JP3607581B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機を予熱する予熱機能を有する空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ヒートポンプ式空気調和機において、暖房運転開始時に圧縮機の温度が低い状態でそのまま立ち上げるとオイルフォーミングや焼付けを起こし、圧縮機が損傷するおそれがある。従来、この圧縮機の損傷を防止して圧縮機の立ち上がりをよくするために、圧縮機の密閉ケース内に設けられた予熱ヒーターや、圧縮機モータの巻線に通電してあらかじめ圧縮機を暖めておくことが行われている。この予熱には、室内温度、室外温度等を測定し、これらデー夕により制御マイコンのもとで、圧縮機の予熱手段への通電をON/OFF制御している(例えば、特開昭62−22947号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記構成の空気調和機においては、運転スイッチをOFFにして暖房運転を停止すれば、要・不要を問わず予熱手段がON/OFF制御される予熱モードが実行されることになる。すなわち、室内温度及び室外温度等が一定の条件を満たせば自動的に予熱手段に通電し、圧縮機を予熱する(以下、この状態を予熱モードと称する)。
【0004】
しかし、予熱モードの実行は、長時間空気調和機を使用しない場合はその間の予熱は不必要であり、その分、余分な電力を費やすこととなり、また、その消費電力は近年注目を浴びている通常の待機消費電力に比べて、かなり大きくなる。また、圧縮機の予熱モードが実行されていることを使用者が把握するのも容易ではない。
【0005】
そこで、本発明においては、圧縮機の予熱に要する電力の節約が可能な空気調和機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る空気調和機は、圧縮機を予熱する予熱モードを実行する制御手段と、この制御手段に予熱モードを強制的に解除する信号を出力する手段とが設けられた構成を採用し、これにより、外出時のように明らかに空気調和機を運転しないような場合に不用意に圧縮機が予熱されるのを防止して無駄な電力の消費を抑制可能とした。
【0007】
圧縮機を予熱する手段としては、通電により発熱するものであれば、特に限定されることなく使用することができ、例えば、圧縮機内にヒーターを設けたものを使用することができる。また、予熱手段として、圧縮機のモータ巻線と、トランジスタからなるインバータ回路とで構成されたものを使用すれば、別途ヒーターを設けることなく圧縮機を予熱することができる。この場合、圧縮機のモータ巻線に高周波数の低電圧を印加することにより、圧縮機を回転させずに巻線を発熱させることができる。
【0008】
制御手段としては、制御マイコンを利用し、予熱モードの解除信号を受けて予熱モードの解除を実行する構成のものを採用すればよい。予熱モードの解除信号は空気調和機の室内機本体から制御手段に出力するようにしてもよいが、リモコン等の外部入力装置により信号を出力するようにすれば遠隔操作が可能となり、予熱モードの解除を簡単に行うことができる。
【0009】
外部入力装置としては、リモコンを使用することができるほかに、電話回線を介してパソコンや電話機から信号を入力可能とすれば、外出先からでも予熱モードの解除が可能となる。
【0010】
また、予熱モードの解除のみならず、制御手段に予熱モードの設定信号を入力することにより予熱モードの設定が可能な構成を採用すれば、暖房運転開始時に圧縮機をスムーズに立ち上げることが可能となる。
【0011】
解除された予熱モードを復帰させる方法としては、予熱モードの設定信号を入力することにより復帰させる方法や、空気調和機の運転スイッチをON操作することで予熱モードの解除がリセットされるようにする方法等を採用することができ、また、これらの方法を使用者が選択可能とすることも可能である。
【0012】
予熱モードの設定/解除を行うためには、予熱モードの設定信号及び解除信号を切り換え出力可能な予熱モードスイッチを設ければよい。予熱モードスイッチは、他の機能を有するスイッチと共用し、信号送出時に他の機能と切り換えて使用するようにしてもよいが、専用スイッチを設ければ誤操作を防止することができ、確実に予熱モードの切り換えが可能となる。
【0013】
また、外部入力装置として、予熱モードの設定及び解除を予約するスイッチを有するものを使用すれば、空気調和機を使用しない時間帯が明らかな場合に、予熱モードの解除を忘れるおそれがなく、確実に節電が可能となる。
【0014】
また、空気調和機の室内機及び/又は外部入力装置に予熱モードの状態(設定あるいは解除)を表示する表示部を設ければ、予熱モードが設定されているのか解除されているのかが一目で判別でき、使用者に注意を促し、節電を図ることが可能となる。この表示部の表示時期として、常時表示させてもよいし、室内機や外部入力装置の操作時にのみ表示させてもよい。
【0015】
以上説明したように本発明においては、不要なときに予熱を行わないように予熱モードを解除するようにしたため、圧縮機の予熱手段に対するストレスが低減され、予熱手段の信頼性を向上させることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態において、空気調和機は、室内機と室外機とから構成されたセパレート型のものであって、室内機1内には室内機制御手段3のほかに図示しない室内側熱交換器及びファンモータが、室外機2内には室外機制御手段4、ファンモータ5及び圧縮機6(コンプレッサ)のほかに、図示しない室外側熱交換器、四方弁及び減圧装置がそれぞれ設けられている。
【0017】
これら圧縮機6、四方弁、室外側熱交換器、減圧装置及び室内側熱交換器が図示しない冷媒配管で順次、接続されて冷媒を循環させる冷暖房サイクルが構成されている。
【0018】
室内機制御手段3及び室外機制御手段4は、夫々マイコン等から構成され、互いに情報をシリアル信号で交換することで空気調和機全体を制御しており、運転開始により室内温度センサ8等からの出力を受け、四方弁を適宜切換えて室内を冷暖房するようになっている。
【0019】
圧縮機6は、室外機制御手段4からの信号を受けたインバータ回路7により回転駆動され、このインバータ回路7および圧縮機6のモータ駆動部巻線(図示せず)が予熱手段として利用されており、暖房運転停止時において、室外機制御手段4から予熱指令信号が出力されると、その信号を受けたインバータ回路7により図2に示すように圧縮機6の駆動部巻線に高周波数の低電圧を印加し、これにより圧縮機6を回転させずに巻線を発熱させ、圧縮器6を予熱するようになっている。
【0020】
また、室内機制御手段3には室内温度センサ8が、室外機制御手段4には外気温センサ9及び圧縮機温度センサ10がそれぞれ接続されている。上記制御手段3又は4には、室内温度、室外温度、圧縮機温度についてそれぞれ設定温度が予め記憶されており、通常はこの制御手段3又は4で各温度センサの出力と設定温度と比較し、一定条件を満たしていると判断したときには、予熱手段に通電(予熱手段ON)して圧縮機6を予熱し、一定条件を満たしていないと判断したときには、予熱手段への通電を停止(予熱手段OFF)する予熱モードに設定されている。
【0021】
なお、予熱手段のON/OFF制御は、圧縮機6の温度のみによって制御する方式、室内温度及び室外温度により制御する方式、あるいは、前記三箇所の温度により制御する方式等、適宜採用することが可能である。
【0022】
この予熱モードを強制的に設定又は解除する外部入力装置としてリモコン11が設けられている。図3は、外部入力装置としてのリモコンの構成を示す概略図である。リモコン11は、液晶表示部12と、ボタン14、切換スイッチ15及びジョグダイヤル13などのスイッチとを備えており、これらスイッチの一つを予熱モードスイッチとして使用すればよい。また、リモコン11は予熱モードの設定と解除をそれぞれ予約できるように構成されている。
【0023】
さらに、リモコン11には、表示部12が設けられている。また、空気調和機の室内機1には、図4に示すように、表示部17が設けられており、これら表示部12、17は、LEDや液晶表示を用い、色彩、発光、文字等により予熱モードの状態(設定又は解除)を識別表示するようにし、誤認識を防止するようになっており、予熱モードの設定又は解除を予約した場合には表示部12、17にタイマー表示が出るようになっている。なお、予熱解除信号等の出力手段として、リモコン11などの外部入力装置から出力するほかに、室内機1に操作部を設けて出力するようにしてもよい。
【0024】
予熱モードの解除操作をした場合には、リモコン11から予熱解除信号が出力され、室内機制御手段3の受光部18に受信されて圧縮機6への通電を強制的に停止し、予熱モードの設定操作をした場合には、リモコン11から室内機制御手段3に予熱設定信号が出力され、予熱手段への通電が可能な状態となる。
【0025】
また、予熱モードの設定及び/又は解除の予約は、リモコン11に予約時刻あるいは予約実行までの時間を入力することにより行われ、リモコン11から出力された予約信号は、室内機制御手段3内で演算処理あるいはカウント処理され、予約時刻又は時間になると予熱モードの設定あるいは解除が実行される。
【0026】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で多くの修正、変更を加えることができるのは勿論である。例えば、上記実施形態においてはセパレート型の空気調和機について説明したが、一体型の空気調和機にも適用できる。
【0027】
また、予熱モードの設定又は解除の状態を表示する場合に、リモコン11の表示部12又は室内機1の表示部17のいずれか一方に表示するような構成であってもよいし、両者に表示させる構成としてもよい。
【0028】
さらに、予熱解除信号は手動で入力できるほか、赤外線センサ等の監視センサを使用して室内に人がいなくなってから、所定時間経過後に予熱モードを解除する制御を行ってもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によると、圧縮機を予熱する予熱モードを実行する制御手段と、この制御手段に予熱モードを強制的に解除する制御手段を設けたので、外出時のように明らかに空気調和機を運転しないような場合に圧縮機が予熱されるのを防止することができ、節電することが可能となる。
【0030】
また、外部入力装置から信号によって制御手段が作動されるようにすれば、遠隔操作が可能となり、予熱モードの解除を簡単に行うことができ、さらに、予熱モードの設定/解除を行うための予熱モードスイッチを設けて、予熱モードの停止のみならず再開定も可能とすれば、暖房運転をスムーズに再開することが可能となる。
【0031】
また、空気調和機の室内機及び/又は外部入力装置に予熱モードの設定又は解除の状態を表示する表示部を設ければ、予熱モードに設定されているか解除されているのかが一目で判別でき、使用者に注意を促し、節電を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す構成図
【図2】予熱モードにおける圧縮機の電熱制御を示すタイムチャート
【図3】リモコンの概略図
【図4】空気調和機の室内機概略図
【符号の説明】
1 室内機
2 室外機
3 室内機制御手段
4 室外機制御手段
6 圧縮機
7 インバータ回路
11 リモコン(外部入力装置)
12 リモコン表示部
17 室内機表示部
Claims (3)
- 圧縮機を予熱する予熱手段と、該予熱手段への通電をON/OFF制御する予熱モードを実行する制御手段と、外部入力装置とを備えた空気調和機であって、前記外部入力装置は、予熱モードの設定及び解除を予約する予約スイッチが設けられ、前記制御手段が、前記外部入力装置からの予約信号を受けてその予約時刻に予熱モードを設定/解除する機能を有することを特徴とする空気調和機。
- 前記外部入力装置に予熱モードの設定/解除を行なうための予熱モードスイッチが設けられ、前記外部入力装置からの設定信号又は解除信号を受けて予熱モードを設定/解除する機能を有することを特徴とする請求項1記載の空気調和機。
- 室内機及び/又は外部入力装置に、予熱モードの設定/解除の状態を表示する表示部が設けられた請求項1 又は2記載の空気調和機。
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