JP3636577B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有する硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を含有する飽和炭化水素系重合体は、室温においても湿分等により反応性ケイ素基の加水分解反応等を伴うシロキサン結合の形成によって架橋し、ゴム状硬化物が得られるという興味深い性質を有することが知られている。この重合体は、耐熱性、耐水性、耐候性などに優れるため、建築用シーリング材や複層ガラス用シーリング材等に用いると有効である。
【0003】
一方、建築用シーリング材の施工は、コーキングガンなどを用いて建築現場にて作業をするために、取り扱いが良く作業性の良好なことが求められる。複層ガラス用シーリング材の場合には、複層ガラス加工工場内にてアプリケーター(シーリング材吐出装置)を用いて吐出するが、この場合も十分な吐出性を示す良好な作業性を有することが求められる。このように、建築用シーリング材や複層ガラス用シーリング材等のシーラントには良好な作業性が求められるが、ポリイソブチレンなどの飽和炭化水素系重合体は高粘度であり取り扱いにくいために、従来、特開平1−163255号の明細書に記載する、水添ポリブテン、パラフィン油、ナフテン油などを添加して可塑化していた。しかし、これらの可塑剤を用いた場合には、加熱減量が大きい、可塑化効果が十分ではない、低温時の流動性が悪いなどの問題が生じる場合があった。そのため、現場施工である建築用シーリング材の冬期施工時の押し出し性・作業性が悪いという問題が懸念された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、 反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とする硬化性組成物の作業性、特に低温時の作業性を改善することを目的とする。
【0005】
課題を解決する為の手段】
本発明者等は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、この重合体に特定の化合物を添加することによって、この組成物に硬化物物性・接着性・硬化性・貯蔵安定性の低下などの悪影響を及ぼさないで、該組成物の作業性、特に低温時の作業性を改善することができることを見い出すことにより前記問題を解決し、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち、本発明は、(A)反応性ケイ素基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体と、(B)炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンをモノマー単位として重合した重合度が1〜10である炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない水添α−オレフィンオリゴマーを含有することを特徴とする硬化性組成物に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基、すなわち、反応性ケイ素基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体が使用される。
【0008】
反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素ー炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
反応性ケイ素基としては、一般式(1)、
【0009】
【化2】
Figure 0003636577
【0010】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO−(R’、それぞれ独立に、は水素原子または炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表される基があげられる。
【0011】
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。
これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
【0012】
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+mb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式(2)
【0013】
【化3】
Figure 0003636577
【0014】
(式中、R2、X、aは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基が、原料の入手が容易であるので好ましい。
飽和炭化水素系重合体1分子中の反応性ケイ素基は1個以上であり、1.1〜5個あることが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好なゴム弾性が得られなくなることがある。
【0015】
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよいし、また、両方にあってもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にあるときは、最終的に形成される硬化物に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度で高伸びのゴム状硬化物が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0016】
また、これら反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独あるいは2種以上併用することができる。
本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1ーブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。
【0017】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合体を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%以下(重量%、以下同じ)、さらに好ましくは30%以下、とくに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
このような単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。このような共重合体成分としては、たとえば1ーブテン、2ーブテン、2ーメチルー1ーブテン、3ーメチルー1ーブテン、ペンテン、4ーメチルー1ーペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、αーメチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、βーピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0018】
また、イソブチレンと共重合性を有する単量体として、ビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると、ケイ素含有量が増加しシランカップリング剤として作用しうる基が多くなり、得られる組成物の接着性が向上する。
水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体のばあいと同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0019】
また、本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲で、ブタジエン、イソプレンなどのポリエン化合物のような重合後2重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、とくには1%以下の範囲で含有させてもよい。
飽和炭化水素系重合体、好ましくはイソブチレン系重合体または水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0020】
つぎに反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法について説明する。
反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体のうち、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イニファー法と呼ばれる重合法(イニファーと呼ばれる開始剤と連鎖移動剤を兼用する特定の化合物を用いるカチオン重合法)で得られた末端官能型、好ましくは、全末端官能型イソブチレン系重合体を用いて製造することができる。例えば、この重合体の脱ハロゲン化水素反応や特開昭63−105005号公報に記載されているような重合体への不飽和基導入反応等により末端に不飽和基を有するポリイソブチレンを得た後、一般式
【0021】
【化4】
Figure 0003636577
【0022】
(式中、R1、R2、X、aおよびbは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物(この化合物は一般式(1)で表される基に水素原子が結合した化合物である。)、好ましくは、一般式
【0023】
【化5】
Figure 0003636577
【0024】
(式中、R2、Xおよびaは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより反応性ケイ素基を重合体に導入する方法があげられる。ヒドロシラン化合物としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
【0025】
このような製造法は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号、特許公報第2539445号の各明細書などに記載されている。
また、分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とするモノマー中に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類を添加し、共重合せしめることにより製造される。
【0026】
さらに、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造する際の重合に際して、主成分であるイソブチレンモノマー以外に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類などを共重合せしめたのち末端に反応性ケイ素基を導入することにより、末端および分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体が製造される。
【0027】
反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類としては、たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0028】
前記水添ポリブタジエン系重合体は、たとえば、まず、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の水酸基を−ONaや−OKなどのオキシメタル基にした後、一般式(3):
CH2=CH−R3−Y (3)
(式中、Yは塩素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、R3は−R4−、−R4−OCO−または−R4−CO−(R4は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が好ましい)で示される2価の有機基で、−CH2−、−R”−C65−CH2−(R”は炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれる2価の基がとくに好ましい)で示される有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端オレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体(以下、末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体ともいう)が製造される。
【0029】
末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCH3のごとき金属アルコキシド;NaOH、KOHなどのアルカリ水酸化物などと反応させる方法があげられる。
前記方法では、出発原料として使用した末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体とほぼ同じ分子量をもつ末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体が得られるが、より高分子量の重合体を得たい場合には、一般式(3)の有機ハロゲン化合物を反応させる前に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)エーテルなどのごとき、1分子中にハロゲンを2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれば分子量を増大させることができ、その後一般式(3)で示される有機ハロゲン化合物と反応させれば、より高分子量でかつ末端にオレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体をうることができる。
【0030】
前記一般式(3)で示される有機ハロゲン化合物の具体例としては、たとえばアリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1ーブテニル(クロロメチル)エーテル、1ーヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼンなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。これらのうちではアリルクロライドが安価であり、しかも容易に反応するので好ましい。
【0031】
前記末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体への反応性ケイ素基の導入は、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体の場合と同様にヒドロシラン化合物を白金系触媒を用いて付加反応をさせることにより製造される。
前記のように反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体が、芳香環でない不飽和結合を分子中に実質的に含有しない場合には、不飽和結合を有する有機系重合体やオキシアルキレン系重合体のような従来のゴム系重合体よりなるシーリング剤などとくらべて、著しく耐候性がよくなる。また、該重合体は炭化水素系重合体であるので湿気遮断性や耐水性がよく、ガラス、アルミなどの各種無機質基材に対して優れた接着性能を有するとともに、湿気遮断性の高い硬化物になる。
【0032】
本発明の硬化性組成物中の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の含有率は10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、30%以上がとくに好ましい。本明細書の発明の硬化性組成物においては、高粘度で取り扱いにくい(A)成分の粘度を下げて取り扱いやすくし、さらに、低温時の押し出し性・作業性を改善するなどのために、(B)成分として炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンをモノマー単位として重合した重合度が1〜10である炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない水添α−オレフィンオリゴマーを使用する。
【0033】
この(B)成分の水添α−オレフィンオリゴマーは、炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンをモノマーとして用いた重合物を水素化した重合度が1〜10である炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない化合物である。該化合物は、エチレン、プロピレン等の低級オレフィンのオリゴマーや、天然の鉱油あるいは動物油などと比較して、側鎖が大きいことが特徴であり、その物理的性質が顕著に異なっている。この側鎖が大きいという特徴のために、水添α−オレフィンオリゴマーは流動点が低く、低温における粘度が著しく低い性質を有している。従って、本発明の硬化性組成物に用いると、低温時の押し出し性・作業性を改善することができると考えられる。また、水添α−オレフィンオリゴマーは、主に炭素原子と水素原子からなる非極性な炭化水素油であるために、本発明の(A)成分である飽和炭化水素系重合体と良好に相溶する。従って、本発明の硬化性組成物に水添α−オレフィンオリゴマーを用いても、接着性・塗装性・汚染性等に影響はないと考えられる。
【0034】
炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンとしては、例えば1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンなどをあげることができる。これらのなかでも、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセンなどの炭素数が8〜12の直鎖状α−オレフィンの重合体は低温流動性がよいので好ましい。
【0035】
該オリゴマーの数平均分子量は特に制限はないが、200〜700の範囲内であることが好ましく、250〜500の範囲内であることが特に好ましい。数平均分子量が200未満の場合には、加熱減量が大きいために硬化物の機械特性が経時で大きく変化することがあり、700をこえると可塑化効果が不十分であり、低温時の組成物の作業性が悪化することがある。
【0036】
また、該オリゴマーの重合度は、1〜10の範囲内であることが好ましい。重合度が10をこえると可塑化効果が不十分であり、低温時の組成物の作業性が悪化することがある。該オリゴマーの分子量分布(Mw/Mn:重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比)は特に制限はないが、1〜1.1の範囲内にあることが好ましい。分子量分布が狭い重合体は、可塑化効果が大きく、かつ、加熱減量が少ないために好ましい。
【0037】
さらに、該オリゴマーは、重合した後に水添していることが好ましい。該オリゴマー中に二重結合が残存していると、本発明の組成物の耐熱性および耐候性が悪化するために好ましくない。そのため、(B)成分のヨウ素価は、ASTM−D1159に従った試験法にて、5gBr2/100g以下であることが好ましく、1gBr2/100g以下であることがさらに好ましい。
【0038】
以上の条件を満たす水添α−オレフィンオリゴマーとしては、より具体的には、出光石油化学(株)製のPAO(出光ポリアルファオレフィン)があげられる。
前記水添α−オレフィンオリゴマーは、飽和炭化水素系重合体に反応性ケイ素基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節などの目的で溶剤のかわりに用いてもよい。
【0039】
水添α−オレフィンオリゴマーは、本発明の組成物に用いた場合、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を含有してなる硬化性組成物の作業性、特に低温時の作業性を大幅に改善することができる。しかも、前記水添α−オレフィンオリゴマーは、本発明の(A)成分である飽和炭化水素系重合体と良好に相溶するために、硬化物の機械特性、接着性、耐熱性、耐候性などの諸物性に悪影響を与えない。
【0040】
(B)成分の配合量は、(A)成分100部に対して10〜150部が好ましいが、30〜100部配合することがとくに好ましい。配合量が10部未満の場合には、低粘度化効果が十分でないことがあり、150部をこえると組成物の機械特性及び接着性が低下することがある。
本発明の(B)成分は単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
【0041】
また、前記水添α−オレフィンオリゴマー以外の可塑剤を併用してもよい。水添α−オレフィンオリゴマー以外の可塑剤としては、制限はないが、一般に用いられている可塑剤が使用でき、特に、特開平1−163255号の明細書に記載する可塑剤は本発明の組成物と相溶性がよいために好ましい。本発明の組成物と相溶性がよい可塑剤としては、例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、アタクチックポリプロピレンなどのポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニルなどのなどの芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエンなどの水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油などのパラフィン系オリゴマー;ナフテン油などのシクロパラフィン系オリゴマーなどがあげられる。
【0042】
また、以下に示す可塑剤も本発明の組成物の接着性、耐候性、耐熱性などを低下させない程度に、本発明の(B)成分と併用して使用してもよい。該可塑剤の例としては、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレートなどのフタル酸エステル類;ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジn−オクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(2−エチルヘキシル)セバシケート、テトラヒドロフタル酸ジ2−エチルヘキシルなどの非芳香族2塩基酸エステル類;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシルなどの芳香族系エステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステルなどの脂肪酸エステル類;ジエチレングリコールベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエートなどのポリアルキレングリコールのエステル類;トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェートなどのリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ可塑剤などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0051】
発明の硬化性組成物には、各種充填材が必要に応じて用いられる。前記充填材の具体例としては、たとえば、木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉末、フリント粉末、亜鉛末などがあげられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームシリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。特に、表面処理剤として脂肪酸エステルを用いて約3重量%処理した膠質炭酸カルシウム(具体的には、丸尾カルシウム(株)製のシーレッツ)を用いると、本発明の解決すべき課題である作業性を顕著に改善でき、チクソトロピック性、糸切れ性の良い配合物となることから好ましい。これらの充填材は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。充填材を用いる場合の使用量は(A)成分100部に対して1〜500部が好ましく、50〜200部がさらに好ましい。
【0052】
本発明の硬化性組成物には、(A)成分である飽和炭化水素系重合体の縮合硬化時に水分が必要であるために、水分の供給源として、H2O、あるいは、金属塩の水和物などが必要に応じて添加される。このような金属塩の水和物は通常市販されているものを広く用いうることができ、例えばアルカリ土類金属塩の水和物、その他の金属塩の水和物等が挙げられる。具体的には、
Al23・H2O, Al23・3H2O, Al2(SO43・18H2O, Al2(C243・4H2O, AlNa(SO42・12H2O, AlK(SO42・12H2O, BaCl2・2H2O, Ba(OH)2・8H2O, CaSO4・2H2O, CaS23・6H2O, Ca(NO32・4H2O, CaHPO4・2H2O, Ca(C24)・H2O, Co(NO32・6H2O, Co(CH3COO)2・4H2O, CuCl2・2H2O, CuSO4・5H2O, FeCl2・4H2O, FeCl3・6H2O, FeSO4・7H2O, Fe(NH4)(SO42・12H2O, K2CO3・1.5H2O, KNaCO3・6H2O, LiBr・2H2O, Li2SO4・H2O, MgSO4・H2O, MgSO4・7H2O, MgHPO4・7H2O, Mg3(PO42・8H2O, MgCO3・3H2O, Mg4(CO33(OH)2・3H2O, MoO3・2H2O, NaBr・2H2O, Na2SO3・7H2O, Na2SO4・10H2O, Na223・5H2O, Na226・2H2O, Na247・10H2O, NaHPHO3・2.5H2O, Na3PO4・12H2O, Na2CO3・H2O, Na2CO3・7H2O, Na2CO3・10H2O, NaCH3COO・3H2O, NaHC24・H2O, NiSO4・6H2O, NiC24・2H2O, SnO2・nH2O, NiC24・2H2O, Sn(SO42・2H2O, ZnSO3・2H2O, ZnSO4・7H2O, Zn3(PO42・4H2O, Zn(CH3COO)2・2H2
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
これらの中でも、アルカリ金属塩の水和物及びアルカリ土類金属塩の水和物が好ましく、具体的には
MgSO4・7H2O, Na2CO3・10H2O, Na2SO4・10H2O, Na223・5H2O, Na3PO4・12H2O, Na247・10H2O等が挙げられる。
前記のH2Oは、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体100部に対し、0.01〜25部の範囲で使用するのが好ましい。特に、0.05〜15部、さらには、0.2〜5部の範囲で使用するのが好ましい。また、前記の金属塩の水和物は、反応性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体100部に対し、0.01〜50部の範囲で使用するのが好ましい。特に、0.1〜30部、さらには、1〜10部の範囲で使用するのが好ましい。上記のH2Oと金属塩の水和物は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0054】
本発明の硬化性組成物には、先に記載した可塑剤、充填材および水分源の他に、必要に応じて各種添加剤が添加される。
このような添加物の例としては、たとえば、シラノール縮合反応を促進する硬化触媒、生成する硬化物の引張特性を調整する物性調整剤、接着性向上剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、光硬化性樹脂、タレ防止剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発泡剤などがあげられる。
【0055】
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特開昭63−254149号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。本発明の水添α−オレフィンオリゴマーの効果は、前述の各種添加剤が添加された場合も同様に認められる。すなわち、本発明の硬化性組成物が建築用シーリング剤や複層ガラス用シーリング剤などに用いられた場合、該化合物の添加により、それらシーリング剤の作業性、特に低温時の作業性を改善することができる。
【0056】
【実施例】
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
製造例1
500mlの耐圧ガラス製容器に、三方コックを取り付け、容器内を窒素置換した後、注射器を用いて容器内に、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)54mlおよびトルエン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)126ml、p−DCC(下記化合物)0.76g(3.28mmol)を加えた。
【0057】
【化6】
Figure 0003636577
【0058】
次にイソブチレンモノマー56mlが入っているニードルバルブ付耐圧ガラス製液化採取管を、三方コックに接続して、重合容器を−70℃のドライアイス/エタノールバス中につけて冷却した後、真空ポンプを用いて容器内を減圧にした。ニードルバルブを開け、イソブチレンモノマーを液化ガス採取管から重合容器内に導入した後、三方コック内の一方から窒素を導入することにより容器内を常圧に戻した。次に、2−メチルピリジン0.112g(1.2mmol)を加えた。次に、四塩化チタン1.65ml(15.1mmol)加えて重合を開始した。反応時間70分後に、アリルトリメチルシラン0.89g(7.9mmol)を加えてポリマー末端にアリル基の導入反応を行った。反応時間120分後に、反応溶液を水200mlで4回洗浄したあと、溶剤を留去することによりアリル末端イソブチレン系重合体を得た。
【0059】
次いで、こうして得られたアリル末端イソブチレンポリマ−40gを、n−ヘプタン20mlに溶解し、約70℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン1.5[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体1x10-4[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、約4時間で1640cm-1のオレフィン吸収が消失した。
【0060】
反応溶液を減圧濃縮することにより、目的とする両末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマ−が得られた。(下記化合物)
【0061】
【化7】
Figure 0003636577
【0062】
こうして得られたポリマ−の収量より収率を算出するとともに、Mn及びMw/MnをGPC法により、また末端構造を300MHz1H−NMR分析により各構造に帰属するプロトン(開始剤由来のプロトン:6.5〜7.5ppm、ポリマ−末端由来のケイ素原子に結合したメチルプロトン:0.0〜0.1ppm及びメトキシプロトン:3.4〜3.5)の共鳴信号の強度を測定、比較することにより求めた。1H−NMRは、Varian Gemini300(300MHz for 1H)を用い、CDCl3中で測定した。
【0063】
なお、FT−IRは島津製作所製IR−408、GPCは送液システムとしてWaters LC Module1、カラムはShodex K−804を用いて行った。分子量はポリスチレンスタンダードに対する相対分子量で与えられる。ポリマーの分析値は、Mn=17501、Mw/Mn=1.14、Fn(シリル)=1.91であった。(数平均分子量はポリスチレン換算、末端シリル官能基数はイソブチレンポリマー1分子当たりの個数)。
製造例2
添加量をp−DCC1.16g(5.02mmol)、2−メチルピリジン0.093g(1.0mmol)、アリルトリメチルシラン1.22g(10.8mmol)に変えた以外は製造例1と同様にして反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を合成した。
【0064】
ポリマーの分析値は、Mn=11445、Mw/Mn=1.23、Fn(シリル)=1.76であった。
実施例1〜および比較例1
飽和炭化水素系重合体として製造例1で得られた重合体100重量部に対して、水添α−オレフィンオリゴマーとして出光石油化学(株)製のPAO5002、または、PAO5004を表1に示す部数加え、低温流動性の悪いパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)を表1に示す部数添加し、さらに、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名シーレッツ200)50部、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名MC−5)50部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名ソフトン3200)40部、エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、商品名エピコート828)5部、垂れ防止剤(楠本化成(株)製、商品名ディスパロン#305)3部、光硬化性樹脂(東亜合成(株)製、商品名アロニックスM−309)3部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(日本チバガイギー(株)製、商品名チヌビン327)1部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−770)1部、カーボンブラック補強剤(三菱化学(株)製、商品名カーボンブラック#30)0.2部、水分源として、Na2SO4・10H2O(和光純薬工業(株))5部またはH2O5部を各計量、混合し小型3本ペイントロールで3回混練した組成物を主剤とした。
【0065】
硬化剤として、オクチル酸錫(日東化成(株)製、商品名ネオスタンU−28)3部、ラウリルアミン(和光純薬工業(株))0.75部、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)6.25部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名ソフトン3200)10部、酸化チタン(石原産業(株)製、商品名タイペークR−820)10部を各計量、混合し小型ホモジナイザーで混練し組成物を硬化剤とした。
【0066】
上記の主剤と硬化剤を5℃乾燥器に24時間以上放置した後、主剤/硬化剤=100/10(重量部)で混合し、JIS A 5758−1992(建築用シーリング材)5℃押し出し性試験を試験体3個について測定した。
粘度測定は、BS型粘度計(東京計器(株)製、ローターはNo.7)を使用し、23℃/60%RHの恒温室中で測定した。
【0067】
引張接着性試験方法は、JIS A 5758−1992(建築用シーリング材)規定の引張接着性試験体の作製方法に従って、ガラス基材をH型に組み、上記の主剤と硬化剤を主剤/硬化剤=100/10の重量比で秤量して充分混練した後充填し、オーブン中で硬化させた。養生条件はいずれも、23℃×7日+50℃×7日である。試験部材はフロートガラスを用い、プライマーは、東レダウコーニング(株)製のプライマーD−2を1回塗布した。引張試験は、温度23℃、湿度60±5%の恒温室中、引張速度50mm/minの条件で、島津オートグラフAG−2000Aを用いて行った。
【0068】
主剤の配合組成、5℃押し出し性、粘度、および、引張接着性の測定結果を表1に示す。なお、表1中のM100、M150、TB、EBは、それぞれ、100%引張り応力、150%引張り応力、最大引張り応力、最大荷重時の伸びを表す。
【0069】
【表1】
Figure 0003636577
【0070】
比較例1で示す組成物は、良好なチクソトロピック性および糸切れ性を与えるシーレッツ200を充填剤として含有しているために、夏期施工時の作業性が良い組成物である。しかし、可塑剤として添加している出光興産(株)製のダイアナプロセスPS−32は、ロウ分を含有するために、低温時の流動性が悪く、5℃押し出し性は表1に示すように5秒以上を示しており、冬期施工時の作業性は悪い。
【0071】
一方、実施例1〜4では、本発明の(B)成分である水添α−オレフィンオリゴマーを可塑剤として添加している。実施例1〜4で用いている水添α−オレフィンオリゴマーである出光石油化学(株)製のPAO5002とPAO5004は、1−デセンの重合体(重合度:1〜5)を水添した合成油である。PAO5002とPAO5004は、いずれも分子量分布が1.1以下と狭いため、また、主鎖が比較的短く側鎖が大きい構造を有する重合体であるために、可塑化効果が大きく、低温時の流動性がよい。
【0072】
そのため、表1に示すように、PAO5002またはPAO5004を添加した実施例1〜4の組成物は、いずれも、比較例1よりも5℃押し出し性がはやくなっており、低温時の作業性がよい。特に、可塑剤であるPS−32の全量をPAO5002に置き換えた実施例4の組成物は、5℃押し出し性の値が、2.2秒を示し、冬期施工時も作業性の良い組成物であることがわかる。
【0073】
また、BS型粘度計を用いた粘度測定結果からも、水添α−オレフィンオリゴマーであるPAO5002またはPAO5004をPS−32の代わりに使用することによって、作業性が改善できることがわかる。すなわち、実施例1〜4の組成物は、いずれも、比較例1よりも粘度が低い。
さらに、H型引張接着性試験結果より、水添α−オレフィンオリゴマーを可塑剤として使用しても、硬化物の機械特性、および、接着性に悪影響を及ぼさないことがわかる。
【0074】
また、実施例1と実施例2を比較すると、水分源(Na2SO4・10H2OとH2O)の違いによる低温作業性への影響はほとんどないことがわかる
【0075】
施例5〜6および比較例2〜3
飽和炭化水素系重合体として製造例2で得られた重合体100重量部に対して、水添α−オレフィンオリゴマーとして出光石油化学(株)製のPAO5002を表2に示す部数加え、エステル系可塑剤としてアジピン酸ジ2−エチルヘキシル(新日本理化(株)製、商品名サンソサイザーDOA)を表2に示す部数加え、低温流動性の悪いパラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)を表2に示す部数添加し、さらに、膠質炭酸カルシウム(白石工業(株)製、商品名EDS−D10A)50部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名PO320B10)180部、タルク(富士タルク工業(株)製、商品名タルクLMR)100部、光安定剤 ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル(三新化学(株)製、商品名サンダントNBC)3部、垂れ防止剤(楠本化成(株)製、商品名ディスパロン#305)5部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、サリシレート系紫外線吸収剤(住友化学工業(株)製、商品名スミソーブ400)1部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−765)1部、光硬化性樹脂(東亜合成(株)、商品名アロニックスM−400)3部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤A−187)2部、γ−イシシアネートプロピルトリエトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名シランカップリング剤Y−9030)4部を加え、三本ペイントロールでよく混練して主剤とした。
【0076】
また、パラフィン基プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)10部、重質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名スノーライトSS)20部、硬化触媒(日東化成(株)製、商品名U−220)4部、ラウリルアミン(和光純薬工業(株))2部、カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名カーボンブラック#30)2.5部、Na2SO4・10H2O(和光純薬工業(株))4部をディスポーザルカップ中で手混ぜ混練した後、日本精機製作所(株)製のエクセル・オート・ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpmで10分間攪拌する操作を3回行うことにより硬化剤を調整した。
【0077】
粘度測定は、先述の方法と同じ方法で測定した。
引張接着性試験方法は、先述の方法と同じくJIS A 5758−1992(建築用シーリング材)規定に従って、ガラス基材をH型に組み、上記の主剤と硬化剤を主剤/硬化剤=128/10の重量比で混合して評価を行った。試験部材はフロートガラスを用い、プライマーは塗布していない。
【0078】
主剤の配合組成、粘度、および、引張接着性の測定結果を表2に示す。なお、表2中のM30、M50、TB、EBは、それぞれ、30%引張り応力、50%引張り応力、最大引張り応力、最大荷重時の伸びを表す。
【0079】
【表2】
Figure 0003636577
【0080】
表2に示す通り、BS型粘度計を用いた粘度測定結果から、水添α−オレフィンオリゴマーであるPAO5002をPS−32の代わりに使用することによって、配合物粘度を著しく低下させることができる。すなわち、実施例5〜6の組成物は、いずれも、比較例2よりも粘度が低く、アプリケーターからの吐出性が良い。しかも、1rpmまたは2rpmでの粘度と10rpmでの粘度の比(1/10粘比または2/10粘比)で表されるチクソトロピック性は、水添α−オレフィンオリゴマーであるPAO5002を使用した場合により高く、吐出性だけでなく、垂れ性や糸切れ性も改善できることがわかる。
【0081】
また、H型引張接着性試験結果より、水添α−オレフィンオリゴマーを可塑剤として使用しても、硬化物の機械特性、および、接着性に悪影響を及ぼさないことが確認できる。一方、比較例3で示す組成物は、エステル系可塑剤(新日本理化(株)製、サンソサイザーDOA)を単独使用した系である。可塑剤としてエステル系可塑剤のみを用いると、本発明の(A)成分である飽和炭化水素系重合体と相溶性が悪いために、可塑剤のブリードアウトなどにより接着性が悪く、表2に示すように100%界面破壊を示した。
【0082】
以上のように、(A)分子中に少なくとも1個の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(B)炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンをモノマー単位として重合した重合度が1〜10である炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない水添α−オレフィンオリゴマーからなる硬化性組成物は、作業性、特に低温時の作業性と、硬化物の機械特性、接着性が良好な組成物となる。
【0083】
【発明の効果】
本発明の硬化性組成物は、作業性、特に低温時の作業性を著しく改善することができる。また、本発明の硬化性組成物に各種添加剤が添加された場合には、建築用シーリング材や複層ガラス用シーリング材として特に有用であり、冬期に施工する場合にも作業性のよいシーリング材となる。

Claims (9)

  1. (A)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体と、(B)炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンをモノマー単位として重合した重合度が1〜10である炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない水添α−オレフィンオリゴマー、を含有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. (A)成分の飽和炭化水素系重合体が、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、一般式(1)、
    Figure 0003636577
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO−(R’は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表される加水分解性シリル基を、1分子あたり、1個以上有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. Xがアルコキシ基であることを特徴とする請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. (A)成分の飽和炭化水素系重合体が、イソブチレンに起因する繰り返し単位を総量で50重量%以上有することを特徴とする重合体である請求項1に記載の硬化性組成物。
  5. 炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンが、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンの群から選ばれる1種以上の化合物であることを特徴とする請求項に記載の硬化性組成物。
  6. (B)成分の水添α−オレフィンオリゴマーが、数平均分子量が200〜700の範囲内にあり、分子量分布が1〜1.1の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  7. (A)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体100重量部に対して、(B)炭素数が8〜18の直鎖状α−オレフィンをモノマー単位として重合した重合度が1〜10である炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない水添α−オレフィンオリゴマー10〜150重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1からのいずれかに記載の硬化性組成物を含有することを特徴とする建築用シーリング材組成物。
  9. 請求項1からのいずれかに記載の硬化性組成物を含有することを特徴とする複層ガラス用シーリング材組成物。
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