JP3603831B2 - 電装品箱および空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電装品箱、特に、電源供給部とリレー接点を介して接続されるとともに筐体内に密閉状態で配置される回路部品を含む電装品箱の高電圧印加用ハーネスの取付構造に関し、またこのような電装品箱を備える空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気機器は電気用品安全法に基づいて耐電圧試験の要求項目を満足する必要があり、製造時の検査項目として耐電圧検査が通常行われている。
耐電圧検査では、電気回路とアース面、および電気回路の入力端子間に対して高電圧(1500Vまたは1800V)を印加して試験が行われる。
【0003】
電源供給される電源端子と回路部品がリレー接点を介して接続されているような電気回路では、電源端子を利用して上述したような耐電圧検査を行うことができない。回路部品が外部に露出しているような電気回路では、リレー接点の後段の回路とアース面に対して高電圧印加用の端子を接触させることができるが、密閉された電装品箱に回路部品が収納されているような電気回路では、高電圧印加用端子を接触させることができないため、電装品箱の組立後の耐電圧検査を行うことができない。特に、空気調和機の室外機に収納される電装品箱では、防水、防塵などの目的により密閉状態を維持する必要があり、このような電装品箱内に収納される回路部品に対する耐電圧検査ができないという問題がある。
【0004】
前述のような密閉型の電装品箱に収納された回路部品に対して耐電圧検査を行うために、高電圧印加用のハーネス取り付けて、電装品箱の外部に引き出しておくことが考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
密閉型の電装品箱から高電圧印加用ハーネスを引き出した場合には、電源部に対してこの高電圧印加用ハーネスが異極となる場合には、電源部との接触を避け、近接することで絶縁距離不足となることを避けるために、ハーネス位置を規制しておく必要がある。
【0006】
このような高電圧印加用ハーネスを電源部近傍に引き延ばす場合には、高電圧印加用ハーネスを固定した位置の近傍にある他のハーネスに結束バンドなどにより結束固定することが考えられる。この場合、端子を絶縁チューブなどで覆うことにより異極端子との絶縁距離を取るようにする。
しかしながら、他のハーネスに結束バンドで結束しても高電圧印加用ハーネスの位置を正確に規制することは期待できず、さたに、高電圧印加用ハーネスの先端の向きを規制することができないことから、周囲のクリアランスを非常に大きくとる必要がある。高電圧印加用ハーネスを正確に位置規制するためには、結束バンドにより結束を行う他のハーネスを、基板に設けた爪によって強固に固定し、かつ結束バンドによる結束を強固に行う必要があり、コスト削減が困難であるという問題を有している。
【0007】
また、故障時に基板の交換などを行うために、高電圧印加用ハーネスと他のハーネスを結束している結束バンドを一旦取り外すと、再組立時のハーネス位置が特定できないため、元の状態を再現することができないという問題を有している。
本発明は、密閉型の電装品箱に収納された回路部品に対して耐電圧検査を行うための高電圧印加用ハーネスの位置規制を確実に行い、再組立の際に高電圧印加用ハーネスの位置を確実に指示可能な電装品箱、およびこのような電装品箱を備える空気調和機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る電装品箱は、内部を密閉状態に維持する筐体と、筐体の外壁面に設けられ、電源供給ラインが接続される電源端子を含む端子台と、端子台とリレー接点を介して接続されるとともに、筐体内に密閉状態で配置される回路部品と、回路部品から前記筐体外部に引き出され、回路部品の耐電圧を検査するための高電圧印加用ハーネスと、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを支持して高電圧印加用ハーネスの先端を筐体の外壁面の所定位置に位置決めするために筐体の外壁面に設けられるハーネス固定部材とを備える。
【0009】
この場合、筐体の外壁面に設けられるハーネス固定部材により、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを支持することにより、高電圧印加用ハーネスの先端部を確実に所定位置に位置規制することができ、再組立時における作業者に対する指示を確実にし、良好な再現性を得ることが可能となる。
本発明の請求項2に係る電装品箱は、請求項1に記載の電装品箱であって、筐体の外壁面は少なくともひとつの面が配線用導体パターンを樹脂モールドした樹脂モールド基板で構成されており、ハーネス固定部材は樹脂モールド基板の外壁面に突設される複数の突起部で構成される。
【0010】
この場合、樹脂モールド基板を作成する際に、複数の突起部を一体成型で構成することが可能であり、この複数の突起部を追加してもコストアップを招くことがない。
本発明の請求項3に係る電装品箱は、請求項2に記載の電装品箱であって、複数の突起部は、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを対向する側面で挟持する棒状突起で構成される。
【0011】
この場合には、棒状突起の側面で高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟持することによって、高電圧印加用ハーネスの先端部を位置規制することが可能となる。
本発明の請求項4に係る電装品箱は、請求項2に記載の電装品箱であって、複数の突起部は、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを対向する側面で挟持するとともに、先端がケーブルを挟持する面の方向に突出する爪形状突起で構成される。
【0012】
この場合には、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルが抜け落ちることを爪形状突起によって防止することができ、高電圧印加用ハーネスの先端部を確実に位置規制することが可能となる。
本発明の請求項5に係る電装品箱は、請求項2に記載の電装品箱であって、複数の突起部は、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを挟持するカギ型突起で構成される。
【0013】
この場合には、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルが抜け落ちることをさらに防止することができ、高電圧印加用ハーネスの先端部を確実に位置規制することが可能となる。
本発明の請求項6に係る電装品箱は、請求項2〜5のいずれかに記載の電装品箱であって、複数の突起部は、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブル外径と略同一の間隙で2列に配列されている。
【0014】
この場合には、2列の突起部の間に高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルが挟持されて、高電圧印加用ハーネスの先端部が確実に位置決めされる。
本発明の請求項7に係る電装品箱は、請求項2〜5のいずれかに記載の電装品箱であって、複数の突起部は、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを蛇行した状態で挟持するために千鳥状に配置されている。
【0015】
この場合には、千鳥状に配置された複数の突起部により高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを蛇行した状態で挟持され、高電圧印加用ハーネスの先端部が確実に位置決めされる。
本発明の請求項8に係る電装品箱は、請求項2〜5のいずれかに記載の電装品箱であって、複数の突起部は、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルが蛇行した状態で挟持することが可能な間隔で直線状に配置されている。
【0016】
この場合には、直線状に配置された複数の突起部により高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを蛇行した状態で挟持され、高電圧印加用ハーネスの先端部が確実に位置決めされる。
本発明の請求項9に係る電装品箱は、請求項1に記載の電装品箱であって、ハーネス固定部材は、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟持して固定する複数の部材で構成されている。
【0017】
この場合、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを複数の部材間に挟み込むだけでハーネス先端部を固定することが可能であり、操作が簡単になる。本発明の請求項10に係る電装品箱は、請求項9に記載の電装品箱であって、筐体の外壁面のうち一の外壁面が、配線用導体パターンを樹脂モールドするとともに回路部品を実装可能な実装面を備える樹脂モールド基板と、樹脂モールド基板の実装面の外方に取り付けられる保護カバー部材とを備え、ハーネス固定部材は、保護カバー部材の側壁部と、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブル外径と略同一の間隔をあけて保護カバー部材の側壁部に対向する位置に樹脂モールド基板から外方に突設される突起部とよりなる。
【0018】
この場合、保護カバー部材の側壁部と、樹脂モールド基板に設けられた突起部との間に、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟み込むだけで、ハーネスを固定することができ、操作が簡単であるとともに、保護カバー部材を兼用することでコストダウンを図ることができる。
本発明の請求項11に記載の電装品箱は、請求項10に記載の電装品箱であって、突起部は、保護カバー部材の側壁部に平行な壁面部を備える板状部材で構成される。
【0019】
この場合、樹脂モールド基板を製造する際に板状部材を一体成型で作成することが可能であり、コストアップを招くことなく、簡単に作成することができる。本発明の請求項12に記載の電装品箱は、請求項1に記載の電装品箱であって、筐体の外壁面のうち一の外壁面が、配線用導体パターンを樹脂モールドするとともに回路部品を実装可能な実装面を備える樹脂モールド基板と、樹脂モールド基板の実装面の外方に取り付けられる保護カバー部材とを備え、ハーネス固定部材は、保護カバー部材の内壁面側に突設される複数の突起部で構成される。
【0020】
この場合、保護カバー部材に設けられた複数の突起部により、保護カバー部材の内面側に高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを固定するため、確実にハーネスを固定することができる。
本発明の請求項13に係る空気調和機は、冷媒回路を含む空調ユニットを制御して、導入される室内空気と冷媒回路内を循環する冷媒との間で熱交換して、熱交換後の温度調整された空気を室内に供給する空気調和機であって、内部を密閉状態に維持する筐体と、筐体の外壁面に設けられ、電源供給ラインが接続される電源端子を含む端子台と、空気調和機の各部を制御するための制御部を含み、端子台とリレー接点を介して接続されるとともに、筐体内に密閉状態で配置される回路部品と、回路部品から筐体外部に引き出され、回路部品の耐電圧を検査するための高電圧印加用ハーネスと、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを支持して高電圧印加用ハーネスの先端を筐体の外壁面の所定位置に位置決めするために筐体の外壁面に設けられるハーネス固定部材とを備える電装品箱を有している。
【0021】
防水、防塵機能を必要とする空気調和機の電装品箱内に回路部品を収納する場合に、回路部品から引き出した高電圧印加用ハーネスを、ハーネス固定部材により、その先端部を確実に所定位置に位置規制することができ、高電圧印加用ハーネスの先端部の位置にばらつきがある場合の不具合を解消することができる。
本発明の請求項14に係る空気調和機は、請求項13に記載の空気調和機であって、筐体の外壁面は少なくともひとつの面が配線用導体パターンを樹脂モールドした樹脂モールド基板で構成されており、ハーネス固定部材は樹脂モールド基板の外壁面に突設される複数の突起部で構成される。
【0022】
この場合、樹脂モールド基板を作成する際に、複数の突起部を一体成型で構成することが可能であり、この複数の突起部を追加してもコストアップを招くことがない。
本発明の請求項15に係る空気調和機は、請求項13に記載の空気調和機であって、筐体の外壁面のうち一の外壁面が、配線用導体パターンを樹脂モールドするとともに回路部品を実装可能な実装面を備える樹脂モールド基板と、樹脂モールド基板の実装面の外方に取り付けられる保護カバー部材とを備え、ハーネス固定部材は、保護カバー部材の側壁部と、高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブル外径と略同一の間隔をあけて保護カバー部材の側壁部に対向する位置に樹脂モールド基板から外方に突設される突起部とより構成される。
【0023】
この場合、保護カバー部材の側壁部と、樹脂モールド基板に設けられた突起部との間に、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟み込むだけで、ハーネスを固定することができ、操作が簡単であるとともに、保護カバー部材を兼用することでコストダウンを図ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
〔空気調和機の外観構成〕
本発明の1実施形態が採用される空気調和機の外観構成を図1に示す。
この空気調和機1は、室内の壁面などに取り付けられる室内機2と、室外に設置される室外機3と備えている。室外機3は、室外熱交換器や室外ファンなどを収納する室外空調ユニット5を備えている。
【0025】
室内機2内には室内熱交換器が収納され、室外機3内には室外熱交換器が収納されており、各熱交換器が冷媒配管6により接続されることにより冷媒回路を構成している。
〔室外機〕
室外機3の分解斜視図を図2に示す。
【0026】
室外機3は、底フレーム23、前面パネル24、側板25,26、後面保護金網27、天板28などで構成されるケーシングを備えている。ここでは、側板26の外方にさらに閉鎖弁カバー29が取り付けられる。
前面パネル24の内方には、ベルマウス30と仕切板31とが設けられ、ベルマウス30の後方にはファンモータ台32が配置されている。ファンモータ台32には、ファンモータ33が固定され、ファンモータ33の駆動軸にプロペラファン34が止めナット35によって取り付けられる。
【0027】
仕切板31を挟んでプロペラファン34と対向する位置に、リアクタ36、圧縮機37、ガス閉鎖弁38、液閉鎖弁39などが取り付けられる。
プロペラファン34の後方から側方にかけて略L字形状に形成された室外熱交換器40が取り付けられる。
プロペラファン34の上方には、電装品箱41が取り付けられる。この電装品箱41には、装置の制御を行うためのマイクロコンピュータチップや制御プログラムを格納するメモリなどの制御回路、その他の回路部品が内装される。この電装品箱41は、外壁面の一部あるいは全部が、配線用導体パターンを樹脂モールドした樹脂モールド基板で構成されており、内部への塵埃や水分の侵入を防止するために、内部空間を密閉状態に維持するように構成されている。
【0028】
〔電装品箱〕
電装品箱41は、たとえば、図3に示すような外観となっている。
この電装品箱41は、上面を構成する上面板401と、側面を形成する第1側面板402、第2側面板403、第3側面板(図示せず)、第4側面板(図示せず)と、底面を構成する底面板(図示せず)を備える筐体で構成される。各面を構成する板状部材は、配線用導体パターンを樹脂モールドした樹脂モールド基板で構成することができ、一部を板状の樹脂部材で構成することもできる。ここでは、少なくとも第1側面板402が樹脂モールド基板で構成され、この第1側面板402に直接回路部品が搭載できるように構成されている。また、各面を構成する板状部材は内部空間が密閉状態となるように、接着、溶着またはビス止めなどにより接合されており、内部に塵埃や水分が侵入することを極力防止するように構成されている。このことにより、電装品箱41の内部に収納される回路部品に故障が生じることを防止できる。
【0029】
〔樹脂モールド基板〕
電装品箱41の第1側面板402は、配線用導体パターンが樹脂モールドされた樹脂モールド基板で構成されている。この第1側面板402の正面図を図4、底面図を図5、側面図を図6に示す。
第1側面板402は、外方側への突出高さが異なる第1外面部411および第2外面部412を備えており、この第1外面部411および第2外面部412は段差部419を介して接続されている。
【0030】
第1外面部411には、たとえば、空気調和機の室内ユニットへ電源を供給する、あるいは室内ユニットより電源の供給を受ける端子と、エアコンの運転状態や指令を送受信するための信号端子を備える端子台413が形成されている。また、第1外面部411には、空気調和機各部に制御信号を出力するための出力端子、サーミスタや圧力センサなどのセンサ検出信号を制御部に入力するための入力端子などを含む信号入出力端子を構成する複数の端子台413が形成されている場合もある。さらに、第1外面部411には、電源供給ラインが接続される電源端子を構成する電源用端子台418が形成されている。
【0031】
段差部419を介して下段に位置する第2外面部412には、同様に、空気調和機の室内ユニットへ電源を供給する、あるいは室内ユニットより電源の供給を受ける端子と、エアコンの運転状態や指令を送受信するための信号端子を備える端子台413が形成されている。また、第1外面部411には、空気調和機各部に制御信号を出力するための出力端子、サーミスタや圧力センサなどのセンサ検出信号を制御部に入力するための入力端子などを含む信号入出力端子を構成する複数の端子台413が形成されている場合もある。
【0032】
第1外面部411のうち、端子台413および電源用端子台418が形成されている部分を除く位置は、回路部品の実装面420を構成している。実装面420は、回路部品を実装するためにモールド樹脂の一部が除去されて配線用導体パターンが露出しており、場合によっては回路部品の端子を挿通してはんだ付けするためのスルーホールが配線用導体パターンに形成されている。このような実装面420は、上段に位置する第1外面部411にのみ形成されており、第2外面部412には回路部品を実装しないように構成している。
【0033】
第1側面板402の側縁部(図4右端上部)には、ハーネス引出用開口部416が形成されている。電装品箱41内に収納されるプリント基板やその他の回路部品は、第1側面板402の電源端子418に接続される電源供給ラインからの電源が供給されて動作する。電装品箱41は外壁面が配線部や回路部品実装面を構成するとともに密閉型であるため、電装品箱41に収納した後にプリント基板やその他の回路部品の耐電圧検査を行う必要がある。通常は、電源用端子台418を利用して高電圧を印加して耐電圧検査を行うが、回路部品と電源端子418との間にリレー接点を有するような場合には、電源用端子台418を利用してこの回路部品に対する耐電圧検査を行うことができない。したがって、リレー接点後の回路部品から耐電圧検査を行うための高電圧印加用ハーネスを、第1側面板402のハーネス引出用開口部416から引き出しておき、電装品箱41の外部にハーネス先端のコネクタを露出しておく。
【0034】
〈検査用ハーネス固定治具〉
(A)第1側面板402のハーネス引出用開口部416の近傍には、複数のハーネス固定用突起部417が突設されている。このハーネス固定用突起部417は、図6に示すような棒状突起であり、図4に示すように千鳥状に配列されている。
【0035】
この場合、図7に示すように、引き出されたハーネス450の先端近傍のケーブル452を、複数のハーネス固定用突起部417を利用して固定する。ハーネス固定用突起部417は千鳥状に配列されているため、ハーネス450の先端近傍のケーブル452は蛇行した状態で挟持されることとなる。
このことにより、耐電圧検査を行うための高電圧印加用ハーネス450の先端部近傍のケーブル452をハーネス固定用突起部417で固定し、先端のコネクタ451を所定の位置に固定することが可能となる。特に、ハーネス固定用突起部417を千鳥状に配列しているため、ケーブル452を強固に固定することができ、コネクタ451の位置決めを確実に行うことができる。したがって、周囲に必要以上のクリアランスを取る必要がなくなり、他の部品配置のためのスペースを確保することが可能となる。
【0036】
(B)ハーネス固定用突起部417は、図8に示すように、直線状に配列することも可能である。この場合、各ハーネス固定用突起部417の間隙は、高電圧印加用ハーネス450の先端部近傍に位置するケーブル452の外径を若干上回る程度に設定される。この場合も、高電圧印加用ハーネス450の先端部近傍のケーブル452が蛇行した状態でハーネス固定用突起部417に挟持されて、先端のコネクタ451を適切な位置に位置決めすることが可能となる。
【0037】
ハーネス固定用突起部417を直線状に配列した場合には、千鳥状に配置する場合に比して蛇行状態が大きくなり、高電圧印加用ハーネス450の先端部をより強固に位置決めすることが可能となる。
(C)ハーネス固定用突起部417は、図9に示すように、ケーブル452の外径と略同一間隔で2列に配列することが可能である。
【0038】
この場合には、互いに対向するハーネス固定用突起部417の外周面でケーブル452を挟持することによって、高電圧印加用ハーネス450の先端部を固定しコネクタ451を確実に位置決めすることができる。
ハーネス固定用突起部417を、先端部の外径より基端部の外径が大きい形状に設定し、基端部における対向するハーネス固定用突起部417間の間隙が、ケーブル452の外径よりも若干小さくなるように配置することができる。この場合、ケーブル452をハーネス固定用突起部417の基端部側に押し込むことで、より強固に高電圧印加用ハーネス450を固定することが可能となる。
【0039】
(D)ハーネス固定用突起部417は、図10に示すような爪形状とすることが可能である。このハーネス固定用突起部417は、第1側面板402の表面に突設される基端部431と、基端部431から側方に膨出する爪部432とを備えている。爪部432は、高電圧印加用ハーネス450のケーブル452が位置する方向に突出するように配置される。
【0040】
このようなハーネス固定用突起部417を用いた場合には、互いに対向するハーネス固定用突起部417の基端部431によってケーブル452を挟持するとともに、爪部432と第1側面板402の外表面との間にケーブル452を挟み込むため、高電圧印加用ハーネス450を強固に位置決めすることができる。
(E)ハーネス固定用突起部417は、図11に示すようなカギ形状とすることが可能である。このハーネス固定用突起部417は、第1側面板402の表面に突設される基端部433と、基端部433から側方に膨出するカギ状部434とを備えている。カギ状部434は、高電圧印加用ハーネス450のケーブル452が位置する方向に突出するように配置される。
【0041】
このようなハーネス固定用突起部417を用いた場合には、カギ状部434によってケーブル452を完全に固定することができ、高電圧印加用ハーネス450をより強固に位置決めすることができる。
〔保護カバー部材〕
第1側面板402には、図12および図13に示すような、第1側面板402の外表面から所定の間隙をおいて実装面420を覆う保護カバー部材501が取り付けられる。
【0042】
保護カバー部材501は、第1側面板402のモールド樹脂が除去されて配線用導体パターンが露出した部分を備える実装面420に対応する形状で構成されている。
保護カバー部材501の下面側には、第1側面板402の第1外面部411に固定するための固定用爪部材511が突設されている。第1側面板402には、成型時の肉ぬすみや配線用導体パターンの一部切除などのために、複数の貫通孔415(図4参照)が設けられている。この第1側面板402の貫通孔415に対応する位置に、固定用爪部材511が配置されている。固定用爪部材511が第1側面板402の貫通孔415に挿入されて、その爪が貫通孔415の端縁に係合することで、保護カバー部材501の位置決めを行うことが可能となっている。
【0043】
保護カバー部材501の下面側には、先端が第1側面板402の外表面に当接することで、保護カバー部材501と第1側面板402との間隙を所定距離に維持するスペーサ512が設けられている。スペーサ512を保護カバー部材501の下面全域に複数設けることで、保護カバー部材501と第1側面板402の外表面との距離を均一に維持することが可能となる。
【0044】
この場合、保護カバー部材501の固定用爪部材511を第1側面板402の貫通孔415に係合させると、同時にスペーサ512の先端が第1側面板402の外表面に当接し、固定用爪部材511とスペーサ512とによって第1側面板402を挟み込む形となり、保護カバー部材501が第1側面板402に固定されることとなる。
【0045】
固定用爪部材511とスペーサ512との長さ方向(図12左右方向)の位置が近接するように配置した場合、保護カバー部材501のがたつきがさらに少なくなり、固定用爪部材511が第1側面板402の貫通孔415から離脱することを防止できる。
このような保護カバー部材501を第1側面板402の実装面420に取り付けることにより、実装面420に取り付けられる回路部品のリード端子やはんだ部分に接触することを防止でき、作業性を向上させるとともに安全性を確保することが可能となる。
【0046】
また、実装面420に取り付けられる回路部品のリード端子をカットする際に、スペーサ512の高さに応じて余裕をもってカットすることができ、作業性が向上する。
さらにこの例では、第1側面板402が段差部419を介して段差を有する第1外面部411と第2外面部412とが接続された構成であり、かつ第1外面部411にのみ実装面420が構成され、第2外面部412には実装面が形成されていない。したがって、保護カバー部材501の形状を簡素化することが可能であり、コスト削減を図ることができる。
【0047】
第1外面部411に構成された実装面420のうち回路部品を実装する領域を一定領域に集中し、この回路部品を実装する領域の外表面のみを覆うように保護カバー部材501を形成することにより、保護カバー部材501を最小化しコストダウンを図ることが可能となる。
〔保護カバー部材と検査用ハーネス固定治具との兼用〕
保護カバー部材501がハーネス固定治具を兼用するような構成とすることができる。その一例として図14および図15に説明図を示す。
【0048】
保護カバー部材501のひとつの端縁部521は、第1側面板402のハーネス引出用開口部416近傍に位置している。また、第1側面板402には、保護カバー501の端縁部521に対向する位置に突起部461が突設されている。保護カバー501の端縁部521と第1側面板402の突起部461との間隙が、ハーネス450の先端近傍のケーブル452外径と略同一になるように、突起部461が形成されている。保護カバー501の端縁部521と第1側面板402の突起部461により、ケーブル452を挟み込むことによって、ハーネス450の先端部近傍を固定することが可能となる。
【0049】
このように構成した場合、保護カバー部材501を検査用ハーネス固定治具と兼用することができ、コストダウンを図ることが可能となる。また、ハーネス450の先端部近傍のケーブル452を保護カバー部材501の端縁部521と突起部461の間に挟み込むだけでハーネス450の固定ができるため、操作が簡単になる。
【0050】
保護カバー部材501の内面側に複数の突起部を設けて、この突起部によりハーネス450の先端部近傍のケーブル452を挟み込んで固定するように構成することも可能である。この場合、保護カバー部材501の内面側にハーネス450のケーブル452を固定することでハーネス450の位置決めを確実に行うことができる。
【0051】
〔他の実施形態〕
樹脂モールド基板を用いない電装品箱の場合にも、耐電圧検査を行うための高電圧印加用ハーネスを固定するハーネス固定用突起部を電装品箱の外表面に設けることが可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る電装品箱では、筐体の外壁面に設けられるハーネス固定部材により、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを支持することにより、高電圧印加用ハーネスの先端部を確実に所定位置に位置規制することができ、再組立時における作業者に対する指示を確実にし、良好な再現性を得ることが可能となる。
【0053】
本発明の請求項2に係る電装品箱では、樹脂モールド基板を作成する際に、複数の突起部を一体成型で構成することが可能であり、この複数の突起部を追加してもコストアップを招くことがない。
本発明の請求項3に係る電装品箱では、棒状突起の側面で高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟持することによって、高電圧印加用ハーネスの先端部を位置規制することが可能となる。
【0054】
本発明の請求項4に係る電装品箱では、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルが抜け落ちることを爪形状突起によって防止することができ、高電圧印加用ハーネスの先端部を確実に位置規制することが可能となる。
本発明の請求項5に係る電装品箱では、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルが抜け落ちることをさらに防止することができ、高電圧印加用ハーネスの先端部を確実に位置規制することが可能となる。
【0055】
本発明の請求項6に係る電装品箱では、2列の突起部の間に高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルが挟持されて、高電圧印加用ハーネスの先端部が確実に位置決めされる。
本発明の請求項7に係る電装品箱では、千鳥状に配置された複数の突起部により高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを蛇行した状態で挟持され、高電圧印加用ハーネスの先端部が確実に位置決めされる。
【0056】
本発明の請求項8に係る電装品箱では、直線状に配置された複数の突起部により高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを蛇行した状態で挟持され、高電圧印加用ハーネスの先端部が確実に位置決めされる。
本発明の請求項9に係る電装品箱では、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを複数の部材間に挟み込むだけでハーネス先端部を固定することが可能であり、操作が簡単になる。
【0057】
本発明の請求項10に係る電装品箱では、保護カバー部材の側壁部と、樹脂モールド基板に設けられた突起部との間に、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟み込むだけで、ハーネスを固定することができ、操作が簡単であるとともに、保護カバー部材を兼用することでコストダウンを図ることができる。本発明の請求項11に記載の電装品箱では、樹脂モールド基板を製造する際に板状部材を一体成型で作成することが可能であり、コストアップを招くことなく、簡単に作成することができる。
【0058】
本発明の請求項12に記載の電装品箱では、保護カバー部材に設けられた複数の突起部により、保護カバー部材の内面側に高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを固定するため、確実にハーネスを固定することができる。
本発明の請求項13に係る空気調和機では、防水、防塵機能を必要とする空気調和機の電装品箱内に回路部品を収納する場合に、回路部品から引き出した高電圧印加用ハーネスを、ハーネス固定部材により、その先端部を確実に所定位置に位置規制することができ、高電圧印加用ハーネスの先端部の位置にばらつきがある場合の不具合を解消することができる。
【0059】
本発明の請求項14に係る空気調和機では、樹脂モールド基板を作成する際に、複数の突起部を一体成型で構成することが可能であり、この複数の突起部を追加してもコストアップを招くことがない。
本発明の請求項15に係る空気調和機では、保護カバー部材の側壁部と、樹脂モールド基板に設けられた突起部との間に、高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟み込むだけで、ハーネスを固定することができ、操作が簡単であるとともに、保護カバー部材を兼用することでコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気調和機の外観構成を示す斜視図。
【図2】室外機の分解斜視図。
【図3】電装品箱の説明用斜視図。
【図4】第1側面板の正面図。
【図5】その底面図。
【図6】その側面図。
【図7】ハーネス固定用突起部の説明図。
【図8】ハーネス固定用突起部の説明図。
【図9】ハーネス固定用突起部の説明図。
【図10】ハーネス固定用突起部の説明図。
【図11】ハーネス固定用突起部の説明図。
【図12】保護カバー部材の正面図。
【図13】保護カバー部材の底面図。
【図14】保護カバー部材によりハーネス固定治具を兼用する場合の説明図。
【図15】保護カバー部材によりハーネス固定治具を兼用する場合の説明図。
【符号の説明】
41 電装品箱
402 第1側面板
416 ハーネス引出用開口部
417 ハーネス固定用突起部
420 実装面

Claims (15)

  1. 内部を密閉状態に維持する筐体と、
    前記筐体の外壁面に設けられ、電源供給ラインが接続される電源端子を含む端子台と、
    前記端子台とリレー接点を介して接続されるとともに、前記筐体内に密閉状態で配置される回路部品と、
    前記回路部品から前記筐体外部に引き出され、前記回路部品の耐電圧を検査するための高電圧印加用ハーネスと、
    前記高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを支持して前記高電圧印加用ハーネスの先端を前記筐体の外壁面の所定位置に位置決めするために前記筐体の外壁面に設けられるハーネス固定部材と、
    を備える電装品箱。
  2. 前記筐体の外壁面は少なくともひとつの面が配線用導体パターンを樹脂モールドした樹脂モールド基板で構成されており、前記ハーネス固定部材は前記樹脂モールド基板の外壁面に突設される複数の突起部である、請求項1に記載の電装品箱。
  3. 前記複数の突起部は、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを対向する側面で挟持する棒状突起である、請求項2に記載の電装品箱。
  4. 前記複数の突起部は、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを対向する側面で挟持するとともに、先端が前記ケーブルを挟持する面の方向に突出する爪形状突起である、請求項2に記載の電装品箱。
  5. 前記複数の突起部は、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを挟持するカギ型突起である、請求項2に記載の電装品箱。
  6. 前記複数の突起部は、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブル外径と略同一の間隙で2列に配列されている、請求項2〜5のいずれかに記載の電装品箱。
  7. 前記複数の突起部は、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルを蛇行した状態で挟持するために千鳥状に配置されている、請求項2〜5のいずれかに記載の電装品箱。
  8. 前記複数の突起部は、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブルが蛇行した状態で挟持することが可能な間隔で直線状に配置されている、請求項2〜5のいずれかに記載の電装品箱。
  9. 前記ハーネス固定部材は、前記高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを挟持して固定する複数の部材で構成される、請求項1に記載の電装品箱。
  10. 前記筐体の外壁面のうち一の外壁面が、配線用導体パターンを樹脂モールドするとともに回路部品を実装可能な実装面を備える樹脂モールド基板と、前記樹脂モールド基板の実装面の外方に取り付けられる保護カバー部材とを備え、
    前記ハーネス固定部材は、前記保護カバー部材の側壁部と、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブル外径と略同一の間隔をあけて前記保護カバー部材の側壁部に対向する位置に前記樹脂モールド基板から外方に突設される突起部とよりなる、請求項9に記載の電装品箱。
  11. 前記突起部は、前記保護カバー部材の側壁部に平行な壁面部を備える板状部材である、請求項10に記載の電装品箱。
  12. 前記筐体の外壁面のうち一の外壁面が、配線用導体パターンを樹脂モールドするとともに回路部品を実装可能な実装面を備える樹脂モールド基板と、前記樹脂モールド基板の実装面の外方に取り付けられる保護カバー部材とを備え、
    前記ハーネス固定部材は、前記保護カバー部材の内壁面側に突設される複数の突起部で構成される、請求項1に記載の電装品箱。
  13. 冷媒回路を含む空調ユニットを制御して、導入される室内空気と前記冷媒回路内を循環する冷媒との間で熱交換して、熱交換後の温度調整された空気を室内に供給する空気調和機であって、
    内部を密閉状態に維持する筐体と、
    前記筐体の外壁面に設けられ、電源供給ラインが接続される電源端子を含む端子台と、
    空気調和機の各部を制御するための制御部を含み、前記端子台とリレー接点を介して接続されるとともに、前記筐体内に密閉状態で配置される回路部品と、
    前記回路部品から前記筐体外部に引き出され、前記回路部品の耐電圧を検査するための高電圧印加用ハーネスと、
    前記高電圧印加用ハーネスの先端部近傍のケーブルを支持して前記高電圧印加用ハーネスの先端を前記筐体の外壁面の所定位置に位置決めするために前記筐体の外壁面に設けられるハーネス固定部材と、
    を備える電装品箱を有する空気調和機。
  14. 前記筐体の外壁面は少なくともひとつの面が配線用導体パターンを樹脂モールドした樹脂モールド基板で構成されており、前記ハーネス固定部材は前記樹脂モールド基板の外壁面に突設される複数の突起部である、請求項13に記載の空気調和機。
  15. 前記筐体の外壁面のうち一の外壁面が、配線用導体パターンを樹脂モールドするとともに回路部品を実装可能な実装面を備える樹脂モールド基板と、前記樹脂モールド基板の実装面の外方に取り付けられる保護カバー部材とを備え、
    前記ハーネス固定部材は、前記保護カバー部材の側壁部と、前記高電圧印加用ハーネスの先端近傍のケーブル外径と略同一の間隔をあけて前記保護カバー部材の側壁部に対向する位置に前記樹脂モールド基板から外方に突設される突起部とよりなる、請求項13に記載の空気調和機。
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