、さらに、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、珪藻土、焼成クレー、クレー、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び活性亜鉛華から選ばれる少なくとも1種の充填剤を5〜400重量部含有する硬化性組成物に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明にいう反応性ケイ素基とはケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基、をいう。反応性ケイ素基はよく知られた官能基であり、その代表例としては、一般式(1):
【0006】
【化1】
Figure 0003608878
【0007】
(式中、RおよびRはいずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR SiO−(Rは炭素数1〜20の1価の炭化水素基であり、3個のRは同じであってもよく、異なっていてもよい)で示されるトリオルガノシロキシ基であり、RまたはRが2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。Xは水酸基または加水分解性基であり、2個以上存在するとき、それらは同じであってもよく、異なっていてもよい。aは0〜3から選ばれる整数、bは0〜2から選ばれる整数であり、a+Σb≧1となる整数である。また、m個の
−SiR 2−b O−
におけるbは同一である必要はない。mは0〜19から選ばれる整数。)で表される基を挙げることができる。
【0008】
一般式(1)における加水分解性基としては、特に限定されるものではなく、従来既知の加水分解性基でよいが、具体例としては、例えば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等を挙げることができる。これらのうちでは、加水分解性が温和で、取り扱いやすいという点から、メチル基、エチル基等のアルコキシ基が特に好ましい。加水分解性がアルコキシ基である反応性ケイ素基をアルコキシシリル基という。
【0009】
この加水分解性基や水酸基は1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5の範囲であることが好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであっても、異なっていてもよい。この反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結されたケイ素原子の場合には、20個のものまでであるのが好ましい。特に、一般式(2):
【0010】
【化2】
Figure 0003608878
【0011】
(式中、R、Xおよびaは前記と同じである。)
で表される反応性ケイ素基が入手容易であるので好ましい。
また上記一般式(1)、(2)におけるRおよびRの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基などのアルキル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基や、Rがメチル基、フェニル基などであるR SiOーで示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。RやRとしてはメチル基が特に好ましい。
【0012】
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体の1分子中に少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性挙動を発現し難くなる。
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端に存在していてもよく、内部に存在していてもよく、両方に存在していてもよい。特に反応性ケイ素基が分子鎖末端に存在する場合には、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなる等の点から好ましい。また、これら反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0013】
本発明において用いられる飽和炭化水素系重合体は、
(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させる、
(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させたり、上記オレフィン系化合物とジエン系化合物とを共重合させたりした後水素添加する、
などの方法により得ることができるが、末端に官能基を導入しやすい、分子量制御しやすい、末端官能基の数を多くすることができるなどの点から、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体あるいは水添ポリイソプレン系重合体であるのが望ましい。
【0014】
このうちイソブチレン系重合体については、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよく、イソブチレンと共重合性を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%(重量%、以下同様)以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、例えば炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエ−テル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類等が挙げられる。このような共重合体成分の具体例としては、例えば1−ブテン、2−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキサン、メチルビニルエ−テル、エチルビニルエ−テル、イソブチルビニルエ−テル、スチレン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−ヘキセニルオキシスチレン、p−アリロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、β−ピネン、インデン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。イソブチレンと共重合性を有する単量体として、ビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると、ケイ素含有量が増加しシランカップリング剤として作用しうる基が多くなり、得られる組成物の接着性が向上する。
【0015】
前記水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体の場合と同様に、主成分となる単量体単位の他に、他の単量体単位を含有させてもよい。
また、本発明中(A)成分として用いる飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲でブタジエン、イソプレン、1,13−テトラデカジエン、1,9−デカジエン、1,5−ヘキサジエンのようなポリエン化合物のごとき重合後2重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、特には1%以下の範囲で含有させてもよい。
【0016】
前記飽和炭化水素系重合体、好ましくはイソブチレン系重合体、水添ポリイソプレンまたは水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜100000程度であるのが好ましく、さらには500〜40000、特に1000〜40000程度の液状物、流動性を有するものであるのが取り扱いやすさなどの点から好ましい。さらに、分子量分布(Mw/Mn)に関しては、同一分子量における粘度が低くなるという点で分子量分布が狭いほど好ましい。
【0017】
反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製造方法について、特にイソブチレン系重合体および水添ポリブタジエン系重合体の場合を例として説明する。
上記の反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体のうち、分子末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イニファー法と呼ばれる重合法(イニファーと呼ばれる開始剤と連鎖移動剤を兼用する特定の化合物を用いるカチオン重合法)で得られた末端官能型、好ましくは全末端官能型イソブチレン系重合体を用いて製造することができる。イニファー法では主に末端にハロゲン原子を有する重合体が得られるがこのハロゲン原子の反応性を利用して反応性ケイ素基を導入することができる。例えば、この重合体の脱ハロゲン化水素反応や特開昭63−105005号公報に記載されているような重合体への不飽和基導入反応等により末端に不飽和基を有するポリイソブチレンを得た後、一般式(3)で表されるヒドロシラン化合物(この化合物は一般式(1)で表される基に水素原子が結合した化合物である。)、好ましくは、一般式(4)で示される化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより反応性ケイ素基を重合体に導入する方法があげられる。
【0018】
【化3】
Figure 0003608878
【0019】
(式中、R、R、X,aおよびbは前記と同じである。)
【0020】
【化4】
Figure 0003608878
【0021】
(式中、R、Xおよびaは前記と同じである。)
この一般式(3)で表されるヒドロシラン化合物の具体例としては、例えば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシラン等のハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシラン等のアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシラン等のケトキシメートシラン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、特にアルコキシシラン類が好ましい。このような製造法の例は、特開昭63−6003号、同63−6041号、同63−254149号、同64−22904号、同64−38407号の各明細書等に記載されている。
【0022】
また、分子内に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とする単量体中に、反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類を添加し、共重合させることによって製造される。
さらに、分子内部および分子末端の両方に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、上記分子末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造する際の重合にあたって、主成分であるイソブチレン単量体以外に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類等を共重合させた後、末端に反応性ケイ素基を導入することによって製造することができる。
【0023】
この反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類等の具体例としては、例えば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルジメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
【0024】
水添ポリブタジエン系重合体の製造法については、例えば、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の水酸基を−ONaや−OKなどのオキシメタル基にした後、一般式:
CH=CH−R−Y
(式中、Yは塩素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、Rは−R−、
−R−OC(=O)−または−R−C(=O)−(Rは炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、好ましい具体例としてはアルキレン基、シクロアルキレン基、アリレ−ン基、アラルキレン基が挙げられる)で示される2価の有機基で、−CH−、−p−R−C−CH−(Rは炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれた2価の基が特に好ましい。)
で示される不飽和基含有有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端オレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体(以下、末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体ともいう)をまず製造する。
【0025】
末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCHのごとき金属アルコキシド;NaOH、KOHのごとき苛性アルカリなどと反応させる方法が挙げられる。
上記方法において、出発原料として使用した末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体とほぼ同じ分子量をもつ末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体が得られるが、より高分子量の重合体を得たい場合には、不飽和基含有有機ハロゲン化合物を反応させる前に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)エーテルなどの、1分子中にハロゲン原子を2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれば分子量を増大させることができ、その後不飽和基含有有機ハロゲン化合物と反応させれば、より高分子量でかつ末端にオレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体を得ることができる。
【0026】
前記不飽和基含有有機ハロゲン化合物の具体例としては、例えばアリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1−ブテニル(クロロメチル)エーテル、1−ヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼンなどが挙げられるが、それらに限定されるものではない。これらのうちでは安価で、かつ容易に反応することからアリルクロライドが好ましい。
【0027】
末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体への反応性ケイ素基の導入は、分子末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体の場合と同様に、前記したヒドロシリル化反応により達成することができる。
前記のように反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体が、芳香環でない不飽和結合を分子中に実質的に含有しない場合には、不飽和結合を有する有機系重合体やオキシアルキレン系重合体のような従来のゴム系重合体よりなる組成物の硬化物などとくらべて、著しく耐候性がよくなる。また、該重合体は炭化水素系重合体であるので湿気遮断性や耐水性がよく、またガラス、アルミなどの各種無機質基材に対して優れた接着性能を有するとともに、湿気遮断性の低い硬化物になる。本発明の硬化性組成物中の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の含有率は10%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上がとくに好ましい。
【0028】
本発明の(B)成分であるシリカバルーンまたは有機系バルーンは、例えば「機能性フィラーの最新技術」(CMC(株))に記載されているように、直径が1mm以下、好ましくは500μm以下のシリカあるいは有機質の材料で構成された中空体である。特に、真比重が1.0g/cm3以下である微小中空体を用いることが好ましい。
【0029】
記シリカバルーンとして旭硝子(株)製のQ−CELが市販されている。
【0030】
前記有機系バルーンとして、熱硬化性樹脂のバルーンと熱可塑性樹脂のバルーンが例示でき、熱硬化性のバルーンにはフェノールバルーン、エポキシバルーン、尿素バルーンが、熱可塑性バルーンにはサランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系バルーンが例示できる。また、架橋した熱可塑性樹脂のバルーンも使用できる。ここでいうバルーンは、発泡後のバルーンでも良く、発泡剤を含むものを配合後に発泡させてバルーンとしても良い。
【0031】
これらの有機系バルーンの具体例として、フェノールバルーンとしてユニオンカーバイド(株)製のUCAR及びPHENOLIC MICROBALLOONS、エポキシバルーンとしてEMERSON&CUMING(株)製のECCOSPHERES、尿素バルーンとしてEMERSON&CUMING(株)製のECCOSPHERES VF−O、サランバルーンとしてDOW CHEMICAL(株)製のSARAN MICROSPHERES、日本フィラメント(株)製のエクスパンセル、松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフェア、ポリスチレンバルーンとしてARCO POLYMERS(株)製のDYLITE EXPANDABLE POLYSTYRENE、BASF WYANDOTE(株)製の EXPANDABLE POLYSTYRENE BEADS、架橋型スチレン−アクリル酸バルーンには日本合成ゴム(株)製のSX863(P)が、市販されている。
【0032】
上記バルーンは単独で使用しても良く、2種類以上混合して用いても良い。さらに、これらバルーンの表面を脂肪酸、脂肪酸エステル、ロジン、ロジン酸リグニン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤、ポリプロピレングリコール等で分散性および配合物の作業性を改良するために処理したものも使用することができる。これらの、バルーンは配合物を硬化させた場合の物性の内、柔軟性および伸び・強度を損なうことなく、軽量化させコストダウンするために使用される。
【0033】
バルーンの使用量は、(A)成分100部(重量部、以下同じ)に対し、好ましくは0.1〜50部、更に好ましくは0.1〜30部の範囲で使用できる。この量が0.1部未満では軽量化の効果が小さく50部以上ではこの配合物を硬化させた場合の機械特性の内、引張強度の低下が認められるため好ましくない。またバルーンの比重が0.1以上の場合は3〜50部、更に好ましくは5〜30部が好ましい。
【0034】
本発明の(C)成分として使用するシラノール化合物縮合触媒は、シラノール縮合触媒として従来公知のものである。その具体例としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の錫カルボン酸塩類;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジブチル錫ジアセチルアセトナート;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;等のシラノール複合触媒、さらには他の酸性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が例示できる。これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0035】
この成分(C)の配合量は、成分(A)である飽和炭化水素系重合体100重量部に対して0.1〜20重量部程度が好ましく、1〜10重量部が更に好ましい。成分(C)の配合量がこの範囲を下回ると硬化速度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し難くなる場合がある。一方、成分(C)の配合量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライフが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。
【0036】
なお、本発明の組成物には、種々の充填剤を配合することにより更に変性することができる。このような充填剤としては、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、タルク及びカーボンブラックのような補強性充填剤;重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、珪藻土、焼成クレー、クレー、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び活性亜鉛華等のような充填剤;ガラス繊維及びフィラメントのような繊維状充填剤が使用できる。これらの充填剤で、強度の高い硬化性組成物を得たい場合には、主にフュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、タルク及びカーボンブラックのような補強性充填剤を本発明の(A)成分100重量部に対して1〜100重量部の範囲で使用すれば機械特性において、高強度・高モジュラスの硬化物を得ることができる。また、反対に低モジュラスで高伸びの硬化物を得たい場合には、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、珪藻土、焼成クレー、クレー、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び活性亜鉛華等のような充填剤を本発明の(A)成分100重量部に対して5〜400重量部の範囲で使用すればよい。もちろん、これらの充填剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合して使用しても良い。特に、充填剤として本発明の(B)成分である微中空体と補強性充填剤とを併用した場合、微中空体単独で硬化物を作製した場合と比較して、物性の大きな低下を起こすことなく軽量化、低コスト化を図ることができる。
【0037】
本発明の組成物において、可塑剤を充填剤と併用して使用すると硬化物の伸びを大きくできたり、多量の充填剤を混合できるためより有用である。前記可塑剤としては一般に用いられている可塑剤が使用できるが、本発明に用いる飽和炭化水素系重合体と相溶性のよいものが好ましい。可塑剤の具体例としては、例えばポリブテン、水添ポリブテン、α−メチルスチレンオリゴマ−、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレン等が挙げられるが、その中でも好ましくは不飽和結合を含まない水添ポリブテン、水添液状ポリブタジエン、パラフィン油、ナフテン油、アタクチックポリプロピレンなどの炭化水素系化合物類が好ましい。
【0038】
さらに本発明のガスケット材料には、必要に応じてその他のシランカップリング剤に代表されるような接着性付与剤、ニッケル化合物等の光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、界面活性剤等を適宜添加することができる。
本発明の組成物においては、1液組成物及び2液組成物のいずれも可能である。2液組成物として使用する場合には、例えば本発明の(A)成分と(B)成分、充填剤、可塑剤からなる主剤と本発明の(C)成分と充填剤、可塑剤からなる硬化剤とにわけ、使用直前に両成分を混合して使用すると、長期間の保存後も初期の硬化物物性を安定して発現できる。
【0039】
本発明の組成物は主に2液の弾性シーリング材として有用であり、電子電気、土木止水、建造物、船舶、自動車、道路等のシール用途に使用することができる。さらに、プライマー等を使用することにより、ガラス、石材、セラミック、木材、合成樹脂、金属等のような広範囲の基材に強固に接着するため、種々のタイプの接着性組成物として使用することが可能である。
【0040】
【実施例】
製造例1
飽和炭化水素系重合体(A)の製造
1Lの耐圧ガラス製オートクレーブに一般式(5):
【0041】
【化5】
Figure 0003608878
【0042】
で示される化合物(P−DCC)7.5mmoleを入れ、撹拌用羽根、三方コック及び真空ラインを取り付けた後、内部を窒素置換した。その後、三方コックの一方から窒素を流しながら、注射器を用いてオ−トクレ−ブにモレキュラ−シ−ブ処理によって乾燥させた溶媒、トルエン330mL、ヘキサン141mLを導入した。次いで添加剤α−ピコリン3.0mmolを添加した。次に、酸化バリウムを充填したカラムを通過させることにより脱水したイソブチレンが113g入っているニ−ドルバルブ付耐圧ガラス製液化ガス採取管を三方コックに接続した後、容器本体を−70℃のドライアイスーアセトンバスに浸積し、重合器内部を撹拌しながら1時間冷却した。冷却後、真空ラインにより内部を減圧した後、ニ−ドルバルブを開け、イソブチレンを耐圧ガラス製液化ガス採取管から重合容器に導入した。その後三方コックの一方から窒素を流すことにより常圧に戻した。次に、重合容器内が−70℃で安定していることを確認し、TiCl7.18g(3.8mmol)を注射器を用いて三方コックから添加して重合を開始させ、2時間経過した時点で、アリルトリメチルシラン2.57g(22.5mmole)を添加した。さらに1時間反応させた後、反応混合物を水に注ぎ込むことにより触媒を失活させた。次に有機層を純水により3回洗浄した後分液し、溶剤を減圧留去することにより、アリル基末端のイソブチレンポリマ−を得た。
【0043】
次いで、こうして得られたアリル基末端のイソブチレンポリマ−100gを、n−ヘプタン50mLに溶解し、約70℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン1.2[eq./アリル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体1×10−4[eq./アリル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、約4時間で1640cm−1のオレフィン由来の吸収が消失したのを確認し、反応を停止した。反応溶液を減圧濃縮することにより、次の構造を有すると考えられる、目的とする両末端に反応性ケイ素を有するイソブチレンポリマーが得られた。
【0044】
【化6】
Figure 0003608878
【0045】
こうして得られたポリマ−の収量より収率を算出するとともに、Mn及びMw/MnをGPC法により、また末端構造を300MHz1H−NMR分析により各構造に帰属するプロトン(開始剤由来のプロトン:6.5〜7.5ppm、ポリマ−末端由来のケイ素原子に結合したメチルプロトン:0.0〜0.1ppm及びメトキシプロトン:3.5〜3.4)の共鳴信号の強度を測定、比較することにより求めた。ポリマーの分析値は、Mn=17500(但し、ポリスチレン換算値)、Mn/Mw=1.30、Fn(シリル)=2.00であった(Fn(シリル)はNMR分析により求めた重合体におけるシリル基の当量数と開始剤に基因する基の当量数の比であり、イソブチレンポリマー1分子当たりの末端シリル官能基の個数を示す指標と考えられる)。
【0046】
実施例1〜8および比較例製造例1で得られた重合体100部に対し、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)90部、バルーン0〜0部、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名ビスコライト−R)100部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)100部、芒硝(Na2SO4・10H2O)5部、酸化防止剤(チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、商品名チヌビン327)1部、光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−770)1部を加え、三本ペイントロールでよく混練し主剤とした。また、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)10部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)20部、硬化触媒(日東化成(株)製、商品名U−220)4部、カーボンブラック(三菱化成(株)製、商品名CB#30)5部をディスポーザルカップ中で手混ぜ混練した後、日本精機製作所(株)製のエクセル・オート・ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpmで10分間撹拌する操作を3回行うことにより硬化剤を調整した。
【0047】
試験用サンプルは、主剤:硬化剤が10:1の重量比になるように秤量し、充分混練した後、配合物を厚さ約3mmのシートとし、オーブン中で硬化させた。養生条件はいずれも、23℃×7日+50℃×7日である。その後、JIS K6301規定のJIS 3号ダンベルを打ち抜き、温度23℃、湿度65±5%の恒温室中、引張速度200mm/minの条件で引張試験を行った。その結果は表1に示すとおりである。
【0048】
【表1】
Figure 0003608878
【0049】
表1において、バルーンAは旭硝子(株)製のQ−EL#300であり、バルーンBはユニオンカーバイド(株)製のユニカーフェノリックマイクロバルーンズBJO−0930であり、バルーンCは松本油脂製薬(株)製のマツモトマイクロスフェアーF80EDである。また、M100,TB,EBは、それぞれ100%伸張時のモジュラス、破断強度、破断伸びを表す。
【0050】
表1より明らかなように、本発明の(B)成分を配合することにより、硬化物の引張特性等の物性を大きく低下させることなく、軽量の硬化物を得ることができることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
本発明の組成物を、硬化させて得られる硬化物は、引張特性などの機械特性を大きく低下させることなく、単位体積当たりの重量を軽量化することができ、配合物のコストを低下させることができる。

Claims (6)

  1. (A)少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(B)シリカバルーン及び(C)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の硬化触媒からなる硬化性組成物であり、
    (A)成分の飽和炭化水素系重合体100重量部に対する、(B)成分の配合量が0.1〜50重量部、(C)成分の硬化触媒の配合量が0.1〜20重量部であり、さらに、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、珪藻土、焼成クレー、クレー、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び活性亜鉛華から選ばれる少なくとも1種の充填剤を5〜400重量部含有する硬化性組成物
  2. (A)少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(B)有機系バルーン及び(C)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の硬化触媒からなる硬化性組成物であり、
    (A)成分の飽和炭化水素系重合体100重量部に対する、(B)成分の配合量が0.1〜50重量部、(C)成分の硬化触媒の配合量が0.1〜20重量部であり、さらに、重質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、珪藻土、焼成クレー、クレー、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛及び活性亜鉛華から選ばれる少なくとも1種の充填剤を5〜400重量部含有する硬化性組成物。
  3. 有機系バルーンがフェノールバルーンまたはサランバルーンである請求項記載の硬化性組成物。
  4. (A)成分の飽和炭化水素系重合体が分子量500〜40000のイソブチレン系重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. (A)成分の反応性ケイ素基がアルコキシシリル基である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. (B)成分が、真比重1.0g/cm3以下の微小中空体である請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
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