JP3607273B2 - 微生物セルロースゲルの着色方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナタデココ及びナタデピニャに代表される微生物セルロースゲルの着色方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
東南アジアでココナッツの実から作られている微生物セルロースゲルの1種であるナタデココは、やや寒天に似たコリコリとした食感を有しており、近年、嗜好性食品として、デザート、飲料等に広く用いられるようになっている。
ナタデココを製造するには、まず、ココナッツの果肉をつぶした後、搾汁、布濾過して、ココナッツミルク水とし、これに水、砂糖、酢酸、必要に応じて窒素源となるタンパク質、アミノ酸、アンモニウム塩等を加えて混合し、得られた混合液にナタデココを産生する酢酸菌(アセトバクター・キシリナムAcetobacter xylinum)を接種して、7日間から14日間、発酵させる。そうすると、混合液の表面に、セルロースゲルからなる厚い膜が産生されるので、それを取り出して、切断、酸抜き等の加工処理を施すと、製品としてのナタデココが得られる。
また、同じく微生物セルロースゲルの1種であるナタデピニャは、パイナップル果汁を原料にして、ナタデココの場合と同様な方法で得ることができる。なお、品質的にはナタデココの方が優れていると言われている。
微生物セルロースゲルの生合成の機構については、糖質で生育した酢酸菌体によって、グルコース−6−リン酸、グルコース−1−リン酸、ウリジンジリン酸−グルコースを経て、微生物セルロースゲルが生合成されるものと考えられている[外内尚人、化学と生物、Vol.39、p538(2001)]。
【0003】
ナタデココ及びナタデピニャは、やや透明感のある白い色調を有するものであるが、デザートとしての見た目の美しさ、楽しさを付与するには、種々の色調に着色することが求められている。
微生物セルロースゲルを着色する方法としては、例えば、特開平7−79737号公報、特開平8−70795号公報に、その方法が開示されている。
具体的にこれらの方法について説明すると、特開平7−79737号公報に開示されている方法は、(a)微生物が産生した可食性セルロースゲルを、水溶性β−カロチン溶液に浸漬し、(b)前記水溶性β−カロチン溶液に浸漬した可食性セルロースゲルを、酸性溶液に浸漬することを特徴とする可食性セルロースゲルの着色方法である。
また、特開平8−70795号公報に開示されている方法は、アルカリ性の水性液中で、ナタデココと、水性液に溶解した色素と、水性液に溶解した蛋白質とを共存させた後、ナタデココの表面及び/又は内部の液性を酸性とするか、若しくはナタデココの表面及び/又は内部にアルコール液を存在させる工程を含むこと、または、炭素数1から3の脂肪族アルコールを共存させる工程を含むことを特徴とするナタデココの着色方法である。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−79737号公報
【特許文献2】
特開平8−70795号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の微生物セルロースゲルの着色方法は、色素を外部よりゲル内に浸透させる原理に基づくものであり、微生物セルロースゲルを色素溶液に長時間浸漬した後、さらに色素を固定化するために酸性溶液に浸漬する方法であるため、該セルロースゲル全体を均一に着色させることは極めて困難であった。
【0006】
そこで、かかる問題点を解決するために、特開2001−120197号公報において、果実の果肉の水可溶物を主成分とする培地に、色素等の機能性素材を添加し、微生物を接種し、発酵させることを特徴とする機能性素材含有微生物セルロースゲルの製造方法が提案されている。
この機能性素材含有微生物セルロースゲルの製造方法は、従来の問題点を解決した優れた発明ではあるものの、微生物セルロースゲルをより一層均一に着色することができ、食品に添加した際に、色滲みが全く起こらない微生物セルロースゲルの着色方法が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、いかにすれば上記課題を解決することができるかについて鋭意研究した結果、微生物セルロースゲルをタンニン含有水溶液に浸漬することを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、微生物セルロースゲルの着色方法であって、下記の工程、
(1)微生物が産生した微生物セルロースゲルをタンニン含有水溶液に浸漬する工程、
(2)前記タンニン含有水溶液に浸漬した微生物セルロースゲルを、色素溶液に浸漬する工程、
(3)前記色素溶液に浸漬した微生物セルロースゲルを、アルカリ水溶液中で加熱する工程、及び
(4)前記アルカリ水溶液中で加熱した微生物セルロースゲルを、酸性水溶液中に浸漬する工程を具備することを特徴とする微生物セルロースゲルの着色方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
前記したように、本発明は、(1)〜(4)の工程を具備することを特徴とする微生物セルロースゲルの着色方法である。以下、各工程について、詳細に説明する。
まず、(1)の工程では、微生物が産生した微生物セルロースゲルをタンニン含有水溶液に浸漬させる。このタンニンが色素と結合することにより、色素が強固に固定化され、かつ、微生物セルロースゲル全体が均一に着色される。
この(1)の工程で使用する微生物セルロースゲルは、公知の方法によって調製したものであればよく、特に限定されない。具体的に、微生物セルロースゲルの調製方法の一例を挙げると、例えば、まず、ココナッツ、パイナップル等の果実の果肉をつぶした後、搾汁、布濾過して、水可溶物を採取し、これに水可溶物の5〜10%の砂糖、1〜3%の酢酸、また、必要に応じて、窒素源としてタンパク質、アミノ酸、アンモニウム塩を添加して培地を調製する。そして、この培地に所望により殺菌処理を行い、殺菌処理を行った場合は、殺菌後、充分に冷却する。次いで、微生物を接種し、30℃で7〜14日間発酵させる。接種する微生物は、セルロースゲル産生能を有する細菌であればよく、例えば、セルロースゲル産生酢酸菌であるアセトバクター・キシリナム ATCC10821、アセトバクター・キシリナムIFO13772等が例示できる。
通常、微生物を接種して1〜2日間で培地の表面に膜が生成され、約1〜2週間後には10〜15mmの厚い膜が生成される。この膜を切り取り、水洗、酸抜き等の加工処理を施すことにより、微生物セルロースゲルが得られる。果実の果肉にココナッツを用いた場合は、色素含有ナタデココが、パイナップルを用いた場合は、色素含有ナタデピニャが得られる。
【0009】
微生物セルロースゲルを浸漬するタンニン含有水溶液は、タンニン含有植物の抽出物、圧搾物、あるいは、これら抽出物や圧搾物の精製物を含有する水溶液である。
タンニン含有植物としては、柿、緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハマメリス等が挙げられる。
タンニン含有水溶液におけるタンニン含有率は、0.0001〜1重量%、好ましくは0.0005〜0.5重量%である。タンニン含有率が、0.0001重量%未満であると、着色しにくくなり、1重量%を超えると、苦渋味が強くなる。
微生物セルロースゲルをそのままあるいは所望のサイズにカットしてタンニン含有水溶液に浸漬する時間は、1〜24時間が適当である。
【0010】
次に、(2)の工程として、前記タンニン含有水溶液に浸漬した微生物セルロースゲルを、色素溶液に浸漬する。
本発明で用いる前記色素は、食品用色素であれば特に限定されず、例えば、アナトー色素、オレンジ色素、クチナシ黄色色素、パプリカ色素、トマト色素(リコペン色素)、マリーゴールド色素、パーム油カロチン色素等のカロチノイド系色素、アカネ色素、コチニール色素等のアントラキノン系色素、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、エルダベリー色素、ブルーベリー色素、ストロベリー色素、ラズベリー色素、ムラサキイモ色素等のアントシアニン系色素、カカオ色素、ベニバナ黄色色素、ベニバナ赤色色素(カーサミン色素)等のフラボノイド系色素、クロロフィル、ササ色素等のポルフィリン系色素、ベニコウジ赤色色素、ベニコウジ黄色色素等のアザフィロン系色素、その他、クチナシ青色色素、クチナシ赤色色素、スピルリナ色素、ホウレンソウ色素等のいわゆる天然色素、さらに食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用黄色4号、食用緑色3号、食用青色1号等の合成色素を例示することができる。なお、これらを混合して、中間色としても利用できる。
【0011】
これらの色素は、水に均一に溶解又は分散させて、色素溶液とするが、色素の退色防止処理を施すのが好ましい。例えば、天然色素は退色しやすいので、抗酸化剤等の退色防止剤を添加することが好ましい。
色素を水に均一に溶解又は分散するため、該色素が油溶性である場合は、乳化剤又は界面活性剤を用いて、該色素をO/W型の乳化組成物にするのが望ましい。
さらに、リコペンのように、油溶性であるが結晶物である色素の場合には、微粉砕して微粒子状のまま、水に均一に分散させることもできる。
上記乳化組成物及び微粒子の粒径としては、0.05〜3μm、好ましくは、0.1〜1μmの範囲である。この範囲以外の粒径では、色素をセルロース組織に内在させることが困難な場合もあるので好ましくない。
さらに、(2)の工程は、特に、酸の存在下で行うことにより、より鮮やかに着色することができる。酸としては、有機酸、無機酸及びその塩のいずれを使用してもよく、特にはクエン酸、リンゴ酸を使用するのが好ましい。
酸の使用量としては、色素水溶液中の濃度としては特に制限されず、例えば、0.01〜1.0重量%、好ましくは0.05〜0.5重量%を例示することができる。
【0012】
水に溶解又は分散させる色素の量は、得られる微生物セルロースゲルの利用目的により異なるので一概には決められないが、一般的には、天然色素の場合は、色素原体として水に0.01〜10重量%(以下、特に断わりのない限り同じ。)、合成色素の場合は、色素原体として水に0.0001〜0.1%程度を添加する。
また、微生物セルロースゲルを色素溶液に浸漬する時間は、1〜24時間程度が適当である。
【0013】
次に、(3)の工程として、(2)の工程で得られた微生物セルロースゲルを、所望の形状に切断して、またカットしてある場合はそのままアルカリ水溶液中で加熱する。
アルカリ水溶液は、pH8以上とし、好ましくはpH9以上である。水溶液をアルカリ性にするためには、重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩類;リン酸三ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、酒石酸水素カリウムなどの有機塩類から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
アルカリ水溶液中での加熱は、微生物セルロースゲルの大きさ、色素の種類、所望する着色の度合等により適宜決定すればよいが、通常、温度60〜100℃、好ましくは、70〜95℃、加熱時間5分〜60分、好ましくは、20分〜30分で行う。
【0014】
最後に、(4)の工程として、(3)の工程で加熱した微生物セルロースゲルを、酸性水溶液中に浸漬する。以上の工程により、全体が均一に着色され、食品に添加した際に色滲みの起こらない本発明の目的とする微生物セルロースゲルが得られる。
酸性水溶液は、pH2.5〜4.5とし、好ましくはpH3.0〜4.0である。水溶液を酸性にするためには、有機酸、無機酸のいずれを使用してもよく、特にはクエン酸、リンゴ酸を使用するのが好ましい。
また、酸性水溶液中での浸漬時間は、微生物セルロースゲルの大きさ、色素の種類、所望する着色の度合等により適宜決定すればよいが、通常、1〜24時間程度である。
本発明の方法により得られた微生物セルロースゲルは、菓子、冷菓、ヨーグルト、杏仁豆腐、蜜豆、調味料、乳性飲料、果実飲料等の各種飲食品に配合される。
【0015】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明の実施の数態様についてさらに具体的に記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0016】
(実施例1)
ココナッツ果実よりココナッツミルク水を採取し、このココナッツミルク水1000gに対し、グラニュー糖60g、ペプトン1gを添加し、クエン酸でpH4.0に調整して、85℃で10分間殺菌し、冷却した。冷却後、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum ATCC10821)を接種し、30℃で10日間、発酵させて、ゲル化した。
次いで、ゲル化した発酵物を60メッシュの金網で濾過して、水洗し、ゲル830gを分離した。そして、このゲルを1cm角にカットし、0.1%柿タンニン水溶液2000gに1晩浸漬し、水切りした後、赤色色素(レッドカラーTH−M2、長谷川香料社製:モナスカス色素)の1%水溶液2000gに16時間浸漬した。
次いで、このゲルをアルカリ水溶液(0.1%重炭酸ナトリウム及び0.1%炭酸ナトリウム溶液:pH10.0)2000g中で30分間煮沸し、60メッシュの金網で濾過して、水洗した。
得られたゲルを酸性水溶液(2%クエン酸水溶液:pH2.3)2000gに1晩浸漬した後、60メッシュの金網で濾過して、水洗し、本発明のナタデココ(本発明品1)を得た。
本発明品1を水洗したが、色素の水への漏出はなく、均一に赤色に着色したナタデココが得られた。また、本発明品1は経時的な色素の水への漏出はなかった。
【0017】
(実施例2)
実施例1と同様に、ココナッツ果実よりココナッツミルク水を採取し、このココナッツミルク水1000gに対し、グラニュー糖60gを添加し、クエン酸でpH4.0に調整して、85℃で10分間殺菌し、冷却した。冷却後、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum ATCC10821)を接種し、30℃で10日間、発酵させて、ゲル化した。
次いで、ゲル化した発酵物を60メッシュの金網で濾過して、水洗し、ゲル850gを分離した。そして、このゲルを1cm角にカットし、0.1%柿タンニン水溶液2000gに1晩浸漬し、水切りした後、黄色色素(イエローカラーTH−S、長谷川香料社製:ベニバナ黄色色素)の0.5%及びクエン酸の0.1%水溶液2000gに20時間浸漬した。
次いで、このゲルをアルカリ水溶液(0.1%重炭酸ナトリウム及び0.1%炭酸ナトリウム溶液:pH10.0)2000g中で30分間煮沸し、60メッシュの金網で濾過して、水洗した。
得られたゲルを酸性水溶液(0.1%クエン酸水溶液:pH2.3)2000gに1晩浸漬した後、60メッシュの金網で濾過して、水洗し、本発明のナタデココ(本発明品2)を得た。
本発明品2を水洗したが、色素の水への漏出はなく、均一に黄色に着色したナタデココが得られた。また、本発明品2は経時的な色素の水への漏出はなかった。
【0018】
(実施例3)
実施例1と同様に、ココナッツ果実よりココナッツミルク水を採取し、このココナッツミルク水1000gに対し、グラニュー糖60gを添加し、クエン酸でpH4.0に調整して、85℃で10分間殺菌し、冷却した。冷却後、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum ATCC10821)を接種し、30℃で10日間、発酵させて、ゲル化した。
次いで、ゲル化した発酵物を60メッシュの金網で濾過して、水洗し、ゲル850gを分離した。そして、このゲルを1cm角にカットし、0.1%柿タンニン水溶液2000gに1晩浸漬し、水切りした後、黄色色素(イエローカラーTH−S、長谷川香料社製:ベニバナ黄色色素)の0.5%水溶液2000gに20時間浸漬した。
次いで、このゲルをアルカリ水溶液(0.1%重炭酸ナトリウム及び0.1%炭酸ナトリウム溶液:pH10.0)2000g中で30分間煮沸し、60メッシュの金網で濾過して、水洗した。
得られたゲルを酸性水溶液(0.1%クエン酸水溶液:pH2.3)2000gに1晩浸漬した後、60メッシュの金網で濾過して、水洗し、本発明のナタデココ(本発明品3)を得た。
本発明品3を水洗したが、色素の水への漏出はなく、均一に黄色に着色したナタデココが得られた。また、本発明品3は経時的な色素の水への漏出はなかった。
【0019】
(実施例4)
実施例1と同様に、ココナッツ果実よりココナッツミルク水を採取し、このココナッツミルク水1000gに対し、グラニュー糖60gを添加し、クエン酸でpH4.0に調整して、85℃で10分間殺菌し、冷却した。冷却後、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum ATCC10821)を接種し、30℃で10日間、発酵させて、ゲル化した。
次いで、ゲル化した発酵物を60メッシュの金網で濾過して、水洗し、ゲル820gを分離した。そして、このゲルを1cm角にカットし、0.05%柿タンニン水溶液2500gに1晩浸漬し、水切りした後、クチナシ青色色素(ブルーカラーTH−30、長谷川香料社製)の0.5%水溶液2500gに24時間浸漬した。
次いで、このゲルをアルカリ水溶液(0.1%重炭酸ナトリウム及び0.1%炭酸ナトリウム溶液:pH10.0)2000g中で30分間煮沸し、60メッシュの金網で濾過して、水洗した。
得られたゲルを酸性水溶液(0.2%クエン酸水溶液:pH2.3)2000gに1晩浸漬した後、60メッシュの金網で濾過して、水洗し、本発明のナタデココ(本発明品4)を得た。
本発明品4を水洗したが、色素の水への漏出はなく、均一に青色に着色したナタデココが得られた。また、本発明品4は経時的な色素の水への漏出はなかった。
【0020】
(実施例5)
実施例1と同様に、ココナッツ果実よりココナッツミルク水を採取し、このココナッツミルク水1000gに対し、グラニュー糖70gを添加し、クエン酸でpH4.0に調整して、85℃で10分間殺菌し、冷却した。冷却後、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum ATCC10821)を接種し、30℃で10日間、発酵させて、ゲル化した。
次いで、ゲル化した発酵物を60メッシュの金網で濾過して、水洗し、ゲル830gを分離した。そして、このゲルを1cm角にカットし、0.1%柿タンニン水溶液2000gに1晩浸漬し、水切りした後、リコペン赤色色素(Lyc−0−Mato、ライコレッドプロダクツインダストリー社製:リコペン結晶分散物)の0.1%水溶液2000gに16時間浸漬した。
次いで、このゲルをアルカリ水溶液(0.1%重炭酸ナトリウム及び0.1%炭酸ナトリウム溶液:pH10.0)2000g中で30分間煮沸し、60メッシュの金網で濾過して、水洗した。
得られたゲルを酸性水溶液(0.1%クエン酸水溶液)2000gに1晩浸漬した後、60メッシュの金網で濾過して、水洗し、本発明のナタデココ(本発明品5)を得た。
本発明品5を水洗したが、色素の水への漏出はなく、均一に赤色に着色したナタデココが得られた。また、本発明品5は経時的な色素の水への漏出はなかった。
【0021】
(比較例1)
実施例1と同様にココナッツ果実よりココナッツ水を採取し、このココナッツミルク水1000gに対し、グラニュー糖60g、ペプトン1gを添加してなる培地を、クエン酸でpH4.0に調整して、85℃で10分間殺菌し、冷却した。冷却後、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum ATCC10821)を上記培地に接種し、30℃で10日間、発酵させて、ゲル化した。
次いで、ゲル化した発酵物を60メッシュの金網で濾過して、水洗し、ゲル830gを分離した。そして、このゲルを、上記実施例1〜5で使用した各色素[実施例1:赤色色素(モナスカス色素)、実施例2:黄色色素(ベニバナ黄色色素)+クエン酸、実施例3:黄色色素(ベニバナ黄色色素)、実施例4:青色色素(クチナシ青色色素)、実施例5:赤色色素(リコペン結晶分散物)]中に、それぞれ対応する実施例1〜5と同様の条件で浸漬して着色し、ナタデココ(比較品1〜5)を得た。
比較品1〜5を水洗した結果、ほとんどの色素は水へ漏出し、十分に着色したナタデココは得られなかった。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、微生物が菌体外に分泌するセルロース鎖間に、色素が取り込まれて強固に染着されると共に、色素が全体に均一に分散され、ナタデココ及びナタデピニャに代表される微生物セルロースゲルを、低コスト及び簡便な工程で着色することができる。
Claims (3)
- 微生物セルロースゲルの着色方法であって、下記の工程、
(1)微生物が産生した微生物セルロースゲルをタンニン含有水溶液に浸漬する工程、
(2)前記タンニン含有水溶液に浸漬した微生物セルロースゲルを、色素溶液に浸漬する工程、
(3)前記色素溶液に浸漬した微生物セルロースゲルを、アルカリ水溶液中で加熱する工程、及び
(4)前記アルカリ水溶液中で加熱した微生物セルロースゲルを、酸性水溶液中に浸漬する工程を具備することを特徴とする微生物セルロースゲルの着色方法。 - 前記(2)工程において、酸の存在下で行うことを特徴とする請求項1記載の着色方法。
- 微生物がセルロースゲル産生酢酸菌である請求項1又は2のいずれかに記載の着色方法。
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