JP3605875B2 - 非水二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、充放電特性を改良し、かつ安全性を高めた非水二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周期律表 IIIBおよびIVB族の金属酸化物を負極に使用した非水二次電池は特開平5−174818号公報、特開平6−275273号公報、特開平6−338325号公報およびEP0582173A1号明細書に記載されている。
しかし、これらの非水二次電池は良好な充放電サイクル特性を示すものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高い放電電圧、高エネルギー密度、良好な充放電サイクル特性を有する非水二次電池を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、負極材料としてリチウムを挿入、放出する周期律表2、13、14、15族原子から選ばれる少なくとも三種の原子を含む複合酸化物を少なくとも一種含む材料を用い、かつ負極材料の真密度ρを2.8<ρ<7.5とすることにより達成することができた。以下、本発明について説明する。
【0005】
本発明で言う周期律表2、13、14、15族原子とはB、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Mgであり、好ましくはB、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Mgであり、特に好ましくはB、Al、Si、Ge、Sn、P、Mgである。
【0007】
本発明の複合酸化物は電池組み込み時に主として非晶質であることが好ましい。ここで言う主として非晶質とはGuKα線を用いたX線回折法で2θ値で20°から40°に頂点を有するブロードな散乱帯を有する物であり、結晶性の回折線を有してもよい。好ましくは2θ値で40°以上70°以下に見られる結晶性の回折線の内最も強い強度が、2θ値で20°以上40°以下に見られるブロードな散乱帯の頂点の回折線強度の500倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは100倍以下であり、特に好ましくは5倍以下であり、最も好ましくは結晶性の回折線を有さないことである。
【0008】
上記の複合酸化物は下記一般式(1)で表される。
1 2 p 3 q r 一般式(1)
式中、M1 、M2 、M3 はそれぞれ異なり、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Mgであり、好ましくはB、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Mgであり、特に好ましくはB、Al、Si、Ge、Sn、P、Mgである。さらに好ましくはB、Al、Si、Sn、P、Mgである。p、qは各々0〜3(0は含まず)であり、好ましくは0.05〜2.5であり、特に好ましくは0.1〜2である。rは1.00〜26であり、好ましくは1.1〜12であり、特に好ましくは1.2〜6である。
1 、M2 、M3の価数は特に限定されることはなく、単独価数であっても、各価数の混合物であっても良い。またM1 、M2 、M3の比はM2 およびM3 がM1 に対して0.001〜3モル当量の範囲において連続的に変化させることができ、それに応じての量(一般式(1)において、rの値)も連続的に変化する。
【0009】
上記に挙げた化合物の中でも、本発明においてはM1 がSn、M2 がSiである場合が好ましく、一般式(2)であらわされる。
SnSip 4 q r 一般式(2)
式中、M4 はB、Al、Ga、In、Tl、Ge、Pb、P、As、Sb、Bi、Mgから選ばれる元素の少なくとも一種であり、好ましくはB、Al、Ga、In、Tl、Ge、Pb、P、Sb、Bi、Mgから選ばれる元素の少なくとも一種であり、特に好ましくはB、Al、Ga、P、Mgから選ばれる元素の少なくとも一種である。
、q、rは一般式(1)と同じ数字を表す。
【0010】
一般式(2)に於いてより好ましい化合物はMがB、Al、Ga、In、Tl、Ge、Pb、P、Sb、Biの中の2種以上の元素、更に好ましくはB、Al、Ge、Pの中の2種以上の元素から構成される場合である。
一般式(2)は、更に好ましくは一般式(3)として表される。
SnSiAl 一般式(3)
式中MはB、Ga、In、Tl、Ge、Pb、P、Sb、Bi、Mgから選ばれる元素の少なくとも一種、更に好ましくはB、Al、Ga、P、Mgから選ばれる元素の少なくとも一種であり、s+t=qであり、p、q、rは一般式(1)と同じ数字を表す。一般式(3)で特に好ましい化合物は、
SnSiAl 一般式(4)
SnSiAl 一般式(5)
SnSiAl 一般式(6)
ここで、s+t=q、s+u+v=qで、s、t、u、vはそれぞれqの5%以上の数字を表し、p、q、rは一般式(1)と同じ数字を表す。
一般式(1)から(6)で示される酸化物を主体とする複合酸化物としては例えば下記のものがあるが、これらに限定されるものではない。
SnB0.5 0.5 、SnAl0.3 0.5 0.2 2.7 、SnAl0.3 0.7 2.5 、SnSi0.8 0.2 3.1 、SnSi0.8 0.2 2.9 、SnSi0.8 Al0.2 2.9 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 2.8 、SnSi0.6 Al0.2 0.2 、SnSi0.6 0.2 0.2 、SnSi0.4 Al0.2 0.4 2.7 、SnSi0.6 Al0.1 0.1 0.3 3.25、SnSi0.6 Al0.1 0.3 0.1 3.05、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.2 3.55、SnSi0.5 Al0.3 0.4 0.5 4.30、SnSi0.8 Al0.3 0.2 0.2 3.85、SnSi0.6 Al0.3 0.2 Mg0.1 3.05、SnSi0.7 Al0.3 0.2 Mg0.1 3.25
【0011】
本発明においては、以上示したような一般式(1)から(6)で示される化合物を主として負極材料として用いることにより、より充放電サイクル特性の優れた、かつ高い放電電圧、高容量で安全性が高く、急速充電特性が優れた非水二次電池を得ることができる。本発明において、特に優れた効果を得ることができるのは、Snを含有し且つSnの価数が2価で存在する化合物を負極材料として用いる場合である。Snの価数は化学滴定操作によって求めることができる。例えばPhysics and Chemistry of Glasses Vol.8 No.4 (1967)の165頁に記載の方法で分析することができる。また、Snの固体核磁気共鳴(NMR)測定によるナイトシフトから決定することも可能である。例えば、幅広測定において金属Sn(0価のSn)はSn(CHに対して7000ppm付近と極端に低磁場にピークが出現するのに対し、SnO(=2価)では100ppm付近、SnO(=4価)では−600ppm付近に出現する。このように同じ配位子を有する場合ナイトシフトが中心金属であるSnの価数に大きく依存するので、119Sn−NMR測定で求められたピーク位置で価数の決定が可能となる。
【0012】
本発明の負極材料に各種化合物を含ませることができる。例えば、1族元素(Li、Na、K、Rb、Cs)、2族元素(Be、Mg、Ca、Sr、Ba)、遷移金属(Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、ランタノイド系金属、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg)や周期律表17族元素(F、Cl、Br、I)を含ませることができる。また電子伝導性をあげる各種化合物(例えば、Sb、In、Nbの化合物)のドーパントを含んでもよい。添加する化合物の量は0〜20モル%が好ましい。
【0013】
本発明における一般式(1)〜(6)で示される複合酸化物の合成法は焼成法、溶液法いずれの方法も採用することができる。
例えば焼成法について詳細に説明するとM1 化合物、M2 化合物とM3 化合物(M1 、M2 とM3 はそれぞれ相異なりSi、Ga、Sn、Pb、P、B、Al、As、Sb、Ga、In、Tl、Bi、Mg)を所定量混合し、後述の焼成条件で焼成せしめればよい。本発明の化合物は、焼成時に生じる不定比化合物や不均化反応によって生じる価数の異なる元素をも含む。
【0014】
Sn化合物としてはたとえばSnO、SnO2 、Sn2 3 、Sn3 4 、Sn7 13・H2 O、Sn8 15、水酸化第一錫、オキシ水酸化第二錫、亜錫酸、蓚酸第一錫、燐酸第一錫、オルト錫酸、メタ錫酸、パラ錫酸、弗化第一錫、弗化第二錫、塩化第一錫、塩化第二錫、臭化第一錫、臭化第二錫、沃化第一錫、沃化第二錫、ピロリン酸第一錫、リン化錫、等を挙げることができる。
Si化合物としてはたとえばSiO2 、SiO、四塩化珪素、四臭化珪素、トリクロロメチルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン等のハロゲン化有機珪素化合物、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン等の有機珪素化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、トリクロロハイドロシラン等のハイドロシラン化合物を挙げることができる。
Ge化合物としてはたとえばGeO2 、GeO、四塩化ゲルマニウム、四臭化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド等のアルコキシゲルマニウム化合物等を挙げることができる。
Pb化合物としてはたとえばPbO2 、PbO、Pb2 3 、Pb3 4 、PbCl2 、塩素酸鉛、過塩素酸鉛、硝酸鉛、炭酸鉛、蟻酸鉛、酢酸鉛、四酢酸鉛、酒石酸鉛、鉛ジエトキシド、鉛ジ(イソプロポキシド)等を挙げることができる。 P化合物としてはたとえば五酸化リン、オキシ塩化リン、五塩化リン、三塩化リン、三臭化リン、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸、トリプロピルリン酸、ピロリン酸第一錫、リン酸ホウ素等を挙げることができる。
B化合物としてはたとえば三二酸化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、炭化ホウ素、ほう酸、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリプロピル、ほう酸トリブチル、リン化ホウ素、リン酸ホウ素等を挙げることができる。
Al化合物としてはたとえば酸化アルミニウム(α−アルミナ、β−アルミナ)、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムトリ−iso−プロポキシド、亜テルル酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ホウ化アルミニウム、リン化アルミニウム、リン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ほう酸アルミニウム、ホウ化アルミニウム等を挙げることができる。
Sb化合物としてはたとえば三臭化アンチモン、三塩化アンチモン、三酸化二アンチモン、トリフェニルアンチモン等を挙げることができる。
【0015】
As化合物としてはAsCl3 、As2 3 等をあげることができる。
Ga化合物としてはGaCl3 、Ga(NO3 3 、Ga2 3 等をあげることができる。
In化合物としてはInCl3 、In2 3 等があげられる。
Bi化合物としてはBiCl3 、Bi2 3 、Bi(NO3 3 等があげられる。
Mg化合物としてはMgBr2 、MgCl2 、Mg(OC2 5 2 、MgO、MgSO4 、Mg(PO4 2 、Mg(NO3 2 等があげられる。
その他の元素の化合物としては、各々の酸化塩、水酸化塩、炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、ハロゲン塩、窒化塩、炭化塩、アルミニウム化合物等を挙げることができる。
【0016】
焼成条件としては、昇温速度として昇温速度毎分4℃以上2000℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは6℃以上2000℃以下である。とくに好ましくは10℃以上2000℃以下であり、かつ焼成温度としては250℃以上1500℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは350℃以上1500℃以下であり、とくに好ましくは500℃以上1500℃以下であり、かつ焼成時間としては0.01時間以上100時間以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5時間以上70時間以下であり、とくに好ましくは1時間以上20時間以下であり、かつ降温速度としては毎分2℃以上10℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは4℃以上10℃以下であり、とくに好ましくは6℃以上10℃以下である。
降温は焼成炉中で冷却してもよく、また焼成炉外に取り出して、例えば水中に投入して冷却してもよい。またセラミックスプロセッシング(技報堂出版 1987)217頁記載のgun法、Hanner−Anvil法、slap法、ガスアトマイズ法、プラズマスプレー法、遠心急冷法、melt drag法などの超急冷法を用いることもできる。またニューガラスハンドブック(丸善 1991)172頁記載の単ローラー法、双ローラー法を用いて冷却してもよい。焼成中に溶融する材料の場合には、融液を攪拌することが好ましい。
【0017】
焼成ガス雰囲気は特に限定されず、酸化雰囲気、還元雰囲気いずれも用いることができる。たとえば空気中、あるいは酸素濃度を任意の割合に調製したガス、あるいは不活性ガス中で合成される。焼成ガス雰囲気は好ましくは酸素含有率が5%体積以下であり、さらに好ましくは不活性ガス雰囲気である。不活性ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、キセノン等が上げられる。
本発明の負極材料は結晶質であっても非晶質であってもよく、さらにこれらの混合状態であってもよいが、非晶質化合物がサイクル性向上の観点から好ましい。
【0018】
本発明に用いる一般式(1)〜(3)で示される化合物の平均粒子サイズは0.1〜60μmが好ましく、1.0〜30μmが特に好ましく、2.0〜20μmがさらに好ましい。所定の粒子サイズにするには、良く知られた粉砕機や分級機が用いられる。例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミルや篩などが用いられる。粉砕時には水、あるいはメタノール等の有機溶媒を共存させた湿式粉砕も必要に応じて行うことが出来る。所望の粒径とするためには分級を行うことが好ましい。分級方法としては特に限定はなく、篩、風力分級機などを必要に応じて用いることができる。分級は乾式、湿式ともに用いることができる。
【0019】
本発明の負極材料の真密度ρは2.5<ρ<7.5の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは2.8<ρ<7.0であり、特に好ましくは3.0<ρ<6.0である。真密度の測定法は通常の減圧法(溶媒水)で行うことが好ましい。真密度の測定法としては(1)液相置換法、(2)気相置換法の2種をあげることができる。液相置換法ではピクノメーター法、浮力法、ルシャテリエ比重瓶法、ベックマン法等を具体的にあげることができる。
本発明の負極材料のρ値は周期律表2、13、14、15族の原子の原子組成を選択することによって制御される。ρ値が2.5よりも小さいと体積あたりのエネルギー密度が小さくなり、好ましくなく、また7.5よりも大きいとサイクル特性が悪化するためやはり好ましくない。
【0020】
本発明の負極材料を電極合剤として構成する前に、100〜600℃の温度範囲で熱処理することが電池容量向上の観点から好ましい。熱処理雰囲気としては空気中、不活性ガス雰囲気中(例えばアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガス等)、酸素ガス、水素ガス等の活性ガス雰囲気中あるいは加圧、減圧雰囲気中等いずれでもよいが好ましくは、空気中、不活性ガス雰囲気中、減圧雰囲気中である。また、ここで言う電極合剤として構成する前とは、例えば結着剤や導電剤等と混合する前のことであり、負極活物質のみで熱処理することを指すものである。
【0021】
本発明においては負極材料を電池容器に収納する前に予めリチウムを挿入する方法を用いることができ、化学的方法又は電気化学的方法を用いることができる。化学的にリチウムを挿入する方法とは負極材料とリチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム合金など)、リチウム化合物(n−ブチルリチウム、水素化リチウム、水素化リチウムアルミニウムなど)と直接反応させる方法である。この場合、負極材料とリチウム挿入化剤とは両者のみを直接反応させてもよいし、無水溶媒(ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートなど)の存在下あるいは電解液(前記無水溶媒にLiPF等の支持塩を溶解させたものなど)の存在下に反応させてもよい。この場合の好ましい実施形態としては、たとえば、負極材料粉末とリチウム金属粉末とを直接または電解液の存在下に混練して負極材料にリチウムを挿入させるか、負極材料をシート状に成形後、電解液の存在下にリチウム金属シートと圧着させる方法が挙げられる。また、負極材料粉末あるいはシートをn−ブチルリチウム溶液に浸漬してリチウムを挿入させる方法も好ましい。化学的方法においては、リチウム挿入反応を25〜80℃程度の温度で行うことにより、より効率的にリチウム挿入することができ好ましく、さらに好ましくは30〜75℃であり、特に好ましくは30〜70℃である。
【0022】
電気化学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、正極材料として目的の酸化物(本発明で言う負極材料のこと)、負極材料としてリチウム金属またはリチウム合金(リチウム−アルミニウム合金など)、リチウム塩を含む非水電解質からなる酸化還元系を開放系で放電する方法が最も好ましい。この場合、前駆体である酸化物1g当り0.02〜0.2Aの電流を流すことが好ましく、さらに好ましくは0.03〜0.15Aであり、特に好ましくは0.04〜0.12Aである。電気化学的にリチウムイオンを挿入する方法の別の実施態様として、正極活物質としてリチウム含有遷移金属酸化物、負極材料、リチウム塩を含む非水電解質からなる酸化還元系を充電する方法を挙げることもできる。
【0023】
リチウムの挿入量は用いられる負極材料の種類によって異なるが、リチウム挿入当量として負極材料に対して0.5〜7当量が好ましい。より好ましくは1〜6.5当量であり、最も好ましくは2〜6当量までの挿入である。また、電池容器に挿入する前とは収納の直前〜30日程度前を意味し、好ましくは直前〜10日前であり、最も好ましくは直前〜5日前である。この場合の収納とは電池構成要素を電池容器内に収め、さらにかしめを行って電池を作成することを意味する。
本発明で用いられる正極活物質可逆的にリチウムイオンを挿入・放出できる遷移金属酸化物でも良いが、特にリチウム含有遷移金属酸化物が好ましい。
【0024】
本発明で用いられるリチウムを含有しない遷移金属酸化物正極活物質としてはV、V13、MnO、TiS、MoS、MoS、MoV、NbSeなどをあげることができる。また、好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム含有Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Wを含む酸化物があげられる。またリチウム以外のアルカリ金属(周期律表の1族と2族の元素)、半金属のAl、Ga、In、Ge、Sn、Pb、Sb、Biなどを混合してもよい。混合量は0〜10モル%が好ましい。
本発明で用いられるより好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム化合物/(遷移金属化合物の合計 ここで遷移金属とは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Mo、Wから選ばれる少なくとも1種)のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成することが好ましい。
【0025】
本発明で用いられるとくに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、リチウム化合物/(遷移金属化合物の合計 ここで遷移金属とは、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選ばれる少なくとも1種)のモル比が0.3〜2.2になるように混合して合成することが好ましい。
本発明で用いられるとくに好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、Lix MOz (ここでM=Co、Mn、Ni、V、Feから選ばれる少なくとも1種を含む遷移金属、x=0.3〜1.2、z=1.4〜3)であることが好ましい。
【0026】
本発明で用いられるさらに好ましいリチウム含有金属酸化物正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiCoNi1−a 、LiCo1−b 、LiCoFe1−b 、LiMn、LiMnCo2−c 、LiMnNi2−c 、LiMn2−c 、LiMnFe2−c 、LiMnとMnOの混合物、Li2xMnOとMnOの混合物、LiMn、Li2xMnOとMnOの混合物(ここでx=0.6〜1.2、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.01〜5)をあげられる。
【0027】
本発明で用いられるさらに好ましいリチウム含有金属酸化物正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiCoNi1−a 、LiCo1−b 、LiCoFe1−b 、LiMn、LiMnCo2−c 、LiMnNi2−c 、LiMn2−c 、LiMnFe2−c (ここでx=0.7〜1.04、a=0.1〜0.9、b=0.8〜0.98、c=1.6〜1.96、z=2.01〜2.3)があげられる。本発明で用いられる最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiCoNi1−a 、LiMn、LiCo1−b (ここでx=0.7〜1.1、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.01〜2.3)があげられる。
【0028】
本発明で用いられる最も好ましいリチウム含有遷移金属酸化物正極活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiCoNi1−a 、LiMn、LiCo1−b (ここでx=0.7〜1.04、a=0.1〜0.9、b=0.9〜0.98、z=2.02〜2.3)があげられる。
ここで、上記のx値は、充放電開始前の値であり、充放電により増減する。
本発明の正極活物質の合成に際し、遷移金属酸化物に化学的にリチウムイオンを挿入する方法としては、リチウム金属、リチウム合金やブチルリチウムと遷移金属酸化物と反応させることにより合成する方法が好ましい。
【0029】
正極活物質は、リチウム化合物と遷移金属化合物を混合、焼成する方法や溶液反応により合成することができるが、特に、焼成法が好ましい。
本発明で用いられる焼成温度は、本発明で用いられる混合された化合物の一部が分解、溶解する温度であればよく、例えば250〜2000℃が好ましく、特に350〜1500℃が好ましい。
本発明で用いられる焼成のガス雰囲気は、特に限定しないが、正極活物質では空気中あるいは酸素の割合が多いガス中(例えば、約30%以上)、負極活物質では空気中あるいは酸素の割合が少ないガス(例えば、約10%以下)あるいは不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)中が好ましい。
【0030】
本発明で用いる正極活物質の平均粒子サイズは特に限定されないが、0.1〜50μmが好ましい。
所定の粒子サイズにするには、先に述べた粉砕機や分級機が用いられる。例えば粉砕機としては乳鉢、ボールミル、振動ボールミル、衛星ボールミル、遊星ボールミル、旋回気流型ジェットミル、分級機としてはサイクロンや篩などが用いられる。
【0031】
本発明に併せて用いることができる負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金(Al、Al−Mn、Al−Mg、Al−Sn、Al−In、Al−Cd)などやリチウムイオンまたはリチウム金属を吸蔵・放出できる焼成炭素質化合物があげられる。
上記リチウム金属やリチウム合金の併用目的は、リチウムを電池内で挿入させるためのものであり、電池反応として、リチウム金属などの溶解・析出反応を利用するものではない。
【0032】
電極合剤には、導電剤や結着剤やフィラーなどを添加することができる。
導電剤は、構成された電池において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛など)、人工黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維や金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀など)粉、金属繊維あるいはポリフェニレン誘導体などの導電性材料を1種またはこれらの混合物として含ませることができる。黒鉛とアセチレンブラックの併用がとくに好ましい。
その添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。カーボンや黒鉛では、2〜15重量%が特に好ましい。
【0033】
結着剤には、通常、でんぷん、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエン、フッ素ゴム、ポリエチレンオキシドなどの多糖類、熱可塑性樹脂、ゴム弾性を有するポリマーなどが1種またはこれらの混合物として用いられる。また、多糖類のようにリチウムと反応するような官能基を含む化合物を用いるときは、例えば、イソシアネート基のような化合物を添加してその官能基を失活させることが好ましい。その結着剤の添加量は、特に限定されないが、1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
フィラーは、構成された電池において、化学変化を起こさない繊維状材料であれば何でも用いることができる。通常、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー、ガラス、炭素などの繊維が用いられる。フィラーの添加量は特に限定されないが、0〜30重量%が好ましい。
【0034】
電解質としては、有機溶媒として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒の少なくとも1種以上を混合した溶媒とその溶媒に溶けるリチウム塩、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiSlCl、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウムなどの1種以上の塩から構成されている。なかでも、プロピレンカーボネート及び/又はエチレンカーボネート及び/又はブチレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタン及び/又はジエチルカーボネートあるいはプロピオン酸メチルの混合液にLiCFSO、LiClO、LiBF、LiPFのうちの少なくとも1種を含む電解質が好ましい。
【0035】
特に、少なくともエチレンカーボネートとLiPFを含むことが好ましい。これら電解質を電池内に添加する量は、特に限定されないが、正極活物質や負極材料の量や電池のサイズによって必要量用いることができる。
溶媒の体積比率は、特に限定されないが、プロピレンカーボネートあるいはエチレンカーボネートあるいはブチレンカーボネート対1,2−ジメトキシエタンおよび/あるいはジエチルカーボネートの混合液の場合、0.4/0.6〜0.6/0.4(エチレンカーボネートとブチレンカーボネートを両用するときの混合比率は0.4/0.6〜0.6/0.4、また1,2−ジメトキシエタンとジエチルカーボネートを両用するときの混合比率は0.4/0.6〜0.6/0.4)が好ましい。
支持電解質の濃度は、特に限定されないが、電解液1リットル当たり0.2〜3モルが好ましい。
【0036】
また、電解液の他に次の様な固体電解質も用いることができる。
固体電解質としては、無機固体電解質と有機固体電解質に分けられる。
無機固体電解質には、Liの窒化物、ハロゲン化物、酸素酸塩などがよく知られている。なかでも、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、xLiPO−(1−x)LiSiO、LiSiS、硫化リン化合物などが有効である。有機固体電解質では、ポリエチレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、ポリプロピレンオキサイド誘導体か該誘導体を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマー、イオン解離基を含むポリマーと上記非プロトン性電解液の混合物、リン酸エステルポリマーが有効である。
さらに、ポリアクリロニトリルを電解液に添加する方法もある(特開昭62−278,774)。また、無機と有機固体電解質を併用する方法(特開昭60−1,768)も知られている。
【0037】
セパレーターとしては、大きなイオン透過度を持ち、所定の機械的強度を持ち、絶縁性の薄膜が用いられる。耐有機溶剤性と疎水性からポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーあるいはガラス繊維あるいはポリエチレンなどからつくられたシートや不織布が用いられる。セパレーターの孔径は、一般に電池用として用いられる範囲が用いられる。例えば、0.01〜10μmが用いられる。セパレーターの厚みは、一般に電池用の範囲で用いられる。例えば、5〜300μmが用いられる。
セパレーターの厚みとして好ましくは5〜150μmであり、さらに好ましくは10〜100μmであり、特に好ましくは15〜60μmである。
【0038】
また、放電や充放電特性を改良する目的で、以下で示す化合物を電解質に添加することが知られている。例えば、ピリジン、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノンとN,N′−置換イミダゾリジノン、エチレングリコールジアルキルエーテル、四級アンモニウム塩、ポリエチレングリコール、ピロール、2−メトキシエタノール、AlCl、導電性ポリマー電極活物質のモノマー、トリエチレンホスホルアミド、トリアルキルホスフィン、モルフォリン、カルボニル基を持つアリール化合物、ヘキサメチルホスホリックトリアミドと4−アルキルモルフォリン、二環性の三級アミン、オイル、四級ホスホニウム塩、三級スルホニウム塩などが挙げられる。
【0039】
また、電解液を不燃性にするために含ハロゲン溶媒、例えば、四塩化炭素、三弗化塩化エチレンを電解液に含ませることができる(特開昭48−36,632号公報)。また、高温保存に適性をもたせるために電解液に炭酸ガスを含ませることができる。
また、正極や負極の合剤には電解液あるいは電解質を含ませることができる。例えば、前記イオン導電性ポリマーやニトロメタン、電解液を含ませる方法が知られている。
また、正極活物質の表面を改質することができる。例えば、金属酸化物の表面をエステル化剤により処理したり、キレート化剤で処理、導電性高分子、ポリエチレンオキサイドなどにより処理することが挙げられる。
また、負極活物質の表面を改質することもできる。例えば、イオン導電性ポリマーやポリアセチレン層を設ける、あるいはLiClなどにより処理することが挙げられる。
【0040】
電極活物質の集電体としては、構成された電池において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、アルミニウム、チタン、焼成炭素などの他に、アルミニウムやステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの、負極には、材料としてステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、アルミニウム、焼成炭素などの他に、銅やステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの)、Al−Cd合金などが用いられる。これらの材料の表面を酸化することも用いられる。形状は、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが用いられる。厚みは、特に限定されないが、1〜500μmのものが用いられる。
【0041】
電池の形状はコイン、ボタン、シート、シリンダー、角などいずれにも適用できる。
電池の形状がコインやボタンのときは、正極活物質や負極材料の合剤はペレットの形状に圧縮されて主に用いられる。そのペレットの厚みや直径は電池の大きさにより決められる。また、電池の形状がシート、シリンダー、角のとき、正極活物質や負極材料の合剤は、集電体の上にコート、乾燥、圧縮されて、主に用いられる。そのコート厚み、長さや巾は、電池の大きさにより決められるが、コートの厚みは、ドライ後の圧縮された状態で、1〜2000μmが特に好ましい。
【0042】
ペレットやシートの乾燥または脱水方法としては、一般に採用されている方法を利用することができる。特に、熱風、真空、赤外線、遠赤外線、電子線及び低湿風を単独あるいは組み合わせて用いることが好ましい。温度は80〜350℃の範囲が好ましく、特に100〜250℃の範囲が好ましい。含水量は、電池全体で2000ppm以下が好ましく、正極合剤、負極合剤や電解質ではそれぞれ500ppm以下にすることがサイクル性の点で好ましい。
ペレットやシートのプレス法は、一般に採用されている方法を用いることができるが、特に金型プレス法やカレダープレス法のプレス速度は、0.1〜50m/分が好ましい。プレス温度は、室温〜200℃が好ましい。
【0043】
該合剤シートは、巻いたり、折ったりして缶に挿入し、缶とシートを電気的に接続し、電解液を注入し、封口板を用いて電池缶を形成する。このとき、安全弁を封口板として用いることができる。安全弁の他、従来から知られている種々の安全素子を備えつけても良い。例えば、過電流防止素子として、ヒューズ、バイメタル、PTC素子などが用いられる。また、安全弁のほかに電池缶の内圧上昇対策として、電池缶に切込みを入れる方法、ガスケット亀裂方法あるいは封口板亀裂方法を組み込んだ回路を具備させてもよい。
電解液は、全量を1回で注入してもよいが、2段階以上に分けて行うことが好ましい。2段階以上に分けて注入する場合、それぞれの液は同じ組成でも、違う組成(例えば、非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入した後、前記溶媒より粘度の高い非水溶媒あるいは非水溶媒にリチウム塩を溶解した溶液を注入)でもよい。また、電解液の注入時間の短縮等のために、電池缶を減圧(好ましくは500〜1torr、より好ましくは400〜10torr)したり、電池缶に遠心力や超音波をかけることができる。
【0044】
缶やリード板は、電気伝導性を持つ金属や合金を用いることができる。たとえば、鉄、ニッケル、チタン、クロム、モリブデン、銅、アルミニウムなどの金属あるいはそれらの合金が用いられる。キャップ、缶、シート、リード板の溶接法は、公知の方法(例えば、直流または交流の電気溶接、レーザー溶接、超音波溶接)を用いることができる。
充放電サイクルのカットオフ電圧は、使用する正極活物質や負極材料の種類や組合せによって変わるので一義的には決められないが、放電電圧を高くでき、サイクル性を実質的に維持できる電圧が好ましい。
【0045】
本発明の非水二次電池の用途には、特に限定されないが、例えば、電子機器に搭載する場合、カラーノートパソコン、白黒ノートパソコン、ペン入力パソコン、ポケット(パームトップ)パソコン、ノート型ワープロ、ポケットワープロ、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、電子翻訳機、自動車電話、トランシーバー、電動工具、電子手帳、電卓、メモリーカード、テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、アイロン、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
【0046】
【実施例】
以下に具体例をあげ、本発明をさらに詳しく説明するが、発明の主旨を越えない限り、本発明は実施例に限定されるものではない。
以下に負極材料の合成例を示す。
合成例−1 SnSi 0.8 0.2 Al 0.2 3.4 の合成
一酸化スズ10.78g、二酸化ケイ素4.8g、ピロリン酸第一スズ4.11gをボールミルにて乾式混合した。次にアルミナ製るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下10℃/分で1100℃まで昇温した。1100℃で10時間焼成したのち、アルゴンガス雰囲気中で9.2℃/分で室温まで降温し、ガラス状の目的化合物を得た。該化合物をジョークラッシャーにて粉砕後、さらに旋回気流型ジェットミルを用いて乾式粉砕し、目的の負極材料(平均粒径6.5μm)を得た。X線回折(Cu−Kα線)にて得られた化合物が非晶質であること、また誘導結合プラズマ発光分析法にて目的の原子組成であることを確認した。
さらにマルチボリューム密度計(島津製作所製 No1305)にて化合物の真密度を測定したところ3.9であった。(この測定法は水を用いる液相置換法に相当)。
【0047】
合成例−2 SnSiAl 0.1 3.15 の合成
一酸化スズ13.5g、二酸化ケイ素6.0gをボールミルにて乾式混合した。次にアルミナ製るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下15℃/分で1000℃まで昇温した。1000℃で12時間焼成した後、アルゴンガス雰囲気下10℃/分で室温まで降温し、ガラス状の目的物を得た。ジョークラッシャーで粗粉砕後、水を媒体としてボールミル粉砕を行い、目的の負極材料(平均粒径11.3μm)を得た。実施例1と同様にして化合物の同定を行った。真密度は4.3であった。
実施例で使用したその他の負極材料も同様の方法で合成した。
【0048】
実施例で使用した正極活物質は以下のものであり、市販品を用いた。
(ア)LiCoO、(イ)LiNiO、(ウ)LiMn
実施例で使用した電解液の種類は以下のものである。
(A)1mol/リットル−LiPF−エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート5/5容量の混合液
(B)0.9mol/リットル−LiPF、0.1mol/リットル−LiBF−エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート5/5容量の混合液
(C)1mol/リットル−LiPF−エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート2/2/6容量の混合液
【0049】
実施例1
負極材料84重量部とアセチレンブラック3重量部とグラファイト8重量部の割合で混合し、さらに結着剤としてポリ弗化ビニリデン4重量部およびカルボキシメチルセルロース1重量部を加え、水を媒体として混練してスラリーを得た。該スラリーを厚さ18μmの銅箔の両面に、ドクターブレードコーターを用いて塗布し、乾燥後カレンダープレス機により圧縮成形し、さらに端部にリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で150℃/4時間熱処理し、帯状の負極シート3を作成した。
正極活物質としてLiCoOを92重量部、導電剤としてアセチレンブラック4重量部の割合で混合し、さらに結着剤としてポリテトラフルオロエチレン3重量部とポリアクリル酸ナトリウム1重量部を加え、水を媒体として混練して得られたスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔(支持体)集電体の両面に塗布した。該塗布物を乾燥後、カレンダープレス機により圧縮成形して帯状の正極シート5を作成した。この正極シート5の端部にリード板をスポット溶接した後、露点−40℃以下の乾燥空気中で150℃で4時間熱処理した。
作成した正極シート5、微多孔性ポリプロピレンフィルム製セパレーター(セルガード2400)3、負極シート4およびセパレーター3の順で積層し、これを渦巻き状に巻回した。
【0050】
この巻回体を負極端子を兼ねる、ニッケルめっきを施した鉄製の有底円筒型電池缶2に収納した。さらに、電解液として1mol/リットル−LiPF−エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート5/5容量の混合液を電池缶に注入した。正極端子を有する電池蓋8をガスケット1を介してかしめて円筒型電池を作成した。なお、正極端子8は正極シート5と、電池缶2は負極シート5と予めリード端子により接続した。図1に円筒型電池を示した。なお、7は安全弁である。
【0051】
作成した電池について充電終止電圧4.25V、放電終止電圧2.8Vにて、電流密度3.0mA/cm2 で充放電サイクル試験を行った。なお、サイクル試験は充電からスタートした。結果を表1に示した。
表に示したmWHは第1回目エネルギー密度(円筒型電池体積1ml当たりのエネルギー密度)を、サイクル性は第1回目放電容量の80%容量になったときのサイクル数を表す。表1中のNo.1、2、5〜10、17、18、25〜40が本発明の範囲内である。
【0052】
比較例1
負極材料として表1に示した化合物を用いた以外は実施例1と同様にして円筒型電池を作成し、充放電試験を行った。結果を表1に合わせて示した。
【0053】
【表1】
Figure 0003605875
【0054】
【表2】
Figure 0003605875
【0055】
実施例1と比較例1との比較から明らかなように、本発明である周期律表2、13、14、15族原子から選ばれる少なくとも三種の原子を含む複合カルコゲン化合物あるいは複合酸化物の真密度が2.8〜7.5の範囲にあるものを負極材料として用いた電池では、真密度がこれ以外の値の負極材料を用いた電池と比較してエネルギー密度が大きく、かつサイクル性が良好である。
【0056】
【発明の効果】
本発明のように、正極活物質、リチウム塩を含む非水電解質、負極材料としてリチウムを挿入、放出する周期律表2、13、14、15族の原子から選ばれる少なくとも3種の原子を含む複合酸化物を少なくとも1種含み、その真密度として2.8〜7.5の範囲にあるものを用いた非水二次電池を構成することにより、大きなエネルギー密度と良好な充放電サイクル特性を与える安全な非水二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用した円筒型電池の断面図を示したものである。
【符号の説明】
1 ポリプロピレン製絶縁封口体
2 負極端子を兼ねる負極缶(電池缶)
3 負極シート
4 セパレーター
5 正極シート
6 非水電解液
7 安全弁
8 正極端子を兼ねる正極キャップ
9 PTC素子
10 封口板
11 リング

Claims (1)

  1. 正極活物質、リチウムを挿入、放出する周期律表2、13、14、15族原子から選ばれる少なくとも三種の原子を含む一般式(1)で表される複合酸化物を少なくとも一種含む負極材料、リチウム塩を含む非水電解質からなる非水二次電池であって、該負極材料の真密度ρが2.8<ρ<7.5であることを特徴とする非水二次電池。
    1 2 p 3 q r 一般式(1)
    (式中、M1 、M2 、M3 はそれぞれ異なり、B、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、P、As、Sb、Bi、Mgから選ばれる少なくとも一種であり、p、qは各々0〜3(0は含まず)であり、rは1.00〜26である。)
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